(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造する場合、被実装部材としてのリードフレームに半導体チップ(ダイ)を実装するダイボンディングが行なわれる。このダイボンディングには、チップを吸着するコレットを備えたダイボンダが使用される。
【0003】
このようなダイボンダは、
図11に示すように、供給部2の半導体チップ1を吸着するコレット3を有するボンディングアーム(図示省略)と、供給部2の半導体チップ1を観察する確認用カメラ(図示省略)と、ボンディング位置でリードフレーム4のアイランド部5を観察する確認用カメラ(図示省略)とを備える。
【0004】
供給部2は半導体ウエハを備え、半導体ウエハが多数の半導体チップ1に分割されている。また、コレット3を保持しているボンディングアームは搬送手段を介して、ピックアップ位置とボンディング位置との間の移動が可能となっている。
【0005】
また、このコレット3は、その下端面に開口した吸着孔を介してチップ1が真空吸引され、このコレット3の下端面にチップ1が吸着する。なお、この真空吸引(真空引き)が解除されれば、コレット3からチップ1が外れる。
【0006】
次にこのダイボンダを使用したダイボンディング方法を説明する。まず、供給部2の上方に配置される確認用カメラにてピックアップすべきチップ1を観察して、コレット3をこのピックアップすべきチップ1の上方に位置させた後、矢印Aのようにコレット3を下降させてこのチップ1をピックアップする。その後、矢印Bのようにコレット3を上昇させる。
【0007】
次に、ボンディング位置の上方に配置された確認用カメラにて、ボンディングすべきリードフレーム4のアイランド部5を観察して、コレット3を矢印C方向へ移動させて、このアイランド部5の上方に位置させた後、コレット3を矢印Dのように下降移動させて、このアイランド部5にチップ1を供給する。また、アイランド部5にチップを供給した後は、コレット3を矢印Eのように上昇させた後、矢印Fのように、ピップアップ位置の上方の待機位置に戻す。
【0008】
すなわち、コレット3を、順次、矢印A、B、C、D、E、Fのように移動させることによって、ピックアップ確認用カメラの観察に基づいて位置決めされたチップ1をコレット3でピックアップし、このチップ1をアイランド部5に実装することになる。
【0009】
このようなダイボンダにおいては、画像認識のために照明システムが用いられる(特許文献1)。また、照明システムには、近年では、通常の電球や蛍光灯に比べて、低消費電力、長寿命、発熱が少ないと優れた特性をもったLED照明が用いられる。LED照明とは発光ダイオード(LED)を使用した照明器具である。
【0010】
LED照明を点灯する場合、従来では電源として、
図12に示すように、ストロボ電源10を使用することがあった。LED照明(図例では、第1LED照明11及び第2LED照明11)をストロボ点灯する場合、制約時間内(以下tmax)であれば定格以上の電圧(オーバードライブ電圧:以下Vover)を印加することで、定格電圧(以下Vnomal)を印加するよりも明るくすることができる。
【0011】
一般的なストロボ電源は
図12のように定電圧電源であり、あるVover値を1つ決めてストロボ点灯を行っている。同じ動作を定電流電源にて行う場合、Voverが印加されるときに流れるオーバードライブ電流(以下、Iover)にて、LED照明11,12を駆動する必要がある。
【0012】
ところで、照明を変更する場合、定電圧電源であれば同じVover値を印加すればよいが、
図13のように、定電流電源13の場合は、LED照明(第1LED照明及び第2LED照明)によってIoverが異なる。このため、
図14のようにLED照明(第1LED照明14及び第2LED照明15)個別にIoverを設定してストロボ点灯を行う必要がある。
【0013】
ストロボ点灯を行う方法として、Ioverを固定する方法(使用するLED照明が個別の場合)、スイッチによる手動設定や通信の設定などの外部から設定する方法、LED照明を識別して自動設定する方法(例えば、特許文献2に示されるような方法)等がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
