特許第6355959号(P6355959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人京都工芸繊維大学の特許一覧 ▶ 学校法人大阪歯科大学の特許一覧

特許6355959機能性架橋構造体及びその製造方法並びに医療材料
<>
  • 特許6355959-機能性架橋構造体及びその製造方法並びに医療材料 図000003
  • 特許6355959-機能性架橋構造体及びその製造方法並びに医療材料 図000004
  • 特許6355959-機能性架橋構造体及びその製造方法並びに医療材料 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355959
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】機能性架橋構造体及びその製造方法並びに医療材料
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/54 20060101AFI20180702BHJP
   A61L 27/20 20060101ALI20180702BHJP
   A61L 27/24 20060101ALI20180702BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20180702BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20180702BHJP
【FI】
   A61L27/54
   A61L27/20
   A61L27/24
   A61K47/61
   A61K47/62
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-89840(P2014-89840)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-208369(P2015-208369A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
(73)【特許権者】
【識別番号】595148176
【氏名又は名称】学校法人大阪歯科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 知成
(72)【発明者】
【氏名】本田 義知
【審査官】 横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−125916(JP,A)
【文献】 特開2006−002108(JP,A)
【文献】 特開2011−160817(JP,A)
【文献】 特開2001−008634(JP,A)
【文献】 特開2005−213449(JP,A)
【文献】 特表2007−537314(JP,A)
【文献】 Biomacromolecules,2009年 5月 5日,Vol.10, No.7,pp.1923-1930
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L15/00−33/18
A61K47/00−47/69
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OH基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種とCOOH基を繰り返し単位に有する天然高分子を水中で水溶性脱水縮合剤の存在下にOH基又はアミノ基を有する生理活性物質と反応させて、天然高分子のCOOH基とエステル結合又はアミド結合を介して生理活性物質を結合し、かつ、前記天然高分子の架橋反応を行うことを特徴とする、機能性架橋構造体の製造方法であって、前記天然高分子がヒアルロン酸、コラーゲン、ゼラチン又はキサンタンガムであり、前記生理活性物質がカテキン(C)、ガロカテキン(GC)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、カテキンガレート(CG)、エピカテキンガレート(ECG)、ガロカテキンガレート(GCG)、エピガロカテキンガレート(EGCG)からなる群から選ばれる少なくとも1種のカテキン類である、機能性架橋構造体の製造方法。
【請求項2】
水溶性脱水縮合剤が、トリアジン系縮合剤及び水溶性カルボジイミド類からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の機能性架橋構造体の製造方法。
【請求項3】
生理活性物質がエピガロカテキンガレート(EGCG)である、請求項1又は2に記載の機能性架橋構造体の製造方法。
【請求項4】
天然高分子がヒアルロン酸、ゼラチン又はキサンタンガムである、請求項1〜3のいずれかに記載の機能性架橋構造体の製造方法。
【請求項5】
OH基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種とCOOH基を繰り返し単位に有する天然高分子と、OH基又はアミノ基を有する生理活性物質がエステル結合又はアミド結合で結合され、かつ、天然高分子のCOOH基と天然高分子のOH基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種が架橋している、機能性架橋構造体であって、前記天然高分子がヒアルロン酸、ゼラチン又はキサンタンガムであり、前記生理活性物質がエピガロカテキンガレート(EGCG)である、機能性架橋構造体。
