【実施例】
【0011】
以下の実施例の多くは、多能性ヒト細胞の使用について説明している。多能性ヒト細胞の作製方法は、当技術分野において周知であり、米国特許第5,453,357号明細書、第5,670,372号明細書、第5,690,926号明細書、第6,090,622号明細書、第6,200,806号明細書および第6,251,671号明細書、並びに米国特許出願公開第2004/0229350号明細書を含む多数の科学出版物に記載されており、これらの全開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0012】
実施例1
ヒトES細胞
内胚葉発生に関して研究するため、正常な核型を維持しながら、培養物中、一見無制限に分裂可能な、多能性のヒト胚性幹細胞を用いた。ES細胞は、分離に際し免疫学的または機械的方法のいずれかを使用し、5日目の胚の内部細胞塊から得た。具体的には、患者によるインフォームド・コンセントを得た後、体外受精サイクルの余剰の凍結受精卵から、ヒト胚性幹細胞株hESCyt−25を得た。解凍すると同時に、孵化した胚盤胞は、ES培地(DMEM、20%FBS、非必須アミノ酸、β−メルカプトエタノール、ITSサプリメント)において、マウスの胚線維芽細胞(MEF)上に蒔き培養した。胚は培養皿に付着し、約2週間後、未分化hESCの領域を、MEFを入れた新しい皿に移植した。移植は、機械的に切離し、ディスパーゼを用いて短時間分解し、引き続き細胞クラスターを機械的に除去し、洗浄し、そして再度蒔くことにより行なった。誘導以後、hESCyt−25は、100回に渡り連続継代した。胚体内胚葉を作製するための出発物質としてhESCyt−25ヒト胚性幹細胞株を用いた。
当技術分野における当業者にとっては当然のことであるが、幹細胞または他の多能性細胞も、本明細書に記載されている分化方法のための出発物質として使用することができる。例えば、当技術分野において周知の方法により分離することのできる、胚の生殖隆起から得られる細胞を、多能性細胞出発物質として使用することができる。
【0013】
実施例2
hESCyt−25特性
ヒト胚性幹細胞株のhESCyt−25は、培養物中において、18カ月に渡り正常な形態、核型、増殖、および自己複製特性を維持した。この細胞株は、OCT4、SSEA−4およびTRA−1−60抗原に対し強い免疫反応を示し、それら全抗原は、未分化hE
SCに特有なものであり、また、他の樹立したhESC株と同一の形態およびアルカリホスファターゼ活性を示す。さらに、ヒト幹細胞株hESCyt−25はまた、懸濁培養をした場合、容易に胚様体(EB)を形成する。多能性を実証するがごとく、hESCyT−25は、3つの主要な胚葉に対応する様々な細胞型に分化する。外胚葉の産生は、ZIC1に関してはQ−PCRにより、またネスチンおよびさらに成熟したニューロンマーカーに関しては免疫細胞化学(ICC)により立証した。β−IIIチューブリンの免疫細胞化学的染色が、初期ニューロンの特徴である細長い細胞のクラスターにおいて観察された。先に、レチノイン酸を用いてEBを懸濁処理し、多能性幹細胞の、胚外系列の臓側内胚葉(VE)への分化を誘導した。処理した細胞は、54時間の処理によりVEの二つのマーカーである、アルファフェトプロテイン(AFP)およびSOX7を高いレベルで発現した。単層で分化した細胞は、免疫細胞化学的染色により示されるように、弧発的な斑状にAFPを発現した。また、下記に説明するように、hESCyT−25細胞株は、AFPが発現することなく、SOX17に対するリアルタイムの定量ポリメラーゼ連鎖反応(Q−PCR)と免疫細胞化学により確認されるように、胚体内胚葉を形成することもできた。中胚葉への分化を立証するために、いくつかの時点で、Brachyury遺伝子の発現に関し、分化EBを分析した。Brachyuryの発現は、実験の間、漸次増加した。上記の点から、hESCyT−25株は、三つの胚葉に対応する細胞を形成する能力により示されるように、多能性を有する。
【0014】
実施例3
SOX17抗体の作製
hESC培養物において胚体内胚葉を同定する上での主要な障害は、適切な手段がないことである。そこで、ヒトSOX17タンパク質に対して産生される抗体の作製を行なった。
マーカーSOX17は、原腸形成の間に形成されるにつれ、胚体内胚葉全体において発現し、その発現は、器官形成が開始される頃まで、(発現量は、A−P軸に沿って異なるが)腸管内で維持される。また、SOX17は、胚外内胚葉細胞のサブセットにおいても発現する。中胚葉または外胚葉では、このタンパク質の発現は観察されていない。現在、SOX17は、胚外系列を除外するためにマーカーと併用した場合、胚体内胚葉系列に対する適切なマーカーであることが分かっている。
ここに詳細に説明するように、SOX17抗体は、SOX17陽性胚体内胚葉細胞の作製を目的とした、各種処理と分化方法の効果を具体的に調べるのに利用した。また、AFP、SPARCおよびトロンボモジュリンに反応する他の抗体も、臓側および壁側内胚葉(胚外内胚葉)の産生を除外するために使用した。
SOX17に対する抗体を作製するため、SOX17タンパク質(
図2)のC末端のアミノ酸172−414(配列番号:2)に対応するヒトのSOX17cDNA(配列番号:1)の一部を、抗体製造会社、GENOVAC社(フライベルク、ドイツ)において、そこで開発された方法により、ラットの遺伝子による免疫化に用いた。遺伝子による免疫化方法は、米国特許第5,830,876号明細書、第5,817,637号明細書、第6,165,993号明細書および第6,261,281号明細書、並びに国際公開第WO00/29442号および第WO99/13915号に見られ、これらの全開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
また、遺伝子による免疫化のための他の適切な方法は、非特許文献にも記載されている。例えば、Barry et al.は、Biotechniques16:616−620、1994に、遺伝子免疫化によるモノクローナル抗体の作製(the production of monoclonal antibodies by genetic immunization)について記載しており、その全開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。特定のタンパク質に対して抗体を産生する遺伝子免疫法の具体的な例は、例えば、Costaglia et al.、(1998)Genetic immunization against the human thyrotropin r
