(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356243
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】ポリシリコン製造装置
(51)【国際特許分類】
C01B 33/035 20060101AFI20180702BHJP
C23C 16/24 20060101ALI20180702BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
C01B33/035
C23C16/24
C23C16/44 Z
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-533122(P2016-533122)
(86)(22)【出願日】2014年11月19日
(65)【公表番号】特表2017-501301(P2017-501301A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】KR2014011142
(87)【国際公開番号】WO2015076564
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2016年5月20日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0141533
(32)【優先日】2013年11月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501014658
【氏名又は名称】ハンワ ケミカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】キュ・ハク・パク
(72)【発明者】
【氏名】スン・ウン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジャ・スン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヒ・ドン・イ
【審査官】
塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/116990(WO,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0104041(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00−33/193
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と反応器カバーを含む反応チャンバーと、
絶縁部材を媒介として前記基板に貫通設置され、電源に連結される少なくとも一対の電極と、
電極チャックにより前記一対の電極のそれぞれに結合し、上端が互いに連結される少なくとも一対のフィラメントと、
前記基板上で前記一対の電極のそれぞれの上面と側面を囲む電極カバー、および前記電極カバーの上面を覆うカバーシールドを備えたカバー組立体と、
を含み、
前記カバーシールドは、黒鉛を含む炭素系物質で形成されるポリシリコン製造装置。
【請求項2】
前記電極は、前記電極チャックにかみ合わさる突出部を上面に形成し、
前記電極カバーは、前記突出部を収容する開口部を形成し、前記電極の上面の上に配置される水平カバーと、水平カバーの周縁で水平カバーと垂直に連結される垂直カバーとを含む、請求項1に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項3】
前記水平カバーと前記垂直カバーは、個別交換が可能な分離型で構成される、請求項2に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項4】
前記電極カバーは、溶融シリカ(fused silica、SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、マグネシア(MgO)、およびムライト(3Al2O3・2SiO2)からなる群より選択されたいずれか一つを含む、請求項2に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項5】
前記カバーシールドは、前記突出部を収容する開口部を形成し、前記水平カバーより大きい直径を有する円板形状で形成される、請求項2に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項6】
前記カバーシールドは、前記突出部を収容する開口部を形成し、前記水平カバーの上面を覆う第1シールドと、第1シールドの周縁と連結され、前記垂直カバーの外面を覆う第2シールドとを含む、請求項2に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項7】
前記第1シールドと前記第2シールドは、個別交換が可能な分離型で構成される、請求項6に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項8】
前記カバーシールドは、ポリシリコンの製造後に新品に交換されるか、またはポリシリコン蒸着に影響を与えない限度内で反復使用される、請求項1に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項9】
基板と反応器カバーを含む反応チャンバーと、
絶縁部材を媒介として前記基板に貫通設置され、電源に連結される少なくとも一対の電極と、
