(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
作業装置が設けられた自走可能な車体と、該車体に設けられ油圧ポンプを駆動するエンジンと、該エンジンによって駆動されることにより電力を発電しまたは電力が供給されることにより前記エンジンの駆動を補助する第1の電動機と、該第1の電動機による発電電力を充電しまたは電力を放電する蓄電装置と、該蓄電装置から供給される電力により駆動されまたは回生動作によって発電した回生電力を前記蓄電装置に供給する第2の電動機と、前記第1の電動機の動作を制御する第1のインバータと、前記第2の電動機の動作を制御する第2のインバータとを備えてなるハイブリッド式作業機において、
前記第1のインバータと前記第2のインバータとは、前記蓄電装置が取付けられる位置とは異なる位置で前記車体に弾性支持された支持ブラケットに取付けられる構成とされ、
前記第1のインバータと前記第2のインバータとは、該第1のインバータと該第2のインバータとを冷却する冷却媒体が流通する接続管路により接続され、
前記支持ブラケット、前記第1のインバータ、前記第2のインバータ、および前記接続管路は、組立体として構成され、
前記第1のインバータと前記第2のインバータのうちいずれか一方のインバータには、該第1のインバータと該第2のインバータとを冷却するための冷却媒体を前記一方のインバータ内に流入させる流入管路が接続され、他方のインバータには、該第1のインバータと該第2のインバータとを冷却した前記冷却媒体を流出する流出管路が接続され、
前記第1のインバータと前記第2のインバータとには、それぞれ複数本のケーブルが接続され、
前記支持ブラケットには、前記複数本のケーブルをそれぞれ固定するケーブル固定具を設けると共に、前記流入管路と前記流出管路とをそれぞれ固定する管路固定具が設けられていることを特徴とするハイブリッド式作業機。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るハイブリッド式作業機の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
図1ないし
図10は、本発明の第1の実施の形態を示している。
図1において、1はハイブリッド式作業機の代表例としてのハイブリッド式の油圧ショベルを示している。油圧ショベル1の車体は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成されている。上部旋回体3の前側には作業装置4が俯仰動可能に設けられ、この作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0021】
下部走行体2は、左,右のサイドフレーム2A(左側のみ図示)を有するトラックフレームと、各サイドフレーム2Aの前,後方向(長さ方向)の一側に設けられた駆動輪2Bと、前,後方向の他側に設けられた遊動輪2Cと、駆動輪2Bと遊動輪2Cとに巻回された履帯2Dとにより構成されている。左,右の駆動輪2Bは、左,右の走行油圧モータ2E,2F(
図10参照)によって駆動され、履帯2Dを周回駆動させることにより油圧ショベル1を走行させるものである。
【0022】
作業装置4は、後述する旋回フレーム5の前部側に俯仰動可能に取付けられたブーム4Aと、該ブーム4Aの先端側に回動可能に取付けられたアーム4Bと、該アーム4Bの先端側に回動可能に取付けられたバケット4Cと、これらを駆動する油圧シリンダからなるブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、バケットシリンダ4Fとにより構成されている。
【0023】
上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5と、該旋回フレーム5上に搭載された後述のキャブ6、カウンタウエイト7、エンジン8、油圧ポンプ9、アシスト発電モータ12、熱交換装置13、蓄電装置25、旋回モータ27、インバータユニット31等を含んで構成されている。
【0024】
ここで、
図5に示すように、旋回フレーム5は、厚肉な平板状に形成され前,後方向に延びた底板5Aと、該底板5A上に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左縦板5Bおよび右縦板5Cと、左縦板5Bから左側方に張出して設けられた複数の左張出しビーム5Dと、右縦板5Cから右側方に張出して設けられた複数の右張出しビーム5Eと、各左張出しビーム5Dの先端側に固着され前,後方向に延びた左サイドフレーム5Fと、各右張出しビーム5Eの先端側に固着され前,後方向に延びた右サイドフレーム5Gとにより大略構成されている。
【0025】
旋回フレーム5の前部左側には、運転室を画成するキャブ6が設けられている。キャブ6内には、オペレータが着席する運転席が設けられ、運転席の周囲には走行用の操作レバー、作業用の操作レバー(いずれも図示せず)が設けられている。一方、旋回フレーム5の後端側には、作業装置4との重量バランスをとるためのカウンタウエイト7が設けられている。
【0026】
8はカウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム5の後側に配設されたエンジンを示している。エンジン8は、クランク軸(図示せず)の軸線が左,右方向に延在する横置き状態で、旋回フレーム5上に搭載されている。エンジン8の左,右方向の一側となる右側には、後述の油圧ポンプ9とアシスト発電モータ12とが取付けられている。一方、エンジン8の左,右方向の他側となる左側(油圧ポンプ9とは反対側)には、吸込式の冷却ファン8Aが取付けられている。冷却ファン8Aは、エンジン8によって回転駆動されることにより後述の左後側ドア24に形成された吸気口24Aから外気を吸込み、この外気を冷却風Fとして後述の熱交換装置13等に供給するものである。
【0027】
9はエンジン8の右側(出力側)に取付けられた油圧ポンプを示している。この油圧ポンプ9は、エンジン8によって駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された左,右の走行油圧モータ2E,2F、各シリンダ4D,4E,4F、後述する旋回油圧モータ28等の各種の油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。油圧ポンプ9の前側には作動油タンク10が設けられ、該作動油タンク10は、油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜している。そして、複数の方向制御弁の集合体からなるコントロールバルブ11(
図10参照)は、キャブ6内に配置された操作レバーの操作に応じて、油圧ポンプ9から各種の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向を制御する。
