特許第6356107号(P6356107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6356107患者に供給されているガスの特性を測定する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356107
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】患者に供給されているガスの特性を測定する装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/08 20060101AFI20180702BHJP
   A61M 16/16 20060101ALI20180702BHJP
   A61M 16/10 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   A61M16/08 330
   A61M16/16 A
   A61M16/10 C
【請求項の数】30
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-212046(P2015-212046)
(22)【出願日】2015年10月28日
(62)【分割の表示】特願2013-168353(P2013-168353)の分割
【原出願日】2005年8月19日
(65)【公開番号】特開2016-13493(P2016-13493A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2015年11月26日
(31)【優先権主張番号】534853
(32)【優先日】2004年8月20日
(33)【優先権主張国】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ペイトン マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】オドネル ケヴィン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】クラーク アンドリュー ベイデン
(72)【発明者】
【氏名】クイル クリストファー サイモン ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンズ ピーター ジェフリー
【審査官】 落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−26076(JP,A)
【文献】 米国特許第5600752(US,A)
【文献】 特開平5−317428(JP,A)
【文献】 特開2002−272849(JP,A)
【文献】 特開2000−167055(JP,A)
【文献】 特開昭53−43943(JP,A)
【文献】 特開昭61−294479(JP,A)
【文献】 特開平2−193680(JP,A)
【文献】 特開平4−200477(JP,A)
【文献】 特開平10−28737(JP,A)
【文献】 特開平11−57009(JP,A)
【文献】 特開2000−024109(JP,A)
【文献】 実開平2−118555(JP,U)
【文献】 国際公開第03/018096(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/011072(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/10
A61M 16/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に吸気ガスを供給するコンジットであって、
ガス供給源に接続される第1の端部と、
患者インターフェースに接続される第2の端部と、
患者に対するガス流を形成する前記コンジットの壁と、
前記第1の端部から前記第2の端部にわたる長手方向にわたって、少なくとも一部に延在し前記コンジットの内部又は周りに配置されたヒータワイヤと、
前記第2の端部に配置され、前記ガス流の少なくとも一つの特性を測定するように構成されたガスの特性を測定するセンサと、を有し、
前記ガスの特性を測定するセンサは、前記ヒータワイヤと接続され、前記ガス流の少なくとも一つの特性を測定可能とするように、前記ガス流内であってハウジング内に配置され、
