特許第6356023号(P6356023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356023
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】エンジン発電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/18 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   H02K7/18 B
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-188941(P2014-188941)
(22)【出願日】2014年9月17日
(65)【公開番号】特開2016-63598(P2016-63598A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 智史
(72)【発明者】
【氏名】村上 公一
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 基貢
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−039007(JP,A)
【文献】 特開2012−110098(JP,A)
【文献】 実開昭52−169012(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/00−7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通台床の長手方向に沿って並べられたエンジンおよび発電機を前記共通台床で支持するエンジン発電機において、
各種スイッチが設けられた操作盤を、前記共通台床の前記長手方向に直交する方向である奥行き方向において、前記発電機の配設位置よりも外側に配設して前記共通台床で支持し、
前記エンジンおよび前記発電機の制御を行う制御盤を、前記共通台床の奥行き方向において、前記発電機の配設位置に対して前記操作盤の配設位置とは反対側の外側に配設して前記共通台床で支持し、
前記発電機の出力電圧を調整する自動電圧調整器と、前記発電機からの電力を出力するための電力出力用端子台とを、共通の収納盤に収納し、当該収納盤を、前記共通台床の長手方向において、前記発電機の配設位置に対して前記エンジンの配設位置とは反対側の外側であって、且つ前記共通台床の奥行き方向において、前記操作盤と前記制御盤との間に配設して前記共通台床で支持した構成となっていることを特徴とするエンジン発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを動力源として発電を行うエンジン発電機に係る。特に、本発明は、発電機の電力出力側の構成の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンを動力源として発電を行うエンジン発電機が知られている(例えば特許文献1)。このエンジン発電機は、エンジンの出力軸に発電機が接続され、このエンジンからの出力を受けて発電機が発電する構成となっている。そして、この発電機が発電した電力は電力消費機器(負荷)に供給される。このエンジン発電機のエンジンとしては、例えばガスエンジン等の内燃機関が適用される。
【0003】
この種のエンジン発電機には、負荷に出力される電圧を一定に維持するために自動電圧調整器(AVR;Automatic Voltage Regulator)が備えられている。この自動電圧調整器は、例えば、発電機から出力される電圧を電圧検出器で検出するとともに、この検出した電圧と、電圧設定器で設定された電圧(設定電圧)とを比較し、その比較結果に基づいて発電機の界磁巻線に与える電流(界磁電流)を調整して、発電機から出力される電圧を一定に維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−151202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記特許文献1には、単相結線図(特許文献1の図1)において自動電圧調整器は開示されているものの、この自動電圧調整器の具体的な配設位置までは開示されていない。このため、エンジン発電機における自動電圧調整器の配設位置の適正化を図るための具体的な構成が求められていた。
【0006】