Ioverを固定する方法では、LED照明を変更できず、装置設計性に劣ることになる。また、Ioverを固定する方法及び外部から設定する方法では、予めIoverの値を調べる必要がある。さらには外部から設定する方法では、Ioverの値の設定を間違えると、LED照明が損傷するおそれがある。LED照明を識別して自動設定する方法では、LED照明側に識別用の回路を必要とするため、使用できるLED照明が限定される。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みて、オーバードライブ電圧となるときのオーバードライブ電流を自動で算出することができるオーバードライブ電流算出方法、及び照明用電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明
の照明用電源装置は、ストロボ点灯によって定格電圧以上のオーバードライブ電圧の印加が可能でかつ制限抵抗を有するLED照明と、駆動源となるコントローラとに接続される照明用電源装置であって、前記LED照明に、点灯用電流の印加が可能な定電流供給手段と、
前記LED照明を前記定格電圧で点灯する前に、定電流供給手段から前記LED照明に探査電流を印加させて前記定格電圧を印加するのに必要な電流値である定格電流を探査する探査手段と、LED照明の制限抵抗の抵抗値を算出する抵抗算出手段と、
予め設定された定格電圧と、予め設定されたオーバードライブ電圧と、探査手段にて探査された定格電流と、抵抗算出手段にて算出されたLED照明の制限抵抗の抵抗値とからオーバードライブ電圧となるときのオーバードライブ電流を算出する電流値算出手段とを備え
、前記電流値算出手段は、設定される定格電圧をVnomalとし、設定されるオーバードライブ電圧をVoverとし、抵抗算出手段にて算出される制限抵抗の抵抗値をrとし、探査手段にて探査された定格電流をInomalとしたときに、オーバードライブ電流であるIoverを、以下の数1にて求めるものである。
【数1】
【0019】
一般的なLED照明は、LEDと、これに直列に接続される制限抵抗とからなる。この場合、このLED照明の流す電流を変化させてもLEDの順方向電圧の変化は無視可能程小さい。このため、LED照明の抵抗値は制限抵抗の抵抗値にほぼ等しくなる。そこで、本発明の照明用電源装置では、この制限抵抗を用いてオーバードライブ電流を算出するものとした。
【0020】
すなわち、本発明の第1の照明用電源装置によれば、抵抗算出手段を介して、LED照明の制限抵抗の抵抗値を算出することができる。そこで、電流値算出手段にて、予め設定されているオーバードライブ電圧と、抵抗算出手段にて算出されたLED照明の制限抵抗の抵抗値とから、オーバードライブ電圧となるときのオーバードライブ電流を算出することができる。
【0021】
また、本発明の第2の照明用電源装置によれば、探査手段を介して、定格電圧の定格電流を探査することができる。また、抵抗算出手段を介して、LED照明の制限抵抗の抵抗値を算出することができる。そこで、電流値算出手段にて、予め設定された定格電圧と、予め設定されたオーバードライブ電圧と、探査手段にて探査された定格電流と、抵抗算出手段にて算出されたLED照明の制限抵抗の抵抗値とからオーバードライブ電圧となるときのオーバードライブ電流を算出することができる。
【0022】
このように、オーバードライブ電流を算出することができれば、LED照明のストロボ点灯を行うことができる。
【0024】
照明用電源装置を画像認識用照明に用いることができる。
【0025】
本発明のオーバードライブ電流算出方法は、ストロボ点灯によって定格電圧以上のオーバードライブ電圧の印加が可能でかつ制限抵抗を有するLED照明におけるオーバードライブ電圧となるオーバードライブ電流を算出するオーバードライブ電流算出方法であって、LED照明の制限抵抗の抵抗値を算出する抵抗算出工程と、前記LED照明を前記定格電圧で点灯する前に、前記LED照明に探査電流を印加させて前記定格電圧を印加するのに必要な定格電流値を探査する定格電流探査工程と、予め設定される定格電圧
Vnomalと、予め設定されるオーバードライブ電圧
Voverと、算出される制限抵抗の抵抗値
rと、探査された定格電流
Inomalとから、オーバードライブ電流
Ioverを以下の数2にて算出するオーバードライブ電流算出工程とを備えたものである。
【数2】
【0026】
