(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356237
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】ガス充填方法、及びステーション
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20180702BHJP
H01M 8/0606 20160101ALI20180702BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20180702BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20180702BHJP
C01B 3/00 20060101ALN20180702BHJP
【FI】
F17C13/00 301A
H01M8/0606
H01M8/0612
H01M8/04 J
H01M8/04 Z
!C01B3/00 Z
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-524858(P2016-524858)
(86)(22)【出願日】2014年5月13日
(65)【公表番号】特表2016-530460(P2016-530460A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】FR2014051104
(87)【国際公開番号】WO2015004344
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2017年4月5日
(31)【優先権主張番号】1356806
(32)【優先日】2013年7月11日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】アリディエール、ローラン
【審査官】
宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−510352(JP,A)
【文献】
特開2002−071093(JP,A)
【文献】
特開2007−016975(JP,A)
【文献】
特開2011−208712(JP,A)
【文献】
特開2003−130291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00−13/12
H01M 8/04− 8/0668
C01B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填ステーション(100)の少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)を、加圧された水素ガスで充填する方法であって、
前記充填ステーション(100)は、前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)と、前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)に接続された流体回路(11,12,13,4、5、6)とを具備し、
前記充填ステーション(100)の前記流体回路(11,12,13,4、5、6)は、少なくとも1つの水素ガス源(14,15)からの水素ガスで前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)の充填を実行するための前記少なくとも1つの水素ガス源(14,15)に接続される第1の端部を備え、
前記流体回路(11,12,13,4、5、6)は、前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)からの所定の濃度閾値よりも低い濃度の少なくとも1種類の不純物を含んでいる水素ガスでタンク(8)を充填するために、前記タンク(8)に取り外し可能に接続されることが意図された搬送用パイプ(6)を備える、方法において、
この方法は、前記水素ガスの充填の間に、前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)内の前記水素ガス中の前記少なくとも1種類の不純物の現在の濃度を決定する工程(9,10)と、前記不純物の現在の濃度と、前記所定の濃度閾値とを比較して、前記少なくとも1種類の不純物の現在の濃度が、前記濃度閾値に達したときに、前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)の充填を停止する工程と、を具備していることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種類の不純物の現在の濃度を決定する工程(