(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリマー(F)の製造方法であって、前記方法が、少なくとも1種のモノマー(FM)と、少なくとも1種のモノマー(IO)と少なくとも1種のモノマー(Az)とを含むモノマー混合物を重合させることを含む、方法。
請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリマー(F)と、前記ポリマー(F)に対して0.5重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜7重量%の量の少なくとも1種の硬化剤とを含む、架橋性組成物[組成物(CC)]。
請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリマー(F)、または請求項11に記載の組成物(CC)の架橋方法であって、前記ポリマー(F)または前記組成物(CC)をUV線および/または熱処理にかける工程を含む、方法。
【背景技術】
【0003】
スルホン酸官能基を含有するフッ素化ポリマーは、それらのイオン伝導性のために、電解セルおよび燃料電池などの電気化学デバイス用の電解質膜の製造に幅広く使用されている。顕著な例は、例えば、水素を燃料として、および酸素または空気を酸化剤として用いるプロトン交換膜(PEM)燃料電池である。
【0004】
スルホン酸官能基を含有するフッ素化ポリマーはまた、スルホン酸基が存在するために、親水性フッ素化表面を提供することも知られている。
【0005】
電解質膜に高いプロトン輸送能力を付与するために、または親水性フッ素化表面において水と効率的に相互作用させるために、多数のスルホン酸基を有するポリマーが必要とされるが、それらのポリマーは、それらから得られる物品の持続時間への負の影響が結果として生じると共に、機械および物理抵抗が一般に低下する。
【0006】
スルホン酸官能基を含有するフッ素化ポリマーから製造される膜の物理抵抗を向上させるための架橋の使用が以前に開示されている。例えば、欧州特許出願公開第1238999号(SOLVAY SOLEXIS SPA)2002年9月11日および欧州特許出願公開第1239000号(SOLVAY SOLEXIS SPA)2002年9月11日は、テトラフルオロエチレンに由来するモノマー単位と、スルホニル基−SO
2Fを含有するフッ素化モノマー単位と、式R
1R
2C=CH−(CF
2)
m−CH=CR
5R
6(式中、m=2〜10であり、互いに等しいかもしくは異なる、R
1、R
2、R
5、R
6は、HまたはC
1〜C
5アルキル基である)のビス−オレフィンに由来する0.01モル%〜5モル%のモノマー単位とを含む架橋性スルホン酸フッ素化ポリマーを含む親水性膜を開示している。この膜は、スルホン酸フッ素化ポリマーの架橋によって得られ、その架橋はポリマーの骨格を巻き込む。この膜は、濾過膜だけでなく電気化学セルにおけるイオン伝導性膜としての使用の両方に好適である。
【0007】
しかし、式R
1R
2C=CH−(CF
2)
m−CH=CR
5R
6のビス−オレフィンの使用は、ビス−オレフィンの低い沸騰温度のために、ビス−オレフィンの分率が、膜の製造工程中に蒸発によって失われ、架橋プロセスの有効性を低下させるという欠点に悩まされる。
【0008】
したがって、ポリマーのイオン伝導能力および親水性に影響を及ぼすことなくスルホン酸官能基を含むフッ素化ポリマーの架橋による向上した物理および機械抵抗で、かつ、改善された効率を有するプロセスで、物品、特に膜を提供する必要性が依然として存在する。
【0009】
スルホン酸官能基を含むフッ素化ポリマーへのアジド含有モノマーの組み込みが先行技術プロセスの限界に対する解決策を提供することが今見いだされた。
【0010】
フルオロポリマー鎖中へのアジド含有モノマーの組み込みは、特にフルオロエラストマーについて、当技術分野で記載されている。
【0011】
こうして、米国特許第6365693号(DUPONT DOW ELASTOMERS LLC)2002年4月2日は、それらのうちの少なくとも1種がVDF、TFEおよびクロロトリフルオロエチレン(CTFE)から選択される、フッ素化モノマーのコポリマー中の硬化部位モノマーとしての、式:
CX
1X
2=CX−(O)
p−R
f−(CH
2)
n−S(O)
qN
3
(式中:X、X
1およびX
2は、独立してHまたはFであり、pは0または1であり、nは0〜4であり、qは1または2であり、R
fは、パーフルオロアルキルまたはパーフルオロアルコキシ基である)
の化合物の組み込みを開示している。
【0012】
同様に、米国特許出願公開第2010324222号(DUPONT PERFORMANCE ELASTOMERS L.L.C.)2010年12月23日は、
− フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンから選択される第1モノマーと、
− アジド、スルホニルアジドおよびカルボニルアジド基から選択される硬化部位を有する硬化部位モノマーと
の共重合単位を含むフルオロエラストマーを開示している。
【0013】
国際公開第2010/021962号(3M INNOVATIVE PROPERTIES COMPANY)2010年2月25日は、スルホニルアジド基とは異なる1つもしくは複数のアジド基を含有するフルオロポリマーを開示している。
【0014】
しかし、これらの公文書のどれも、スルホン酸官能基ならびにアジド官能基を含むフッ素化ポリマーを開示していない。
【0015】
米国特許出願公開第2010093878号(E I DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY)2010年4月15日は、架橋性フルオロポリマー、架橋したフルオロポリマーおよび架橋したフルオロポリマー膜に関する。より詳細には、この公文書に開示されている架橋性フルオロポリマーは、
− CR
2=CF
2モノマー(式中、Rは、HまたはFである)に由来する70モル%〜95モル%の繰り返し単位と;
− CR’
2=CR’−(O)
q−R
FSO
2Fモノマー(式中、R’は、HまたはFであり、qは0または1であり、ただし、R’がFである場合、qは1であり、R
Fは、場合により酸素または塩素を含有する、線状もしくは分岐のC
1〜C
20パーフルオロアルキレン基である)に由来する10モル%〜30モル%の繰り返し単位と;
− ビニルエーテル末端基を有するモノマーに由来する1モル%〜8モル%の繰り返し単位であって、前記モノマーが、式CF
2=CF−OR’
F−(CH
2)
p−Z(式中、R’
Fは、場合により酸素または塩素を含有する、線状もしくは分岐のC
1〜C
20パーフルオロアルキレン基であり、pは0または1であり、Zは、SO
2N
3、OCNおよびCNから選択される)を有する繰り返し単位と
を含む。式CF
2=CF−OR’
F−(CH
2)
p−Zのモノマーの非限定的な例としては、CF
2=CF−OR’
F−CH
2−SO
2N
3、特にCF
2=CF−O−CF
2CF(CF
3)−O−CF
2CF
2−SO
2N
3が挙げられる。この公文書は、ビニルエーテル末端基以外の末端基を有するスルホニルアジド−またはアジド−含有モノマーを開示も提案もしていない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
語句「少なくとも1種のモノマー」は、各タイプの1種もしくは2種以上のモノマーがポリマー中に存在できることを示すために、上に定義されたモノマーに関連して本明細書では用いられる。本明細書では以下、用語モノマーは、所定のタイプの1種および2種以上のモノマーの両方を意味するために用いられる。
