特許第6356052号(P6356052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイヘンの特許一覧

<>
  • 特許6356052-降圧チョッパ回路及び溶接用電源装置 図000002
  • 特許6356052-降圧チョッパ回路及び溶接用電源装置 図000003
  • 特許6356052-降圧チョッパ回路及び溶接用電源装置 図000004
  • 特許6356052-降圧チョッパ回路及び溶接用電源装置 図000005
  • 特許6356052-降圧チョッパ回路及び溶接用電源装置 図000006
  • 特許6356052-降圧チョッパ回路及び溶接用電源装置 図000007
  • 特許6356052-降圧チョッパ回路及び溶接用電源装置 図000008
  • 特許6356052-降圧チョッパ回路及び溶接用電源装置 図000009
  • 特許6356052-降圧チョッパ回路及び溶接用電源装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356052
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】降圧チョッパ回路及び溶接用電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20180702BHJP
   B23K 9/073 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
   H02M3/155 Q
   H02M3/155 K
   H02M3/155 Z
   B23K9/073 560
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-239001(P2014-239001)
(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-101070(P2016-101070A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】蒲生 勇
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−159170(JP,A)
【文献】 特開平06−292357(JP,A)
【文献】 特開昭58−136265(JP,A)
【文献】 特開2008−264815(JP,A)
【文献】 米国特許第05262930(US,A)
【文献】 特開2012−222322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
B23K 9/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源線上に接続されるスイッチと、該スイッチの後段の電源線間に接続される還流ダイオードと、該ダイオードの後段の電源線上に接続されるリアクトルとを備え、前記スイッチのチョッパ動作にて降圧動作を行う降圧チョッパ回路であって、
前記スイッチとして第1及び第2スイッチを前記電源線上に並設して構成すると共に、前記リアクトルとして第1及び第2リアクトルを前記電源線上に並設して構成し、前記第1及び第2スイッチ間の前記電源線間に補助コンデンサを、更に前記第1及び第2リアクトル間の前記電源線間に前記還流ダイオードをそれぞれ接続してなり、
前記第1スイッチに対して前記第2スイッチを遅れてオンオフ動作させ、前記第1,第2スイッチ及び前記還流ダイオードのオンオフ時の損失低減作用を生じさせる前記補助コンデンサ及び前記第1リアクトルの共振動作を行うように構成されており、
前記第1及び第2スイッチは、先ず前記第1スイッチがオンし、次いで前記第1スイッチのオンによる前記補助コンデンサの充電完了後に前記第2スイッチがオンし、次いで前記補助コンデンサの充電状態で前記第1スイッチがオフし、次いで前記第1スイッチのオフによる前記補助コンデンサの放電完了後に前記第2スイッチがオフするように構成されていることを特徴とする降圧チョッパ回路。
【請求項2】
請求項1に記載の降圧チョッパ回路において、
