特許第6356073号(P6356073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6356073リビング反応安定剤の存在下でのハロゲン化ビニルモノマーの分散相重合
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356073
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】リビング反応安定剤の存在下でのハロゲン化ビニルモノマーの分散相重合
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/24 20060101AFI20180702BHJP
   C08F 2/30 20060101ALI20180702BHJP
   C08F 2/38 20060101ALI20180702BHJP
   C08F 4/40 20060101ALI20180702BHJP
   C08F 14/18 20060101ALI20180702BHJP
   C08F 20/56 20060101ALI20180702BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   C08F2/24 Z
   C08F2/30 Z
   C08F2/38
   C08F4/40
   C08F14/18
   C08F20/56
   C08F293/00
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-553760(P2014-553760)
(86)(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公表番号】特表2015-504960(P2015-504960A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】EP2013051793
(87)【国際公開番号】WO2013113752
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2014年9月24日
【審判番号】不服2017-762(P2017-762/J1)
【審判請求日】2017年1月19日
(31)【優先権主張番号】1200292
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】デタラク, マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン, ジェームズ
【合議体】
【審判長】 大島 祥吾
【審判官】 渕野 留香
【審判官】 堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−173943(JP,A)
【文献】 特開平8−319303(JP,A)
【文献】 特開平9−216903(JP,A)
【文献】 特開平9−188708(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/051168(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/093401(WO,A1)
【文献】 特表2010−520781(JP,A)
【文献】 特開2008−297528(JP,A)
【文献】 特開2009−227902(JP,A)
【文献】 特表2011−505431(JP,A)
【文献】 特表2005−503452(JP,A)
【文献】 特表平9−503798(JP,A)
【文献】 KIRK−OTHMER ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY FOURTH EDITION,1994,Vol.11,p621,624〜625(「Manufactuire of PTFE」、「Polymerization.」の項目)
【文献】 繊維と工業,Vol.4,No.10,(1971),p509〜512
【文献】 「ネットワークポリマー」,Vol.30,No.5,(2009),p234〜249
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
C08C19/00-19/44
C08F2/00-2/60,4/00-4/58,4/72-4/82,6/00-246/00,301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、およびパーフルオロビニルエーテル(PFVE)からなる群より選択されるハロゲン化ビニル化合物の分散相重合方法であって、
これらのモノマーならびに以下のもの
− 少なくとも1つのフリーラジカル源;および
− ポリマー鎖とチオカルボニルチオ基−S(C=S)−とを含み、このポリマー鎖が
− アクリレート型の親水性モノマー;
− アクリルアミド型の親水性モノマー;
− メタクリレート型の親水性モノマー;
− メタクリルアミド型の親水性モノマー;
− ビニル型の親水性モノマー;
− アリル型の親水性モノマー
からなる群より選択される非N−(ビニルラクタム)モノマー単位を含む少なくとも1つの反応安定剤