【0020】
表現「スルホン酸官能基を含むフッ素化ポリマー」は、スルホン酸(−SO
3H)官能基、それらの塩化型(−SO
3M、式中、Mは、アルカリ金属、典型的にはNaまたはKである)を含むポリマーならびにそれらの中性スルホニルフルオリド(−SO
2F)前駆体型の両方を示すために本明細書では用いられる。
【0021】
上に定義されたようなポリマー(F)は、タイプ(FM)の少なくとも1種のエチレン性不飽和フッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含む。表現「タイプ(FM)のエチレン性不飽和フッ素化モノマー」は、いかなる−SO
2F官能基もおよび/またはいかなるアジド基も含有しないフッ素化モノマー、すなわち、モノマー(IO)およびモノマー(Az)とは異なるフッ素化モノマーを意味する。
【0022】
タイプ(FM)の好適なエチレン性不飽和フッ素化モノマーの非限定的な例は、
− テトラフルオロエチレン(TFE)、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、およびヘキサフルオロイソブチレンなどの、C
2〜C
8フルオロオレフィン;
− フッ化ビニリデン(VDF);
− クロロトリフルオロエチレン(CTFE)およびブロモトリフルオロエチレンなどの、C
2〜C
8クロロ−および/またはブロモ−および/またはヨード−フルオロオレフィン;
− 式CF
2=CFOR
f1(式中、R
f1は、C
1〜C
6フルオロアルキル、例えば−CF
3、−C
2F
5、−C
3F
7である)のフルオロアルキルビニルエーテル;
− 式CF
2=CFOR
O1(式中、R
O1は、1つもしくは複数のエーテル基を有するC
1〜C
12フルオロ−オキシアルキル、例えばパーフルオロ−2−プロポキシ−プロピルである)のフルオロ−オキシアルキルビニルエーテル;
− 式CF
2=CFOCF
2OR
f2(式中、R
f2は、C
1〜C
6フルオロアルキル、例えば−CF
3、−C
2F
5、−C
3F
7であるかまたは、−C
2F
5−O−CF
3のような、1つもしくは複数のエーテル基を有するC
1〜C
6フルオロオキシアルキル基である)のフルオロアルキル−メトキシ−ビニルエーテル;−
式:
(式中、互いに等しいかもしくは異なる、R
f3、R
f4、R
f5およびR
f6のそれぞれは、独立してフッ素原子、一または複数の酸素原子を場合により含む、C
1〜C
6フルオロ(ハロ)フルオロアルキル基、例えば−CF
3、−C
2F
5、−C
3F
7、−OCF
3、−OCF
2CF
2OCF
3である)
のフルオロジオキソール
である。
【0023】
好ましくは、モノマー(FM)は、
− C
2〜C
8フルオロオレフィン、好ましくはテトラフルオロエチレン(TFE)および/またはヘキサフルオロプロピレン(HFP);
− クロロトリフルオロエチレン(CTFE)および/またはブロモトリフルオロエチレンのような、クロロ−および/またはブロモ−および/またはヨード−C
2〜C
6(パー)フルオロオレフィン;
− 式CF
2=CFOR
f1(式中、R
f1は、C
1〜C
6フルオロアルキル、例えば−CF
3、−C
2F
5、−C
3F
7である)のフルオロアルキルビニルエーテル;
− 式CF
2=CFOR
O1(式中、R
O1は、パーフルオロ−2−プロポキシ−プロピルのような、一または複数のエーテル基を有するC
1〜C
12フルオロオキシアルキルである)のフロオロ−オキシアルキルビニルエーテル
の中で選択される。
【0024】
より好ましくは、モノマー(FM)はテトラフルオロエチレンである。
【0025】
ポリマー(F)はさらに、タイプ(IO)の少なくとも1種のモノマーを含む。好適なモノマー(IO)の非限定的な例は、
− 式:CF
2=CF(CF
2)
pSO
2F(式中、pは、0〜10、好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくは、pは、2または3に等しい)のスルホニルフルオリドフルオロオレフィン;
− 式:CF
2=CF−O−(CF
2)
mSO
2F
(式中、mは、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは2〜4の整数であり、さらにより好ましくは、mは2に等しい)のスルホニルフルオリドフルオロビニルエーテル;
− 式:
CF
2=CF−(OCF
2CF(R
F1))
w−O−CF
2(CF(R
F2))
ySO
2F
(式中、wは、0〜2の整数であり、互いに等しいかもしくは異なる、R
F1およびR
F2は、独立してF、Clまたは、一もしくは複数のエーテル酸素で場合により置換された、C
1〜C
10フルオロアルキル基であり、yは、0〜6の整数であり;好ましくは、wは1であり、R
F1は−CF
3であり、yは1であり、R
F2はFである)のスルホニルフルオリドフルオロアルコキシビニルエーテル;
− 式CF
2=CF−Ar−SO
2F
(式中、Arは、C
5〜C
15芳香族またはヘテロ芳香族置換基である)のスルホニルフロオリド芳香族フルオロオレフィン
である。
【0026】
好ましくは、モノマー(IO)は、CF
2=CF−O−(CF
2)
m−SO
2F(式中、mは、1〜6、好ましくは2〜4の整数である)のスルホニルフルオリドフルオロビニルエーテルの群から選択される。
【0027】
より好ましくは、モノマー(IO)は、CF
2=CFOCF
2CF
2−SO
2F(パーフルオロ−5−スルホニルフルオリド−3−オキサ−1−ペンテン)である。
【0028】
ポリマー(F)は典型的には、少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも7モル%のタイプ(IO)の少なくとも1種のモノマーを含み、より好ましくは少なくとも8モル%である。典型的には、モノマー(IO)に由来する繰り返し単位の量は、60モル%を超えず、好ましくは、それは55モル%を超えず、より好ましくは、それは50モル%を超えず、さらにより好ましくは、それは45モル%を超えない。
【0029】
少なくとも1種のモノマー(FM)におよび少なくとも1種のモノマー(IO)に由来する繰り返し単位に加えて、ポリマー(F)はさらに、少なくとも1種のモノマー(Az)に由来する繰り返し単位を含む。
【0030】
ポリマー(F)は、アジド基を含む少なくとも1種のモノマー[モノマー(Az)]に由来する0.01モル%〜10モル%の繰り返し単位を含む。
【0031】
当業者は、ポリマー(F)の使用の目標分野で必要とされる架橋密度を考慮してモノマー(Az)に由来する繰り返し単位の適切な濃度を選択するであろう。それにもかかわらず、適切な架橋密度は、モノマー(Az)に由来する繰り返し単位の量が、ポリマー(F)の繰り返し単位の全モルに対して、好ましくは少なくとも0.05モル%、より好ましくは少なくとも0.1モル%である場合に、有利に得られることが理解される。一般に、モノマー(Az)に由来する繰り返し単位の量は、9モル%を超えず、好ましくは、それは7モル%を超えない。
【0032】
モノマー(Az)は一般に、本明細書で下の式(I):
CX
1X
2=CX−(CX
3X
4)
t−(O)
p−R
f−(CH
2)
n−[S(O)
q]
sN
3 (I)
(式中:互いに等しいかもしくは異なるX、X
1、X
2、X
3およびX
4は、独立してHまたはFであり、tは0または1であり、pは0または1であり、nは、0〜4の整数であり、sは0または1であり、qは1または2であり、R
