特許第6355989号(P6355989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6355989回路付サスペンション基板およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355989
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】回路付サスペンション基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/60 20060101AFI20180702BHJP
   G11B 21/21 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   G11B5/60 P
   G11B21/21 D
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-131709(P2014-131709)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-9514(P2016-9514A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】田辺 浩之
(72)【発明者】
【氏名】金▲崎▼ さおり
(72)【発明者】
【氏名】藤村 仁人
(72)【発明者】
【氏名】寺田 直弘
(72)【発明者】
【氏名】杉本 悠
(72)【発明者】
【氏名】岡本 憲彦
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−043647(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0013993(US,A1)
【文献】 実開平05−033357(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/60
G11B 21/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる金属支持基板と、前記金属支持基板の厚み方向一方側に形成される絶縁層と、前記絶縁層の前記厚み方向一方側に形成される導体層とを備える回路付サスペンション基板であって、
前記金属支持基板は、
スライダが搭載されるスライダ搭載部と、
前記スライダ搭載部に対して、前記長手方向および前記厚み方向の両方と直交する直交方向の両側に間隔を隔てて設けられる1対のアウトリガー部と
を備え、
前記スライダ搭載部は、
前記スライダ搭載部の前記厚み方向一方側に区画され、前記スライダを搭載するための接着剤が塗布される接着領域と、
前記接着領域外に配置され、前記接着領域外にはみ出す前記接着剤を受け入れるための受入部と
を備え
前記回路付サスペンション基板は、前記スライダ搭載部における前記接着領域外に配置され、前記スライダを支持するための複数の台座を備え、
前記複数の台座は、前記厚み方向から見て、前記受入部を挟むように、互いに間隔を隔てて配置されていることを特徴とする、回路付サスペンション基板。
【請求項2】
前記複数の台座は、前記絶縁層の一部であることを特徴とする、請求項1に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項3】
前記受入部は、前記接着領域に対して、前記直交方向両外側に1対形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項4】
前記受入部は、前記金属支持基板を前記厚み方向に貫通する貫通穴であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項5】
前記受入部は、前記金属支持基板の前記厚み方向一方面から、前記厚み方向他方側に向かって窪む凹部であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路付サスペンション基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路付サスペンション基板、詳しくは、ハードディスクドライブに用いられる回路付サスペンション基板に関する。
【背景技術】
【0002】
回路付サスペンション基板では、その搭載部に対して、磁気ヘッドを備えるスライダが搭載される。
【0003】