が水導入される、工程(E1)を含み、前記フリーラジカル源がレドックス重合開始剤であり、かつ、工程(E1)が、モノマー、レドックス重合開始剤の酸化剤、および反応安定剤とを水相に添加し撹拌して、ハロゲン化ビニルモノマーが分散形態にある水相分散液とする工程を含み、次いで、レドックス重合開始剤の還元剤を水相分散液に添加して、40℃未満の温度で界面活性剤の不在下で分散相重合する、方法。
【請求項2】
工程(E1)で、前記非N−(ビニルラクタム)モノマー単位が、
− アクリル酸およびその塩、ならびに水溶性アクリル酸エステルからなる群より選択されるアクリレート型の親水性モノマー;
− アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−モルホリンアクリルアミド、ならびにN−ヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群より選択されるアクリルアミド型の親水性モノマー;
− メタクリル酸およびその塩、オリゴおよびポリエチレングリコールメタクリレート、3−[N−(3−プロピルメタクリレート)−N,N−ジメチル]アンモニオプロパンスルホネート)、ならびにヒドロキシエチルメタクリレートからなる群より選択されるメタクリレート型の親水性モノマー;
− メタクリルアミド、3−[N−(3−メタクリルアミドプロピル)−N,N−ジメチル]アンモニオプロパンスルホネート(SPP)、および[(3−メタクリルアミドプロピル)−N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)からなる群より選択されるメタクリルアミド型の親水性モノマー;
− ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、およびそれらの第四級化バージョン、ならびにビニルイミダゾールからなる群より選択されるビニル型の親水性モノマー;
− ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、およびジアリルジメチルアンモニウムメチルホスホネート(DALP)からなる群より選択されるアリル型の親水性モノマー
から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レドックス重合開始剤が、アスコルビン酸および亜硫酸ナトリウムから選択される還元剤と組み合わせられた、tert−ブチルヒドロペルオキシド(t−BuOOH)を酸化剤として含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記反応安定剤上に存在する前記チオカルボニルチオ基が、ザンテートまたはジチオカルバメートである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ乳化重合を含む、連続液相中に分散された液相中のモノマーを使用する重合(分散相重合)の分野に関する。より正確には、本発明は、「反応安定剤」として知られる、分散相用の特定の安定剤を使用するこの種の重合に関する。
【背景技術】
【0002】
反応安定剤型の安定剤を使った連続相(一般に水相)中に分散された液滴の形態でのモノマーを使用する様々な重合反応は公知である。
【0003】
一般に、これらの反応で使用される反応安定剤は、第一に、モノマーを含有する分散相の液滴を安定化させることができる、およびまた重合反応に関与することができる分子である。かかる反応安定剤は、とりわけ、分散相を安定化させるために使用することがさもなければ必要である追加の界面活性剤に全体的にまたは部分的に取って代わるという利点を有し、それらはしたがって、ポリマー分散系がかかる界面活性剤を含まないという意味で、またはそれらが最低限でも低下した含有率のかかる界面活性剤を有するという点で有利であるポリマー分散系(ラテックス)をもたらす。
【0004】
かかる反応安定剤は、ビニル型の疎水性モノマーの乳化重合を行うためにとりわけ提案されてきたものであり、それらは、たとえば、鎖の末端にザンテート型の基を持った(−S(C=S)O−官能基を有する)、モノマーの制御ラジカル重合反応を誘導することができる、たとえばATRP(原子移動ラジカル重合)もしくはNMP(ニトロキシド媒介重合)、またはフリーラジカルの存在下でのRAFTもしくはMADIX型が可能である親水性ポリマー鎖と反応基とを典型的に含む親水性もしくは両親媒性の分子である。これらの反応安定剤は、第一に、それらの親水性のために分散相の油滴のエマルジョンの安定化を確保し、およびそれらは、第二に、典型的には可逆的付加−開裂連鎖移動プロセスによって、重合制御剤として働き、それによってポリマー鎖は、鎖へのモノマー単位の組み込みの各ステップが、同じ付加−開裂プロセスによる別のモノマー単位のその後の組み込みのための反応可能な鎖末端を依然として有するポリマーをもたらすという意味で、ポリマー鎖が「リビング」性を有する、それ自体よく知られているプロセスによって、各液滴中に含有されるモノマーの徐々の消費によってこの制御剤から成長する(制御もしくは「リビング」ラジカル重合および連鎖移動剤から成長する鎖の生成に関するさらなる詳細については、とりわけHandbook of RAFT polymerisation,Barner−Kowollik C.編 Wiley−VCH 2008が、または代替的に国際公開第96/30421号パンフレット、国際公開第98/01478号パンフレット、国際公開第99/35178号パンフレット、国際公開第98/58974号パンフレット、国際公開第00/75207号パンフレットおよび国際公開第01/42312号パンフレット、国際公開第99/35177号パンフレット、国際公開第99/31144号パンフレット、仏国特許第2 794 464号明細書または国際公開第02/26836号パンフレットに記載されているプロセスが言及されてもよい)。
