特許第6356258号(P6356258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6356258湿り度インジケータを有する使い捨て吸収性物品の湿度安定性パッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356258
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】湿り度インジケータを有する使い捨て吸収性物品の湿度安定性パッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/62 20060101AFI20180702BHJP
   B65D 85/07 20170101ALI20180702BHJP
   A61F 13/42 20060101ALI20180702BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   B65D75/62 A
   B65D85/16
   A61F13/42 B
   A61F13/42 F
   B65D33/00 C
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-555728(P2016-555728)
(86)(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公表番号】特表2017-512717(P2017-512717A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】US2015021697
(87)【国際公開番号】WO2015143291
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2016年9月5日
(31)【優先権主張番号】61/955,973
(32)【優先日】2014年3月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ラビータ、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム、ウィンフィールド、チーズマン
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/056430(WO,A1)
【文献】 特開昭54−160476(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/176078(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00 −79/02
B65D 81/18 −81/30
B65D 81/38
A61F 13/15 −13/84
A61L 15/16 −15/64
B65D 30/00 −33/38
B65D 85/00 −85/28
B65D 85/575
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ(10)であって、
それぞれが、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コアとを備える、複数の使い捨て吸収性物品(20)と、
前記複数の使い捨て吸収性物品を収容する外側ラップ(11)であって、前記外側ラップが厚さを有するフィルムから形成され、かつポリマー樹脂から形成された少なくとも1つの層を含む、外側ラップ(11)と、を含み、
前記パッケージは、前記少なくとも1つの層が、前記厚さを完全にではないが部分的に貫通し、かつ前記フィルム内にこの経路に沿った引裂伝播が容易になる脆弱な経路を画定する、切り込み経路(15)を有し、
前記フィルムが、それぞれ異なるポリマー樹脂から形成され、又は異なるブレンドのポリマー樹脂から形成されている2つ以上の層(11a、11b)を備え、前記切り込みが、前記層の全部よりも少ない層を貫通し、
前記異なるポリマー樹脂又は異なるブレンドのポリマー樹脂が、それぞれ、異なる融点を有し、
最も内側の層が、1つ以上の他の層よりも低い融点を有する、
ことを特徴とする、パッケージ。
【請求項2】
前記使い捨て吸収性物品が、超吸収性ポリマーの粒子を備える吸収性コアを有する、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記使い捨て吸収性物品が、有効量の水性流体により作動された際、第1の外観から第2の外観に外観を変化させるように適合された湿り度インジケータを含む、請求項1又は2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記使い捨て吸収性物品が、有効量の水性流体により作動された際、可聴、触覚、又は電子信号を提供するように適合された湿り度センサを含む、請求項1又は2に記載のパッケージ。
【請求項5】