このような回路付サスペンション基板として、スライダを磁気ディスクに対して微小間隔を隔てて浮上させ易くするために、搭載部の周縁にU字状のスリット部を備えることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−216263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、上記した特許文献1に記載の回路付サスペンション基板では、スライダは、公知の接着剤などを介して搭載部に搭載されるが、搭載部に接着剤が過剰に塗布されると、スライダが搭載されたときに、余剰の接着剤が搭載部からはみ出す場合がある。そして、はみ出した接着剤が、スリット部の内側部分と外側部分とを接着してしまうと、搭載部の浮遊姿勢が規制されてしまい、スライダの磁気ディスクに対する位置精度が低下するという不具合がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、スライダ搭載部に接着剤を介してスライダを搭載するときに、余剰の接着剤がはみ出すことを抑制することのできる回路付サスペンション基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の回路付サスペンション基板は、長手方向に延びる金属支持基板と、金属支持基板の厚み方向一方側に形成される絶縁層と、絶縁層の厚み方向一方側に形成される導体層とを備え、金属支持基板は、スライダが搭載されるスライダ搭載部と、スライダ搭載部に対して、長手方向および厚み方向の両方と直交する直交方向の両側に間隔を隔てて設けられる1対のアウトリガー部とを備え、スライダ搭載部は、スライダ搭載部の厚み方向一方側に区画され、スライダを搭載するための接着剤が塗布される接着領域と、接着領域外に配置され、接着領域外にはみ出す接着剤を受け入れるための受入部とを備えていることを特徴としている。
【0008】
このような回路付サスペンション基板によれば、スライダ搭載部は、接着領域外にはみ出す接着剤を受け入れるための受入部を備えている。
【0009】
そのため、スライダ搭載部に接着剤を過剰に塗布しても、余剰の接着剤は、受入部に受け入れられる。
【0010】
その結果、スライダ搭載部に過剰に塗布された接着剤が、受入部よりもはみ出すことを抑制することができる。
【0011】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、受入部は、接着領域に対して、直交方向両外側に1対形成されていることが好適である。
【0012】
このような回路付サスペンション基板によれば、接着領域の直交方向両外側に1対の受入部が形成されている。
【0013】
そのため、スライダ搭載部の直交方向の両側に配置される1対のアウトリガー部まで接着剤がはみ出すことを確実に抑制することができる。
【0014】
その結果、スライダ搭載部とアウトリガー部との間に接着剤が浸入し、スライダ搭載部と、アウトリガー部とが接着されてしまうことを抑制することができる。
【0015】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、受入部は、金属支持基板を厚み方向に貫通する貫通穴であることが好適である。
【0016】
このような回路付サスペンション基板によれば、接着剤を、貫通穴からなる受入部を介して、厚み方向一方側から厚み方向他方側に通過させることができる。
【0017】
そのため、余剰の接着剤が受入部よりもはみ出すことを抑制することができる。
【0018】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、受入部は、金属支持基板の厚み方向一方面から、厚み方向他方側に向かって窪む凹部であることが好適である。
【0019】
このような回路付サスペンション基板によれば、接着剤を、凹部からなる受入部に溜めることができる。
【0020】
そのため、余剰の接着剤が受入部よりもはみ出すことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の回路付サスペンション基板によれば、スライダ搭載部に接着剤を介してスライダを搭載するときに、余剰の接着剤がはみ出すことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の回路付サスペンション基板の第1実施形態の平面図を示す。
図2図2は、図1に示す回路付サスペンション基板のジンバル部の平面図を示す。
図3図3は、図1に示す回路付サスペンション基板のジンバル部の底面図を示す。
図4図4は、図2および図3に示すジンバル部のA−A線に沿う断面図を示す。
図5図5は、図2および図3に示すジンバル部のB−B線に沿う断面図を示す。
図6図6は、本発明の回路付サスペンション基板の第2実施形態におけるジンバル部の断面図を示す。
図7図7は、本発明の回路付サスペンション基板の第3実施形態におけるジンバル部の平面図を示す。
図8図8は、本発明の回路付サスペンション基板の変形例におけるジンバル部の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1において、紙面左右方向は、先後方向(長手方向、第1方向)であって、紙面左側が先側(長手方向一方側、第1方向一方側)、紙面右側が後側(長手方向他方側、第1方向他方側)である。また、紙面上下方向は、左右方向(幅方向、直交方向、第2方向)であって、紙面上側が左側(幅方向一方側、直交方向一方側、第2方向一方側)、紙面下側が右側(幅方向他方側、直交方向他方側、第2方向他方側)である。また、紙面紙厚方向は、上下方向(厚み方向、第3方向)であって、紙面手前側が上側(厚み方向一方側、第3方向一方側)、紙面奥側が下側(厚み方向他方側、第3方向他方側)である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