9,10)は、前記少なくとも1つの水素ガス源(14,15)中及び/又は前記充填ステーション(100)の前記流体回路中の不純物の濃度の少なくとも1つのセンサーによる測定(9)と、前記少なくとも1つのバッファーコンテナの充填の間に、前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)の中にリアルタイムで送られる水素ガスの量の決定(10)と、を有していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのバッファーコンテナの充填の間に、前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)の中にリアルタイムで送られる水素ガスの量の決定(10)は、前記流体回路(11,12,13,4、5、6)中の流量計による測定と、前記少なくとも1つのバッファーコンテナの充填の間の前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)内の圧力変動の測定と、の少なくとも一方を有していることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)に以前に充填していた間に決定された前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)内に残留している不純物の現在の濃度を記憶する工程を具備し、前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)内の水素ガス中の前記少なくとも1種類の不純物の現在の濃度を決定する工程(9,10)は、引き続いた充填の間に前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)に加えられた不純物の濃度に、以前の充填の間に決定された前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)内の不純物の残留濃度を加えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記充填ステーション(100)は、異なる圧力に加圧された水素ガスが充填されている複数のバッファーコンテナ(1,2,3)を有していることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のバッファーコンテナ(1,2,3)は、充填の後に、続いた均圧でタンク(8)を充填するように、圧力の増加とともに連続的に使用されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの水素ガス源(14,15)は、1.3 bar absと200 bar absとの間の圧力の基での水素ガスのネットワーク(14)と、水素を発生するための構成部品(15)と、の少なくとも一方を有していることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記水素を発生するための構成部品(15)は、電解槽と、天然ガスの改質(SMR)装置と、メタノールの熱分解装置と、自己熱改質(ATR)装置と、部分酸化(POX)装置と、のうちの少なくとも1つを有していることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種類の不純物は、一酸化炭素(CO)と、水(H2O)と、少なくとも1つの硫黄含有又はハロゲン化合物と、CO2と、窒素と、ヘリウムと、NH3と、少なくとも1種の炭化水素と、O2と、アルゴンと、のうちの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種類の不純物は、一酸化炭素(CO)であり、前記濃度閾値は、0.1 ppmと10 ppmとの間、好ましくは、0.1 ppmと0.3 ppmとの間であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載された方法。
【請求項11】
前記少なくとも一種の不純物は、水(H2O)であり、前記濃度閾値は、1 ppmと100 ppmとの間、好ましくは、3 ppmと7 ppmとの間であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記充填ステーション(100)は、前記バッファーコンテナ(1,2,3)又は前記タンク(8)に供給される水素ガスを圧縮するための少なくとも1つの圧縮部品(67,7)を有していることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