電極チャックにより前記一対の電極のそれぞれに結合し、上端が互いに連結される少なくとも一対のフィラメントと、
前記基板上で前記電極の上面と側面を囲む電極カバーと、
を含み、
前記電極チャックは、前記電極カバーの上面を覆う下側端部を含み、
前記電極チャックは、黒鉛を含む炭素系物質で形成されるポリシリコン製造装置。
【請求項10】
前記電極は、前記電極チャックにかみ合わさる突出部を上面に形成し、
前記電極カバーは、前記突出部を収容する開口部を形成し、前記電極の上面の上に配置される水平カバーと、水平カバーの周縁で水平カバーと垂直に連結される垂直カバーとを含む、請求項9に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項11】
前記水平カバーと前記垂直カバーは、個別交換が可能な分離型で構成される、請求項10に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項12】
前記電極カバーは、溶融シリカ(fused silica、SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、マグネシア(MgO)、およびムライト(3Al2O3・2SiO2)からなる群より選択されたいずれか一つを含む、請求項10に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項13】
前記電極チャックは、前記フィラメントの端部を固定させるチャックパートと、チャックパートの下に連結されるシールドパートとを含み、
前記シールドパートの直径は、前記チャックパートの最大直径より大きく、前記電極カバーの直径と同一であるかまたはこれより大きい、請求項10乃至12のいずれか一項に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項14】
前記シールドパートの周縁で前記シールドパートと垂直に連結され、前記垂直カバーの外面を覆う補助シールドをさらに含む、請求項13に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項15】
前記補助シールドは、黒鉛を含む炭素系物質で形成され、
前記補助シールドは、前記シールドパートに着脱可能な方式で組み立てられる、請求項14に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項16】
前記電極チャックは、前記フィラメントを固定させる上側端部と、上側端部と前記下側端部を連結する単一傾斜の側面とを含み、
前記下側端部の直径は、前記電極カバーの直径と同一であるかまたはこれより大きい、請求項10乃至12のいずれか一項に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項17】
前記下側端部の周縁で前記下側端部と垂直に連結され、前記垂直カバーの外面を覆う補助シールドをさらに含む、請求項16に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項18】
前記補助シールドは、黒鉛を含む炭素系物質で形成され、
前記補助シールドは、前記下側端部に着脱可能な方式で組み立てられる、請求項17に記載のポリシリコン製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリシリコン製造装置に関し、より詳しくは、電極カバーを備えたポリシリコン製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリシリコン(polysiliconまたはpolycrystalline silicon)は、半導体産業と太陽光発電産業などで基礎原料として使用される成分である。このようなポリシリコンの製造方法のうち、化学気相蒸着(chemical vapor deposition、CVD)反応器を用いたシーメンス(Simens)析出法が知られている。
【0003】
シーメンス析出法によるポリシリコン製造装置は、基板上に結合された反応器カバーと、基板に貫通設置される少なくとも一対の電極と、電極チャックによりそれぞれの電極に結合するフィラメントと、一対のフィラメントの上端を連結する連結ロッドとを含む。一対の電極は、電源と連結され、絶縁素材のブッシング(bushing)とスペースリングにより基板と絶縁される。
【0004】
電源から供給された電力は、電極、電極チャック、フィラメント、および連結ロッドを通って再びフィラメント、電極チャック、および電極を通じて電源に行くようになる。このような電力印加時、シリコン素材のフィラメントが1,000℃以上の温度で抵抗発熱を起こし、高圧条件で60〜80時間程度シラン系原料ガスと水素を注入すればフィラメント表面にシリコンが多結晶の形態で析出される。
【0005】
この過程で電極を水冷(water cooling)などの方法で冷却しているが、電極チャックと接する電極の上部温度は800℃以上に上昇するようになる。したがって、電極の上部表面とスペースリングにシリコンが蒸着されて電極と基板の絶縁特性が低下する。また、フィラメントの下部では電極を通じた熱損失が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、電極とスペースリングにシリコンが蒸着されないようにすることによって、電極と基板の絶縁特性を維持し、電極を通じたフィラメントの熱損失を抑制し、メインテナンス費用を低めることができるポリシリコン製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るポリシリコン製造装置は、基板と反応器カバーを含む反応チャンバーと、絶縁部材を媒介として基板に貫通設置され、電源に連結される少なくとも一対の電極と、電極チャックにより一対の電極のそれぞれに結合し、上端が互いに連結される少なくとも一対のフィラメントと、基板上で一対の電極のそれぞれの上面と側面を囲む電極カバー、および電極カバーの上面を覆うカバーシールドを備えたカバー組立体と、を含む。