【0005】
制御ラジカル重合を誘導する上述のタイプの反応安定剤を使って、重合の当初から、これらのポリマー鎖への安定剤の組み込みを伴うが、それにもかかわらず必然的に追加の界面活性剤を使用する必要なく、重合の全体にわたってエマルジョンの安定化を維持しながら、親水性鎖が添付の図1に例示されるように液滴の周辺に図式的にとどまり、分散液滴中でのリビングポリマー鎖の形成が得られる。
【0006】
上述のタイプの反応安定剤は、次の刊行物に記載されているプロセスでとりわけ提案されている:
Nitroxide−Mediated Controlled/Living Free−Radical Surfactant−Free Emulsion Polymerization of Methyl Methacrylate using a Poly(Methacrylic Acid)−based Macroalkoxyamine Initiator。
C.Dire,S.Magnet,L.Couvreur,B.Charleux
Macromolecules 42(1),95−103(2009)
PEO−based Block Copolymers and Homopolymers as Reactive Surfactants for AGET ATRP of Butyl Acrylate in Miniemulsion。
W.Li,K.Min,K.Matyjaszewski,F.Stoffelbach,B.Charleux
Macromolecules 41,6387−6392(2008)
Effective ab Initio Emulsion Polymerization under RAFT Control
Christopher J.Ferguson,Robert J.Hughes,Binh T.T.Pham,Brian S.Hawkett,Robert G.Gilbert,Algirdas K.Serelis,and Christopher H.Such
Macromolecules(2002)
Surfactant−free controlled/living radical emulsion (co)polymerization of n−butyl acrylate and methyl methacrylate via RAFT using amphiphilic poly(ethylene oxide)−based trithiocarbonate chain transfer agents。
J.Rieger,G.Osterwinter,C.Bui,F.Stoffelbach,B.Charleux
Macromolecules(2009)
【0007】
絶対的には有利であるが、これまでに記載されている反応安定剤の限界の一つは、本質的にメタクリレートおよびアルキルアクリレート型の、ある種のビニルモノマーの重合にのみそれらが好適であることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一目的は、多数の疎水性モノマーの使用に好適な、および疎水性N−ビニルモノマーの分散相重合にとりわけ好適な分散相重合法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明者らは、新規タイプの反応安定剤、すなわち、N−(ビニルラクタム)モノマーのRAFTまたはMADIX制御ラジカル重合から誘導されるリビングポリマー鎖を使用するという利点を明らかにした。
【0010】
より正確には、本発明者らは、反応安定剤の存在下での分散相重合の工程を含む、ポリマーの製造方法であって、その工程で次のもの:
− 一般に分散形態での、少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマー;
− 少なくとも1つのフリーラジカル源;および
− N−(ビニルラクタム)モノマー単位とチオカルボニルチオ基−S(C=S)−とを含む(またはさらにはそれらからなる)ポリマー鎖を含む反応安定剤
が水相で接触させられ、
前記工程が、反応安定剤のチオカルボニルチオ基−S(C=S)−の分解温度未満の温度で、好ましくは40℃未満の温度で、たとえば30℃以下の温度で好ましくは行われる方法(本方法は、たとえば、室温で有利に行うことができる)を明らかにした。
【0011】
一実施形態によれば、使用される疎水性モノマーは、式RC=CX
(式中:X=FまたはClであり、
=H、FまたはClであり、
およびRの中からのそれぞれは、独立して:
− H、Cl、F;または
− 好ましくは塩素化されたおよび/またはフッ素化された、より有利には過塩素化されたまたは過フッ素化された、アルキル基
を表す)
に相当する、塩化もしくはフッ化ビニルもしくはビニリデンなどの、ハロゲン化ビニル化合物を含んでもよい。
