【実施例】
【0098】
以下、実施例と比較例を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲が実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
【0099】
<概要説明>
先ず、表2に示す4種の発光装置を例に本実施態様の概要と効果を説明する。
【0100】
【表2-1】
【0101】
【表2-2】
【0102】
比較例1は、照明対象物を照明した際に、基準の光に近接した色の見えとなり、平均演色評価数(R
a)がきわめて高く、特殊演色評価数(R
i)も高い実験用基準光を放射する発光装置であって、A
cgは+64.1であった。この光源は、蛍光体励起光源として紫色半導体発光素子を用い、かつ、緑色蛍光体として狭帯域のβ−SiAlON(蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長が545nmで、その半値全幅が55nm)を用いて実現したものである。
なお、本明細書で記載するSBCA蛍光体、β−SiAlON蛍光体、CASON蛍光体の詳細は、特許第5252107号と特許第5257538号に開示されている材料と同じである。
【0103】
比較例2は、特許第5252107号と特許第5257538号に開示されている光を放射する発光装置であって、A
cgは−44.9であった。この発光装置も、比較例1同様に、蛍光体励起光源として紫色半導体発光素子を用い、かつ、緑色蛍光体として狭帯域のβ−SiAlON(蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長が545nmで、その半値全幅が55nm)を用いて実現したものである。
【0104】
参考例1も、特許第5252107号と特許第5257538号の範疇となる光を放射する発光装置であって、A
cgは−58.7であった。しかし、この発光装置は、蛍光体励起光源として青色半導体発光素子を用い、かつ、緑色蛍光体として広帯域のCSMS(蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長が514nmで、その半値全幅が106nm)を用いて実現したものである。
【0105】
一方、実施例1は、特許第5252107号と特許第5257538号にも開示されていない光を放射する新規な発光装置であって、A
cgは+10.4であった。この光源は、蛍光体励起光源として青色半導体発光素子を用い、かつ、緑色蛍光体として広帯域のCSO(蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長が520nmで、その半値全幅が96nm)を用いて実現したものである。
【0106】
なお、これら四発光装置は、比較のために、全て近接した相関色温度(約3800〜4200K)としている。また、実験用基準光として準備した比較例1の発光装置を除き、D
uvSSLも近接した値(約−0.0100〜−0.0125)とした。
【0107】
その他、各光源の詳細な構成材料、その特徴、発光装置としての特性は表2にまとめた。表2には、特定15種類の修正マンセル色票において、基準の光で照明した場合と、それぞれの試験光で照明した場合との色の見えの差を数学的に導出した結果も示している。さらに、実験用基準光として準備した比較例1の発光装置を基準にして、残り3種の発光装置によって、実際の色の見えがどのようになるか、比較視覚実験を行った結果も示している。
【0108】
比較例1の発光装置、比較例2の発光装置、参考例1の発光装置、実施例1の発光装置それぞれの分光放射束特性は
図4から
図7に示した。また、
図4から
図7には、特定15種類の修正マンセル色票において、基準の光で照明した場合と、それぞれの試験光で照明した場合との色の見えをa
*値とb
*値とを共にプロットしたCIELAB色空間も示した。なお、CIELAB色空間において基準の光で照明した場合は点線で、それぞれの試験光で照明した場合は実線で示した。
【0109】
ここで、表2、
図5から
図7等から、以下のことが分かる。
比較例2の発光装置は、指標A
cgが−44.9で、発光装置としての光源効率ηは45.9(lm/W)であった。また、数学的には、
図5からも各色相の飽和度が比較的均等に向上することが分かり、実際に、比較視覚実験でも、色の見えは比較例1の発光装置よりも良好と判断され、ランク4であった。
【0110】
さらに、参考例1の発光装置は指標A
cgが−58.7で、発光装置としての光源効率ηは48.0(lm/W)であった。また、数学的には、
図6からも各色相の飽和度が比較的均等に向上することが分かり、実際に、色の見えは比較例1の発光装置よりも良好と判断され、ランク4であった。
【0111】
これに対して、実施例1に示した発光装置は、指標A
cgが+10.4であった。発光装置としての光源効率ηは54.4(lm/W)と、いずれの発光装置よりも相対的に高かった。また、数学的には、
図7からも各色相の飽和度が比較的均等に向上することが分かり、実際に、色の見えは比較例1の発光装置よりも良好であると判断され、ランク5であった。
【0112】
すなわち、実施例1の発光装置の結果は、特許第5252107号と特許第5257538号記載の発光装置の範囲外、特に指標A
cgが−10よりも大きな値を有する場合であっても、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」が実現可能な場合がある事を具体的に例示していると言える。さらに、そのような場合にこそ、発光装置の光源効率ηを向上させ得ることも分かる。
【0113】
<詳細説明1>
次に、実施例/比較例をさらに例示して、本実施態様を詳細に説明する。
表3から表7は、本実施態様の実施例を示している。これらは、表番号順に、比較視覚
実験の総合的ランク分類でそれぞれランク+1からランク+5となった発光装置の結果である。また、1つのランクに分類された発光装置は、低T
SSLから高T
SSLの順に並べた。さらに、
図8から
図14は、それぞれのランクから例として抽出した発光装置が発する光の分光分布とCIELAB色空間を例示したものである。
【0114】
【表3-1】
【0115】
【表3-2】
【0116】
【表4-1】
【0117】
【表4-2】
【0118】
【表5-1】
【0119】
【表5-2】
【0120】
【表5-3】
【0121】
【表5-4】
【0122】
【表6-1】
【0123】
【表6-2】
【0124】
【表7-1】
【0125】
【表7-2】
【0126】
これら実施例/比較例の結果を詳細に検討したところ、発光装置によって照明した色の見えが、比較視覚実験でランク+1以上と判断されるためには、発光装置は以下の発光要素を内包していたことが分かる。
条件α:青色半導体発光素子
条件β:広帯域緑色蛍光体
条件γ:赤色蛍光体
【0127】
一方、発光装置によって照明した色の見えが、比較視覚実験でランク+1以上と判断されるためには、発光装置の分光分布φ
SSL(λ)から導出される各指標は、以下の特徴を全て有していたことが分かる。
条件1: −10.0 < A
cg ≦ 120.0
条件2: −0.0220 ≦ D
uvSSL ≦ −0.0070
条件3: 0.2250 ≦ φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−max ≦
0.7000
条件4: 605(nm) ≦ λ
SSL−RM−max ≦ 653(nm)
【0128】
さらに、比較視覚実験でランク+1以上と判断された発光装置の分光分布φ
SSL(λ)は、以下の特徴も有し得ることが分かる。
条件5: 430(nm) ≦ λ
SSL−BM−max ≦ 480(nm)
条件6: 0.1800 ≦ φ
SSL−BG−min/φ
SSL−RM−max ≦
0.8500
【0129】
加えて、比較視覚実験でランク+1以上と判断された発光装置の分光分布φ
SSL(λ)から導出される放射効率K(lm/W)と相関色温度T
SSL(K)は、以下の特徴を有し得ることも分かる。
条件7: 210.0 lm/W ≦ K ≦ 290.0 lm/W
条件8: 2600 K ≦ T
SSL ≦ 7700 K
【0130】
さらに加えて、比較視覚実験でランク+1以上と判断された発光装置のφ
SSL(λ)は380nm以上405nm以下の範囲において発光要素由来の実効強度を有さない特徴を有し得ることもわかる。
【0131】
さらに、比較視覚実験でランク+1以上と判断された発光装置のφ
SSL(λ)は発光要素として、狭帯域緑色蛍光体、黄色蛍光体を含まないという特徴を有し得ることもわかる。
【0132】
一方、発光装置によって照明した色の見えが、比較視覚実験でランク+1以上と判断された発光装置の分光分布φ
SSL(λ)から導出された「色の見え」に関する各指標は、nを1から15の自然数として、以下の特徴をすべて有していたことが分かる。
条件I −4.00 ≦ ΔC
n ≦ 8.00
条件II: 0.50 ≦ SAT
ave ≦ 4.00
条件III: 2.00 ≦ |ΔC
max−ΔC
min| ≦ 10.00
条件IV: 0.00 度 ≦ |Δh
n| ≦ 12.50 度
【0133】
これらを満たした発光装置の分光分布φ
SSL(λ)による色の見えを計算した結果、すなわち、
図7から
図14を見ると以下が分かる。基準の光で当該15種類の修正マンセル色票を照明した場合を仮定した色の見えと、各発光装置の分光分布φ
SSL(λ)で照明した場合を比較すると、いずれの発光装置においても、(1)その色相角差が小さく、か
つ、(2)15種類いずれの色相においても飽和度は比較的均等に向上しており、かつ、(3)その飽和度向上の度合いが適切な範囲内にある、事が分かる。このような特徴がまさに実際に照明対象物を照明した場合には、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見え」を誘発すると考えられ、かつ、数学的には条件Iから条件IVに対応していると言える。