前記ヒータワイヤは、前記ガスの特性を測定するセンサと直列に接続されていることを特徴とするコンジット。
【請求項2】
前記ガスの特性を測定するセンサは、サーミスタ及び容量性センサの少なくとも一つを含む、請求項1に記載のコンジット。
【請求項3】
前記ガスの特性を測定するセンサは、圧力、組成及び湿度の少なくとも一つを測定する、請求項1に記載のコンジット。
【請求項4】
前記ガスの特性を測定するセンサは、プリント回路板上の回路の一部である、
請求項3に記載のコンジット。
【請求項5】
前記ガスの特性を測定するセンサは、前記ガス流中のプラスチック成形物であるハウジング内に配線された回路の一部である、
請求項3に記載のコンジット。
【請求項6】
前記プリント回路板は、少なくとも一部がコンジットの壁に成形される、請求項4に記載のコンジット。
【請求項7】
ガス供給源と、
前記ガス供給源に接続され患者へのガス流を形成するように構成されたコンジットと、
前記コンジットの長さ方向に配置されたヒータワイヤと、
前記ガス流の少なくとも一つの特性を示す信号を、前記ヒータワイヤによってコントローラに出力するように構成されたセンサと、を有し、
前記コントローラは、前記ガス流の少なくとも一つの特性を決定するように構成され、
前記センサは前記ガス流の中に配置され、
前記ヒータワイヤは前記センサと直列に接続され、
前記センサはプラスチック成形物でシールされ、前記プラスチック成形物は前記コンジットの前記ガス流の中に配置されていることを特徴とする患者に供給されるガスの特性を測定する装置。
【請求項8】
前記プラスチック成形物は、前記コンジットの壁から前記ガス流の中に突出するハウジングである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記コンジットの壁から突出している、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記センサは、サーミスタ、抵抗器及び容量性センサの少なくとも一つを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記サーミスタ、前記抵抗器及び前記容量性センサの少なくとも一つは、前記コンジットの壁によって形成される管の径方向の中央又は中央付近に配置され、前記ガス流は前記管によって提供される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記センサは、回路板上に配置され、前記プラスチック成形物は前記回路板の少なくとも一部を囲む、請求項7に記載の装置。
【請求項13】
前記センサは、前記ガス流の、温度、圧力、組成及び湿度の少なくとも一つを測定する、請求項7に記載の装置。
【請求項14】
前記コンジットは、第2の端部が患者インターフェースと接続され、第1の端部が前記ガス供給源と接続され、前記患者インターフェースは患者への前記ガス流を提供し、前記コンジットの全長は、実質的に前記第1の端部から前記第2の端部までの長さである、請求項7に記載の装置。
【請求項15】
前記プラスチック成形物は、前記第2の端部又はその付近に配置される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ガスの特性を測定するセンサは回路板上にある、請求項1に記載のコンジット。
【請求項17】
前記ハウジングは、前記コンジットの壁から突出している、請求項1に記載のコンジット。
【請求項18】
前記ヒータワイヤと、前記ガスの特性を測定するセンサとに並列に接続されるダイオードをさらに含み、第1の極性の電流が前記ヒータワイヤに印加されるとき、前記第1の極性の電流は、前記ダイオードを介して前記ヒータワイヤに流れ、前記コンジットを加熱し、
前記第1の極性と逆極性の第2の極性の電流が前記ヒータワイヤに印加されるとき、前記第2の極性の電流は、前記ダイオード流れず、前記ガスの特性を測定するセンサに流れる、請求項1に記載のコンジット。
【請求項19】
前記ダイオードは、前記第2の端部に配置される、請求項18に記載のコンジット。
【請求項20】
前記ヒータワイヤと接続され、前記ガスの特性を測定するセンサに対し直列に接続される第1のフィルタを有し、前記第1のフィルタは、前記ヒータワイヤを介して第1の周波数帯の電気信号を通過させるように構成され、