【0008】
電極は、電極チャックにかみ合わさる突出部を上面に形成することができる。電極カバーは、突出部を収容する開口部を形成し、電極の上面の上に配置される水平カバーと、水平カバーの周縁で水平カバーと垂直に連結される垂直カバーとを含むことができる。
【0009】
水平カバーと垂直カバーは、個別交換が可能な分離型で構成されてもよい。電極カバーは、溶融シリカ(fused silica、SiO
2)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、アルミナ(Al
2O
3)、ジルコニア(ZrO
2)、マグネシア(MgO)、およびムライト(3Al
2O
3・2SiO
2)からなる群より選択されたいずれか一つを含むことができる。
【0010】
カバーシールドは、突出部を収容する開口部を形成し、水平カバーより大きい直径を有する円板形状で形成されてもよい。
【0011】
また、カバーシールドは、突出部を収容する開口部を形成し、水平カバーの上面を覆う第1シールドと、第1シールドの周縁と連結され、垂直カバーの外面を覆う第2シールドとを含むことができる。第1シールドと第2シールドは、個別交換が可能な分離型で構成されてもよい。
【0012】
カバーシールドは、黒鉛を含む炭素系物質で形成されてもよい。カバーシールドは、ポリシリコンの製造後に新品に交換されるか、またはポリシリコン蒸着に影響を与えない限度内で反復使用されてもよい。
【0013】
本発明の他の一実施形態に係るポリシリコン製造装置は、基板と反応器カバーを含む反応チャンバーと、絶縁部材を媒介として基板に貫通設置され、電源に連結される少なくとも一対の電極と、電極チャックにより一対の電極のそれぞれに結合し、上端が互いに連結される少なくとも一対のフィラメントと、基板上で電極の上面と側面を囲む電極カバーと、を含み、電極チャックは、電極カバーの上面を覆う下側端部を含む。
【0014】
電極は、電極チャックにかみ合わさる突出部を上面に形成することができる。電極カバーは、突出部を収容する開口部を形成し、電極の上面の上に配置される水平カバーと、水平カバーの周縁で水平カバーと垂直に連結される垂直カバーとを含むことができる。
【0015】
水平カバーと垂直カバーは、個別交換が可能な分離型で構成されてもよい。電極カバーは、溶融シリカ(fused silica、SiO
2)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、アルミナ(Al
2O
3)、ジルコニア(ZrO
2)、マグネシア(MgO)、およびムライト(3Al
2O
3・2SiO
2)からなる群より選択されたいずれか一つを含むことができる。
【0016】
電極チャックは、フィラメントの端部を固定させるチャックパートと、チャックパートの下に連結されるシールドパートとを含むことができる。シールドパートの直径は、チャックパートの最大直径より大きく形成されてもよく、電極カバーの直径と同一であるかまたはこれより大きく形成されてもよい。
【0017】
ポリシリコン製造装置は、補助シールドをさらに含むことができる。補助シールドは、シールドパートの周縁でシールドパートと垂直に連結され、垂直カバーの外面を覆うことができる。電極チャックと補助シールドは、黒鉛を含む炭素系物質で形成されてもよく、補助シールドは、シールドパートに着脱可能な方式で組み立てられてもよい。
【0018】
また、電極チャックは、フィラメントを固定させる上側端部と、上側端部と下側端部を連結する単一傾斜の側面とを含むことができる。下側端部の直径は、電極カバーの直径と同一であるかまたはこれより大きく形成されてもよい。
【0019】
ポリシリコン製造装置は、補助シールドをさらに含むことができる。補助シールドは、下側端部の周縁で下側端部と垂直に連結され、垂直カバーの外面を覆うことができる。電極チャックと補助シールドは、黒鉛を含む炭素系物質で形成されてもよく、補助シールドは、下側端部に着脱可能な方式で組み立てられてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施形態によれば、電極カバーによりポリシリコン製造過程で電極とスペースリング表面にポリシリコンが蒸着されないため、電極と基板の絶縁特性を高く維持することができる。そして、カバーシールドまたは電極チャックの下側端部が電極カバーの上面を覆って電極カバーの洗浄作業を省略することができるため、ポリシリコン製造装置のメインテナンス費用を大幅に低めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るポリシリコン製造装置の断面図である。
【
図2】
図1に示したポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【
図3】
図2に示したカバー組立体の分解斜視図である。
【
図4】本発明の第2実施形態によるポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【
図6】本発明の第4実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【
