(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356064
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】活性成分としてアポモルヒネを含む、新たな治療的組成物。
(51)【国際特許分類】
A61K 31/473 20060101AFI20180702BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20180702BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20180702BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20180702BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20180702BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20180702BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20180702BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
A61K31/473
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/22
A61K47/34
A61K47/40
A61P25/16
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-519451(P2014-519451)
(86)(22)【出願日】2012年7月11日
(65)【公表番号】特表2014-518285(P2014-518285A)
(43)【公表日】2014年7月28日
(86)【国際出願番号】EP2012002916
(87)【国際公開番号】WO2013007381
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2015年3月2日
【審判番号】不服2016-18507(P2016-18507/J1)
【審判請求日】2016年12月8日
(31)【優先権主張番号】11290320.8
(32)【優先日】2011年7月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510259437
【氏名又は名称】ブリタニア・ファーマシューティカルズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Britannia Pharmaceuticals Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】デイ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リチャード,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】バロネット,マリー−マデリーン
(72)【発明者】
【氏名】モンドリー,ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ベルトッチ,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ハーネット,ジェレミア
【合議体】
【審判長】
村上 騎見高
【審判官】
榎本 佳予子
【審判官】
穴吹 智子
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第1270007(EP,A2)
【文献】
特表2011−503044(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0090518(US,A1)
【文献】
Pietz K,et al.,J Neurol Neurosurg Psychiatry,1998年,Vol.65,p.709−716
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00
A61K47/00
CA/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)活性成分としてのアポモルヒネ;
2)水溶性の共溶媒;
3)酸化防止剤;および
4)水、
を含む溶液の形態の医薬組成物であって、
pHが4超から7の間であり、
前記アポモルヒネの量が10〜70mg/mlであり、
前記水溶性の共溶媒がプロピレングリコールまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンから選択される、皮下投与用の医薬組成物。
【請求項2】
前記アポモルヒネの量が、10〜65mg/mlである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記共溶媒の量が、0.1〜80%の間である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