【0028】
12は油圧ポンプ9と共にエンジン8の右側に取付けられた第1の電動機としてのアシスト発電モータ(発電電動機)を示している。このアシスト発電モータ12は、エンジン8によって駆動されることにより発電し、または後述する蓄電装置25から電力が供給されることによりエンジン8の駆動を補助(アシスト)するものである。即ち、アシスト発電モータ12は、エンジン8によって駆動されることにより発電する発電機としての機能と、後述の蓄電装置25から供給される電力によりエンジン8の駆動を補助する電動機としての機能とを有している。
【0029】
13はエンジン8の左側に位置して旋回フレーム5上に搭載された熱交換装置を示している。
図3に示すように、熱交換装置13は、旋回フレーム5上に取付けられる支持枠体14と、該支持枠体14に組付けられたインタクーラ15、エンジン用ラジエータ16、オイルクーラ17、エアコンコンデンサ18、燃料クーラ19、ハイブリッド機器用ラジエータ20等からなる1つのユニットとして構成されている。
【0030】
ここで、支持枠体14は、熱交換装置13の前側(キャブ6側)に配置され、左,右方向に延びると共に上,下方向に延びる前仕切板14Aと、カウンタウエイト7の左前面部に沿って熱交換装置13の後側に配置され、左,右方向に延びると共に上,下方向に延びる後仕切板14Bと、前,後の仕切板14A,14Bの上部を連結するように前,後方向に延び、インタクーラ15、エンジン用ラジエータ16、オイルクーラ17の上部を覆う連結部材14Cとを含んで構成されている。
【0031】
支持枠体14には、ターボ過給機によって圧縮された空気(圧縮空気)を冷却するインタクーラ15と、エンジン冷却水を冷却するエンジン用ラジエータ16と、作動油を冷却するオイルクーラ17と、空気調和装置(エアコン)用の冷媒を冷却するエアコンコンデンサ18と、燃料を冷却する燃料クーラ19とが組付けられている。
【0032】
さらに、
図2、
図3に示すように、支持枠体14には、ハイブリッド機器用の冷却媒体となるハイブリッド機器用冷却水を冷却するハイブリッド機器用ラジエータ20が組付けられている。ハイブリッド機器用冷却水は、ハイブリッド機器を構成する後述の蓄電装置25、第1,第2のインバータ46,55、旋回電動モータ29を冷却するものである。即ち、
図2に矢印を付して示すように、ハイブリッド機器用ラジエータ20で冷却されたハイブリッド機器用冷却水は、ポンプ20Aにより蓄電装置25に供給され、第1,第2のインバータ46,55、旋回電動モータ29を介してハイブリッド機器用ラジエータ20に環流する。なお、アシスト発電モータ12は、エンジン冷却水により冷却される。
【0033】
熱交換装置13は、冷却ファン8Aによって吸込まれた外気(冷却風F)が、ハイブリッド機器用ラジエータ20、エアコンコンデンサ18、燃料クーラ19、インタクーラ15、エンジン用ラジエータ16、オイルクーラ17に供給されることにより、ハイブリッド機器用冷却水、圧縮空気、エンジン冷却水、作動油、エアコン用の冷媒、燃料を冷却するものである。
【0034】
21はカウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられた建屋カバーを示し、該建屋カバー21は、エンジン8、油圧ポンプ9、アシスト発電モータ12、熱交換装置13等を覆うものである。ここで、
図1に示すように、建屋カバー21の上側は、上面板22とエンジンカバー22Aとによって構成されている。建屋カバー21の左側は、キャブ6の後側に配設された左前側ドア23と、該左前側ドア23とカウンタウエイト7との間に配設された左後側ドア24とを含んで構成されている。左後側ドア24には、外気を冷却風Fとして吸込む吸気口24Aが設けられている。
【0035】
左前側ドア23は、後述の第1,第2のインバータ46,55のメンテナンス等を行うときに開閉するものである。左後側ドア24は、熱交換装置13のメンテナンス等を行うときに開閉するものである。一方、建屋カバー21の右側は、作動油タンク10とカウンタウエイト7との間に配設された右側ドア(図示せず)によって構成されている。
【0036】
25は電力を充電しまたは放電する蓄電装置を示し、該蓄電装置25は、熱交換装置13に供給される冷却風Fの流れ方向において熱交換装置13よりも上流側に配置されている。蓄電装置25は、例えばリチウムイオン電池を用いて構成され、旋回フレーム5上に取付けられている。この蓄電装置25は、アシスト発電モータ12が発電した電力と、上部旋回体3の旋回減速動作(回生動作)によって後述の旋回電動モータ29が発電した回生電力とを充電(蓄電)し、または充電された電力をアシスト発電モータ12や旋回電動モータ29に放電(給電)するものである。
【0037】
なお、蓄電装置25は、リチウムイオン電池以外にも、例えば電気二重層のキャパシタを用いることもできる。蓄電装置25にキャパシタを用いる場合には、蓄電装置25と蓄電装置用ケーブル51,60(直流母線)との間にチョッパを接続して設け、該チョッパによって直流母線の電圧を一定に保持するのが好ましい。
【0038】
ここで、
図3、
図5に示すように、蓄電装置25は、内部に複数のバッテリモジュールが収容された直方体状のケーシング25Aと、該ケーシング25Aよりも小型の箱体からなりケーシング25A上に取付けられた接続箱(ジャンクションボックス)25Bとを含んで構成されている。ケーシング25Aには、冷却水が流通するウォータジャケット(図示せず)が形成されている。
【0039】
接続箱25Bは、後述する第1,第2のインバータ46,55から延びる蓄電装置用ケーブル51,60と蓄電装置25の端子との間を接続するもので、その内部には、後述する制御装置63からの信号(指令信号)に基づいて蓄電装置25の充電、放電を制御する制御部25C等の電気回路(図示せず)が収容されている。
【0040】
ここで、接続箱25Bの前側面25B1には、第1のケーブル接続口25Dと第2のケーブル接続口25Eとが左,右方向に並んで設けられている。後述するように、第1のケーブル接続口25Dには、第1のインバータ46との間を接続する蓄電装置用ケーブル51が接続される。第2のケーブル接続口25Eには、第2のインバータ55との間を接続する蓄電装置用ケーブル60が接続される。
【0041】
また、後側面25B2の左,右方向の中間部には、後方に向けて張出す張出し部25B3が設けられている。張出し部25B3には、蓄電装置25と第1,第2のインバータ46,55との間を通電しまたは遮断するディスコネクトスイッチ26が設けられている。オペレータや整備員(サービスマン)等は、ディスコネクトスイッチ26を操作することにより、例えばメンテナンス作業時等に蓄電装置25からアシスト発電モータ12や後述の旋回電動モータ29に対する給電を手動で停止させることができる。
【0042】