最も内側の前記フィルムが、主としてポリエチレンから形成されている層を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項6】
最も外側の前記フィルムが、主としてポリプロピレンから形成されている層を有する、請求項5に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記切り込みが、前記層のうちの1つのみを完全に貫通する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記切り込みが、前記フィルムの外側表面上に配置されている、請求項7に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記複数の使い捨て吸収性物品が、前記パッケージ内に積み重ねで存在し、前記積み重ねが、積み重ねの方向に沿って圧縮されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記パッケージが、6つのほぼ矩形の面を有する、ほぼ矩形の直方体形態を有し、前記フィルムが、各面上に最大張力の方向を有し、各面に関する前記最大張力の方向が、そのような面の辺に直交する又は平行であり、前記切り込み経路の一部分が、前記面のうちの少なくとも1つの上に存在し、かつ経路線に沿って位置し、前記経路線と前記面のうちの少なくとも1つの上の前記最大張力の方向との交差により形成される角度が、45°未満である、請求項9に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記切り込みが、レーザーにより形成される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記使い捨て吸収性物品が、使い捨ておむつ又は使い捨て吸収性パンツである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項13】
外側層の下の層は、15N/cm以下の引張強度を有する、請求項8に記載のパッケージ。
【請求項14】
前記フィルムにおける切り込み深度は、前記フィルムの全厚の10%以上である請求項1又は請求項8に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
使い捨ておむつの多数の製造業者は、湿り度インジケータを有する種々の変形物を提供している。湿り度インジケータは、おむつが濡れたときに、ケア提供者が気づくことができる外観の可視的変化、又は他の認知可能な信号などの信号を提供する、例えば、化学的活性デバイス及び/又は材料を含んでもよい。そのような信号を提供することにより、ケア提供者は着用者がおむつ内に排尿したことに気づかされる場合があり、これは交換の必要を示す場合がある。これにより、ケア提供者が自らの手でおむつの湿り度を点検しそして感じる必要性が低減又は排除される場合がある。
【0002】
おむつ及びトレーニングパンツ、失禁パンツ及び女性用衛生パッドなどの使い捨て吸収性物品の多数の製造業者は、しばしば超吸収性ポリマーとしても知られる吸収性ゲル化材料の粒子を含む吸収性コアを有する種々の変形物を提供している。そのような粒子は水分子を誘引及び捕捉し、一般に、それらの重量の多数倍の水を吸収する能力を有する。
【0003】
使い捨て吸収性物品は、多くの場合、ポリマーフィルムで形成された袋又はパッケージ内で積み重ねで販売されている。フィルムは、一般に、1つ以上の圧縮された積み重ねの物品の周りを包み、継ぎ目に沿ってそれ自体に溶着又は接着されて、閉鎖された袋又はパッケージを形成している。フィルム及びパッケージは、圧縮されていることが多い物品の1つ以上の積み重ねを収容することと、破れて開くことなく輸送及び取り扱いに耐えることの両方のために十分頑丈である必要があるため、パッケージは一般に、開口補助が提供されない限り、消費者による開放も困難であるよう十分に頑丈である。
【0004】
現在では、開口補助は一般に、パッケージを形成するフィルムを通して型抜きされた穿孔の線又は他の経路の形態で提供されている。穿孔の線又は他の経路は、消費者が引裂を開始し、かつこれに沿って伝播させ、そしてパッケージ内への開口部を形成し、必要時にこの開口部を通して物品を引き出すことを可能にする。
【0005】
しかしながら、そのような穿孔は、フィルムがパッケージ内への水分の進入を防ぎ又は阻害する能力を損なう。比較的高温及び高湿度の地域では、穿孔を通した水分の進入はより多い。パッケージ内の物品が湿り度インジケータを含む場合、穿孔を通して水分が進入することが使用前に湿り度インジケータを反応させるのに十分である場合があり、また湿った感触を与え、又は別様に未使用おむつの供給物を様々な方法で悪化させる場合がある。このことは、湿り度インジケータの有用性と未使用物品の品質とに負の影響を与える場合があり、ひいては製品に対する消費者の認知に負の影響を与える場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、湿り度インジケータを有する物品、並びに空気から水分を吸収する傾向がある材料を有する物品を包装する方法を改善することは、その製造業者に競争上の優位性を与えるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】使い捨ておむつのパッケージの一実施例の正面図である。
