特許第6356225号(P6356225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356225
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】動力工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   B25F5/00 C
   B25F5/00 H
【請求項の数】33
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-511056(P2016-511056)
(86)(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公表番号】特表2016-516605(P2016-516605A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】EP2014058835
(87)【国際公開番号】WO2014177618
(87)【国際公開日】20141106
【審査請求日】2017年3月16日
(31)【優先権主張番号】1350546-6
(32)【優先日】2013年5月3日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100064388
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 孝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,カール ペータル
(72)【発明者】
【氏名】クエリクィースト,ラーシュ ペータル ヨーアン
(72)【発明者】
【氏名】シーゲランド,スヴェン マルティン
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−148019(JP,A)
【文献】 特開2014−036521(JP,A)
【文献】 特開2009−148024(JP,A)
【文献】 特開2006−006071(JP,A)
【文献】 特開2004−260955(JP,A)
【文献】 特開2003−250737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
H02P 7/00 − 7/347
H02M 3/00 − 3/44
H02J 7/00 − 7/12
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのバッテリーユニット(304)に接続できる電動機ユニット(303)を有する動力工具(300)において、
・昇圧変換器(310)が、上記バッテリーユニット(304)と上記電動機ユニット(303)との間に接続可能であり、
そして作動時に、上記バッテリーユニット(304)から上記昇圧変換器(310)へ供給されるバッテリー電圧Ubatteryを高い昇圧電圧Ustep−upにすなわちUstep−up>Ubatteryに変換するように構成され、
上記昇圧電圧Ustep−upが上記電動機ユニット(303)に出力電圧UoutputとしてすなわちUoutput=Ustep−upで供給され、
・バイパス回路(320)が、上記昇圧変換器(310)と並列に設けられ、
そして作動時に、上記バッテリーユニット(304)を上記電動機ユニット(303)に接続し、そして上記電動機ユニット(303)に上記バッテリー電圧Ubatteryを出力電圧UoutputとしてすなわちUoutput=Ubatteryで供給し、また
・少なくとも一つの制御ユニット(331、332)が、上記出力電圧Uoutputを上記バッテリー電圧Ubatteryと上記昇圧電圧Ustep−upとの間で切換えるように、上記昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)を制御するために設けられ、
上記制御ユニット(331、332)が、一つ又は複数の工具関連パラメーターに基いて昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)を制御するように構成され、
上記パラメーターが、上記電動機ユニットに供給される出力電流Ioutputと、出力電圧Uoutputと、動力工具(300)で発生されるトルクTを掛けた上記電動機ユニット(303)の回転速度ωmotorすなわちωmotor×Tと、上記電動機ユニット(303)に供給される出力電力outputとから成る
ことを特徴とする動力工具(300)。
【請求項2】
上記昇圧変換器(310)が、少なくとも一つの昇圧トランジスター(311)と、少なくとも一つのインダクター(313)と少なくとも一つの昇圧スイッチ(312)とを含む同期昇圧変換器である
ことを特徴とする請求項1記載の動力工具(300)。
【請求項3】
上記昇圧変換器(310)が、作動時に、上記少なくとも一つの昇圧トランジスター(311)及び上記昇圧変換器(310)を上記電動機ユニット(303)に接続する上記少なくとも一つの昇圧スイッチ(312)を制御するように設けられた昇圧制御回路(316、317)を備えている
ことを特徴とする請求項2記載の動力工具(300)。
【請求項4】
上記昇圧制御回路(316、317)が、上記高い昇圧電圧Ustep−upを目標電圧Utargetに向かって制御するように設けられかつ上記昇圧変換器(310)の出力(325)を入力としてもつ電圧調整回路(316)を備えている
ことを特徴とする請求項3記載の動力工具(300)。
【請求項5】
上記バイパス回路(320)が、上記少なくとも一つの制御ユニット(331)によって制御されるバイパススイッチ(321)を備えている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の動力工具(300)。
【請求項6】
上記少なくとも一つの昇圧スイッチ(312)、上記昇圧トランジスター(311)及び上記バイパススイッチ(321)の一つ以上が、
NチャンネルMOSEFT(金属酸化物半導体電界効果形トランジスター)及び
PチャンネルMOSEFT(金属酸化物半導体電界効果形トランジスター)
のグループのいずれかとして構成される
ことを特徴とする請求項3又は請求項5記載の動力工具(300)。
【請求項7】
上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)が、上記バイパス回路(320)にバイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offを供給するように構成され、上記バイパス回路(320)が、上記バイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offに基いて上記電動機ユニット(303)への上記バッテリーユニット(304)の接続を作動/非作動状態にするように構成されている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の動力工具(300)。
【請求項8】
上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)が、上記昇圧変換器に昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/offを供給するように構成され、上記昇圧変換器(310)が、上記昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/offに基いて上記昇圧変換器(310)の電圧変換を作動/非作動状態にするように構成されている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の動力工具(300)。
【請求項9】
上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)が、上記昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/off及び/又は上記バイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offを、上記パラメーター(Uoutput、Ioutput、ωmotor×T、Poutput)の少なくとも一つと、同じパラメーターに関連する閾値(Uthreshold、Ithreshold、ωthreshold×T、Pthreshold)との関係において決めるように構成されている
ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の動力工具(300)。