本発明のオーバードライブ電流算出方法によれば、探査手段工程で、定格電圧の定格電流を探査することができる。また、抵抗算出手段工程で、LED照明の制限抵抗の抵抗値を算出することができる。そして、電流値算出手段工程で、予め設定される定格電圧と、予め設定されるオーバードライブ電圧と、算出される制限抵抗の抵抗値と、探査された定格電流とから、オーバードライブ電流を算出することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、自動で、オーバードライブ電流を算出することができ、予めオーバードライブ電流を調べる必要がない。また、調べた電流をオーバードライブ電流として設定する必要がないので、この照明用電源装置に対する設定作業性に優れる。しかも、オーバードライブ電流の設定誤りによる照明故障を生じさせない。定格電圧が同じLED照明であれば、種々の照明装置に用いることができる。さらには、実際にオーバードライブ電流を流すことなく、オーバードライブ電流の電流値を算出することができ、算出時間の短縮化を図ることができる。
【0028】
オーバードライブ電流を算出したことによって、このオーバードライブ電流を用いたストロボ点灯が可能となる。
【0029】
本発明の照明用電源装置を画像認識用照明に用いれば、画像認識のための最適な照度でもって被画像認識物に対して照明することができ、高精度の画像認識が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下本発明の実施の形態を
図1〜
図10に基づいて説明する。
【0032】
図1に本発明の第1実施形態にかかる照明用電源装置を使用した照明システムの簡略全体ブロック図を示し、この照明システムは、例えば、
図2等に示す被照明装置であるダイボンダの画像確認用に用いられる。ダイボンダは、リードフレーム24に半導体チップ(ダイ)21を実装するダイボンディングを行うものである。
【0033】
このようなダイボンダは、供給部22の半導体チップ(ダイ)21を吸着するコレット23を有するボンディングアーム30と、供給部22の半導体チップ21を観察する確認用カメラ26と、ボンディング位置でリードフレーム24のアイランド部25を観察する確認用カメラ32とを備える。
【0034】
供給部22は、ウエハ支持装置27に載置支持された半導体ウエハ28を備えるものである。半導体ウエハ28は多数の半導体チップ21に分割されている。また、コレット23はコレットホルダ29に連結され、このコレット23とコレットホルダ29等でボンディングアーム30が構成される。そして、このボンディングアーム30は搬送手段31を介して、ピックアップ位置とボンディング位置との間の移動が可能となっている。搬送手段31は、ボンディングアーム30をX、Y、θ及びZ方向に駆動させることができる。
【0035】
また、このコレット23は、その下端面に開口した吸着孔を介してチップ21が真空吸引され、このコレット23の下端面にチップ21が吸着する。なお、この真空吸引(真空引き)が解除されれば、コレット23からチップ21が外れる。
【0036】
次に、このダイボンダを使用したダイボンディング方法を説明する。まず、供給部22の上方に配置される確認用カメラ26にてピックアップすべきチップ21を観察して、コレット23をこのピックアップすべきチップ21の上方に位置させた後、このコレット23を下降させてこのチップ21をピックアップする。
【0037】
また、ボンディング位置の上方に配置された確認用カメラ32にて、ボンディングすべきリードフレーム24のアイランド部25を観察して、矢印A1に示すように、このアイランド部25上にコレット23を移動させ、その後コレット23を下降させてアイランド部25にチップ21を供給する。
【0038】
ピックアップ位置での確認用カメラ26での観察の際、及びボンディング位置での確認用カメラ32での観察の際において、観察部位を照明する照明システムが必要となる。このために、
図1に示すようなコントローラ41(以下、上位コントローラ41という)と、本発明の照明用電源装置42(以下、電源装置という)と、LED照明43から構成される照明システムを用いる。
【0039】
電源装置42は、
図1に示すように、上位コントローラ41と、複数個の照明43とに接続される。本実施形態では、照明43を夫々所定電圧(例えば12V)にて駆動されるLED照明としており、以下、照明43をLED照明43という。上位コントローラ41は、例えばパーソナルコンピュータにて構成されている。
【0040】
