(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記昇圧変換器(310)が、少なくとも一つの昇圧トランジスター(311)と、少なくとも一つのインダクター(313)と少なくとも一つの昇圧スイッチ(312)とを含む同期昇圧変換器である
ことを特徴とする請求項1記載の動力工具(300)。
上記昇圧変換器(310)が、作動時に、上記少なくとも一つの昇圧トランジスター(311)及び上記昇圧変換器(310)を上記電動機ユニット(303)に接続する上記少なくとも一つの昇圧スイッチ(312)を制御するように設けられた昇圧制御回路(316、317)を備えている
ことを特徴とする請求項2記載の動力工具(300)。
上記昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)が上記動力工具(300)の本体内に一体に設けられ、上記昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)が上記電動機ユニット(303)に接続されかつ上記バッテリーユニット(304)に接続できる
ことを特徴とする請求項1〜請求項19のいずれか一項記載の動力工具(300)。
上記昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)が上記バッテリーユニット(304)と一体に設けられ、上記バッテリーユニット(304)に接続されかつ上記電動機ユニット(303)に接続できる
ことを特徴とする請求項1〜請求項19のいずれか一項記載の動力工具(300)。
上記昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)が上記バッテリーユニット(304)と上記電動機ユニット(303)との間に別個に設けられ、上記昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)が上記バッテリーユニット(304)に接続できかつ上記電動機ユニット(303)に接続できる
ことを特徴とする請求項1〜請求項19のいずれか一項記載の動力工具(300)。
上記電動機ユニット(303)の回転速度が減速される際に、上記電動機ユニット(303)によって発生されるエネルギーを消耗するために設けたブレーキチョッパーを有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項23のいずれか一項記載の動力工具(300)。
コンピューターで読取り可能な媒体及び請求項32に記載のコンピュータープログラムを備え、上記コンピュータープログラムがコンピューターで読取り可能な媒体内に含まれていること
を特徴とするコンピュータープログラム製品。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によれば、動力工具は、以下に詳しく説明するように、昇圧変換器と、バイパス回路と、少なくとも一つの制御ユニットとを有する。
図2には、かかる動力工具200を概略的に示す。
図2において、昇圧変換器、バイパス回路、及び一つ以上の制御ユニットは昇圧/バイパスモジュール202として示されており、この昇圧/バイパスモジュール202は、工具200の本体201内に設けた電動機ユニット203と、バッテリーユニット204との間に接続できる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、昇圧/バイパスモジュール202、すなわち昇圧変換器、バイパス回路、及び一つ以上の制御ユニットは、動力工具200の本体201内に一体的に設けられ、そして電動機ユニット203及びバッテリーユニット204に接続される。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、昇圧/バイパスモジュール202は、バッテリーユニット204と一体に構成される。一体化したバッテリー及び昇圧/バイパスモジュール202、204は、工具200の電動機ユニット203に接続できる。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、昇圧/バイパスモジュール202は、バッテリーユニット204と電動機ユニット203との間に別個にすなわち別個のユニットとして設けられる。別個に設けた昇圧/バイパスモジュール202は、従ってこの場合バッテリーユニット204と電動機ユニット203との両方に接続できる。
【0025】
図3には、本発明による動力工具300を概略的に示す。
図3において、動力工具300は、バッテリーユニット304と昇圧/バイパスモジュール302とを備えて概略的に示されている。しかし、上述のように、バッテリーユニット304及び/又は昇圧/バイパスモジュール302及び/又は一つ以上の制御ユニット331、332は、動力工具300と別個にすなわち動力工具の本体の外部に設けることもできる。