【0134】
さらに具体的に色の見えの効果を記載すれば、本実施態様の発光装置を照明に用いた場合には、基準の光で照明した場合と比較して、A)白黒の様な「無彩色の見え」が好ましく知覚され、B)白背景上の黒文字を含む印刷物、新聞等に記載されている文字が読みやすく知覚され、C)被験者自身の肌色等を含む、各種色相を有する「有彩色の色の見え」が好ましく知覚され、D)近似した色相を有する対象物の色を識別しやすく知覚され、E)同じ照度でありながら明るく感じられる効果がある事が確認された。
【0135】
さらに条件αに記載した青色半導体発光素子の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該青色発光素子の、素子単体パルス駆動時のドミナント波長λ
CHIP−BM−domは、445nm以上475nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、447.5nm以上470nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、452.5nm以上470nm以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、457.5nm近傍を選択することが格段に好ましい。なお、近傍とは±2.5nmを意味する。
【0136】
さらに条件βに記載した広帯域緑色蛍光体の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該広帯域緑色蛍光体の、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−GM−maxは511nm以上543nm以下であり、その半値全幅W
PHOS−GM−fwhmは90nm以上110nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−GM−maxは514nm以上540nm以下であり、その半値全幅W
PHOS−GM−fwhmは96nm以上108nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−GM−maxは520nm以上540nm以下であり、その半値全幅W
PHOS−GM−fwhmは96nm以上108nm以下を選択することが好ましく、
ランク+5の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−GM−maxは520nm以上530nm以下であり、その半値全幅W
PHOS−GM−fwhmは96nm以上104nm以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、全体の傾向から、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−GM−maxは521nm以上529nm以下であり、その半値全幅W
PHOS−GM−fwhmは97nm以上103nm以下を選択することがさらに格段に好ましいと考えられる。これらの傾向は、本実施態様の発光装置においては、分光分布φ
SSL(λ)の適切な位置に適切な大きさの凹凸を有するようにするために必要と考えられる傾向である。
【0137】
さらに、具体的な蛍光体材料としては、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該緑色蛍光体は、材料単体で光励起した際に緑色発光し、かつ、前記光学特性を満足するものであれば、特に限定されないが、LuAG蛍光体、CSO蛍光体、G−YAG蛍光体、CSMS蛍光体、BSS蛍光体、BSON蛍光体等を例示可能であって、
実施例全体の結果より、LuAG蛍光体、CSO蛍光体、G−YAG蛍光体、CSMS蛍光体を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、LuAG蛍光体、CSO蛍光体、G−YAG蛍光体を選択することが好ましく、
ランク+5の結果より、LuAG蛍光体、CSO蛍光体を選択することが格段に好ましい。
【0138】
さらに条件γに記載した赤色蛍光体の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該赤色蛍光体の、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−RM−maxは622nm以上663nm以下であり、その半値全幅W
PHOS−RM−fwhmが80nm以上105nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−RM−maxは625nm以上660nm以下であり、その半値全幅W
PHOS−RM−fwhmが87nm以上99nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−RM−maxは645nm以上660nm以下であり、その半値全幅W
PHOS−RM−fwhmが88nm以上99nm以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−RM−maxは645nm以上660nm以下であり、その半値全幅W
PHOS−RM−fwhmが88nm以上89nm以下を選択することが格段に好ましい。
加えて、全体の傾向から、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−RM−maxは、632nm以上660nm以下であり、その半値全幅W
PHOS−RM−fwhmが88nm以上99nm以下を選択することは好ましいと考え得る。
【0139】
さらに、具体的な蛍光体材料としては、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該赤色蛍光体は、材料単体で光励起した際に赤色発光し、かつ、前記光学特性を満足するものであれば、特に限定されないが、CASN蛍光体、CASON蛍光体、SCASN蛍光体を例示可能であって、
実施例全体の結果よりCASN蛍光体、CASON蛍光体、SCASN蛍光体を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果よりCASN蛍光体、CASON蛍光体を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果よりCASN蛍光体を選択することが格段に好ましい。
【0140】
さらに条件1に記載した指標A
cgの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該指標は、−10.0より大きく120.0以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、−4.6以上116.3以下を選択することが若干好ましく、
ランク+3から+5の結果より、−4.6以上87.7以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、−4.6以上70.9以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、−1.5以上26.0以下を選択することが格段に好ましい。
【0141】
さらに条件2に記載したD
uvSSLの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該距離D
uvSSLは、−0.0220以上−0.0070以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、−0.0212以上−0.0071以下を選択することが若干好ましく、
ランク+3から+5の結果より、−0.0184以上−0.0084以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、−0.0161以上−0.0084以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、−0.0145以上−0.0085以下を選択することが格段に好ましい。
なお、全体の傾向からD
uvSSLは、−0.0145以上−0.0090以下を選択することがさらに格段に好ましく、−0.0140以上−0.0100未満を選択することがよりさらに格段に好ましく、−0.0135以上−0.0120未満を選択することがなおよりさらに格段に好ましいと考え得る。
【0142】
さらに、条件3に記載した値φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該値φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxは、0.2250以上0.7000以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、0.2278以上0.6602以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、0.2427以上0.6225以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、0.2427以上0.5906以下を選択することが格段に好ましい。
【0143】
さらに、条件4に記載した波長λ
SSL−RM−maxの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該波長λ
SSL−RM−maxは、605nm以上653nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、606nm以上652nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+3から+5の結果より、607nm以上647nm以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、622nm以上647nmを選択することが非常に好ましい。また、ここまでの傾向から、λ