eceptor causes thyroiditis and allows production of monoclonal antibodies recognizing the native receptor、J.Immunol.160:1458−1465;Kilpatrick et al(1998)Gene gun delivered DNA−based immunizations mediate rapid production of murine monoclonal antibodies
to the Flt−3 receptor、Hybridoma 17:569−576;Schmolke et al.、(1998)Identification of hepatitis G virus particles in human serum by E2−specific monoclonal antibodies generated by DNA immunization、J.Virol.72:4541−4545;Krasemann et al.、(1999)Generation of monoclonal antibodies against proteins with an unconventional nucleic acid−based immunization strategy、J.Biotechnol.73:119−129;およびUlivieri et al.、(1996)Generation of a monoclonal antibody to a defined portion of the Heliobacter pylori vacuolating cytotoxin by DNA immunization、J.Biotechnol.51:191−194に見られ、これらの全開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
SOX7およびSOX18は、
図3に示す関係系統樹に描かれているように、SOX17に対し最も近いSoxファミリーである。SOX17抗体が、SOX17に特異的であり、尚且つ、その最も近いファミリーメンバーと反応しないことを立証するために、陰性対照として、ヒトのSOX7ポリペプチドを使用した。具体的には、遺伝子免疫化により作製された抗体が、SOX17に特異的であることを立証するために、SOX7および他のタンパク質を、ヒト線維芽細胞において発現させた後、ウェスタンブロットおよびICCによりSOX17抗体との交差反応を分析した。SOX17、SOX7およびEGFP発現ベクターの作製、それらのヒト線維芽細胞への形質移入、およびウェスタンブロットによる分析には、例えば、以下の方法を用いた。SOX17、SOX7およびEGFPの作製に使われた発現ベクターは、それぞれpCMV6(OriGene Technologies Inc.、ロックヴィル、メリーランド州)、pCMV−SPORT6(Invitrogen社、カールズバッド、カリフォルニア州)およびpEGFP−N1(Clonetech社、パロアルト、カリフォルニア州)であった。タンパク質の製造には、テロメラーゼ不死化MDXヒト線維芽細胞を、リポフェクタミン2000(Invitrogen社、カールズバッド、カリフォルニア州)の存在下で、スーパーコイルDNAに一過性に形質移入した。形質移入後36時間で、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Diagnostics Corporation、インディアナポリス、インディアナ州)を含む、50mMのTRIS−HCl(pH8)、150mMのNaCl、0.1%のSDS、0.5%のデオキシコール酸塩において、全細胞溶解物を回収した。NuPAGE(4〜12%の勾配ポリアクリルアミド、Invitrogen社、カールズバッド、カリフォルニア州)を用いてSDS−PAGEにより分離し、エレクトロブロッティングによりPDVF膜(Hercules社、カリフォルニア州)に移植した細胞タンパク質100μgのウェスタンブロット分析では、10mMのTRIS−HCl(pH8)、150mMのNaCl、10%のBSA、0.05%のTween−20(Sigma社、セントルイス、ミズーリ州)において、1/1000に希釈したラットのSOX17抗血清、引き続き、アルカリホスファターゼ標識抗ラットIgG(Alkaline Phosphatase conjugated anti−rat IgG)(Jackson ImmunoResearch Laboratories、ウエスト・グローブ、ペンシルバニア州)で検出し、ベクターブラックアルカリホスファターゼ染色(Vec
tor Black Alkaline Phosphatase staining)(Vector Laboratories、バーリンゲーム、カリフォルニア州)により明らかにした。採用したタンパク質サイズ基準は、広範囲のカラーマーカー(Sigma社、セントルイス、ミズーリ州)であった。
図4において、SOX17、SOX7またはEGFP cDNAが一過性に形質移入されたヒト線維芽細胞から作製した抽出タンパク質を、SOX17抗体を用いてウェスタンブロット上で検出した。hSOX17形質移入細胞からの抽出タンパク質のみが、ヒトのSOX17タンパク質の予測分子量46Kdaに近い51Kdaまでのバンドを生じさせた。ヒトのSOX7またはEGFP形質移入細胞のいずれかから作られた抽出物に対するSOX17抗体の反応は全くなかった。さらに、SOX17抗体は、hSOX17発現コンストラクトを形質移入されたヒト線維芽細胞の核を明確に標識したが、EGFPのみを形質移入された細胞は標識しなかった。このように、SOX17抗体は、ICCにより特異性を示した。
【0015】
実施例4
胚体内胚葉のマーカーとしてのSOX17抗体の検証
SOX17抗体が、ヒトSOX17タンパク質に対して特異的であり、さらには、胚体内胚葉を標識する証拠として、部分的に分化したhESCを、SOX17とAFP抗体で同時標識した。SOX遺伝子ファミリーサブグループF(