27は旋回フレーム5の中央部に設けられた旋回モータを示し、該旋回モータ27は、下部走行体2に対して上部旋回体3を旋回させるものである。ここで、
図10に示すように、旋回モータ27は、油圧ポンプ9から吐出する圧油によって駆動される旋回油圧モータ28と、該旋回油圧モータ28に付設された後述の旋回電動モータ29とにより構成されている。
【0043】
29は第2の電動機としての旋回電動モータを示し、該旋回電動モータ29は、旋回油圧モータ28と協働して下部走行体2上で上部旋回体3を旋回させるものである。旋回電動モータ29の外殻をなすケーシングには、冷却水が流通するウォータジャケット(いずれも図示せず)が形成されている。ここで、旋回電動モータ29は、蓄電装置25に充電された電力が供給されることにより駆動され、上部旋回体3を旋回させる。また、旋回電動モータ29は、上部旋回体3が旋回減速したときの回生動作によって回生電力を発電し、この回生電力を蓄電装置25に供給する。
【0044】
即ち、旋回電動モータ29は、後述の旋回電動モータ用ケーブル59を介して蓄電装置25から電力が供給されることにより上部旋回体3を旋回させる電動機としての機能と、上部旋回体3の旋回減速時に上部旋回体3の運動エネルギを電気エネルギに変換する発電機としての機能とを有している。旋回電動モータ29が発電した回生電力は、旋回電動モータ用ケーブル59を介して蓄電装置25に供給され、蓄電装置25の充電が行われる。
【0045】
30はキャブ6の後側に形成されたユーティリティ室を示している。該ユーティリティ室30は、建屋カバー21を構成する上面板22および左前側ドア23と、熱交換装置13の支持枠体14を構成する前仕切板14Aとによって画成されている。ここで、ユーティリティ室30の下側は、後述の床板32によって閉塞され、該床板32上には、後述のインバータ組立体36が取付けられている。
【0046】
次に、ユーティリティ室30内に配設されたインバータユニット31について説明する。
【0047】
図6ないし
図9に示すように、インバータユニット31は、後述の第1のインバータ46と第2のインバータ55とを一体的にユニット化したものである。そして、インバータユニット31は、後述の床板32と、防振部材35と、インバータ組立体36とにより構成されている。
【0048】
32は旋回フレーム5の一部を構成すると共に、ユーティリティ室30の下側を閉塞する床板で、該床板32は、インバータユニット31のベースとなるものである。
図4、
図5に示すように、床板32は、左縦板5Bと左サイドフレーム5Fとの間でユーティリティ室30の下側を閉塞する底板面部32Aと、該底板面部32Aの外周縁から上向きに折曲げられた外枠部32Bとにより全体として矩形なトレー状に形成されている。
【0049】
図8に示すように、底板面部32Aには、該底板面部32Aから上方に向けて立上る台座33が左,右方向に間隔をもって2個設けられている。各台座33の上面33Aには、前,後方向に並んで後述の防振部材35が2個ずつ設けられている。さらに、底板面部32Aの4個の角隅部には、それぞれボルト挿通孔32Cが設けられている。このボルト挿通孔32Cに挿通したボルト34を、底板5Aや左サイドフレーム5Fに設けられた床板取付部(図示せず)に螺合することにより、床板32が旋回フレーム5に取付けられる構成となっている。
【0050】
35は台座33の上面33Aに設けられた複数個の防振部材を示し、該防振部材35は、後述の支持ブラケット37を旋回フレーム5に対して弾性支持することにより、上部旋回体3の振動が直接的に第1,第2のインバータ46,55に伝わるのを抑えるものである。防振部材35は、各台座33の上面33Aに前,後方向に間隔をもって2個ずつ設けられている。
【0051】
そして、防振部材35は、ゴム等の可撓性材料(弾性材料)を用いて形成され台座33の上面33Aに取付けられた弾性体35Aと、略楕円形状の板材を用いて形成され弾性体35Aの上面に取付けられた支持ブラケット取付部35Bとにより構成されている。支持ブラケット取付部35Bの前,後方向の両端側には、後述のインバータ組立体36を防振部材35に取付けるボルト42を挿通するボルト挿通孔35B1が設けられている。
【0052】
36は、防振部材35上に弾性支持される組立体としてのインバータ組立体を示している。インバータ組立体36は、後述の支持ブラケット37、第1のインバータ46、第2のインバータ55、接続管路54により構成され、これらを1つの組立体としてサブアッセンブリ化したものである。このように、第1のインバータ46と第2のインバータ55とを支持ブラケット37を用いてサブアッセンブリ化しているので、第1,第2のインバータ46,55の組立性を向上することができる。また、第1,第2のインバータ46,55を共通の防振部材35上に支持することができるので、コストを低減することができる。
【0053】
37は防振部材35上に取付けられた支持ブラケットを示し、該支持ブラケット37は、第1のインバータ46と第2のインバータ55とをまとめて支持するものである。これにより、第1のインバータ46と第2のインバータ55は、車体(旋回フレーム5)に対して、単一の支持ブラケット37を用いて一纏めに弾性支持されている。即ち、
図6ないし
図9に示すように、支持ブラケット37は、第1のインバータ46と第2のインバータ55とを上,下方向に並設して支持している。このために、支持ブラケット37は、後述の下側取付部38と上側取付部43とにより構成されている。
【0054】
38は上,下方向の下側に位置する下側取付部を示し、該下側取付部38は、後述の第2のインバータ55を取付けるものである。下側取付部38は、床板32の底板面部32Aの左,右方向に間隔をもって設けられた台座33間に位置し、長方形状の板材からなる平板38Aと、該平板38Aの左,右方向の両端から上方に向けて立上る左,右の立上り板38Bと、該左,右の立上り板38Bの上端から左,右方向の外側(平板38Aとは反対側)に向けて延びる左,右のフランジ板38Cとにより構成されている。
【0055】
平板38Aは、前,後方向の長さ寸法が台座33の前,後方向の長さ寸法とほぼ同じ寸法に設定され、台座33の上面33Aよりも下側に位置している。平板38Aには、後述の第2のインバータ55を取付けるためのボルト56が螺合する4個のめねじ孔(図示せず)が、例えば裏ナット、裏ねじ座等を用いて設けられている。
【0056】
また、平板38Aの後端側で左,右方向の一側となる左側には、後述の流入管路53を固定する管路固定具としての流入管路固定突片39Aと、後述の流出管路62を固定する管路固定具としての流出管路固定突片39Bとが設けられている(
図4参照)。流入管路53は、流入管路固定突片39Aに対してクランプ39A1を用いて固定されている。流出管路62は、流出管路固定突片39Bに対してクランプ39B1を用いて固定されている。
【0057】