SSL−RM−maxは625nm以上647nm以下を選択する事がさらに非常に好ましいと考え得る。
加えて、ランク+5の結果より、630nm以上647nm以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、全体の傾向から、λ
SSL−RM−maxは631nm以上647nm以下を選択する事がさらに格段に好ましいと考え得る。
これらの傾向は、本実施態様の発光装置においては、分光分布φ
SSL(λ)の適切な位置に適切な大きさの凹凸を有するようにするために必要と考えられる傾向である。
【0144】
さらに、条件5に記載した波長λ
SSL−BM−maxの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該波長λ
SSL−BM−maxは、430nm以上480nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、440nm以上460nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、447nm以上460nmを選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、450nm以上457nm以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、全体の傾向から、λ
SSL−BM−maxは451nm以上456nm以下を選択する事がさらに格段に好ましいと考え得る。
これらの傾向は、本実施態様の発光装置においては、分光分布φ
SSL(λ)の適切な位置に適切な大きさの凹凸を有するようにするために必要と考えられる傾向である。
【0145】
さらに、条件6に記載した値φ
SSL−BG−min/φ
SSL−RM−maxの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該値φ
SSL−BG−min/φ
SSL−RM−maxは、0.1800以上0.8500以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、0.1917以上0.8326以下を選択することが若干好ましく、
ランク+3から+5の結果より、0.1917以上0.6207以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、0.1917以上0.6202以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、0.1917以上0.5840以下を選択することが格段に好ましい。
また、全体の傾向から、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−RM−maxは、0.1917以上0.7300以下を選択することは好ましいと考え得る。
これらの傾向は、本実施態様の発光装置においては、分光分布φ
SSL(λ)の適切な
位置に適切な大きさの凹凸を有するようにするために必要と考えられる傾向である。
【0146】
さらに、条件7に記載した放射効率K(lm/W)の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該放射効率K(lm/W)は、210.0(lm/W)以上290.0(lm/W)以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、212.2(lm/W)以上286.9(lm/W)以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、212.2(lm/W)以上282.3(lm/W)以下を選択することが好ましく、
ランク+4から+5の結果より、212.2(lm/W)以上261.1(lm/W)以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、212.2(lm/W)以上256.4(lm/W)以下を選択することが格段に好ましい。
【0147】
さらに、条件8に記載した相関色温度T
SSL(K)の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該相関色温度T
SSL(K)は、2600(K)以上7700(K)以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、2644(K)以上7613(K)以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、2644(K)以上6797(K)以下を選択することが非常に好ましい。
【0148】
さらに、条件Iに記載した飽和度差ΔC
nの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該飽和度差ΔC
nは、−4.00以上8.00以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、−3.49以上7.11以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、−3.33以上7.11以下を選択することが好ましく、
ランク+4から+5の結果より、−1.73以上6.74以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、−0.93以上6.74以下を選択することが格段に好ましい。
【0149】
さらに、条件IIに記載したSAT
aveの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該SAT
aveは、0.50以上4.00以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、0.53以上3.76以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、1.04以上3.76以下を選択することが好ましく、
ランク+3から+5の結果より、1.11以上3.76以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、1.40以上3.76以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、1.66以上3.76以下を選択することが格段に好ましい。
【0150】
さらに、条件IIIに記載した、飽和度差の最大値と飽和度差の最小値との間の差|ΔC
max−ΔC
min|の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該差|ΔC
max−ΔC
min|は、2.00以上10.00以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、3.22以上9.52以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、4.12以上7.20以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、4.66以上7.10以下を選択することが格段に好ましい。
【0151】
さらに、条件IVに記載した色相角差の絶対値|Δh
n|の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該色相角差の絶対値|Δh
n|は、0.00以上12.50以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、0.00以上12.43以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、0.01以上12.43以下を選択することが好ましく、
ランク+3から+5の結果より、0.02以上12.43以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、0.02以上9.25以下を選択することが非常に好ましい。
【0152】
なお、色相角差の絶対値|Δh
n|は0である事が望まれると考えられる事から、その値の下限を変えて、理想的には
0.00以上12.43以下を選択することがより好ましく、
0.00以上9.25以下を選択することが非常に好ましく、さらには、
0.00以上7.00以下を選択することがより非常に好ましく、
0.00以上5.00以下を選択することがさらに非常に好ましいと考えられる。
【0153】
色の見えに関して、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる」発光装置によって実現される色の見えは、以上の検討から、条件Iから条件IVを同時に満足していると定量化されることも分かる。
【0154】
<詳細説明2>
なお、実施例1から実施例52記載の発光装置から出射された光は、それぞれ実験用基準光を発する発光装置による色の見えよりも優れていることは比較視覚実験で確認された。同時に、光源効率ηが大幅に向上したことも以下の通り確認された。表8は、表2で示した比較例2、参考例1のA
cg値と光源効率ηをまとめたものである。
【0155】
【表8】
【0156】
一方、表9は、表3から表7に示した実施例から、T
SSLが3800Kから4200K、D
uvSSLが−0.0125以上−0.0100以下に該当する発光装置を全て抽出し、極力公正に比較例2、参考例1と比較できるようにしたものである。表9には、実施例1、2、3、19、21,23、41、42から導出した値をまとめている。表8によれば、A
cgの平均値は−51.8で、ηの平均値は47.0(lm/W)であったが、表9ではA
cgの平均値+51.4で、ηの平均値は65.5(lm/W)であった。