図3)の近縁関係にあるメンバーであるSOX7やSOX17およびAFPは、それぞれ臓側内胚葉で発現することが実証されている。しかしながら、AFPおよびSOX7は、胚体内胚葉細胞において、ICCにより検出できるレベルでは発現しないため、本物の胚体内胚葉細胞に対する陰性マーカーとして用いることができる。SOX17抗体は、離散的にグループ化した細胞として存在するか、或いはAFP陽性細胞と混ざり合う細胞集団を標識することが明らかにされた。特に、
図5Aは、少数のSOX17細胞が、AFPで同時標識されたことを示している。しかしながら、SOX17
+細胞の場にAFP
+細胞が、殆どまたは全くない領域も見られた(
図5B)。同様に、壁側内胚葉も、SOX17を発現すると報告されているため、壁側マーカーSPARCおよび/またはトロンボモジュリン(TM)と共にSOX17で同時標識している抗体は、壁側内胚葉であるSOX17
+細胞を同定するのに使用することができる。
図6A〜Cに示すように、トロンボモジュリンとSOX17とで同時標識された壁側内胚葉細胞は、hES細胞のランダムな分化により産生された。
上記の細胞標識実験から見て、胚体内胚葉細胞は、マーカープロファイルSOX17
hi/AFP
lo/[TM
loまたはSPARC
lo]により同定することができる。すなわち、SOX17マーカーの発現は、臓側内胚葉に特有のAFPマーカーおよび壁側内胚葉に特有のTMまたはSPARCマーカーの発現より多い。従って、SOX17に対しては陽性であるが、AFPおよびTMまたはSPARCに対しては陰性である細胞が、胚体内胚葉である。
胚体内胚葉を予測するSOX17
hi/AFP
lo/TM
lo/SPARC
loマーカープロファイルの特異性の更なる証拠を得るべく、SOX17およびAFP遺伝子発現を、量的に抗体標識細胞の相対数と比較した。
図7Aに示されているように、レチノイン酸(臓側内胚葉誘導物質)またはアクチビンA(胚体内胚葉誘導物質)で処理したhESCでは、SOX17mRNAの発現量に、10倍の差が生じた。この結果は、SOX17抗体標識細胞数における10倍の差を反映していた(
図7B)。さらに、
図8Aに示されているように、hESCのアクチビンA処理により、AFP遺伝子発現は、処理しなかった場合に比べ6.8倍抑制された。これは、
図8B〜Cに示されているように、これらの培養物におけるAFP標識細胞の数の著しい減少により、視覚的に示された。さらにこれを定量化するために、AFP遺伝子発現におけるこの約7倍の減少が、フローサイトメトリーにより測定したAFP抗体標識細胞数が同様に7倍減少した結果であることが立証された(
図9A〜B)。この結果は、Q−PCRにより確認される、遺伝子発現における量的変化が、抗体染色により観察される、細胞型の特異性における変化を反映することを示す点において極めて重要である。
ノーダルファミリーメンバー(ノーダル、アクチビンAおよびアクチビンB−NAA)の存在下におけるhESCの培養により、SOX17抗体標識細胞は、時間と共に著しく増加した。5日間継続したアクチビン処理により、50%を超える細胞が、SOX17で標識された(
図10A〜F)。5日間のアクチビン処理後、AFPで標識された細胞は、ほとんどまたは全くなかった。
つまり、ヒトのSOX17タンパク質のカルボキシ末端242アミノ酸に対して産生された抗体は、ウェスタンブロットでヒトのSOX17タンパク質を同定したが、その最も近いSOXファミリー類縁体である、SOX7は認識しなかった。SOX17抗体は、主としてSOX17
+/AFP
lo/−(標識細胞の95%を超える)である分化hESC培養物中の細胞の一部、並びにSOX17およびAFP(臓側内胚葉)で同時標識しているわずかなパーセンテージ(<5%)の細胞も認識した。hESC培養物のアクチビン処理により、SOX17遺伝子発現およびSOX17標識細胞が著しく増加し、AFPmRNAの発現やAFP抗体で標識された細胞の数は著しく抑制された。
【0016】
実施例5
Q−PCR遺伝子発現測定
以下の実験では、hESC分化に対する様々な処理の効果を調べる主な測定法として、リアルタイム定量RT−PCR(Q−PCR)を採用した。具体的には、遺伝子発現のリアルタイム測定結果を、Q−PCRにより複数の時点で、複数のマーカー遺伝子に関して分析した。細胞集団の全体的な動態に関する理解を深めるために、望ましいおよび望ましくない細胞型に特有のマーカー遺伝子を評価した。Q−PCR分析の長所としては、その感度が極めて高いことや、ゲノム配列が容易に入手可能であるため、必要なマーカーの開発が比較的容易であることが挙げられる。さらに、Q−PCRの極めて高い感度により、非常に大きな集団内の比較的少数の細胞から遺伝子発現を検出することが可能となる。また、極めて低レベルの遺伝子発現を検出する性能により、その集団内での「分化傾向」が示される。これらの細胞表現型の明らかな分化に先立って、免疫細胞化学技法を用いては、特定の分化経路に沿った傾向を認識することはできない。このため、Q−PCRは、分化処理の成果を調べる免疫細胞化学技法を少なくとも補完するものであり、尚且つ、その技法より潜在的にはるかに優れた分析方法を提供する。さらに、Q−PCRは、分析の準ハイスループットスケールでの定量フォーマットにおける分化プロトコルの成果を評価するメカニズムを提供する。
ここで取ったアプローチは、Rotor Gene3000装置(Corbett Research)でSYBR Greenケミストリを用い、且つ、ツーステップRT−PCRフォーマットを使用して、相対的な定量化を行うことであった。このようなアプローチにより、将来、更なるマーカー遺伝子を分析するためのcDNAサンプルを保存することが可能となり、よって、サンプル間の逆転写効率におけるばらつきを避けることができる。
プライマーは、極力、エキソン同士の境界上に位置するか、或いは少なくとも800bpのイントロンにまたがるように設計した。これは、コンタミしたゲノムDNAからの増幅を排除するように実験的に決定されたものである。イントロンを含まないマーカー遺伝子を採用した場合、またはマーカー遺伝子が偽遺伝子を有する場合、RNAサンプルのデオキシリボヌクレアーゼI処理を行なった。
我々は、細胞サンプルにおける遺伝子発現に関する幅広いプロファイルの説明を提供するために、標的または非標的細胞型の多数のマーカーの遺伝子発現の測定には、通常Q−PCRを利用した。hESC分化(具体的には、外胚葉、中胚葉、胚体内胚葉、および胚外内胚葉)の初期段階に関するマーカーで、そのための有効なプライマーセットが入手可能なものを下記表1に挙げている。また、これらのプライマーセットのヒト特異性も立証された。これは、hESCが多くの場合マウス支持細胞層で増殖することから、重要な事である。最も一般的には、それぞれの条件において三組のサンプルを採取し、個別に、各定量に関連した生物学的変動を評価するためにそれぞれのサンプルを二つずつ分析した。