加圧された水素ガスを収容するように設けられた少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)と、複数の弁を備えた流体回路(11,12,13,4,5,6)と、充填ステーション(100)を制御するため、特に、少なくとも1つの弁を制御するための電子ロジックコントローラ(20)とを具備する加圧された水素ガスのタンクの充填ステーションであって、
前記流体回路(11,12,13,4,5,6)は、前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)に接続されており、少なくとも1つの水素ガス源(14,15)により供給される水素ガスでの前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)の充填を可能にするために、前記少なくとも1つの水素ガス源(14,15)に接続されることが意図された第1の端部を備え、
前記流体回路は、前記すくなくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)からの、所定の濃度閾値よりも低い濃度の少なくとも1種類の不純物を含んでいる水素ガスで、タンク(8)を満たすために、前記タンク(8)に取り外し可能に接続されることが意図された充填用パイプ(6)を備える第2の端部を備える、充填ステーションにおいて、
前記充填ステーションは、前記少なくとも1つのバッファーコンテナの充填の間に、前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)内の水素ガス中の少なくとも1種類の不純物の現在の濃度を決定するための少なくとも1つの構成部品(9.10)を具備し、
前記電子ロジックコントローラ(20)は、
前記決定するための構成部品(9,10)により決定された不純物の現在の濃度を受け、及び/又は計算し、
前記不純物の現在の濃度と、所定の濃度閾値とを比較して、前記少なくとも1種類の不純物の前記現在の濃度が、前記濃度閾値に達したときに、前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)の充填を停止する、
ように適合されていることを特徴とする、充填ステーション。
【請求項14】
前記少なくとも1つのバッファーコンテナを決定するための構成部品(9,10)は、前記少なくとも1つの水素ガス源(14,15)中、及び/又は充填ステーション(100)の前記流体回路中の不純物の濃度のための少なくとも1つのセンサーと、前記少なくとも1つのバッファーコンテナの充填の間に、前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)の中にリアルタイムで送られる水素ガスの量の決定するための少なくとも1つの構成部品(10)とを有していることを特徴とする、請求項13に記載も充填ステーション。
【請求項15】
前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)の中に送られる水素ガスの量の決定するための構成部品は、前記流体回路(11,12,13,4、5、6)に配置された流量計(10)と、前記少なくとも1つのバッファーコンテナ(1,2,3)内の圧力を測定するためのセンサーと、の少なくとも一方を有していることを特徴とする、請求項14に記載の充填ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、充填方法、及びステーションに関している。
特に、本願発明は、少なくとも1つのバッファーコンテナと少なくとも1つのバッファーコンテナに接続された流体回路とを備えた充填ステーションの前記少なくとも1つのバッファーコンテナを、加圧された水素ガスで充填する方法に関している。前記充填ステーションの回路は、少なくとも1つの水素ガス源に、水素ガス源から供給されたガスで、前記少なくとも1つのバッファーコンテナの充填を果たすように、前記少なくとも1つの水素ガス源に接続される第1の端部と、タンクに、前記少なくとも1つのバッファーコンテナから前記タンクを満たすように、着脱可能に接続される搬送パイプを備えている第2の端部とを有している。
【背景技術】
【0002】
車両の(水素)ガスのタンクの迅速(即ち、代表的には15分未満)な充填は、一般的には、続いた均圧(pressure equalization)のもとでなされる。即ち、増加した高圧(例えば、200,300,450、又は850 bar)でガスを貯蔵している複数のバッファーコンテナは、充填されるタンクと流体接続するように、連続して配置される。
【0003】
このような方法は、多くの文献に記載されている。例えば、本願発明が適用される充填ステーションを開示している文献FR2919375A1、FR2973858A1、及び、FR2919375A1が、参考として挙げられる。
【0004】