表8に示した発光装置と、表9に示した発光装置では、平均的に見て照明対象物の色の見えの差異は大きくない。ここにおいて、表8に示した従来の発光装置に比較して、表9に示した本実施態様の発光装置の光源効率は、約39%増となった事が分かる。
【0157】
【表9】
【0158】
<詳細説明3>
表10から表15は本実施態様の比較例(ランク−1からランク−5)を、それぞれ次の観点でまとめたものである。さらに、
図15から
図27は、それぞれの表から分光分布とCIELAB色空間を例示したものである。
【0159】
【表10-1】
【0160】
【表10-2】
【0161】
【表11-1】
【0162】
【表11-2】
【0163】
【表12-1】
【0164】
【表12-2】
【0165】
【表13-1】
【0166】
【表13-2】
【0167】
【表14-1】
【0168】
【表14-2】
【0169】
【表15-1】
【0170】
【表15-2】
【0171】
表10は、適切な青色半導体発光素子、適切な広帯域緑色蛍光体、適切な赤色蛍光体を用いているものの、「D
uvSSLが−0.0220より小さく、かつ、A
cgが−10以下である場合」を例示している。
【0172】
表11は、適切な青色半導体発光素子、適切な赤色蛍光体を用いており、A
cgも適切な範囲であるものの、「中間波長領域の発光要素として黄色蛍光体を用いたために、その結果としてφ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxが0.225より小さくなってしまっている場合」を例示している。
【0173】
表12は、適切な青色半導体発光素子、適切な赤色蛍光体を用いており、D
uvSSLも、A
cgも適切な範囲であるものの、「中間波長領域の発光要素として狭帯域緑色蛍光体を用いたために、その結果としてφ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxが0.225より小さくなってしまっている場合」を例示している。
【0174】
表13は、適切な青色半導体発光素子、適切な広帯域緑色蛍光体、適切な赤色蛍光体を用いており、A
cgも適切な範囲であるものの、「分光分布を特徴付けるD
uvSSL、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−max、λ
SSL−RM−maxのいずいれかが適切でない場合」を例示している。
【0175】
表14は、適切な青色半導体発光素子、適切な広帯域緑色蛍光体、適切な赤色蛍光体を用いているものの、「D
uvSSLが−0.007より大きく、かつ、A
cgが+120より大きい場合」を例示している。
【0176】
表15は、適切な青色半導体発光素子、適切な広帯域緑色蛍光体、適切な赤色蛍光体を用いており、A
cgも適切な範囲であるものの、「φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxが0.7000より大きく、かつ、D
uvSSLが−0.007より大きい場合」を例示している。
【0177】
これらの結果を見ると発光装置としての分光分布φ
SSLは、条件1、条件2、条件3、条件4のすべてを満たさないと、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見え」と「光源効率向上」を両立した発光装置が実現出来ないことが分かる。さらに、その分光分布φ
SSLが条件1、条件2、条件3、条件4の少なくとも1つを満たさない発光装置は、色の見えに関する条件Iから条件IVの少なくとも1つを満たさず、同時に、比較視覚実験において、ランク−1からランク−5のいずれかに分類されたことも分かる。
【0178】
さらに、発光装置を構成する発光要素に関しては、狭帯域緑色蛍光体、黄色蛍光体を用いた場合には、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見え」と「光源効率向上」を両立した発光装置が実現出来なかった。これらは、色の見えに関する条件Iから条件IVの少なくとも1つを満たさず、同時に、比較視覚実験において、ランク−4に分類されたことも分かる。
【0179】
さらに、詳細にみると以下の通りである。
表10に示された「D
uvSSLが−0.0220より小さく、かつ、A
cgが−10以下である場合」に相当する比較例3、比較例4、比較例5においては、分光分布とCIELABプロットをそれぞれ
図15、
図16、
図17に例示した。これらには、それぞれ以下の問題があった。
比較例3(
図15参照)においては、比較視覚実験においては「過剰にけばけばしく見えて」しまった。これらは
図15に示したCIELABプロットに示される飽和度向上度合いが過剰であったことに相当していると考えられる。さらに、この本質は、D
uvSSLもA
cgも過剰に負値であったためと考えられる。
比較例4(
図16参照)、比較例5(
図17参照)においては、比較視覚実験で、「一部の色は鮮やかに見えるものの、一部色はくすんで見えて」しまった。これらは、
図16、
図17に示したCIELABプロットの飽和度向上度合いが、各色票で比較的不均等で、一部色相においては基準の光よりも非飽和傾向となることと一致していると考えられる。また、一部色票においては、色相角が過剰に変化してしまい、色そのものの変化が大きすぎる事も、このような印象に含まれていると考えられる。
【0180】
一方、表11に示された「中間波長領域の発光要素として黄色蛍光体を用いたために、その結果としてφ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxが0.225より小さくなってしまっている場合」と、表12示された「中間波長領域の発光要素として狭帯域緑色蛍光体を用いたために、その結果としてφ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxが0.225より小さくなってしまっている場合」に関しては、比較例7と比較例10の分光分布とCIELABプロットをそれぞれ
図18と
図19に示した。これらには、それぞれ以下の問題があった。
これらの比較視覚実験においては「一部色は過剰にけばけばしく、一部色は過剰にくすんで見え、その差によって色の見えにかなり違和感が生じて」しまった。これらは、
図18と
図19に示されたCLELABプロットと一致する傾向である。さらに、この本質は
、比較例7(
図18参照)と比較例10(
図19参照)の通り、青色半導体発光素子に由来する分光分布と、それぞれの中間波長領域における発光を担う蛍光体由来の分光分布との間に出来る「465nm以上525nm以下程度の分光強度が弱い領域」において、その分光強度の低さが過剰であったために、照明対象物の色相によっては、基準の光よりも飽和度が上がり、一方、別の色相では、飽和度が下がることが起きたためと考えられる。また、一部色票においては、色相角が過剰に変化してしまい、色そのものの変化が大きすぎる事も、このような印象に含まれていると考えられる。
逆に、広帯域緑色蛍光体を発光要素として用いると、これらの問題を容易に解決できる事から好ましいと考えられる。
【0181】
「φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxの値が0.2250よりも過剰に小さい場合」に相当する、表11に示された比較例6(図なし、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−max=0.1033)、表12に示された比較例10(
図19、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−max=0.0978)、表13に示された比較例15(
図20、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−max=0.1105)、および比較例18(
図22、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−max=0.1761)においては、たとえ条件1(A
cg値)、条件2(D
uvSSL値)、条件4(λ
SSL−RM−max値)が満たされたとしても、数学的に導出される特定15修正マンセル色票の色の見えは、一部が過剰な飽和度傾向となり、また一部が過剰に非飽和傾向となってしまった。また、これらの発光装置を用いて比較視覚実験を行った際のランクは−4となってしまった。
【0182】
なお、これらφ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxが過剰に小さい状況を回避するための手段としては、以下の様な方策が考えられる。まず、第一の手段としては、広帯域緑色蛍光体を使用することが可能である。広帯域緑色蛍光体を使用した場合、このようにすると比較例6、比較例10に示されるφ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxが過剰に小さい状況は回避可能である。
【0183】
さらにφ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxが過剰に小さい状況を回避する第二の手段としては、広帯域緑色蛍光体を使用した上で、さらに、適切な波長を有する青色半導体発光素子を使用する事が考えられる。本実施態様においては、実施例から、445.0nm以上475.0nm以下のパルス駆動時ドミナント波長を有する青色半導体発光素子を選択可能であって、より好ましくは447.5nm以上470.0nm以下のパルス駆動時ドミナント波長を有する青色半導体発光素子を選択可能であって、格段に好ましくは457.5nm±2.5nmのパルス駆動時ドミナント波長を有する青色半導体発光素子を選択可能である。
【0184】
なお、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxを過剰に小さくしないためには、λ
CHIP−BM−domは、さらに長波長化とするのが好ましいとも考え得るが、これは正しくない。λ