前記第2の端部に配置され、前記ガス流の少なくとも一つの他の特性を測定するように構成された第2のガスの特性を測定するセンサを有し、前記第2のガスの特性を測定するセンサは、前記ガスの特性を測定するセンサに対し並列に接続されるように前記ヒータワイヤと接続され、
前記第2のガスの特性を測定するセンサは、前記ガス流の少なくとも一つの他の特性を測定するように、前記ガス流の内の中であって前記ハウジングの内部に配置され、
前記ヒータワイヤと接続され、前記第2のガスの特性を測定するセンサに対し直列に接続される第2のフィルタを有し、前記第2のフィルタは、前記ヒータワイヤを介して第2の周波数帯の電気信号を通過させるように構成され、
前記第1の周波数帯の電気信号は、前記ガス流の少なくとも一つの特性を測定するのに用いられ、前記第2の周波数帯の電気信号は、前記ガス流の少なくとも一つの他の特性を測定するのに用いられる、請求項1に記載のコンジット。
【請求項21】
前記ヒータワイヤと電気的に接続され、前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタと並列に配置される第3のフィルタを有し、前記第3のフィルタは前記ヒータワイヤを介して第3の周波数帯の電気信号を通過させ、前記第3の周波数帯の電気信号は、前記ヒータワイヤを介して前記コンジットを加熱する、請求項20に記載のコンジット。
【請求項22】
前記ガスの特性を測定するセンサは、抵抗器と容量センサとを含む、請求項2に記載のコンジット。
【請求項23】
前記プラスチック成形物は、前記コンジットの壁から突出し、前記ガス流の中にある、請求項に記載のコンジット。
【請求項24】
前記ガス供給源は、前記ガス流の少なくとも一つの特性を決定するように構成されるコントローラを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項25】
前記ヒータワイヤと直列に接続されるダイオードをさらに含み、
前記ダイオードは前記センサと並列に接続され、
第1の極性の電流が前記ヒータワイヤに印加されるとき、前記コンジットを加熱するように前記ダイオードを介して前記ヒータワイヤに前記第1の極性の電流が供給され、
前記第1の極性とは逆極性の第2の極性の電流が前記ヒータワイヤに印加されるとき、前記第2の極性の電流は、前記センサに流れ、前記ダイオードには流れない、請求項7に記載の装置。
【請求項26】
前記ダイオードは、前記コンジットの端部に配置され、前記端部は患者インターフェースに接続されている、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記コントローラは、前記ヒータワイヤを介して前記センサと電気的に接続される基準抵抗器を含み、前記第2の極性の電流が前記ヒータワイヤに印加され、前記第2の極性の電流が前記ヒータワイヤに流れるとき、前記コントローラは、前記基準抵抗器によって前記ガス流の少なくとも一つの特性を決定するように構成される、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記ガス流の少なくとも一つの特性である第1の特性を示す第1の信号を、前記ヒータワイヤを介して前記コントローラに提供するように構成された第1のセンサを有し、
第1のセンサと直列に電気的に接続された第1のフィルタを有し、前記第1のフィルタは、前記ヒータワイヤを介して第1の周波数帯の第1の信号を通過させるように構成され、前記第1の信号は前記第1の周波数帯に属し、
前記ガス流の少なくとも一つの特性である第2の特性を示す第2の信号を、前記ヒータワイヤを介して前記コントローラに提供するように構成された第2のセンサを有し、前記第2のセンサは、前記第1のセンサと電気的に並列に接続され、
前記第2のセンサと直列に電気的に接続された第2のフィルタを有し、前記第2のフィルタは、前記ヒータワイヤを介して第2の周波数帯の前記第2の信号を通過させるように構成され、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサと並列に電気的に接続された第3のフィルタを有し、
前記第3のフィルタは、前記ヒータワイヤを介して第3の周波数帯の信号を通過させるように構成され、前記第3の周波数帯の信号は、前記ヒータワイヤによって前記コンジットを加熱する、請求項7に記載の装置。
【請求項29】
前記ヒータワイヤに電気的に接続された第1の基準抵抗器を有し、