そこで、本発明は、自動電圧調整器の配設位置の適正化を図ったエンジン発電機を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の解決手段は、共通台床の長手方向に沿って並べられたエンジンおよび発電機を前記共通台床で支持するエンジン発電機において、各種スイッチが設けられた操作盤を、前記共通台床の前記長手方向に直交する方向である奥行き方向において、前記発電機の配設位置よりも外側に配設して前記共通台床で支持し、前記エンジンおよび前記発電機の制御を行う制御盤を、前記共通台床の奥行き方向において、前記発電機の配設位置に対して前記操作盤の配設位置とは反対側の外側に配設して前記共通台床で支持し、前記発電機の出力電圧を調整する自動電圧調整器と、前記発電機からの電力を出力するための電力出力用端子台とを、共通の収納盤に収納し、当該収納盤を、前記共通台床の長手方向において、前記発電機の配設位置に対して前記エンジンの配設位置とは反対側の外側であって、且つ前記共通台床の奥行き方向において、前記操作盤と前記制御盤との間に配設して前記共通台床で支持したことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、発電機から延びる電力出力線は収納盤に引き込まれる。そして、この収納盤に引き込まれた電力出力線を経た電力は、自動電圧調整器によって電圧調整されて負荷に向けて供給されることになる。このような電力出力線の配置となるため、発電機から延びる電力出力線の露出長さとしては、発電機と収納盤との間の長さ分のみとなり、この電力出力線の露出長さを短く設定できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、自動電圧調整器と電力出力用端子台とを共通の収納盤に収納し、この収納盤を、発電機と同じく共通台床で支持している。これにより、発電機から延びる電力出力線の露出長さを短く設定することが可能な自動電圧調整器の配設構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るエンジン発電機を正面側から見た斜視図である。
図2】実施形態に係るエンジン発電機を背面側から見た斜視図である。
図3図2において矢印III方向から見た図であって、共通台床、収納盤、エアクリーナ、操作盤および制御盤のみを示す図である。
図4】収納盤を支持している支持架台を示す斜視図である。
図5】収納盤の正面図である。
図6】収納盤の平面図である。
図7】収納盤の下面図である。
図8】収納盤の内部を示す正面図である。
図9図8におけるIX−IX線に対応した位置での収納盤の断面図である。
図10図8におけるX−X線に対応した位置での収納盤の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るエンジン発電機を図面に基づいて説明する。一般に、エンジン発電機はパッケージ内に収容される。本実施形態では、パッケージ内に収容される前の状態のエンジン発電機について説明する。なお、本発明は、パッケージ内に収容されることなく設置されるエンジン発電機に対しても適用が可能である。
【0012】
また、本実施形態では、エンジン発電機をコージェネレーションシステムに適用した場合について説明する。このコージェネレーションシステムとは、エンジン発電機による発電によって電力消費機器(負荷)の需要電力を賄うとともに、この発電に伴って生じる廃熱を回収して利用(例えば給湯に利用)するシステムである。このため、エンジン発電機には、廃熱を回収するための図示しない廃熱回収ユニット(補機ユニットと呼ばれる場合もある)が接続されている。
【0013】
図1は、本実施形態に係るエンジン発電機100を正面側から見た斜視図である。図2は、本実施形態に係るエンジン発電機100を背面側から見た斜視図である。
【0014】
以下では、エンジン発電機100の長手方向(図1の左右方向)をX方向とする。また、エンジン発電機100の奥行き方向をY方向とする。また、エンジン発電機100の高さ方向をZ方向とする。前記長手方向において図1の右側(図2の左側)をX1方向と呼び、図1の左側(図2の右側)をX2方向と呼ぶ。前記奥行き方向において図1の手前側(図2の奥側)をY1方向と呼び、図1の奥側(図2の手前側)をY2方向と呼ぶ。前記高さ方向の上側をZ1方向と呼び、下側をZ2方向と呼ぶ。
【0015】
