(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態のヒートポンプの簡略化した冷媒回路図である。
【0017】
このヒートポンプは、ガスエンジンによって駆動されるようになっている。
図1に示すように、このヒートポンプは、室外機50、室内機100、ガス管110および液冷媒管120を備える。尚、
図1に80で示す点線は、室外機50のパッケージを示している。
図1に示すように、ガス管110および液冷媒管120の夫々は、室外機50と室内機100とを接続している。
【0018】
室外機50は、第1圧縮機1、第2圧縮機2、オイルセパレータ3、四方弁4、第1逆止弁11、第2逆止弁12、第3逆止弁13、第4逆止弁14、レシーバ17および過冷却熱交換器18を有する。また、室外機50は、第1電子膨張弁20、第2電子膨張弁21、第1室外熱交換器23、第2室外熱交換器24、アキュムレータ26、冷媒補助蒸発器27、第3電子膨張弁35、第4電子膨張弁36、電磁弁38および第5逆止弁39を有する。一方、室内機100は、室内熱交換器8と、第5電子膨張弁9とを有する。
【0019】
制御装置60は、第1圧縮機1、第2圧縮機2、四方弁4、第1電子膨張弁20、第2電子膨張弁21、第3電子膨張弁35、第4電子膨張弁36、第5電子膨張弁9および電磁弁38に制御信号を出力し、それらの機器を制御する。図示しないが、制御装置60は、信号線を介してこれらの機器の夫々と電気接続されている。
【0020】
このヒートポンプは、次のように冷暖房運転を行う。先ず、暖房運転では、制御装置60が、四方弁4を制御して、四方弁4の第1ポート30と第2ポート31とを接続し、第3ポート32と第4ポート33とを接続する。
【0021】
暖房運転において、圧縮機1,2から吐出された高圧の冷媒ガスは、先ず、オイルセパレータ3に流入する。オイルセパレータ3は、冷媒ガスから圧縮機1,2の潤滑油を分離する。
図1において、51,52,53は、オイルセパレータ3で冷媒ガスから分離された潤滑油を、圧縮機1,2に戻すラインである。オイルセパレータ3に接続されたライン51は、ライン52とライン53とに分岐し、ライン52は、第1圧縮機1の油溜りに接続される一方、ライン53は、第2圧縮機2の油溜りに接続されている。尚、
図1において、63は、オイルセパレータ3から第1圧縮機1の油溜りへの潤滑油の流れを制御する電磁弁であり、64は、オイルセパレータ3から第2圧縮機2の油溜りへの潤滑油の流れを制御する電磁弁である。また、65は、ライン52を通って第1圧縮機1に向かうガス冷媒の圧力を圧損させるキャピラリであり、66は、ライン52を通って第2圧縮機2に向かうガス冷媒の圧力を圧損させるキャピラリである。
【0022】
暖房運転では、冷媒ガスは、オイルセパレータ3、四方弁4を、この順に通過して、室内熱交換器8に流入する。ガス冷媒は、室内熱交換器8に熱を与えることにより、自らは液化して液冷媒となる。暖房運転時には、第5電子膨張弁9は制御装置60によって全開に制御されている。室内熱交換器8に熱を与えて、自らは液化した液冷媒は、第1逆止弁11を経由して、レシーバ17に流入する。
【0023】
レシーバ17は、液冷媒を、貯留する役割を担っている。その後、液冷媒は、レシーバ17の底を抜け、過冷却熱交換器18を通過して、第4逆止弁14を、通り抜けて、第1および第2電子膨張弁20,21の方に流動する。
【0024】
尚、レシーバ17の底から抜けた液冷媒の圧力は、経路圧損により、第2逆止弁12の流出側の液冷媒の圧力や、第1および第3逆止弁11,13の流出側の液冷媒の圧力よりも低圧になる。これにより、レシーバ17の底を抜けた液冷媒は、基本的に第2逆止弁12や第3逆止弁13を通過しない。
【0025】
その後、液冷媒は、第1および第2電子膨張弁20,21で膨張されて、噴霧され、霧状になる。第1および第2電子膨張弁20,21の開度は、制御装置60によって自在に制御可能であり、第1および第2電子膨張弁20,21の開度は、制御装置60によって適切に制御されている。尚、冷媒の圧力は、第1および第2電子膨張弁20,21の通過前には、高圧である一方、第1および第2電子膨張弁20,21の通過後には、低圧になる。