前記第1の基準抵抗器は、前記ガスの流れの少なくとも一つの第1の特性を決定する前記コントローラに連結され、
前記ヒータワイヤに電気的に接続され、前記第1の周波数帯の前記第1の信号を、前記第1の基準抵抗器を通過させるように構成された第4のフィルタと、
前記ヒータワイヤに電気的に接続された第2の基準抵抗器を有し、
前記第2の基準抵抗器は、前記ガス流の少なくとも一つの第2の特性を決定する前記コントローラに連結され、
前記ヒータワイヤに電気的に接続され、前記第2の周波数帯の前記第2の信号を、前記第2の基準抵抗器を通過させるように構成された第5のフィルタと、
を有する、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記サーミスタ、前記抵抗器及び前記容量性センサの少なくとも一つは、前記コンジットの壁によって形成される管の径方向の中央又は中央付近に配置され、前記ガス流は前記管を介して提供される、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に供給されているガスの温度及び湿度のような特性を測定する装置に係る。加湿器は、通常、その加湿器の出口付近及び患者の近くの2つのポイントにおいてガスの温度を測定することにより、制御される。本発明は、主として、患者に接近したポイントにおいて患者に供給されているガスの温度を測定することに係る。
【背景技術】
【0002】
患者が閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)や慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような症状に対して酸素療法や正圧力処置のような処置を受けているときに患者に供給されているガスの温度が、安全性のために、及び患者に付与される湿度を制御できるようにするために、しばしば測定される。患者付近の温度の測定は、一般に、フィシャー&ペイケル・ヘルスケア・リミテッドの米国特許第6,272,933号及び第6,584,972号に開示されたような、呼吸管に挿入されたプローブを使用して実行されている。このような温度プローブは、呼吸回路の外部に延びるケーブルを通して加湿器に接続される。この解決策には幾つかの欠点がある。特に、ユーザは、温度プローブを正しく設置しなければならない。プローブが正しく設置されないと、加湿システムが機能不良を起こして、患者へのリスクを高めることがある。呼吸管センサの既存の端末は、センサワイヤを呼吸管の外側に沿って延ばすことを必要とする。これは、これらワイヤのもろさのためにセンサの信頼性を低下させる。或いは又、これらのワイヤが呼吸管の内側に沿って延びる場合には、空気流に対する抵抗が高まると共に、呼吸回路の衛生状態が低下することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、患者に供給されているガスの特性を測定する方法であって、従来技術における前記欠点を克服するのに役立ち且つ少なくとも業界に有用な選択肢を与える方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の第1の態様は、患者に供給されているガスの特性を測定するための装置において、
ガス供給源と、
少なくとも1つの配送コンジットであって、このコンジットを加熱するためのヒータワイヤを含む配送コンジットと、
を備え、前記ヒータワイヤが前記ガスの前記特性を決定するための電気回路に使用されるような装置にある。
【0005】
好ましくは、前記電気回路は、前記ヒータワイヤに直列に接続され、前記ガスの温度、湿度、圧力及び組成の少なくとも1つの測定値を与え、又はその指示値の計算を行えるようにする。
【0006】
好ましくは、前記電気回路は、前記少なくとも1つの配送コンジットを通して前記患者に供給されているガス中へと少なくとも部分的に延びるプリント回路板上に装着されてシールされる。
【0007】
好ましくは、前記電気回路は、前記配送コンジットの壁へ少なくとも部分的に成形される。
【0008】
好ましくは、前記電気回路は、周囲温度において既知の特性をもつ感知手段を備え、この感知手段は、前記少なくとも1つの配送コンジットに一致させることができる。
【0009】
好ましくは、前記感知手段は、温度センサである。
【0010】
好ましくは、前記電気回路は、前記ヒータワイヤと直列の少なくとも1つの測定手段を備えている。