【0012】
本発明者らはさらに、上述のハロゲン化ビニル化合物の分散相重合が、より一般的には、本発明のそれらに似たチオカルボニルチオ基−S(C=S)−を含むが、モノマー単位(N−ビニルラクタム)を含む鎖以外のポリマー鎖、または代替的に50%未満もしくはさらに30%未満のモノマー単位(N−ビニルラクタム)を含む鎖を含有する反応安定剤で、得られ得ることを実証した。
【0013】
より正確には、本発明者らは、工程(E1)を含む、
式RC=CX
(式中:X=FまたはClであり、
=H、FまたはClであり、
およびRの中からのそれぞれは、独立して:
− H、Cl、F;または
− 好ましくは塩素化されたおよび/またはフッ素化された、より有利には過塩素化されたまたは過フッ素化された、アルキル基
を表す)
に相当する、ハロゲン化ビニル化合物の分散相重合のための有利な方法であって、これらのモノマーが、
− 少なくとも1つのフリーラジカル源;ならびに
− ポリマー鎖とチオカルボニルチオ基−S(C=S)−とを含み、このポリマー鎖が非(N−ビニルラクタム)モノマー単位を含み、これらのモノマー単位が、
− アクリレート型の親水性モノマー、たとえばアクリル酸およびアクリル酸ナトリウムなどのその塩、ならびにまた水溶性アクリル酸エステル、たとえば2−ヒドロキシエチルアクリレートまたはオリゴもしくはポリエチレングリコールアクリレート;
− アクリルアミド型の親水性モノマー、たとえばアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−モルホリンアクリルアミドまたはN−ヒドロキシエチルアクリルアミド;
− メタクリレート型の親水性モノマー、たとえばメタクリル酸およびメタクリル酸ナトリウムなどのその塩ならびにまたオリゴもしくはポリエチレングリコールメタクリレート、3−[N−(3−プロピルメタクリレート)−N,N−ジメチル]アンモニオプロパンスルホネート)、ヒドロキシエチルメタクリレート;
− メタクリルアミド型の親水性モノマー、たとえばメタクリルアミド、3−[N−(3−メタクリルアミドプロピル)−N,N−ジメチル]アンモニオプロパンスルホネート(SPP)、[(3−メタクリルアミドプロピル)−N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC);
− ビニル型の親水性モノマー、たとえばビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、およびそれらの第四級化バージョン、ならびにビニルイミダゾール;
− アリル型の親水性モノマー、たとえばジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジアリルジメチルアンモニウムメチルホスホネート(DALP)
から好ましくは選択される、「RS2」と本明細書では以下言われる少なくとも1つの反応安定剤
と一緒に、一般に分散形態で、水相へ導入される、工程(E1)を含む方法を明らかにした。
【0014】
非N−ビニルラクタムモノマー単位を含むポリマー鎖は、50%未満、またはさらには30%未満の量でN−ビニルラクタムモノマー単位を任意選択的に含んでもよい。
【0015】
本方法は、本発明の主題を構成する。
【0016】
上述のハロゲン化モノマーで、本方法の利点の一つは、特に有利である、すなわち分散相重合において必要とされる界面活性剤を本発明の試薬と取り換えるという可能性であることが分かる。具体的には、慣例的に、上述のタイプのハロゲン化モノマーの分散相重合は、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の、パーフルオロオクタン酸(PFOA)の、またはパーフルオロノナン酸(PFNA)のアンモニウム塩などのタイプのフルオロ両親媒性物質などの、通常フッ素化されている、ハロゲン化界面活性剤の使用を伴い、それらの使用は、それらの毒性プロフィール(持続性に関連した毒性)のために、ますます反対されるようになっている。
【0017】
本発明は、このタイプの界面活性剤が、本発明による反応安定剤と少なくとも部分的に、好ましくは全体的に取り換えられているフッ素化ラテックスを提供することを可能にする。これに関連して、使用される反応安定剤は、ハロゲン化されていてももしくはフッ素化されていてもよい(たとえば、フッ素化もしくは塩素化基を有する反応安定剤が使用されてもよい)が、通常の分散相重合法とは違って、反応安定剤を使用する、本発明の方法は、ポリマー粒子上への安定剤の固定化をもたらし、それ故、通常のフッ素化ラテックスで観察される可能性がある界面活性剤浸出効果をもたらさない。本発明はしたがって、これに関連して毒性の観点から低減した影響を持ったフッ素化安定剤の使用を可能にする。
【0018】
さらに、本発明の方法は、上述のハロゲン化モノマーの場合に特に効率的であり、かつ前例のない、上述のモノマーの制御重合へのアクセスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】分散相重合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
工程(E1)で使用されるフリーラジカル源は好ましくは、レドックス型の重合開始剤である。より一般的には、それは、工程(E1)の条件下で、好ましくは40℃未満の温度で、より有利には30℃以下の温度でフリーラジカルを発生させることができる任意の開始剤であってもよい。