酸化防止剤が、酸およびそれらの塩、ビタミン、アミノ酸、亜硫酸塩また遊離したフェノール・ラジカルスカベンジャーから選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
酸化防止剤がアスコルビン酸および、二亜硫酸ナトリウムから選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
界面活性剤が存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤が8〜20の間のHLB(親水性親油性比)を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたはポロキサマーから選択される、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
アポモルヒネと共溶媒との比(質量:質量)が1:0.1〜1:40の間である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
pHが5〜7の間である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
pH調整剤が存在する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記pH調整剤が、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化マグネシウムから選ばれる、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
皮下注入による投与に適した、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
進行したパーキンソン病患者におけるオフエピソードを減少するための薬剤として使用される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物の製造方法であって、以下の段階に従って定義される方法。
1)任意の界面活性剤を計量し、ついで同じ容器において共溶媒を計量する;
2)酸化防止剤を計量し(単独で)、そして脱気水に溶解する;
3)酸化防止剤溶液を、攪拌のもと、単独の共溶媒へ、または界面活性剤と共溶媒との混合物へ加える;
4)一定量の脱気水を加え、その溶液のpHを7.5±0.5周辺、より好ましくはpH7近くに合わせる;
5)アポモルヒネを計量し、そして上記溶液に加え、完全に溶解するまで攪拌する;
6)必要に応じて、pH調整剤を用いてpHを4超から7の間に制御・調整する;
7)最終的に、脱気水の残量を、要求された容量に達するために加える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有効製薬成分としてアポモルヒネを含む溶液の形態の医薬組成物に関し、特に非経口投薬のための医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アポモルヒネは進行したパーキンソン病患者におけるオフエピソードを減少するために使用される医薬有効成分である。アポモルヒネの3つの溶液が現在市場で販売されている;APO−go(商標登録)PFSの商標のもと販売されている皮下注射のための溶液、APO−go(商標登録)アンプルの商標のもと販売されている断続的な皮下注射(ボーラス投与)のための溶液;および、Apokyn(商標登録)の商標のもと販売されている継続的な皮下注射(ボーラス投与)のためのアポモルヒネの溶液。これら3つの現在市販されている溶液の現在のpHの範囲は3.0〜4.0である。
【0003】
しかしながら、これらの製剤は注射部位反応を誘導する。したがって、これらの注射のための医学的な予防措置は、12時間おきに注射部位を変更することであり、およびボーラス投与のために、注射部位を変更することである。
【0004】
さらに、酸性条件において処方される有効製薬成分(API)の非経口皮下注射は、生理的な条件およびpHのもと、in situな沈殿および化学分解という結果になる。製剤の低いpH値は、生理的状況下の薬の潜在的な沈澱および分解と同様に、痛みを伴い、煩わしい、赤み、エッチング、局所的な硬化および小瘤として局所的皮下部位反応を誘発する。皮下(SC)注入において投与されるとき、これはアポモルヒネの典型的なケースである。処置の局所的な寛容を増加するために、出願人は、in situでの沈殿物を避け、製剤の化学的な安定を増加させ、および注射可能な量の減少を可能にする増加した薬剤濃度の、生理的pHに近いpHである新たな製剤を発見した。
【発明の概要】
【0005】
この発明の目的は、
1)有効成分としてのアポモルヒネ、
2)水溶性の共溶媒、
3)酸化防止剤、特にアポモルヒネおよび共溶媒を含む混合物中に可溶な酸化防止剤、および
4)水、
を含む、溶液の形態の医薬組成物であり、前記医薬組成物のpHが4以上である。
【0006】
特に明記しない限り、ここに発明を記述するために用いられる様々な単語の意味と範囲を例示し、および定めるために、以下の定義は述べられる。
【0007】