電源装置42は、CPU(中央処理装置)45と、複数の定電流駆動回路46と、複数の電圧測定回路47と、複数のADC(アナログ-デジタル変換回路)48とを備える。この場合、一つのLED照明43に対して、電流を印加するために定電流供給回路(定電流供給手段)50が形成される。すなわち、各定電流供給回路50は、CPU45と、定電流駆動回路46と、電圧測定回路47と、ADC48等で構成される。定電流供給回路50は、CPU45からの指示で定電流駆動回路46にて所定の電流値をLED照明43に印加する。なお、上位コントローラ41とCPU45とは通信ポート51を介して接続されている。
【0041】
ところで、CPU45には、LED照明43を所定電圧(12V)で点灯する前に、LED照明43に探査電流を印加して12Vを印加するのに必要な電流値を探査する探査手段52が設けられている。すなわち、探査手段52は、微小電流値(例えば10mA)の探査電流を印加するように指示すると、定電流供給回路50の定電流駆動回路46が10mAの電流値をLED照明43に印加する。電圧測定手段47がこのときの出力電圧を測定し、探査手段52に送信する。探査手段52は、LED照明43に12V印加されるまで(つまり、電圧測定手段47による電圧測定値が12Vとなるまで)、電流値を順次増加しつつ、LED照明43に12Vが印加されるまで探査電流を印加する。そして、LED照明43に12V印加されると、探査手段52は、そのときの電流値をLED照明43の点灯に必要な点灯電流として、その点灯電流を印加してLED照明43を点灯させる。
これにより、LED43照明は12Vで点灯し続ける。
【0042】
ところで、LED照明43は、一般には
図3に示すように、LED60とこれに直列に接続される制限抵抗61とからなる。この場合、このLED照明43の流す電流を変化させてもLEDの順方向電圧の変化は無視可能程小さい。このため、LED照明43の抵抗値は制限抵抗61の抵抗値にほぼ等しくなる。そこで、本発明の照明用電源装置では、この制限抵抗を用いてオーバードライブ電流を算出するものとした。この
図3の回路に流れる電流IをΔIだけ増加させて、電圧VがΔVだけ増加したとした場合、制限抵抗61の抵抗値rは、r≒ΔV/ΔIで求めることができる。
【0043】
図8はLED照明43のLED60の電流・電圧特性の一例を示している。この場合の電流I(mA)と電圧Vf(V)は次の表1の値である。また、
図9はLED照明43の制限抵抗61の電流・電圧特性の一例を示している。この場合の電流I(mA)と電圧Vr(V)は次の表2の値であり、抵抗を0.1と小さくしている。これは制限抵抗61がない場合に相当する。
【0044】
【表1】
このため、
図8に示す電流・電圧特性を有すると、
図9に示す電流・電圧特性とを合成電圧は
図10に示す特性となる。すなわち、次の表3に示すように、電流I(mA)と電圧V(V)は、表1の値と表2の値との合成値となる。
【0047】
このように、前記CPU45には、LED照明43の制限抵抗61の抵抗値を算出する抵抗算出手段63を有する。すなわち、このCPU45は演算手段62を備え、この演算手段62が抵抗算出手段63と電流値算出手段64を有する。電流値算出手段64は、予め設定された定格電圧と、予め設定されたオーバードライブ電圧と、探査手段52にて探査された定格電流と、抵抗算出手段63にて算出されたLED照明の制限抵抗61の抵抗値とからオーバードライブ電圧となるときのオーバードライブ電流を算出する。
【0048】
次に、
図1に示す電源装置の使用方法を
図4に示すフローチャート図に基づいて説明する。この場合、LED照明43の定格電圧を12Vとし、オーバードライブ電圧を18Vとする。
【0049】
まず、定電圧電源と、LED照明43及び上位コントローラ41との接続を解除した後(ステップS1)、本発明の電源装置42と、LED照明43及び上位コントローラ41とを接続し(ステップS2)、照明システムを構成する。このとき、上位コントローラ41は、所定電圧(12V)が得られる電流値を探査する必要はない。
【0050】
本照明システムの主電源を投入し、探査手段52は、微小電流値(例えば10mA)の探査電流をLED照明43に印加するように指示する(ステップS3)と、定電流供給回路50の定電流駆動回路46が10mAの電流値の探査電流をLED照明43に印加して、LED照明43を点灯させる。電圧測定手段47がこのときの出力電圧を測定し(ステップS4)、探査手段52に送信する。
【0051】