車両のタンクの水素は、一般には、燃料電池に供給するために、与えられている。(特に"PEMFC"タイプの)燃料電池は、高純度の水素ガスが、供給される必要がある。実際に、多くの文献は、燃料電池の性能及び寿命において、水素中の不純物(例えば、化学種、水、CO
2、H
2S)のマイナスの効果を記載している。
【0005】
厳しい規格が、タンクに吐出される水素が、電池に被害を与えないことを確実にするために規定されている(例えば、ISO14687−2)。
【0006】
既知の比較的安価な製造方法により得られる工業用ガスの規格は、上述された純度を果たさせることは、できない。燃料電池での要求を常時満たすことが可能な水素の純度を補償するためには、充填ステーションの上流に、工業的に生産された水素ガスを純化するための工程を加える必要があることが、一般的に知られている。しかし、このような純化の工程(例えば、極低温で動作する吸着床の上での純化パラジウム膜を使用する純化)は、高価である。
【0007】
かくして、燃料電池の仕様に従った水素の純度を補償するために、充填ステーションで液体水素を供給する解決策が知られている。この水素は、これの温度(20K(−253.15℃)のオーダ)が全ての不純物を固体状に凝結させるので、高純度であると特定されている。他の解決策は、極低温で動作する吸着純化装置を使用する水素の純化である。又、他の解決策は、触媒床上での脱酸素と吸着剤上での乾燥との工程が続く、電解槽から直接に発生する水素を使用することである。
【0008】
上記解決策は、又、一般的に、多大な更なるコスト(工業的に製造される水素のコストに対して40%乃至100%の追加のコスト)がかかる。
【0009】
他の知られた解決策は、ガスの純度を点検するために、充填ステーションのコンプレッサーの上流に設置されるガス分析器の使用である。コンプレッサーにより供給されるガス中の不純物が、閾値を超えると、入口(少なくとも1つのコンプレッサーの弁)が閉じられて、コンプレッサーの運転が停止される。かくして、充填ステーションは、低下モード(運用自律性を維持するために、充填キャパシティが、徐々に減じられる)となる。かくして、コンプレッサーの再始動は、多くの場合、手動操作となり、その場にオペレータがいる必要がある。更に、ステーションに、外部の又は分散化された発生器からなるガス源からガスが供給されると、不純物を含んだ水素(例えば、仕様に従っていない)が、水素製造パラメータでの自動的又は手動の動作による名目上の純度に、システムが回復させることを可能にするためにように、空気中に射出される。これは、エネルギーの消耗を高めている。
【発明の概要】
【0010】
本願発明の目的は、従来技術の上述された欠点の全て又は幾つかを緩和することである。
この目的のために、本願発明に係わる方法は、更に、上記上位概念で与えられている基本的な限定に従えば、基本的には、水素ガスの充填の間に、バッファーコンテナ内の前記水素ガス中の前記少なくとも1種類の不純物の
現在の濃度を決定する工程と、前記不純物の
現在の濃度と、所定の濃度閾値とを比較して、少なくとも1種類の不純物の前記
現在の濃度が、前記濃度閾値に達したときに、前記バッファーコンテナの充填を停止する工程と、を有していることを特徴としている。
【0011】
更に、本願発明の幾つかの実施の形態は、以下の構成の1又は複数を有し得る。
・前記少なくとも1種類の不純物の
現在の濃度を決定する工程は、前記少なくとも1つの水素ガス源中及び/又は充填ステーションの前記流体回路中の不純物の濃度の少なくとも1つのセンサーによる測定と、バッファーコンテナの充填の間に、バッファーコンテナの中にリアルタイムで送られる水素ガスの量の決定とを有している、
・バッファーコンテナの充填の間に、バッファーコンテナの中にリアルタイムで送られる水素ガスの量の決定は、流体回路中の流量計による測定と、バッファーコンテナの充填の間のバッファーコンテナ内の圧力変動の測定と、の少なくとも一方を有している、
・この方法は、予め決定された
現在の濃度を記憶する工程を有し、前記少なくとも1種類の不純物の
現在の濃度を決定する工程は、
以前の充填の間に決定されけたバッファーコンテナ内の不純物の残留濃度を考慮した充填の間に、前記バッファーコンテナ内の前記水素ガス中の前記少なくとも1種類の不純物の
現在の濃度を決定する工程である、
・前記充填ステーションは、異なる圧力に加圧された水素ガスが充填されている複数のバッファーコンテナを有している、
・前記バッファーコンテナは、充填の後に、続いて均圧でタンクを充填するように
圧力の増加とともに連続的に使用される、
・前記少なくとも1つの水素ガス源は、1.3 bar absと200 bar absとの間の圧力の基での水素のネットワークと、水素を発生するための構成部品との少なくとも一方を有している、