前記第1及び第2リアクトルは、1つの中間タップ付きリアクトルを部分的に各リアクトルとして機能させることで構成されていることを特徴とする降圧チョッパ回路。
【請求項3】
溶接トランスに対して高周波交流電力を供給するインバータ回路の前段に、請求項1又は2に記載の降圧チョッパ回路を配置して構成されていることを特徴とする溶接用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降圧チョッパ回路、及び該回路を備える溶接用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる入力電圧でも使用可能な溶接用電源装置等においては、その入力電圧に応じて内部電圧を調整するための降圧チョッパ回路が用いられる。降圧チョッパ回路は、例えば入力側から順に整流回路、インバータ回路、溶接トランスを含んで構成される溶接用電源装置のその整流回路とインバータ回路との間に組み込まれ、インバータ回路への印加電圧を適切範囲内に調整すべく降圧動作を行う。
【0003】
降圧チョッパ回路の回路構成としては、例えば特許文献1に示されるようなものが一般に知られている。因みに、特許文献1に開示の降圧チョッパ回路は、照明装置に組み込まれている。降圧チョッパ回路は、一方側の電源線上に接続されるチョッパ動作用のスイッチと、該スイッチの後段の電源線間に接続される還流ダイオードと、該ダイオードの後段の一方側の電源線上に接続されるリアクトルとを備え、スイッチのチョッパ動作にて降圧された出力電圧を生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−222322号公報(第2図参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示の一般的な降圧チョッパ回路では、スイッチのチョッパ動作時のスイッチング損失が大きく、発熱の要因となる。そのため、スイッチのスイッチング損失の低減を図るべく、所謂ソフトスイッチングの実現が検討されている。また併せて、還流ダイオードのリカバリ損失の低減を図ることも検討されている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、スイッチ及びダイオードの損失低減を図ることができる降圧チョッパ回路、及び該回路を備える溶接用電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する降圧チョッパ回路は、電源線上に接続されるスイッチと、該スイッチの後段の電源線間に接続される還流ダイオードと、該ダイオードの後段の電源線上に接続されるリアクトルとを備え、前記スイッチのチョッパ動作にて降圧動作を行う降圧チョッパ回路であって、前記スイッチとして第1及び第2スイッチを前記電源線上に並設して構成すると共に、前記リアクトルとして第1及び第2リアクトルを前記電源線上に並設して構成し、前記第1及び第2スイッチ間の前記電源線間に補助コンデンサを、更に前記第1及び第2リアクトル間の前記電源線間に前記還流ダイオードをそれぞれ接続してなり、前記第1スイッチに対して前記第2スイッチを遅れてオンオフ動作させ、前記第1,第2スイッチ及び前記還流ダイオードのオンオフ時の損失低減作用を生じさせる前記補助コンデンサ及び前記第1リアクトルの共振動作を行うように構成されており、前記第1及び第2スイッチは、先ず前記第1スイッチがオンし、次いで前記第1スイッチのオンによる前記補助コンデンサの充電完了後に前記第2スイッチがオンし、次いで前記補助コンデンサの充電状態で前記第1スイッチがオフし、次いで前記第1スイッチのオフによる前記補助コンデンサの放電完了後に前記第2スイッチがオフするように構成される。
【0008】
この構成によれば、スイッチ、還流ダイオード、リアクトルの順に配置されてなる降圧チョッパ回路において、スイッチとして第1及び第2スイッチが電源線上に並設、リアクトルとして第1及び第2リアクトルが電源線上に並設されると共に、第1及び第2スイッチ間の電源線間に補助コンデンサが接続、第1及び第2リアクトル間の電源線間に還流ダイオードが接続されて構成される。そして、第1スイッチに対して第2スイッチが遅れてオンオフ動作して補助コンデンサ及び第1リアクトルの共振動作を生じさせて、第1,第2スイッチ及び還流ダイオードのオンオフ時のスイッチング損失やリカバリ損失の低減がなされる。