【0026】
その後、霧状の湿った液冷媒は、第1および第2室外熱交換器23,24によって外気と熱交換して、外気から熱をもらってガス化する。このように、冷媒は、室内熱交換器8に熱を付与する一方、室外熱交換器23,24から熱を付与される。その後、ガス化した冷媒は、四方弁4を通過して、アキュムレータ26に到達する。アキュムレータ26は、ガスの冷媒と、霧状の冷媒とを分離し、冷媒を、完全にガス化する。仮に、霧状のままの冷媒が、圧縮機1,2に戻ると、圧縮機1,2の摺動部が、損傷する虞がある。アキュムレータ26は、そのような事態を防止する役割も担っている。その後、アキュムレータ26を通過した冷媒ガスは、圧縮機1,2の吸込口に流入する。
【0027】
制御装置60からの制御によって、第3電子膨張弁35の開度を調整すると、過冷却熱交換器18を通過した液冷媒の一部が、第3電子膨張弁35で霧状になった後、冷媒補助蒸発器27に流入する。冷媒補助蒸発器27には、ガスエンジンの冷却水(温度域が60度から90度)が流通する。
【0028】
冷媒補助蒸発器27に流入した霧状の液冷媒は、上記冷却水と熱交換して、気体となり、その後、アキュムレータ26に到達する。
【0029】
次に冷房運転を説明する。冷房運転では、制御装置60が、四方弁4を制御して、四方弁4の第1ポート30と第3ポート32を接続し、第2ポート31と第4ポート33を接続する。以下、冷房の場合については、熱の流れを簡潔に述べる。
【0030】
冷房運転の場合、第1および第2圧縮機1,2から吐出されたガス冷媒は、オイルセパレータ3を通過した後、四方弁4を通過して、第1および第2室外熱交換器23,24に到達する。この際、冷媒の温度は、高温であるので、冷媒は、夏場の酷暑の空気(30〜40度の空気)でも、第1および第2室外熱交換器23,24によって冷却される。そして、ガス冷媒は、第1および第2室外熱交換器23,24で熱を奪われて、液冷媒となる。
【0031】
冷房運転時には、制御装置60は、第1および第2電子膨張弁20,21の開度を適切な開度に制御し、電磁弁38を全開に制御する。第1および第2室外熱交換器23,24を通過した液冷媒は、基本的には、電磁弁38および逆止弁39を通過して、レシーバ17に到達する。その後、液冷媒は、レシーバ17の底を抜けて、過冷却熱交換器18を経由して、第2逆止弁12と第1逆止弁11との間から第5電子膨張弁9の方に流れる。
【0032】
第5電子膨張弁9の開度は、自在に制御可能であり、冷房時においては、第5電子膨張弁9の開度は、室内熱交換器8のガス管110側の過熱度を目標過熱度に保つように制御されている。室内熱交換器8に流入した霧状で低温の液冷媒は、室内熱交換器8から熱を奪って、室内の空気を冷却する一方、室内熱交換器8から熱を付与されて気化する。このように、冷媒は、室内熱交換器8から熱を奪う一方、第1および第2室外熱交換器23,24に熱を放出する。その後、気化したガス冷媒は、四方弁4、アキュムレータ26を、この順に通過して、圧縮機1,2の吸入口に流入する。
【0033】
また、制御装置60が、第4電子膨張弁36の開度を適切な開度に制御すると、レシーバ17および過冷却熱交換器18を通過した液冷媒の一部が、第4電子膨張弁36で減圧膨張して、過冷却熱交換器18に流入する。このようにして、レシーバ17から第4電子膨張弁36を経ずに過冷却熱交換器18に流入した液冷媒と、第4電子膨張弁36を通過して過冷却熱交換器18に流入した液冷媒とで、熱交換を行う。そして、室内熱交換器8に送られる液冷媒を更に冷却する一方、第4電子膨張弁36を通過した液冷媒を温めて、ガス化して、圧縮機1,2側に流動させる。
【0034】
図1に示すように、このヒートポンプは、更に、第1圧縮機用ヒータ71、第2圧縮機用ヒータ72、セパレータ用ヒータ73、アキュム用ヒータ74、第1温度センサ81、第2温度センサ82、第3温度センサ83、第4温度センサ84、圧力センサ85および圧力センサ86を備える。