・前記水素を発生するための構成部品は、電解槽と、天然ガスの改質装置と、メタノールの熱分解装置と、自己熱改質装置と、部分酸化装置とのうちの少なくとも1つを有している、
・前記少なくとも1種類の不純物は、一酸化炭素と、水と、少なくとも1つの硫黄含有又はハロゲン化合物と、CO2と、窒素と、ヘリウムと、NH3と、少なくとも1種の炭化水素と、O2と、アルゴンとのうちの少なくとも1つである、
・前記少なくとも1種類の不純物は、一酸化炭素であり、又、前記濃度閾値は、0.1 ppmと10 ppmとの間、好ましくは、0.1 ppmと0.3 ppmとの間である、
・前記少なくとも一種の不純物は、水であり、又、前記濃度閾値は、1 ppmと100 ppmとの間、好ましくは、3 ppmと7 ppmとの間である、
・前記充填ステーションは、前記バッファーコンテナ又はタンクに供給される水素ガスを圧縮するための少なくとも1つの圧縮部品を有している、
・閾値でのレベルでの不純物の
現在の濃度によるバッファーコンテナの充填の停止の後に、この方法は、他のバッファーコンテナを充填する、換言すれば、源から供給されるガスの送りは、同じ処置に従って他のバッファーコンテナに切り替えられる、工程を具備している、
・閾値でのレベルでの不純物の
現在の濃度によるバッファーコンテナの充填の停止の後に、同じバッファーコンテナの充填は、再び供給される源からのガス中の不純物の濃度が、
バッファーコンテナの中の不純物の濃度よりも低くなったときにのみ再開される、
・この方法は、必要であれば、バッファーコンテナの充填の前に
現在の濃度の決定の利用を待つために、バッファーコンテナへのガスの供給の前に、少なくとも1つの源により供給されたガスの一次的な中間の貯蔵の工程を有している、
・前記充填ステーションの回路は、必要で有れば、不純物の濃度を決定するための部品から入手可能な情報に、バッファーコンテナの充填を同期させるために、少なくとも1つの源と少なくとも1つのバッファーコンテナとの間に配置された中間のガス貯蔵部を有している、
・前記中間の貯蔵部は、
現在の濃度を決定するための部品と、
現在の濃度を決定するためのこの部品に近接した弁との間に配置されている、
・前記充電ステーションは、タンク及び/又はバッファーコンテナに供給されるガスと熱交換する少なくとも1つの冷却交換器を有している、
・電子ロジックコントローラは、データを取得して処理するためのシステムを有している、
・電子ロジックコントローラは、各充填でのアップデートにより、少なくとも1つのバッファーコンテナ内の少なくとも1種類の不純物の
現在の濃度を記憶
するデータメモリを有している。
【0012】
本願発明は、加圧された水素ガスを収容するように設けられた少なくとも1つのバッファーコンテナと、複数の弁を備えた流体回路と、充填ステーションを制御するため、特に、少なくとも1つの弁を制御するための電子ロジックコントローラとを具備し、前記流体回路は、前記少なくとも1つのバッファーコンテナに接続されており、少なくとも1つの水素ガス源により供給される水素ガスでの前記少なくとも1つの前記バッファーコンテナの充填を可能にするように、前記少なくとも1つの水素ガス源に接続される第1の端部と、前記少なくとも1つのバッファーコンテナからの、所定の濃度閾値よりも低い濃度の少なくとも1種類の不純物を含んでいる水素ガスで、タンクを満たすように、前記タンクに取り外し可能に接続される充填用パイプを備えている第2の端部とを有する、加圧された水素ガスのタンクの充填ステーションであって、
バッファーコンテナの充填の間に、バッファーコンテナ内の水素ガス中の少なくとも1種類の不純物の
現在の濃度を決定するための少なくとも1つの構成部品を具備し、また、前記電子ロジックコントローラは、
前記決定するための構成部品により決定された不純物の
現在の濃度を受け、及び/又は計算し、
前記不純物の
現在の濃度と、所定の濃度閾値とを比較して、少なくとも1種類の不純物の前記
現在の濃度が、前記濃度閾値に達したときに、前記バッファーコンテナの充填を停止するように、
適合されている。
【0013】
他の可能な特定の態様に係われば、
・前記バッファーコンテナを決定するための構成部品は、前記少なくとも1つの水素ガス源中及び/又は充填ステーションの前記流体回路中の不純物の濃度のための少なくとも1つのセンサーと、バッファーコンテナの充填の間に、バッファーコンテナの中にリアルタイムで送られる水素ガスの量の決定するための少なくとも1つの構成部品とを有している、
・前記バッファーコンテナの中に送られる水素ガスの量の決定するための構成部品は、流体回路に配置された流量計と、バッファーコンテナ内の圧力を測定するためのセンサーと、の少なくとも一方を有している。
【0014】
本願発明は、又、上記又は下記の態様の如何なる組合せを有している異なる装置又は方法に関している。