エンジン発電機100は、共通台床(ベース)200上に、エンジン300、発電機400、操作盤500、および、各種制御盤601〜603等が載置された構成となっている。共通台床200は、複数の溝形鋼等が互いに溶接されて構成されている。共通台床200上のX方向の中央位置からX2方向側に亘ってエンジン300が配置されている。発電機400は、エンジン300の配設位置よりもX1方向側に配置されている。また、操作盤500は、発電機400の配設位置よりもY1方向側(エンジン発電機100の正面側)に配置されている。また、各種制御盤601〜603は、発電機400の配設位置よりもY1方向側およびY2方向側(エンジン発電機100の背面側)にそれぞれ配置されている。
【0016】
以下、エンジン発電機100の各構成機器について説明する。
【0017】
(発電機)
発電機400は、発電機マウント401によって共通台床200上に弾性的に支持されている。また、発電機400は、図示しないステータの内部にロータが回転自在に支持されて成り、このロータに、エンジン300から延びるクランクシャフト(図示省略)が連結されている。これにより、エンジン300の運転に伴って、クランクシャフトの回転力をロータが受けて発電を行う。この発電機400によって生じた電力は、後述する収納盤(ターミナルボックス)700を経て電力消費機器(負荷)に供給される。
【0018】
(エンジン)
エンジン300は、天然ガス等の燃料ガスを用いて動力を発生させるガスエンジンである。エンジン300は、エンジンマウント301によって共通台床200上に弾性的に支持されている。また、エンジン300は、シリンダブロック302、このシリンダブロック302の上部に取り付けられたシリンダヘッド303、シリンダブロック302の下部に取り付けられたオイルパン304を備えている。
【0019】
シリンダブロック302からX1方向にクランクシャフトが延びており、このクランクシャフトの一端(X1方向側の端部)が、前述した如く発電機400のロータに連結されている。
【0020】
以下、エンジン300の吸排気系、燃料供給系、冷却系、潤滑系について簡単に説明する。
【0021】
吸排気系には、エアクリーナ310,310、吸気管311、ミキサー(図示省略)、ターボチャージャ312、スロットルバルブ313、インタクーラ(エアクーラ)314、吸気マニホールド315、排気マニホールド316、排気サイレンサ317等が備えられている。
【0022】
エアクリーナ310、吸気管311、ミキサー、ターボチャージャ312、および、排気サイレンサ317は、シリンダヘッド303よりもX1方向側(発電機400が配設されている側)に配置されている。スロットルバルブ313、インタクーラ314および吸気マニホールド315は、シリンダヘッド303よりもY1方向側に配置されている。排気マニホールド316は、シリンダヘッド303よりもY2方向側に配置されている。
【0023】
エアクリーナ310から吸入されて浄化された空気は、吸気管311を経てミキサーに達する。このミキサーにおいて、後述する燃料供給系から導入された燃料ガスと前記空気とが混合されて混合気が生成される。この混合気は、ターボチャージャ312のコンプレッサによって圧縮された後、スロットルバルブ313によって流量調整される。その後、この混合気は、インタクーラ314において冷却され、吸気マニホールド315を経てエンジン300の各気筒内に流入する。各気筒において点火プラグの点火によって混合気が燃焼することで、クランクシャフトに回転力が生じ、発電機400を作動させるための出力が得られる。
【0024】
燃焼後の排気ガスは、排気マニホールド316、ターボチャージャ312のタービン、および、排気サイレンサ317を経てエンジン発電機100から排出される。この排気サイレンサ317には、図示しない排気管を介して、前記廃熱回収ユニットに備えられた排気ガスボイラ(図示省略)が接続されている。この排気ガスボイラによって排気ガスの熱が回収され、この回収した熱が給湯用の熱源等として利用される。熱が回収された排気ガスは大気に放出される。
【0025】
燃料供給系には燃料導入配管320および燃料還流配管321等が備えられている。
【0026】
燃料導入配管320は、廃熱回収ユニットに備えられた燃料ガス供給ユニット(図示省略)に接続されている。つまり、この燃料ガス供給ユニットにおいて加圧された燃料ガスが、この燃料ガス供給ユニットから燃料導入配管320を経て前記ミキサーに向けて圧送され、このミキサーにおいて、吸気系を流れる空気と混合される。なお、燃料導入配管320を流れる燃料ガスは図示しないレギュレータによって調圧される。
【0027】