この出願で用いられる共溶媒の単語は、a)適当な体積で必要とされる投与量を得る為の組成物中の有効成分の取り込みを許容し、および注射の基準(injectability criteria)に適合する溶媒または溶媒の混合物、またはb)適当な体積で必要とされる投与量を得る為の組成物中の有効成分の取り込みを許容し、および注射の基準に適合する水溶性の固体を意味する。
【0008】
酸化防止剤の単語は、活性成分の酸化性分解を防止し、さらに賦形剤の酸化的分解反応を防止するために酸化防止剤特性を持つ、医薬的に許容される化合物を意味する。
【0009】
本明細書で用いられる界面活性剤の単語は、界面活性の特性を有する化合物または賦形剤を指し、そして、共溶媒だけでは十分でないならば、有効成分の水溶解度を改善し、分解に対して有効成分を保護し、およびin vitroで有効成分の沈殿物を制限することを補助するために、この製剤中で主に使用される。
【0010】
本明細書で使用されるpH調整剤の単語は、製剤のpHを調整するために主に使用される化合物または賦形剤を指す。
【0011】
この発明による組成物は有効製薬成分(API)(または、有効成分)としてアポモルヒネを含む。アポモルヒネのAPIは塩または遊離塩基の形態であり得る。
【0012】
この発明によると、アポモルヒネは塩の形態であることが好ましい。発明に用いられるアポモルヒネの塩は、薬学的に許容される有機酸、例えば、酢酸、メタン硫酸、アリールスルホン酸、酪酸、クエン酸、酒石酸、琥珀酸(succinic)、グルタミン酸、アスコルビン酸の塩、または薬学的に許容される無機酸の塩、例えば、塩酸、臭化水素酸(hydrobromic)、リン酸、硫酸(sulphuric)、硝酸の塩であることが好ましい。
【0013】
発明の他の好ましい実施形態によると、アポモルヒネは遊離塩基の形態である。
【0014】
発明の他の好ましい実施形態によると、アポモルヒネは塩の形態であり、好ましくは、アポモルヒネは塩酸アポモルヒネの形態である。
【0015】
この発明によると、医薬組成物において、有効成分としてのアポモルヒネの量は、好ましくは10〜70mg/mLの間である。他の好ましい形態においては、アポモルヒネの量は10〜65mg/mLである。他の好ましい形態においては、有効成分としてのアポモルヒネの量は、10、20、30、40、50および60mg/mLから選択される。
【0016】
この発明による組成物は、医薬組成物に要求される注射の基準(injectability criteria)を得ることを許容する共溶媒を含む。共溶媒は、溶媒、溶媒の混合物、または水溶性の固体である。共溶媒は、それぞれ水混和性(water−miscible)(すなわち、少なくとも25℃の水に、5%の濃度で混合できる)、または水溶性(water−soluble)である。例えば、アルコールまたはジオール、トリオール、マンニトールまたはポリエーテルのようなポリオール、またはこれらの混合物から選択され得る。共溶媒がアルコールの場合、エタノール、イソプロパノールから選択され得る。共溶媒がポリオールである場合、プロピレングリコールのようなジオール、またはグリセロールのようなトリオールであり得、例えばマンニトール、マルチトールのような3つ以上の水酸基、またはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPβCD)または、スルホブチル−β−シクロデキストリン(SBβCD)のようなシクロデキストリン誘導体を持ち得る。共溶媒がポリエーテルである場合、例えば、ポリオキシエチレングリコールまたはポリオキシエチレングリコール誘導体(ポリオキシエチレングリコール400、Solutol(商標登録)HS15、Cremophor(商標登録)ELP)から選択される。
【0017】
好ましい実施形態において、共溶媒は、アルコール、またはポリオール、またはポリエーテル、またはそれらの混合から選択され、好ましくはポリオールおよびポリエーテル、またはそれらの混合物から選択される。他の好ましい形態において、共溶媒はジオール、トリオール、シクロデキストリン誘導体、ポリエチレングリコールおよびポリエチレングリコール誘導体、又はこれらの混合物から選択される。より好ましい実施形態においては、共溶媒はプロピレングリコール、グリセロ―ル、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPβCD)、スルホブチル−β−シクロデキストリン(SBβCD)、ポリエチレングリコール誘導体、またはこれらの混合物から選択される。
【0018】
好ましい形態において、共溶媒の量は、組成物の0.1〜80%(w:w)の間であり、およびより好ましくは0.2〜70%の間である。
【0019】