左,右の立上り板38Bは、左,右方向で対面し、その高さ寸法は、後述の第2のインバータ55の高さ寸法よりも大きく、床板32の底板面部32Aから防振部材35の支持ブラケット取付部35Bの上面までの高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、左,右方向の他側となる右側の立上り板38Bの前端側には、後述の接続管路54が固定される接続管路固定突片40が設けられている。接続管路54は、接続管路固定突片40に対してクランプ40Aを介して固定される。
【0058】
左側(一側)のフランジ板38Cの前端側には、逆U字状に形成され、後述の蓄電装置用ケーブル60を固定するケーブル固定具としての蓄電装置用ケーブル固定突片41Aが設けられている。蓄電装置用ケーブル60は、蓄電装置用ケーブル固定突片41Aに対してクランプ41A1を介して固定される。また、右側(他側)のフランジ板38Cの前端側には、該フランジ板38Cから平板38Aに向けて斜め下向きに傾斜した板状に形成され、後述の旋回電動モータ用ケーブル59を固定するケーブル固定具としての旋回電動モータ用ケーブル固定突片41Bが設けられている。旋回電動モータ用ケーブル59は、旋回電動モータ用ケーブル固定突片41Bに対してクランプ41B1を介して固定される。
【0059】
左,右のフランジ板38Cには、防振部材35の支持ブラケット取付部35Bに設けられたボルト挿通孔35B1に対応する位置にめねじ孔38C1が設けられている。めねじ孔38C1は、例えばフランジ板38Cの上面側に表ナット、表ねじ座等を用いて形成されている。また、左,右のフランジ板38Cには、めねじ孔38C1とは異なる位置でめねじ孔38C1よりも左,右方向の内側(立上り板38B側)に、後述の上側取付部43を取付けるためのボルト45が螺合するめねじ孔38C2が前,後方向に間隔をもって2個ずつ設けられている。めねじ孔38C2は、例えばフランジ板38Cの下面側に裏ナット、裏ねじ座等を用いて形成されている。
【0060】
下側取付部38は、左,右のフランジ板38Cを防振部材35の支持ブラケット取付部35B上に載置した状態で、支持ブラケット取付部35Bの下面側からボルト42をボルト挿通孔35B1に挿通し、めねじ孔38C1に螺合することにより防振部材35上に取付けられる。
【0061】
この場合、左,右の立上り板38Bの高さ寸法は、床板32の底板面部32Aから防振部材35の支持ブラケット取付部35Bの上面までの高さ寸法よりも若干小さく設定されている。このため、平板38Aは、底板面部32Aに対して非接触状態、即ち、防振部材35によって持上げられた状態となる(底板面部32Aに対して離間した状態となる)。これにより、下側取付部38は、旋回フレーム5に対して防振部材35により弾性支持される構成となっている。
【0062】
43は下側取付部38よりも上側に位置する上側取付部を示し、該上側取付部43は、後述の第1のインバータ46を取付けるものである。上側取付部43は、下側取付部38の左,右のフランジ板38C間に延びる平板43Aと、該平板43Aの前,後方向の両端から上方に向けて突出した前,後の突出板43Bとにより構成されている。
【0063】
平板43Aの左,右方向の長さ寸法は、下側取付部38の左,右の立上り板38B間の長さ寸法よりも若干大きく設定されている。そして、平板43Aには、後述の第1のインバータ46を取付けるためのボルト47が螺合する4個のめねじ孔(図示せず)が、裏ナット、裏ねじ座等を用いて設けられている。また、平板43Aの左,右方向の両端側には、下側取付部38のフランジ板38Cに設けられためねじ孔38C2に対応する位置にボルト挿通孔43A1が設けられている。
【0064】
平板43Aの左端側(一端側)で前,後のボルト挿通孔43A1間には、逆U字状に形成され、後述の蓄電装置用ケーブル51を固定するケーブル固定具としての蓄電装置用ケーブル固定突片44Aが設けられている。蓄電装置用ケーブル51は、蓄電装置用ケーブル固定突片44Aに対してクランプ44A1を用いて固定される。
【0065】
また、前側の突出板43Bの右端側(他端側)には、該突出板43Bから上方に向けて突出し、上端を前方に向けて折曲げた逆L字状に形成され、後述のアシスト発電モータ用ケーブル50を固定するケーブル固定具としてのアシスト発電モータ用ケーブル固定突片44Bが設けられている。アシスト発電モータ用ケーブル50は、アシスト発電モータ用ケーブル固定突片44Bに対してクランプ44B1を用いて固定される。
【0066】
上側取付部43は、平板43Aを下側取付部38のフランジ板38C上に載置した状態で、平板43Aの上面側からボルト45をボルト挿通孔43A1に挿通し、左,右のフランジ板38Cのめねじ孔38C2に螺合することにより下側取付部38に取付けられる。この場合、上側取付部43は、下側取付部38を介して防振部材35に弾性支持される。
【0067】
46は上側取付部43の平板43Aに取付けられた第1のインバータを示し、該第1のインバータ46は、アシスト発電モータ12の動作を制御するものである。第1のインバータ46は、上側取付部43の平板43Aに形成されためねじ孔にボルト47を螺合することにより取付けられている。
【0068】
第1のインバータ46の外殻をなすケーシングの前面46A側には、左,右方向に並んで第1のケーブル接続口48と第2のケーブル接続口49とが設けられている。左,右方向の他側となる右側に位置する第1のケーブル接続口48には、アシスト発電モータ12と第1のインバータ46との間を接続するアシスト発電モータ用ケーブル50(三相交流ケーブル)が着脱可能に取付けられる。
【0069】
また、アシスト発電モータ用ケーブル50の途中部位は、上側取付部43に設けられたアシスト発電モータ用ケーブル固定突片44Bにクランプ44B1を介して固定されている。これにより、アシスト発電モータ用ケーブル50は、支持ブラケット37と同じ振動系となり、該支持ブラケット37に固定された第1のインバータ46と共に振動する。これにより、アシスト発電モータ用ケーブル50に対して、第1のケーブル接続口48から抜こう(外そう)とする力が加わりにくくなり、アシスト発電モータ用ケーブル50が第1のケーブル接続口48から抜け落ちるのを抑制される。
【0070】
一方、左,右方向の一側となる左側に位置する第2のケーブル接続口49には、蓄電装置25と第1のインバータ46との間を接続する蓄電装置用ケーブル51(直流母線)が着脱可能に取付けられる。即ち、蓄電装置用ケーブル51は、一端側が蓄電装置25の接続箱25Bに設けられた第1のケーブル接続口25Dに取付けられ、他端側が第1のインバータ46の第2のケーブル接続口49に取付けられる。
【0071】
また、蓄電装置用ケーブル51の途中部位は、上側取付部43に設けられた蓄電装置用ケーブル固定突片44Aにクランプ44A1を用いて固定されている。これにより、蓄電装置用ケーブル51は、第1のインバータ46と同じ振動系となり、第2のケーブル接続口49から抜け落ちるのを抑制される。