【0015】
他の特定の態様と効果とは、以下の図を参照した以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本願発明の1つの可能な例としての実施の形態に係わる充填ステーションの構成と動作とを示している概略的な部分図である。
【
図2】
図2は、他の可能な実施の形態に係わる、
図1からのステーションの詳細な概略的な部分図である。
【
図3】
図3は、本願発明の概略的な動作の原理を示している概略的な部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
限定されない例により表わされている充填ステーション100は、高圧(例えば、300と850 barとの圧力)で水素ガスのタンク8を充填をするように設けられたステーションである。
【0018】
一般的に充填ステーション100は、幾つか(限定されない例では3つ)のバッファーコンテナ1,2,3を有している。
各バッファーコンテナ1,2,3は、所定の圧力に加圧された水素ガスを収容するために設けられている。ステーション100は、複数のパイプと弁とを備えている流体回路11,12,13,4,5,6を有している。これら
流体回路11,12,13,4,5,6は、前記バッファーコンテナ1,2,3に接続されている。又、
流体回路は、少なくとも1つの水素ガス源14,15に、これら
水素ガス源14,15から供給されるガスでバッファーコンテナを充填するために、接続される第1の端部4,5を有している。
【0019】
前記水素
ガス源14及び/又は15は、1.3 bar absと200 bar absとの間の圧力の水素ガスのネットワーク14と、電解槽、天然ガスの改質(SMR)装置、メタノールの熱分解装置、自己熱改質(ATR)装置、部分酸化(POX)装置、等のような水素を製造するための構成要素15との少なくとも1つを、通常有している。
【0020】
前記
流体回路11,12,13,4,5,6は、充填されるタンク8に取り外し可能に接続される(適切なコネクター66を介して)少なくとも1つの充填用パイプ6を備えている第2の端部を有している。
尚、前記バッファーコンテナ1,2,3は、夫々の弁11,12,13を介して前記充填用パイプ6に並列に接続されている。
同様に、1つ、2つ、又は2つよりも多くの
水素ガス源14,15は、それぞれの弁24,25を介して前記充填用パイプに並列に接続され得る。
【0021】
前記充填用パイプ6は、前記コネクター66の上流に、1つ、又は、この例で示されているように2つのコンプレッサー67,7を有している。これら2つのコンプレッサー67,7は、直列に配置され得、各々が、夫々の上流側の弁16,26と下流側の弁17,27とを備えている。図示されているように、下流側のコンプレッサー7(コネクター66側)をバイパスするためのバイパス用パイプ18が、設けられ得る。このバイパス用パイプ18は、2つの弁19,119を有し得、又、前記バッファーコンテナ1,2,3を充填用パイプ6に接続する収集パイプであり得る。又、このバイパス用パイプ18は。前記コンプレッサー67及び/又は7を介するバッファーコンテナ1,2,3の充填を可能にしている。
【0022】
更に、点線で示されているように、バッファータンク21が、
水素ガス源からの
水素ガスをこれの圧縮前に貯蔵するために、充填用パイプ6と共に、オプションとして設けられ得る。最後に、既知の方法で、そして概略的に示されているように、タンク8に送られるガスを冷却するための冷却システム22(熱交換器等)が、この回路に、例えば、充填用のパイプ6の下流側の部分に、オプションとして設けられ得る。
【0023】
既知の方法で、アーキテクチャーが、1又は複数の水素
ガス源14,15により供給された
水素ガスを圧縮することによる所定の圧力でバッファータンク1,2,3を充填することを可能にしている。かくして、これらバッファーコンテナ1,2,3は、「カスケード充填」によりタンク8を充填するのに
使用され得る。必要であれば、少なくとも1つのコンプレッサー67,7は、これらの圧力均等化相(pressure equalization phases)を補完又は完成させ得る(参照は、例えば、前に引用した文献に記載されている)。
【0024】
この
充填ステーション100は、充填ステーションを制御するための電子ロジックコントローラ20を有し得る。この電子ロジックコントローラ20は、
流体回路の少なくとも1つの弁、例えば、コンプレッサー67,7にガスが入るためのガス入口弁、及び/又は、コンプレッサー67,7のスイッチを、特に制御し得る。電子ロジックコントローラ20は、記憶とコン
ピュータ機能とを奏するマイクロプロセッサーと、必要であれば、
インターフェイスとを、例えば有している。
【0025】