この発明による組成物は酸化防止剤も含む。前記酸化防止剤はアポモルヒネおよび共溶媒でなる混合物中に溶解できることが好ましい。酸およびこれらの塩、ビタミンおよび誘導体、アミノ酸、亜硫酸塩および遊離フェノール・ラジカルスカベンジャー(free phenolic radical scavenger)から選択され得る。酸化防止剤が酸またはこれらの塩である場合、例えば、アスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムのようなその塩、イソアスコルビン酸またはイソアスコルビン酸ナトリウムのようなそれの塩、クエン酸またはクエン酸ナトリウムのようなそれの塩、酪酸、リンゴ酸から選択されうる。酸化防止剤がビタミンまたはビタミン誘導体である場合、例えばトコフェノール(ビタミンE)リボフラビン(ビタミンB2)、トコフェノール−PEG−琥珀酸塩(ビタミン誘導体)、トロロクス(ビタミン誘導体)から選択され得る。酸化防止剤がアミノ酸の場合、例えば、システイン、トリプトファン、ヒスチジン、セレノシステイン、N−アセチルシステイン、タウリン、グルタチオンおよびグルタチオン−グルタチオンから選択され得る。酸化防止剤が亜硫酸塩(sulfite)である場合、例えば、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムから選択され得る。酸化防止剤が遊離フェノール・ラジカルスカベンジャーである場合、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール(butyl hydroxyl anisole)、ケイ皮酸から選択され得る。
【0020】
好ましい実施形態において、酸化防止剤が、酸またはそれらの塩、ビタミン、ビタミン誘導体、アミノ酸、亜硫酸塩または遊離フェノール・ラジカルスカベンジャーから選択され、そして、好ましくは酸、またはそれらの塩、および亜硫酸塩から選択される。
【0021】
より好ましい実施形態において、酸化防止剤はアスコルビン酸、およびメタ重亜硫酸ナトリウムから選択され、より好ましくはアスコルビン酸から選択される。
【0022】
他の好ましい実施形態において、酸化防止剤はアスコルビン酸であり、アポモルヒネ/酸化防止剤の比(w;w)は1:0.01〜1:3.0の間であり、好ましくは1:0.03〜1:2.0の間であり、より好ましくは1:0.05〜1:0.50の間である。
【0023】
他の好ましい形態において、酸化防止剤はメタ重亜硫酸ナトリウムであり、アポモルヒネ/酸化防止剤の比(w;w)は1:0.01〜1:0.50の間であり、好ましくは1:0.03〜1:0.30の間であり、より好ましくは1:0.09〜1:0.11の間である。より好ましい実施形態において、酸化防止剤はメタ重亜硫酸ナトリウムでありアポモルヒネ/酸化防止剤の比(w;w)は1:0.10である。
【0024】
この発明による組成物は、界面活性剤、pH調整剤のような、通常医薬製剤において使用される添加物を含み得る。
【0025】
この発明による組成物は界面活性剤またはこれらの混合物を含み得る。それは例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、またはポリエチレングリコール誘導体、またはポロキサマーのファミリーから選択される。界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのファミリーである場合、それはモノオレイン酸ポリオキシエチレン(80)ソルビタン(ツイーン80(Tween80))、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビタンから選択されうる。界面活性剤がポリエチレングリコール誘導体である場合、例えばポリエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアリン酸(Solutol(商標登録)HS 15)のようなポリエチレングリコール脂肪酸エステル、またはCremophor(商標登録)ELPのようなポリエチレングリコールヒマシ油変性誘導体から選択されうる。
【0026】
好ましい実施形態において、界面活性剤は任意に組成物中に存在する。他の好ましい実施形態おいて、界面活性剤は組成物中に存在する。さらなる好ましい実施形態において、組成物中に存在する界面活性剤は、8〜20の間の、さらに好ましくは12〜17の間の、親水性−親油性バランス(HLB)を有する。
【0027】
好ましい実施形態において、この発明によると、界面活性剤は、組成物中に存在し、さらに、界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、またはポリエチレングリコール誘導体、または ポロクサマーのファミリーから選択される。さらに好ましい実施形態では、界面活性剤は、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(80)ソルビタン(ツイーン80)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、ポリエチレングリコールヒマシ油変性誘導体およびポリエチレングリコール誘導体から選択され、さらに好ましくはCremophor(商標登録)ELP、またはポリエチレングリコール 660 12−ヒドロキシステアリン酸(Solutol(商標登録)HS 15)から選択される。
【0028】
好ましい実施形態において、この発明によると、共溶媒は組成物中に存在し、組成物中のアポモルヒネ:共溶媒の比(w:w)は1:0.1〜1:40の間であり、さらに好ましくは1:0.2〜1:30の間である。
【0029】
組成物のpHは4以上である。好ましい実施態様において、組成物のpHは4〜7の間、そして好ましくは5〜7の間である。さらに好ましい実施形態においては、組成物のpHは5.5〜6.5の間である。さらに好ましい実施形態においては、組成物のpHは5.8、5.9、6.0、6.1または6.2から選択される。