燃料還流配管321は、エンジン300の負荷が急速に低下した場合(負荷遮断時)に、燃料供給系を流れる燃料ガスを還流させるための配管である。この燃料還流配管321は、廃熱回収ユニットに備えられた還流配管に接続されている。つまり、負荷遮断時には、燃料供給系の燃料ガスが各気筒に送り込まれることなく廃熱回収ユニットに一旦還流される構成となっている。この廃熱回収ユニットの内部では、この還流配管に還流された燃料ガスを前記燃料ガス供給ユニットに供給し、この還流された燃料ガスを再び燃料供給系の燃料導入配管320に圧送するようになっている。
【0028】
冷却系は、エンジン300のシリンダブロック302およびシリンダヘッド303の各ウォータジャケットに冷却水を流すためのエンジン冷却系と、インタクーラ314に冷却水を流すための混合気冷却系とを備えている。
【0029】
エンジン冷却系は、冷却水導入配管331および冷却水導出配管332を備えている。冷却水導入配管331は、廃熱回収ユニットに備えられた冷却水供給配管(エンジン冷却水用の冷却水供給配管)に接続されている。また、冷却水導出配管332は、廃熱回収ユニットに備えられた冷却水回収配管(エンジン冷却水用の冷却水回収配管)に接続されている。つまり、冷却水供給配管から冷却水導入配管331に供給された冷却水が、シリンダブロック302のウォータジャケットおよびシリンダヘッド303のウォータジャケットを順に流れてエンジン300を冷却した後、冷却水導出配管332を経て冷却水回収配管によって廃熱回収ユニットに戻される構成となっている。前記冷却水回収配管は、廃熱回収ユニットに備えられた熱回収熱交換器に接続されており、冷却水によってエンジン300から回収した熱が給湯用の熱源等として利用されるようになっている。このエンジン冷却系と廃熱回収ユニットとの間での冷却水の循環は、廃熱回収ユニットに備えられたウォータポンプの作動によって行われる。
【0030】
混合気冷却系も、冷却水導入配管341および冷却水導出配管342を備えている。冷却水導入配管341は、廃熱回収ユニットに備えられた冷却水供給配管(インタクーラ冷却水用の冷却水供給配管)に接続されている。また、冷却水導出配管342は、廃熱回収ユニットに備えられた冷却水回収配管(インタクーラ冷却水用の冷却水回収配管)に接続されている。つまり、冷却水供給配管から冷却水導入配管341に供給された冷却水が、インタクーラ314を流れて混合気を冷却した後、冷却水導出配管342を経て冷却水回収配管によって廃熱回収ユニットに戻される構成となっている。前記冷却水回収配管は、廃熱回収ユニットに備えられたクーラ放熱用熱交換器に接続されており、このクーラ放熱用熱交換器での熱交換によってインタクーラ冷却用の冷却水が冷却される。この混合気冷却系と廃熱回収ユニットとの間での冷却水の循環は、エンジン発電機100に備えられたウォータポンプの作動によって行われる。
【0031】
潤滑系は、オイルパン304に貯留されている潤滑油をエンジン各部に供給し、これら各部の潤滑および冷却を行う。このため、この潤滑系には、オイルポンプ350、オイル吸引配管351、オイル供給配管352、オイルフィルタ(図示省略)等が備えられている。
【0032】
オイルポンプ350は、電動式のものであって、オイルパン304に貯留されている潤滑油をオイル吸引配管351を介して吸引し、この潤滑油を、オイル供給配管352を経てエンジン各部に向けて圧送する。エンジン各部の潤滑および冷却を行った潤滑油はオイルパン304に流下することで回収される。なお、オイルポンプ350はクランクシャフトの回転力を受けて作動する機械式のものであってもよい。
【0033】
また、前記制御盤603の上側にはオイルタンク353が配設されている。このオイルタンク353は、略直方体形状の容器で構成されている。また、このオイルタンク353は、共通台床200上に立設されたタンク用架台354によって支持されている。このオイルタンク353とオイルパン304とはオイル補給配管355によって接続されており、オイルパン304内部の油面が所定高さまで低下した際には、このオイル補給配管355によってオイルタンク353内のオイルがオイルパン304に補給されるようになっている。例えば、オイルパン304内部の油面が所定高さに上昇するまで、オイル補給配管355に備えられた電磁弁が開放されることで、オイルパン304にオイルが補給されるようになっている。このようにオイルタンク353を備えさせたことによりエンジン発電機100の潤滑油の保有量を増大でき、エンジン300のメンテナンス間隔の長期化を図ることが可能となる。
【0034】