図7】本発明の第4実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【
図8】本発明の第5実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【
図9】本発明の第5実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【
図10】本発明の第6実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【
図11】本発明の第6実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【
図12】本発明の第7実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【
図13】本発明の第7実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係るポリシリコン製造装置の断面図であり、
図2は、
図1に示したポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【0024】
図1と
図2を参照すると、ポリシリコン製造装置100は、発熱可能なシリコンフィラメントが備えられた化学気相蒸着(CVD)反応器からなる。具体的に、ポリシリコン製造装置100は、反応チャンバー10、少なくとも一対の電極20、少なくとも一対のフィラメント30、および複数のカバー組立体40を含む。
【0025】
反応チャンバー10は、基板11(またはベースプレート)と、基板11上に設置される反応器カバー12から構成される。反応器カバー12は、鐘(bell)形状であってもよく、内部に冷却流体が流れる二重壁構造からになってもよい。反応器カバー12は、図示されていないガス密閉型フランジにより基板11上に組立設置される。
【0026】
基板11には、ガス流入口13とガス排出口14が形成される。ガス流入口13を通じて反応チャンバー10内部にシラン系原料ガス(例えば、トリクロロシラン(trichlorosilane、SiHCl
3)が流入し、CVD反応を経たガスはガス排出口14を通じて反応チャンバー10外部に排出される。また、基板11には、電極20設置のための複数の開口部が形成される。
【0027】
基板11と電極20は全て金属で製作されるため、電極20は絶縁部材50を媒介として基板11に貫通設置されて基板11と絶縁状態を維持する。絶縁部材50は、ブッシング(bushing)51とスペースリング(space ring)52で構成されてもよい。
【0028】
ブッシング51は、基板11の開口部で電極20を囲む円筒形リングであり、4フッ化エチレン樹脂のような耐熱樹脂で形成されてもよい。スペースリング52は、基板11上で電極20を囲む円筒形リングであり、セラミックで形成されてもよい。ブッシング51とスペースリング52は、それぞれ基板11の面方向および基板11の厚さ方向に沿って電極20と基板11を分離絶縁させる。
【0029】
電極20は、スペースリング52の上にフランジ21を形成したT字形断面を有することができ、電極20上面に電極チャック60とかみ合わさるための突出部22を形成することができる。電極チャック60は、フィラメント30の端部を固定させ、電極20の突出部22に結合してフィラメント30を電極20に固定させる機能を果たす。電極チャック60は、黒鉛のような導電材質で形成され、電極20とフィラメント30を電気的に連結させる。
【0030】
一対のフィラメント30が一対の電極20のそれぞれに設置される。一対のフィラメント30は、反応チャンバー10内部で基板11に垂直に位置し、上端に固定された連結ロッド31により電気的に連結される。フィラメント30と連結ロッド31はシリコンで形成される。一対のフィラメント30と一つの連結ロッド31から構成された1セットのロッドフィラメント35は、反応チャンバー10内に複数個が備えられる。
【0031】
図1では2セットのロッドフィラメント35を例に挙げて示したが、実際の反応チャンバー10内部にはこれより多数のロッドフィラメント35が位置する。
【0032】
一対の電極20は、電源29に連結され、1セットのロッドフィラメント35が一つの電気回路を形成する。したがって、電極20を通じてフィラメント30に電流を流せばフィラメント30と連結ロッド31は1000℃以上の高温で抵抗発熱し、高圧条件で60時間以上シラン系原料ガスと水素を注入すれば発熱されたフィラメント30と連結ロッド31表面にシリコンが多結晶の形態で析出される。つまり、フィラメント30と連結ロッド31表面にポリシリコンが形成される。
【0033】
電極20は、水冷(water cooling)などの方法で冷却されてポリシリコン製造過程でフィラメント30より低い温度を維持する。そのために電極20内部に冷却水が循環するチャンネル(図示せず)が形成されてもよい。
【0034】
カバー組立体40は、複数の電極20のそれぞれに設置されてポリシリコン製造過程で電極20を覆って保護する。カバー組立体40は、基板11と電極チャック60の間に位置し、電極チャック60の下の電極20を反応チャンバー10の内部空間から隔離させる。
【0035】
図3は、
図2に示したカバー組立体の分解斜視図である。
図2と
図3を参照すると、カバー組立体40は、基板11上で電極20の上面と側面を囲む電極カバー41と、電極カバー41の上面を覆うカバーシールド45から構成される。
【0036】