【0030】
好ましい実施形態においては、pH調整剤が任意に組成物中に存在する。他の好ましい実施形態において、pH調整剤は組成物中に存在する。pH調整剤は、例えば、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化マグネシウム、および必要であれば塩酸のような酸から選択されうる。
【0031】
好ましい実施形態においては、pH調整剤が組成物中に存在し、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化マグネシウムから選択される。
【0032】
この発明による医薬組成物は、非経口の経路による投与に適している。好ましい実施形態において、この発明の組成物は皮下の経路、好ましく皮下注入によって投与される。
【0033】
この発明による医薬組成物は、低い粘度を示し、そして27ゲージ(G)の針を通して、より好ましくは29Gの針を通して、非経口の経路によって容易に投与することができる。
【0034】
この発明による医薬組成物は、進行したパーキンソン病患者におけるオフエピソードを減少するための治療に役立つ可能性がある。
【0035】
好ましい実施形態においては、この発明に係る組成物は進行したパーキンソン病患者におけるオフエピソードを減少するための薬剤として使用するための組成物である。
【0036】
この発明は、さらに、この発明による組成物の注射溶液としての使用方法に関し、特に、パーキンソン病の治療における注射溶液としての使用方法に関する。
【0037】
さらに、前述のように、医薬組成物の調製のための工程に関する。前記工程は以下の段階によって定義される。
−任意の界面活性剤を計量し、ついで同じ容器において共溶媒を計量する;
−酸化防止剤を計量し(単独で)、そして脱気水に溶解する;
−酸化防止剤溶液は、攪拌のもと、単独の共溶媒へ、または界面活性剤と共溶媒との混合物へ加える;
−一定量の脱気水を加え、その溶液のpHを7.5±0.5周辺、より好ましくはpH7近くに合わせる;
−アポモルヒネを計量し、そして上記溶液に加え、完全に溶解するまで攪拌する;
−必要に応じて、pH調整剤を用いてpHを制御・調整し、pH4〜7、好ましくは5〜7の範囲の要求されたpH値とする;
−最後に、脱気水の残量を、要求された容量に達するために加える。
【0038】
前記溶液は光から守られることが好ましい。脱気水は、事前に、少なくとも30分間、溶液において乾燥窒素ガスを循環し、バブリングすることによって得られる。そして。酸素濃度計を用いて溶液中の酸素濃度は監視される。
【0039】
特に明記しない限り、ここに用いられる技術的用語および専門的用語はこの発明に関する分野の専門家であれば共通して理解されるような、同じ意味を持つ。
【0040】
以下の実施例は、上記の工程を例示するために示したもので、発明の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】(検証された製剤(ラットにおける1mg/kg、SC)の吸収段階(absorption phase)の詳細)は、吸収段階のPKパラメーターを得る為に、最初の14分を超えたアポモルヒネのプラズマプロファイルを示している。
【
図2】(検証された製剤(ラットにおける1mg/kg、SC)のPKプロファイル)は、3時間の期間を超えたアポモルヒネの全体的なプラズマプロファイルを示している。
【実施例】
【0042】
実施例1:40mg/mLのアポモルヒネ塩酸塩溶液の調製、プロピレングリコール(PG)(45%)、アスコルビン酸(AA)(0.4%)、界面活性剤ポリソルベート(PS80)(0.3%)、pH6
40mg/mLのアポモルヒネ塩酸塩溶液100mLを、以下の工程に従って調製した。
−フラスコ内で0.3gのPS80を計量した。45.0gのPGをPS80を含んだフラスコに加えた。
−ビーカー内で、0.4gのAAまたは0.4gのアスコルビン酸ナトリウムを計量した。注射用の5gの脱気水(WFI)をAAまたはアスコルビン酸ナトリウムへ加え、そしてAAまたはアスコルビン酸ナトリウムをマグネチックスターラーで撹拌し、脱気水へ溶解した。
−アスコルビン酸の溶液をPGおよびPS80を含むフラスコに加えた。
【0043】
AA溶液を含むビーカーを、5gの脱気したWFIで洗浄した。この洗浄したWFIはPG、PS80およびAAを含むフラスコへ加えた。溶液は、マグネチックスターラーで撹拌し、均一にした。
−脱気したWFI30gをPS80、PGおよびAAを含んだフラスコへ加え、その溶液をマグネチックスターラーで撹拌し、均一にした。次に、NaOHの1M溶液を用いてpHを7.5±0.5に合わせた(可能なだけpH7.0へ近づけた)。
−アポモルヒネ塩酸塩4gをガラスバイアル中で計量した。アポモルヒネ塩酸塩はpH7.0に合わせた媒体を含むフラスコへ入れた。アポモルヒネ塩酸塩を含むガラスバイアルを、3gの脱気したWFIで洗浄した。リンスしたWFIはアポモルヒネ塩酸塩へ加えた。アポモルヒネ塩酸塩は、完全に溶解するまでマグネチックスターラーで撹拌した。
−次にアポモルヒネ塩酸塩はNaOHの0.1M溶液を使用してpH6.0±0.2に合わせた。
【0044】
アポモルヒネ塩酸塩はNaOHの0.1M溶液を加える間、マグネチックスターラーで撹拌しながら監視した。