fは、一もしくは複数のエーテル性酸素原子で恐らく割り込まれた、二価のフルオロカーボン基である)
に従う。
【0033】
式(I)の好ましい化合物は、pが1である場合に。tもまた1であるものである。
【0034】
第1実施形態によれば、式(I)中、t=0およびp=1である、すなわち、モノマー(Az)は、式(II):
CX
1X
2=CX−O−R
f−(CH
2)
n−[S(O)
q]
sN
3 (II)
(式中:互いに等しいかもしくは異なる、X、X
1およびX
2は、独立してHまたはFであり、nは、0〜4の整数であり、sは0または1であり、qは1または2であり、R
fは、一もしくは複数のエーテル性酸素原子で場合により割り込まれた、二価のフルオロカーボン基である)
のビニルエーテルモノマーである。
【0035】
この第1実施形態の変形によれば、式(II)のアジド基は、q=2およびs=1であるスルホンアジド基である、すなわち、モノマー(Az)は、式(III):
CX’
1X’
2=CX’−O−R’
f−(CH
2)
n’−SO
2N
3 (III)
(式中:互いに等しいかもしくは異なる、X’、X’
1およびX’
2は、独立してHまたはF、好ましくはFであり、n’は、0〜4の整数であり、好ましくはn’=0であり、R’
fは、一もしくは複数のエーテル性酸素原子で場合により割り込まれた、パーフルオロアルキル基である)
のスルホンアジドモノマーである。
【0036】
本実施形態の好ましいスルホンアジドモノマーは、式:CF
2=CF−O−CF
2−CF(CF
3)−O−CF
2CF
2−SO
2N
3、CF
2=CF−O−CF
2CF
2−SO
2N
3、CF
2=CF−O−CF
2CF
2CF
2−SO
2N
3、CF
2=CF−O−CF
2CF
2CF
2CF
2−SO
2N
3のパーフルオロビニルエーテル誘導体である。
【0037】
これらのモノマーは、フッ素のアジド(典型的にはNaN
3)での求核置換によって相当するスルホニルフルオリドモノマーから製造することができる。
【0038】
第2実施形態によれば、式(I)中、t=0およびp=1である、すなわち、モノマー(Az)は、式(IV):
CX”
1X”
2=CX”−R”
f−(CH
2)
n”−[S(O)
q”]
s”N
3 (IV)
(式中、互いに等しいかもしくは異なる、X”、X”
1およびX”
2は、独立してHまたはFであり、n”は、0〜4の整数であり、s”は0または1であり、q”は1または2であり、R”
fは、一もしくは複数のエーテル性酸素原子で場合により割り込まれた、二価のフルオロカーボン基であり、ここで、末端二重結合=CX”−のsp
2混成炭素原子は、R”
f基のsp
3炭素原子と結合している)
のモノマーである。
【0039】
この第2実施形態の第1変形によれば、式(IV)のアジド基は、q=2およびs=1であるスルホンアジド基である、すなわち、モノマー(Az)は、式(V):
CX”
1X”
2=CX”−R”
f−(CH
2)
n”−SO
2N
3 (V)
(式中、互いに等しいかもしくは異なる、X”、X”
1およびX”
2は、独立してHまたはFであり、n”は、0〜4の整数であり、R”
fは、一もしくは複数のエーテル性酸素原子で場合により割り込まれた、二価のフルオロカーボン基であり、ここで、末端二重結合=CX”−のsp
2混成炭素原子は、R”
f基のsp
3炭素原子と結合している)
に従う。
【0040】
この第1変形のある種の実施形によれば、式(V)中のn”はゼロである、すなわち、モノマー(Az)は有利には、式(VI):
CX”
1X”
2=CX”−R
*f−SO
2N
3 (VI)
(式中:互いに等しいかもしくは異なる、X”、X”
1およびX”
2は、独立してHまたはFであり、R
*fは、m”が、1〜12の整数、好ましくは2、4、6、8、10、または12、より好ましくは4または6である、好ましくは式−(CF
2)
m”−の、一もしくは複数のエーテル性酸素原子で場合により割り込まれた、二価のパーフルオロアルキル基である)
に従う。
【0041】
ここで上の式(VI)に従うモノマー(Az)の非限定的な例は、m°が、1〜6の整数、好ましくは2または3である、式(VII):
CH
2=CH−(CF
2CF
2)
m°−SO
2N
3 (VII)
の化合物である。
【0042】
式(VII)の化合物は、1つの鎖末端にエチレンを選択的に付加させ、選択的に脱ヨウ化水素し、その後残りの鎖末端で官能基化してスルホンアジド基を得ることよって、式I−(CF
2CF
2)
m°−Iの相当するジ−ヨード前駆体から容易に製造することができる。
【0043】
この第1変形の他の実施形態によれば、式(V)中のn”は、ゼロとは異なる整数である、すなわち、モノマー(Az)は有利には、式(VIII):
CX”
1X”
2=CX”−R
*f−(CH
2)
n*−SO
2N
3 (VIII)
(式中:互いに等しいかもしくは異なる、X”、X”
1およびX”
2は、独立してHまたはFであり、n
*は、1〜4の整数、好ましくは2または4であり、より好ましくはn
*は2であり;R
*fは、m”が、1〜12の整数、好ましくは2、4、6、8、10、または12、より好ましくは4または6である、好ましくは式−(CF
2)
m”−の、一もしくは複数のエーテル性酸素原子で場合により割り込まれた、二価のパーフルオロアルキル基である)
に従う。
【0044】
ここで上の式(VIII)に従うモノマー(Az)の非限定的な例は、m1が、1〜6の整数、好ましくは2または3であり、n1が、1〜3の整数、好ましくは1である、式(IX):
CH
2=CH−(CF
2CF
2)
m1−(CH
2CH
2)
n1−SO
2N
3 (IX)
の化合物である。
【0045】
式(IX)の化合物は、ヨウ素−炭素結合にエチレンを挿入/付加し、部分的に脱ヨウ化水素し、その後残りの−CH
2CH
2−I鎖末端で官能基化してスルホンアジド基を得ることによって、式I−(CF
2CF
2)
m1−Iの相当するジ−ヨード前駆体から容易に製造することができる。
【0046】
この第1変形の追加の実施形態によれば、式(V)中の基−R”
f−は、式−CF
2−O−R
af−の基である、すなわち、モノマー(Az)は、式(X):
CX
a1X
a2=CX
a−CF
2−O−R
af−(CH
2)
na−SO
2N
3 (X)
(式中:互いに等しいかもしくは異なる、X
a、X
a1およびX
a2は独立して、HまたはFであり、好ましくはすべてはFに等しく、naは、0〜4の整数であり、好ましくはna=0であり、−R
af−は、1〜6個の炭素原子を有する二価のパーフルオロアルキル基、好ましくは−CF
2CF
2−である)
に従う。
【0047】
ここで上の式(X)に従うモノマー(Az)の非限定的な例は、式(XI):
CF
2=CF−CF
2O−CF
2CF
2−SO
2N
3 (XI)
の化合物である。
【0048】
式(XI)の化合物は、CF
2=CF−CF
2O−CF
2−CF
2−SO
2Fを生成するためのフルオロアリルフルオロスルフェートとFCO−CF
2−SO
2Fとの反応、その後のアジド塩(典型的にはNaN
3)での求核置換によって製造することができる。
【0049】
この第2実施形態の第2変形によれば、式(IV)中でs”=0である、すなわち、モノマー(Az)は、式(XII):
CX”
1X”
2=CX”−R”
f−(CH
2)
n”−N
3 (XII)
(式中:互いに等しいかもしくは異なる、X”、X”
1およびX”
2は、独立してHまたはFであり、n”は、0〜4の整数であり、R”
fは、一もしくは複数のエーテル性酸素原子で場合により割り込まれた、二価のフルオロカーボン基であり、ここで、末端二重結合=CX”−のsp