【0021】
本発明との関連で行われる分散相重合は一般に、反応の終わりに、水相中の合成ポリマーのエマルジョンまたは分散系をもたらす重合である。
【0022】
これを行うために、第1実施形態によれば、モノマーは典型的には、水相中の分散形態で使用される(たとえば、乳化重合)。
【0023】
あるいは、モノマーは、水相中のモノマーのいかなる分散系も形成されることなしに使用されてもよい。この場合には、ポリマーは徐々に沈澱し、粒子の形態で分散されることになる(典型的には、分散重合)。たとえば、モノマーは、前記モノマーの濃度をそれらの溶解度限界未満に維持しながら、重合の過程で徐々に導入されてもよい。
【0024】
特定の実施形態によれば、モノマーは、溶解度限界未満の初期濃度でモノマーの一部のみを当初含有する水相へ連続的にまたは半連続的に導入されてもよい。
【0025】
いずれの場合でも、本発明によって使用される反応安定剤は、反応の終わりに得られたポリマーエマルジョンまたは分散系を安定化させることができる。ある種の実施形態(とりわけ乳化重合)では、それはまた、初期モノマー分散系を安定化させることができる。
【0026】
工程(E1)で使用される反応安定剤は典型的には、
− 上述のタイプの、同一のまたは異なる(一般に同一の)非N−ビニルラクタムモノマーを含有する(および通常それからなる)モノマー;
− たとえばチオカルボニルチオ基−S(C=S)−を含む、ラジカル重合制御剤;および
− 典型的にはレドックス系であるラジカル重合開始剤
を含む組成物の制御ラジカル重合の工程(E0)から誘導されたポリマーである。
【0027】
本発明の特定の実施形態によれば、使用されるラジカル重合開始剤は、熱システムであってもよい。
【0028】
この主題に関して本研究者らによって行われてきた研究は、このラジカル反応がレドックス系を用いて開始されるという条件で、ラジカル重合を水性媒体中でおよび効率的に制御された方法での両方で行うことが可能であると分かることを実証することを今や可能にした。
【0029】
別の実施形態によれば、工程(E1)で使用される反応安定剤は、有機溶媒媒体中でまたは溶媒なしで製造される。必要に応じて、それは、工程(E1)の前に水中で取り換えられる。
【0030】
工程(E1)後に、本発明の別の特定の主題を構成する、制御された質量およびサイズのポリマー粒子の、安定なポリマー分散系(ラテックス)が一般に得られる。本発明は特に、フッ素化界面活性剤を含まないまたは一般に使用されるものよりもはるかに低い界面活性剤含有率を最低限でも有するフッ素化ポリオレフィン(とりわけフルオロビニルポリマー)のラテックスにアクセスできるようにし得る。
【0031】
本発明の方法の様々な有利な特徴および実施形態がより詳細に以下で記載される。
【0032】
反応安定剤
工程(E1)で使用される反応安定剤は、単独でかまたは他の安定剤と組み合わせて使用されてもよい。したがって、有利な実施形態によれば、工程(E1)は、他の安定剤の不在下で、とりわけ界面活性剤の不在下で行われる。それにもかかわらず、別の予想できる実施形態によれば、工程(E1)は、本発明の反応安定剤を他の共安定剤、たとえば界面活性剤と一緒に使用して行われてもよい。
【0033】
工程(E1)で使用される反応安定剤は典型的には、0.01%〜50%の範囲の質量濃度で使用されてもよい。
【0034】
ポリマー/安定剤質量比は一般に、とりわけ、十分な安定化効果を確保するために、0.005よりも大きく、好ましくは0.01よりも大きく、たとえば0.02よりも大きいままである。このポリマー/安定剤質量比は一般に、400よりも大きい必要はなく、それは典型的には100以下、またはさらには50以下である。したがって、この比はとりわけ、0.005〜400、たとえば0.05〜300、とりわけ0.02〜50であってもよい。
【0035】
反応安定剤のチオカルボニルチオ基
この基は典型的には、工程(E0)で行われる制御ラジカル重合で使用される制御剤によって導入され、その制御剤は、典型的にはRAFTまたはMADIX制御剤である。特定の実施形態によれば、工程(E0)で使用されるこの制御剤は、幾つかのチオカルボニルチオ基を持っていてもよい。
【0036】
反応安定剤上に存在するチオカルボニルチオ基は典型的には、式−S(C=S)−Z(式中、Zは下に定義される通りである)に相当し、この基は典型的には、下式(A):
(式中:
− Zは、
・水素原子、
・塩素原子、
・任意選択的に置換されたアルキルもしくは任意選択的に置換されたアリールラジカル、
・任意選択的に置換された複素環、
・任意選択的に置換されたアルキルチオラジカル、
・任意選択的に置換されたアリールチオラジカル、
・任意選択的に置換されたアルコキシラジカル、
・任意選択的に置換されたアリールオキシチオラジカル、
・任意選択的に置換されたアミノラジカル、
・任意選択的に置換されたヒドロジンラジカル、
・任意選択的に置換されたアルコキシカルボニルラジカル、
・任意選択的に置換されたアリールオキシカルボニルラジカル、
・任意選択的に置換されたカルボキシルラジカル、
・任意選択的に置換されたアロイルオキシラジカル、
・任意選択的に置換されたカルバモイルラジカル、
・シアノラジカル、