【0026】
動力工具300は電動機ユニット303を備え、電動機ユニット303は昇圧/バイパスモジュール302を介してバッテリーユニット304に接続できる。
図3において、電動機ユニット303はインバーター305を備えている。しかし、電動機ユニット303及び/又は昇圧/バイパスモジュール302の構成によっては、インバーター305は動力工具300において省略され得る。
【0027】
昇圧/バイパスモジュール302は昇圧変換器310及びバイパス回路320を備えている。昇圧変換器310は、バッテリーユニット304と電動機ユニット303との間に接続できる。昇圧変換器310は、作動及び非作動状態にでき、作動時には、バッテリーユニット304によって昇圧変換器310に供給されるバッテリー電圧U
batteryを変換するために設けられる。それにより昇圧変換器310はバッテリー電圧U
batteryを高い昇圧電圧U
step−upに、すなわちU
step−up>U
batteryに変換する。そして、この高い昇圧電圧U
step−upは、出力DCバス325における出力電圧U
outputとして電動機ユニット303に供給される。すなわちU
output=U
step−upである。従って、電動機ユニット303には、昇圧変換器310が作動されている時に高い昇圧電圧U
step−upが供給される。
【0028】
バイパス回路320は、昇圧変換器310と並列に設けられ、従ってまたバッテリーユニット304と電動機ユニット303との間に接続できる。バイパス回路320が作動されると、バッテリーユニット304は、バイパス回路320を介して電動機ユニット303に接続される。従って、バイパス回路は、出力DCバス325における出力電圧U
outputすなわちU
output=U
batteryとして電動機ユニット303にバッテリー電圧U
batteryを供給するようにされる。
【0029】
動力工具はまた、電動機ユニット325の制動すなわち減速時に出力DCバス325における出力電圧U
outputが高すぎるレベルに達するのを阻止することによってバッテリーユニット304を保護するために設けたブレーキチョッパーを備えることもできる。一般に、ユーザーが工具を作動させた時に電動機ユニット303によってエネルギーが発生され、それにより動力工具の回転速度は、特に電動機ユニットの制動が開始される前に、高い昇圧電圧U
step−upが電動機ユニットに供給された場合に、減速される。ブレーキチョッパーは、昇圧/バイパスモジュール302と電動機ユニット303との間で出力DCバス325に設けることができる。例えば、ブレーキチョッパーは、出力DCバス325を通して、MOSEFT(金属酸化物半導体電界効果型トランジスター)のようなスイッチと直列に結合した抵抗として備えることができ、この抵抗にはダイオードが並列に結合される。これにより、電動機ユニット303の減速中に電動機ユニットによって発生されるエネルギーは、抵抗で消耗でき、それによりバッテリーユニット304を保護するため出力DCバス325における出力電圧U
outputは低減される。
【0030】
本発明による動力工具300はさらに、少なくとも一つの制御ユニット331、332を備えている。少なくとも一つの制御ユニット331、332は、昇圧変換器310及びバイパス回路320を作動/非作動状態にすることによって昇圧変換器310及びバイパス回路320を制御するために設けられる。出力DCバス325における出力電圧U
outputは、バッテリー電圧U
batteryと昇圧電圧U
step−upとの間で切換えし得る。従って、昇圧変換器310及びバイパス回路320の作動/非作動をそれぞれ制御することによって、出力DCバス325における出力電圧U
outputは、低いバッテリー電圧U
batteryと高い昇圧電圧U
step−upとの間で切換えでき、すなわちU
battery≦U
output≦U
step−upである。
【0031】
従って、本発明による動力工具300は、一時的に増大した昇圧電圧U
step−upを電動機ユニット303に供給することによって、電動機ユニット303の回転速度を一時的に高めることができる。それにより動力工具の生産性が増大される。
【0032】
代わりに、先行技術の解決策で使用されたものと同じ回転電動機速度は、先行技術の解決策におけるバッテリー電圧U
battery_prior artで可能であったより低い電圧
Ubattery_inventionのバッテリーユニットを用いて達成でき、U
battery_invention<U
battery_prior art、というのは、本発明による増大した昇圧電圧U
step−upは、先行技術の電圧U
step−up=U
battery_prior artに整合するように一時的に十分高くできるからである。従って、本発明によれば、比較的小型で軽量のバッテリーユニット304及びそれにより比較的コンパクトで軽量の動力工具300が提供される。コンパクトで軽量の動力工具300は取扱いが容易であり、従って本発明によって動力工具300の比較的容易でしかも比較的魅力的な使用が促進される。