図2図1に示したおむつのパッケージの側面図である。
図3】切り込み経路を支持するフィルムの一部分の概略断面図である。
図4】切り込み経路を支持するフィルムの一部分の概略断面図である。
図5】切り込み経路を支持するフィルムの一部分の概略断面図である。
図6】パッケージ面のフィルム内の引張の方向を示す、パッケージの概略斜視図である。
図7】切り込み経路を有するフィルムの試料の平面図である。
図8】使い捨ておむつのパッケージの別の実施例の正面図である。
図9図8に示すおむつのパッケージの側面図である。
図10】使い捨ておむつのパッケージの別の実施例の正面図である。
図11図10に示すおむつのパッケージの側面図である。
図12】本明細書に記載する切り込み深度測定方法に従って形成された、高さ画像の断面画像の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書の目的のために、以下の用語又は表現は、説明される意味を有する。
「切り込み経路」は、フィルムの一表面を通した及び一表面に沿ったチャネルであって、連続であっても又は不連続であってもよく、以前にチャネル内の空間を占めていたフィルム材料を除去又は移動することにより形成され、フィルムをz方向に完全には貫通しない、チャネルを意味する。
【0009】
「z方向」は、広げられ及び平らに展開された際に、フィルムの表面、又はその表面の一部分により画定されるx−y面に直交することを意味する。
【0010】
吸収性物品に関連して、「横方向」は、腰部縁部に略平行な方向を指し、「長手方向」は、腰部縁部に略直交する方向を指す。
【0011】
超吸収性ポリマーの粒子を含む吸収性コアを有する、使い捨ておむつ、トレーニングパンツ、女性用衛生パッド及び成人失禁パンツなどの使い捨て吸収性物品は、長年既知であり、そして販売されている。例えば、米国特許第4,551,191号を参照されたい。超吸収性粒子の粒子を含む物品は、米国南部又は熱帯領域などの高湿度の環境内で保管されたとき、様々な形態の劣化を受け易い場合があることが認識されている。この状況に対処する様々な試みが行われている。例えば、米国特許第8,632,518号、同第6,359,049号、及び同第6,124,391号を参照されたい。しかしながら、記載されている方法は、物品の製造に、材料及び/又は加工工程、並びにコストを追加する必要がある。
【0012】
有効量の水性流体(尿など)が接触した際にその外観を変化させるように構成された湿り度インジケータを有する、使い捨ておむつなどの使い捨て吸収性物品も、長年既知であり、そして販売されている。その実施例が、国際特許出願公開第91/16871号、米国特許第5,342,861号及び同第7,520,873号、米国特許出願公開第2002/0007162号、並びに欧州特許第1 242 027 B1号及び同第1 330 272 B1号に記載されている。湿り度センサは、高湿度環境内で、空中を浮遊する水分子の誘引及び取り込みの結果として、時期尚早に作動しやすく、又は効果が低下する傾向がある場合があることが認識されている。したがって、より最近になって、水性液体と接触した際の効果を維持する一方で、水蒸気に対する暴露に比較的耐性を有する湿り度センサを設計する試みが行われている。例えば、米国特許第7,159,532、並びに米国特許出願公開第2010/0262100号、同第2010/0262099号、同第2011/0137274号、及び同第2010/026369号を参照されたい。しかしながら、そのような設計は、ある環境においては、製造と、使い捨ておむつへの組み込みとが許容できないほど高価である場合があり、又は湿り度インジケータの色変化速度若しくは動態を制限する場合がある。このことは、耐湿性と、湿潤した後の色変化の速さとの一方又は他方を妥協する必要性を課す可能性がある。
【0013】
新しく製造された使い捨て吸収性物品を、販売前の輸送、取り扱い及び保管中に汚れ、埃及び水分から保護するために、また経済目的のために、物品は、一般に、ポリマーフィルムで形成されたパッケージ内に収容された、圧縮された積み重ねにて包装される。このパッケージは、1つ、2つ又はそれ以上の圧縮積み重ねを含み、合計で少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90又はそれ以上の個々のおむつを収容する場合がある。販売前に破れて開くことなく、物品の圧縮された積み重ねによりパッケージの壁に対して付与される外向きの力と、出荷及び取り扱い中にパッケージが受ける様々な力及び衝撃とに耐えるために、このようなパッケージの形成に使用されるフィルムは、一般に、好適な厚さ、延性及び引張強度を所有するという点で十分頑丈なように選択される。経済目的のために、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンなどの安価なポリマーが好ましい場合がある。ポリエチレンは特に好ましい場合があり、これは、ポリエチレンが伝統的に低い樹脂コストと、比較的低い融点(比較的低いエネルギーコストで加工するのに重要)と、容易な加工可能性との好適な組み合わせを有し、所望の延性及び引張強度、ひいては引裂抵抗を有するフィルムを形成するためである。