【0011】
好ましくは、前記少なくとも1つの測定手段は、温度測定手段である。
【0012】
好ましくは、前記温度測定手段は、並列のサーミスタ及びダイオードと、基準抵抗器とを含む。
【0013】
好ましくは、前記サーミスタ及び前記ダイオードは、前記患者の付近で前記配送コンジットの端に配置され、そして前記基準抵抗器は、前記ガス供給手段に含まれる。
【0014】
好ましくは、前記ガス供給手段は、ガス流を供給する装置、例えば、送風機と、この送風機からの前記ガスを加湿するための加湿器とを備えている。
【0015】
好ましくは、前記ガス供給源は、加湿器である。
【0016】
好ましくは、前記電気回路は、ガス特性測定手段を含む。
【0017】
好ましくは、前記ガス特性測定手段は、センサ、バンドパスフィルタ又はサーミスタの少なくとも1つと、少なくとも1つの基準抵抗器とを含む。
【0018】
好ましくは、センサ、バンドパスフィルタ又はサーミスタの前記少なくとも1つは、前記患者の付近で前記配送コンジットの端に配置され、そして前記少なくとも1つの基準抵抗器及び少なくとも1つのバンドパスフィルタは、前記ガス供給手段に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】患者に供給されているガスの温度を測定する本発明の方法に使用できる呼吸加湿システムを示す図である。
図2】患者へのガスの温度を測定できる電子装置の回路図で、本発明のシステムがDC加熱及び測定電圧を使用するときに回路が使用される状態を示した図である。
図3】患者へのガスの温度を測定できる電子装置の回路図で、本発明のシステムが加熱のためのDC又はAC電圧と信号電圧とを使用するときに回路が使用される状態を示した図である。
図4】コンジットの破断図で、本発明の回路がプリント回路板上にあって、ガス流領域内にコンジットと共に存在するところを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、以上に述べたものにあると共に、以下に例示された構造も考えられる。添付図面を参照して、本発明の好ましい態様を説明する。
【0021】
本発明は、ガス配送管又はコンジットに流れるガスを加熱するのに用いられるワイヤのようなワイヤに装着されたセンサを使用し、ワイヤはその配送管又はコンジット内に存在するものであり、そのガス配送管又はコンジットの端で例えば温度又は湿度のような種々の特性を測定しようとするものである。フィシャー&ペイケル・ヘルスケア・リミテッドの米国特許第6,078,730号に開示されたような加熱ワイヤを伴う加熱管、又は他の同様の管及び加熱ワイヤを、本発明に使用することができる。
【0022】
図1を参照すれば、本発明に使用できる換気及び加湿システムが示されている。患者13は、加湿ガス搬送通路又は吸気コンジット3に接続された鼻カニューレ12を通して加湿及び加圧ガスを受け取り、吸気コンジット3は、次いで、加湿器8(加湿チャンバー5を含む)に接続され、この加湿器には、送風機15又は他の適当なガス供給手段からガスが供給される。
【0023】
吸気コンジット3は、ある量の水6を収容した加湿チャンバー5の出口4に接続される。加湿チャンバー5は、好ましくは、プラスチック材料で形成され、そして加湿器8のヒータプレート7に直接接触する高熱伝導性のベース(例えば、アルミニウムベース)を有することができる。加湿器8には、制御手段又は電子コントローラ9が設けられ、これは、関連メモリに記憶されたコンピュータソフトウェアコマンドを実行するマイクロプロセッサベースのコントローラでよい。吸気コンジット3を通して流れるガスは、鼻カニューレ12により患者へ通されるが、鼻又はフルフェースマスクのような他の患者インターフェイスにより患者へ通されてもよい。
【0024】
コントローラ9は、ユーザ入力手段又はダイアル10のようなソースから入力を受け取り、このダイアルにより、装置のユーザは、例えば、患者13へ供給されているガスの湿度又は温度の所定の所要値(プリセット値)をセットする。ダイアル10を経て入力されたユーザ設定湿度又は温度値や、ガス流量又は温度を感知する内部センサのような他の考えられる入力に応答して、或いはコントローラで計算されたパラメータにより、コントローラ9は、いつ(又はどんなレベルまで)ヒータプレート7を付勢して加湿チャンバー5内の水6を加熱すべきか決定する。加湿チャンバー5内のある量の水6が加熱されるにつれて、水蒸気が水面より上のチャンバーの容積部を満たし始め、そしてガス供給手段又は送風機15から送られて入口16を経て加湿チャンバー5に入るガス(例えば、空気)の流れと共に、加湿チャンバー5の出口4から放出される。