【0033】
また、昇圧及びバイパスモジュール302は、本発明の解決策によりコンパクトでしかも軽量にできる。これは、本発明によるバイパス回路320の使用によるものであり得る。電動機ユニット303が大きな負荷の間高い効果を果たす際には、バイパス回路320は作動され、昇圧変換器310は非作動状態にされ、それにより、バッテリーユニット304は、できれば変換器305を含む電動機ユニット303に直接接続される。これにより、昇圧変換器310の構成要素は単に限定された電力で対処できる必要がある。というのは、昇圧変換器310は、バッテリーユニット304から電動機ユニット303へ最大電力が供給される際にバイパスされるからである。従って、これらの構成要素は比較的低い電力で対処できるので、昇圧及びバイパスモジュール302は、コンパクトにしかも軽量に設計でき、そしてこのことにより動力工具300の総寸法及び重量も低減する。
【0034】
本発明の実施形態によれば、昇圧変換器310は、比較的高い昇圧電圧U
step−upを発生するように構成される同期昇圧変換器であり、この昇圧変換器は、少なくとも一つの昇圧トランジスター311と、少なくとも一つのインダクター313と、少なくとも一つの昇圧スイッチ312とを備えている。少なくとも一つの昇圧トランジスター311及び/又は少なくとも一つの昇圧スイッチ312は典型的には相対的に高い周期例えばキロヘルツ(kHz)範囲の周期で切換えできる。
図3に例示したように、インダクター313は、バッテリーユニット304及び昇圧スイッチ312と直列に接続される。昇圧トランジスター311はバッテリーユニット304と並列に、また出力DCバス325を通して出力コンデンサー314と並列に接続されている。
【0035】
昇圧変換器はさらに、少なくとも一つの昇圧トランジスター311及び/又は少なくとも一つの昇圧スイッチ312を制御するように構成された昇圧制御回路を備えることができ、昇圧スイッチ312は、作動時に、昇圧変換器310を出力DCバス325すなわち電動機ユニット303に接続するために用いることができる。昇圧制御回路は、電圧調整回路316及びPWM(パルス幅変調)回路317を備えている。増幅器として構成できる電圧調整回路316は、PWM回路317を制御することによって高い昇圧電圧U
step−upのレベルを目標電圧U
targetに向かって制御するように構成される。電圧調整回路316は入力315として出力DCバス325を備えている。
【0036】
PWM回路317はまた、昇圧変換器310が過負荷状態の場合に、昇圧電圧U
step−upを制限/低減する過負荷制限機能も備えている。PWM回路317はまた、制御ユニット332から入力信号として供給されることになる制御信号S
step−up_on/offを受ける入力を備えている。従って少なくとも一つの昇圧トランジスター311及び少なくとも一つの昇圧スイッチ312の機能は、昇圧制御回路によって、特にPWM回路317によって制御される。昇圧トランジスター311を制御するために用いられる制御信号は、直接PWM回路317によって発生される。昇圧スイッチ312を制御するために用いられる制御信号は、PWM回路317によって発生された制御信号の増幅及び反転形態であり、増幅及び反転は増幅器/インバーター318によって行われる。
【0037】
本発明の実施形態によれば、バイパス回路320はバイパススイッチ321を備え、このバイパススイッチ321は、バイパス制御信号S
bypass_on/offを発生する制御ユニット331によって制御できる。従って、バイパス回路320は、以下に詳しく説明するように、極低周期で例えば工具の作動当たり二回切換えられる。増幅器322は、制御ユニット331からのバイパス制御信号S
bypass_on/offを増幅してから増幅した制御信号バイパススイッチ321に供給するために用いられる。
【0038】
図3において、例示のため、制御信号S
bypass_on/off及びS
step−up_on/offを発生する制御ユニット331、332は二つの別個の制御ユニットとして示されている。しかし、当業者には明らかなように、これら制御信号S
bypass_on/off及びS
step−up_on/offの両方は、これらの制御ユニット331、332の両方の上記及び/又は下記の機能を本質的に含む単一の制御ユニットによって発生できるようにすることもできる。
【0039】
本発明の実施形態によれば、少なくとも一つの昇圧スイッチ311、昇圧スイッチ312及び少なくとも一つのバイパススイッチ321の一つ以上は、N−チャネルMOSFET(金属酸化物半導体電界効果型トランジスター)、P−チャネルMOSFET(金属酸化物半導体電界効果型トランジスター)、或いは別の適当な制御可能なスイッチング装置と構成される。