・ジアルキル−もしくはジアリール−ホスホナトラジカル、
・ジアルキル−ホスフィナトもしくはジアリール−ホスフィナトラジカル、
または
・ポリマー鎖
を表し、
かつ
− Rは、
・任意選択的に置換されたアルキル、アシル、アリール、アラルキル、アルケンもしくはアルキン基、
・飽和もしくは不飽和の、芳香族、任意選択的に置換された炭素環もしくは複素環、または
・ポリマー鎖
を表す)
に相当する制御剤を工程(E0)で使用することによって得られる。
【0037】
基RまたはZは、それらが置換されている場合には、任意選択的に置換されたフェニル基、任意選択的に置換された芳香族基、飽和もしくは不飽和の炭素環、飽和もしくは不飽和の複素環、または次のもの:Rがアルキルもしくはアリール基、またはポリマー鎖を表す、アルコキシカルボニルもしくはアリールオキシカルボニル(−COOR)、カルボキシル(−COOH)、アシルオキシ(−OCR)、カルバモイル(−CONR)、シアノ(−CN)、アルキルカルボニル、アルキルアリールカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、フタルイミド、マレイミド、スクシンイミド、アミジノ、グアニジノ、ヒドロキシル(−OH)、アミノ(−NR)、ハロゲン、パーフルオロアルキルC2n+1、アリル、エポキシ、アルコキシ(−OR)、S−アルキル、S−アリール、カルボン酸のアルカリ金属塩、スルホン酸のアルカリ金属塩、ポリアルキレンオキシド鎖(PEO、PPO)、カチオン性置換基(第四級アンモニウム塩)などの親水性もしくはイオン性の基から選択される基で置換されていてもよい。
【0038】
特定の実施形態によれば、Rは、置換もしくは非置換、好ましくは置換アルキル基である。
【0039】
本説明において言及される、任意選択的に置換されたアルキル、アシル、アリール、アラルキルもしくはアルキン基は一般に、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜12個、より優先的には1〜9個の炭素原子を含有する。それらは、線状もしくは分岐であってもよい。それらはまた、とりわけエステルの形態での、酸素原子または硫黄もしくは窒素原子で置換されていてもよい。
【0040】
アルキルラジカルの中に、とりわけメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシルまたはドデシルラジカルが言及されてもよい。
【0041】
本説明の目的のためには、アルキン基は、2〜10個の炭素原子を一般に含有するラジカルであり、アセチレニルラジカルなどの、少なくとも1つのアセチレン不飽和を含有する。
【0042】
本説明の目的のためには、アシル基は、カルボニル基とともに1〜20個の炭素原子を一般に含有するラジカルである。
【0043】
本発明によって使用されてもよいアリールラジカルの中に、とりわけニトロもしくはヒドロキシル官能基で任意選択的に置換された、フェニルラジカルがとりわけ言及されてもよい。
【0044】
アラルキルラジカルの中に、とりわけニトロもしくはヒドロキシル官能基で任意選択的に置換された、ベンジルまたはフェネチルラジカルがとりわけ言及されてもよい。
【0045】
またはZがポリマー鎖である場合、このポリマー鎖は、ラジカルもしくはイオン重合から誘導されてもまたは重縮合から誘導されてもよい。
【0046】
本発明との関連で、制御剤として、ザンテート、ジチオカルバメートまたはジチオカルバゼートを使用することがとりわけ有利である。
【0047】
有利には、工程(E0)での制御剤として、ザンテート化合物、たとえば、式(CHCH(COCH))S(C=S)OCHCHのO−エチル−S−(1−メトキシカルボニルエチル)ザンテートが使用され、より一般的には、工程(E1)の反応安定剤は、かかる基を好ましくは有する。
【0048】
工程(E0)の履行に特に好適である制御剤は、名称Rhodixan A1で会社Rhodiaによって販売されている化合物である。
【0049】
工程(E0)および(E1)で使用されてもよいフリーラジカル源
工程(E0)および(E1)で使用されるフリーラジカル源は、同一であっても異なってもよく、実用上の理由から典型的には同一である。
【0050】
工程(E0)でおよび工程(E1)での両方に好適であるフリーラジカル源は、同時にまたは連続的に導入されてもよい、2つの試剤、すなわち、酸化剤と還元剤とを含むレドックス型の重合開始剤である。
【0051】
有利な実施形態によれば、還元剤と酸化剤とは別々に導入され、それは、第2試剤が導入されてしまうまで重合の開始を遅らせることを可能にする。有利には、かかるレドックス剤を使用する工程は、(i)酸化剤または還元剤の1つを含む混合物を、モノマーおよび制御剤(それは工程(E1)で反応性連鎖移動剤である)との混合物として先ず形成することによって、および、次いで(ii)この混合物に他の試剤(それぞれ、還元剤かまたは酸化剤)を添加することによって行われる。
【0052】
本発明との関連で本発明者らによって明らかにされた有利な効果は、一般に、酸化剤および還元剤の標準酸化還元電位間の差(Eox−Ered)が大きければ大きいほど一層顕著である。酸化剤のおよび還元剤の標準酸化還元電位間の差(Eox−Ered)が1〜2Vであることが本発明とのこの関連で推奨される。さらに、工程(E0)で使用される酸化剤(Ox)の酸化の標準酸化還元電位Eoxが、使用されるモノマーのそれよりも(好ましくは少なくとも0.2V、より優先的には少なくとも0.5V、またはさらには少なくとも1V)低いことが有利であり得る。