−脱気したWFIは、104.8gのアポモルヒネ塩酸塩溶液の最終質量を達成するためにアポモルヒネ塩酸塩溶液へ加えた。
【0045】
アポモルヒネ塩酸塩溶液はマグネチックスターラーで撹拌することで均一化し、そして最終pHを確認した。
【0046】
実施例2:30mg/mLおよび40mg/mLのアポモルヒネ溶液の安定性試験
アポモルヒネの含量および不純物を、HPLCの手法を使用して分析した。アポモルヒネの含量の決定のために使用されるHPLC手法の特徴は以下の通りである。
【0047】
【表1】
【0048】
アポモルヒネの不純物の決定のために使用されるHPLCの手法の特徴は、以下の通りである:
【0049】
【表2】
【0050】
曲線下面積計算(area−under−the−curve calculation)によって決定された、不純物含有量は、プロトタイプの安定性を評価するために用いられる基準である。
【0051】
色の度合いは、欧州薬局方色彩テスト(Eur. Pharmacopoeia colour test)を使用して分析した。
【0052】
色の格付け(1〜7)は色の強さに反比例している点に注意しなければならない。7は無色の水溶液を意味し、一方で1は非常に色づいた溶液を意味する。このテストのために使用される材料とその準備は、欧州薬局方(Eur. Pharmacopoeia)に基づいて作製した色彩参照溶液である。
【0053】
それぞれ以下の製剤(1〜6)および、その支持性安定性データを、以下の表1に記載する。
製剤1:30mg/mLアポモルヒネ、35%PG、0.2%PS80、0.3%SM、pH6.0
製剤2:30mg/mLアポモルヒネ、35%PG、0.2%PS80、0.3%AA、pH6.0
製剤3:30mg/mLアポモルヒネ、35%PG、0.3%AA、pH6.0
製剤4:40mg/mLアポモルヒネ、45%PG、0.4%AA、pH6.0
製剤5:40mg/mLアポモルヒネ、45%PG、0.3%PS80、0.4%AA、pH6.0
製剤6:30mg/mLアポモルヒネ、20%HPβCD、0.2%PS80、0.3%SM、pH6.0
(PG:プロピレングリコール;PS80:ポリソルベート80;HPβCD:ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン;SM:メタ重亜硫酸ナトリウ;AA:アスコルビン酸)
表のためにカラムの見出しは以下の通りである。
・pH
・色としての記載は、色の程度を示す。
・アポモルヒネ参照標準を使用せずに得たデータのため、“推定含量(Est. content)(mg/mL)”として示されるアポモルヒネ含量;
・“全不純物(%)”として示される全不純物。
【0054】
【表3】
【0055】
実施例3:In vivo検証
選択されたプロトタイプの薬物動態学(PK)のプロファイルを、ラットで評価した。6匹のカニューレ処置をしたラットを、各々のプロトタイプのために使用した。動物は第一の注入部位では1投与あたり1mg/kgの製剤の皮下注射、第二の注入部位における対応する媒体の注射、および第三の注射部位における生理食塩水の皮下注射を受けた。注射量は、製剤(0.5〜30mg/mL)の濃度に依存して0.03〜0.2mL/kgの間で変動する。血液サンプルは3時間の期間の間で収集した。血漿中濃度はHPLC−MS/MSによって決定し、そしてPKパラメーターを計算した。
【0056】
検証した製剤の局所寛容性(local tolerance)を評価するために、3つの注入部位からの細胞をそれぞれのラットから採集し、および解剖病理学者(anatomo−pathologist)によって検証した。0〜4のスコアリング(0:影響なし、1:最少の影響、2:わずかな影響、3:中度の影響、4:重度の影響)はそれぞれのセクションによるものであり、そして寛容性を推定した。
【0057】
以下の通り製剤をラットに投与した(大量注射(bolus injection)):
参照(Reference):Apo−go(商標登録)PFS 5mg/mL、pH3.3
テスト1:29.12 mg/mLアポモルヒネ、20%SBβCD、0.3%SM、pH5.9
テスト2:10 mg/mLアポモルヒネ、0.2%PS80、0.1%SM、 pH4.2
テスト3:29.36 mg/mLアポモルヒネ、0.2%PS80、30%PG、0.3%SM、pH6.0
テスト4:29.36mg/mLアポモルヒネ、20%HPβCD、0.2%PS80、0.3%SM、pH5.9
テスト5:29.36mg/mLアポモルヒネ、0.2%PS80、30%PG、0.3%SM、pH4.1
(PG:プロピレングリコール;PS80:ポリソルベート80;SBβCD:スルホブチルエーテルβシクロデキストリン;HPβCD:ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン;SM:メタ重亜硫酸ナトリウム)
これらの選択されたプロトタイプは、PKプロファイルおよび局所寛容性の点で、参照の溶液(Apo−go(商標登録))と比較した。
【0058】
ラット(1 mg/kg−SC)における、これらの検証された製剤のPKパラメーターを表2に示した。
【0059】
【表4】
【0060】
Cmax:ラット血清中のアポモルヒネ濃度の最大値