【0040】
本発明の実施形態によれば、昇圧スイッチ312及び少なくとも一つのバイパススイッチ321の少なくとも一つは、低電力応用に特に適した電力ダイオードとして構成される。
【0041】
本発明の実施形態によれば、昇圧変換器310は、バッテリー電圧U
batteryを高い昇圧電圧U
step−upに変換するようにされる多相変換器である。多相変換器は、制御信号S
step−up_on/offによって制御可能なブースト型変換器であり得る。
【0042】
本発明の実施形態によれば、昇圧変換器310は、相互に逆の位相で作動される二つの昇圧トランジスター回路を備えて構成される。それにより、出力DCバス325における電圧/電流リプルは逆位相で結合したトランジスター形態によって低減できるので、昇圧変換器310により、平滑な出力昇圧電圧U
step−upが得られ得る。
【0043】
本発明の実施形態によれば、バッテリーユニット304は少なくとも一つのスーパーコンデンサーを備えている。スーパーコンデンサーは単位容積当たり非常に高い容量値及び非常に高いエネルギー密度をもっている。従ってスーパーコンデンサーは、従来のバッテリーに代わる信頼できるエネルギー源として利用できる。スーパーコンデンサーはまた、相応する従来のバッテリーエネルギー源より非常に軽い極軽量である。スーパーコンデンサーの一つの問題点は、しばらくしてそれらの出力が損なわれることにある。しかし、それらを再び極めて迅速に充電することができる。本発明を用いることによって、スーパーコンデンサーの出力電圧は、必要な時、例えばスーパーコンデンサーの出力の幾分かが失われた時に高めることができる。例えば、バッテリーユニットにスーパーコンデンサーを備える本発明による動力工具は、組立ラインにおいて使用することができ、該動力工具を相対的に短い時間間隔で順次使用することができ、そしてこれらの短い時間間隔の間で充電させることができる。スーパーコンデンサーを使用することにより、本発明の実施によって極めてコンパクトで軽量の動力工具を提供できる。
【0044】
従って、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、本発明によれば、バイパス回路320にバイパス作動/非作動信号S
bypass_on/offを供給するために設けられる。バイパス回路320はバイパス回路を作動/非作動状態にするため、すなわちバイパス作動/非作動信号S
bypass_on/offに基いて、電動機ユニット303にバッテリーユニット304を接続したり切離したりするために設けられる。
【0045】
従って、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、昇圧変換器310に昇圧作動/非作動信号S
step−up_on/offを供給するために設けられる。従って、昇圧変換器310は、昇圧作動/非作動信号S
step−up_on/offに基いて昇圧変換器310の電圧変換を行わせる又は止めるために設けられる。
【0046】
本発明の実施形態によれば、バイパス作動/非作動信号S
bypass_on/off及び昇圧作動/非作動信号S
step−up_on/offは相補的な信号である。従って、バイパス作動/非作動信号S
bypass_on/off及び昇圧作動/非作動信号S
step−up_on/offは反転値をもつ。言い換えれば、バイパス作動/非作動信号S
bypass_on/offは昇圧作動/非作動信号S
step−up_on/offの反転/取消し形態である。
【0047】
従って、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、好ましくは、バッテリー電圧U
batteryと高い昇圧電圧U
step−upとの間で出力DCバス325を切り換えるために利用でき、それにより、本発明の上記利点をもつ動力工具が提供得される。従って、生産性の高いコンパクトで軽量な動力工具が本発明によって提供される。
【0048】
上記で説明したように、出力DCバス325における電圧は、少なくとも一つの制御ユニット331、332によってPWM回路317に供給される昇圧作動/非作動信号S
step−up_on/offに基いて及び/又は少なくとも一つの制御ユニット331、332によってバイパススイッチ321に供給されるバイパス作動/非作動信号S
bypass_on/offに基いてバッテリー電圧U
batteryと高い昇圧電圧U
step−upとの間で切換えられ得る。
【0049】
従って、昇圧作動/非作動信号S
step−up_on/off及びバイパス作動/非作動信号S
bypass_on/offは、少なくとも一つの制御ユニット331、332において発生される。これら昇圧作動/非作動信号S
step−up_on/off及びバイパス作動/非作動信号S
bypass_on/offの形態は、単独で取られた単一のパラメーターか又は二つ以上の組合わさったパラメーターに基づく多数の異なるパラメーターに基いて、少なくとも一つの制御ユニットによって決めることができる。