PCRテンプレートを作成するために、総RNAは、RNeasy(Qiagen社)を用いて分離し、RiboGreen(Molecular Probes社)を用いて定量した。総RNA350〜500ngからの逆転写は、oligo−dTおよびランダムプライマーの混合物を含むiScript逆転写酵素キット(BioRad社)を使用して行なった。各20μLの反応物は、その後、総量100μLまで希釈し、3μLを、400nMの順方向および逆方向プライマーと5μLの2X SYBR Greenマスターミックス(Qiagen社)とを含む、各10μLのQ−PCR反応物に使用した。2段階のサイクリングパラメータを使用し、85〜94°C(各プライマーセットの単位複製配列の融解温度によって具体的に選択された)で5秒間の変性と、引き続き、60°Cで45秒間のアニール/伸長を採用した。蛍光データは、各伸長段階の最後の15秒間に収集した。3ポイント10倍希釈シリーズ(three point、10−fold dilution series)を、各回ごとに検量線を作成するために使用し、この検量線に基づいて、サイクル閾値(Ct)を定量値に変換した。各サンプルの定量化された値を、ハウスキーピング遺伝子能力に対して規準化した後、三組のサンプルに関して平均および標準偏差を計算した。PCRサイクルの終わりに際し、融解曲線分析を行い、反応物の特異性を確認した。単一の特定産物が、そのPCR単位複製配列に適したT
mで単一のピークにより示された。さらに、逆転写酵素なしで行われた反応は、陰性対照としての役目を果たし、増幅しない。
Q−PCR法を確立する上での第一段階は、実験系に適したハウスキーピング遺伝子(HG)を検証することであった。RNAインプット、RNAの完全性および逆転写効率に関する全サンプルの規準化にHGが使用されるため、規準化が有意であるためには、HGが、全種類のサンプルにおいて、長期に渡り一定レベルで発現することが重要であった。我々は、分化hESCにおいて、サイクロフィリンG、ヒポキサンチン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ1(HPRT)、ベータ−2−ミクログロブリン、ヒドロキシメチルビアン(hydroxymethylbiane)シンターゼ(HMBS)、TATA結合タンパク質(TBP)、およびグルクロニダーゼ(glucoronidase)ベータ(GUS)の発現量を測定した。我々の得た結果は、ベータ−2−ミクログロブリンの発現量が、分化するにしたがって上昇することを示した。従って、規準化のためのこの遺伝子の使用は除外した。他の遺伝子は、長時間に渡り、且つ全処理を通して一定の発現量を示した。我々は、通常、サイクロフィリンGおよびGUSの双方を使用し、全サンプルに関する規準化因子を計算した。多数のHGを使用することにより、規準化プロセスに伴う変動性を低減すると同時に、相対的な遺伝子発現値の信頼性を高める。
規準化に使用する遺伝子を得た後、Q−PCRを使用し、様々な実験処理を施す全サンプルにおいて、多くのマーカー遺伝子の相対的な遺伝子発現量を求めた。使用したマーカー遺伝子を選択したのは、それらが、初期胚葉の典型的な特定集団において濃縮を示すからであり、特に、胚体内胚葉および胚外内胚葉において、特異的に発現する遺伝子グループに集中したためである。これらの遺伝子およびそれらの相対的な濃縮分析結果を、表1に示す。
【表1】
多くの遺伝子が、一以上の胚葉で発現するため、同一実験において、多くの遺伝子の発現量を定量的に比較することが有益である。SOX17は、胚体内胚葉において発現し、臓側および壁側内胚葉では少しばかり発現する。SOX7およびAFPは、この初期発生の時点において臓側内胚葉で発現する。SPARCおよびTMは、壁側内胚葉で発現し、Brachyuryは初期中胚葉で発現する。
胚体内胚葉細胞は、SOX17mRNAを高度に発現し、AFPおよびSOX7(臓側内胚葉)、SPARC(壁側内胚葉)およびBrachyury(中胚葉)の発現レベルは低いものと予想された。さらに、ZIC1をここで使用し、初期外胚葉の誘導をさらに排除した。最終的に、GATA4およびHNF3bが、胚体および胚外内胚葉の両方において発現した。従って、それらは、胚体内胚葉におけるSOX17の発現と相関する(表1)。典型的な実験を、
図11〜14に示している。
図11〜14は、表1に記載されているマーカー遺伝子が、各種サンプル間でいかに互いに相関しているかを示しており、それにより、胚体内胚葉および胚外内胚葉、並びに中胚葉および神経細胞型に特異的な分化パターンを明示している。
上記のデータから、アクチビン投与量の増加が、SOX17遺伝子発現の増加をもたらしたことは明らかである。さらに、このSOX17発現は、主に、胚外内胚葉ではなく胚体内胚葉を示した。この結論は、SOX17遺伝子発現がAFP、SOX7およびSPARC遺伝子発現と逆相関にあるという観察結果に基づいている。
【0017】
実施例6
ヒトES細胞の胚体内胚葉への誘導分化
ヒトES細胞培養物は、それらの未分化の状態が能動的に維持されない条件下で培養された場合、ランダムに分化する。この不均一な分化により、壁側および臓側内胚葉(AFP、SPARCおよびSOX7発現)の双方からなる胚外内胚葉細胞、並びにZIC1、ネスチン(外胚葉)およびBrachyury(中胚葉)の発現によって示される、初期の外胚葉および中胚葉誘導体が産生される。胚体内胚葉細胞の出現は、ES細胞培養物における特異的な抗体マーカーの欠如により、従来検証または特定されていない。そのため、ES細胞培養物における初期胚体内胚葉の産生は、あまりよく研究されていない。胚体内胚葉細胞に対するよい抗体試薬の入手が不可能なため、性質決定のほとんどは、外胚葉および胚外内胚葉に集中している。概して、ランダムに分化したES細胞培養物には、SOX17
hi胚体内胚葉細胞と比較すると、非常に多くの胚外および神経外胚葉細胞型があ
る。
未分化hESCコロニーは、繊維芽細胞フィーダーの床で増殖するため、コロニーの縁部は、コロニーの内側に存在するそれらの細胞とは異なる別の形態を呈する。これらの外縁細胞の多くは、それほど均一ではなくより大きな細胞体の形態や、OCT4の高発現量により識別できる。ES細胞は、分化し始めると、未分化ES細胞と比較してOCT4発現量が増加または減少するとされている。未分化閾(undifferentiated threshold)に対するOCT4発現量の上下変化は、多能性の状態から脱した分化の初期段階を意味する可能性がある。