【0072】
そして、アシスト発電モータ12の発電時には、第1のインバータ46は、アシスト発電モータ12による発電電力を直流電力に変換し、蓄電装置用ケーブル51を通じて直流電力を蓄電装置25に供給する。一方、アシスト発電モータ12を電動機として駆動するときには、第1のインバータ46は、蓄電装置用ケーブル51を介して蓄電装置25から供給される直流電力を三相交流電力に変換し、アシスト発電モータ用ケーブル50を介して三相交流電力をアシスト発電モータ12に供給する。
【0073】
第1のインバータ46のケーシングの左面46B側には、冷却管路コネクタ52Aが設けられている。冷却管路コネクタ52Aには、蓄電装置25から流出したハイブリッド機器用冷却水を第1のインバータ46のケーシング内に流入させる流入管路53の下流端側が取付けられる。
【0074】
なお、流入管路53は、蓄電装置25と第1のインバータ46との間を、ハイブリッド機器用冷却水の流通を可能に接続するもので、その上流端側は、蓄電装置25に接続されている。また、流入管路53の途中部位は、下側取付部38に設けられた流入管路固定突片39Aにクランプ39A1を用いて固定されている。これにより、流入管路53は、第1のインバータ46と同じ振動系となり、冷却管路コネクタ52Aから抜け落ちるのを抑制される。
【0075】
一方、第1のインバータ46のケーシングの右面46C側には、冷却管路コネクタ52Bが設けられている。冷却管路コネクタ52Bには、第1のインバータ46から流出したハイブリッド機器用冷却水を第2のインバータ55に向けて流通させる接続管路54の上流端側が取付けられる。また、接続管路54の途中部位は、下側取付部38に設けられた接続管路固定突片40にクランプ40Aを用いて固定されている。接続管路54は、第1のインバータ46と第2のインバータ55との間を、ハイブリッド機器用冷却水の流通を可能に接続するものである。
【0076】
第1のインバータ46のケーシング内には、トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等からなる複数のスイッチング素子が収容されている。各スイッチング素子のオン/オフは、制御部46Dによって制御されるものである。また、制御部46Dには、後述の制御装置63との間を接続する後述の信号線64Bが接続されている。また、第1のインバータ46のケーシング内には、ハイブリッド機器用冷却水が流通するウォータジャケット(図示せず)が形成されている。このウォータジャケットは、冷却管路コネクタ52Aを介して流入管路53と接続され、冷却管路コネクタ52Bを介して接続管路54と接続されている。
【0077】
55は下側取付部38の平板38Aに取付けられた第2のインバータを示し、該第2のインバータ55は、旋回電動モータ29の動作を制御するものである。第2のインバータ55は、下側取付部38の平板38Aに形成されためねじ孔にボルト56を螺合することにより取付けられている。この場合、第2のインバータ55は、第1のインバータ46の直下側に位置している。
【0078】
ここで、第2のインバータ55は、第1のインバータ46と共通な部品で構成された同一形状のインバータである。この場合、同一形状は、完全に同一な形状のみを意味するものではなく、基本的な形状が同一であるという意味を含んで用いている。即ち、第1のインバータ46の形状と第2のインバータ55の形状との相違点を比較して、その相違点が微差であるもの、例えば第1のインバータ46と第2のインバータ55とを共通部品として用いる上での妨げとならないものも同一形状に含まれるものである。
【0079】
第2のインバータ55の外殻をなすケーシングの前面55A側には、左,右方向に並んで第1のケーブル接続口57と第2のケーブル接続口58とが設けられている。左,右方向の他側となる右側に位置する第1のケーブル接続口57には、旋回電動モータ29と第2のインバータ55との間を接続する旋回電動モータ用ケーブル59(三相交流ケーブル)が着脱可能に取付けられる。
【0080】
また、旋回電動モータ用ケーブル59の途中部位は、下側取付部38に設けられた旋回電動モータ用ケーブル固定突片41Bにクランプ41B1を用いて固定されている。これにより、旋回電動モータ用ケーブル59は、第2のインバータ55と同じ振動系となるので、第1のケーブル接続口57から抜け落ちるのを抑制されている。
【0081】
一方、左,右方向の一側となる左側に位置する第2のケーブル接続口58には、蓄電装置25と第2のインバータ55との間を接続する蓄電装置用ケーブル60(直流母線)が着脱可能に取付けられる。即ち、蓄電装置用ケーブル60は、一端側が蓄電装置25の接続箱25Bに設けられた第2のケーブル接続口25Eに取付けられ、他端側が第2のインバータ55の第2のケーブル接続口58に取付けられる。
【0082】
また、蓄電装置用ケーブル60の途中部位は、下側取付部38に設けられた蓄電装置用ケーブル固定突片41Aにクランプ41A1を用いて固定されている。これにより、蓄電装置用ケーブル60は、第2のインバータ55と同じ振動系となり、第2のケーブル接続口58から抜け落ちるのを抑制される。
【0083】
そして、旋回電動モータ29の発電時には、第2のインバータ55は、旋回電動モータ29による発電電力(回生電力)を直流電力に変換し、蓄電装置用ケーブル60を通じて直流電力を蓄電装置25に供給する。一方、旋回電動モータ29を電動機として駆動するときには、第2のインバータ55は、蓄電装置用ケーブル60を介して蓄電装置25から供給される直流電力を三相交流電力に変換し、旋回電動モータ用ケーブル59を介して三相交流電力を旋回電動モータ29に供給する。
【0084】
第2のインバータ55のケーシングの左面55B側には、冷却管路コネクタ61Aが設けられている。冷却管路コネクタ61Aには、第2のインバータ55から流出したハイブリッド機器用冷却水を旋回電動モータ29に向けて導く流出管路62の上流端側が取付けられる。また、流出管路62の途中部位は、下側取付部38に設けられた流出管路固定突片39Bにクランプ39B1を用いて固定されている。これにより、流出管路62は、第2のインバータ55と同じ振動系となり、冷却管路コネクタ61Aから抜け落ちるのを抑制される。
【0085】
一方、第2のインバータ55のケーシングの右面55C側には、冷却管路コネクタ61Bが設けられている。冷却管路コネクタ61Bには、第1のインバータ46から流出したハイブリッド機器用冷却水を第2のインバータ55に向けて流通させる接続管路54の下流端側が取付けられる。
【0086】