【0050】
本発明の実施形態によれば、少なくとも一つの制御ユニットは、出力DCバス325における出力電圧U
outputと電圧閾値U
thresholdとの関係において昇圧作動/非作動信号S
step−up_on/off及び/又はバイパス作動/非作動信号S
bypass_on/offを決めるように設けられる。ここで、昇圧作動信号S
step−up_on及びバイパス非作動信号S
bypass_offは、出力電圧U
outputが電圧閾値U
thresholdに等しいか又はそれより高い時すなわちU
output≧U
thresholdの時少なくとも一つの制御ユニット331、332によって発生される。この実施形態については以下に詳しく説明する。
【0051】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、出力DCバス325における電動機ユニット303に供給される出力電流I
outputと電流閾値I
thresholdとの関係において昇圧作動/非作動信号S
step−up_on/off及び/又はバイパス作動/非作動信号S
bypass_on/offを決めるように設けられる。ここで、昇圧非作動信号S
step−up_off及びバイパス作動信号S
bypass_onは、出力電流I
outputが電流閾値I
thresholdに等しいか又はそれより高い時すなわちI
output≧I
thresholdの時少なくとも一つの制御ユニット331、332によって発生される。この実施形態については以下に詳しく説明する。
【0052】
本発明の実施形態によれば、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、工具300によって発生されるトルクTと掛け算される電動機ユニット303の回転速度ω
motorすなわちω
motor×Tと、速度及びトルク閾値ωT
thresholdとの関係において昇圧作動/非作動信号S
step−up_on/off及び/又はバイパス作動/非作動信号S
bypass_on/offを決めるように設けられる。従って、動力工具のシャフト/スピンドル102によって得られる回転速度ω
motor及びトルクTは、ここでは、速度及びトルク閾値ωT
thresholdと比較される。昇圧作動信号S
step−up_on及びバイパス非作動信号S
bypass_offは、トルクTと掛け算した回転速度ω
motorすなわちω
motor×Tが速度及びトルク閾値ωT
thresholdより低い、すなわちω
motor×T<ωT
thresholdの時に、少なくとも一つの制御ユニット331、332によって発生される。この実施形態については以下に詳しく説明する。
【0053】
本発明の実施形態によれば、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、出力DCバス325における電動機ユニット303によって発生される出力P
outputと出力閾値P
thresholdとの関係において昇圧作動/非作動信号S
step−up_on/off及び/又はバイパス作動/非作動信号S
bypass_on/offを決めるように設けられる。ここで、昇圧作動信号S
step−up_on及びバイパス非作動信号S
bypass_offは、出力DCバス325における出力P
outputが出力閾値P
thresholdより低い、すなわちP
output<P
thresholdの時に、少なくとも一つの制御ユニット331、332によって発生される。この実施形態については以下に詳しく説明する。
【0054】
本発明の特徴によれば、出力電圧U
outputの動力工具300の電動機ユニット304を設ける方法が提供される。本方法によれば、上述のように昇圧変換器310及びバイパス回路320を制御するために少なくとも一つの制御ユニット331、332が用いられ、出力DCバス325における出力電圧U
outputはバッテリー電圧U
batteryと昇圧電圧U
step−upとの間ですなわちU
battery≦U
output≦U
step−upで切換えられ得る。出力電圧のこの切換えは、昇圧変換器310が作動される際に、バッテリーユニット304によって昇圧変換器310に供給されるバッテリー電圧U
batteryを高い昇圧電圧U
step−upに変換すること、すなわちU
step−up>U
batteryにすることによって達成される。そして、この昇圧電圧U
step−upは出力電圧U
outputとしてすなわちU
output=U
step−upとして電動機ユニット303に供給される。出力電圧のこの切換えはまた、バイパス回路320が作動される際に、バッテリーユニット304を電動機ユニット303に接続することによって達成され、それにより、バッテリー電圧U
batteryは出力電圧U