(操作盤および制御盤)
前記操作盤500の前面(Y1方向側に向く面)には、作業者が操作するための各種スイッチや、各種メータが設けられている。
【0035】
また、制御系を構成する制御盤601〜603には、エンジン発電機100の各構成機器の作動を制御するための制御装置を構成する各種電子機器(回路基板等)が収容されている。具体的には、この制御装置によって、エンジン300の運転制御、発電機400の運転制御、オイルポンプ350の制御等が行われる。
【0036】
また、制御装置に検出信号を送信する各種センサとしては、クランクシャフトが所定回転角度だけ回転する度にパルス信号を発信するクランク角度センサ、冷却系を流れる冷却水の温度を検出する水温センサ、潤滑系を流れる潤滑油の温度を検出する油温センサ等が設けられている。これらセンサの検出信号は前記制御装置に送信される。
【0037】
(収納盤)
次に、本実施形態の特徴である収納盤700について説明する。この収納盤700は、後述する自動電圧調整器(AVR)710や電力出力用端子台721,722(図8を参照)を収納する箱体である。
【0038】
具体的に、この収納盤700は、発電機400よりもX1方向側であって、前記操作盤500と制御盤602との間(操作盤500よりもY2方向側で且つ制御盤602よりもY1方向側)に配置されている。
【0039】
図3は、図2において矢印III方向から見た図であって、共通台床200、収納盤700、エアクリーナ310、操作盤500および制御盤602のみを示している。また、図4は、収納盤700を支持している支持架台800を示す斜視図である。この図4では、収納盤700を仮想線で示している。
【0040】
これら図3および図4に示すように、収納盤700は、略直方体形状の箱体で成り、支持架台800によって共通台床200上に支持されている。
【0041】
図4に示すように、支持架台800は、共通台床200上にボルト止めによって立設された4本の支柱部材801,801,…を備えている。これら支柱部材801,801,…のうちX方向で隣り合う支柱部材801,801の上端部同士はそれぞれ架橋部材802によって連結されている。また、各支柱部材801,801,…のうちY方向で隣り合う支柱部材801,801の上端部同士はそれぞれ架橋部材803によって連結されている。これら支柱部材801および架橋部材802,803がボルト止めによって一体的に連結されることで支持架台800は構成されている。
【0042】
そして、前記各架橋部材802,803上に収納盤700が載置され、この収納盤700の下面パネル701(図7および図8を参照)が架橋部材803,803にボルト止めされている。これにより、収納盤700は、共通台床200の上面から所定距離を存した(前記支柱部材801の高さ寸法分だけ距離を存した)上側位置に配置されている。この収納盤700の配設位置は、発電機400の配設位置よりもX1方向側であって、且つ発電機400に対してX方向で比較的短い間隔寸法(例えば数十mm程度)を存して対面する位置となっている。つまり、収納盤700は、発電機400に対してエンジン300の配設位置とは反対側の位置で、発電機400に近接して対面している。
【0043】
なお、X方向で隣り合う支柱部材801,801同士のうちX1方向側に位置する支柱部材801のX1方向側の端縁と、X2方向側に位置する支柱部材801のX2方向側の端縁との間の距離は、収納盤700のX方向の長さ寸法に略一致している。このため、Y方向に沿って延びている前記各架橋部材803,803のうちX1方向側に位置する架橋部材803のX1方向側の端縁と、X2方向側に位置する架橋部材803のX2方向側の端縁との間の距離も、収納盤700のX方向の長さ寸法に略一致している。また、前記Y方向に沿って延びている前記各架橋部材803,803の長さ寸法(Y方向の長さ寸法)は、収納盤700のY方向の長さ寸法に略一致している。このため、これら架橋部材803,803は、それぞれ収納盤700の下面パネル701の外縁に沿うように配設されて収納盤700を支持している。これにより、収納盤700は安定的に支持されている。
【0044】
次に、収納盤700について説明する。図5は収納盤700の正面図である。図6は収納盤700の平面図である。図7は収納盤700の下面図である。図8は収納盤700の内部を示す正面図である。図9図8におけるIX−IX線に対応した位置での収納盤700の断面図である。図10図8におけるX−X線に対応した位置での収納盤700の断面図である。
【0045】