第2のインバータ55のケーシング内には、トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等からなる複数のスイッチング素子が収容されている。各スイッチング素子のオン/オフは、制御部55Dによって制御されるものである。また、制御部55Dには、後述の制御装置63との間を接続する後述の信号線64Cが接続されている。また、第2のインバータ55のケーシング内には、ハイブリッド機器用冷却水が流通するウォータジャケット(図示せず)が形成されている。このウォータジャケットは、冷却管路コネクタ61Aを介して流出管路62と接続され、冷却管路コネクタ61Bを介して接続管路54と接続されている。
【0087】
63は蓄電装置25、アシスト発電モータ12、旋回電動モータ29等の動作を制御する制御装置を示している。制御装置63と蓄電装置25の制御部25Cは、信号線64Aを介して接続されている。制御装置63と第1のインバータ46の制御部46Dは、信号線64Bを介して接続されている。制御装置63と第2のインバータ55の制御部55Dは、信号線64Cを介して接続されている。
【0088】
制御装置63は、蓄電装置25の制御部25Cに対して制御信号を出力することにより、蓄電装置25による充電または放電を制御する。これに加えて、制御装置63は、第1,第2のインバータ46,55の制御部46D,55Dに対して制御信号を出力することにより、アシスト発電モータ12,旋回電動モータ29の動作を制御する。
【0089】
本実施の形態によるハイブリッド式の油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0090】
キャブ6に搭乗したオペレータがエンジン8を作動させると、エンジン8によって油圧ポンプ9とアシスト発電モータ12が駆動される。これにより、油圧ポンプ9から吐出した圧油は、キャブ6内に設けられた操作レバー(図示せず)の操作に応じて、左,右の走行油圧モータ2E,2F、旋回油圧モータ28、作業装置4のブームシリンダ4D,アームシリンダ4E,バケットシリンダ4Fに向けて吐出する。これにより、油圧ショベル1は、下部走行体2による走行動作、上部旋回体3の旋回動作、作業装置4による掘削作業等を行う。
【0091】
ここで、油圧ショベル1の作動時にエンジン8の出力トルクが油圧ポンプ9の駆動トルクよりも大きいときには、余剰トルクによってアシスト発電モータ12が発電機として駆動される。これにより、アシスト発電モータ12は交流電力を発生し、この交流電力は、第1のインバータ46により直流電力に変換され、蓄電装置25に蓄えられる。一方、エンジン8の出力トルクが油圧ポンプ9の駆動トルクよりも小さいときには、アシスト発電モータ12は、蓄電装置25からの電力によって電動機として駆動され、エンジン8による油圧ポンプ9の駆動を補助(アシスト)する。
【0092】
旋回電動モータ29は、蓄電装置25に充電された電力が供給されることにより駆動され、旋回油圧モータ28と協働して下部走行体2上で上部旋回体3を旋回させる。また、旋回電動モータ29は、上部旋回体3が旋回減速したときの回生動作によって交流電力(回生電力)を発電し、この交流電力は第2のインバータ55により直流電力に変換され、蓄電装置25に蓄えられる。
【0093】
このように、油圧ショベル1の作動時には、アシスト発電モータ12、旋回電動モータ29等が駆動されるので、アシスト発電モータ12を制御する第1のインバータ46、旋回電動モータ29を制御する第2のインバータ55が発熱して温度上昇する。また、蓄電装置25は、油圧ショベル1の運転状況に応じて充電と放電を行うことにより発熱して温度上昇する。
【0094】
この場合、アシスト発電モータ12は、エンジン用ラジエータ16により冷却されたエンジン用冷却水により冷却される。一方、蓄電装置25、第1のインバータ46、第2のインバータ55、旋回電動モータ29は、ハイブリッド機器用ラジエータ20により冷却されたハイブリッド機器用冷却水により冷却される。
【0095】
具体的には、
図2に示すように、ハイブリッド機器用ラジエータ20で冷却されたハイブリッド機器用冷却水は、ポンプ20Aにより蓄電装置25、第1のインバータ46、第2のインバータ55、旋回電動モータ29の順に循環される。即ち、蓄電装置25から流出したハイブリッド機器用冷却水は、流入管路53を通じて第1のインバータ46に流入する。そして、第1のインバータ46から流出したハイブリッド機器用冷却水は、接続管路54を通じて第2のインバータ55に流入する。第2のインバータ55から流出したハイブリッド機器用冷却水は、流出管路62を通じて旋回電動モータ29に流入する。これにより、蓄電装置25、第1のインバータ46、第2のインバータ55、旋回電動モータ29は、適温に保たれる。
【0096】
ところで、上述した従来技術によるハイブリッド式作業機では、蓄電装置とインバータとを一体化した電子ユニットとしている。このため、蓄電装置またはインバータを交換するときには、蓄電装置とインバータとの両方を一体のまま車体から取外さなければならない。この場合、蓄電装置やインバータには、複数のケーブルや管路等が取付けられているので、これらの取外し作業を含む交換作業が面倒であり、交換作業の作業性が低下するという問題がある。
【0097】
そこで、本実施の形態では、第1のインバータ46と第2のインバータ55とを蓄電装置25が取付けられる位置とは異なる位置で旋回フレーム5上に弾性支持された支持ブラケット37に取付ける構成としている。具体的には、蓄電装置25は、カウンタウエイト7の前側で熱交換装置13の正面側(車体の左,右方向左側)に配置されている。これに対し、第1のインバータ46と第2のインバータ55とは、支持ブラケット37に取付けられた状態で、蓄電装置25から離間した位置、即ち、蓄電装置25よりも前側に位置するユーティリティ室30内に配設されている。この場合、第1のインバータ46と第2のインバータ55は、旋回フレーム5に対して1個の支持ブラケット37を用いて一纏めに支持されている。
【0098】
これにより、第1,第2のインバータ46,55を旋回フレーム5上にコンパクトに搭載することができる。これと共に、第1,第2のインバータ46,55および蓄電装置25の交換作業の作業性を向上することができる。しかも、支持ブラケット37は、第1,第2のインバータ46,55を纏めて旋回フレーム5上に弾性支持しているので、第1のインバータ46と第2のインバータ55とにそれぞれ防振部材を設ける必要がない。これにより、組立性を向上できると共に、コストを低減することができる。
【0099】
さらに、支持ブラケット37は、下側取付部38と上側取付部43とにより上,下の階層構造とし、下側取付部38に第2のインバータ55を取付け、上側取付部43に第1のインバータ46を取付ける構成としている。これにより、この面からも、第1,第2のインバータ46,55を旋回フレーム5上にコンパクトに搭載することができる。
【0100】
次に、第1のインバータ46と第2のインバータ55とを旋回フレーム5上に組付ける作業について説明する。
【0101】