【0035】
第1圧縮機用ヒータ71は、第1圧縮機1の油溜りに設けられ、第1圧縮機1を暖める一方、第2圧縮機用ヒータ72は、第2圧縮機2の油溜りに設けられ、第2圧縮機2を暖めるようになっている。また、セパレータ用ヒータ73は、オイルセパレータ3の使用状態においてオイルセパレータ3の油の取り出し口よりも鉛直方向の下側に設けられ、オイルセパレータ3を暖めるようになっている。また、アキュム用ヒータ74は、アキュムレータ26の使用状態においてアキュムレータ26の冷媒ガスの取り出し口よりも鉛直方向の下側に設けられ、アキュムレータ26を暖めるようになっている。
【0036】
図1に示すように、第1温度センサ81は、第1圧縮機1への油の戻しライン52の第1圧縮機1の近傍に設けられている。第1温度センサ81は、第1圧縮機1の温度の測定が可能になっている。また、第2温度センサ82は、第2圧縮機2への油の戻しライン53の第2圧縮機2の近傍に設けられている。第2温度センサ82は、第2圧縮機2の温度の測定が可能になっている。また、第3温度センサ83は、オイルセパレータ3から圧縮機1,2への油の戻しライン51のオイルセパレータ3の近傍に設けられている。第3温度センサ83は、オイルセパレータ3の温度の測定が可能になっている。
【0037】
圧力センサ85は、四方弁4からアキュムレータ26にガス冷媒を戻すライン61に設けられ、ライン61を通過するガス冷媒の気圧を検出している。また、第4温度センサ84は、アキュムレータ26から圧縮機1,2にガス冷媒を戻すライン77に設けられ、ライン77を通過するガス冷媒の温度を検出している。
【0038】
圧力センサ85および第4温度センサ84の夫々は、制御装置60に信号を出力するようになっている。制御装置60は、圧力センサ85からの信号に基づいてライン61を通過するガス冷媒の飽和蒸気圧温度を算出している。そして、この飽和蒸気圧温度と、第4温度センサ84からの信号に基づいて検出したライン77を通過するガス冷媒の温度とから過熱度を算出し、液冷媒が圧縮機1,2に戻ることを確実に防止し、液バックによる圧縮機1,2の損傷を確実に防止している。
【0039】
第4温度センサ84は、過熱度の算出を行うために設けられているが、第4温度センサ84は、アキュムレータ26の近傍に配置されている。このことから、第4温度センサ84で検知される温度は、アキュムレータ26の温度の代用温度としても利用可能である。
【0040】
図示しないが、このヒートポンプは、第1圧縮機用ヒータ71への電力の通電および遮断を行う回路と、第2圧縮機用ヒータ72への電力の通電および遮断を行う回路と、セパレータ用ヒータ73への電力の通電および遮断を行う回路と、アキュム用ヒータ74への電力の通電および遮断を行う回路とを備える。そして、制御装置60が、各回路に存在するヒータ通電および遮断の制御部としてのスイッチング素子に制御信号を出力することにより、各ヒータ71〜74の駆動と停止を制御する。
【0041】
図2は、制御装置60のブロック図である。
【0042】
尚、
図2のブロック図では、ヒータ制御に関する部位のみ図示を行い、他の制御に関する部位は、図示を省略している。
【0043】
図2に示すように、制御装置60には、第1〜第4温度センサ81〜84の夫々から温度を表す信号が入力される一方、制御装置60は、第1〜第4ヒータ通遮断部(各ヒータ71〜74への電力の通電および遮断を行うスイッチング素子)91〜94に制御信号を出力するようになっている。また、制御装置60には、リモコン等からなる操作部70からの信号が入力されるようになっている。
【0044】