効果的な特定の態様に係われば、ステーション100は、バッファーコンテナ1,2,3に充填されている水素中の少なくとも1種類の不純物の
現在の濃度(current concentration)を決定することが可能である。即ち、バッファーコンテナ1.2,3内の不純物の濃度は、これらコンテナへの充填の間、連続して測定及び/又は計算される。更に、不純物の濃度が、所定の閾値(例えば、下流側での使用(充填されるタンク8から燃料電池への供給)により許容される最大仕様)に達したときに、バッファーコンテナ1,2,3の充填は、停止される。このようにして、この充填ステーション100は、設定された水素の純度を補償することができる。
【0026】
かくして、本願発明は、バッファーコンテナ1,2,3により許容された不純物の希釈による効果を得ることを可能にしている。このために、コンプレッサー67,7のシャットダウン及び/又は弁の閉成及び/又はバッファーコンテナの充填の停止は、バッファーコンテナ1.2,3の中に導入された不純物の総量が、タンク8の中の許容可能な不純物のレベル(仕様の外)に導くであろう閾値を超えたときにのみ、なされる。
【0027】
このような解決策は、一瞬での所定量の不純物ガスの吸収を可能にしている。実際、一般的に、
水素ガス源14,15により与えられる水素の不純物は、上流での製造手段の瞬間的な悪影響となる。
【0028】
即ち、水素は、かくして、独立し、急増した(surges)不純物を含んでいる。水素の製造又は純化のための工業上ノプロセスは、全て、水素の純度を自動的に制御して、水素を仕様通りに戻すための手段を有している。例えば、PSAによる純化の場合には、これは、等しい流量の基での、吸収剤製造時間を減縮することにより、なされる。
【0029】
本願発明は、下流でタンク8に供給される水素の純度の仕様を問題にしないで、又、水素の無駄を減じるか無くしながら、時々生じる不純物を吸収することが可能である。
【0030】
少なくとも1種類の不純物の
現在の濃度を決定することは、不純物の濃度のための少なくとも1つのセンサー9による測定によりなされ得る。例えば、前記センサーは、ガスのサンプル中の化学種(不純物)の濃度を測定するガスアナライザーを有している。
図1に示されているように、少なくとも1つのセンサーは、参照符号9により示され、水素
ガス源14,15及び/又は充填ステーション100の流体回路内に、コンプレッサー67,7の上流に配置され得る。センサー10(例えば、流量計)が、バッファーコンテナの充填の間に、バッファーコンテナ1、2、3の中へリアルタイムで送られるガスの量を測定するために、
また、設けられ得る。
【0031】
かくして、不純物の濃度と、供給されるガスの量とは、充填ステーション100の入口の所で連続して測定され得る。かくして、不純物の濃度は、バッファーコンテナの中に導入されるガス中の不純物の濃度と、バッファーコンテナの中に、又、導入されるガスの量とから計算され得る。この濃度は、源により測定又は得られ得る。ガスの質は、通常のプロセス(特に、流量計)により測定され得る。代わって、又は、組み合わせて、前記濃度は、バッファーコンテナ内で直接に測定され得る(少なくとも1つのセンサーやアナライザーによって)。
【0032】
前記流量センサー10と、対応して近接した弁24(別に、25)との間での、回路の第1の端部のパイプ4(別に、5)の部分は、濃度センサー9とこれに近接した弁24,2
5との間のガスの存続時間が、濃度センサー9の応答時間よりも長くなるように、所定の容積を有するようにサイズが設定されている。
【0033】
図2を参照して以下に説明されるように、代わって、又は、組み合わされて、前記存続時間は、流量センサー9,10と、これらに近接し、下流に位置した弁24(代わって、25)との間に配設され、加圧される貯蔵部23によって、又、得られ得る。
【0034】
例えば、時間”t”の関数としての不純物の濃度”q”は、式q
ki(t)に係われば、k=1,2,3、…で示されたk回の充填の各々のためと、k=1,2,3、…で示されたk個のバッファーコンテナの各々のためと、に計算され又は測定され得る。
【0035】
この濃度q
ki(t)は、例えば、ガスの仕様での不純物の最大含有量である閾値q
maxよりも大きくてはならない。(
図3は、濃度が閾値q
maxに達したときに、”Y”で示されるように、充填は中断され”F”、そうでないと、”N”で示されるように充填は続けられる、ことを示している)。
【0036】
前記濃度qは、各充填kと各タンクkに対して記憶される。また、不純物の濃度は、バッファーコンテナ1内の圧力Pが、これの最大閾値PMAXに達したとき(又は、充填が、他の理由により予め中断されている場合)に、特に、充填工程の終わりで計算される。
【0037】
バッファーコンテナ1の各充填工程kに対して、不純物の量q