このとき、探査手段52は、出力電圧が12Vよりも小さいか否かを判断する(ステップS5)。12Vよりも小さければ、探査手段52は、LED照明43に12Vが印加されるまで(つまり、電圧測定手段47による電圧測定値が12Vとなるまで)、電流値を増加し(ステップS6)、LED照明43に12V印加されるまでステップS4からステップS6を繰り返して探査電流を印加する。
【0052】
LED照明43の印加電圧が12V(定格電圧)になると(ステップS5)、探査手段52は、そのときの電流値をLED照明43の点灯に必要な点灯電流として(ステップS7)、その後は、その点灯電流を印加してLED照明を12Vで点灯させる。このとき、点灯電流である探査電流は、定格電流であって、定電流供給手段50にて印加される。
【0053】
このように、定格電流(Inomal)を算出後は、ステップS8へ移行したオーバードライブ電流を算出する。オーバードライブ電流の算出工程としては、
図6に示すように、LED照明の制限抵抗の抵抗値を算出する抵抗算出工程70と、定格電圧を印加するのに必要な定格電流値を探査する定格電流探査工程71と、制限抵抗の抵抗値等に基づいてオーバードライブ電流を算出するオーバードライブ電流算出工程72とを備えるものである。
【0054】
抵抗算出工程70は、前記したように、
図3の回路に流れる電流IをΔIだけ増加させて、電圧VがΔVだけ増加したとした場合、制限抵抗61の抵抗値rは、r≒ΔV/ΔIで求める工程である。定格電流探査工程71は、前記
図4のステップS7までの工程であって、LED照明を前記定格電圧で点灯する前に、前記LED照明に探査電流を印加させて前記定格電圧を印加するのに必要な定格電流値を探査する工程である。このため、前記抵抗算出工程70として、予め設定されている定格電圧(Vnomal)と、算出した算出した定格電流(Inomal)とから、オームの法則にて制限抵抗61の抵抗値rを求めるものであってもよい。オーバードライブ電流算出工程72は、予め設定される定格電圧と、予め設定されるオーバードライブ電圧と、算出される制限抵抗の抵抗値と、探査された定格電流とから、オーバードライブ電流を算出する工程である。
【0055】
すなわち、定格電流と定格電圧とオーバードライブ電流とオーバードライブ電圧とは、
図7に示すグラフに示す関係になる。このため、予め設定される定格電圧をVnomal
とし、予め設定されるオーバードライブ電圧をVoverとし、抵抗算出手段にて算出さ
れる制限抵抗をrとし、探査手段にて探査された定格電流をInomalとしたときに、
オーバードライブ電流Ioverを、以下の数
3にて求めることができる。
【数3】
【0056】
オーバードライブ電流を推定できれば、ステップS9へ移行して、ストロボ点灯を開始するか判断する。開始しなければ、このオーバードライブ電流算出方法の工程を終了する。また、ステップS9でストロボ点灯を開始する場合、ステップS10へ移行して、ストロボ点灯を開始することになる。すなわち、ダイボンダの画像認識等に用いることになる。また、ダイボンダのボンディング作業が終了すれば、ステップS11に示すように、終了か否かが判断され、作業終了ならば終了する。
【0057】
前記照明用電源装置によれば、探査手段52を介して、定格電圧の定格電流を探査することができる。また、抵抗算出手段63を介して、LED照明の制限抵抗の抵抗値を算出することができる。そこで、電流値算出手段64にて、探査手段52にて探査された定格電流と、抵抗算出手段63にて算出されたLED照明の制限抵抗の抵抗値と、定格電圧とオーバードライブ電圧とから、オーバードライブ電圧となるときのオーバードライブ電流を算出することができる。
【0058】
本発明では、自動で、オーバードライブ電流を算出することができ、予めオーバードライブ電流を調べる必要がない。また、調べた電流をオーバードライブ電流として設定する必要がないので、この照明用電源装置に対する設定作業性に優れる。しかも、オーバードライブ電流の設定誤りによる照明故障を生じさせない。定格電圧が同じLED照明43であれば、種々の照明装置に用いることができる。さらには、実際にオーバードライブ電流を流すことなく、オーバードライブ電流の電流値を算出することができ、算出時間の短縮化を図ることができる。
【0059】
ところで、制限抵抗61の抵抗値rが低い場合、前記所定電圧(12V)を掛けると、このLED照明43に大電流が流れ、LED60が故障するおそれがある。このため、この装置では、電圧がある値(所定電圧の12V)に達するまで、電流を上昇させた場合、制限抵抗61が入っていない場合、電圧の上昇が頭打ちとなって、電流を流し過ぎとなる。なお、小型の照明装置では、