2混成炭素原子は、R”
f基のsp
3炭素原子と結合している)
に従う。
【0050】
この第2変形のある種の実施形態によれば、式(XII)中のn”はゼロである、すなわち、モノマー(Az)は有利には、式(XIII):
CX”
1X”
2=CX”−R
*f−N
3 (XIII)
(式中:互いに等しいかもしくは異なる、X”、X”
1およびX”
2は、独立してHまたはFであり、R
*fは、m”が、1〜12の整数、好ましくは2、4、6、8、10、または12、より好ましくは4または6である、好ましくは式−(CF
2)
m”−の、一もしくは複数のエーテル性酸素原子で場合により割り込まれた、二価のパーフルオロアルキル基である)
に従う。
【0051】
ここで上の式(XIII)に従うモノマー(Az)の非限定的な例は、m°が、1〜6の整数、好ましくは2または3である、式(XIV):
CH
2=CH−(CF
2CF
2)
m°−N
3 (XIV)
の化合物である。
【0052】
式(XIV)の化合物は、1つの鎖末端にエチレンを選択的に付加し、選択的に脱ヨウ化水素し、その後に残りの鎖末端で求核置換してアジド基を得ることによって、式I−(CF
2CF
2)
m°−Iの相当するジ−ヨード前駆体から容易に製造することができる。
【0053】
この第2変形の他の実施形態によれば、式(V)中のn”は、ゼロとは異なる整数である、すなわち、モノマー(Az)は有利には、式(XV):
CX”
1X”
2=CX”−R
*f−(CH
2)
n*−N
3 (XV)
(式中:互いに等しいかもしくは異なる、X”、X”
1およびX”
2は、独立してHまたはFであり、n
*は、1〜4の整数、好ましくは2または4であり、より好ましくはn
*は2であり;R
*fは、m”が、1〜12の整数、好ましくは2、4、6、8、10、または12、より好ましくは4または6である、好ましくは式−(CF
2)
m”−の、一もしくは複数のエーテル性酸素原子で場合により割り込まれた、二価のパーフルオロアルキル基である)
に従う。
【0054】
ここで上の式(XV)に従うモノマー(Az)の非限定的な例は、m1が、1〜6の整数、好ましくは2または3であり、n1が、1〜3の整数、好ましくは1である式(XVI):
CH
2=CH−(CF
2CF
2)
m1−(CH
2CH
2)
n1−N
3 (XVI)
の化合物である。
【0055】
式(XVI)の化合物は、ヨウ素−炭素結合にエチレンを挿入/付加し、部分的に脱ヨウ化水素し、その後残りの−CH
2CH
2−I鎖末端で求核置換してスルホンアジド基を得ることによって、式I−(CF
2CF
2)
m1−Iの相当するジ−ヨード前駆体から容易に製造することができる。
【0056】
第3実施形態によれば、式(I)中、t=p=s=1であり、n=0であり、qは2である、すなわち、モノマー(Az)は、式(XVII):
CX
1X
2=CX−CX
3X
4−O−R
**f−SO
2N
3 (XVII)
(式中:互いに等しいかもしくは異なる、X、X
1、X
2、X
3およびX
4は、独立してHまたはであり、好ましくはすべてはFに等しく、R
**fは、一もしくは複数のエーテル性酸素原子を場合により含む、二価のフッ素化基である)
のスルホニルアジドアリル型モノマーである。
【0057】
この第3実施形態の好ましい態様では、モノマー(Az)は、式(XVIII):
CF
2=CF−CF
2−O−R
f**−SO
2N
3 (XVIII)
(式中、R
**fは、一または複数のエーテル性酸素原子を場合により含む、二価のフッ素化基である)
に従う。
【0058】
式(XVII)または(XVIII)中、基R
f**は、好ましくは、式−CF
2−R
f***−の基であり、−CF
2−基は、式(XVII)または(XVIII)に図示されるエーテル性酸素に結合し、そしてR
f***基は、式(XIX):
CF
2=CF−CF
2−O−CF
2−R
f***−SO
2N
3 (XIX)
(式中、R
f***は、一または複数のエーテル性酸素原子を場合により含む、二価のC
1〜C
12フッ素化基である)
に図示されるように、スルホンアジド基に結合している。
【0059】
最も好ましくは、モノマー(Az)は、本明細書で下の式(XX):
CF
2=CF−CF
2−O−CF
2−CF
2−SO
2N
3 (XX)
に従う。
【0060】
式(XVIII)のスルホニルアジドアリル型モノマーは、2011年12月16日出願の欧州特許出願第111941480号に記載されているように式(XXI):CF
2=CF−CF
2−O−R
f**−SO
2F (XXI)
(式中、R
f**は上に定義された通りである)
のフルオロスルホニック前駆体とアジド塩との反応によって都合よく製造され得る。
【0061】
本発明の別の目的は、上に定義されたようなポリマー(F)の製造方法であって、前記方法が、上に詳述されたような、少なくとも1種のモノマー(FM)と、少なくとも1種のモノマー(IO)と少なくとも1種のモノマー(Az)とを含むモノマー混合物を重合させる工程を含む方法である。
【0062】
ポリマー(F)は、当技術分野で公知の任意の重合法によって製造され得る。そのようなポリマーの好適な製造方法は、例えば、米国特許第4940525号(THE DOW CHEMICAL COMPANY)1990年7月10日、欧州特許出願公開第1323751号(SOLVAY SOLEXIS SPA)2003年7月2日、欧州特許出願公開第1172382号(SOLVAY SOLEXIS SPA)2002年11月16日に記載されているものである。
【0063】
ポリマー(F)は、水性懸濁重合法によってか水性エマルション重合法によってかのどちらかで製造することができる。
【0064】
ポリマー(F)は好ましくは、水性エマルジョン重合法によって製造され、前記方法は、
− 水、
− 少なくとも1種のフッ素化界面活性剤、および、場合により、
− 少なくとも1種の非官能性パーフルオロポリエーテル油
を含む重合媒体中で少なくとも1種のラジカル開始剤の存在下で上に記載されたような少なくとも1種のモノマー(FM)と、少なくとも1種のモノマー(IO)と少なくとも1種のモノマー(Az)とを重合させる工程を含む。
【0065】
本発明の方法のための好適な界面活性剤は、例えば、アニオン性フッ素化界面活性剤、パーフルオロ−ポリエーテルもしくはパーフルオロカーボン構造を有する、または部分的にフッ素化された、例えばフッ素化カルボン酸のもしくはスルホン酸の塩、カチオン性界面活性剤、例えば第四級フッ素化アンモニウム塩、またはフッ素化された非イオン性界面活性剤さえもである。上記の界面活性剤はまた、混合物で使用することができる。
【0066】
パーフルオロカーボン構造を有する界面活性剤の非限定的な例は、例えば、C
8〜C
10パーフルオロカルボン酸のアンモニウムもしくはアルカリ金属塩または式R
sO−CF
2CF
2−O−CF
2−COOX
a(式中、R
sは、パーフルオロ(オキシ)アルキル基であり、X
aは、H、一価の金属または、出現ごとに等しいかもしくは異なる、R
Nが、HまたはC
1〜6炭化水素基である、式NR
N4のアンモニウム基である)のパーフルオロオキシカルボキシレ−トである。
【0067】
パーフルオロポリエーテル構造を有する界面活性剤の非限定的な例は、例えば、式F
2ClO(CF
2CF(CF
3)O)
p(CF
2O)
qCF
2COOR’(式中、R’=H、Na、K、NH
4であり、p/q=10である)のものから選択される。一般に、これらのフッ素化界面活性剤は、500〜700の範囲の平均分子量を有する。
【0068】