ki(t)(例えば、ppmで)が、以下の式に従って計算され得る。
【0039】
即ち、予め知られた、又は計算された不純物の残留量(左側の項)は、不純物の
現在の量(右側の項に従った不純物の含有量と圧縮流量との積分値)に加えられる。
【0040】
ここで、tは、充填工程の時間を示し、FT(x)は、センサー10により測定された、もしくは計算されたガスの質量又は分子流量であり、そして、AT(x)は、瞬間tでの不純物の質量又は分子濃度である。
【0041】
前記質量流量FT(x)は、
図1に示されているように流量計10により、好ましくは、測定される。ガスの流量は、勿論、コンプレッサー67,7の入口側又は出口側で測定され得る。
【0042】
勿論、この質量流量は、代わって、以下の式に従って、コンテナ1,2,3内の圧力の増加を測定することにより(バッファーコンテナ内又はこれの入口での圧力を測定することにより)、計算され得る。
【0044】
ここで、PとTとは、i番目のバッファーコンテナ内の圧力と温度(測定されるか見積もられる)とであり、Zは、圧力Pでの水素の圧縮率であり、Rは、理想気体定数であり、そして、xは、時間である。
【0045】
このような形態で、i番目(i=1,2、又は3)のバッファーコンテナの充填は、量q
ki(t)≧q
max(仕様外のガス)のときか、バッファーコンテナi内の圧力が、最大の許容動作圧力(バッファーコンテナの満杯)に達したときには、圧力P=PMAXで停止され得る。
【0046】
かくして、ステーション100は、次のバッファーコンテナi+1に切り替えて、同様の方法に従って、このコンテナを充填する。
【0047】
続いた充填サイクルk+1の間、バッファーコンテナiの充填は、バッファーコンテナi内の圧力が、最大の動作圧力以下で。かつAY<q
maxの読み、即ち、源14,15により供給されている水素が、バッファーコンテナをクリーン(clean up)にできるようにするために再び良質となっているとき(即ち、バッファーコンテナ内の汚染物質の濃度が低いとき)、にのみ再開し得る。
【0048】
かくして、前記充填ステーション100は、バッファーコンテナ1.2,3内での、源14,15のときどきの不純物の希釈を計算して管理可能である。
【0049】
かくして、ステーション100のシャットダウンは、ステーション100の入口の所でのガスの純度の基準でする必要がなく、バッファーコンテナ1,2,3内のガスの純度(これは、測定且つ計算される)の基準でなされる。
【0050】
予想される少なくとも1種の不純物は、例えば、一酸化炭素(CO)と、水(H
2O)と、少なくとも1つの硫黄含有又はハロゲン化合物と、CO
2と、窒素と、ヘリウムと、NH
3と、炭化水素と、O
2と、アルゴンとのうちの少なくとも1つであり得る。
【0051】
一般的に、如何なる測定可能な不純物も、考慮し得、又、各不純物の最大閾値は、下流(ガスの使用者側)で、純度の関数として選定又は変更され得る。
【0052】
例えば、想定される1種類の不純物は、一酸化炭素(CO)であり得、又、前記濃度閾値は、0.1 ppmと10 ppmとの間、好ましくは、0.1 ppmと0.3 ppmとの間、例えば、0.2 ppmであり得る。H
2O(水)の不純物の場合には、前記濃度閾値は、1 ppmと100 ppmとの間、好ましくは、3 ppmと7 ppmとの間、例えば、5ppmであり得る。
【0053】
図1に示されているように、計算する工程、記憶する工程、及び、充填を制御する工程の全て又は幾つかが、電子ロジックコントローラ20によりなされ得る。この目的のために、このロジックコントローラ20は、充填ステーション100の構成部品に接続(オプションではワイヤレスで)され得る。
【0054】
勿論、本願発明は、上述された例示的な実施の形態に限定されるものではない。例えば、又、
図2に示されているように、不純物の濃度の計算は、センサー9,10とコンプレッサー67との間に配置された低圧ガスの貯蔵部23でなされ得る。前述された部品と同じ部品は、同じ符号が付され、再度記載されていない。
【0055】
上述されたように、これは、少なくとも1つのセンサー9,10の解析時間とバッファーコンテナ1,2,3中へのガスの導入との間のタイムラグを避けるために、バッファーコンテナ1、2、3を充填する前に、ガスを貯蔵することを可能にし得る。
【0056】
かくして、本願発明は、純度の特性が連続的に一定ではない、1又は複数の水素
ガス源を
使用することが、高価な事前の純化システムを必要と
せず、
しかも、
充填ステーションのタイムリーではないシャットダウンの必要性も無く、可能である
ことが容易に理解されよう。
【0057】
水素ガス源により供給される水素のコストが、これの純度の関数として変動する場合には、本願発明に係わるステーションは、低コストで貯蔵できるようにしている。