【0024】
なお、図1図3においては、カバー絶縁層11を省略している。
【0025】
<第1実施形態>
図1に示す回路付サスペンション基板1は、図4に示すように、磁気ヘッド3を搭載するスライダ4、および、発光素子5を搭載するスライダユニット6を実装して、ハードディスクドライブ(図示せず)に搭載される。
【0026】
回路付サスペンション基板1は、図1に示すように、先後方向に延びる平帯形状に形成されている。回路付サスペンション基板1では、図4に示すように、金属支持基板8、金属支持基板8の上に形成される絶縁層の一例としてのベース絶縁層9、ベース絶縁層9の上に形成される導体層10、および、ベース絶縁層9の上に、導体層10を被覆するように形成されるカバー絶縁層11を備えている。
【0027】
金属支持基板8は、図1に示すように、先後方向に延びる平帯形状に形成されており、本体部13と、本体部13の先側に形成されるジンバル部14とを一体的に備えている。
【0028】
本体部13は、先後方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。本体部13は、回路付サスペンション基板1がハードディスクドライブに搭載されるときに、ハードディスクドライブのロードビーム(図示せず)に支持される。
【0029】
ジンバル部14は、本体部13がロードビームに実装されたときに、ロードビームに搭載されることなく、下面がロードビームから露出し、スライダユニット6(図2図4における仮想線参照)が実装される。ジンバル部14は、図2に示すように、本体部13の先端から連続して先側に延び、本体部13よりも幅広に形成されている。ジンバル部14は、1対のアウトリガー部16と、搭載部17と、1対のアウトリガー部16と搭載部17とを連結する連結部18とを備えている。
【0030】
アウトリガー部16は、平面視細長矩形状をなし、本体部13の幅方向両端部から先側に向かって直線状に延びるように1対として形成されている。
【0031】
搭載部17は、先後方向に長手の平面視略矩形状に形成され、1対のアウトリガー部16に対して幅方向内側に間隔を隔て、かつ、本体部13の先端縁に対して、先後方向に間隔を隔てるように配置されている。詳しくは、搭載部17は、搭載部17の後側部分が1対のアウトリガー部16に挟まれ、搭載部17の先側部分がアウトリガー部16の先端部よりも先側に突出するように配置されている。これによって、搭載部17と1対のアウトリガー部16との間、および、搭載部17と本体部13との間に、平面視において先側に向かって開く略U字状の後側開口部15が開口されている。
【0032】
連結部18は、1対のアウトリガー部16の先端部と搭載部17の先後方向中央における幅方向両端とを連結するように、幅方向に延びる平面視細長形状に形成されている。つまり、1対の連結部18は、搭載部17の先後方向略中央において、搭載部17に連結されている。
【0033】
搭載部17は、図2および図3に示すように、連結部18よりもわずかに先側(具体的には、後述するジンバル先端絶縁層43の後端縁)を基準として、それよりも後側がスライダ搭載部19として区画され、それよりも先側が端子搭載部20として区画されている。
【0034】
また、搭載部17には、搭載部17の幅方向中央において、先後方向略中央から先側部分にわたって先側開口部21が形成されている。
【0035】
先側開口部21は、金属支持基板8を厚み方向に貫通するように、平面視略矩形状に形成されている。
【0036】
なお、図3に示すように、搭載部17において、スライダ搭載部19における先側開口部21、すなわち、先側開口部21の後側部分が発光素子挿通領域22として区画され、端子搭載部20における先側開口部21、すなわち、先側開口部21の先後方向中央部分、および、先側部分が端子形成領域23として区画されている。
【0037】
スライダ搭載部19は、スライダユニット6が実装されるスライダ実装領域である。スライダ搭載部19は、図2に示すように、接着領域24と、受入部の一例としての受入穴25とを備えている。
【0038】
接着領域24は、スライダ搭載部19における発光素子挿通領域22よりも後側部分における平面視略中央に区画されている。接着領域24には、スライダ搭載部19に対してスライダユニット6を接着するための接着剤50(後述)が塗布される。
【0039】
受入穴25は、図2および図5に示すように、スライダ搭載部19における接着領域24の幅方向両外側に1つずつ、すなわち、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)配置されている。受入穴25は、スライダ搭載部19を厚み方向に貫通する貫通穴として形成されており、先後方向に延びる平面視細長形状に形成されている。
【0040】
端子搭載部20は、図3に示すように、端子形成領域23内において、金属支持端子26と、金属側接続端子27と、金属配線28とを備えている。