outputとしてすなわちU
output=U
batteryとして電動機ユニット303に供給される。
【0055】
本発明による方法を用いることによって、動力工具300は、工具を使用する際の高い生産性をもたらし得ると同時に、サイズをコンパクトにできしかも重量を軽くできる。
【0056】
従って、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、バッテリー電圧U
batteryと昇圧電圧U
step−upとの間で切換えるように出力DCバス325における出力電圧U
outputを制御し、U
battery≦U
output≦U
step−upとなる。少なくとも一つの制御ユニットは多数のパラメーターに基いて適当な出力電圧U
outputを決めることができる。
【0057】
一つのかかるパラメーターは出力電圧U
output自体のレベルであり、それにより出力電圧U
outputが電圧閾値U
thresholdより低い、すなわちU
output<U
thresholdである時に、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、昇圧変換器310を止め、バイアス回路320を作動する。上述のように、PWM回路317は過負荷制限機能を備えることができ、これにより昇圧変換器310が過負荷状態の時に昇圧電圧U
step−upを降下させる。従ってまた、昇圧変換器の過負荷及びそれに続く昇圧電圧U
step−upの降下によって生じる低出力電圧U
output<U
thresholdは、昇圧変換器310及び/又はバイアス回路320の制御を決めるパラメーターとして利用できる。
【0058】
別のかかるパラメーターは出力電流I
outputであり、それにより少なくとも一つの制御ユニット331、332は、出力電流I
outputが電流閾値I
thresholdより高いか又は等しい時すなわちI
output≧I
thresholdの時に、昇圧変換器310を停止させ、バイパス回路320を作動させる。ここで(下記の表1において)、出力電流I
outputは、出力DCバス325における電流に相応し得るか或いは電動機電流Imotorに相応し得、電動機電流I
motorは電動機に供給されそして電動機においてすなわちインバーター305と電動機との間で測定される。電動機電流I
motorは、現代の動力工具においては普通それまでに測定される。従って、電動機電流I
motorを出力電流I
outputパラメーターとして用いる際には複雑さを施す必要はほとんどない。というのは、このパラメーターは動力工具において今日すでに利用できるからである。
【0059】
電動機電流I
motorは工具によって発生されるトルクTに依存し、一方出力DCバス325における電流はインバーター305に供給される電力に依存するので、電動機電流I
motor及び出力DCバス325における電流は異なることができる。
【0060】
表1には、パラメーターの幾つかの例並びにこれらパラメーターの種々の値に基いて昇圧変換器の作動/非作動信号S
step−up_on/off及び/又はバイアス回路の作動/非作動信号S
bypass_on/offの状態が示されている。
【0061】
下記の表1、表2及び表3並びに本明細書において、S
bypass_on/off=1は、バイパス回路320が作動されていること(S
bypass_on)を意味し、S
bypass_on/off=0は、バイパス回路320が作動されていないこと(S
bypass_off)を意味する。また、S
step−up_on/off=1は、昇圧変換器310が作動されていること(S
step−up_on)を意味し、S
step−up_on/off=0は、昇圧変換器310が作動されていないこと(S
step−up_off)を意味する。また、工具のトリガー信号は工具の電動機ユニット303の運転中には値1であり、工具の電動機ユニット303の停止中には値0である。従って、工具トリガー=0は、電動機ユニットがオフであることを意味し、工具トリガー=1は、電動機ユニットがオンすなわち作動状態にあることを意味する。
【0063】
表におけるU
output及びI
outputの値は、出力DCバス325における電圧及び電流値に相当している。代わりに、I
outputの値は、上記で説明したように、電動機電流I
motorに相当し得る。表1において見ることができるように、これらの値U
output及びI
outputの一つ以上は、例えば、工具のトリガーがオン状態にある際すなわち工具300が作動状態にある際に出力DCバス325における出力電圧U
outputが予め設定した値U
threshold以下に降下した時に、一つ以上の制御ユニット331、332をトリガーしてバイパス回路を作動させS
bypass_on、そして昇圧変換器を非作動状態S
step−up_offにさせる条件として用いられ得る。また、一つ以上の制御ユニット331、332は、工具のトリガーがオン状態にある際出力DCバス325における出力電流I