【請求項6】
請求項5記載の機能性架橋構造体を含む医療材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性架橋構造体及びその製造方法並びに医療材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゼラチンスポンジの製造法は、真空熱脱水法、乾熱法、紫外線・γ線・電子線・X線などを照射する方法、架橋剤を用いる方法などが挙げられる。例えば特許文献1には紫外線あるいは化学架橋剤を用いる方法、特許文献2には上記全ての方法、特許文献3と5には化学架橋剤を用いる方法、特許文献4には真空熱脱水法および化学架橋剤を用いる方法が開示されている。また、特許文献6にはポリフェノール類を架橋剤に用いる方法が開示されている。
【0003】
上記の特許文献1〜5の方法では、ゼラチンスポンジを調製するために加熱や紫外線等のエネルギー線の照射、あるいは化学架橋剤が必要である。化学架橋剤を用いる方法は、架橋剤としてグルタルアルデヒド(特許文献3)やヘキサメチレンジイソシアネート(特許文献4)、チオール誘導体(特許文献5)など、高反応活性基を有する化合物を使用しなければならない。また、ゼラチンスポンジの医療材料としての利用を考える場合、スポンジ内に生理活性物質を含有させることが望まれるが、高温加熱や紫外線照射による方法では生理活性物質の分解が懸念されるため、適用困難である。特許文献6の方法では、カテキン類の高分子量体であるポリフェノールを架橋剤として用いてわずかな加熱によってゼラチンを処理しているが、ゼラチンの高分子量化を確認するに留まっており、架橋度は低くスポンジの調製には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−173362号公報
【特許文献2】特開2002−716号公報
【特許文献3】特開2005−213449号公報
【特許文献4】特表2007−537314号公報
【特許文献5】特表2010−515788号公報
【特許文献6】特開2001−8634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、機能性架橋構造体及びその製造方法並びに医療材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の機能性架橋構造体及びその製造方法並びに医療材料を提供するものである。
項1. OH基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種とCOOH基を繰り返し単位に有する天然高分子を水中で水溶性脱水縮合剤の存在下にOH基又はアミノ基を有する生理活性物質と反応させて、天然高分子のCOOH基とエステル結合又はアミド結合を介して生理活性物質を結合し、かつ、前記天然高分子の架橋反応を行うことを特徴とする、機能性架橋構造体の製造方法。
項2. 水溶性脱水縮合剤が、トリアジン系縮合剤及び水溶性カルボジイミド類からなる群から選ばれることを特徴とする項1に記載の機能性架橋構造体の製造方法。
項3. 生理活性物質がカテキン類、ポリフェノール類、プロアントシアニジン、アントシアニン、フラボノイド類、大豆イソフラボン類及びポリアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1又は2に記載の機能性架橋構造体の製造方法。
項4. 天然高分子がヒアルロン酸、コラーゲン、ゼラチン、キサンタンガム、ジェランガム、ペクチン/ペクチン酸、アルギン酸又はそのナトリウム塩、エラスチンからなる群から選ばれる、項1〜3のいずれかに記載の機能性架橋構造体の製造方法。
項5. OH基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種とCOOH基を繰り返し単位に有する天然高分子と、OH基又はアミノ基を有する生理活性物質がエステル結合又はアミド結合で結合され、かつ、天然高分子のCOOH基と天然高分子のOH基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種が架橋している、機能性架橋構造体。
項6. 項5記載の機能性架橋構造体を含む医療材料。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、生理活性物質を共有結合により担持した機能性架橋構造体の新しい製造方法を提供するものである。本発明によれば、水溶性脱水縮合剤と水酸基を有する生理活性物質を用いることにより、加熱や紫外線・γ線・電子線・X線などの照射の必要無く、またアルデヒド基やイソシアネート基、チオール基などの反応性の高い官能基が無い生理活性物質を用いて機能性架橋構造体を調製することができる。
【0008】
さらに機能性架橋構造体合成時に生理活性物質としてカテキン類を用いることで、カテキン類が化学的に結合した機能性架橋構造体を調製することができる。本製造方法は、カテキン類以外にも水酸基、アミノ基を有する生理活性物質に幅広く適用できる。
【0009】