【請求項10】
上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)が、上記昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/off及び/又は上記バイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offを、上記電動機ユニット(303)に供給される上記出力電圧Uoutputと電圧閾値Uthresholdとの関係において決めるように構成されている
ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の動力工具(300)。
【請求項11】
上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)は、上記出力電圧Uoutputが上記電圧閾値Uthresholdに等しいか又はそれより高い、すなわちUoutput≧Uthresholdである時に、昇圧作動信号Sstep−up_on及びバイパス非作動信号Sbypass_offを発生するように構成されている
ことを特徴とする請求項9記載の動力工具(300)。
【請求項12】
上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)が、上記昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/off及び/又は上記バイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offを、上記電動機ユニット(303)に供給される出力電流Ioutputと電流閾値Ithresholdとの関係において決めるように構成されている
ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の動力工具(300)。
【請求項13】
上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)は、上記出力電流Ioutputが上記電流閾値Ithresholdに等しいか又はそれより高い、すなわちIoutput≧Ithresholdである時に、昇圧非作動信号Sstep−up_off及びバイパス作動信号Sbypass_onを発生するように構成されている
ことを特徴とする請求項12記載の動力工具(300)。
【請求項14】
上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)は、上記トルクTを掛けた工具(300)によって発生される上記電動機ユニット(303)の回転速度ωmotorすなわちωmotor×Tと、速度及びトルク閾値ωTthresholdとの関係において、上記昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/off及び上記バイパス作動/非作動信号Sbypass__on/offを決めるように構成されている
ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の動力工具(300)。
【請求項15】
上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)は、上記トルクTを掛けた上記回転速度ωmotorすなわちωmotor×Tが上記速度及びトルク閾値ωTthresholdより低い、すなわちωmotor×T<ωTthresholdである時に、昇圧作動信号Sstep−up_on及びバイパス非作動信号Sbypass_offを発生するように構成されている
ことを特徴とする請求項14記載の動力工具(300)。
【請求項16】
上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)が、上記昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/off及び/又は上記バイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offを、電動機ユニット(303)に供給される出力電力outputとパワー閾値Pthresholdとの関係において決めるように構成されている
ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の動力工具(300)。
【請求項17】
上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)は、上記出力電力outputが上記パワー閾値Pthresholdより低い、すなわちPoutput<Pthresholdである時に、昇圧作動信号Sstep−up_on及びバイパス非作動信号Sbypass_offを発生するように構成されている
ことを特徴とする請求項16記載の動力工具(300)。
【請求項18】
上記バイパス作動/非作動信号Sbypass_on/off及び上記昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/offが相補的な信号である
ことを特徴とする請求項7〜請求項17のいずれか一項記載の動力工具(300)。
【請求項19】
上記昇圧変換器(310)が相互に逆位相で作動される二つの昇圧トランジスターを備えている
ことを特徴とする請求項1〜請求項18のいずれか一項記載の動力工具(300)。
【請求項20】
上記昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)が上記動力工具(300)の本体内に一体に設けられ、上記昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)が上記電動機ユニット(303)に接続されかつ上記バッテリーユニット(304)に接続できる
ことを特徴とする請求項1〜請求項19のいずれか一項記載の動力工具(300)。
【請求項21】
上記昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)が上記バッテリーユニット(304)と一体に設けられ、上記バッテリーユニット(304)に接続されかつ上記電動機ユニット(303)に接続できる
ことを特徴とする請求項1〜請求項19のいずれか一項記載の動力工具(300)。
【請求項22】
上記昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)が上記バッテリーユニット(304)と上記電動機ユニット(303)との間に別個に設けられ、上記昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)が上記バッテリーユニット(304)に接続できかつ上記電動機ユニット(303)に接続できる
ことを特徴とする請求項1〜請求項19のいずれか一項記載の動力工具(300)。
【請求項23】
上記バッテリーユニット(304)が少なくとも一つのスーパーコンデンサーを備えている
ことを特徴とする請求項1〜請求項22のいずれか一項記載の動力工具(300)。
【請求項24】
上記電動機ユニット(303)の回転速度が減速される際に、上記電動機ユニット(303)によって発生されるエネルギーを消耗するために設けたブレーキチョッパーを有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項23のいずれか一項記載の動力工具(300)。
【請求項25】
動力工具(300)の電動機ユニット(303)に出力電圧Uoutputを供給する方法において、
一つのバッテリーユニット(304)と上記電動機ユニット(303)との間に接続できる昇圧変換器(310)が作動される時に、上記バッテリーユニット(304)から上記昇圧変換器(310)に供給されるバッテリー電圧Ubatteryを高い昇圧電圧Ustep−upすなわちUstep−up>Ubatteryに変換し、そして上記昇圧電圧Ustep−upを上記電動機ユニット(303)に出力電圧UoutputとしてすなわちUoutput=Ustep−upで供給すること、
・上記昇圧変換器(310)に並列に設けられるバイパス回路(320)が作動される時に、上記バッテリーユニット(304)を上記電動機ユニット(303)に接続し、そして上記バッテリー電圧Ubatteryを電動機ユニット(303)に出力電圧UoutputとしてすなわちUoutput=Ubatteryで供給すること、