重合系は、緩衝剤、錯体形成剤、連鎖移動剤またはマイクロエマルジョン法に使用されるもの、例えば、商品名Galden(登録商標)D02でSolvay Specialty Polymers Italy SpAから商業的に入手可能である式CF
3O(CF
2−CF(CF
3)O)
l(CF
2O)
kCF
3(式中、l/k=20である)(400〜600の範囲の平均分子量)を有するものなどのパーフルオロポリエーテル油などの少量の補助剤を場合により含んでもよい。
【0069】
重合は任意の好適なpHで実施することができ、pHは典型的には決定的に重要であるわけではないが、使用される開始剤系に依存する。重合の間にイオン形態へのタイプ(IO)のモノマー中のスルホニルフルオリド基の変換を回避するために、pHは典型的には7以下、より典型的に6以下である。
【0070】
フリーラジカル重合のために好適な任意の開始剤または開始剤系が、本発明の方法に使用されてもよい。好適なフリーラジカル開始剤の非限定的な例は、例えば、ビス(フルオロアシル)ペルオキシド、ビス(クロロフルオロアシル)ペルオキシド、ジアルキルペルオキソジカーボネート、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、アゾ化合物の中から選択される有機開始剤または、場合により第一鉄、銅色もしくは銀塩と組み合わせた、過硫酸アンモニウムおよび/もしくはカリウムおよび/もしくはナトリウムなどの無機開始剤、または過硫酸アンモニウム/二亜硫酸アンモニウムおよび過マンガン酸カリウムなどの酸化還元系である。好ましくは、本発明の方法に使用されるフリーラジカル開始剤は、水相に可溶性の無機開始剤、より好ましくは過硫酸アンモニウムおよび/またはカリウムおよび/またはナトリウムである。
【0071】
重合圧力は、典型的には3〜40バール、好ましくは5〜30バール、より好ましくは5〜15バールの範囲である。
【0072】
当業者は、とりわけ、使用されるラジカル開始剤を考慮して重合温度を選ぶであろう。重合温度は、40℃〜100℃、好ましくは50℃〜80℃に含まれる範囲で一般に選択される。
【0073】
本発明の重合法は典型的には、上に定義されたようなポリマー(F)および上に定義されたような少なくとも1種のフッ素化界面活性剤を含む水性ラテックスをもたらす。
【0074】
重合法から直接得られるラテックス中の上に定義されたようなポリマー(F)の量は、典型的には10重量%〜40重量%、好ましくは20重量%〜30重量%の範囲である。
【0075】
ポリマー(F)は、任意の公知技法によって単離され、乾燥され得るが、ただし、この乾燥温度は架橋を引き起こさない。
【0076】
あるいは、反応器から出てくる水性分散液は、そのまま直接、例えば、コーティング組成物として使用されてもよいし、またはそれは先ず、界面活性剤の添加によって安定化されてもよいおよび/またはラテックスコーティング組成物の調製のために当技術分野で周知の方法によって濃縮されてもよい。
【0077】
本発明のポリマー(F)は、他の原料と混合されてもよく、本発明の別の目的である、得られた架橋性組成物[組成物(CC)]は、架橋にかけられて硬化物品を生成することができる。
【0078】
用語「架橋(cross−link)」は、1つのポリマー鎖を別のポリマー鎖に橋架けする共有化学結合を意味するために本明細書では用いられ、用語「架橋する(cross−linking)」は、架橋によって2つ以上のポリマー分子を化学的に結びつけるプロセスを意味するために本明細書では用いられる。
【0079】
「架橋剤」は、ポリマーおよび/またはポリマー組成物に添加される、架橋を促進する物質と本明細書では定義される。
【0080】
上に詳述されたようなポリマー(F)を含む架橋性組成物は、少なくとも1種の架橋剤をさらに含んでもよい。ポリマー(F)は自己架橋を受け得る、すなわち、いかなる追加の架橋助剤の不在下に硬化することができるが、架橋剤の使用は、ある種の用途では有利であり得よう。
【0081】
硬化剤は、本発明の架橋プロセスにおいてポリマー(F)と組み合わせて用いられる場合、ポリマー(F)に対して一般に0.5重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜7重量%の量で使用される。
【0082】
これらの架橋剤の中で、下記:
− トリアリルシアヌレート;トリアリルイソシアヌレート(TAIC);トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン;トリアリルホスファイト;N,N-−ジアリルアクリルアミド;N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミドなどの、2つ以上のエチレン性不飽和アリル型二重結合を含むポリアリル誘導体;
− トリビニルイソシアヌレート;2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサンなどの、2つ以上のエチレン性不飽和ビニル二重結合を含むポリビニル誘導体;
− 一般式:
[式中、互いに等しいかもしくは異なる、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、HまたはC
1〜C
5アルキルであり;Zは、式−(O)
e1−E−(O)
e2−(式中、互いに等しいかもしくは異なる、e1およびe2は独立して、1または0であり、Eは、例えば欧州特許出願公開第661304 A号明細書(AUSIMONT SPA)1995年7月5日に記載されているように、とりわけ(パー)フルオロポリオキシアルキレンラジカルのような、酸素原子を場合により含有する、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された、二価のC
1〜C
18基である)の基である]
を有するビスオレフィン[ビス−オレフィン(OF)];
− とりわけ、欧州特許出願公開第860436号(AUSIMONT SPA)1998年8月26日および国際公開第97/05122号(DU PONT)1997年2月13日に記載されているものなどのエチレン性不飽和基で置換されたトリアジン;
− とりわけ、式:
{N
3−[S(O)
qd]
sd}
j−J
d−{[S(O)
qd’]
sd’−N
3}
j’
(式中、互いに等しいかもしくは異なる、jおよびj’のそれぞれは、0または1〜3の整数であり、ただし、j+J’は、少なくとも2のものであり、互いに等しいかもしくは異なる、sdおよびsd’のそれぞれは、独立して0または1であり、互いに等しいかもしくは異なる、qdおよびqd’のそれぞれは、独立して1または2であり、J
dは、酸素原子を場合により含有し、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された、(ヒドロ)(フルオロ)カーボン基である)
のジアジドなどの、2個以上のアジド基を含むポリアジド化合物[試剤(Cz)]
が使用されてもよい。
【0083】
ビス−オレフィン(OF)は好ましくは、式(OF−1)、(OF−2)および(OF−3):
(式中、jは、2〜10、好ましくは4〜8の整数であり、互いに等しいかもしくは異なる、R1、R2、R3、R4は、H、F、またはC
1〜5アルキルもしくは(パー)フルオロアルキル基である)、
[式中、互いにおよび出現ごとに等しいかもしくは異なる、Aのそれぞれは、独立してF、Cl、およびHから選択され;互いにおよび出現ごとに等しいかもしくは異なる、Bのはそれぞれは、独立してF、Cl、HおよびOR
B(式中、R