【0010】
この構成によれば、第1スイッチがオン、次いで第1スイッチのオンによる補助コンデンサの充電完了後に第2スイッチがオン、次いで補助コンデンサの充電状態で第1スイッチがオフ、次いで第1スイッチのオフによる補助コンデンサの放電完了後に第2スイッチがオフする。つまり、スイッチ及びダイオードの損失低減を図るべく、補助コンデンサと第1リアクトルとによる適切な共振動作が行われる。
【0011】
また、上記の降圧チョッパ回路において、前記第1及び第2リアクトルは、1つの中間タップ付きリアクトルを部分的に各リアクトルとして機能させることで構成されることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1及び第2リアクトルは、1つの中間タップ付きリアクトルを部分的に各リアクトルとして機能させて構成されるため、これらリアクトルの構成が簡素に実現可能である。
【0013】
また、上記課題を解決する溶接用電源装置は、溶接トランスに対して高周波交流電力を供給するインバータ回路の前段に、上記の降圧チョッパ回路を配置して構成される。
この構成によれば、スイッチ及びダイオードの損失低減が可能な降圧チョッパ回路を備えるため、溶接用電源装置の効率向上が期待できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の降圧チョッパ回路及び溶接用電源装置によれば、スイッチ及びダイオードの損失低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態の降圧チョッパ回路を備えた溶接用電源装置の構成図である。
図2】降圧チョッパ回路の各所の電圧・電流の変化を示す波形図である。
図3】降圧チョッパ回路の動作[mode1]を説明するための回路図である。
図4】降圧チョッパ回路の動作[mode2]を説明するための回路図である。
図5】降圧チョッパ回路の動作[mode3]を説明するための回路図である。
図6】降圧チョッパ回路の動作[mode4]を説明するための回路図である。
図7】降圧チョッパ回路の動作[mode5]を説明するための回路図である。
図8】降圧チョッパ回路の動作[mode6]を説明するための回路図である。
図9】別例の降圧チョッパ回路の一部を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、降圧チョッパ回路を備える電源装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、電源装置としての溶接用電源装置10は、入力側から順に整流回路11、降圧チョッパ回路12、インバータ回路13、溶接トランス14を含んで構成され、入力された三相交流電力から溶接負荷15に適切な出力電力を生成する。溶接用電源装置10は、異なる入力電圧でも使用可能とするために降圧チョッパ回路12を備え、該降圧チョッパ回路12は、後段のインバータ回路13への印加電圧を適切範囲内に調整すべく降圧動作を行う。降圧チョッパ回路12の詳細については後述する。
【0017】
因みに、整流回路11は、例えばダイオードブリッジよりなる全波整流回路であり、三相交流の入力電力の直流化を行う。インバータ回路13は、例えばIGBT(半導体スイッチ)を用いたフルブリッジ回路であり、整流回路11から降圧チョッパ回路12を介して入力される直流電力を高周波交流電力に変換する。溶接トランス14は、インバータ回路13からの高周波交流電力を一次側で受け、二次側にて溶接負荷15に適した直流出力電力を生成するための電圧変換を行っている。
【0018】
降圧チョッパ回路12は、第1及び第2スイッチTR1,TR2、還流ダイオードDR1、第1及び第2リアクトルL1,L2、平滑コンデンサC1,C3、補助コンデンサC2を備える。
【0019】