【0041】
金属支持端子26は、端子形成領域23の後側部分に設けられ、平面視略矩形(角ランド形状)に形成されている。金属支持端子26は、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)配置されている。
【0042】
金属側接続端子27は、金属支持端子26の先側、かつ、端子形成領域23の先側部分に設けられ、平面視略円形状(丸ランド形状)に形成されている。金属側接続端子27は、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)配置されている。
【0043】
金属配線28は、金属支持端子26と金属側接続端子27とを電気的に接続するように、先後方向に延びるように形成されており、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)配置されている。
【0044】
接着領域24の幅は、図2に示すように、例えば、100μm以上、好ましくは、200μm以上であり、例えば、1000μm以下、好ましくは、900μm以下である。また、接着領域24の長さ(先後方向長さ)は、例えば、100μm以上、好ましくは、200μm以上であり、例えば、1000μm以下、好ましくは、900μm以下である。
【0045】
接着領域24の面積は、スライダ搭載部19に対して、例えば、10%以上、好ましくは、20%以上であり、例えば、100%以下、好ましくは、90%以下である。具体的には、接着領域24の面積は、例えば、10000μm以上、好ましくは、40000μm以上であり、例えば、1000000μm以下、好ましくは、810000μm以下である。
【0046】
金属支持基板8は、例えば、ステンレス、42アロイ、アルミニウム、銅−ベリリウム、りん青銅などの金属材料から形成されている。好ましくは、ステンレスから形成されている。
【0047】
金属支持基板8の厚みは、図4に示すように、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、30μm以下、好ましくは、25μm以下である。
【0048】
金属配線28の幅は、図3に示すように、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、100μm以下、好ましくは、90μm以下である。
【0049】
また、複数の金属配線28の間隔は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、100μm以下、好ましくは、90μm以下である。
【0050】
また、金属支持端子26、および、金属側接続端子27の幅および長さ(先後方向長さ)は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、500μm以下、好ましくは、450μm以下である。
【0051】
また、受入穴25の幅は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下である。また、受入穴25の長さ(先後方向長さ)は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、1000μm以下、好ましくは、900μm以下である。
【0052】
ベース絶縁層9は、図1および図4が参照されるように、金属支持基板8の上面に形成されている。具体的には、ベース絶縁層9は、本体部13に対応する本体部絶縁層40と、ジンバル部14に対応するジンバル部絶縁層41とを備えている。
【0053】
本体部絶縁層40は、本体部13の上面において、導体層10が形成されるパターンに対応するように、後端部から先側に向かって延び、本体部13の先端部において、幅方向両外側斜め先方に向かって分岐する平面視略Y字状に形成されている。
【0054】
ジンバル部絶縁層41は、図2に示すように、本体部絶縁層40の先端部から連続して、幅方向に間隔を隔てて先側に向かって延びる1対のジンバル外側絶縁層42と、1対のジンバル外側絶縁層42の先端部間を連結するジンバル先端絶縁層43とを備えている。
【0055】
1対のジンバル外側絶縁層42は、分岐した本体部絶縁層40の先端部から連続して幅方向両外側斜め先方に向かって延びた後、ジンバル部14よりも幅方向外側において、先側に屈曲して延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0056】
ジンバル先端絶縁層43は、1対のジンバル外側絶縁層42の先端部間を架設するように幅方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。ジンバル先端絶縁層43は、その先端縁が、金属支持基板8の搭載部17の先端縁と一致しており、端子搭載部20を幅方向に跨ぐように配置されている。言い換えると、厚み方向に投影したときに、搭載部17において、ジンバル先端絶縁層43と重なる部分が端子搭載部20であり、ジンバル先端絶縁層43と重ならない部分がスライダ搭載部19である。
【0057】