・少なくとも一つの制御ユニット(331、332)を用いて上記昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)を制御して、上記出力電圧Uoutputを、上記バッテリー電圧Ubatteryと上記昇圧電圧Ustep−upとの間で切換え得、上記昇圧変換器(310)及び上記バイパス回路(320)の制御が、一つ又は複数の工具関連パラメーターに基いており、上記パラメーターが、上記電動機ユニットに供給される出力電流Ioutputと、出力電圧Uoutputと、動力工具(300)で発生されるトルクTを掛けた上記電動機ユニット(303)の回転速度ωmotorすなわちωmotor×Tと、上記電動機ユニット(303)に供給される出力電力Poutputとから成ること
を特徴とする方法。
【請求項26】
上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)は、上記パラメーター(Uoutput、Ioutput、ωmotor×T、Poutput)の少なくとも一つが特定の閾値(Uthreshold、Ithreshold、ωthreshold×T、Pthreshold)以上又は以下になった時、上記昇圧変換器(310)を非作動状態にさせ、上記バイパス回路(320)を作動させる
ことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
上記出力電圧Uoutputが電圧閾値Uthresholdより低い、すなわちUoutput<Uthresholdである時に、上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)が、昇圧変換器(310)を非作動状態にさせ、上記バイパス回路(320)を作動させる
ことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項28】
出力電流Ioutputが電流閾値Ithresholdより高いか或いはそれに等しい、すなわちIoutput≧Ithresholdである時に、上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)が、昇圧変換器(310)を非作動状態にさせ、上記バイパス回路(320)を作動させる
ことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項29】
電動工具(300)によって発生されるトルクTを掛けた上記電動機ユニット(303)の回転速度ωmotorすなわちωmotor×Tが上記速度及びトルク閾値ωTthresholdより低い、すなわちωmotor×T<ωTthresholdである時に、上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)が、昇圧変換器(310)を作動状態にさせ、上記バイパス回路(320)を非作動状態させる
ことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項30】
上記電動機ユニット(303)に供給される出力電力outputがパワー閾値Pthresholdより低い、すなわちPoutput<Pthresholdである時に、上記少なくとも一つの制御ユニット(331、332)が、上記昇圧変換器(310)を作動状態にさせ、上記バイパス回路(320)を非作動状態させる
ことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項31】
上記動力工具(300)の作動が、
・上記作動の第一段階中に上記昇圧変 換器(310)を作動状態にし、上記バイパス回路(320)を非作動状態にして、上記昇圧電圧Ustep−upを上記電動機ユニット(303)に出力電圧UoutputとしてすなわちUoutput=Ustep−upで供給し、それにより上記電動機ユニット(303)の回転速度ωmotorが高い昇圧電圧Ustep−upの結果として増加されること、
・上記作動の第二段階中に上記昇圧変換器(310)を非作動状態にし、上記バイパス回路(320)を作動状態にして、上記バッテリー電圧Ubatteryを上記電動機ユニット(303)に出力電圧UoutputとしてすなわちUoutput=Ubatteryで供給し、それにより上記電動機ユニット(303)の回転速度ωmotorが低いバッテリー電圧Ubatteryの結果として減速されること
を特徴とする請求項25〜請求項30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
コード手段が、コンピューターにおける作動時に、コンピューターに請求項25〜請求項31のいずれか一項記載の方法を実行させること
を特徴とするコンピュータープログラム。
【請求項33】
コンピューターで読取り可能な媒体及び請求項32に記載のコンピュータープログラムを備え、上記コンピュータープログラムがコンピューターで読取り可能な媒体内に含まれていること
を特徴とするコンピュータープログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載した動力工具に関するものである。
本発明はまた、請求項24の前文に記載した出力電圧Uoutputをもつ動力工具の電動機ユニットを提供する方法に関するものである。
本発明はまた、コンピュータープログラム及びコンピュータープログラム製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動機ユニットを備えた動力工具にはしばしばバッテリーユニットから電力が供給される。図1にはかかる動力工具100の例が概略的に示されている。この動力工具100は本体/ハウジング101及びシャフト/スピンドル102を備えている。電動機ユニットは、シャフト102を駆動するために用いられる。電動機はバッテリーユニット104によって駆動される。バッテリーユニット104は図1に示すように動力工具のハンドル103に装着できるが、動力工具100のその他の部分にも装着できる。しかし、バッテリーユニット104は、また、動力工具100から分離して設けることもでき、外部バッテリーユニットと動力工具100との間に接続される一本以上のケーブルを介して電力が電動機ユニットに供給され得る。動力工具100はさらに、当業者には理解されるように図1に示していない多数の部品を備えている。
【0003】
ナットランナーのような今日の動力工具は、一般に、動力工具のサイズや重さに関して問題がある。一般に、顧客にとって軽量の動力工具が非常に有用であり、その理由は保持したり取扱うのに重すぎず、運んだり実際に使用するのに容易であるので、動力工具のサイズ及び/又は重さを軽減する要求がある。
【0004】
動力工具は工具のサイズ及び/又は重さに加えて、多数の部品を備えている。工具のサイズや重さの両方に大きく影響する一つの部品はバッテリーユニットである。動力工具の性能は今日、バッテリーユニットから供給される電力に直接関係し、そしてまたバッテリーユニットのサイズや重さにも直接関係する。例えば、ナットランナーによって供給されるトルク及び減速は共に、バッテリーユニットの電圧レベルに直接関係する。従って、効率的で高性能なナットランナーは今日、大きくて重いバッテリーパックを備えなければならない。
【0005】
動力工具のサイズ及び/又は重さを最小にしながら動力工具を現代の性能要求に適合させるために、幾つかの従来技術の解決方法では、出力及び/又は電圧の異なる一組の異なるバッテリーユニット或いはバッテリーが用いられてきた。従って、動力工具の必要な性能に関連して、ユーザーは、この組から動力工具に接続すべき適当なバッテリーユニット又はバッテリーを選べる可能性がある。従って、動力工具のサイズ及び重さは性能要求に適合させることができる。極めて強力でない、及びまた極めて小型で軽量の工具で十分である際には、非常に重くて大きくもある非常に強力な動力工具を取り扱うことは避けることができる。
【0006】
しかし、動力工具において使用できるバッテリーユニットの組は、工具の性能及びサイズの適用性を達成するためにユーザーは動力工具と共に運ばなければならない。また、工具を用いての作業中におけるバッテリー給電に適合できるようにユーザーは全てのバッテリーユニットを準備しなければならず、この解決方法は極めて現実的でない。また、出力及び/又は電圧の異なる複数のバッテリーユニット及び/又はバッテリーは今日しばしば、異なった接続インターフェースを備えている。従って、第一の電圧及び/又は出力をもつ第一のバッテリーは動力工具に直接接続できるが、第二の電圧及び/又は出力をもつ第二のバッテリーはしばしば動力工具に直接接続できない。そのため、少なくとも一つ以上のバッテリーアダプターを用いずにはバッテリーを有効に交換することは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の問題点の一つ以上を少なくとも部分的に解決する動力工具を提供することにある。