制御装置60は、ヒータ不具合検知部97、タイマ98および記憶部99を有する。第1圧縮機1、第2圧縮機2、オイルセパレータ3およびアキュムレータ26の夫々においては、各機器1,2,3,26のヒータ71〜74の通電を停止する場合、各機器1,2,3,26の温度が既知であるときには、各ヒータ71〜74の熱放射性能と各機器1,2,3,26毎の熱容量とが既知であるから、各機器1,2,3,26毎に、各機器1,2,3,26の温度を目標の過熱度にするのに最大限必要な各ヒータ71〜74の熱容量を設定でき、各機器1,2,3,26において各機器1,2,3,26の温度毎に最大限必要な通電継続時間を認定できる。記憶部99には、各機器1,2,3,26毎に、その機器1,2,3,26の温度と、最大限必要な通電継続時間とが、一対一に対応づけられて、予め記憶されている。
【0045】
また、報知部95は、モニタからなっている。制御装置60のヒータ不具合検知部97は、各ヒータ71〜74毎の故障の警報を報知部95に報知させる制御を行うことが可能になっている。詳しくは、ヒータ不具合検知部97は、第1温度センサ81からの第1圧縮機1の温度を表す信号に基づいて、記憶部99から、その第1圧縮機1の温度に対応する最大限必要な通電時間を特定し、通電時間の継続時間がその最大限必要な通電時間に達した場合に、報知部95に第1圧縮機用ヒータ71の故障を表す文言を報知させるようになっている。
【0046】
また、同様に、ヒータ不具合検知部97は、第2温度センサ82からの第2圧縮機2の温度を表す信号に基づいて、記憶部99から、その第2圧縮機2の温度に対応する最大限必要な通電時間を特定し、通電時間の継続時間がその最大限必要な通電時間に達した場合に、報知部95に第2圧縮機用ヒータ72の故障を表す文言を報知させるようになっている。
【0047】
また、ヒータ不具合検知部97は、第3温度センサ83からのオイルセパレータ3の温度を表す信号に基づいて、記憶部99から、そのオイルセパレータ3の温度に対応する最大限必要な通電時間を特定し、通電時間の継続時間がその最大限必要な通電時間に達した場合に、報知部95にセパレータ用ヒータ73の故障を表す文言を報知させるようになっている。
【0048】
また、ヒータ不具合検知部97は、第4温度センサ84からのアキュムレータ26の温度を表す信号に基づいて、記憶部99から、そのアキュムレータ26の温度に対応する最大限必要な通電時間を特定し、通電時間の継続時間がその最大限必要な通電時間に達した場合に、報知部95にアキュムレータ用ヒータ74の故障を表す文言を報知させるようになっている。
【0049】
図3は、第1圧縮機1が停止しており、第2圧縮機2が停止しているときの第2圧縮機ヒータ72の駆動例を示す。また、
図4は、
図3に示す例において、時間に対して第1温度センサ84の設置箇所での過熱度の経時的変遷を示す。なお、第2圧縮機ヒータ72に関する過熱度は、温度センサ82の検知温度と圧力センサ85の検知圧力から定まる飽和蒸気圧温度との温度差である。
【0050】
尚、
図3において、横軸は、時間[hr]を示し、縦軸は、ヒータのオン・オフを示す。また、
図4において、横軸は、時間[hr]を示し、縦軸は、過熱度[℃]を示す。また、
図3のb1〜b9と、
図4のb1〜b9とは、同一の時刻を示す。
図3および
図4に示すように、第2圧縮機用ヒータ72が駆動すると、それに対応して第2温度センサ82の設置箇所での過熱度が時間の経過とともに単調に上昇している。また、第2圧縮機用ヒータ72が停止すると、それに対応して第2温度センサ82の設置箇所での過熱度が時間の経過とともに単調に減少している。この現象に類似する現象は、以下に示すように、他のヒータ73,74でも確認されている。
【0051】
図5は、セパレータ用ヒータ73の駆動例を示す。また、
図6は、
図5に示す例において、時間に対して第3温度センサ83の設置箇所での過熱度の経時的変遷を示す。なお、セパレータ用ヒータ73に関する過熱度は、温度センサ83の検知温度と圧力センサ86の検知圧力から定まる飽和蒸気圧温度との温度差である。
【0052】
尚、
図5において、横軸は、時間[hr]を示し、縦軸は、ヒータのオン・オフを示す。また、
図6において、横軸は、時間[hr]を示し、縦軸は、過熱度[℃]を示す。また、
図5のb1’〜b9’と、
図6のb1’〜b9’とは、同一の時刻を示す。
図5および