電極カバー41は、突出部22を収容する開口部411を形成し、電極20の上面の上に配置される水平カバー42と、水平カバー42の周縁で水平カバー42と垂直に連結され、電極20のフランジ21とスペースリング52を囲む円筒形状の垂直カバー43で構成されてもよい。
【0037】
水平カバー42は、電極20の上面と接したり一定の距離を維持することができ、垂直カバー43は、電極20のフランジ21およびスペースリング52と一定の距離を維持する。電極カバー41が電極20と一定の距離を維持する場合、熱伝導率を低めることができる。
【0038】
水平カバー42と垂直カバー43は、一体形で構成されてもよく、分離型で構成されてもよい。分離型の場合、水平カバー42と垂直カバー43は着脱可能な方式で組み立てられ、ポリシリコン製造装置100の補修過程で個別交換が可能である。
図2と
図3では分離型電極カバー41を例に挙げて示した。
【0039】
電極カバー41は、絶縁体で形成されて基板11および電極20のすべてと絶縁状態を維持する。電極カバー41は、絶縁特性に優れ、ポリシリコンの純度に影響を与えず、反応チャンバー10内部の高温(約1000℃乃至1200℃)で安定し、加工が容易でなければならない。
【0040】
このような事項を考慮する時、電極カバー41は、溶融シリカ(fused silica、SiO
2)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、アルミナ(Al
2O
3)、ジルコニア(ZrO
2)、マグネシア(MgO)、およびムライト(3Al
2O
3・2SiO
2)のうちのいずれか一つを含むことができる。
【0041】
電極カバー41によりポリシリコン製造過程で電極20とスペースリング52表面にポリシリコンが蒸着されないため、電極20と基板11の絶縁特性を高く維持することができる。また、従来、電極20の再使用のために電極20に付着されたポリシリコンを除去する処理過程(ポリシリコンエッチング過程)を省略することができ、処理過程で電極20が損傷する問題も防止することができる。
【0042】
カバーシールド45は、電極カバー41の上に配置されて電極カバー41の上面を覆う。カバーシールド45は、突出部22が収容される開口部451を形成し、電極カバー41より大きい直径を有する円板形状で形成されてもよい。
【0043】
絶縁特性と高温安定性が高い前述の素材で製造される電極カバー41は、比較的に高価の部品であり、周辺温度により電極カバー41表面にポリシリコンが蒸着されると、使用後に電極カバー41を洗浄する過程が必要となる。つまり、電極カバー41は、消耗性部品でなく、再使用可能な部品であるが、再使用のためには毎度洗浄作業が要求され、洗浄による費用が発生する。
【0044】
カバーシールド45は、電極カバー41より安価であり、ポリシリコン純度に影響を与えない物質で形成される。例えば、カバーシールド45は、黒鉛を含む炭素系物質で形成されてもよい。カバーシールド45が電極カバー41の上で電極カバー41より大きい直径の円板形状で形成されることによって、電極カバー41の代わりにカバーシールド45表面にポリシリコンが蒸着される。
【0045】
カバーシールド45は、消耗性部品であり、使用後に新たなカバーシールド45に代替されたり、ポリシリコン蒸着に影響を与えない限り、複数回使用が可能である。このようなカバーシールド45により電極カバー41の洗浄作業を省略することができるため、ポリシリコン製造装置100のメインテナンス費用を大幅に低めることができる。
【0046】
図4は、本発明の第2実施形態によるポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【0047】
図4を参照すると、第2実施形態のポリシリコン製造装置は、カバーシールド45aが第1シールド46と第2シールド47で構成されることを除いては、前述した第1実施形態と同一の構成からなる。第1実施形態と同一の部材については同一の図面符号を使用する。
【0048】
第1シールド46は、突出部22を収容する開口部を形成し、水平カバー42の上面を覆う。第2シールド47は、第1シールド46の周縁で第1シールド46と垂直に連結され、垂直カバー43の外面を覆う。第1シールド46と第2シールド47は、一体形で構成されてもよい。
【0049】
第2シールド47は、基板11と通電しないように基板11と距離をおいて位置し、ポリシリコンが蒸着される可能性が高い垂直カバー43の上部を覆う。
【0050】
図5は、本発明の第3実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【0051】
図5を参照すると、第3実施形態のポリシリコン製造装置は、第1シールド46と第2シールド47が分離型で構成されることを除いては、前述した第2実施形態と同一の構成からなる。第2実施形態と同一の部材については同一の図面符号を使用する。
【0052】
第1シールド46と第2シールド47は、着脱可能な方式で組み立てられ、カバーシールド45bは使用後に個別交換が可能である。ポリシリコン製造過程で第2シールド47より第1シールド46の表面にポリシリコンがさらに多く蒸着されてもよく、この場合、カバーシールド45bの使用後に第1シールド46のみを新しいものに交換して第2シールド47に組み立てることができる。
【0053】
図6と
図7は、本発明の第4実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【0054】
図6と
図7を参照すると、第4実施形態のポリシリコン製造装置は、別途のカバーシールドなしに電極チャック60aが電極カバー41の上面を覆う構造で形成されたことを除いては、前述した第1実施形態と同一の構成からなる。第1実施形態と同一の部材については同一の図面符号を使用する。