【0053】
これに関連して特に好適である酸化剤は、ヒドロペルオキシド、とりわけtert−ブチルヒドロペルオキシド(t−BuOOH)である。過酸化水素が別の可能な酸化剤である。
【0054】
さらに、レドックス系に存在する試剤が、望ましくない副生物をもたらす傾向がある、モノマーの疑似反応を誘発する性質のものである酸を含有しないことが、より一般的にはそれらがかかる反応を誘発するのに十分に低いpKaの化合物を含有しないことが好ましい。したがって、好ましくは、一般に、合成ポリマー中に高々2、3パーセントまで、副生物の含有率を低減することを可能にする、4よりも大きい、より優先的には6、またはさらには6.5よりも大きい、および好ましくは少なくとも7のpKaを有する還元剤(Red)および酸化剤(Ox)を使用することがとりわけ推奨される。これに関連して、特に好適である還元剤は亜硫酸ナトリウム(pKa=7.2)である。
【0055】
本発明の方法の工程(E0)および(E1)を行うのに特に好適であるレドックス系は、アスコルビン酸および亜硫酸ナトリウムから選択された還元剤と組み合わせられた、tert−ブチルヒドロペルオキシド(t−BuOOH)を酸化剤として含む。
【0056】
tert−ブチルヒドロペルオキシド/亜硫酸ナトリウムレドックス系が特に有利であることが分かる。工程(E0)でのこの系の使用は、非常に低い含有率の、典型的には5%よりも十分に下にとどまる副生物で、室温でおよび水中で重合させることを可能にする。
【0057】
工程(E0)および(E1)を行うための条件
工程(E0)でのレドックス系の使用を考えると、この工程は有利には、水性媒体中で、典型的には水を唯一の溶媒として使用して行われる。それはしたがって、有機溶媒を使用する必要なしに水性媒体中で直接にポリマーを得ることを可能にし、それは、本方法を工業的規模で用いるのに特に好適にする。
【0058】
さらに、工程(E0)および(E1)は、低温で、好ましくは40℃未満で、より有利には30℃以下、とりわけ5〜25℃の温度で有利に行われる。これらの2つの工程はしたがって、たとえば、室温で行われてもよく、それは、エネルギーコストの観点から、本発明の方法の別の利点である。
【0059】
工程(E0)および(E1)で製造されたブロックポリマーは、ランダム(または、特に工程(E0)で、グラジエント)ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。
【0060】
(E1)で使用されてもよいモノマー
工程(E1)で使用されてもよいハロゲン化モノマーとしては、特に、塩化ビニルH2C=CHCl(VC)、塩化ビニリデンH2C=CCl2(VC2)、フッ化ビニル(VF)、フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、3,3,3−トリフルオロプロペン(TFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、またはパーフルオロビニルエーテル(PFVE)、たとえばパーフルオロメチルビニルエーテル(PFMVE)が挙げられる。これらのモノマーは、互いに、または他のエチレン系不飽和の、ハロゲン化もしくは非ハロゲン化モノマー(必要に応じて、典型的には50モル%未満の非ハロゲン化モノマー)と、工程(E1)でホモ重合させられても共重合させられてもよい。
【0061】
本発明によって合成されるポリマー分散系
使用されるモノマーの性質に関わらず、工程(E1)は、ポリマー分散系へのアクセスを提供する。典型的には、それは、工程(E1)後に得られるように、制御ラジカル重合から誘導されたブロックポリマーで形成された分散粒子を含むラテックスであり、それは、この工程で行われた制御ラジカル重合から誘導されたブロックポリマーで形成された分散粒子を含有し、これらのブロックポリマーのそれぞれは、
− 工程(E1)で使用された反応安定剤のポリマー鎖に相当する、一般に親水性、または任意選択的に両親媒性である、第1ブロックと;
− この第1ブロックに共有結合した、工程(E1)で使用された反応安定剤上に当初は存在したチオカルボニルチオ反応基(たとえばザンテート)で一般に停止する、工程(E1)で使用されたエチレン系不飽和モノマーの重合から生じたポリマー鎖を含む、疎水性である、第2ブロックと
を含む。
【0062】
工程(E1)の運転条件を考慮すると、この工程から誘導されたブロックポリマーは、疎水性ブロックをベースとする粒子「コア」と、コアの鎖に共有結合した、反応安定剤上に当初は存在したポリマー鎖をベースとする外「殻」とを形成するために各粒子中に、図式的に、配置されることになる。
【0063】
こうして得られたラテックスは、界面活性剤の存在を必要とすることなく安定であるという利点を有する。追加の界面活性剤の使用は排除されないが、追加の界面活性剤が工程(E1)でまたはそれに続いてまったく使用されず、界面活性剤を含まないラテックスを得ることができることが通常は有利である。工程(E1)の使用に固有の、共有結合グラフト化による粒子上への安定剤の固定化は、通常の界面活性剤が本発明の反応安定剤の代わりに使用される場合に観察される脱着現象を阻止することによって、ラテックスの安定化に向けて関与する。