Tmax:Cmax値に達するためのアポモルヒネ濃度のための投与後の時間
AUC:PKプロファイル対時間の曲線下の領域
上記検証された製剤のための総アポモルヒネの曝露量は参照との間で極めて類似しており、主要なPKの違いは5つのテスト製剤(参照のAPO−go(商標登録)よりもかなり濃い濃度である)では観察されなかった。従って、それらのすべてはPKの観点から許容できるプロファイルを示す。
【0061】
実施例4:局所寛容性
ラットにおける(1mg/kg−SC)検証された製剤の局所寛容性の結果を表3に示した。
【0062】
【表5】
【0063】
注釈:生理食塩水のための寛容スコアリングは、0.1であった。
【0064】
参照のAPO−go(商標登録)よりも同様の寛容レベルが5つのテスト製剤(参照よりも高い2〜6倍の濃度を有する(テスト製剤が10〜30mg/mLであるのに対し、参照は5mg/mL))で観察された。
【0065】
このように、この発明による製剤の使用により、6倍低い注射量、生理学的に許容されるpH、および参照のApo−go(商標登録)よりもより寛容される傾向がある製剤に基づき、患者はより良い治療を受けることができる。
【0066】
実施例5:14日間のin vivoにおける皮下注入の検証
ラットにおける選択されたプロトタイプのPKプロファイルの評価を行った。皮下マイクロポンプをそれぞれのプロトタイプのために6匹のマウスに注入した。マイクロポンプは肩甲部における継続的な注入のための腰部において皮下注入した。動物は、14日間、20時間/日以上で、動物に適切なアポモルヒネ製剤の6mg/kg/日(0.3mg/kg/時)の量で、製剤の皮下注射を受けた。血液サンプルは以下の時点で集めた:
−1日目:0時間、注入開始後6時間および注入開始(SOI)後20時間
−7日目:注入開始(SOI)後20時間
−14日目:0時間、注入開始後20時間
血漿中濃度は、HPLC−ESI−MS/MS方法によって測定し、そして、PKパラメーターを計算した。
【0067】
検証された製剤の局所寛容性を評価するために、注射部位からの組織をそれぞれのラットから採集し、解剖病理学者(anatomo−pathologist)によって検証した。0〜4のスコアリング(0:影響なし、1:最少の影響、2:わずかな影響、3:中度の影響、4:重度の影響)をそれぞれのセクションに割り当て、そして寛容性を推定した。
【0068】
以下のように、製剤をラットに投与した(輸液注入(infusion injection)):
テスト1(参照):Apo−go(商標登録)PFS 5mg/mL、pH3.3
テスト2:30mg/mL アポモルヒネ、35% PG、0.2% PS80、0.3% SM、pH6.0
テスト3:30mg/mL アポモルヒネ、35% PG、0.2% PS80、0.3% AA、pH5.8
テスト4:30mg/mL アポモルヒネ、35% PG、0.3% AA、pH5.9
テスト5:40mg/mL アポモルヒネ、45% PG、0.4% AA、pH5.9
テスト6:40mg/mL アポモルヒネ、45% PG、0.3% PS80、0.4% AA、pH5.9
(PG:プロピレングリコール;PS80:ポリソルベート80;SM:メタ重亜硫酸ナトリウム;AA:アスコルビン酸)
これらの選択されたプロトタイプを、PKプロファイルおよび局所寛容性に関して参照溶液(APO−go(商標登録)、テスト1)と比較した。
【0069】
1、7、14日後のラットにおいて検証した製剤のPKパラメーターを表4に示した。
【0070】
【表6】
【0071】
C
maxss:定常状態の血漿中におけるアポモルヒネの最大の濃度である。1日目における値は注入開始(SOI)後6時間および20時間で得られたすべての濃度値の平均として計算した(2つのサンプル時点)。注入7日目において、C
maxssは、7日目におけるすべての濃度値の平均である(1つのサンプル時点)。注入14日目において、注入開始(SOI)後20時間のすべての濃度値の平均、すなわち注入の最後(EOI)(1つのサンプル時点)、である。
【0072】
上記の検証された製剤のアポモルヒネの曝露量データは、参照との間で類似していた。
【0073】
14日目のラットにおけるこれらの検証した製剤のPKパラメーターを表5に示した(6mg/kg/日−SCの連続注入)。
【0074】
【表7】
【0075】
C
maxssは注入開始(SOI)後20時間に得られた濃度の平均と一致する。
【0076】
5つのテスト製剤において主要なPKの違いは観察されなかった。したがってテスト製剤のすべてはPKの観点から許容されるプロファイルを示す。
【0077】
実施例6:14日の皮下注入実験における局所寛容性
6mg/kg/dのラットにおける20時間/日以上の皮下注入における検証した製剤の局所寛容性を表6に示した。寛容スコアリングは注入14日目(すなわちEOI)に確立した。
【0078】
【表8】
【0079】
参照のApo−Go(商標登録)(テスト1)よりも同じ寛容レベルが、6〜8倍の高い濃度を示すテスト製剤で得られた。
【0080】
このように、この発明による製剤の使用により、6〜8倍低い注射量、より生理学的に許容されるpHの製剤、および参照のApo−go(商標登録)よりもより寛容される傾向がある製剤に基づき、患者はより良い治療を受けることができる。