また、ジンバル先端絶縁層43には、図4に示すように、複数(2つ)の連通穴44が形成されている。
【0058】
連通穴44は、厚み方向に投影したときに、金属側接続端子27と重なる部分において、ジンバル先端絶縁層43を厚み方向に貫通するように、平面視略円形状に形成されている。
【0059】
また、ジンバル部絶縁層41において、図2に示すように、1対のジンバル外側絶縁層42、および、ジンバル先端絶縁層43によって、ジンバル開口部46が区画されている。つまり、ジンバル開口部46は、平面視略矩形状の開口であり、ジンバル開口部46からは、後側開口部15、搭載部17のスライダ搭載部19、アウトリガー部16、および、連結部18が露出されている。
【0060】
そして、ジンバル部絶縁層41は、ジンバル開口部46内において、複数(4つ)の台座47を備えている。
【0061】
複数(4つ)の台座47のそれぞれは、平面視において、スライダ搭載部19における先側開口部21よりも後側であって、接着領域24よりも外側の四角、具体的には、左側の受入穴25よりも先側と、左側の受入穴25よりも後側と、右側の受入穴25よりも先側と、右側の受入穴25よりも後側とに配置されている。つまり、複数の台座47の内、左側の2つは、左側の受入穴25を先後方向から挟むように配置され、右側の2つは、右側の受入穴25を先後方向から挟むように配置されている。台座47は、平面視略矩形状に形成されている。
【0062】
ジンバル部絶縁層41のジンバル先端絶縁層43における連通穴44の幅および長さ(先後方向長さ)は、図4に示すように、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、100μm以下、好ましくは、90μm以下である。
【0063】
台座47の幅および長さ(先後方向長さ)は、図2に示すように、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、1000μm以下、好ましくは、900μm以下である。
【0064】
ベース絶縁層9は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などの絶縁材料から形成されている。好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0065】
ベース絶縁層9の厚み(最大厚み)は、図4に示すように、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、35μm以下、好ましくは、33μm以下である。
【0066】
導体層10は、図1および図2が参照されるように、ベース絶縁層9の上面に形成されている。具体的には、導体層10は、外部側端子31と、ヘッド側端子32と、導体側接続端子33と、配線35とを備えている。
【0067】
外部側端子31は、本体部絶縁層40の後端部に設けられ、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(8つ)配置されている。外部側端子31は、信号端子31Aと、電源端子31Bとを備えている。
【0068】
信号端子31Aは、外部側端子31の複数(8つ)の内の幅方向中央の6つであり、リード・ライト基板(図示せず)に電気的に接続される。
【0069】
電源端子31Bは、外部側端子31の複数(8つ)の内の幅方向両外側の2つであり、電源(図示せず)に電気的に接続される。
【0070】
ヘッド側端子32は、図2および図3に示すように、ジンバル先端絶縁層43の後側部分における幅方向中央であって、厚み方向に投影したときに、端子形成領域23の後端部に重なるように形成されており、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(6つ)配置されている。
【0071】
導体側接続端子33は、ジンバル先端絶縁層43の先後方向略中央における幅方向中央であって、厚み方向に投影したときに、端子形成領域23の先端部に重なるように形成されており、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)配置されている。導体側接続端子33は、図4に示すように、ベース絶縁層9の連通穴44に充填されるように形成されており、これにより、導体側接続端子33の下端部が、金属側接続端子27の上面と接触している。
【0072】
配線35は、図1に示すように、本体部絶縁層40において、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(8つ)形成されている。配線35は、信号配線35Aと、電源配線35Bとを備えている。
【0073】
信号配線35Aは、複数(8つ)の配線35の内の幅方向内側の6つであり、信号端子31Aと、ヘッド側端子32とに電気的に接続されている。信号配線35Aは、磁気ヘッド3(図4仮想線参照)、および、リード・ライト基板(図示せず)間に電気信号を伝達する。
【0074】