outputが予め設定した値I
thresholdより高いか等しい時に、バイパス回路を作動S
bypass_onさせ、そして昇圧変換器を非作動状態S
step−up_offにさせるように作動できる。
【0064】
別のかかるパラメーターは動力工具300で発生されるトルクT及び回転速度ω
motorであり、それらにより少なくとも一つの制御ユニット331、332は、電動機ユニット303の回転速度ω
motorと動力工具300によって発生されるトルクTとを掛けた値ω
motor×Tが速度及びトルクの閾値ωT
thresholdより低いすなわちω
motor×T<ωT
thresholdである場合に、昇圧変換器310を作動させ、バイアス回路320を非作動にさせる。
【0065】
パラメーターの種々の値に基いてこれらのパラメーターの例並びに昇圧変換器及び/又はバイパス回路を作動/非作動状態にする信号S
step−up_on/off、S
bypass_on/offの条件は表2に示される。
【0067】
表2において、ωは工具の回転速度rad/sであり、またTは工具の発生するトルクNmである。
【0068】
表2で見ることができるように、ω
motor×Tのパラメーター値は、工具のトリガーがオン状態にある際にω×T≧ωT
thresholdの時、すなわち工具300が作動される時にバイパス回路を作動させ、そしてS
bypass_on、昇圧変換器を非作動にさせるS
step−up_offように一つ以上の制御ユニット331、332をトリガーする条件として用いることができる。また、一つ以上の制御ユニット331、332は、工具のトリガーがオン状態にある間にω×T<ωT
thresholdの時に、バイパス回路を非作動にしS
bypass_off、昇圧変換器を作動させるS
step−up_onようにトリガーすることができる。
【0069】
別のかかるパラメーターは出力DCバス325における
出力電力(出力パワー)P
outputであり、それにより少なくとも一つの制御ユニット331、332は、電動機ユニット303によって発生される出力パワーP
outputが閾値P
thresholdより低い時、すなわちP
output<P
thresholdの時に、昇圧変換器310を作動させ、バイパス回路320を非作動状態にさせる。
【0070】
パラメーターの種々の値に基いてこれらのパラメーターの例並びに昇圧変換器及び/又はバイパス回路を作動/非作動状態にする信号S
step−up_on/off、S
bypass_on/offの条件は表3に示される。
【0072】
ここで、出力DCバス325における出力パワーP
outputは出力DCバス325においてP
output=I
output×U
outputとして計算できる。
【0073】
表3で見ることができるように、出力パワーP
outputのパラメーター値は、工具のトリガーがオン状態にある際にP
output≧P
thresholdの時にバイパス回路を作動させS
bypass_on、昇圧変換器を非作動にさせるS
step−up_offように一つ以上の制御ユニット331、332をトリガーする条件として用いることができる。また、一つ以上の制御ユニット331、332は、工具のトリガーがオン状態にある間にP
output<P
thresholdの時に、バイパス回路を非作動にしS
bypass_off、昇圧変換器を作動させるS
step−up_onようにトリガーすることができる。
【0074】
一実施形態によれば、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、これらパラメーターの二つ以上、すなわち出力電圧U
output、出力電流I
output、回転速度ω
motor、トルクT及び出力パワーPoutputの二つ以上の組合せにおいて昇圧変換器の作動/非作動信号S
step−up_on/off及びバイパス回路の作動/非作動信号S
bypass_on/offを決めることができる。
【0075】
図4には、本発明の可能な使用について説明する非限定例を概略的に示し、例えばナットの締付けを含む工具の使用に対応し得る。
図5には、本発明の実施形態による相応した方法のフローシート線図を示す。
【0076】
本方法の第一のステップ501において、動力工具300は作動され、すなわち工具トリガーは値1をもつ。
図4においてこれは時間軸に沿った位置“工具トリガー”において生じる。
【0077】
第二のステップ502において、昇圧変換器310は作動され、S
step−up_on/off=1であり、またバイパス回路320は非作動状態にされ、S
bypass_on/off=0である。これにより工具の作動の第一段階が開始され、比較的高い昇圧電圧U
step−upが出力DCバス325における出力電圧U
outputとして電動機ユニット303に供給される(