本発明は、背景技術で知られた動力工具よりコンパクトで軽量な動力工具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、請求項1の特徴とする部分による動力工具によって達成される。
【0009】
また、上記目的は、請求項25の特徴とする部分による、出力電圧Uoutputを動力工具の電動機ユニットへ供給する方法によって達成される。
【0010】
また、上記目的は、コンピュータープログラム及びコンピュータープログラム製品によって達成される。
【0011】
本発明による動力工具及び方法は、工具の電動機ユニットに供給される出力電圧Uoutputがバッテリー電圧Ubatteryと比較的高い昇圧電圧Ustep−upとの間で切換えられ得ることを特徴としている。この切換え可能な出力電圧Uoutputは、特許請求の範囲に記載の発明によれば、昇圧変換器と、バイパス回路と、昇圧変換器及びバイパス回路を制御する少なくとも一つの制御回路とによって達成される。
【0012】
昇圧変換器はバッテリーユニットと電動機ユニットとの間に接続でき、そして作動時に、バッテリーユニットから昇圧変換器へ供給されることになるバッテリー電圧Ubatteryを比較的高い昇圧電圧Ustep−upに変換するすなわちUstep−up>Ubatteryにするために設けられる。従ってこの昇圧電圧Ustep−upは出力電圧Uoutputとして電動機ユニットに供給される、すなわちUoutput=Ustep−upである。
【0013】
バイパス回路は、昇圧変換器と並列に設けられ、それにより作動時にバッテリーユニットを電動機ユニットに直接接続し、そして電動機ユニットに出力電圧Uoutputとしてバッテリー電圧Ubatteryを供給する。Uoutput=Ubattery
【0014】
少なくとも一つの制御回路は、出力電圧Uoutputをバッテリー電圧Ubatteryと昇圧電圧Ustep−upとの間で切換えるために、昇圧変換器及びバイパス回路を制御するために設けられる。この制御された切換えは、バイパス作動/非作動信号Sbypass_on/off及び昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/offを発生すること及びこれらの昇圧作動/非作動信号をバイパス回路及び昇圧変換器へそれぞれ供給することによって達成できる。
【0015】
本発明による動力工具は、それぞれバイパス回路及び昇圧変換器の作動及び非作動を利用して電動機ユニットに供給される出力電圧Uoutputを変えて電動器ユニットの回転速度を増大させるように設けられる。こうして、動力工具の生産性は増大する。
【0016】
代わりに、小型で軽量のバッテリーユニット及び従って先行技術の動力工具に比較してよりコンパクトで重くない動力工具は本発明によって提供できる。コンパクトで軽量の動力工具は容易に取り扱うことができ、その結果動力工具の使用は本発明によって改善される。
【0017】
本発明の実施形態によれば、動力工具は、ナットの締付け及び/又は緩め作業のような工具のある特定の作動を実行するのに特に適用でき、かかる作業中には最適性能を達成するように作動中速度及び/又はトルクは変化すべきである。例えば、ナットを締付ける際には、工具の第一の作動段階では昇圧変換器が作動され、バイパス回路は非作動状態に置かれ得る。第二の段階では、バイパス回路が作動され、昇圧変換器は非作動状態に置かれ得る。それにより、第一の作動段階では電動工具は高回転速度及び低トルクとなり、それに続いて第二の作動段階では低回転速度及び高トルクとなる。これにより、例えばナットを締付ける際にナットランナーに対して最適な性能が得られ、第一の段階では高速ではあるが力のあまり高くなり過ぎないモーメントが必要とされ、そして第二の段階では力の比較的高いモーメントが必要とされる。本発明によれば、この最適性能は、コンパクトで軽量の動力工具で達成できる。
【0018】
ナットを緩める際には、第一の段階は代わりに、高トルクT及び低回転速度にでき、そして第二の段階は、高回転速度及び低トルクにできる。これは、作動の第一の段階中、バイパス回路を作動し、昇圧変換器を非作動にし、続いて、第二の段階中、昇圧変換器を作動し、バイパス回路を非作動にすることによって達成される。これにより、例えばナットを緩める際にコンパクトで軽量なナットランナーに対して最適な性能が得られ、第一の段階ではより高い回転力が要求され、第二の段階ではより低い回転力が要求される。
【0019】
本発明による動力工具及び方法の詳細な実施形態及び利点について以下、幾つかの好ましい実施形態を示す添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来技術の動力工具を示す。
図2】本発明による動力工具を示す。
図3】本発明による動力工具を示す。
図4】本発明の実施形態による動力工具に対する工具作動線図を示す。
図5】本発明の実施形態による動力工具に対する作動方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によれば、動力工具は、以下に詳しく説明するように、昇圧変換器と、バイパス回路と、少なくとも一つの制御ユニットとを有する。図2には、かかる動力工具200を概略的に示す。図2において、昇圧変換器、バイパス回路、及び一つ以上の制御ユニットは昇圧/バイパスモジュール202として示されており、この昇圧/バイパスモジュール202は、工具200の本体201内に設けた電動機ユニット203と、バッテリーユニット204との間に接続できる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、昇圧/バイパスモジュール202、すなわち昇圧変換器、バイパス回路、及び一つ以上の制御ユニットは、動力工具200の本体201内に一体的に設けられ、そして電動機ユニット203及びバッテリーユニット204に接続される。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、昇圧/バイパスモジュール202は、バッテリーユニット204と一体に構成される。一体化したバッテリー及び昇圧/バイパスモジュール202、204は、工具200の電動機ユニット203に接続できる。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、昇圧/バイパスモジュール202は、バッテリーユニット204と電動機ユニット203との間に別個にすなわち別個のユニットとして設けられる。別個に設けた昇圧/バイパスモジュール202は、従ってこの場合バッテリーユニット204と電動機ユニット203との両方に接続できる。
【0025】
図3には、本発明による動力工具300を概略的に示す。図3において、動力工具300は、バッテリーユニット304と昇圧/バイパスモジュール302とを備えて概略的に示されている。しかし、上述のように、バッテリーユニット304及び/又は昇圧/バイパスモジュール302及び/又は一つ以上の制御ユニット331、332は、動力工具300と別個にすなわち動力工具の本体の外部に設けることもできる。
【0026】
動力工具300は電動機ユニット303を備え、電動機ユニット303は昇圧/バイパスモジュール302を介してバッテリーユニット304に接続できる。図3において、電動機ユニット303はインバーター305を備えている。しかし、電動機ユニット303及び/又は昇圧/バイパスモジュール302の構成によっては、インバーター305は動力工具300において省略され得る。
【0027】
昇圧/バイパスモジュール302は昇圧変換器310及びバイパス回路320を備えている。昇圧変換器310は、バッテリーユニット304と電動機ユニット303との間に接続できる。昇圧変換器310は、作動及び非作動状態にでき、作動時には、バッテリーユニット304によって昇圧変換器310に供給されるバッテリー電圧Ubatteryを変換するために設けられる。それにより昇圧変換器310はバッテリー電圧Ubatteryを高い昇圧電圧Ustep−upに、すなわちUstep−up>Ubatteryに変換する。そして、この高い昇圧電圧Ustep−upは、出力DCバス325における出力電圧Uoutputとして電動機ユニット303に供給される。すなわちUoutput=Ustep−upである。従って、電動機ユニット303には、昇圧変換器310が作動されている時に高い昇圧電圧Ustep−upが供給される。
【0028】