降圧チョッパ回路12の接続態様としては、整流回路11の出力端子とインバータ回路13の入力端子間の一対の電源線La,Lbに対し、先ずその電源線La,Lb間に平滑コンデンサC1が接続されている。平滑コンデンサC1の後段の電源線La上には、例えばIGBTよりなる第1スイッチTR1が接続されている。第1スイッチTR1の後段の電源線La,Lb間には補助コンデンサC2が接続されている。補助コンデンサC2の後段の電源線Laには、例えばIGBTよりなる第2スイッチTR2が接続され、補助コンデンサC2の後段の電源線Lbには、第1リアクトルL1が接続されている。第2スイッチTR2及び第1リアクトルL1の後段の電源線La,Lb間には還流ダイオードDR1が接続、この場合アノード側が電源線Lbに、カソード側が電源線Laにそれぞれ接続されている。還流ダイオードDR1の後段の電源線Lb上には、第2リアクトルL2が接続されている。第2リアクトルL2の後段の電源線La,Lb間には、平滑コンデンサC3が接続されている。
【0020】
また、降圧チョッパ回路12には、入力側及び出力側のそれぞれに電圧センサ21,22が備えられている。電圧センサ21は降圧チョッパ回路12の入力電圧を検出、電圧センサ22は降圧チョッパ回路12の出力電圧をそれぞれ検出し、各電圧センサ21,22からの検出信号はチョッパ制御部25に入力される。チョッパ制御部25は、各電圧センサ21,22からの検出信号に基づき、降圧チョッパ回路12の入出力電圧を認識する。
【0021】
チョッパ制御部25は、第1及び第2スイッチTR1,TR2の制御端子(ゲート端子)に出力する制御信号を生成し、各制御信号による各スイッチTR1,TR2の制御を行う。このようなチョッパ制御部25は、降圧チョッパ回路12の入力電圧から溶接用電源装置10への入力電圧が何れの電圧かを認識し、降圧チョッパ回路12の出力電圧(後段のインバータ回路13への印加電圧)が適正範囲内となるように第1及び第2スイッチTR1,TR2のチョッパ動作の調整(オン時間の調整)を行う。つまり、本実施形態の溶接用電源装置10は、異なる入力電圧に対応可能な所謂異電圧対応の電源装置として構成されている。
【0022】
因みに、チョッパ制御部25は、降圧チョッパ回路12の制御のために個別に設けられるもの、若しくは溶接用電源装置10の全体を制御する制御回路(図示略)と一体的に設けられるものの何れであってもよい。
【0023】
次に、降圧チョッパ回路12の動作(チョッパ制御部25の制御態様)について、図2の各所電圧・電流波形図と、図3図8の各mode(モード)の動作説明図と用いて説明する。図2の波形図は、チョッパ動作(チョッパ制御)の1周期分の波形である。
【0024】
尚、図2中、「TR1」「TR2」の波形は第1及び第2スイッチTR1,TR2のオンオフ状態を示す。「VC2」の波形は補助コンデンサC2の端子間電圧を示す。「VTR1」「VTR2」の波形は第1及び第2スイッチTR1,TR2の端子間電圧を示し、「ITR1」「ITR2」の波形は第1及び第2スイッチTR1,TR2を流れる電流を示す。「VDR1」の波形は還流ダイオードDR1の端子間電圧を示し、「IDR1」の波形は還流ダイオードDR1を流れる電流を示す。「VL1」の波形は第1リアクトルL1の端子間電圧を示す。
【0025】
また、降圧チョッパ回路12の動作において相互に関係するコンデンサC1,C2やリアクトルL1,L2について、本実施形態では平滑コンデンサC1の容量よりも補助コンデンサC2の容量の方が小さく、第1リアクトルL1のインダクタンスよりも第2リアクトルL2のインダクタンスの方が大きくなるように設定されている(C1>C2、L1<L2)。
【0026】
図3に示す[mode1]は、第1スイッチTR1のターンオンに基づくモードである。
降圧チョッパ回路12の状態としては、第2スイッチTR2がオフ、前周期で第2リアクトルL2に蓄積された電磁エネルギーによる還流電流が還流ダイオードDR1上を流れている(a矢印)。尚、起動時には還流電流は生じていない。
【0027】
この状態で、第1スイッチTR1がオン、即ち第2スイッチTR2より先に第1スイッチTR1がオンすると、補助コンデンサC2に向かう充電電流(b矢印)が生じる。第1スイッチTR1のオンはハードスイッチングであるが、容量の小さい補助コンデンサC2を充電するのみであるため、第1スイッチTR1のオン時のスイッチング損失は小さい。
【0028】
図4に示す[mode2]は、第2スイッチTR2のターンオンに基づくモードである。