得られるカテキン類結合機能性架橋構造体は骨再生足場材料等の医療材料としての利用が可能である。マウスによる骨再生実験を実施したところ、カテキン類を結合したゼラチンスポンジは結合していないものと比較して、骨再生を促進することが確認できた。カテキン以外の生理活性物質を結合させることで、骨以外の再生のための医療材料とすることができる。
【0010】
また、本発明の機能性架橋構造体は、細胞培養基材、ドラッグデリバリーシステムなどへの応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ゼラチン原料、EGCG(エピガロカテキンガレート)、EGCGが結合した架橋ゼラチンスポンジ(EGCG−ゼラチン)の赤外分光(IR)分析のチャート
図2】実施例1と比較例1で得たゼラチンスポンジを骨欠損箇所に埋入し、4週間経過後の骨欠損部の状態を示す写真。
図3】ヒアルロン酸原料、EGCG、EGCGが結合した架橋ヒアルロン酸(EGCG−ヒアルロン酸)のIR分析のチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、アミノ基は、第1級アミノ基(NH)又は第2級アミノ基(NH)であり、天然高分子のCOOH基とアミド結合を形成可能な基である。
【0013】
天然高分子は、(1)COOH基と(2)OH基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を繰り返し単位に含むものであれば特に限定されない。COOH基を含む繰り返し単位としては、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌツロン酸等のCOOH基を有する糖残基、グルタミン酸、アスパラギン酸などのCOOH基を側鎖に有するアミノ酸残基などが挙げられる。OH基もしくはアミノ基を有する繰り返し単位としては、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、フコース、ラムノース、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、リジン(Lys)、オルニチン(Orn)、ヒドロキシリジン(Hyl)などが挙げられる。
【0014】
天然高分子としては、ヒアルロン酸、コラーゲン、ゼラチン、キサンタンガム、ジェランガム、ペクチン/ペクチン酸、アルギン酸又はそのナトリウム塩、エラスチンなどが挙げられる。
【0015】
ゼラチンスポンジの原料となるコラーゲンとしては、従来公知のゼラチンスポンジの原料が広く使用でき、例えば、酸可溶性コラーゲン、中性塩可溶性コラーゲン、酵素可溶化コラーゲン等の可溶性コラーゲンが挙げられる。
【0016】
代表的なゼラチンの1000アミノ酸残基あたりのアミノ酸数(アミノ酸組成)を以下の表1に示す。表1は豚皮のゼラチンを示し、牛皮、牛骨のゼラチンもほぼ同様なアミノ酸組成であるが、狂牛病の問題があるので、表1には豚皮由来のゼラチン組成のみを示す。
【0017】
【表1】
【0018】
ゼラチンは、Glyが約1/3を占め、Glu+Asp=117個の側鎖COOH基、Lys+Hyl+Arg+His=86個の側鎖アミノ基(NH、NH)、Ser+Thr+Tyr=56個の側鎖OH基を有している。117個の側鎖COOH基は、ゼラチンのOH基、アミノ基とのエステル結合もしくはアミド結合による分子内架橋もしくは分子間架橋、さらにOH基もしくはアミノ基を含む生理活性物質との共有結合(エステル結合、アミド結合)に利用される。このようなエステルもしくはアミドによる架橋及び共有結合は、水溶性脱水縮合剤をゼラチンを含む水中に添加することにより形成することができる。水溶性脱水縮合剤は、ゼラチンと生理活性物質を含む水中に加えてもよいが、ゼラチンを含む水中に一部の水溶性脱水縮合剤を加えてゼラチン架橋を形成し、その後に生理活性物質と追加の水溶性脱水縮合剤を添加して生理活性物質をゼラチンに結合させてもよい。換言すると、ゼラチン架橋反応と生理活性物質の結合反応は、同時に行ってもよく、先にゼラチン架橋をある程度形成させておき、その後に生理活性物質の結合(このときゼラチン架橋反応も同時に生じ得る)を生じさせてもよい。
【0019】
上記でゼラチンのケースを例に取り説明したが、ゼラチン以外の天然高分子についても同様に生理活性物質及び水溶性脱水縮合剤を水中で反応させることで同様に機能性架橋構造体を得ることができる。
【0020】
生理活性物質としては、OH基又はアミノ基を有するものであれば特に限定されないが、例えばカテキン類(カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、カテキンガレート(CG)、エピカテキンガレート(ECG)、ガロカテキンガレート(GCG)、エピガロカテキンガレート(EGCG)など)、ポリフェノール、プロアントシアニジン、アントシアニン、フラボノイド(例えば、フラボノール、フラボン、イソフラボン、フラバノン、フラバノール等)、大豆イソフラボン(ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン及びそれらの配糖体であるダイジン、ゲニスチン及びグリシチン並びにそれらの代謝産物であるエクオールなど)、ポリアミン(スペルミン、スペルミジンなど)などが挙げられる。
【0021】
生理活性物質は、天然高分子100重量部に対し、0.0001〜15重量部、好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部程度反応させればよい。