バイパス回路320は、昇圧変換器310と並列に設けられ、従ってまたバッテリーユニット304と電動機ユニット303との間に接続できる。バイパス回路320が作動されると、バッテリーユニット304は、バイパス回路320を介して電動機ユニット303に接続される。従って、バイパス回路は、出力DCバス325における出力電圧UoutputすなわちUoutput=Ubatteryとして電動機ユニット303にバッテリー電圧Ubatteryを供給するようにされる。
【0029】
動力工具はまた、電動機ユニット325の制動すなわち減速時に出力DCバス325における出力電圧Uoutputが高すぎるレベルに達するのを阻止することによってバッテリーユニット304を保護するために設けたブレーキチョッパーを備えることもできる。一般に、ユーザーが工具を作動させた時に電動機ユニット303によってエネルギーが発生され、それにより動力工具の回転速度は、特に電動機ユニットの制動が開始される前に、高い昇圧電圧Ustep−upが電動機ユニットに供給された場合に、減速される。ブレーキチョッパーは、昇圧/バイパスモジュール302と電動機ユニット303との間で出力DCバス325に設けることができる。例えば、ブレーキチョッパーは、出力DCバス325を通して、MOSEFT(金属酸化物半導体電界効果型トランジスター)のようなスイッチと直列に結合した抵抗として備えることができ、この抵抗にはダイオードが並列に結合される。これにより、電動機ユニット303の減速中に電動機ユニットによって発生されるエネルギーは、抵抗で消耗でき、それによりバッテリーユニット304を保護するため出力DCバス325における出力電圧Uoutputは低減される。
【0030】
本発明による動力工具300はさらに、少なくとも一つの制御ユニット331、332を備えている。少なくとも一つの制御ユニット331、332は、昇圧変換器310及びバイパス回路320を作動/非作動状態にすることによって昇圧変換器310及びバイパス回路320を制御するために設けられる。出力DCバス325における出力電圧Uoutputは、バッテリー電圧Ubatteryと昇圧電圧Ustep−upとの間で切換えし得る。従って、昇圧変換器310及びバイパス回路320の作動/非作動をそれぞれ制御することによって、出力DCバス325における出力電圧Uoutputは、低いバッテリー電圧Ubatteryと高い昇圧電圧Ustep−upとの間で切換えでき、すなわちUbattery≦Uoutput≦Ustep−upである。
【0031】
従って、本発明による動力工具300は、一時的に増大した昇圧電圧Ustep−upを電動機ユニット303に供給することによって、電動機ユニット303の回転速度を一時的に高めることができる。それにより動力工具の生産性が増大される。
【0032】
代わりに、先行技術の解決策で使用されたものと同じ回転電動機速度は、先行技術の解決策におけるバッテリー電圧Ubattery_prior artで可能であったより低い電圧Ubattery_inventionのバッテリーユニットを用いて達成でき、Ubattery_invention<Ubattery_prior art、というのは、本発明による増大した昇圧電圧Ustep−upは、先行技術の電圧Ustep−up=Ubattery_prior artに整合するように一時的に十分高くできるからである。従って、本発明によれば、比較的小型で軽量のバッテリーユニット304及びそれにより比較的コンパクトで軽量の動力工具300が提供される。コンパクトで軽量の動力工具300は取扱いが容易であり、従って本発明によって動力工具300の比較的容易でしかも比較的魅力的な使用が促進される。
【0033】
また、昇圧及びバイパスモジュール302は、本発明の解決策によりコンパクトでしかも軽量にできる。これは、本発明によるバイパス回路320の使用によるものであり得る。電動機ユニット303が大きな負荷の間高い効果を果たす際には、バイパス回路320は作動され、昇圧変換器310は非作動状態にされ、それにより、バッテリーユニット304は、できれば変換器305を含む電動機ユニット303に直接接続される。これにより、昇圧変換器310の構成要素は単に限定された電力で対処できる必要がある。というのは、昇圧変換器310は、バッテリーユニット304から電動機ユニット303へ最大電力が供給される際にバイパスされるからである。従って、これらの構成要素は比較的低い電力で対処できるので、昇圧及びバイパスモジュール302は、コンパクトにしかも軽量に設計でき、そしてこのことにより動力工具300の総寸法及び重量も低減する。
【0034】
本発明の実施形態によれば、昇圧変換器310は、比較的高い昇圧電圧Ustep−upを発生するように構成される同期昇圧変換器であり、この昇圧変換器は、少なくとも一つの昇圧トランジスター311と、少なくとも一つのインダクター313と、少なくとも一つの昇圧スイッチ312とを備えている。少なくとも一つの昇圧トランジスター311及び/又は少なくとも一つの昇圧スイッチ312は典型的には相対的に高い周期例えばキロヘルツ(kHz)範囲の周期で切換えできる。図3に例示したように、インダクター313は、バッテリーユニット304及び昇圧スイッチ312と直列に接続される。昇圧トランジスター311はバッテリーユニット304と並列に、また出力DCバス325を通して出力コンデンサー314と並列に接続されている。
【0035】
昇圧変換器はさらに、少なくとも一つの昇圧トランジスター311及び/又は少なくとも一つの昇圧スイッチ312を制御するように構成された昇圧制御回路を備えることができ、昇圧スイッチ312は、作動時に、昇圧変換器310を出力DCバス325すなわち電動機ユニット303に接続するために用いることができる。昇圧制御回路は、電圧調整回路316及びPWM(パルス幅変調)回路317を備えている。増幅器として構成できる電圧調整回路316は、PWM回路317を制御することによって高い昇圧電圧Ustep−upのレベルを目標電圧Utargetに向かって制御するように構成される。電圧調整回路316は入力315として出力DCバス325を備えている。
【0036】
PWM回路317はまた、昇圧変換器310が過負荷状態の場合に、昇圧電圧Ustep−upを制限/低減する過負荷制限機能も備えている。PWM回路317はまた、制御ユニット332から入力信号として供給されることになる制御信号Sstep−up_on/offを受ける入力を備えている。従って少なくとも一つの昇圧トランジスター311及び少なくとも一つの昇圧スイッチ312の機能は、昇圧制御回路によって、特にPWM回路317によって制御される。昇圧トランジスター311を制御するために用いられる制御信号は、直接PWM回路317によって発生される。昇圧スイッチ312を制御するために用いられる制御信号は、PWM回路317によって発生された制御信号の増幅及び反転形態であり、増幅及び反転は増幅器/インバーター318によって行われる。
【0037】
本発明の実施形態によれば、バイパス回路320はバイパススイッチ321を備え、このバイパススイッチ321は、バイパス制御信号Sbypass_on/offを発生する制御ユニット331によって制御できる。従って、バイパス回路320は、以下に詳しく説明するように、極低周期で例えば工具の作動当たり二回切換えられる。増幅器322は、制御ユニット331からのバイパス制御信号Sbypass_on/offを増幅してから増幅した制御信号バイパススイッチ321に供給するために用いられる。
【0038】
図3において、例示のため、制御信号Sbypass_on/off及びSstep−up_on/offを発生する制御ユニット331、332は二つの別個の制御ユニットとして示されている。しかし、当業者には明らかなように、これら制御信号Sbypass_on/off及びSstep−up_on/offの両方は、これらの制御ユニット331、332の両方の上記及び/又は下記の機能を本質的に含む単一の制御ユニットによって発生できるようにすることもできる。
【0039】
本発明の実施形態によれば、少なくとも一つの昇圧スイッチ311、昇圧スイッチ312及び少なくとも一つのバイパススイッチ321の一つ以上は、N−チャネルMOSFET(金属酸化物半導体電界効果型トランジスター)、P−チャネルMOSFET(金属酸化物半導体電界効果型トランジスター)、或いは別の適当な制御可能なスイッチング装置と構成される。
【0040】
本発明の実施形態によれば、昇圧スイッチ312及び少なくとも一つのバイパススイッチ321の少なくとも一つは、低電力応用に特に適した電力ダイオードとして構成される。
【0041】