まず、下側取付部38の平板38A上に第2のインバータ55をボルト56により取付ける。また、上側取付部43の平板43A上に第1のインバータ46をボルト47により取付ける。次に、上側取付部43の平板43Aを下側取付部38のフランジ板38C上に載置して、ボルト45を下側取付部38のめねじ孔38C2に螺合する。これにより、下側取付部38と上側取付部43とを一体にする。
【0102】
そして、接続管路54の一端側(上流端側)を、第1のインバータ46の冷却管路コネクタ52Bに接続すると共に、接続管路54の他端側(下流端側)を、第2のインバータ55の冷却管路コネクタ61Bに接続する。この場合、接続管路54の途中部位は、クランプ40Aを用いて下側取付部38の接続管路固定突片40に固定する。これにより、インバータ組立体36がサブアッセンブリとして組立てられる。
【0103】
このようにして組立てられたインバータ組立体36は、ユーティリティ室30に配設された床板32の台座33に設けられた防振部材35に取付ける。即ち、下側取付部38のフランジ板38Cを防振部材35上に載置して、ボルト42を下側取付部38のめねじ孔38C1に螺合する。これにより、第1のインバータ46と第2のインバータ55とを旋回フレーム5上に組付けることができる。
【0104】
この場合、下側取付部38の平板38Aは、下側取付部38と防振部材35との支点(取付点、支持点)よりも下側に位置している。これにより、インバータ組立体36の重心高さを下側(低重心)にできる。より具体的には、インバータ組立体36の重心高さを、防振部材35の弾性体35Aの高さ位置とほぼ等しくできる。この結果、上部旋回体3(車体)の振動によるインバータ組立体36の変位、例えば、インバータ組立体36の支点(支持点)と重心の上,下方向の差に基づく揺動変位(回転変位)を抑制することができる。
【0105】
また、第1のインバータ46の第1のケーブル接続口48に取付けられるアシスト発電モータ用ケーブル50は、上側取付部43のアシスト発電モータ用ケーブル固定突片44Bに固定され、第2のケーブル接続口49に取付けられる蓄電装置用ケーブル51は、上側取付部43の蓄電装置用ケーブル固定突片44Aに固定される。一方、第2のインバータ55の第1のケーブル接続口57に取付けられる旋回電動モータ用ケーブル59は、下側取付部38の旋回電動モータ用ケーブル固定突片41Bに固定され、第2のケーブル接続口58に取付けられる蓄電装置用ケーブル60は、蓄電装置用ケーブル固定突片41Aに固定される。
【0106】
さらに、第1のインバータ46の冷却管路コネクタ52Aに取付けられる流入管路53は、下側取付部38の流入管路固定突片39Aに固定される。一方、第2のインバータ55の冷却管路コネクタ61Aに取付けられる流出管路62は、下側取付部38の流出管路固定突片39Bに固定される。即ち、第1,第2のインバータ46,55に接続される各種ケーブル(電力線、信号線、冷却ホース)は、いずれもその途中部位が支持ブラケット37に対して固定される。
【0107】
これにより、それぞれのケーブル50,51,59,60や流入管路53、流出管路62は、第1,第2のインバータ46,55と同じ振動系となる。その結果、それぞれのケーブル50,51,59,60や流入管路53、流出管路62は、第1,第2のインバータ46,55から抜け落ちるのを抑制される。
【0108】
次に、第1のインバータ46が故障、異常等の不調状態になった場合について説明する。
【0109】
即ち、第1のインバータ46が不調状態になると、アシスト発電モータ12によるエンジン8の補助(アシスト)を行うことができなくなり、油圧ショベル1の作業が大きく制限されるおそれがある。一方、第2のインバータ55が不調状態になった場合は、旋回電動モータ29による旋回補助や回生発電を行うことができなくなるが、旋回動作は旋回油圧モータ28のみで行うことが可能であるため、油圧ショベル1の作業を継続することができる。
【0110】
そこで、本実施の形態では、第1のインバータ46と第2のインバータ55とは、共通な部品で構成された同一形状のインバータで構成している。これにより、優先度の高い第1のインバータ46が不調状態となった場合に、第2のインバータ55を第1のインバータ46の換わりとして用いることができるようにしている。
【0111】
即ち、第2のインバータ55の第1のケーブル接続口57から旋回電動モータ用ケーブル59を取外し、アシスト発電モータ用ケーブル50を第2のインバータ55の第1のケーブル接続口57に取付ける。必要に応じて、図示しない信号線等も第1のインバータ46から第2のインバータ55に付け替える。そして、第2のインバータ55を暫定的(臨時的)に第1のインバータとして用いることにより、ハイブリッド機能を全停止することなく、油圧ショベル1の作業を行うことができる。
【0112】
さらに、第1のインバータ46の直下側に第2のインバータ55が配設されているので、第2のインバータ55の第1のケーブル接続口57は、第1のインバータ46の第1のケーブル接続口48の直下側に位置している。従って、アシスト発電モータ用ケーブル50の長さ寸法を変更することなく、第2のインバータ55の第1のケーブル接続口57に取付けることができる。
【0113】
かくして、本実施の形態によれば、第1のインバータ46と第2のインバータ55とを蓄電装置25が取付けられる位置とは異なる位置で支持ブラケット37に取付けられているので、第1,第2のインバータ46,55を旋回フレーム5上に支持ブラケット37を介してコンパクトに搭載することができる。これと共に、第1,第2のインバータ46,55および蓄電装置25の交換作業の作業性を向上することができる。
【0114】
また、支持ブラケット37は、第1,第2のインバータ46,55を纏めて旋回フレーム5上に弾性支持することができるため、第1のインバータ46と第2のインバータ55とにそれぞれ防振部材を設ける必要がない。これにより、組立性を向上できると共に、コストを低減することができる。
【0115】
また、支持ブラケット37を上,下の階層構造とすることにより、第1のインバータ46と第2のインバータ55とは、上,下方向に積層(並列)した状態で取付けられている。これにより、第1,第2のインバータ46,55を旋回フレーム5上によりコンパクトに搭載することができる。
【0116】
また、支持ブラケット37、第1のインバータ46、第2のインバータ55、接続管路54をインバータ組立体36として構成しているので、これらの部材の取扱い性(取扱い易さ)を向上できる。これにより、第1,第2のインバータ46,55を旋回フレーム5上へ組付ける作業や取外し作業の作業性を向上することができる。
【0117】