図10の範囲Hでも故障するおそれがある。
【0060】
そこで、接続したLED照明43が制限抵抗61が入っているもの入っていないものかを判断するのが好ましい。次に、制限抵抗61の抵抗値を判断要素に加えた判断方法を
図5を用いて説明する。この場合、
図3のステップS3からスタートすることになる。ステップS21で、制限抵抗61の抵抗値を求める。すなわち、電流IをΔIだけ増加させて、電圧VがΔVだけ増加したとした場合において、制限抵抗61の抵抗値rは、r≒ΔV/ΔIで求めることができる。
【0061】
次に、ステップS22でこの抵抗値rが、r≒0であるか判断される。r≒0でなければ、制限抵抗61が入っていることになって、
図3のステップS3に戻ることになる。また、ステップS22でr≒0であれば、制限抵抗61が入っていないことになって、ステップS23へ移行して点灯を中止して、終了する。
【0062】
このように、制限抵抗61の抵抗値をrとしたときに、r≒0であれるか否かを判断するものでは、制限抵抗61を有さないものに対する電流の流し過ぎを防止でき、接続間違いしたLED照明43に対する損傷を有効に回避することができる。
【0063】
このため、市場に流通している市販のLED照明に対して、改造等を付加することなく、制限抵抗61の抵抗値rを測ることができ、接続間違いによるLED照明43の損傷を防止できる。しかも、装置として複雑化やコスト高を招くことがない。
【0064】
ところで、前記実施形態では、予め設定された定格電圧での定格電流を算出して、この定格電圧と、算出した制限抵抗の抵抗値と、予め設定されているオーバードライブ電圧とで、オーバードライブ電流を推定していたが、定格電流と定格電圧とを使用することなくオーバードライブ電流を推定することができる。
【0065】
すなわち、予めオーバードライブ電圧がわかっているので、算出した制限抵抗61の抵抗値と、このオーバードライブ電圧とで、オームの法則によりオーバードライブ電流を推定することができる。
【0066】
この場合も、オーバードライブ電流を推定することができるので、前記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。しかも、前記実施形態に比べて、推定したオーバードライブ電流の値の精度が多少低くなるかもしれないが、推定に要する時間を大幅に短縮できる利点がある。
【0067】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、LED照明43の数としては、少なくとも1個あればよい。この電源装置を使用する照明システムとしては、ダイボンダに限るものではなく、照明を必要とする各種の装置に使用でき、予め設定された電圧で点灯する照明を必要とする装置に最適となる。
【0068】
また、
図8に示すLED照明43のLED60の電流・電圧特性や
図9に示すLED照明43の制限抵抗61の電流・電圧特性等は、図例のものに限るものではない。このため、
図10に示すLED60と制限抵抗61の合成電圧も図例のものに限らない。
【0069】
ところで、本発明に係る照明用電源装置にてオーバードライブ電流の算出は、実際にオーバードライブ電流を流すものではないので、算出(推定)した電流値が実際のオーバードライブ電流の電流値を異なる可能性がある。この算出(推定)した電流値が実際のオーバードライブ電流よりも大きい場合、使用するLED照明43を傷めるおそれがある。そこで、LED照明43保護の観点から、算出(推定)した電流値に、例えば、0.8程度をかけたものをオーバードライブ電流とするようにしてもよい。
【0070】
また、前記実施形態では、抵抗算出手段63と電流値算出手段64とを有する演算手段62をCPU45に設けたが、この演算手段62を、CPU45の外部、さらには、CPU45が収納されているケーシングの外部に設けてもよい。なお、図例では、抵抗算出手段63と電流値算出手段64とが一体的に設けられているが、抵抗算出手段63と電流値算出手段64が分離されて配置されてもよい。このため、抵抗算出手段63と電流値算出手段64とのいずれか一方のみをCPU45の外、さらには、CPU45が収納されているケーシング外に設けてもよい。なお、外部に抵抗算出手段63と電流値算出手段64を設ける場合、パーソナルコンピュータ(パソコン)等にて構成することができる。