Bは、部分的に、実質的にまたは完全にフッ化または塩素化されていることができる分岐もしく直鎖のアルキルラジカルである)から選択され、Eは、エーテル結合が挿入されてもよい、場合によりフッ素化された、2〜10個の炭素原子を有する二価の基であり;好ましくはEは、mが3〜5の整数である、−(CF
2)
m−基である];(OF−2)タイプの好ましいビス−オレフィンは、F
2C=CF−O−(CF
2)
5−O−CF=CF
2である、
(式中、E、AおよびBは、上で定義されたのと同じ意味を有し;互いに等しいかもしくは異なる、R5、R6、R7は、H、F、C
1〜5アルキルまたは(パー)フルオロアルキル基である)
に従うものからなる群から選択される。
【0084】
試剤(Cz)は好ましくは、式;
{N
3[S(O)
g1]
s1}
na−(R
H)
nh−R
f−(R’
H)
nh’−{[S(O)
g2]
S2N
3}
na’ (A)
(式中、互いに等しいかもしくは異なる、g1およびg2のそれぞれは、1または2であり、互いに等しいかもしくは異なる、s1およびs2のそれぞれは、0または1であり、naおよびna’のそれぞれは、独立してゼロまたは1〜3の整数であり、ただし、合計na+na’は少なくとも2であり、互いに等しいかもしくは異なる、R
HおよびR’
Hのそれぞれは、フッ素原子を含まないC
1〜C
12炭化水素基であり、互いに等しいかもしくは異なる、nhおよびnh’は、独立して0または1であり、R
fは、i)一もしくは複数のエーテル性酸素原子を場合により含む、C
3〜C
20フルオロカーボン基、ii)フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択される)
のフッ素化ポリアジドである。
【0085】
第1実施形態によれば、試剤(Cz)は有利には、本明細書で下の式(B):
N
3−(CH
2)
m−R
Bf−(CH
2)
m’−N
3 (B)
(式中、mおよびm’のそれぞれは、独立して1〜6の整数であり、R
Bfは、一もしくは複数のエーテル性酸素原子を場合により含む、C
3〜C
10フルオロカーボン基である)
に従う。
【0086】
この第1実施形態の試剤(Cz)は好ましくは、本明細書で下の式(C):
N
3−(CH
2)
m−(CF
2)
nc−(CH
2)
m’N
3 (C)
(式中、mおよびm’のそれぞれは独立して、1〜6の整数であり、好ましくはmおよびm’=2であり、ncは、4〜10の、好ましくは4〜8の整数である)
に従う。
【0087】
この変形による試剤(Cz)の非限定的な例は、とりわけ、式:N
3−(CH
2)
2−(CF
2)
2−(CH
2)
2−N
3、N
3−(CH
2)
2−(CF
2)
4−(CH
2)
2−N
3、N
3−(CH
2)
2−(CF
2)
6−(CH
2)
2−N
3、N
3−(CH
2)
2−(CF
2)
8−(CH
2)
2−N
3、N
3−(CH
2)
2−(CF
2)
10−(CH
2)
2−N
3のものである。
【0088】
式(C)の化合物は、ヨウ素の存在下でのテトラフルオロエチレンの短鎖重合、引き続いて、C−I結合へのエチレンの付加/組み込み、その後のアジド塩、好ましくはNaN
3によるヨウ素の求核置換によって製造することができる。
【0089】
第2実施形態によれば、試剤(Cz)は有利には、本明細書で下の式(D):
N
3[S(O)
g1]−R
Df−[S(O)
g2]−N
3 (D)
(式中、互いに等しいかもしくは異なる、g1およびg2のそれぞれは、1または2であり、R
Dfは、一または複数のエーテル性酸素原子を場合により含む、C
3〜C
20フルオロアルキル基である)
に従う。
【0090】
好ましくは、この第2実施形態の試剤(Cz)は、本明細書で下の式(E):
N
3−SO
2−R
Ef−SO
2−N
3 (E)
(式中、R
Efは、一または複数のエーテル性酸素原子を場合により含む、C
3−C
20フルオロアルキル基である)
に従う。
【0091】
この変形による試剤(Cz)の非限定的な例は、とりわけ、式:N
3SO
2−C
4F
8−SO
2N
3、N
3SO
2−(CF
2)
2−O−C
4F
8−O−(CF
2)
2−SO
2N
3、N
3SO
2−(CF
2)
2−O−CF(CF
3)CF
2O−C
4F
8−O−CF
2−CF(CF
3)O−(CF
2)
2−SO
2N
3、N
3SO
2−(CF
2)
2−O−CF
2CF(CF
3)O−C
4F
8−O−CF
2−CF(CF
3)O−(CF
2)
2−SO
2N
3、N
3SO
2−(CF
2)
2−O−CF
2CF(CF
3)O−C
4F
8−O−CF(CF
3)−CF
2O−(CF
2)
2−SO
2N
3
のものである。上記のそれぞれ中の式−O−C
4F
8−O−の基は、−O−(CF
2CF
2)
2−O−、−O−CF
2CF
2−CF(CF
3)−O−、−O−CF(CF
3)−CF(CF
3)−O−のいずれかであり得る。
【0092】
式(E)の化合物は、スルホニルモノマーの、例えば式
CF
2=CF−SO
2F、CF
2=CF−O−CF
2CF
2SO
2F、CF
2=CF−O−CF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2SO
2F、CF
2=CF−O−CF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2SO
2Fのフッ素支援二量化、引き続くアジド塩との反応によるフルオロスルホニル基での求核置換によって製造することができる。
【0093】
上述の硬化助剤の中で、上で詳述されたような、ビス−アジド、TAIC、試剤(Cz)およびビス−オレフィン(OF)が、特に良好な結果を与えることが分かり;最も好ましくは、試剤(Cz)が、特に良好な結果を与えることが分かった。
【0094】
本発明のさらなる目的は、架橋した物品を与えるための、上に詳述されたようなポリマー(F)および/または組成物(CC)の架橋方法である。
【0095】
本発明のポリマー(F)のおよび/または組成物(CC)の架橋は、ポリマー(F)をUV線におよび/または加熱に暴露することを含み得る。
【0096】
第1実施形態では、架橋は、ポリマー(F)および/または組成物(CC)のをUV線に暴露することを含む。
【0097】
用語UV線は、本発明の目的のためには、可視光のものより短いが、軟X線よりも長い波長の電磁放射線を意味することを意図される。それは、近UV(380〜200nm波長;省略形:NUV)、遠または真空UV(200〜10nm;省略形:FUVまたはVUV)、および極UV(1〜31nm;省略形:EUVまたはXUV)に細分することができる。200〜380nmの波長を有するNUVが、本発明の方法において好ましい。単色光または多色光のいずれをも用いることができる。
【0098】
UV線は、任意の好適なUV線源によって本発明の架橋方法において提供することができる。本発明の方法のための好ましいUV線源は、水銀光である。励起水銀蒸気から放射されるエネルギーのかなりの部分は、スペクトルの紫外部分にあることが知られている。低圧放電の場合には、供給される全エネルギーの半分超が、253.7nmで短波UV領域において放射される。高圧ランプは、365.0nmで長波UV領域においてそれらのエネルギーの約10%を放射するが、かなりの量がまたより短い波長でも放射される。
【0099】
第2の好ましい実施形態では、架橋は、ポリマー(F)および/または組成物(CC)のを熱処理に暴露することを含む。
【0100】
当業者は、モノマー(Az)の性質に基づいてポリマー(F)の架橋を促進するために最も好適な温度を選択するであろう。典型的には温度は、少なくとも90℃、好ましくは少なくとも100℃である。一般にポリマー(F)の架橋を促進するための温度は、180℃を超えない。