具体的には、信号配線35Aは、本体部絶縁層40において、信号端子31Aから先側に向かって延び、本体部絶縁層40の先端部において、本体部絶縁層40に沿って幅方向両側に向かって2束に分岐状に屈曲した後、幅方向両端部において先側に屈曲し、ジンバル部絶縁層41の先端部に向けて、ジンバル外側絶縁層42に沿って先側に向かって延び、図2および図3に示すように、先後方向において、先側開口部21の端子形成領域23と同一位置において、図2に示すように、幅方向内側に屈曲して集束状に至り、折り返されて、ヘッド側端子32に至るように形成されている。
【0075】
電源配線35Bは、図1に示すように、複数(8つ)の配線35の内、信号配線35Aよりも幅方向両外側の2つであり、電源端子31Bと、導体側接続端子33とに電気的に接続されている。電源配線35Bは、発光素子5(図4仮想線参照)、および、電源(図示せず)間に電気信号を伝達する。
【0076】
具体的には、電源配線35Bは、電源端子31Bから先側に向かって、信号配線35Aに沿って延び、図2および図3に示すように、先後方向において、先側開口部21の端子形成領域23と同一位置において、図2に示すように、幅方向内側に屈曲して、導体側接続端子33に至るように形成されている。
【0077】
導体層10は、例えば、銅、ニッケル、金、はんだ、または、これらの合金などの導体材料から形成されている。好ましくは、銅から形成されている。
【0078】
導体層10の厚みは、例えば、3μm以上、好ましくは、5μm以上であり、例えば、50μm以下、好ましくは、20μm以下である。
【0079】
配線35の幅は、例えば、5μm以上、好ましくは、8μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0080】
また、複数の配線35間の間隔は、例えば、5μm以上、好ましくは、8μm以上であり、例えば、1000μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0081】
また、外部側端子31、ヘッド側端子32、および、導体側接続端子33の幅および長さ(先後方向長さ)は、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、例えば、1000μm以下、好ましくは、800μm以下である。
【0082】
また、複数の外部側端子31間の間隔、および、複数のヘッド側端子32間の間隔は、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、例えば、1000μm以下、好ましくは、800μm以下である。
【0083】
また、図示しないが、外部側端子31、ヘッド側端子32の表面には、例えば、無電解めっき、電解めっきなどのめっき、好ましくは、電解めっきによって、めっき層が形成されている。めっき層は、例えば、ニッケル、金などの金属材料から形成されている。好ましくは、金から形成されている。このめっき層の厚みは、例えば、0.01μm以上、好ましくは、0.05μm以上であり、例えば、8μm以下、好ましくは、4μm以下である。
【0084】
カバー絶縁層11は、図1が参照されるように、本体部13およびジンバル部14にわたって形成され、図4に示すように、ベース絶縁層9の上面に、導体層10を被覆するパターンに形成されている。
【0085】
具体的には、カバー絶縁層11は、図4に示すように、配線35、導体側接続端子33の上面を被覆し、外部側端子31(図1参照)、ヘッド側端子32の上面を露出するパターンに形成されている。
【0086】
カバー絶縁層11は、ベース絶縁層9を形成する絶縁材料と同一の絶縁材料から形成されている。カバー絶縁層11の厚みは、図4に示すように、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、40μm以下、好ましくは、10μm以下である。
【0087】
この回路付サスペンション基板1には、図2図4に仮想線で示すように、スライダユニット6が搭載される。
【0088】
スライダユニット6は、図4に示すように、スライダ4と、発光素子5とを一体的に備えている。
【0089】
スライダ4は、平面視略矩形箱形状に形成されている。スライダ4は、磁気ヘッド3を搭載している。
【0090】
磁気ヘッド3は、スライダ4の先端部の上側部分に形成されており、図示しない磁気ディスクに対して、読み取りおよび書き込みできるように設けられている。
【0091】
発光素子5は、スライダ4よりも外形の小さい平面視略矩形状に形成されている。発光素子5は、例えば、レーザダイオードを備えた熱アシスト装置であり、レーザービームによって、図示しない磁気ディスクの記録面を加熱することができるように設けられている。発光素子5は、スライダ4の先端部における下面に設けられている。
【0092】