【0064】
さらに、工程(E1)の使用は、反応安定剤のポリマー鎖の性質に依存して調節可能である、制御された界面化学をラテックス粒子の表面で得ることを可能にし、このポリマー鎖上へ反応基は、
− 工程(E1)の前に:とりわけ、工程(E0)で、官能化もしくは非官能化モノマーを導入することによって;および/または
− 工程(E1)後に:たとえば、ラテックス粒子の表面で固定化されたポリマー鎖上に存在する基によるグラフト化反応によって
導入されてもよい。
【0065】
工程(E1)での制御ラジカル重合の使用はさらに、非常に簡単に、かつ、直接的に合成ポリマーの数平均分子量Mnの極めてきめ細かい制御を可能にする。結果として、工程(E1)は、形成される粒子のサイズの非常に容易なきめ細かい制御を可能にし、それは、コロイド安定性を最適化するためにとりわけ用いられてもよい。さらに、同様に、平均値周りの均質で狭い直径を有する傾向があるポリマー粒子が得られる。
【0066】
粒子の形態で工程(E1)によって得られたポリマーは、リビング性を有し、したがって、絶対的には、ブロックコポリマーのその後の合成のためのリビングポリマーとして使用されてもよく、そのブロックコポリマー上へ第3ブロックがグラフトされるであろう。これに関連して、工程(E1)で得られたポリマーは、工程(E1)に続く重合工程で制御剤として使用されてもよい。
【0067】
通常は、しかし、これらのポリマーは、ラテックス形態で使用される。この場合には、工程(E1)後に得られたポリマーの反応性末端を失活させることが望ましいこともある。この失活は、工程(E1)後に行われても、代替的にそれは、この工程を終結させてもよい(たとえば、それは、所望の分子量またはラテックス粒子の期待直径が達せられているときに行われてもよい)。これに関連して、本方法はそのとき、工程(E1)後に、鎖末端の化学的処理の工程(E2)を含む。たとえば、工程(E1)で使用される反応安定剤がザンテートである場合、ポリマー上に得られるザンテート反応性末端は、たとえば、ザンテート反応性末端を酸化して様々な酸化された化学種(とりわけチオエステル型−S(C=O)−および−SOHの)にする、過酸化水素の作用によってまたは有機過酸化物のもしくはあるいはオゾンの作用によって、ポリマーからそのリビング性を奪うために失活させられてもよい。
【0068】
工程(E1)後に得られたラテックスは、非常に多数の用途に、とりわけペイント、コーティングおよび接着剤を製造するために、建材を製造するために、または代替的に化粧品もしくはボディケア組成物で、植物保護調合物でもしくは農業部門のために、または代替的に石油抽出流体で使用されてもよい。
【0069】
特定の実施形態によれば、制御ラジカル重合のための重合の部位として用いられてもよい、ミセルの形態に編成された、工程(E1)後に得られるような制御ラジカル重合から誘導されたブロックポリマーを含む工程(E1)から得られるポリマー分散系。
【0070】
本発明およびその利点は、以下に示される実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0071】
実施例1:ポリアクリルアミド−Xaの存在下での塩化ビニリデン(VDC)の乳化重合
10gのVDC、59gの蒸留水、0.47gのポリアクリルアミド−Xa(Xa=Rhodixan A1、Mn=3000g/モル、Tatonら Macromol.Rapid Commun.2001,22,18,1497にしたがって合成された)および0.26gのtert−ブチルヒドロペルオキシド溶液(水中70質量%)を、室温(20℃)で250mlの丸底フラスコに入れた。
【0072】
反応混合物を10℃に冷却し、攪拌しながら(磁気バー)5分間純窒素での穏やかなスパージングによって脱気した。次に、0.26gの亜硫酸ナトリウムを窒素の流れ下で一度に添加した。
【0073】
反応媒体を次に10℃(±5℃)で3時間攪拌させた。
【0074】
反応後に、91%の転化率が重量法によって測定された。
【0075】
静的光散乱による分析(Malvern Zetasizer)は、241nmの粒径値Dzおよび0.04の粒子多分散性値を与える。
【0076】
実施例2:ポリ(アクリル酸)−Xaの存在下での塩化ビニリデン(VDC)の乳化重合
10gのVDC、59gの蒸留水、0.47gのポリアクリル酸−Xa(Xa=Rhodixan A1、Mn=3200g/モル、Tatonら Macromol.Rapid Commun.2001,22,18,1497にしたがって合成された)および0.26gのtert−ブチルヒドロペルオキシド溶液(水中70質量%)を、室温(20℃)で250mlの丸底フラスコに入れた。
【0077】
反応混合物を10℃に冷却し、攪拌しながら(磁気バー)5分間純窒素での穏やかなスパージングによって脱気した。次に、0.26gの亜硫酸ナトリウムを窒素の流れ下で一度に添加した。
【0078】
反応媒体を次に10℃(±5℃)で3時間攪拌させた。
【0079】
反応後に、89%の転化率が重量法によって測定された。
【0080】
静的光散乱による分析(Malvern Zetasizer)は、195nmの粒径値Dzおよび0.03の粒子多分散性値を与える。
図1