【0101】
本発明の架橋プロセスは、架橋したポリマー(F)を含む物品を製造するために用いることができる。
【0102】
物品は、とりわけ、薄膜、および/またはそれらのアセンブリなどの、シートおよびフィルムであり得る。
【0103】
本発明の物品は、とりわけ、異なる電気化学デバイスにならびに濾過デバイスに有用であり得る。
【0104】
典型的には、架橋したポリマー(F)を含む物品の製造方法は、好適な溶媒中のポリマー(F)の液体組成物の使用を含む。
【0105】
好適な溶媒は、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロポリエーテルおよびパーフルオロポリエーテルからなる群から選択されてもよい。
【0106】
好適なパーフルオロカーボンおよびハイドロフルオロカーボンは、例えば、3〜20個の炭素原子を有する環状および非環式アルカンである。ハイドロフルオロカーボンにおいて、フッ素原子の数は好ましくは、水素原子の数を超える。
【0107】
好適なハイドロフルオロポリエーテルは、例えば、商品名H−GALDEN(登録商標)ZT 60、H−GALDEN(登録商標)ZT 85、H−GALDEN(登録商標)ZT 100、H−GALDEN(登録商標)ZT 130、H−GALDEN(登録商標)ZT 150、H−GALDEN(登録商標)ZT 180でSolvay Specialty Polymers Italy SpAから入手可能なもの、または他の低沸点溶媒である。
【0108】
パーフルオロポリエーテルの非限定的な例は、商品名GALDEN(登録商標)HT 110、GALDEN(登録商標)HT 135、GALDEN(登録商標)HT 170、GALDEN(登録商標)SV 80でSolvay Specialty Polymers Italy SpAから入手可能なものである。
【0109】
第1実施形態では、本発明の架橋したポリマー(F)を含む物品の製造方法は、
a)ポリマー(F)を含む液体組成物または組成物(CC)を調製する工程と;
b)工程a)で得られた液体組成物を基材上へ塗布する工程と;
c)ポリマー(F)または組成物(CC)をUV線および/または熱処理にかけてポリマー(F)の架橋を促進する工程と;場合により、
d)ポリマー(F)を加水分解して−SO
2F基をスルホン酸基−SO
3X(式中、Xは、H、NH4
+またはアルカリ金属カチオンM
+である)に変換する工程と
を含む。
【0110】
ポリマー(F)を含む液体組成物または組成物(CC)は、追加の原料を場合により含んでもよい。TRITON(登録商標)界面活性剤、TERGITOL(登録商標)界面活性剤のような非イオン性界面活性剤;ならびに典型的にはフィルム形成成特性を有する、熱可塑性フッ素化ポリマーを挙げることができる。液体組成物にポリマー(F)と組み合わせて使用することができる熱可塑性フッ素化ポリマーの中に、PFA、ETFE、PCTFE、PDVF、ECTFEなどを挙げることができる。
【0111】
本方法の工程b)において、ポリマー(F)を含む液体組成物または組成物(CC)が基材上へ塗布される。
【0112】
含浸、キャスティング、コーティング、例えば、ローラーコーティング、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、浸漬コーティング、吹付けコーティングなどの、当技術分野で公知の任意の従来法を用いて、工程b)を実施し得る。
【0113】
液体組成物は、塗膜形成層で不活性な、非多孔質支持体上にキャストされてもよく、その層は、架橋剤との反応および通常は乾燥工程後に、支持体から除去され、架橋したポリマーからなる、典型的にはフィルムの形態の物品を与える。一般的な支持体は、例えば、架橋したポリマーのフィルムがそれから除去され得る、ガラス、金属またはポリマー材料で作られた、プレート、ベルトまたは布帛である。
【0114】
あるいは、本方法は、複合物品、すなわち、架橋したポリマーに加えて、支持体、好ましくは多孔質支持体を含む物品の製造のために用いられてもよい。複合物品の注目すべき例は、例えば、複合膜、布帛、繊維である。複合膜は、電解セルにおけるイオン伝導性膜として、または濾過もしくは限外濾過用途向けの膜としての両方で使用することができる。用語「膜」は、それと接触する化学種の透過を抑える、不連続の、一般に薄い界面を示すためにその通常の意味で本明細書では用いられる。
【0115】
前記複合物品は、好適な多孔質支持体上に液体組成物をキャストするかまたはコーティングすることによって製造され得る。あるいは、それらは、含浸プロセスで液体組成物を使って製造され得る。
【0116】
そのような含浸プロセスは、ポリマー(F)を含む液体組成物または組成物(CC)を多孔質支持体に含浸させる工程を含む。
【0117】
多孔質支持体の選択は特に限定されない。複合物品の使用条件で一般に不活性である多孔質支持体が一般には好ましいであろう。
【0118】
複合物品の製造に好適な多孔質不活性材料の中に、布帛、繊維、無機材料、織りまたは不織ポリオレフィン膜、およびフッ素化ポリマー多孔質支持体を挙げることができる。
【0119】
この物品がイオン伝導性膜または濾過膜である場合、それらの高い化学慣性のために、フッ素化ポリマーの多孔質支持体が一般に好ましい。二軸延伸PTFE多孔質支持体(別名ePTFE膜としても知られる)は、中でも好ましい支持体の一つである。これらの支持体は、とりわけ、商品名GORE−TEX(登録商標)、TETRATEX(登録商標)で商業的に入手可能である。
【0120】
含浸は、液体組成物を含む含浸容器中へ多孔質支持体を浸漬することによって実施することができるか、またはそれは、多孔質支持体の各面に同時か、またはその後のコーティング工程においてかのどちらかで、キャスティング、コーティング、吹付け、はけ塗りなどの周知のコーティング技術によって好適な量の液体組成物を塗布することによって行うことができる。それにもかかわらず、液体組成物を含む容器に浸漬することによる含浸が、最良の結果を提供する技術であることが一般に理解されている。
【0121】
本方法はまた典型的には、少なくとも1つの乾燥工程を含む。この乾燥工程は典型的には、ポリマー(F)または組成物(CC)のフィルムから過剰の液体媒体を除去することを意図される。この工程は、ポリマー(F)の架橋を促進するのに好適な温度よりも低い温度で、典型的には20〜80℃、好ましくは25〜80℃、より好ましくは30〜80℃の温度で実施されてもよい。あるいは、乾燥工程は、架橋を促進するために好適な温度で、したがって少なくとも90℃の温度で実施されてもよい。
【0122】
このプロセスはさらに、アニーリング工程を含んでもよい。ポリマー(F)のフィルムを強固にするためと典型的には考えられている、このアニーリング工程は一般に、少なくとも150℃の、好ましくは少なくとも170℃の、より好ましくは少なくとも180℃の、さらにより好ましくは少なくとも200℃の温度で実施される。最高温度は、ポリマー(F)、および存在する場合支持体がこれらの条件下に安定のままであるという条件で、特に限定されない。一般に、アニーリング工程は、300℃を超えない、好ましくは270℃を超えない、より好ましくは250℃を超えない温度で実施される。
【0123】
本方法の工程c)、すなわち、ポリマー(F)の架橋は、アニーリング工程と同時に都合よく実施されてもよい。
【0124】
親水性特性および/またはイオン伝導性を持った架橋したポリマー(F)を含む物品を提供するために、モノマー(IO)に由来する繰り返し単位中のスルホニルフルオリド−SO