そして、図4および図5に示すように、接着領域24に対して、公知の接着剤50を、その上端部が台座47の上面よりも高くなるように、例えば、2g/cm以上、好ましくは、3g/cm以上であり、例えば、20g/cm以下、好ましくは、15g/cm以下となるように塗布する。このとき、接着剤50の塗布される範囲は、接着領域24の面積に対して、例えば、10%以上、好ましくは、20%以上であり、例えば、100%以下、好ましくは、90%以下である。また、接着剤50の最大厚みは、台座47の厚みに対して、例えば、100%以上、好ましくは、150%以上であり、例えば、400%以下、好ましくは、300%以下である。具体的には、台座47の上面から接着剤50の上端部までの厚み方向高さは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、例えば、15μm以下、好ましくは、10μm以下である。
【0093】
次いで、スライダユニット6を、発光素子5が発光素子挿通領域22に挿通されるように、回路付サスペンション基板1に対して上側から実装する。
【0094】
そうすると、スライダ4は、その下面の四角が台座47の上面に当接するとともに、接着剤50を上側から押し付けることにより、接着領域24から幅方向および先後方向にはみ出させるようにして、接着剤50と接着される。これにより、スライダ4が接着された後の接着領域24からの接着剤50のはみ出し量の割合は、接着領域24の面積に対して、例えば、0%超過、好ましくは、10%以上であり、例えば、50%以下、好ましくは、30%以下である。つまり、接着剤50が、接着領域24の面積よりも外側まではみ出ることにより、接着剤50によって、スライダ4がスライダ搭載部19に対して確実に接着される。
【0095】
これにより、スライダ4は、ジンバル部14のスライダ搭載部19に載置される。
【0096】
そして、スライダユニット6では、回路付サスペンション基板1に対して、スライダ4の端子48がはんだボール51によりヘッド側端子32と電気的に接続され、発光素子5の端子49がはんだボール51により金属支持端子26と電気的に接続される。
【0097】
そして、この回路付サスペンション基板1によれば、図2および図5に示すように、スライダ搭載部19は、接着領域24外にはみ出す接着剤50を受け入れるための受入穴25を備えている。
【0098】
そのため、スライダ搭載部19の接着領域24に対して接着剤50を過剰に塗布しても、余剰の接着剤50は、受入穴25に受け入れられる。
【0099】
その結果、スライダ搭載部19の接着領域24に対して過剰に塗布された接着剤50が、受入穴25よりも外側にはみ出すことを抑制することができる。
【0100】
また、この回路付サスペンション基板1によれば、図2および図5に示すように、接着領域24の幅方向両外側に1対の受入穴25が形成されている。
【0101】
そのため、スライダ搭載部19の直交方向の両側に配置される1対のアウトリガー部16まで接着剤50がはみ出すことを確実に抑制することができる。
【0102】
その結果、スライダ搭載部19とアウトリガー部16との間に接着剤50が浸入し、スライダ搭載部19と、アウトリガー部16とが接着されてしまうことを抑制することができる。
【0103】
なお、スライダ搭載部19の後端縁から本体部13の先端縁までの長さは、スライダ搭載部19からアウトリガー部16までの間の長さよりも大きく形成されているので、接着剤50が、接着領域24の後側にはみ出しても、スライダ搭載部19と、本体部13とが接着されてしまうことは抑制されている。また、接着剤50が、接着領域24の先側にはみ出しても、発光素子挿通領域22に挿通される発光素子5によってせき止められる。
【0104】
従って、接着領域24の幅方向両外側に1対の受入穴25を形成することで、接着剤50のはみ出しを抑制することができ、図示しない磁気ディスクに対するスライダ搭載部19の浮遊姿勢を安定させることができる。
【0105】
また、この回路付サスペンション基板1によれば、図4および図5に示すように、接着剤50を、貫通穴からなる受入穴25を介して、スライダ搭載部19の上面からスライダ搭載部19の下側に向けて通過させることができる。
【0106】
そのため、余剰の接着剤50が受入穴25よりもはみ出すことを抑制することができる。
【0107】
<第2実施形態>
図6を参照して、第2実施形態の回路付サスペンション基板1について説明する。なお、第2実施形態において、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0108】
上記した第1実施形態では、図2および図5が参照されるように、スライダ搭載部19には、接着領域24の幅方向両外側に、スライダ搭載部19を厚み方向に貫通する受入穴25が形成されているが、第2実施形態では、受入穴25を形成せず、図6に示すように、スライダ搭載部19の接着領域24の幅方向両外側に、スライダ搭載部19の上面から下側に向かって凹み、スライダ搭載部19を厚み方向に貫通せず、底壁を有する受入部の一例としての受入溝55を形成することができる。
【0109】
受入溝55は、スライダ搭載部19における接着領域24の幅方向両外側に1つずつ、すなわち、互いに間隔を隔てて複数(2つ)配置されている。受入溝55は、スライダ搭載部19の上面から下側に向かって凹む凹部として形成されており、先後方向に延びる平面視細長形状に形成されている。
【0110】