本発明の実施形態によれば、昇圧変換器310は、バッテリー電圧Ubatteryを高い昇圧電圧Ustep−upに変換するようにされる多相変換器である。多相変換器は、制御信号Sstep−up_on/offによって制御可能なブースト型変換器であり得る。
【0042】
本発明の実施形態によれば、昇圧変換器310は、相互に逆の位相で作動される二つの昇圧トランジスター回路を備えて構成される。それにより、出力DCバス325における電圧/電流リプルは逆位相で結合したトランジスター形態によって低減できるので、昇圧変換器310により、平滑な出力昇圧電圧Ustep−upが得られ得る。
【0043】
本発明の実施形態によれば、バッテリーユニット304は少なくとも一つのスーパーコンデンサーを備えている。スーパーコンデンサーは単位容積当たり非常に高い容量値及び非常に高いエネルギー密度をもっている。従ってスーパーコンデンサーは、従来のバッテリーに代わる信頼できるエネルギー源として利用できる。スーパーコンデンサーはまた、相応する従来のバッテリーエネルギー源より非常に軽い極軽量である。スーパーコンデンサーの一つの問題点は、しばらくしてそれらの出力が損なわれることにある。しかし、それらを再び極めて迅速に充電することができる。本発明を用いることによって、スーパーコンデンサーの出力電圧は、必要な時、例えばスーパーコンデンサーの出力の幾分かが失われた時に高めることができる。例えば、バッテリーユニットにスーパーコンデンサーを備える本発明による動力工具は、組立ラインにおいて使用することができ、該動力工具を相対的に短い時間間隔で順次使用することができ、そしてこれらの短い時間間隔の間で充電させることができる。スーパーコンデンサーを使用することにより、本発明の実施によって極めてコンパクトで軽量の動力工具を提供できる。
【0044】
従って、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、本発明によれば、バイパス回路320にバイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offを供給するために設けられる。バイパス回路320はバイパス回路を作動/非作動状態にするため、すなわちバイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offに基いて、電動機ユニット303にバッテリーユニット304を接続したり切離したりするために設けられる。
【0045】
従って、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、昇圧変換器310に昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/offを供給するために設けられる。従って、昇圧変換器310は、昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/offに基いて昇圧変換器310の電圧変換を行わせる又は止めるために設けられる。
【0046】
本発明の実施形態によれば、バイパス作動/非作動信号Sbypass_on/off及び昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/offは相補的な信号である。従って、バイパス作動/非作動信号Sbypass_on/off及び昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/offは反転値をもつ。言い換えれば、バイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offは昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/offの反転/取消し形態である。
【0047】
従って、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、好ましくは、バッテリー電圧Ubatteryと高い昇圧電圧Ustep−upとの間で出力DCバス325を切り換えるために利用でき、それにより、本発明の上記利点をもつ動力工具が提供得される。従って、生産性の高いコンパクトで軽量な動力工具が本発明によって提供される。
【0048】
上記で説明したように、出力DCバス325における電圧は、少なくとも一つの制御ユニット331、332によってPWM回路317に供給される昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/offに基いて及び/又は少なくとも一つの制御ユニット331、332によってバイパススイッチ321に供給されるバイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offに基いてバッテリー電圧Ubatteryと高い昇圧電圧Ustep−upとの間で切換えられ得る。
【0049】
従って、昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/off及びバイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offは、少なくとも一つの制御ユニット331、332において発生される。これら昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/off及びバイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offの形態は、単独で取られた単一のパラメーターか又は二つ以上の組合わさったパラメーターに基づく多数の異なるパラメーターに基いて、少なくとも一つの制御ユニットによって決めることができる。
【0050】
本発明の実施形態によれば、少なくとも一つの制御ユニットは、出力DCバス325における出力電圧Uoutputと電圧閾値Uthresholdとの関係において昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/off及び/又はバイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offを決めるように設けられる。ここで、昇圧作動信号Sstep−up_on及びバイパス非作動信号Sbypass_offは、出力電圧Uoutputが電圧閾値Uthresholdに等しいか又はそれより高い時すなわちUoutput≧Uthresholdの時少なくとも一つの制御ユニット331、332によって発生される。この実施形態については以下に詳しく説明する。
【0051】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、出力DCバス325における電動機ユニット303に供給される出力電流Ioutputと電流閾値Ithresholdとの関係において昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/off及び/又はバイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offを決めるように設けられる。ここで、昇圧非作動信号Sstep−up_off及びバイパス作動信号Sbypass_onは、出力電流Ioutputが電流閾値Ithresholdに等しいか又はそれより高い時すなわちIoutput≧Ithresholdの時少なくとも一つの制御ユニット331、332によって発生される。この実施形態については以下に詳しく説明する。
【0052】
本発明の実施形態によれば、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、工具300によって発生されるトルクTと掛け算される電動機ユニット303の回転速度ωmotorすなわちωmotor×Tと、速度及びトルク閾値ωTthresholdとの関係において昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/off及び/又はバイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offを決めるように設けられる。従って、動力工具のシャフト/スピンドル102によって得られる回転速度ωmotor及びトルクTは、ここでは、速度及びトルク閾値ωTthresholdと比較される。昇圧作動信号Sstep−up_on及びバイパス非作動信号Sbypass_offは、トルクTと掛け算した回転速度ωmotorすなわちωmotor×Tが速度及びトルク閾値ωTthresholdより低い、すなわちωmotor×T<ωTthresholdの時に、少なくとも一つの制御ユニット331、332によって発生される。この実施形態については以下に詳しく説明する。