未分化のコロニーを、SOX17免疫細胞化学により調べた際、時折SOX17陽性細胞の小さな10〜15個の細胞集団が、その周辺のランダムな場所、および未分化のESCコロニー間の接合部で検出された。上述のように、これらのコロニー外縁に散在したポケットは、コロニーがサイズ的に大きくなり、より多くなるにつれ、古典的ESC形態とは異なった分化をする最初の細胞の数個となるようであった。若くて小さな完全に未分化のコロニー(<1mm;4〜5日目)は、コロニー内または縁部においてSOX17陽性細胞は全く見られなかった。一方、古くて大きいコロニー(直径1〜2mm、>5日目)には、いくつかのコロニーの周辺、または先に説明した古典的hESC形態とは異なって分化した縁部の内側の領域において、散在し孤立した斑状のSOX17陽性AFP陰性細胞があった。これが有効なSOX17抗体の最初の発生であったとすれば、そのような初期の「未分化」ESC培養物で発生する胚体内胚葉細胞は、これまで立証されたことはない。
Q−PCRによるSOX17およびSPARC遺伝子発現量の逆相関に基づくと、大部分のSOX17陽性AFP陰性細胞は、抗体同時標識により壁側マーカーに対し陰性を示すであろう。これは、
図15A〜Bで示されているように、TMを発現している壁側内胚葉細胞に関して明確に立証された。ノーダル因子アクチビンAおよびBへの暴露により、TM発現強度およびTM陽性細胞数は著しく減少した。アクチビン処理培養物におけるSOX17、AFPおよびTM抗体を用いた三重標識により、AFPおよびTMに対しても陰性であったSOX17陽性細胞のクラスターが観察された(
図16A〜D)。これらは、分化ESC培養物におけるSOX17陽性胚体内胚葉細胞の最初の細胞を示すものである(
図16A〜Dおよび
図17)。
上述のSOX17抗体およびQ−PCRのツールを使用し、SOX17
hi/AFP
lo/SPARC/TM
lo胚体内胚葉細胞になるようにESCを効果的にプログラムミングすることのできる数々の手法を調べた。我々は、SOX17遺伝子発現に関するQ−PCRによる集団レベルと、SOX17タンパク質の抗体標識による個々の細胞レベルとで測定した、これら細胞の数および増殖能力を増強することを目的とした様々な分化手順を適用した。
生体外の細胞培養物において胚性幹細胞から胚体内胚葉細胞を作製する際に使用する、ノーダル/アクチビン/BMPなどのTGFβファミリー増殖因子の効果を分析し、説明したのは、我々が初めてであった。典型的な実験では、アクチビンA、アクチビンB、BMPまたはそれら増殖因子の組み合わせを、未分化ヒト幹細胞株hESCyt−25の培養物に添加し、分化プロセスを開始させた。
図19に示されているように、100ng/mlのアクチビンAを添加したところ、分化開始後4日目までに、未分化hESCに対し、19倍のSOX17遺伝子発現の誘導が起きた。アクチビンファミリーの第二のメンバーであるアクチビンBをアクチビンAと共に添加したところ、混合アクチビン処理後4日目までに未分化hESCに対し、37倍の誘導が起きた。最後に、ノダール/アクチビンおよびBMPサブグループBMP4からTGFβファミリー第三のメンバーを、アクチビンAおよびアクチビンBと共に添加したところ、発光量比は未分化hESCの57倍まで増加した(
図19)。アクチビンおよびBMPを用いたSOX17の誘導を、因子無添加培地である対照と比較した場合、4日目の時点で、5倍、10倍および15倍の誘導が起きていた。アクチビンA、BおよびBMPを用いた三重処理後5日目までに、SOX17は、hESCに比べ70倍を超えて誘導され
た。これらのデータは、ノーダル/アクチビンTGFβファミリーメンバーの高投与量および長時間処理により、SOX17発現が増加することを示している。
ノーダルおよび関連分子アクチビンA、BおよびBMPは、生体内または生体外における胚体内胚葉形成およびSOX17の発現を促進する。さらに、BMPを添加することにより、SOX17の誘導が高まるが、これはおそらく、ノーダルコレセプターであるクリプト(Cripto)の更なる誘導によるものであろう。
我々は、BMP4とアクチビンAおよびBの組み合わせにより、SOX17の誘導、引いては、胚体内胚葉形成が、相加的に増強されることを立証した。アクチビンAおよびBとの組み合わせで、長時間(>4日)BMP4を添加していると、壁側および臓側内胚葉、並びに胚体内胚葉においてSOX17が誘導されることもある。したがって、本発明のいくつかの実施形態において、添加4日以内に、前記処理においてBMP4を除くことが大切である。
個々の細胞レベルでTGFβ因子を用いた処理の効果を求めるため、SOX17抗体標識を使用し、TGFβ因子添加の経時変化を調べた。先に
図10A〜Fで示したように、SOX17標識細胞の相対数は、時間と共に著しく増加した。相対的に定量化(
図20)した場合、SOX17標識細胞は、20倍を超える増加を示している。この結果は、細胞数およびSOX17遺伝子発現量のいずれも、TGFβ因子への暴露時間とともに増加していることを示している。
図21に示されているように、ノーダル、アクチビンA、アクチビンBおよびBMP4への暴露4日後、SOX17誘導のレベルは、未分化hESCの168倍に到達した。また、
図22は、SOX17陽性細胞の相対数もまた、投与量に依存していたことを示している。アクチビンAの投与量が100ng/mL以上である場合、SOX17遺伝子発現および細胞数を強力に誘導することができた。
TGFβファミリーメンバーに加えて、Wnt分子ファミリーが、胚体内胚葉の特異化および/または維持に役立つ場合もある。アクチビンのみで処理したサンプルに対し、アクチビンとWnt3aとを用いて処理したサンプルにおいて、SOX17遺伝子発現が増加したことにより示されているように、Wnt分子の使用も、hESCを胚体内胚葉に分化させるのに有益であった(
図23)。
上記実験の全ては、添加因子と共に10%の血清を含む組織培養培地を使用して行なった。驚くべきことに、
図24A〜Cに示されているように、血清濃度が、添加アクチビンの存在下におけるSOX17発現量に影響を及ぼすことを発見した。血清レベルを10%から2%に低下させた場合、SOX17発現は、アクチビンAおよびBの存在下、3倍になった。