これらの図に示すように、収納盤700は、略直方体形状の箱体で成り、その内部における左右方向(Y方向)の中央位置よりも僅かにY1方向側には、上下方向(Z方向)に延びる仕切板702が設けられている(図10を参照)。これにより、収納盤700の内部空間は、Y2方向側に位置する右側空間700AとY1方向側に位置する左側空間700Bとに仕切られている(図8および図10を参照)。
【0046】
右側空間700Aの内部には、負荷に繋がる出力ケーブル(図示省略)の一端が接続される複数のBUSバー730,730,730が収容されている。本実施形態のものでは、水平方向(Y方向)に亘って3個のBUSバー730,730,730が配置されている。これらBUSバー730,730,730はそれぞれサポート部材731,731,731によって収納盤700の背面パネル703に支持されている。また、各BUSバー730,730,730の表面側(図8の手前側;X1方向側)には、透明のアクリル樹脂製のカバー732によって覆われている。
【0047】
収納盤700の上面パネル704において、右側空間700Aの上側に位置する領域には、複数の開口704a,704a,…が形成されている(図6を参照)。これら開口704a,704a,…は、発電機400から延びる電力出力線402,403,404(図3を参照)を収納盤700の内部に引き込むためのものである。本実施形態では、R相、S相、T相それぞれについて4本の電力出力線402,403,404が発電機400から延びており、合計12本の電力出力線402,403,404に対応して前記開口704a,704a,…も12箇所(図6に示すようにX方向に2列、Y方向に6列の合計12箇所)に形成されている。このように各相の電力出力線402,403,404が複数本(本実施形態では各相それぞれ4本)設けられている理由は、出力電流値が比較的高いためである。このため、各相の電力出力線402,403,404の本数は前述したものには限定されない。各相の電力出力線402,403,404の本数が前述のものと異なる場合には、収納盤700の上面パネル704に形成される開口704a,704a,…の数も電力出力線402,403,404の本数に応じて変更されることになる。
【0048】
また、収納盤700の下面パネル701において、右側空間700Aの下側に位置する領域には、前記BUSバー730,730,730に接続された出力ケーブルを引き出すための矩形状の開口701aが形成されている(図7を参照)。このBUSバー730,730,730に接続された出力ケーブルは、開口701aから引き出された後、前記支持架台800の各支柱部材801,801,…によって囲まれた空間を通過し、共通台床200の側面(X1方向側に位置する側面)を貫通して負荷に向かって延びている。また、支持架台800のX1方向側は、透明のアクリル樹脂製のカバー(図示省略)によって覆われている。なお、図8における符号760は接地端子である。
【0049】
一方、左側空間700Bの内部には、自動電圧調整器710および電力出力用端子台721,722が収容されている(図8および図10を参照)。
【0050】
自動電圧調整器710は、負荷に出力される電圧を一定に維持するためのものである。この自動電圧調整器710は、収納盤700の背面パネル703上において、前記仕切板702に近接する位置であって且つ収納盤700内部の上下方向の中央位置よりも上側の位置に配設されている。
【0051】
また、この自動電圧調整器710は、例えば、発電機400から出力される電圧を電圧検出器(図示省略)で検出するとともに、この検出した電圧と、電圧設定器で設定された電圧(設定電圧)とを比較し、比較結果に基づいて発電機400の界磁巻線に与える電流(界磁電流)を調整して、発電機400から出力される電圧を一定に維持している。電圧を一定に維持する手法としてはこれに限定されるものではない。
【0052】
また、電力出力用端子台721,722は2箇所に設けられている。具体的には、収納盤700の背面パネル703上における前記自動電圧調整器710よりもY1方向側(図8における左側)、および、自動電圧調整器710の下側(Z2方向側)にそれぞれ電力出力用端子台721,722は配設されている。これら電力出力用端子台721,722は、発電機400が発電した電力の一部を所定の機器(例えばエンジン300の補機類等)に供給するための出力線が接続される。図中の符号741,742は、これら出力線を配線するための配線ダクトである。
【0053】