図6に示すように、セパレータ用ヒータ73が駆動すると、それに対応して第3温度センサ83の設置箇所での過熱度が時間の経過とともに単調に上昇している。また、セパレータ用ヒータ73が停止すると、それに対応して第3温度センサ83の設置箇所での過熱度が時間の経過とともに単調に減少している。
【0053】
図7は、アキュム用ヒータ74の駆動例を示す。また、
図8は、
図7に示す例において、時間に対して第4温度センサ84の設置箇所での過熱度の経時的変遷を示す。なお、アキュム用ヒータ74に関する過熱度は、温度センサ84の検知温度と圧力センサ85の検知圧力から定まる飽和蒸気圧温度との温度差である。
【0054】
尚、
図7において、横軸は、時間[hr]を示し、縦軸は、ヒータのオン・オフを示す。また、
図8において、横軸は、時間[hr]を示し、縦軸は、過熱度[℃]を示す。また、
図7のb1’’〜b9’’と、
図8のb1’’〜b9’’とは、同一の時刻を示す。
図7および
図8に示すように、アキュム用ヒータ74が駆動すると、それに対応して第4温度センサ84の設置箇所での過熱度が時間の経過とともに単調に上昇している。また、アキュム用ヒータ74が停止すると、それに対応して第4温度センサ84の設置箇所での過熱度が時間の経過とともに単調に減少している。
【0055】
図9は、
図1および
図2に示す例で、制御装置60が第1圧縮機用ヒータ71の不具合を判断するときの電圧の波形を示す模式図である。尚、
図9において、d[hr]は、時刻eにおける第1温度センサ81から信号に基づいて制御装置60が特定した最大限必要な通電継続時間である。
【0056】
図9に示す例では、制御装置60が特定した上記最大限必要な通電継続時間d以上の時間で、第1圧縮機用ヒータ71の通電が行われている。この場合に、制御装置60は、報知部95に第1圧縮機用ヒータ71の故障を報知させるようになっている。
【0057】
図10は、制御装置60による第1圧縮機用ヒータ71の制御の一例のフローチャートである。尚、第2圧縮機用ヒータ72や、セパレータ用ヒータ73や、アキュム用ヒータ74の制御も、
図10で説明するフローと同様である。温度センサ81を82、83または84と読み替えれば、それぞれ第2圧縮機用ヒータ72、セパレータ用ヒータ73またはアキュム用ヒータ74のフローチャートに対応するので、それらの制御フローについては、説明を省略する。
【0058】
図10を参照して、ヒートポンプの停止後に制御がスタートすると、ステップS1で制御装置60が温度センサ81の検知温度の過熱度が所定値以下か否かを判定する。所定値より大きい場合は、ステップS1の判定を所定周期で繰り返し、所定値以下の場合は、ステップS2に移行する。
【0059】
ステップS2で、制御装置60による通電継続時間の最大値の特定が行われ、第1圧縮機用ヒータ71のオン制御が行われ、タイマ98による計時がスタートする。
【0060】
その後、ステップS3に移行して、制御装置60は、温度センサ81の検知温度の過熱度が所定値より大きいか否かを判定する。過熱度が所定値以下の場合に、ステップS4に移行し、過熱度が所定値より大きい場合は、ステップS6に移行してヒータをオフにしてステップS1に戻る。
【0061】
ステップS4においては、第1圧縮機用ヒータ71への通電継続時間が、ステップS2で特定した通電継続時間の最大値に達したか否かを判断する。ここで、制御装置60が、第1圧縮機用ヒータ71への通電継続時間が、ステップS2で特定した通電継続時間の最大値に達していないと判定した場合は、ステップS3に戻る。
【0062】
一方、ステップS4において、制御装置60が、第1圧縮機用ヒータへの通電継続時間が、ステップS2で特定した通電継続時間の最大値に達したと判断すると、ステップS5に移行する。
【0063】
ステップS5では、制御装置60は、報知部95に第1圧縮機用ヒータ71の故障を報知させる。
【0064】