2F基は、イオン性スルホン酸基−SO
3Xに加水分解される必要がある。
【0125】
ポリマー(F)の加水分解は典型的には2段階プロセスで行われ、それによってポリマー(F)は先ず、公知の方法に従って強塩基(例えばNaOH、KOH)でポリマー(F)を処理することによって、塩化型、−SO
3M(式中、Mは、NH
4+、K
+、Li
+、Na
+、またはそれらの混合物の中から選択されるカチオンである)へ変換される。第2段階で、ポリマーの塩化型は、濃酸溶液での処理によって相当する酸型に変換される。
【0126】
したがって、本発明はまた、架橋したポリマー(F)を含む物品を指向する。
【0127】
この物品は、架橋したポリマー(F)からなるフィルムであり得る。あるいは、物品は、架橋したポリマー(F)が親水特性をそれに付与する布帛または繊維であり得る。好ましくは、物品は、イオン伝導性膜または濾過膜である。より好ましくは、物品はイオン伝導性膜である。
【0128】
好ましい実施形態では、この膜は、
− 多孔質支持体(上で詳述されたような)と;
− 支持体上に含浸された上に定義されたような架橋したフッ素化ポリマー(F)と
を含む。
【0129】
本発明のイオン伝導性膜、特に複合膜は、電気化学用途におけるイオン交換膜として有用である。本出願人は、前記イオン伝導性膜が、架橋していないフッ素化ポリマーを使用して得られた膜に対して電気化学セルの使用条件下により高い安定性を備えていることを見いだした。
【0130】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願、および刊行物の開示が用語を不明瞭にし得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0131】
本発明は、以下の実施例に関連してこれからより詳細に説明されるが、実施例の目的は、例示的なものであるにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0132】
CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2SO
2N
3[モノマー(Az1)]の合成
前駆体FSO
2CF
2CF
2OCF
2CF=CF
2は、文献(WLASSICS,I.らPerfluoro Allyl Sulfate (FAFS):a Versatile Buildng Block For New Fluoroallylic Compounds.Molecules.2011,vol.16,p.6512−6540)に記載されている方法に従って調製した。
3つの注入口を持った、ガラス製円筒形ジャケット付き反応器に、1%v/vに相当する、Aliquat(CH
3−N−[(CH
2)
7CH
3]
3+Cl
−)として商業的に入手可能な90μlの相間移動剤と組み合わせて、15.15ミリモル=5.00gのFSO
2CF
2CF
2OCF
2CF=CF
2を導入した。そのように得られた溶液を、反応器ジャケットに接続された低温保持装置を用いて15℃で冷却した。7.5mlの蒸留H
2Oおよび2.395g=36.85ミリモルのNaN
3から作られた溶液を含有する自動分注シリンジを用いて、前記溶液を0.1当量NaN
3/hの速度で滴加し;反応器温度を、全体添加時間(約24時間)の間ずっと15℃に保った。温度を次に、さらなる8時間20℃に上昇させた。反応の終わりに、反応混合物は2相からなった。H
2O、NaFおよび残存NaN
3からなる、上側相を捨てた。下側相を回収し、固体粒状物残渣を取り除くために15℃および4000rpmで20分間遠心分離した。無色透明のオイルが得られた。
収率(精製および分離後)=65モル%。
選択性=55/45 A/B −A=
a,bCF
2=
cCF
dCF
2O
eCF
2fCF
2SO
2N
3;B=N
3gCF
2hCFH
iCF
2O
lCF
2mCF
2SO
2N
3
19F−NMR;(CDCl
3;;ppm):a:−89;b:−102;c:−185.4;d:−72.3;e:−79.3(AB);f:−109.3;g:−78−>−82(m);h:−206(J
1H,F=48hz);i:−74.5;−−−−>−83;l:−79.3(AB);m:−109.3.
FT−IR(KBr,cm−1):1792(CF
2=CF−CF
2st.);2163(−N
3st.);1464+1384(−SO
2−N
3st.);1200−1100(CF st.).
【0133】
実施例1−モノマー(Az1)(2.5モル%)の存在下でのテトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ−5−スルホニルフルオリド−3−オキサ−1−ペンテン(SFVE)との重合
5Lのオートクレーブ中に、以下の試薬:
− 2.6Lの脱塩水;
− 式:CF
2=CF−O−CF
2CF
2−SO
2F(SFVE)の145gのモノマー
− CF
2ClO(CF
2CF(CF
3)O)
n(CF
2O)
mCF
2COOK(平均MW=521、比n/m=10)の720gの5重量%水溶液;
− Galden(登録商標)PFPE D02中に溶解されたモノマーAz1CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2SO
2N
3を含有する25mlの溶液(濃度:1M)
を装入した。
【0134】
650rpmで攪拌される、オートクレーブを55℃に加熱した。27g/Lの過硫酸カリウムの水性溶液を66mLの量で加えた。圧力を、テトラフルオロエチレン(TFE)を供給することによって8バール(絶対)の値に維持した。
【0135】
40gのテトラフルオロエチレンを反応器に加えた後、40gのモノマーSFVEとGalden(登録商標)PFPE D02に溶解された15mlのモノマーAz1とを、オートクレーブに40gのTFEが供給される毎に加えた。
【0136】
攪拌を止め、オートクレーブを冷却し、TFEをガス抜きすることにより内部圧力を低減することによって、300分後に反応を停止し;合計800gのTFEをオートクレーブへ供給した。
【0137】
ラテックスを次に凍結および解凍することによって凝固させ、回収されたポリマーを水で洗浄し、80℃で48時間乾燥させた。
【0138】
ポリマーの当量(EW)は、公知の方法に従ってFTIRによって測定し、741g/当量であることが分かった。
【0139】
比較例1−テトラフルオロエチレンとパーフルオロ−5−スルホニルフルオリド−3−オキサ−1−ペンテン(SFVE)との重合
751g/当量の当量を有するTFE/SFVEコポリマーを、実施例1の実験条件に従って調製した。
【0140】
実施例1のコポリマーTFE/SFVE/Az1の架橋
実施例1で得られたTFE/SFVE/Az1コポリマーの粉末試料を熱処理による架橋にかけた。
熱処理は、ポリマー粉末の試料を通風オーブン中約120〜150℃の温度で維持することにあった。
ポリマー試料が架橋したかどうかを検証するために、ポリマーのメルトフローレイトを、250℃の温度でおよび5kgの重み下にASTM D1238−04に従って測定した。
【0141】
本発明によるポリマー(F)は、熱処理の影響下での架橋に有効である。実施例1のTFE/SFVE/Az1コポリマーのメルトフローレイトは、0.5g未満/10分であると測定される。
【0142】
タイプ(Az)の繰り返し単位を含まない、比較例1のTFE/SFVEコポリマーは、同様な架橋を受けず;比較例1のポリマーのメルトフローレイトは実際に20.1g/10分であった。