さらに、ケーブル50,51,59,60や流入管路53、流出管路62を支持ブラケット37に固定しているので、旋回フレーム5上に弾性支持される支持ブラケット37が振動しても、それぞれのケーブル50,51,59,60や流入管路53、流出管路62に外力(第1のインバータ46や第2のインバータ55から外れる方向の力)が加わることを低減できる。これにより、ケーブル50,51,59,60や流入管路53、流出管路62が第1,第2のインバータ46,55から抜け落ちることを抑制することができるので、油圧ショベル1の信頼性、安定性を向上することができる。
【0118】
次に、
図11、
図12は、本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、上側取付部の上面側に第1のインバータを取付け、上側取付部の下面側に第2のインバータを取付けたことにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0119】
71は下側取付部38よりも上側に位置して該下側取付部38と共に支持ブラケット37を構成する取付部としての上側取付部を示している。上側取付部71は、第1のインバータ46と後述の第2のインバータ72とを取付けるものである。上側取付部71は、下側取付部38の左,右のフランジ板38C間に延びる平板71Aと、該平板71Aの前,後方向の両端から上方に向けて突出した前,後の突出板71Bとにより構成されている。
【0120】
平板71Aの上面71A1側には、第1のインバータ46がボルト47により取付けられる。一方、平板71Aの下面71A2側には、後述の第2のインバータ72がボルトにより取付けられる。そして、上側取付部71は、下側取付部38の左,右のフランジ板38C上にボルト45により取付けられる構成となっている。
【0121】
72は上側取付部71に取付けられた第2のインバータを示し、該第2のインバータ72は、旋回電動モータ29の動作を制御するものである。第2のインバータ72は、第1のインバータ46と共通な部品で構成された同一形状のインバータである。この場合、同一形状とは、完全に同一な形状のみを意味するものではなく、基本的な形状が同一であるという意味を含んで用いている。即ち、第1のインバータ46の形状と第2のインバータ72の形状との相違点を比較して、その相違点が微差であるもの、例えば第1のインバータ46と第2のインバータ72とを共通部品として用いる上での妨げとならないものも同一形状に含まれるものである。
【0122】
そして、第2のインバータ72は、第1のインバータ46に対して上,下方向で反転させた状態で、上側取付部71の平板71Aの下面71A2側に取付けられる。第2のインバータ72の外殻をなすケーシングの前面72A側には、左,右方向に並んで第1のケーブル接続口73と第2のケーブル接続口74とが設けられている(
図11参照)。
【0123】
左,右方向の左側(一側)に位置する第1のケーブル接続口73には、旋回電動モータ29と第2のインバータ72との間を接続する旋回電動モータ用ケーブル59(三相交流ケーブル)が着脱可能に取付けられる。一方、左,右方向の右側(他側)に位置する第2のケーブル接続口74には、蓄電装置25と第2のインバータ72との間を接続する蓄電装置用ケーブル60(直流母線)が着脱可能に取付けられる。
【0124】
この場合、例えば、第1,2のインバータ46,72の重心位置が左,右方向に偏っていても、この偏りを相殺することができる。即ち、例えば、第1のインバータ46の重心位置が、第1のケーブル接続口48側にあり、第2のインバータ72の重心位置が、第1のケーブル接続口73側にある場合でも、第2のインバータ72が第1のインバータ46に対して反転した状態で上側取付部71に取付けられるため、これら3部材全体の重心位置を上側取付部71のほぼ中央部にすることができる。
【0125】
さらに、上側取付部71は、下側取付部38のフランジ板38C上に水平に取付けられているので、前記重心位置の高さ寸法を防振部材35の取付け位置の高さ寸法とほぼ同じ高さにすることができる。これにより、第1のインバータ46と第2のインバータ72とを安定して旋回フレーム5上に取付けることができる。
【0126】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、共通な部品で構成された同一形状の第1のインバータ46と第2のインバータ72とを上,下方向に反転させた状態で上側取付部71に取付けているので、第1のインバータ46と第2のインバータ72とを上側取付部71に取付けた状態で、これら3部材全体の重心位置を、上側取付部71のほぼ中央部に位置させることができる。これにより、第1,第2のインバータを安定的に旋回フレーム5上に取付けることができる。
【0127】
なお、上述した第1の実施の形態では、上側取付部43に第1のインバータ46を取付け、下側取付部38に第2のインバータ55を取付けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば上側取付部に第2のインバータを取付け、下側取付部に第1のインバータを取付けてもよい。
【0128】
また、上述した第2の実施の形態では、上側取付部71の上面71A1側に第1のインバータ46を取付け、上側取付部71の下面71A2側に第2のインバータ72を取付けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば上側取付部の上面側に第2のインバータを取付け、上側取付部の下面側に第1のインバータを取付けてもよい。
【0129】
また、上述した第2の実施の形態では、上側取付部71を下側取付部38に取付けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば下側取付部を省略して上側取付部を直接、防振部材上に取付けてもよい。
【0130】
また、上述した第1の実施の形態では、第2の電動機を旋回電動モータ29とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば第2の電動機を油圧アクチュエータからの戻り油で回生電力を発電する油圧回生用の電動モータとしてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0131】
また、上述した第1の実施の形態では、旋回モータ27を旋回油圧モータ28と旋回電動モータ29とにより構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば旋回モータを旋回電動モータのみにより構成してもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0132】
また、上述した実施の形態では、ハイブリッド式作業機として、履帯2Dを備えたクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば車輪を備えたホイール式油圧ショベル、ホイールローダ、フォークリフト、ダンプトラック等の種々の作業機に広く適用することができる。