上記実施形態によれば、制御装置60が、各ヒータ71〜74への通電継続時間が各機器1,2,3,26毎に予め定められた時間(通電継続時間の最大値)以上となった場合に各機器1,2,3,26毎に報知部95に警報を報知させるから、その警告の報知によって、各機器1,2,3,26毎に断線やコネクタ抜け等の不具合の発生を判断できる。したがって、各ヒータ71〜74の通電制御をできて、節電を実現できると共に、各ヒータ71〜74の通電制御の不具合も検知できる。
【0065】
尚、上記実施形態では、セパレータ用ヒータ73およびアキュム用ヒータ74が存在したが、セパレータ用ヒータおよびアキュム用ヒータの少なくとも一方は、なくてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、圧縮機用ヒータ71,72が、圧縮機1,2の油溜りに設けられたが、圧縮機用ヒータは、圧縮機の外面等、圧縮機の油溜り以外の箇所に設けられてもよく、圧縮機に間隔をおいた箇所に設けられてもよい。圧縮機用ヒータは、圧縮機を暖めることができる箇所であれば如何なる箇所に設けられもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、セパレータ用ヒータ73が、オイルセパレータ3の使用状態においてオイルセパレータ3の油の取り出し口よりも鉛直方向の下側に設けられた。しかし、セパレータ用ヒータは、オイルセパレータの使用状態においてオイルセパレータの油の取り出し口と同じ高さに設けられてもよく、または上記油の取り出し口よりも鉛直方向の上側に設けられてもよい。セパレータ用ヒータは、オイルセパレータを暖めることができる箇所であれば如何なる箇所に設けられもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、アキュム用ヒータ74が、アキュムレータ26の使用状態においてアキュムレータ26の冷媒ガスの取り出し口よりも鉛直方向の下側に設けられた。しかし、アキュム用ヒータは、アキュムレータの使用状態においてアキュムレータの冷媒ガスの取り出し口と同じ高さに設けられてもよく、または、上記冷媒ガスの取り出し口よりも鉛直方向の上側に設けられてもよい。アキュム用ヒータは、アキュムレータを暖めることができる箇所であれば如何なる箇所に設けられもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、報知部95が、警告をモニタに表示(報知)するようになっていたが、報知部は、警告音を発するだけでもよく、警告をモニタに表示しなくてもよい。また、報知部は、警告を表す信号を特定の機器(例えば、遠隔監視システム)に出力するだけでもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、ヒートポンプが、二台の圧縮機1,2を備えたが、ヒートポンプは、一台の圧縮機のみを備えてもよく、ヒートポンプが、第1圧縮機用ヒータのみを備えて、第2圧縮機用ヒータが存在しなくてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、ヒートポンプが、室内熱交換器を備え、ヒートポンプが空調機であったが、ヒートポンプは、温水および冷水の少なくとも一方を供給するチラーであってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、ヒートポンプが、ガスエンジンで駆動されるようになっていた。しかし、ヒートポンプは、ガソリンエンジンで駆動されても、ディーゼルエンジンで駆動されても、電動モータで駆動されてもよい。
【0073】
また、この発明では、
図1に構成が示される上記実施形態との比較において、仕様に基づいて、上記実施形態を構成した電装部品および部位うちの一以上の電装部品や部位を適宜省略することができる。また、逆に、この発明では、
図1に構成が示される上記実施形態との比較において、仕様に基づいて、上記実施形態を構成した電装部品および部位に、更なる電装部品や部位を追加することもできる。また、上記実施形態および変形例で説明した全ての構成のうちの二以上の構成を組み合わせて新たな実施形態を構築できることは、勿論である。