図4における曲線2)すなわちU
output=U
step−upである。その結果、電動機ユニット303の回転速度ω
motorは、電動機ユニット303に比較的高い昇圧電圧U
step−upが入力される結果として、増大する(
図4における曲線1)。また、出力電流I
output及び/又はトルクT(
図4における曲線3)もわずかに増大する。従って、昇圧変換器の作動される第一の段階では、本発明により回転速度ω
motorの増大が達成され、このことは、締め付けるのにあまり高くないトルクを必要とする段階中にナットを素早く締め付けることができることを意味している。
【0078】
第三のステップ503において、作動の第二段階中バイパス回路320は作動され、S
bypass_on/off=1であり、また昇圧変換器310は非作動状態にされ、S
step−up_on/off=0である。それによりバッテリー電圧U
batteryは電動機ユニット303に出力電圧U
outputとして供給され(
図4における曲線2)、U
output=U
batteryである。従って、電動機ユニット303の回転速度ω
motorは、電動機ユニット303に入力される低いバッテリー電圧U
batteryの結果としてそしてまた必要とされる比較的高いトルクのためにナットの抵抗の増加により低減される(
図4における曲線1)。また、出力電流I
output及び/又はトルクT(
図4における曲線3)は増加される。従って、バイパス回路の作動される第二段階中に、締付けのために高いトルクTが要求される第二段階において本発明によりトルクの増大が達成される。
【0079】
本発明の別の実施形態によれば、動力工具300は、第一の作動段階中には高トルクTを発生し、そして第二の作動段階中には高回転速度ω
motorとなるようにされる。この実施形態は例えばナットを緩める場合に特に有用であり、ナットの緩め操作において、第一の実際の緩め段階では高トルクTが必要とされ、そしてナットがすでに緩められている際の第二の段階では高回転速度ω
motor及び低トルクTが要求される。この実施形態は、第一の作動段階中にバイパス回路320を作動し、S
bypass_on/off=1、そして昇圧変換器310を非作動状態にするS
step−up_on/off=0ことによって達成される。従って、バッテリー電圧U
batteryは電動機ユニット303に出力電圧U
outputとして供給され、それにより高トルクT及び低速度ω
motorが得られる。
【0080】
その後、第二段階中に、昇圧変換器310が作動され、S
step−up_on/off=1となり、バイアス回路320が非作動状態にされ、S
bypass_on/off=0となり、それにより、高い昇圧電圧U
step−upが電動機ユニット303に出力DCバス325における出力電圧U
outputとして供給される。こうして、第二段階中に低トルクT及び高回転速度ω
motorが得られる。
【0081】
本発明の別の実施形態によれば、電動工具の回転速度の低下すなわち減速中にバイパス回路320は作動され、昇圧変換器310は非作動状態にされる。従って、電動機ユニット303の回転速度が急に低下している際には、電動機ユニット303はバッテリーユニット304に直接結合され、昇圧変換器310には結合されない。それにより、減速中に自由に設定される電動機ユニット303及びスピンドル/シャフト102の回転エネルギーは電気エネルギーに変換され得、そしてバッテリーユニット304を充電するのに利用され得る。例えば、バッテリーユニット304が一つ以上のスーパーコンデンサーを有する場合には、減速中に自由に得られた回転エネルギーから取り出される電気エネルギーはスーパーコンデンサーを充電するために用いられ得る。
【0082】
本発明による動力工具は、本発明の方法の全てのステップを実行するようにされ得る。本発明の方法の種々のステップは、任意の適当な順序で組み合わされ、実行され得る。
【0083】
本発明の方法は、コンピューターにおける動作時に、コンピューターに方法のステップを実行させるコード手段を備えたコンピュータープログラムによって実施され得る。コンピュータープログラムはコンピュータープログラム製品のコンピューターで読取り可能な媒体に含まれる。コンピューターで読取り可能な媒体は、本質的に、ROM(読取り専用メモリー)、PROM(プログラム可能な読取り専用メモリー)、EPROM(消去可能なPROM)、フラッシュメモリー、EEPROM(電気的に消去可能なPROM)或いはハードディスクドライブのような任意のメモリーから成り得る。
【0084】
本発明による動力工具及び方法は、上記の例示した実施形態と比較して、当業者によって変更され得る。
【0085】
当業者には明らかなように、上記の例示した実施形態において多数の他の手段、変更、変形及び/又は付加がなされ得る。本発明は、特許請求の範囲内にあるそのような全ての他の手段、変更、変形及び/又は付加を含むことが卦介されるべきである。