CHIP−BM−domの好ましい範囲は上記の通りである。これは以下の理由による。
先ず、青色半導体発光素子は、主にサファイア基板上、Si基板上、SiC基板上、GaN基板上にエピタキシャル成長されたAlGaInN系半導体発光素子であるが、これらの内部量子効率は量子井戸層のIn組成、すなわちλ
CHIP−BM−domに依存する。ここで、例えばInGaN量子井戸層を考える。465nm以上525nm以下に十分な分光強度を有する量子井戸層のIn組成は、最も内部量子効率が高くなる条件と比較すると、これを低減してしまうほどの高濃度となるため、「色の見えと発光装置の光源効率の両立」を図る観点から好ましくない。
さらに、色の見えに関して考えると、λ
CHIP−BM−domが過剰に長波長化し、φ
SSL(λ)の短波長領域の適切部分に発光要素由来の分光強度が存在しなくなると、
数学的に導出される特定15修正マンセル色票の色の見えは、一部が過剰な飽和傾向となり、また一部が過剰に非飽和傾向となってしまう。具体的には、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxが過剰に小さくなった場合とは異なる色票で、飽和/非飽和の傾向が発生してしまう。よって、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxを過剰に小さくしないために、λ
CHIP−BM−domを過剰に長波長化とするのは好ましくない。
【0185】
さらにφ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxが過剰に小さな状況を回避する第三の手段としては、以下が考えられる。具体的には、445.0nm以上475.0nm以下のパルス駆動時ドミナント波長を有する青色半導体発光素子を用いて第一のλ
CHIP−BM−domを設定し、かつ、中間波長領域の発光要素として黄色蛍光体あるいは狭帯域緑色蛍光体等を使用した場合では、短波長領域と中間波長領域にまたがる465nm以上525nm以下の範囲で、発光要素をさらに追加する事が考えうる。このためには、465nm以上525nm以下の領域にその分光分布の中心が存在する第二のλ
CHIP−BM−domを有するAlGaInN系青色半導体発光素子、第二のλ
CHIP−BM−domを有するGaP基板上のGaPによる黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)などを選択し、追加可能である。さらに、ここに広帯域緑色蛍光体を混在させることも可能である。
しかしながら、本実施態様の発光装置においては、照明対象物の色の見えとともに光源効率の向上も重要であって、過度に発光要素を増やす事は、相互吸収、ストークス損失の増大など光源効率の低下につながる場合もある事から必ずしも好ましくない。この観点では、中間波長領域の発光要素としては、黄色蛍光体あるいは狭帯域緑色蛍光体等を使用して、さらに他の発光要素を加える事は好ましくない。すなわち、本実施態様の発光装置においては、黄色蛍光体あるいは狭帯域緑色蛍光体等を使用する事は可能ではあるが、必ずしも好ましくなく、中間波長領域の発光要素としては、広帯域緑色蛍光体を用いる事が好ましい。
【0186】
表13に示された「分光分布を特徴付ける、D
uvSSL、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−max、λ
SSL−RM−maxのいずいれかが適切でない場合」に相当する比較例15、比較例16、比較例18においては、分光分布とCIELABプロットをそれぞれ
図20、
図21、
図22に例示した。これらには、それぞれ以下の問題があった。
比較例15(
図20参照)と、比較例18(
図22参照)においては、比較視覚実験においては「一部色は過剰にけばけばしく、一部色は過剰にくすんで見え、その差によって色の見えにかなり違和感が生じて」しまった。これらは
図20と
図22に示したCIELABプロットに示される飽和度変化の度合いが、照明対象物の色相によっては基準の光よりも飽和度が上がり、一方、別の色相では飽和度が下がることと一致していると考えられる。この本質は、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxが過剰に小さい値であったためと考えられる。
【0187】
比較例16(
図21参照)においては、比較視覚実験で、「一部の色は鮮やかに見えるものの、一部色はくすんで見えて」しまった。これらは、
図21に示したCIELABプロットの飽和度向上度合いが比較的不均等で、一部色相においては基準の光よりも非飽和傾向となることと一致していると考えられる。この本質はλ
SSL−RM−maxが適切な範囲よりも短波長側となっていたためであると考えられる。また、一部色票においては、色相角が過剰に変化してしまい、色そのものの変化が大きすぎる事も、このような印象に含まれていると考えられる。
【0188】
表14に示された、「D
uvSSLが−0.007より大きく、かつ、A
cgが+120より大きい場合」に相当する比較例19、比較例22、比較例23においては、分光分
布とCIELABプロットをそれぞれ
図23、
図24、
図25に例示した。これらには、それぞれ以下の問題があった。
【0189】
比較例19(
図23参照)と、比較例22(
図24参照)においては、比較視覚実験においては「全体にくすんで見えた」と判断された。これらは
図23、
図24に示したCIELABプロットに示される飽和度変化の度合いが、照明対象物の色相によらずに、全体に非飽和傾向となったことと一致していると考えられる。この本質は、D
uvSSLとA
cgが過剰に大きな値であったためと考えられる。一方、比較例23(
図25参照)においては、比較視覚実験においては「色の見えの改善が感じられなかった。一部色では色の見えが劣っていた。」と判断された。これらは
図25に示したCIELABプロットに示される飽和度変化の度合いが小さく、基準の光と同程度である事と一致していると考えられる。この本質は、D
uvSSLとA
cgが過剰に大きな値であったためと考えられる。
【0190】
表15に示された、「φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxが0.7000より大きく、かつ、D
uvSSLが−0.007より大きい場合」に相当する比較例26、比較例27においては、分光分布とCIELABプロットをそれぞれ
図26、
図27に例示した。これらには、それぞれ以下の問題があった。
【0191】
比較例26(
図26参照)と、比較例27(
図27参照)においては、比較視覚実験においては、それぞれ「全体にくすんで見えた」、「一部色は鮮やかに見えるものの、一部色はくすんで見えた」と判断された。これらは
図26に示したCIELABプロットに示される飽和度変化の度合いが、照明対象物の色相によらずに、おおまかには非飽和傾向となったこと、
図27においては、飽和度向上度合いが比較的不均等で、一部色相においては基準の光よりも非飽和傾向となったことと一致していると考えられる。この本質は、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxが過剰に大きく、かつ、D
uvSSLが過剰に大きいかったためと考えられる。比較視覚実験上のランクは、比較例26、比較例27においては、それぞれ−5、−2と低くなってしまっている。よって、「色の見えと発光装置の光源効率の両立」を図る本実施態様の発光装置を実現するためには、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxを十二分に制御する必要がある。比較例26、比較例27では、分光分布内の465nm以上525nm以下の領域に適切な大きさの凹凸が形成されず、凹凸が小さすぎた事が問題であったと考えられる。
なお、同様に、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−RM−maxも十二分に制御する必要がある。これらφ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−maxとφ
SSL−BG−min/φ
SSL−RM−maxの適切な範囲は、総じて言えば、本実施態様の効果を発現するために、発光装置の分光分布φ
SSL(λ)内の適切な位置に、適切な大きさの凹凸を有するようにする事が肝要である事を示している。
【0192】
本実施態様に係る発光装置を実施するための好ましい実施形態を以下に説明するが、本実施態様に係る発光装置を実施するための態様は、以下の説明で用いたものに限定されない。
【0193】
本実施態様に係る発光装置は、発光装置から主たる放射方向に出射され、照明対象物に対して照射された色刺激となる試験光の放射計測学的特性、測光学的特性が適切な範囲にあれば、発光装置の構成、材料等に制約はない。
【0194】
本実施態様に係る発光装置を実施するための照明光源、当該照明光源を含む照明器具、当該照明光源や照明器具を含む照明システム等の発光装置は、青色半導体発光素子を含んでいる。
なお、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、半導体発光素子を含む照明光源は、青色半導体発光素子のほかに、たとえば緑色、赤色の種類の異なる
複数の半導体発光素子を1つの照明光源中に内包していてもよく、また、1つの照明光源の中には青色半導体発光素子を含み、異なる1つの照明光源中に緑色半導体発光素子を含み、さらに異なる1つの照明光源中に赤色半導体発光素子を含み、これらが照明器具の中でレンズ、反射鏡、駆動回路等とともに一体とされて照明システムに提供されてもよい。さらに、1つの照明器具中に1つの照明光源があり、この中に単体の半導体発光素子が内包されているような場合であって、単体の照明光源、照明器具としては本実施態様に係る発光装置を実施できないものの、照明システム中に存在する異なる照明器具からの光との加法混色によって、照明システムとして放射される光が、照明対象物の位置で所望の特性を満足するようにしてもかまわないし、照明システムとして放射される光のうち主たる放射方向の光が、所望の特性を満足するようにしてもかまわない。いずれのような形態であっても、照明対象物に最終的に照射される色刺激としての光が、又は、発光装置から出射される光のうち主たる放射方向の光が、本実施態様の適切な条件を満たせばよい。