最後に、
図25A〜Dに示したように、アクチビンにより誘導されたSOX17
+細胞が、培養物中において分離することを立証した。矢印は、PCNA/DAPIで標識された有糸分裂プレートパターン(mitotic plate pattern)および位相差有糸分裂プロファイル(phase contrast mitotic profile)からも明らかなように有糸分裂中のSOX17/PCNA/DAPIで標識された細胞を示す。
【0018】
実施例7
ケモカイン受容体4(CXCR4)発現は、中胚葉、外胚葉または臓側内胚葉用のマーカーではなく、胚体内胚葉用マーカーと相関する
上述のごとく、TGFβファミリー、より具体的には、アクチビン/ノーダルサブファミリーのサイトカインの適用により、ESCは胚体内胚葉細胞層に分化すべく誘導される。さらに、分化培養培地におけるウシ胎児血清(FBS)の割合が、ESCからの胚体内胚葉分化の効率に影響することを明らかにした。この影響とは、培地においてアクチビンAが所定の濃度である場合、FBSレベルが高くなると、胚体内胚葉への最大分化が阻害されるというものである。外因性アクチビンAの不在下では、胚体内胚葉系列へのESCの分化は非常に非効率的であり、FBS濃度がESCの分化プロセスに及ぼす影響は、かなり緩やかである。
これらの実験では、hESCは、100ng/mLアクチビンAを含むまたは含まない、0.5%、2.0%または10%のFBSを添加したRPMI培地(インビトロゲン社、カールスバッド、カリフォルニア州;カタログ番号61870−036)で6日間増殖させることにより分化させた。さらに、分化の最初3日間は、アクチビンA100ng/mLと併せて、0.5%から2.0%の範囲のFBS勾配も採用した。6日後、各培養条件の複製サンプルを収集し、リアルタイム定量PCRにより相対的遺伝子発現を分析した。残りの細胞は、SOX17タンパク質の免疫蛍光検出用に準備した。
CXCR4の発現量は、使用した7つの培養条件により、著しく変化した(
図26)。一般に、CXCR4発現量は、アクチビンAで処理した培養物で多く(A100)、外因性アクチビンAを入れなかった培養物では少なかった(NF)。さらに、A100で処理した培養物において、CXCR4発現は、FBS濃度が最も低い時、最も高かった。相対的発現がアクチビンAを加えなかった状態(NF)にむしろ近いほど、10%FBSの条件下でCXCR4レベルは著しく低下した。
上述のごとく、SOX17、GSC、MIXL1およびHNF3β遺伝子の発現は、胚体内胚葉としての細胞の特性と一致する。7つの分化条件の全てにおいて、これら4つの遺伝子の相対的発現は、CXCR4のそれと酷似している(
図27A〜D)。これは、CXCR4も、胚体内胚葉のマーカーであることを示している。
外胚葉および中胚葉系列は、それらの各種マーカーの発現により胚体内胚葉と識別される。初期中胚葉は、BrachyuryおよびMOX1遺伝子を発現し、一方、新生神経外胚葉はSOX1およびZIC1を発現する。
図28A〜Dは、外因性アクチビンAを添加しなかった培養物が、中胚葉および外胚葉遺伝子の発現で選択的に濃縮され、アクチビンAで処理した培養物の中では、10%のFBS条件においても、中胚葉および外胚葉マーカー発現のレベルが増加したことを示している。これらの発現パターンは、CXCR4とは逆であり、CXCR4が、この発生時期においてESC由来の中胚葉または外胚葉ではあまり発現しないことを明らかにした。
哺乳類発生の初期、胚外系列への分化も起こる。ここで特に関連性があるのは、SOX17を含む、胚体内胚葉と共通の多くの遺伝子の発現を共有する臓側内胚葉の分化である。胚体内胚葉を胚外臓側内胚葉と識別するためには、これら二つの間で異なったマーカーを調べなくてはならない。SOX7は、臓側内胚葉では発現するが、胚体内胚葉系列では発現しないマーカーの代表である。よって、SOX7発現の不在下で、強度のSOX17遺伝子発現を示す培養状態は、臓側内胚葉ではなく、胚体内胚葉を含む傾向にある。SOX7はアクチビンAを加えなかった培養物で高度に発現しており、また、SOX7はFBSが10%含まれたときアクチビンAの存在下でも発現の増加を示したことが、
図28Eに示されている。このパターンは、CXCR4の発現パターンとは逆であることから、CXCR4が、臓側内胚葉では高度に発現されないことを示唆している。
上記各分化条件下で存在するSOX17免疫反応(SOX17
+)細胞の相対数も求めた。hESCを、高用量アクチビンAの存在下、低FBS濃度(0.5%〜2.0%)で分化させた場合、SOX17
+細胞は、培養物全体に渡り偏在的に分布した。高用量アクチビンAを使用するが、含まれるFBSが10%(v/v)である場合、SOX17
+細胞の出現頻度はかなり低く、培養物全体に渡り均等に分布するのではなく、常に孤立したクラスターとして出現した(
図29AおよびC並びにBおよびE)。外因性アクチビンAを使用しなかった場合、SOX17
+細胞の更なる減少が見られた。これらの条件下でも、SOX17
+細胞は、クラスターとして出現した。これらクラスターは、高容量アクチビンA、低濃度FBSで処理した場合に見られるものより小さく、はるかにまれであった(
図29CおよびF)。これらの結果は、CXCR4の発現パターンが、胚体内胚葉遺伝子発現と一致しているだけでなく、各条件下における胚体内胚葉細胞の数とも一致していることを立証している。
【0019】
実施例8
胚体内胚葉で濃縮する分化条件は、CXCR4陽性細胞の比率を増加させる
アクチビンAの投与量も、胚体内胚葉がESCから誘導される効率に影響を及ぼす。この実施例は、アクチビンAの投与量増加により、培養物中のCXCR4
+細胞の比率が高くなることを実証している。
hESCは、0.5%〜2%FBS(分化の最初の3日間で0.5%から1.0%へ、そして2.0%へと増加した)および0、10または100ng/mLのアクチビンAを添加したRPMI培地で分化させた。7日間分化させた後、細胞を、室温で5分間、2% FBSおよび2mM(EDTA)を含みCa
2+/Mg
2+を含まないPBSにおいて分離させた。細胞は、35umのナイロンフィルターを通して濾過し、数を数え、ペレット状にした。ペレットは、少量の50%のヒト血清/50%の正常なロバ血清で再懸濁させ、非特異的抗体結合部位を遮断するために氷上で2分間培養した。これに、50uL(約10