第2スイッチTR2がオンすると、降圧チョッパ回路12における電源線Laが導通状態となるため、電源線La,Lb上に電流(c,d矢印)が生じる。
【0029】
第2スイッチTR2がオンする際、第1リアクトルL1の作用により電流の立ち上がりが緩やかであるため、第2スイッチTR2のオンはゼロ電流スイッチング(ZCS)である。また、第1リアクトルL1への電流の流れ始めに逆起電力が生じるため、このときの逆起電圧(e矢印)と充電電圧(f矢印)とによって第2スイッチTR2がオンする際の瞬時の両端電圧はゼロ電圧でもある。つまり、第2スイッチTR2のオンはゼロ電圧スイッチング(ZVS)であり、オン時のスイッチング損失は極めて小さい。
【0030】
また、インダクタンスの大きい第2リアクトルL2により還流ダイオードDR1を流れる還流電流(a矢印)が流れ続けるが、徐々にこの還流電流が減少していくと共に第2スイッチTR2のオンにより生じる先の電流(c矢印)が増大する。
【0031】
図5に示す[mode3]は、還流ダイオードDR1のリカバリ(逆回復)期間である。
還流ダイオードDR1の還流期間が終了し、リカバリ期間に移行する。このリカバリ期間では、還流ダイオードDR1に対し逆電圧が印加されてリカバリ電流(g矢印)が生じるが、上記した第1リアクトルL1の逆起電力によりその逆電圧の一部が相殺され、リカバリ電流が抑制される。つまり、還流ダイオードDR1のリカバリ損失も小さく抑えられている。
【0032】
図6に示す[mode4]は、入力側から出力側にパワー(電力)が伝達されるモードである。
還流ダイオードDR1のリカバリ期間が終了して回路12の過渡期間が終了し、電源線La,Lb上の電流(c,d矢印)のみが生じるパワー(電力)伝達期間である。
【0033】
尚、第1及び第2スイッチTR1,TR2を並設する構成とすることで導通損が2倍となることが懸念されるが、第1及び第2スイッチTR1,TR2のスイッチング損失の低減効果や、還流ダイオードDR1のリカバリ損失の低減効果の方が十分に大きい。
【0034】
図7に示す[mode5]は、第1スイッチTR1がターンオフ、還流ダイオードDR1がターンオンするモードである。
先に第1スイッチTR1がオフする。第1スイッチTR1のオフの際には平滑コンデンサC1と補助コンデンサC2との間で電圧差がないため、第1スイッチTR1のオフはゼロ電圧スイッチング(ZVS)である。つまり、第1スイッチTR1のオフ時のスイッチング損失も極めて小さい。
【0035】
第1スイッチTR1がオフした後は、補助コンデンサC2からの電流、及び第1及び第2リアクトルL1,L2の蓄積エネルギーにより生じる電流(h矢印)にて出力電流が流れ続ける。この場合、補助コンデンサC2及び第1リアクトルL1は定数が小さい設定となっているために、これらに係る電流はすぐに減少する。一方で、定数の大きい第2リアクトルL2は蓄積エネルギーが大きいために出力電流を保とうとするが、第1リアクトルL1の存在により第2スイッチTR2側には電流が殆ど流れようとせず、還流ダイオードDR1上を流れる(i矢印)。
【0036】
また、還流ダイオードDR1がオンする際、第2リアクトルL2で生じる電流により第1リアクトルL1に逆起電力が生じるため、このときの逆起電圧(j矢印)にて還流ダイオードDR1がオンする際の両端電圧はゼロ電圧となり、還流ダイオードDR1のオンはゼロ電圧スイッチング(ZVS)である。
【0037】
図8に示す[mode6]は、第2スイッチTR2がターンオフし、還流電流のみが生じる還流モードである。
電流が全て還流ダイオードDR1側に転流し終わった時に第2スイッチTR2がオフする。つまり、第2スイッチTR2のオフはゼロ電圧スイッチング(ZVS)及びゼロ電流スイッチング(ZCS)であるため、第2スイッチTR2のオフ時のスイッチング損失も極めて小さい。
【0038】
第2スイッチTR2がオフした後は、第2リアクトルL2の蓄積エネルギーにより生じる電流(a矢印)が還流ダイオードDR1を流れ続ける。そして、次に第1スイッチTR1がオンする[mode1]となるまで第2リアクトルによる出力電流の維持が図られる。チョッパ動作(チョッパ制御)としては、上記した1周期分を示す[mode1]〜[mode6]までが繰り返され、出力の増減を図る場合には[mode1]〜[mode5]までのオン期間がその1周期の中で長短される。