【0055】
電極チャック60aは、電極カバー41の上面を覆う下側端部61を含む。つまり、電極チャック60aの下側端部61は、電極カバー41と同一であるかまたはこれより大きい直径で形成されて電極カバー41の上面を覆う。第4実施形態で電極チャック60aは、フィラメント30の端部を固定させるチャックパート62と、チャックパート62の下に連結され、電極カバー41の上面を覆うシールドパート63とを含む。
【0056】
シールドパート63は、チャックパート62の最大直径より大きい直径で形成され、電極カバー41と同一であるかまたはこれより大きい直径で形成されて電極カバー41の上面を覆う。
図6ではシールドパート63の直径が電極カバー41の直径と同一である場合を示し、
図7ではシールドパート63の直径が電極カバー41の直径より大きい場合を示した。
【0057】
電極チャック60aは、通常、黒鉛を含む炭素系物質で形成され、消耗性部品であって、ポリシリコン製造装置100の使用後に新品に交換されるか、またはポリシリコン蒸着に影響を与えない限り複数回使用される。したがって、カバーシールドを別途の部品で製作せずに電極チャック60aにシールドパート63を一体で形成することができる。第4実施形態の構成は、前述した第1実施形態乃至第3実施形態に比べてカバーシールドを別途に製作する煩わしさを避けることができる。
図8と
図9は、本発明の第5実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【0058】
図8と
図9を参照すると、第5実施形態のポリシリコン製造装置は、補助シールド70をさらに含むことを除いては、前述した第4実施形態と同一の構成からなる。第4実施形態と同一の部材については同一の図面符号を使用する。
【0059】
補助シールド70は、電極チャック60bのシールドパート63周縁でシールドパート63と垂直に連結され、垂直カバー43の外面を覆う。補助シールド70は、シールドパート63に着脱可能な方式で組み立てられてもよく、この場合、補助シールド70の個別交換が可能である。補助シールド70は、電極チャック60bと同一の黒鉛で形成される。
【0060】
補助シールド70は、基板11と通電しないように基板11と距離をおいて位置し、ポリシリコンが蒸着される可能性が高い垂直カバー43の上部を覆う。
【0061】
図10と
図11は、本発明の第6実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【0062】
図10と
図11を参照すると、第6実施形態のポリシリコン製造装置は、チャックパートとシールドパートの区分なしに電極チャック60cが単一傾斜の側面を有することを除いては、前述した第4実施形態と同一の構成からなる。第4実施形態と同一の部材については同一の図面符号を使用する。
【0063】
電極チャック60cは、フィラメント30を固定させる上側端部64と、電極20の突出部22に結合し、電極カバー41の上面を覆う下側端部61と、上側端部64と下側端部61を連結する単一傾斜の側面65とを含む。下側端部61は、上側端部64より大きい直径で形成され、電極カバー41の直径と同一であるかまたはこれより大きい直径で形成されて電極カバー41の上面を覆う。
【0064】
電極チャック60cは、円錐の一部を除去した形状で形成され、単純な外形を有することによって加工を容易にすることができる。
図10では電極チャック60cの下側端部61直径が電極カバー41の直径と同一な場合を示し、
図11では電極チャック60cの下側端部61直径が電極カバー41の直径より大きい場合を示した。
【0065】
図12と
図13は、本発明の第7実施形態に係るポリシリコン製造装置の部分拡大図である。
【0066】
図12と
図13を参照すると、第7実施形態のポリシリコン製造装置は、補助シールド70をさらに含むことを除いては、前述した第6実施形態と同一の構成からなる。第6実施形態と同一の部材については同一の図面符号を使用する。
【0067】
補助シールド70は、電極チャック60dの下側端部61周縁で電極チャック60dと垂直に連結され、垂直カバー43の外面を覆う。補助シールド70は、電極チャック60dに着脱可能な方式で組み立てられてもよく、この場合、補助シールド70の個別交換が可能である。補助シールド70は、電極チャック60dのような黒鉛で形成される。
【0068】
補助シールド70は、基板11と通電しないように基板11と距離をおいて位置し、ポリシリコンが蒸着される可能性の高い垂直カバー43の上部を覆う。
【0069】
前述した実施形態によれば、電極カバー41によりポリシリコン製造過程で電極20とスペースリング52表面にポリシリコンが蒸着されないため、電極20と基板11の絶縁特性を高く維持することができる。そして、カバーシールド45、45a、45bまたは電極チャック60a、60b、60c、60dの下側端部が電極カバー41の上面を覆って電極カバー41の洗浄作業を省略することができるため、ポリシリコン製造装置100のメインテナンス費用を大幅に低めることができる。
【0070】
以上で、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。
【符号の説明】
【0071】
100…ポリシリコン製造装置
10…反応チャンバー
11…基板
12…反応器カバー
20…電極
30…フィラメント
40…カバー組立体
41…電極カバー
45、45a、45b…カバーシールド
51…ブッシング
52…スペースリング
60a、60b、60c、60d…電極チャック