5個の細胞を含む)につき、1uLのマウス抗CXCR4抗体(アブカム(Abcam)社、カタログ番号ab10403−100)を添加し、45分間氷上で標識化を行なった。細胞を、2%のヒト血清(緩衝液)を含むPBS5mLを添加することにより洗浄し、ペレット状にした。緩衝液5mLで2回目の洗浄を完了し、その後、細胞は、10
5個の細胞ごとに緩衝液50uLに再懸濁させた。二次抗体(FITC標識ロバ抗マウス;Jackson ImmunoResearch、カタログ番号715−096−151)を、最終濃度5ug/mLで加え、30分間標識化し、その後、上述のように緩衝液で二度洗浄した。細胞は緩衝液中、5×10
6個の細胞/mLで再懸濁させ、フローサイトメトリー・コアファシリティー(flow cytometry core facility)(The Scripps Research Institute)において、スタッフによりFACS Vantage(Beckton Dickenson社)を使用して分析および選別した。細胞は、リアタイム定量PCRにより、遺伝子発現解析のために総RNAを引き続き分離するため、RLT溶解緩衝液(Qiagen社)の中に直接回収した。
分化培養培地において、アクチビンAの投与量が増加するにつれ、フローサイトメトリーにより求めたCXCR4
+細胞の数の著しい増加が観察された(
図30A〜C)。CXCR4
+細胞は、R4ゲート内にあったものであり、このゲートは、イベントの0.2%がR4ゲート内に位置する二次抗体のみの対照を使用して設定した。CXCR4
+細胞数の著しい増加は、アクチビンAの投与量が増加するにつれて生じた胚体内胚葉遺伝子発現の力強い増加と相関する(
図31A〜D)。
【0020】
実施例9
CXCR4陽性細胞の分離により胚体内胚葉遺伝子発現を濃縮し、中胚葉、外胚葉および臓側内胚葉のマーカーを発現する細胞を減少させる
上記実施例8において同定したCXCR4
+およびCXCR4
−細胞を回収し、相対的な遺伝子発現を分析し、母集団の遺伝子発現を同時に測定した。
CXCR4遺伝子発現の相対量は、アクチビンAの投与量の増加と共に著しく増加した(
図32)。これは、CXCR4
+細胞のアクチビンA用量依存的な増加と非常によく相関した(
図30A〜C)。各集団から分離したCXCR4
+細胞が、その集団におけるCXCR4遺伝子発現ほぼ全ての原因であったことも明白である。これは、これらの細胞を回収するFACS法の効率の良さを立証している。
遺伝子発現解析は、CXCR4
+細胞に、CXCR4遺伝子発現の大部分のみでなく、胚体内胚葉のマーカーに関する他の遺伝子発現も含まれることを明らかにした。
図31A〜Dに示されているように、CXCR4
+細胞は、SOX17、GSC、HNF3BおよびMIXL1に関して、親A100集団よりもさらに濃縮された。さらに、CXCR4
−画分には、これらの胚体内胚葉マーカーに関する遺伝子発現は殆どなかった。また、CXCR4
+およびCXCR4
−集団は、中胚葉、外胚葉および胚外内胚葉のマーカーに関し逆パターンの遺伝子発現を示した。
図33A〜Dは、Brachyury、MOX1、ZIC1およびSOX7の遺伝子発現に関して、A100母集団と比較し、CXCR4
+細胞が激減したことを示している。このA100母集団においては、アクチビンAの投与量が
少ないかまたは全くない条件に比べ、これらのマーカーの発現はもともと低かった。これらの結果は、高用量アクチビンAの存在下で分化させたhESCからCXCR4
+細胞を分離することにより、胚体内胚葉で高度に濃縮され、且つ、実質的に純胚体内胚葉である集団が得られることを明らかにしている。
【0021】
実施例10
CXCR4を用いた、細胞集団内の胚体内胚葉細胞の定量化
細胞培養物または細胞集団に存在する胚体内胚葉細胞の比率の定量化を確認するために、CXCR4および胚体内胚葉の他のマーカーを発現している細胞をFACSにより分析した。前記比率の定量化は、本明細書において先に求めたもの、並びに、2003年12月23日に出願された、名称「DEFINITIVE ENDODERM(胚体内胚葉)」の米国仮特許出願第60/532,004号明細書において求められたものであり、この全開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
上記実施例で説明したような方法を用いて、hESCを分化させ胚体内胚葉を作製した。具体的には、分化細胞培養物において示される収率および純度を増加させるため、培地の血清濃度を以下のように制御した:1日目は0.2%FBS、2日目は1.0%FBS、そして3〜6日目は2.0%FBSとした。分化した培養物は、三つの細胞表面エピトープ、E−カドヘリン、CXCR4、およびトロンボモジュリンを用いて、FACSで分取した。そして、分取した細胞集団は、Q−PCRにより分析し、胚体および胚外内胚葉並びに他の細胞型に関するマーカーの相対的発現量を求めた。最適に分化した培養物から採取したCXCR4分取細胞は、純度98%を超える胚体内胚葉細胞を分離する結果となった。
表2は、ここで説明した方法を用いてhESCから分化させた胚体内胚葉培養物に関するマーカー分析の結果示す。
【表2】
具体的には、表2は、CXCR4およびSOX17陽性細胞(内胚葉)が、細胞培養物中の細胞の70%〜80%を占めることを示している。これらのSOX17を発現している細胞のうち、2%未満がTM(壁側内胚葉)を発現し、1%未満がAFP(臓側内胚葉)を発現した。SOX17/CXCR4陽性細胞の比率から、TM陽性およびAFP陽性細胞(壁側および臓側内胚葉の合計:3%)の比率を差し引くと、細胞培養物の約67%から約77%が胚体内胚葉であったことが分かる。細胞の約10%は、hESCのマーカーであるE−カドヘリン(ECAD)に陽性であり、細胞の約10〜20%は他の細胞型であった。
FACS分離前に得られる分化細胞培養物中の胚体内胚葉の純度は、FBS濃度を5〜6日間の分化過程を通して0.5%以下に維持することにより、上記の低血清処理と比較して改善できることが分かった。しかしながら、5〜6日間の分化過程を通して0.5%以下に細胞培養物を維持することは、作製される胚体内胚葉細胞総数を減少させることにも
なる。
ここに記載した方法により作製された胚体内胚葉細胞は、それほど分化を伴わず、50日間を超えてアクチビンの存在下、培養物中に維持し増殖させた。そのような場合、SOX17、CXCR4、MIXL1、GATA4、HNF3βの発現は、培養期間中維持される。さらに、TM、SPARC、OCT4、AFP、SOX7、ZIC1およびBRACHは、これらの培養物において検出されなかった。そのような細胞は、それほど分化を伴わず、実質的に50日を越えて培養物中で維持し、増殖させることができるようである。