また、収納盤700の上面パネル704において、左側空間700Bの上側に位置する領域には、自動電圧調整器710に接続される制御線711を左側空間700Bの内部に引き込むための開口704bが形成されている(図6を参照)。また、収納盤700の下面パネル701において、左側空間700Bの下側に位置する領域には、電力出力用端子台721,722に接続された出力線を左側空間700Bから引き出すための開口701b,701bが形成されている(図7を参照)。
【0054】
また、図5に示すように、収納盤700の前面には2枚の扉751,752が設けられている。具体的には、前記右側空間700Aの前面側には右側扉751が、前記左側空間700Bの前面側には左側扉752がそれぞれ取り付けられている。これら扉751,752は、その四隅がネジ止めによって取り付けられている。
【0055】
具体的には、図8に示すように、収納盤700の下面パネル701、上面パネル704、左右両側の側面パネル705,706それぞれの前端部分(X1方向側の端縁部分)には、内側(収納盤700の中央側)に折り曲げられて成るフランジ部701c,704c,705c,706cが形成されている。また、下面パネル701のフランジ部701cと上面パネル704のフランジ部704cとの間には、板状のピラー707が架け渡されている。このピラー707は、前記仕切板702を覆う位置(仕切板702よりもX1方向側の位置)に設けられている。そして、各側面パネル705,706のフランジ部705c,706cおよびピラー707には、扉751,752をネジ止めするためのネジ孔705d,706d,707aが形成されている。各扉751,752それぞれには、前記ネジ孔705d,706d,707aに対応する同様のネジ孔(図示省略)が設けられており、これらネジ孔にネジNが挿入されることによって、扉751,752が取り付けられている。これにより、右側空間700Aおよび左側空間700Bそれぞれが個別に開閉できるようになっている。これら扉751,752には、把手751a,752aが備えられている。
【0056】
以上説明したように自動電圧調整器710と電力出力用端子台721,722とが共通の収納盤700に収納されていることにより、発電機400から延びる電力出力線402,403,404は収納盤700に引き込まれている(図3を参照)。そして、この収納盤700に引き込まれた電力出力線402,403,404を経た電力は、自動電圧調整器710によって電圧調整されて負荷に向けて供給されることになる。
【0057】
このような電力出力線402,403,404の配置となっているため、発電機400から延びる電力出力線402,403,404の露出長さとしては、発電機400と収納盤700との間の長さ分のみとなり、この電力出力線402,403,404の露出長さを短く設定できる。これにより、電力出力線402,403,404を引き回すための設計が容易となり、また、発電機400および収納盤700周辺の見栄えを良好にできる。このように、本実施形態によれば、電力出力線402,403,404の露出長さを短く設定することが可能となる自動電圧調整器710の配設構造を得ることができ、その結果、自動電圧調整器710の配設位置の適正化を図ったエンジン発電機100を得ることができる。
【0058】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0059】
例えば、収納盤700内部における各機器の配設位置、特に、自動電圧調整器710および電力出力用端子台721,722の配設位置は、前述したものには限定されず、適宜設定が可能である。
【0060】
また、前述した実施形態では、エンジン300をガスエンジンとしていたが、ガソリンを燃料とするエンジンや軽油を燃料とするエンジンであってもよい。
【0061】
また、前述した実施形態では、廃熱回収ユニットが接続されてコージェネレーションシステムを構成するエンジン発電機100について説明した。本発明に係るエンジン発電機100はコージェネレーションシステムを構成するもの以外にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0062】
100 エンジン発電機
200 共通台床
300 エンジン
400 発電機
402,403,404 電力出力線
700 収納盤
710 自動電圧調整器
711 制御線
721,722 電力出力用端子台
800 支持架台
図1
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