【0039】
このように本実施形態の降圧チョッパ回路12は、2つのスイッチ(スイッチTR1,TR2)、補助コンデンサC2、2つのリアクトル(リアクトルL1,L2)を用いて上記制御を実施することで、スイッチTR1,TR2のスイッチング損失の低減と、還流ダイオードDR1のリカバリ損失の低減とを共に図ることが可能な構成となっている。
【0040】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)本実施形態の降圧チョッパ回路12は、スイッチとして第1及び第2スイッチTR1,TR2が電源線La上に並設、リアクトルとして第1及び第2リアクトルL1,L2が電源線Lb上に並設されると共に、各スイッチTR1,TR2間の電源線La,Lb間に補助コンデンサC2が接続、各リアクトルL1,L2間の電源線La,Lb間に還流ダイオードDR1が接続されてなる。そして、第1スイッチTR1に対して第2スイッチTR2を所定時間遅れてオンオフ動作させることで、上記の各modeで示したような補助コンデンサC2及び第1リアクトルL1の共振動作が生じ、これによる各スイッチTR1,TR2及び還流ダイオードDR1のオンオフ時のスイッチング損失やリカバリ損失の低減がなされている。つまり、降圧チョッパ回路12の損失低減を図ることができ、溶接用電源装置10の効率向上に繋がる。
【0041】
(2)本実施形態のチョッパ動作として、第1スイッチTR1がオン、次いで第1スイッチTR1のオンによる補助コンデンサC2の充電完了後に第2スイッチTR2がオン、次いで補助コンデンサC2の充電状態で第1スイッチTR1がオフ、次いで第1スイッチTR1のオフによる補助コンデンサC2の放電完了後に第2スイッチTR2がオフする。つまり、補助コンデンサC2と第1リアクトルL1とによる適切な共振動作が行われ、各スイッチTR1,TR2及びダイオードDR1のより確実な損失低減作用を得ることができる。
【0042】
尚、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・第1及び第2リアクトルL1,L2の構成について特に言及しなかったが、第1及び第2リアクトルL1,L2をそれぞれ個別のものを用いてもよく、また図9に示すように、1つの中間タップ付きリアクトルLxを用いて構成することもできる。即ち、この中間タップ付きリアクトルLxのその中間タップに対して還流ダイオードDR1を接続し、中間タップよりも一側が第1リアクトルL1、他側が第2リアクトルL2として機能させるようにする。このようにすれば、第1及び第2リアクトルL1,L2を簡素な構成で実現することができる。
【0043】
・第1及び第2スイッチTR1,TR2を電源線Laに設けたが、電源線Lbに設けてもよい。また、第1及び第2リアクトルL1,L2を電源線Lbに設けたが、電源線Laに設けてもよい。
【0044】
・第1及び第2スイッチTR1,TR2にIGBTを用いたが、他の半導体スイッチを用いてもよい。また、還流ダイオードDR1を半導体スイッチとし、還流ダイオードとして機能させてもよい。
【0045】
・降圧チョッパ回路12の入力端に入力電圧を検出する電圧センサ21を、出力端に出力電圧を検出する電圧センサ22をそれぞれ設置したが、降圧チョッパ回路12以外に設置される電圧センサにて電圧検出を代用してもよい。例えば、電源装置10の入力電圧(交流)を検出する態様であってもよい。
【0046】
・溶接用電源装置10以外の電源装置に適用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)請求項1〜3の何れか1項に記載の降圧チョッパ回路を備えて構成されていることを特徴とする電源装置。
【符号の説明】
【0047】
12 降圧チョッパ回路
13 インバータ回路
14 溶接トランス
La,Lb 電源線
TR1 第1スイッチ
TR2 第2スイッチ
L1 第1リアクトル
L2 第2リアクトル
Lx 中間タップ付きリアクトル
DR1 還流ダイオード
C2 補助コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9