受入溝55の深さ(厚み方向高さ)の、金属支持基板8の厚みに対する割合は、例えば、5%以上、好ましくは、10%以上であり、例えば、95%以下、好ましくは、90%以下である。具体的には、受入溝55の深さ(厚み方向高さ)は、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上であり、例えば、29μm以下、好ましくは、28μm以下である。
【0111】
また、受入溝55の容積は、例えば、25μm以上、好ましくは、50μm以上であり、例えば、145000μm以下、好ましくは、140000μm以下である。
【0112】
第2実施形態の回路付サスペンション基板1によれば、図6に示すように、接着剤50を、凹部からなる受入穴25に溜めることができる。
【0113】
そのため、余剰の接着剤50が受入穴25よりもはみ出すことを抑制することができる。
【0114】
<第3実施形態>
図7を参照して、第3実施形態の回路付サスペンション基板1について説明する。なお、第3実施形態において、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0115】
上記した第1実施形態では、図2が参照されるように、スライダ搭載部19に、受入部の一例として、スライダ搭載部19における接着領域24の幅方向外側に受入穴25が1つずつ配置されているが、第3実施形態では、スライダ搭載部19における接着領域24の幅方向外側に受入穴25を備えず、スライダ搭載部19における接着領域24の先後方向外側に受入穴57を1つずつ配置することもできる。なお、先側の受入穴57は、スライダ搭載部19において、先側開口部21と、接着領域24との間に配置される。
【0116】
受入穴57は、スライダ搭載部19を厚み方向に貫通する貫通穴として形成されており、幅方向に延びる辺面視細長形状に形成されている。
【0117】
なお、スライダ搭載部19において、接着領域24の幅方向外側に形成される受入穴25、および、接着領域24の先後方向外側に形成される受入穴57の両方を配置することもできる。
【0118】
また、受入穴25、および、受入穴57は、貫通穴でなく、スライダ搭載部19の上面から下側に向かって窪み、底壁を備える凹部として形成することもできる。
【0119】
第3実施形態の回路付サスペンション基板1においても、上記した第1実施形態および第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
<変形例>
第1実施形態では、図2に示すように、受入穴25がスライダ搭載部19における接着領域24の幅方向両外側に1つずつ配置されているが、例えば、図8に示すように、受入穴25をスライダ搭載部19における接着領域24の幅方向両外側に複数(2つ)ずつ配置することもできる。
【0120】
なお、受入穴25の個数は特に限定されず、受入穴25を3つ以上ずつ配置することもできる。
【0121】
また、スライダ搭載部19における接着領域24の右側と左側とで、受入穴25の個数が異なるように配置することもできる。
【0122】
さらに、受入穴25を、受入穴25の先後方向途中で分断し、先後方向に並ぶようにして、複数配置することもできる。
【0123】
また、スライダ搭載部19を厚み方向に貫通する受入穴25に替えて、第2実施形態に記載の、スライダ搭載部19の上面から下側に向かって凹み、スライダ搭載部19を厚み方向に貫通せず、底壁を有する受入部の一例としての受入溝55を、スライダ搭載部19における接着領域24の幅方向両外側に複数(2つ)ずつ配置することもできる。
【0124】
なお、受入溝55の個数は特に限定されず、受入溝55を3つ以上ずつ配置することもできる。
【0125】
また、スライダ搭載部19における接着領域24の右側と左側とで、受入溝55の個数が異なるように配置することもできる。
【0126】
さらに、受入溝55を、受入溝55の先後方向途中で分断し、先後方向に並ぶようにして、複数配置することもできる。
【0127】
また、スライダ搭載部19における接着領域24の幅方向外側に配置される受入穴25、または、受入溝55に替えて、第3実施形態に記載の、スライダ搭載部19における接着領域24の先後方向外側に配置される受入穴57を、スライダ搭載部19における接着領域24の先後方向両外側に複数(2つ)ずつ配置することもできる。
【0128】
なお、受入穴57の個数は特に限定されず、受入穴57を3つ以上ずつ配置することもできる。
【0129】
また、スライダ搭載部19における接着領域24の先側と後側とで、受入穴57の個数が異なるように配置することもできる。
【0130】
さらに、受入穴57を、受入穴57の幅方向途中で分断し、幅方向に並ぶようにして、複数配置することもできる。
【符号の説明】
【0131】
1 回路付サスペンション基板
4 スライダ
8 金属支持基板
9 ベース絶縁層
10 導体層
16 アウトリガー部
19 スライダ搭載部
24 接着領域
25 受入穴
50 接着剤
55 受入溝
57 受入穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8