【0022】
実施例11
胚体内胚葉細胞の更なるマーカー
以下の実験では、RNAを、精製した胚体内胚葉およびヒト胚性幹細胞集団から分離した。その後、精製した各集団から得たRNAの遺伝子チップ分析により遺伝子発現を分析した。また、Q−PCRも行い、胚体内胚葉のマーカーとして、胚体内胚葉では発現するが、胚性幹細胞では発現しない遺伝子の可能性をさらに調査した。
ヒト胚性幹細胞(hESC)を、20%のノックアウト血清リプレースメント、4ng/mLの組換え型ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、0.1mMの2−メルカプトエタノール、L−グルタミン、非必須アミノ酸、およびペニシリン/ストレプトマイシンを添加したDMEM/F12培地で維持した。hESCは、100ng/mLの組換え型ヒトアクチビンA、ウシ胎児血清(FBS)、およびペニシリン/ストレプトマイシンを添加したRPMI培地で5日間培養することにより、胚体内胚葉に分化させた。FBSの濃度は、以下のように日毎に変化させた:0.1%(一日目)、0.2%(2日目)、2%(3〜5日目)。
遺伝子発現解析用にhESCおよび胚体内胚葉の精製集団を得るため、蛍光活性細胞分離法(FACS)により細胞を分離した。hESCは、SSEA4抗原(R&D Systems社、カタログ番号FAB1435P)を使用して、胚体内胚葉は、CXCR4(R&D Systems社、カタログ番号FAB170P)を使用して、免疫精製を行なった。細胞は、トリプシン/EDTA(Invitrogen社、カタログ番号25300−054)を用いて分離し、2%のヒト血清を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄し、非特異的結合を遮断するために10分間氷上で100%のヒト血清中に再懸濁させた。800uLのヒト血清中、5×10
6個の細胞に対し、フィコエリトリン標識抗体200uLを添加することにより、氷上で30分間染色を行なった。細胞は、PBS緩衝液8mLで二度洗浄し、PBS緩衝液1mL中に再懸濁させた。FACS Vantage(BD Biosciences)を使用し、The Scripps Research Instituteのコアファシリティにより、FACS分離が行われた。細胞は、RLT溶解緩衝液中に直接回収し、RNAは、製造業者(Qiagen社)の使用説明に従いRNeasyにより分離した。
アフィメトリクス(Affymetrix)社製プラットフォームおよびU133 Plus 2.0高密度オリゴヌクレオチドアレイを使用し、発現プロファイルデータを作製するため、Expression Analysis社(ダラム、ノースカロライナ)に、精製したRNAを二部提出した。提示されたデータは、hESCおよび胚体内胚葉の2つの集団の間で、特異的に発現した遺伝子を同定する群比較である。hESCにおいて見られた発現量を超えて、力強い上昇変化を示した遺伝子を、胚体内胚葉に極めて特有である新しいマーカー候補として選択した。選択した遺伝子は、上述のように、Q−PCRにより分析し、遺伝子チップ上で見られる遺伝子発現変化を検証し、またhESCが分化する間のこれら遺伝子の発現パターンも調べた。
図34A〜Mは、一定のマーカーに関する遺伝子発現結果を示している。結果は、100ng/mlのアクチビンAの添加後1日目、3日目および5日目に分析した細胞培養物、5日間の分化過程の終わりに精製したCXCR4発現胚体内胚葉細胞(CXDE)、および精製ヒト胚性幹細胞(HESC)について示している。
図34Cおよび
図34G〜Mを比較することにより、六つのマーカー遺伝子FGF17、VWF、CALCR、FOXQ
1、CMKOR1およびCRIP1が、互いにほぼ等しく、またCXCR4およびSOX17/SOX7の発現パターンとも等しい発現パターンを示すことが立証されている。先に説明したように、SOX17は、胚体内胚葉およびSOX7発現胚外内胚葉の両方において発現する。SOX7は胚体内胚葉で発現しないため、SOX17/SOX7の比率により、全体として集団内で見られるSOX17発現に対する胚体内胚葉の寄与について信頼性のある推定が得られる。パネルG〜LおよびMのパネルCに対する類似性は、FGF17、VWF、CALCR、FOXQ1、CMKOR1およびCRIP1が、胚体内胚葉のマーカーである可能性が高く、胚外内胚葉細胞においては著しく発現することはないことを示している。
当然のことながら、ここに記載したQ−PCRの結果は、ICCによりさらに確認することができる。
本明細書に記載した方法、組成物および装置は、好適な実施形態の現時点での代表的および模範的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。当技術分野における当業者は、本発明の精神に包含され、開示内容の範囲により明確にされる変更および他の用途を考え付くこともあろう。よって、種々の代替および変更が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、ここに開示した本発明に帰することは当業者にとっては明らかであろう。
請求項および本開示事項全体に渡って使用されている、「本質的に〜から成る」という表現により、その表現の中に記載されたあらゆる要素を含み、記載されている要素に関する開示において特定した働きあるいは作用を妨げたり寄与したりすることのない他の要素に限定された、あらゆる要素を含むことを意味する。よって、「本質的に〜から成る」という表現は、記載されている要素は必要、すなわち必須であるが、他の要素は任意であり、記載されている要素の働きまたは作用に影響するかどうかによって存在する場合もあれば存在しない場合もあることを示している。
【0023】
本特許出願においては、多数の文献および特許参考文献が引用されている。本特許出願において引用された全ての参考文献は、その全内容を引用することにより本明細書の一部とされる。
いくつかの参考文献に関しては、本文中、完全な典拠を記載している。その他の参考文献に関しては、本文中、著者および年度により言及しており、その完全な典拠を以下に示す。
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