【0022】
本発明に用いる脱水縮合剤は、水溶性であり、水溶液中で天然高分子のCOOH基と生理活性物質のOHもしくはアミノ基とのエステル結合もしくはアミド結合を形成可能であり、かつ、天然高分子の架橋が可能であるものであれば特に限定されず、例えば4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM)などのトリアジン系縮合剤、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドの水溶性塩、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)などが挙げられ、これらを単独でまたは適宜組み合わせて使用可能である。
【0023】
水溶性脱水縮合剤は、天然高分子100重量部に対し、1〜1000重量部、好ましくは5〜500重量部、より好ましくは10〜100重量部程度反応させればよい。
【0024】
使用した脱水縮合剤は、水による洗浄によって除去できる。
【0025】
機能性架橋構造体の精製は、常法に従い行うことができ、例えば透析、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0026】
本発明の製造方法で得られる機能性架橋構造体は、細胞を播種して組織を構築する、いわゆる再生医療に供するための細胞組織培養基材として好適に用いることができる。また、骨、軟骨、上皮、筋、結合組織、歯周組織の再生などの医療材料として利用することができる。さらに、DDSの基材としても好適に利用できる。緑茶カテキンは、間葉系幹細胞において骨形成を促進することが知られている(Osteoporosis Int. (2005) 16: 2039−2045)。緑茶カテキン以外の生理活性物質を結合させることで種々の組織を再生させるための医療材料として使用することができる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
【0028】
実施例1
豚ゼラチン(Sigma−Aldrich社製)100mgを水5mlに50℃で溶解し、N−メチルモルホリン(27.5μl)、EGCG(0.7mg)、DMT−MM(69.2mg)を加え、室温で24時間撹拌した。
【0029】
得られた溶液を、透析膜としてRC透析チューブ ポア7 MWCO1000(Spectrum社製)を使用し、水に対し24時間透析して未反応のEGCG、DMT−MM及びその反応生成物を除去して凍結乾燥することで、EGCGが結合した架橋ゼラチンスポンジ(93mg)を得た。
【0030】
ゼラチン原料、EGCG、EGCGが結合した架橋ゼラチンスポンジ(EGCG−ゼラチンスポンジ)のIRチャートを図1に示す。
【0031】
架橋ゼラチンスポンジ反応溶液を透析した溶液の、EGCGの極大吸収波長(280nm)での吸光度を測定し、架橋ゼラチン中のEGCG含量を求めたところ、ゼラチン100mg換算中0.7mgであった。
【0032】
比較例1
ゼラチン水溶液を常法に従い真空熱脱水し、ゼラチンスポンジを得た。
【0033】
比較例2
豚ゼラチン(Sigma−Aldrich社製)100mgを水5mlに50℃で溶解し、N−メチルモルホリン(27.5μl)、EGCG(0.7mg)を加え、室温で24時間撹拌した。得られた溶液を、透析膜としてRC透析チューブ ポア7 MWCO1000(Spectrum社製)を使用し、水に対し24時間透析して凍結乾燥すると、EGCGが含まれないゼラチンが得られた。
【0034】
実施例2
直径4.2mmのトレフィンバーを用いマウスの頭蓋冠に臨界骨欠損を作製し、実施例1で得られたEGCGが結合した架橋ゼラチンスポンジ及び比較例1で得た真空熱脱水スポンジを当該欠損箇所に埋入した。4週間後の骨欠損箇所の状態を図2に示す。
【0035】
コンピュータ断層撮影法を用いた解析から、本発明のEGCG−ゼラチンスポンジを埋入すると新生骨の形成が確認されたが、真空熱脱水ゼラチンスポンジの埋入では骨再生は見られなかった。
【0036】
実施例3
ヒアルロン酸(ナカライテスク社製)50mgを水5mlに室温で溶解し、N−メチルモルホリン(13.7μl)、EGCG(0.5mg)、DMT−MM(34.6mg)を加え、室温で24時間撹拌した。
【0037】
得られた溶液を、透析膜としてRC透析チューブ ポア7 MWCO1000(Spectrum社製)を使用し、水に対し24時間透析して未反応のEGCG、DMT−MM及びその反応生成物を除去して凍結乾燥することで、EGCGが結合した架橋ヒアルロン酸(45mg)を得た。得られた架橋ヒアルロン酸に水を加えることで、ヒドロゲルを得た。
【0038】
ヒアルロン酸原料、EGCG、EGCGが結合した架橋ヒアルロン酸のIRチャートを図3に示す。
【0039】
実施例4
キサンタンガム(東京化成社製)100mgを水25mlに室温で溶解し、N−メチルモルホリン(27.5μl)、EGCG(0.7mg)、DMT−MM(69.2mg)を加え、室温で24時間撹拌した。
【0040】
得られた溶液を、エタノールで再沈殿することにより未反応のEGCG、DMT−MM及びその反応生成物を除去して、EGCGが結合した架橋キサンタンガム(98mg)を得た。得られた架橋キサンタンガムに水を加えることで、ヒドロゲルを得た。
図1
図2
図3