【0195】
以下は、前記の適切な条件を満たしたうえで、本実施態様に係る発光装置に関して記載する。
【0196】
本実施態様に係る発光装置は、Λ1(380nm)からΛ2(495nm)の短波長領域内にピークを有する発光要素(発光材料)を有し、かつ、Λ2(495nm)からΛ3(590nm)の中間波長領域内にピークを有する別の発光要素(発光材料)を有し、さらに、Λ3(590nm)から780nmまでの長波長領域内にピークを有するさらに別な発光要素(発光材料)を有することが好ましい。これはそれぞれの発光要素を独立して強度設定あるいは強度制御することが、好ましい色の見えを容易に実現し得るからである。
【0197】
よって、本実施態様に係る発光装置は、上記それぞれの3波長領域中に発光ピークを有する発光要素(発光材料)を少なくとも1種類ずつ有する。
なお、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、当該3波長領域の中の2領域には1種類ずつ、他の1領域は複数の発光要素(発光材料)を有していてもよく、さらに、当該3波長領域中の1領域には1種類の、他の2領域は複数の発光要素(発光材料)を有していてもよく、当該3波長領域のすべてにおいて、複数の発光要素を有していてもよい。
【0198】
本実施態様では、半導体発光素子と蛍光体を自在に混合搭載することも可能であるが、少なくとも、青色発光素子と2種類(緑色、赤色)の蛍光体を1光源内に搭載する。また、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、青色発光素子と3種類(緑色、赤色1、赤色2)の蛍光体を1光源内に搭載してもよく、1つの光源の中に、青色発光素子と2種類(緑色、赤色)の蛍光体搭載している部分と、紫色発光素子と3種類の蛍光体(青色、緑色、赤色)を搭載している部分を内包させてもよい。
【0199】
本実施態様に係る発光装置においては、各3波長領域内の発光要素(発光材料)は、ピーク部分の強度やピーク間の谷の強度を制御する観点から、すなわち適切な凹凸を分光分布に形成する観点から、以下の発光材料、蛍光体材料、半導体発光素子が発光要素として発光装置に内包することが好ましい。
【0200】
まず、当該3波長領域の中のΛ1(380nm)からΛ2(495nm)の短波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、レーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも半導体発光素子からの発光は、小型でエネルギー効率が高いことから、好ましい。
【0201】
具体的には、以下を用いることができる。
半導体発光素子としては、サファイア基板上やGaN基板上に形成されたIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む青色発光素子が好ましい。また、GaAs基板上に形成されたZn(Cd)(S)Se系材料を活性層構造中に含む青色発光素子も好ましい(好ましいピーク波長は、既に説明したとおりである。)。
【0202】
なお、半導体発光素子や蛍光体等の発光要素(発光材料)の呈する放射束の分光分布や、そのピーク波長は、周辺温度、パッケージや灯具等の発光装置の放熱環境、注入電流、回路構成、あるいは場合によっては劣化等によって、若干変動するのが常である。
以下に述べる半導体発光素子や蛍光体等の発光要素(発光材料)の呈する放射束の分光分布やそのピーク波長についても、同様のことが言える。
【0203】
活性層構造は、量子井戸層とバリア層を積層した多重量子井戸構造でも、あるいは比較的厚い活性層とバリア層(あるいはクラッド層)を含む一重あるいは二重ヘテロ構造でも、1つのpn接合からなるホモ接合であってもよい。
【0204】
また、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、発光要素として、青色半導体レーザなどの半導体レーザを用いてもよい。
【0205】
本実施態様に係る発光装置で用いる短波長領域の半導体発光素子は、その発光スペクトルの半値全幅が比較的広いことが好ましい。この観点で、短波長領域で用いる青色半導体発光素子の半値全幅は、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、15nm以上が非常に好ましく、20nm以上が格段に好ましい。ただし、格段に広い発光スペクトルを有する場合もφ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−max、φ
SSL−BG−min/φ
SSL−RM−max等を制御しにくくなってしまい、分光分布φ
SSL(λ)の適切な位置に適切な大きさの凹凸を形成できなくなってしまう。このため、半値全幅は45nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、35nm以下が非常に好ましく、30nm以下が格段に好ましい。
【0206】
本実施態様に係る発光装置で用いる短波長領域の青色半導体発光素子は、In(Al)GaN系材料を活性層構造中に含むことが好ましいことから、サファイア基板上またはGaN基板上に形成された発光素子であることが好ましい。
【0207】
また、基板の厚みは厚い場合か、青色半導体発光素子から完全に剥離されている場合のいずれかが好ましい。特にGaN基板上に短波長領域の青色半導体発光素子を作成した場合においては、GaN基板側壁からの光取り出しを助長するように、基板は厚いことが好ましく、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましく、400μm以上が非常に好ましく、600μm以上が格段に好ましい。一方で素子作成上の便から基板厚みは2mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.6mm以下が非常に好ましく、1.4mm以下が格段に好ましい。
【0208】
一方サファイア基板上等に発光素子を作成した場合においては、レーザリフトオフ等の方法で基板を剥離しておくことが好ましい。このようにするとIn(Al)GaN系エピタキシャル層とサファイア基板の光学界面によって発生する内部反射がなくなり、光取り出し効率を向上させ得る。このため、このような発光素子を用いて本実施態様の発光装置を作製する事は、光源効率の向上につながるため、好ましい。
【0209】
なお、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、本実施態様に係る発光装置は、短波長領域の蛍光体材料を含んでいてもよい。
【0210】
なお、本実施態様においては、上述したφ
SSL(λ)は380nm以上405nm以下の範囲において発光要素由来の実効強度を有さないことが好ましい。ここで、「発光要素由来の実効強度を有さない」とは、φ
SSL(λ)が、当該範囲の波長λ
fにおいて発光要素由来の強度を有する場合であっても、上述した諸条件を満たし本実施態様が奏効する場合をいう。さらに具体的には、φ
SSL(λ)の最大分光強度で規格化した当該波長範囲における発光要素由来の強度φ
SSL(λ
f)が、380nm以上405nm以下の任意の波長λ
fにおいて、相対強度として、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、非常に好ましくは3%以下、格段に好ましくは1%以下の場合をいう。
したがって、青色発光素子(例えば、発振波長が445nmから485nm程度の青色半導体レーザ等)等の青色発光要素を用いる本実施態様では、380nm以上405nm以下の範囲における発光要素由来の強度が上記相対強度の範囲内であれば、発光要素由来のノイズとして強度を有してもよい。
【0211】
次いで、当該3波長領域の中のΛ2(495nm)からΛ3(590nm)の中間波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、非線形光学効果を用いた二次高調波発生(SHG)等を含むレーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光が好ましい。
【0212】
なお、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、半導体発光素子からの発光、半導体レーザ、SHGレーザからの発光を含んでいてもよく、これらは小型で、エネルギー効率が高いことから、好ましい。
半導体発光素子としては、サファイア基板上あるいはGaN基板上のIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む青緑発光素子(ピーク波長が495nmから500nm程度)、緑色発光素子(ピーク波長が500nmから530nm程度)、黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)などを挙げることができる。また、GaP基板上のGaPによる黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、GaP基板上のGaAsPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)などを挙げることができる。さらに、GaAs基板上のAlInGaPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)などを挙げることができる。
【0213】
本実施態様に係る発光装置に用いる中間波長領域の緑色蛍光体材料の具体例としては、Ce