【0053】
本発明の実施形態によれば、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、出力DCバス325における電動機ユニット303によって発生される出力Poutputと出力閾値Pthresholdとの関係において昇圧作動/非作動信号Sstep−up_on/off及び/又はバイパス作動/非作動信号Sbypass_on/offを決めるように設けられる。ここで、昇圧作動信号Sstep−up_on及びバイパス非作動信号Sbypass_offは、出力DCバス325における出力Poutputが出力閾値Pthresholdより低い、すなわちPoutput<Pthresholdの時に、少なくとも一つの制御ユニット331、332によって発生される。この実施形態については以下に詳しく説明する。
【0054】
本発明の特徴によれば、出力電圧Uoutputの動力工具300の電動機ユニット304を設ける方法が提供される。本方法によれば、上述のように昇圧変換器310及びバイパス回路320を制御するために少なくとも一つの制御ユニット331、332が用いられ、出力DCバス325における出力電圧Uoutputはバッテリー電圧Ubatteryと昇圧電圧Ustep−upとの間ですなわちUbattery≦Uoutput≦Ustep−upで切換えられ得る。出力電圧のこの切換えは、昇圧変換器310が作動される際に、バッテリーユニット304によって昇圧変換器310に供給されるバッテリー電圧Ubatteryを高い昇圧電圧Ustep−upに変換すること、すなわちUstep−up>Ubatteryにすることによって達成される。そして、この昇圧電圧Ustep−upは出力電圧UoutputとしてすなわちUoutput=Ustep−upとして電動機ユニット303に供給される。出力電圧のこの切換えはまた、バイパス回路320が作動される際に、バッテリーユニット304を電動機ユニット303に接続することによって達成され、それにより、バッテリー電圧Ubatteryは出力電圧UoutputとしてすなわちUoutput=Ubatteryとして電動機ユニット303に供給される。
【0055】
本発明による方法を用いることによって、動力工具300は、工具を使用する際の高い生産性をもたらし得ると同時に、サイズをコンパクトにできしかも重量を軽くできる。
【0056】
従って、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、バッテリー電圧Ubatteryと昇圧電圧Ustep−upとの間で切換えるように出力DCバス325における出力電圧Uoutputを制御し、Ubattery≦Uoutput≦Ustep−upとなる。少なくとも一つの制御ユニットは多数のパラメーターに基いて適当な出力電圧Uoutputを決めることができる。
【0057】
一つのかかるパラメーターは出力電圧Uoutput自体のレベルであり、それにより出力電圧Uoutputが電圧閾値Uthresholdより低い、すなわちUoutput<Uthresholdである時に、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、昇圧変換器310を止め、バイアス回路320を作動する。上述のように、PWM回路317は過負荷制限機能を備えることができ、これにより昇圧変換器310が過負荷状態の時に昇圧電圧Ustep−upを降下させる。従ってまた、昇圧変換器の過負荷及びそれに続く昇圧電圧Ustep−upの降下によって生じる低出力電圧Uoutput<Uthresholdは、昇圧変換器310及び/又はバイアス回路320の制御を決めるパラメーターとして利用できる。
【0058】
別のかかるパラメーターは出力電流Ioutputであり、それにより少なくとも一つの制御ユニット331、332は、出力電流Ioutputが電流閾値Ithresholdより高いか又は等しい時すなわちIoutput≧Ithresholdの時に、昇圧変換器310を停止させ、バイパス回路320を作動させる。ここで(下記の表1において)、出力電流Ioutputは、出力DCバス325における電流に相応し得るか或いは電動機電流Imotorに相応し得、電動機電流Imotorは電動機に供給されそして電動機においてすなわちインバーター305と電動機との間で測定される。電動機電流Imotorは、現代の動力工具においては普通それまでに測定される。従って、電動機電流Imotorを出力電流Ioutputパラメーターとして用いる際には複雑さを施す必要はほとんどない。というのは、このパラメーターは動力工具において今日すでに利用できるからである。
【0059】
電動機電流Imotorは工具によって発生されるトルクTに依存し、一方出力DCバス325における電流はインバーター305に供給される電力に依存するので、電動機電流Imotor及び出力DCバス325における電流は異なることができる。
【0060】
表1には、パラメーターの幾つかの例並びにこれらパラメーターの種々の値に基いて昇圧変換器の作動/非作動信号Sstep−up_on/off及び/又はバイアス回路の作動/非作動信号Sbypass_on/offの状態が示されている。
【0061】
下記の表1、表2及び表3並びに本明細書において、Sbypass_on/off=1は、バイパス回路320が作動されていること(Sbypass_on)を意味し、Sbypass_on/off=0は、バイパス回路320が作動されていないこと(Sbypass_off)を意味する。また、Sstep−up_on/off=1は、昇圧変換器310が作動されていること(Sstep−up_on)を意味し、Sstep−up_on/off=0は、昇圧変換器310が作動されていないこと(Sstep−up_off)を意味する。また、工具のトリガー信号は工具の電動機ユニット303の運転中には値1であり、工具の電動機ユニット303の停止中には値0である。従って、工具トリガー=0は、電動機ユニットがオフであることを意味し、工具トリガー=1は、電動機ユニットがオンすなわち作動状態にあることを意味する。
【0062】
【表1】
【0063】
表におけるUoutput及びIoutputの値は、出力DCバス325における電圧及び電流値に相当している。代わりに、Ioutputの値は、上記で説明したように、電動機電流Imotorに相当し得る。表1において見ることができるように、これらの値Uoutput及びIoutputの一つ以上は、例えば、工具のトリガーがオン状態にある際すなわち工具300が作動状態にある際に出力DCバス325における出力電圧Uoutputが予め設定した値Uthreshold以下に降下した時に、一つ以上の制御ユニット331、332をトリガーしてバイパス回路を作動させSbypass_on、そして昇圧変換器を非作動状態Sstep−up_offにさせる条件として用いられ得る。また、一つ以上の制御ユニット331、332は、工具のトリガーがオン状態にある際出力DCバス325における出力電流Ioutputが予め設定した値Ithresholdより高いか等しい時に、バイパス回路を作動Sbypass_onさせ、そして昇圧変換器を非作動状態Sstep−up_offにさせるように作動できる。
【0064】
別のかかるパラメーターは動力工具300で発生されるトルクT及び回転速度ωmotorであり、それらにより少なくとも一つの制御ユニット331、332は、電動機ユニット303の回転速度ωmotorと動力工具300によって発生されるトルクTとを掛けた値ωmotor×Tが速度及びトルクの閾値ωTthresholdより低いすなわちωmotor×T<ωTthresholdである場合に、昇圧変換器310を作動させ、バイアス回路320を非作動にさせる。
【0065】
パラメーターの種々の値に基いてこれらのパラメーターの例並びに昇圧変換器及び/又はバイパス回路を作動/非作動状態にする信号Sstep−up_on/off、Sbypass_on/offの条件は表2に示される。
【0066】
【表2】
【0067】
表2において、ωは工具の回転速度rad/sであり、またTは工具の発生するトルクNmである。
【0068】
表2で見ることができるように、ωmotor×Tのパラメーター値は、工具のトリガーがオン状態にある際にω×T≧ωTthresholdの時、すなわち工具300が作動される時にバイパス回路を作動させ、そしてSbypass_on、昇圧変換器を非作動にさせるSstep−up_offように一つ以上の制御ユニット331、332をトリガーする条件として用いることができる。また、一つ以上の制御ユニット331、332は、工具のトリガーがオン状態にある間にω×T<ωTthresholdの時に、バイパス回路を非作動にしSbypass_off、昇圧変換器を作動させるSstep−up_onようにトリガーすることができる。