【0025】
送風機15には、可変速度のポンプ又はファン2を設けることができ、これは、送風機の入口17を経て空気又は他のガスを引き込む。可変速度ポンプ又はファン2の速度は、更に別の制御手段又は電子コントローラ18により制御することができ、このコントローラ18は、コントローラ9からの入力に応答するか、又はダイアル10を経てユーザが設定した圧力又はファン速度の所定の所要値(プリセット値)に応答する。或いは又、このコントローラ18の機能は、他のコントローラ9と結合されてもよい。
【0026】
加湿されたガスがコンジット内で凝結するのを防止する上で助けとなるように、加熱素子又はワイヤ11は、コンジット又は管3の中に、それの周りに、及びその全体にわたって設けられるのが好ましい。このような凝結は、コンジットの壁の温度が、コンジット内の加湿されたガスの温度より通常低い周囲温度(それを取り巻く大気の温度)に近いためである。ヒータ素子は、コンジットを経て通過する間に伝導及び対流によりガスから失われるエネルギーを効果的に補充する。従って、コンジットのヒータ素子は、配送されているガスが最適な温度及び湿度であることを保証する。
【0027】
このようなヒータワイヤは、一般に、直流(DC)又は交流(AC)のいずれかで駆動され、その両方の場合に、加熱素子に印加される電力を制御するために加熱電圧が、通常、オン及びオフに切り換えられる。本発明では、最も好ましくはワイヤである加熱素子11が、患者に供給されているガスの特性を決定するための電子回路と共に使用される。この回路(図2及び3の20又は40)は、ヒータワイヤ11と直列に接続されるのが好ましい。この回路は、プリント回路板上にあってもよいし、ガス流中のプラスチック成形物であるハウジング内に配線されてもよいし、或いはコンジット又は管3の壁内に少なくとも部分的に成形された回路板であってもよい。測定できる特性は、温度、圧力、ガス組成及び湿度を含む。本発明の2つの実施形態を以下に説明するが、その一方は、DC加熱電圧のみを使用して動作するものであり、そしてその他方は、DC又はAC加熱電圧で動作できるものである。
【0028】
DC加熱電圧
図2は、本発明の温度測定方法を実施するのに使用できる回路20を示す。DC加熱電圧25がヒータワイヤに印加されると、ダイオード22が導通して、ヒータワイヤ21、28に電流が流れ、ヒータワイヤは通常に機能して、配送管3に熱を与える。スイッチ29を使用して加熱電圧25がスイッチオフされると、加熱電圧25と逆の極性を有する測定電圧26がヒータワイヤに印加される。この場合に、ヒータワイヤ21、28の電流は、ダイオード22には流れず、サーミスタ23及び基準抵抗器24に流れる。次いで、基準抵抗器24にまたがる電圧を出力27で測定し、ガスの温度を決定することができる。基準抵抗器24にまたがる電圧測定値27は、ルックアップテーブルを使用するか、又は温度値を計算する方程式を使用して、温度に変換される。これは、サーミスタ23が基準抵抗器24とで電位分割器を形成するような通常使用される技術と同様である。
【0029】
より一般的には、サーミスタは、圧力又は湿度測定のためのインピーダンス(例えば、抵抗器及び容量性センサ)に置き換えられてもよい。基準抵抗器24にまたがる電圧を測定することによりインピーダンスを測定することもできるし、又は基準抵抗器24にまたがる電圧を時間的に考察することで立上り時間を決定することができる。
【0030】
回路20の一部分は、配送コンジット3に含まれ、特に、ダイオード22及びサーミスタ23(互いに並列)は、配送管3の端30又はその付近におけるヒータワイヤのポイントにおいて(ユーザ13の最も近く、図1、2及び4を参照)ヒータワイヤ21、28に直列に配置されるのが好ましく、例えば、それらは、図4に示すように、プリント回路板上で相互接続され、シールのためにプラスチックでオーバーモールドされ、そして配送コンジットを通るガス流中に装着される。更に、この回路は、ハウジング、例えば、ガス特性を測定するために配送管のプラスチック壁からコンジットに流れるガス流中へと突出するプラスチックハウジング内の相互接続部分により形成されてもよい。基準抵抗器24及びスイッチング回路29を含む回路20の他の全ての部分は、加湿器8の制御回路に含まれる。