3+を付活剤としたアルミン酸塩、Ce
3+を付活剤としたイットリウムアルミニウム酸化物、Eu
2+付活アルカリ土類ケイ酸塩結晶、Eu
2+付活アルカリ土類ケイ酸窒化物を母体とする緑色蛍光体がある。これらの緑色蛍光体は、通常、紫外〜青色半導体発光素子を用いて励起可能である。
【0214】
Ce
3+付活アルミン酸塩蛍光体の具体例には、下記一般式(4)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
Y
a(Ce,Tb,Lu)
b(Ga,Sc)
cAl
dO
e (4)
(一般式(4)において、a、b、c、d、eが、a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0.1≦c≦2.6、および10.8≦e≦13.4を満たす。)(一般式(4)で表されるCe
3+付活アルミン酸塩蛍光体をG−YAG蛍光体と呼ぶ。)
特にG−YAG蛍光体においては、一般式(4)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらに、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−GM−maxと半値全幅W
PHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.01≦b≦0.05かつ0.1≦c≦2.6である事が好ましく、
0.01≦b≦0.05かつ0.3≦c≦2.6である事がより好ましく、
0.01≦b≦0.05かつ1.0≦c≦2.6である事が非常に好ましい。
また、
0.01≦b≦0.03かつ0.1≦c≦2.6である事も好ましく、
0.01≦b≦0.03かつ0.3≦c≦2.6である事がより好ましく、
0.01≦b≦0.03かつ1.0≦c≦2.6である事が非常に好ましい。
【0215】
Ce
3+付活イットリウムアルミニウム酸化物系蛍光体の具体例には、下記一般式(5)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
Lu
a(Ce,Tb,Y)
b(Ga,Sc)
cAl
dO
e (5)
(一般式(5)において、a、b、c、d、eが、a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0≦c≦2.6、および10.8≦e≦13.4を満たす。)(一般式(5)で表されるCe
3+付活イットリウムアルミニウム酸化物系蛍光体をLuAG蛍光体と呼ぶ。)
特にLuAG蛍光体においては、一般式(5)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−GM−maxと半値全幅W
PHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.00≦b≦0.13である事が好ましく、
0.02≦b≦0.13である事がより好ましく、
0.02≦b≦0.10である事が非常に好ましい。
【0216】
その他、下記一般式(6)および下記一般式(7)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
M
1aM
2bM
3cO
d (6)
(一般式(6)において、M
1は2価の金属元素、M
2は3価の金属元素、M
3は4価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、cおよびdが、2.7≦a≦3.3、1.8≦b≦2.2、2.7≦c≦3.3、11.0≦d≦13.0を満たす。)(一般式(6)で表される蛍光体をCSMS蛍光体と呼ぶ。)
【0217】
なお、上記式(6)において、M
1は2価の金属元素であるが、Mg、Ca、Zn、Sr、Cd、及びBaからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Mg、Ca、又はZnであるのが更に好ましく、Caが特に好ましい。この場合、Caは単独系でもよく、Mgとの複合系でもよい。また、M
1は他の2価の金属元素を含んでいてもよい。
M
2は3価の金属元素であるが、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Gd、及びLuからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Al、Sc、Y、又はLuであるのが更に好ましく、Scが特に好ましい。この場合、Scは単独系でもよく、YまたはLuとの複合系でもよい。また、M
2はCeを含むことを必須とし、M
2は他の3
価の金属元素を含んでいてもよい。
M
3は4価の金属元素であるが、少なくともSiを含むことが好ましい。Si以外の4価の金属元素M
3の具体例としては、Ti、Ge、Zr、Sn、及びHfからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Ti、Zr、Sn、及びHfからなる群から選択された少なくとも1種であるのがより好ましく、Snであることが特に好ましい。特に、M
3がSiであることが好ましい。また、M
3は他の4価の金属元素を含んでいてもよい。
【0218】
特にCSMS蛍光体においては、一般式(6)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−GM
−maxと半値全幅W
PHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましい範囲となるためには、M
2に含まれるCeのM
2全体に占める割合の下限は0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましい。また、M
2に含まれるCeのM
2全体に占める割合の上限は、0.10以下であることが好ましく、0.06以下であることがより好ましい。更に、M
1元素に含まれるMgのM
1全体に占める割合の下限は0.01以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましい。一方、上限は0.30以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましい。
【0219】
さらに、下記一般式(7)で表される蛍光体が挙げられる。
M
1aM
2bM
3cO
d (7)
(一般式(7)において、M
1は少なくともCeを含む付活剤元素、M
2は2価の金属元素、M
3は3価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、cおよびdが、0.0001≦a≦0.2、0.8≦b≦1.2、1.6≦c≦2.4、および3.2≦d≦4.8を満たす。)(一般式(7)で表される蛍光体をCSO蛍光体と呼ぶ。)
【0220】
なお、上記式(7)において、M
1は、結晶母体中に含有される付活剤元素であり、少なくともCeを含む。また、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbからなる群から選択された少なくとも1種の2〜4価の元素を含有させることができる。
M
2は2価の金属元素であるが、Mg、Ca、Zn、Sr、Cd、及びBaからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Mg、Ca、又は、Srであるのが更に好ましく、M
2の元素の50モル%以上がCaであることが特に好ましい。
M
3は3価の金属元素であるが、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Gd、Yb、及びLuからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Al、Sc、Yb、又はLuであるのが更に好ましく、Sc、又はScとAl、又はScとLuであるのがより一層好ましく、M
3の元素の50モル%以上がScであることが特に好ましい。
M
2及びM
3は、それぞれ2価及び3価の金属元素を表すが、M2及び/又はM3のごく一部を1価、4価、5価のいずれかの価数の金属元素としてもよく、さらに、微量の陰イオン、たとえば、ハロゲン元素(F、Cl、Br、I)、窒素、硫黄、セレンなどが、化合物の中に含まれていてもよい。
【0221】
特にCSO蛍光体においては、一般式(7)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−GM−maxと半値全幅W
PHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.005≦a≦0.200である事が好ましく、
0.005≦a≦0.012である事がより好ましく、
0.007≦a≦0.012である事が非常に好ましい。
【0222】
さらに、Eu
2+付活アルカリ土類ケイ酸塩結晶を母体とする蛍光体の具体例には、下記一般式(8)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
(Ba
aCa
bSr
cMg
dEu
x)SiO
4 (8)
(一般式(8)においてa、b、c、dおよびxが、a+b+c+d+x=2、1.0
≦ a ≦ 2.0、0 ≦ b < 0.2、0.2 ≦ c ≦1,0、0 ≦ d < 0.2および0 < x ≦ 0.5を満たす。)(一般式(8)で表されるアルカリ土類ケイ酸塩蛍光体をBSS蛍光体と呼ぶ。)
BSS蛍光体においては、一般式(8)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−GM−maxと半値全幅W
PHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなる
のは以下の範囲である。
0.20≦ c ≦1.00かつ0.25< x ≦ 0.50である事がより好ましく、
0.20≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.30である事が非常に好ましい。