【0069】
別のかかるパラメーターは出力DCバス325における出力電力(出力パワー)outputであり、それにより少なくとも一つの制御ユニット331、332は、電動機ユニット303によって発生される出力パワーPoutputが閾値Pthresholdより低い時、すなわちPoutput<Pthresholdの時に、昇圧変換器310を作動させ、バイパス回路320を非作動状態にさせる。
【0070】
パラメーターの種々の値に基いてこれらのパラメーターの例並びに昇圧変換器及び/又はバイパス回路を作動/非作動状態にする信号Sstep−up_on/off、Sbypass_on/offの条件は表3に示される。
【0071】
【表3】
【0072】
ここで、出力DCバス325における出力パワーPoutputは出力DCバス325においてPoutput=Ioutput×Uoutputとして計算できる。
【0073】
表3で見ることができるように、出力パワーPoutputのパラメーター値は、工具のトリガーがオン状態にある際にPoutput≧Pthresholdの時にバイパス回路を作動させSbypass_on、昇圧変換器を非作動にさせるSstep−up_offように一つ以上の制御ユニット331、332をトリガーする条件として用いることができる。また、一つ以上の制御ユニット331、332は、工具のトリガーがオン状態にある間にPoutput<Pthresholdの時に、バイパス回路を非作動にしSbypass_off、昇圧変換器を作動させるSstep−up_onようにトリガーすることができる。
【0074】
一実施形態によれば、少なくとも一つの制御ユニット331、332は、これらパラメーターの二つ以上、すなわち出力電圧Uoutput、出力電流Ioutput、回転速度ωmotor、トルクT及び出力パワーPoutputの二つ以上の組合せにおいて昇圧変換器の作動/非作動信号Sstep−up_on/off及びバイパス回路の作動/非作動信号Sbypass_on/offを決めることができる。
【0075】
図4には、本発明の可能な使用について説明する非限定例を概略的に示し、例えばナットの締付けを含む工具の使用に対応し得る。図5には、本発明の実施形態による相応した方法のフローシート線図を示す。
【0076】
本方法の第一のステップ501において、動力工具300は作動され、すなわち工具トリガーは値1をもつ。図4においてこれは時間軸に沿った位置“工具トリガー”において生じる。
【0077】
第二のステップ502において、昇圧変換器310は作動され、Sstep−up_on/off=1であり、またバイパス回路320は非作動状態にされ、Sbypass_on/off=0である。これにより工具の作動の第一段階が開始され、比較的高い昇圧電圧Ustep−upが出力DCバス325における出力電圧Uoutputとして電動機ユニット303に供給される(図4における曲線2)すなわちUoutput=Ustep−upである。その結果、電動機ユニット303の回転速度ωmotorは、電動機ユニット303に比較的高い昇圧電圧Ustep−upが入力される結果として、増大する(図4における曲線1)。また、出力電流Ioutput及び/又はトルクT(図4における曲線3)もわずかに増大する。従って、昇圧変換器の作動される第一の段階では、本発明により回転速度ωmotorの増大が達成され、このことは、締め付けるのにあまり高くないトルクを必要とする段階中にナットを素早く締め付けることができることを意味している。
【0078】
第三のステップ503において、作動の第二段階中バイパス回路320は作動され、Sbypass_on/off=1であり、また昇圧変換器310は非作動状態にされ、Sstep−up_on/off=0である。それによりバッテリー電圧Ubatteryは電動機ユニット303に出力電圧Uoutputとして供給され(図4における曲線2)、Uoutput=Ubatteryである。従って、電動機ユニット303の回転速度ωmotorは、電動機ユニット303に入力される低いバッテリー電圧Ubatteryの結果としてそしてまた必要とされる比較的高いトルクのためにナットの抵抗の増加により低減される(図4における曲線1)。また、出力電流Ioutput及び/又はトルクT(図4における曲線3)は増加される。従って、バイパス回路の作動される第二段階中に、締付けのために高いトルクTが要求される第二段階において本発明によりトルクの増大が達成される。
【0079】
本発明の別の実施形態によれば、動力工具300は、第一の作動段階中には高トルクTを発生し、そして第二の作動段階中には高回転速度ωmotorとなるようにされる。この実施形態は例えばナットを緩める場合に特に有用であり、ナットの緩め操作において、第一の実際の緩め段階では高トルクTが必要とされ、そしてナットがすでに緩められている際の第二の段階では高回転速度ωmotor及び低トルクTが要求される。この実施形態は、第一の作動段階中にバイパス回路320を作動し、Sbypass_on/off=1、そして昇圧変換器310を非作動状態にするSstep−up_on/off=0ことによって達成される。従って、バッテリー電圧Ubatteryは電動機ユニット303に出力電圧Uoutputとして供給され、それにより高トルクT及び低速度ωmotorが得られる。
【0080】
その後、第二段階中に、昇圧変換器310が作動され、Sstep−up_on/off=1となり、バイアス回路320が非作動状態にされ、Sbypass_on/off=0となり、それにより、高い昇圧電圧Ustep−upが電動機ユニット303に出力DCバス325における出力電圧Uoutputとして供給される。こうして、第二段階中に低トルクT及び高回転速度ωmotorが得られる。
【0081】
本発明の別の実施形態によれば、電動工具の回転速度の低下すなわち減速中にバイパス回路320は作動され、昇圧変換器310は非作動状態にされる。従って、電動機ユニット303の回転速度が急に低下している際には、電動機ユニット303はバッテリーユニット304に直接結合され、昇圧変換器310には結合されない。それにより、減速中に自由に設定される電動機ユニット303及びスピンドル/シャフト102の回転エネルギーは電気エネルギーに変換され得、そしてバッテリーユニット304を充電するのに利用され得る。例えば、バッテリーユニット304が一つ以上のスーパーコンデンサーを有する場合には、減速中に自由に得られた回転エネルギーから取り出される電気エネルギーはスーパーコンデンサーを充電するために用いられ得る。
【0082】
本発明による動力工具は、本発明の方法の全てのステップを実行するようにされ得る。本発明の方法の種々のステップは、任意の適当な順序で組み合わされ、実行され得る。
【0083】
本発明の方法は、コンピューターにおける動作時に、コンピューターに方法のステップを実行させるコード手段を備えたコンピュータープログラムによって実施され得る。コンピュータープログラムはコンピュータープログラム製品のコンピューターで読取り可能な媒体に含まれる。コンピューターで読取り可能な媒体は、本質的に、ROM(読取り専用メモリー)、PROM(プログラム可能な読取り専用メモリー)、EPROM(消去可能なPROM)、フラッシュメモリー、EEPROM(電気的に消去可能なPROM)或いはハードディスクドライブのような任意のメモリーから成り得る。
【0084】
本発明による動力工具及び方法は、上記の例示した実施形態と比較して、当業者によって変更され得る。
【0085】
当業者には明らかなように、上記の例示した実施形態において多数の他の手段、変更、変形及び/又は付加がなされ得る。本発明は、特許請求の範囲内にあるそのような全ての他の手段、変更、変形及び/又は付加を含むことが卦介されるべきである。
【符号の説明】
【0086】
200 動力工具
201 工具の本体
202 昇圧/バイパスモジュール
203 電動機ユニット
204 バッテリーユニット
300 動力工具
302 昇圧/バイパスモジュール
303 電動機ユニット
304 バッテリーユニット
305 インバーター
310 昇圧変換器
311 昇圧トランジスター
312 昇圧スイッチ
313 インダクター
314 出力コンデンサー
315 入力
316 電圧調整回路
317 PWM回路
320 バイパス回路
321 バイパススイッチ
322 増幅器
325 出力DCバス
331 制御ユニット
332 制御ユニット
501 第一のステップ
502 第二のステップ
503 第三のステップ
図1
図2
図3
図4
図5