【0031】
サーミスタの値は、周囲温度において既知の特性を伴う異なる抵抗曲線を有するように選択することができる。回路に使用するための特定のサーミスタ値の選択は、本発明の制御システムによる識別を許すと共に、そのサーミスタ値と特定のコンジット又は管3との一致を許す。このように、異なるサーミスタ値を特定の及び適切なコンジット形式に一致させることができると共に、コンジットを加湿器又は送風装置に接続する際に、制御システムは、そのサーミスタを識別し、そして適切な制御戦略をコンジットの加熱に適用することができる。
【0032】
AC又はDC加熱電圧
図2に示す回路は、DC加熱電圧が図1に示すようにヒータワイヤ、配送コンジット及びシステムに関連して使用されるときに、使用されるよう意図される。温度のようなガス特性の測定を与え、且つAC及びDC電圧に適した別の実施形態の回路40が図3に示されている。異なる周波数における多数の電圧信号51、52、53が加算器50で一緒に加算される。これらの信号は、少なくとも1つの加熱信号51及び少なくとも1つの測定信号53を含む。これら信号の合成体がヒータワイヤ44に沿って通過し、ヒータワイヤ44に電流(加熱及び測定)を生成する。多数の並列な経路41、43、45が確立され、その各々は、異なる周波数範囲を通過させるフィルタ(例えば、図3に示すように、1つのローパスフィルタ41及び3つのバンドパスフィルタ43、45、48)を含む。これらの並列の経路(即ち、フィルタ、サーミスタ、及び/又はセンサ)は、図2を参照して述べたものと同様に、配送管3の端30に配置されるのが好ましい。これらの並列経路は、測定電流に対して異なる経路に加熱電流を流すことを許す。又、ガスの異なる特性(例えば、温度、圧力、湿度、組成)を測定できるように、多数の測定信号をヒータワイヤに通すことも許す。
【0033】
加熱及び測定電流は、ヒータワイヤ46を経て返送され、そして管3の端30に配置されたフィルタ41、43、45に対応する周波数バンドを通過させる多数の並列な測定フィルタ47、49、57を通してフィルタすることができる。加熱電流は、測定電流とは異なる経路をとる。測定電流の各々は、それらの周波数に基づいて異なる経路をとり、これは、各測定電流を、基準抵抗器48、54又はそれと同様のものに通過させることで測定するのを許す。この場合も、ルックアップテーブル又は方程式を使用して、基準抵抗器48、54にまたがる電圧を、例えば、温度に変換することができる。本発明の好ましい実施形態では、測定フィルタ47、49、57が加湿器8の制御回路に含まれる。
【0034】
更に別の実施形態では、配送管3の端30における1つ以上の感知素子55、56を固定インピーダンスに置き換え、異なるコンジット又は管に対して異なる制御アルゴリズムを使用できるように管の識別を許すことができる。
【0035】
図4は、図2又は3を参照して上述した本発明の回路の1つ又は部分を収容するプリント回路板60を伴うコンジット3の破断図である。回路板60は、加熱ワイヤ21、28に接続され、従って、コンジット3内に位置される。このように、回路板60に含まれるサーミスタ23は、コンジット3を通して流れるガスに露出され、ガスの特性の測定値を与えることができる。
【0036】
本発明の回路及び方法は、加湿及び呼吸回路製品のためのこれら技術の多数の用途に適用できる。例えば、配送管の端(又は患者インターフェイス、例えば、鼻カニューレ又はマスク)における温度又は湿度の測定値を使用して、加湿器を良好に制御し、より正確な温度のガスを患者へ供給し、最適な患者の快適感及び療法を提供することができる。更に、患者付近のガス圧力又はガス組成のような他のガス特性を測定することもできる。
【0037】
本発明の装置は、従来技術で必要とされた、ガス特性を感知する外部ワイヤの必要性を排除する。更に、本発明の装置は、2つのピン又はコンタクトしか使用しない(現在の加熱管実施形態で4本のピンが使用されるのに対して)。これは、コンタクト/ピンが折れることがおそらくないので、本発明のシステムがおそらくより信頼し得るものであることを意味する。又、ガス特性の測定にヒータワイヤを使用することで、特に、呼吸管が使い捨てのものである場合に、呼吸管3及びその関連部品のコストを減少できる。
図1
図2
図3
図4