さらに、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.00<x ≦ 0.50である事が好ましく、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.50である事がより好ましく、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.30である事が非常に好ましい。
【0223】
さらに、Eu
2+付活アルカリ土類ケイ酸窒化物を母体とする蛍光体の具体例には、下記一般式(9)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu)
3Si
6O
12N
2 (9)
(これをBSON蛍光体と呼ぶ)。
BSON蛍光体においては、一般式(9)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ
PHOS−GM−maxと半値全幅W
PHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
一般式(9)において選択できる2価金属元素(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu
)のうち、BaとSrとEuの組合せとすることが好ましく、さらには、Baに対するSrの比率は10〜30%とすることがより好ましい。
【0224】
また、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、その他、(Y
1−uGd
u)
3(Al
1−vGa
v)
5O
12:Ce,Eu(但し、u及びvはそれぞれ0≦u≦0.3、及び0≦v≦0.5を満たす。)で表されるイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(これをYAG蛍光体と呼ぶ。)や、Ca
1.5xLa
3−XSi
6N
11:Ce(但し、xは、0≦x≦1)で表されるランタン窒化ケイ素蛍光体(これをLSN蛍光体と呼ぶ。)などの黄色蛍光体を含んでもよい。また、Eu
2+付活サイアロン結晶を母体とするSi
6−zAl
zO
zN
8−z:Eu(ただし0<z<4.2)で表される狭帯域緑色蛍光体や(これをβ−SiAlON蛍光体と呼ぶ)を含んでもよい。ただし、前述のとおり、これら狭帯域緑色蛍光体、黄色蛍光体のみを中間波長領域の発光要素として発光装置を構成すると、照明対象物の所望の色の見えは実現困難となる。よって、本実施態様の発光装置においては、黄色蛍光体あるいは狭帯域緑色蛍光体等を、他の半導体発光素子、広帯域蛍光体等と組み合わせて使用する事は可能ではあるが、必ずしも好ましくない。中間波長領域の発光要素としては、広帯域緑色蛍光体を用いる事が好ましい。
【0225】
したがって、本実施態様に係る発光装置では、実質的に黄色蛍光体を含まないことが好ましい。ここで、「実質的に黄色蛍光体を含まない」とは、黄色蛍光体を含む場合であっても、上述した諸条件を満たし、本実施態様が奏する効果が得られる場合をいい、蛍光体全重量に対する黄色蛍光体重量が、好ましくは7%以下、より好ましくは5%以下、非常に好ましくは3%以下、格段に好ましくは1%以下の場合をいう。
【0226】
次いで、当該3波長領域の中のΛ3(590nm)から780nmの長波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、レーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光が好ましい。
【0227】
なお、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、半導体発光素子からの発光、半導体レーザ、SHGレーザからの発光を含んでいてもよく、これらは小型で、エネルギー効率が高いことから、好ましい。
半導体発光素子としては、GaAs基板上に形成されたAlGaAs系材料、GaAs基板上に形成された(Al)InGaP系材料を活性層構造中に含む橙発光素子(ピーク波長が590nmから600nm程度)、赤色発光素子(600nmから780nm)などを挙げることができる。また、GaP基板上に形成されたGaAsP系材料を活性層構造中に含む赤色発光素子(600nmから780nm)などを挙げることができる。
【0228】
本実施態様に係る発光装置に用いる長波長領域の蛍光体材料の具体例としては、Eu
2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物、αサイアロンまたはアルカリ土類ケイ酸塩からなる結晶を母体とする蛍光体が挙げられる。この種の赤色蛍光体は、通常、紫外〜青色半導体発光素子を用いて励起可能である。
【0229】
アルカリ土類ケイ窒化物結晶を母体とするものの具体例には、CaAlSiN
3:Euで表される蛍光体(これをCASN蛍光体と呼ぶ)、(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN
3:Euおよび/または(Ca,Sr,Ba)AlSiN
3:Euで表される蛍光体(これをSCASN蛍光体と呼ぶ)、(CaAlSiN
3)
1−x(Si
2N
2O)
x:Eu(ただし、xは0<x<0.5)で表される蛍光体(これをCASON蛍光体と呼ぶ)、(Sr,Ca,Ba)
2Al
xSi
5−xO
xN
8−x:Eu(ただし0≦x≦2)で表される蛍光体、Eu
y(Sr,Ca,Ba)
1−y:Al
1+xSi
4−xO
xN
7−x(ただし0≦x<4、0≦y<0.2)で表される蛍光体が挙げられる。
【0230】
その他、Mn
4+付活フッ化物錯体蛍光体も挙げられる。Mn
4+付活フッ化物錯体蛍光体は、Mn
4+を付活剤とし、アルカリ金属、アミンまたはアルカリ土類金属のフッ化物錯体塩を母体結晶とする蛍光体である。母体結晶を形成するフッ化物錯体には、配位中心が3価金属(B、Al、Ga、In、Y、Sc、ランタノイド)のもの、4価金属(Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Re、Hf)のもの、5価金属(V、P、Nb、Ta)のものがあり、その周りに配位するフッ素原子の数は5〜7である。
【0231】
具体的には、Mn
4+付活フッ化物錯体蛍光体は、アルカリ金属のヘキサフルオロ錯体塩を母体結晶とするA
2+xM
yMn
zF
n(AはNaおよび/またはK;MはSiおよびAl;−1≦x≦1かつ0.9≦y+z≦1.1かつ0.001≦z≦0.4かつ5≦n≦7)などが挙げられる。この中でも、AがK(カリウム)またはNa(ナトリウム)から選ばれる1種以上で、MがSi(ケイ素)またはTi(チタン)であるもの、例えば、K
2SiF
6:Mn(これをKSF蛍光体と呼ぶ)、この構成元素の一部(好ましくは10モル%以下)をAlとNaで置換したK
2Si
1−xNa
xAl
xF
6:Mn、K
2TiF
6:Mn(これをKSNAF蛍光体と呼ぶ)などが挙げられる。
【0232】
その他、下記一般式(10)で表される蛍光体、および下記一般式(11)で表される蛍光体も挙げられる。
(La
1−x−y,Eu
x,Ln
y)
2O
2S (10)
(一般式(10)において、x及びyはそれぞれ0.02≦x≦0.50及び0≦y≦0.50を満たす数を表し、LnはY、Gd、Lu、Sc、Sm及びErの少なくとも1種の3価希土類元素を表す。)(一般式(10)で表される酸硫化ランタン蛍光体をLOS蛍光体と呼ぶ。)
(k−x)MgO・xAF
2・GeO
2:yMn
4+ (11)
(一般式(11)において、k、x、yは、各々、2.8≦k≦5、0.1≦x≦0.7、0.005≦y≦0.015を満たす数を表し、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、またはこれらの混合物である。)(一般式(11)で表されるジャーマネート蛍光体をMGOF蛍光体と呼ぶ。)
【0233】
本実施態様においては、CASN蛍光体、CASON蛍光体、SCASN蛍光体のうち
1種のみを発光装置に含む構成は、光源効率を向上させるうえで好ましい。
一方で、KSF蛍光体、KSNAF蛍光体、LOS蛍光体、MGOF蛍光体は、その半値幅がそれぞれ、6nm程度、6nm程度、4nm程度、16nm程度と極端に狭いが、これら蛍光体を、CASN蛍光体、CASON蛍光体、SCASN蛍光体等と組み合わせて使用する事は、発光装置の分光分布φ
SSL(λ)に適切な範囲で凹凸を形成し得る場合があり、好ましい。
【0234】
これらの発光要素の組み合わせは、それぞれの発光要素の有するピーク波長位置、半値全幅等が、視覚実験で被験者が好ましいとした色の見え、物体の見えを実現するうえで、非常に好都合である。
【0235】
本実施態様に係る発光装置においては、これまで記載した発光要素(発光材料)を用いると、指標A
cg、距離D
uvSSL、値φ
SSL−BG−min/φ
SSL−BM−max、波長λ
SSL−RM−max等を所望の値に設定しやすくなるため、好ましい。また、当該光を色刺激としてとらえ、当該発光装置での照明を仮定した場合の当該15色票の色の見えと、計算用基準光での照明を仮定した場合の色の見えとの差に関するΔC
n、SAT
ave、|ΔC
max−ΔC
min|、|Δh
n|も、上記記載の発光要素を用いると所望の値に設定しやすくなるため、好ましい。
【0236】
本発明の第二の実施態様は、発光装置の設計方法である。本実施態様に係る設計方法によれば、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」の設計指針を提供することができる。すなわち、本発明の第一の実施態様の説明に沿って、発光装置を設計することで、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」が提供できる。すなわち、本発明の第二の実施態様については、第一の実施態様の説明がすべて援用され得る。