【0014】
しかしながら、パッケージ完全性のための好適な厚さと組み合わせたこの引裂抵抗は、消費者が開放して内部のおむつに到達することが不必要に困難である場合があるパッケージを提供する。この問題に対する、度々使用される解決法は、フィルム内に穿孔の経路を提供し、この経路において、消費者が穿孔の経路に沿ってフィルム内に引裂を強制的に開始及び伝播させて、パッケージ内に開口部を形成することができるようにすることであった。
【0015】
しかしながら、そのような穿孔はパッケージフィルムを完全に貫通するため、水蒸気がパッケージ内に進入する可能性がある。比較的高温及び高湿度の環境(例えば、保管のための空調が存在しない場合がある亜熱帯及び熱帯の地理的領域)では、内部の物品の品質を損なうのに十分な量の水分がパッケージ内に進入する可能性がある。その種類の製品がその領域に送達される時間と、最終的な小売の時間との間保管される場合がある一般的な期間は、ある状況下では最高24ヶ月、又は更には最高36ヶ月になる場合があると考えられる。比較的高温及び高湿度内でのそのような期間中、超吸収性ポリマーの粒子を含む吸収性コアを有する物品は、穿孔を通して進入する湿った空気から水を吸収し、湿った感触を帯び、集塊若しくは凝集し、又は退色する可能性がある。そのような条件下での物品中の湿り度インジケータ又はセンサは、部分的に又は完全にインジケータを反応させ、それらを部分的に又は完全に役に立たないものとするのに十分な量の水を湿った空気から吸収する可能性がある。これらの条件のいずれか又は両方は、消費者にとって概して望ましくなく、製品に低い評価をもたらす可能性がある。
【0016】
図1及び図2を参照すると、吸収性物品20のパッケージ10は、フィルムから形成された外側ラップ11を有する場合がある。外側ラップはフローラッププロセスにて形成されてもよく、吸収性物品20の1つ以上の積み重ねが、このプロセスで形成され、圧縮され、フィルムストックと共にフロー包装機(図示せず)に搬送されてもよく、これが積み重ねの周りをフィルムで包んで、角部にてタック状の折り畳み部12を形成し、継ぎ目13、14に沿ってフィルムを溶着し、過剰なフィルム材料を切り落としてもよい。吸収性物品の1つ以上の積み重ねを、一方向、例えばDT1に沿って圧縮してもよい。図1に示す実施例では、物品20は使い捨ておむつ又はパンツであってもよく、これらを製造後、それらの横方向軸線を中心として半分に折り畳んだ後、図1に示唆する様式で積み重ねてもよい。積み重ねは、輸送及び保管中の体積の経済性の目的で、包装前及び包装中に積み重ねの方向に沿って圧縮されてもよい。フィルム材料が経済的に使用される(即ち、パッケージの全体積が、少なくとも積み重ね方向に平行な寸法に沿って実質的に充填される)場合、包装後、パッケージを形成しているフィルム10は、少なくとも積み重ねの方向に平行な方向、例えば、図1の方向DT1に沿った張力下にあることになる。
【0017】
穿孔の経路を提供してパッケージを開放するための機構を提供する代わりに、製造業者はフィルム内に切り込みの経路15を提供することができる。切り込みは、フィルムのz方向の厚さよりも小さい任意の好適な深度でフィルムに貫入してもよい(即ち、フィルムは完全に貫通されていない)。材料内を経路15に沿ってきれいな引裂を開始及び伝播させて、パッケージ10内に開口部を形成することの容易さは、一部は、フィルムのz方向の厚さtに対する切り込み深度に依存することが理解されるであろう。同時に、フィルム厚さに対して切り込み深度が大きすぎる場合、小売前に、経路15に沿った意図的ではない、時期尚早の断裂及び引裂を受けることなく、輸送及び取り扱い中の力及び衝撃に耐えるに十分な強度を、切り込み経路におけるフィルムが有しない可能性がある。かくして、切り込み深度の選択においては、フィルム材料、又はフィルム材料の異なる層の組成及び厚さに依存して、引裂の容易さと、パッケージの頑丈さとの間で適切なバランスを見出すことが望ましい場合がある。
【0018】
切り込み経路の1つの形成方法は、切り込みプロセスにて十分に制御されたダイを使用して、所望の深度までのみフィルムに貫入することを含んでもよい。ダイは、フィルム上に押し付けられた際にフィルムの材料を可塑的に変形、分離及び/又は移動するように構成されたu形状又はv形状の断面プロファイルを有してもよい。一実施例では、切り込みチャネルを形成するための材料の塑性変形及び移動を容易にするように、ダイを加熱してもよい。
【0019】
切り込み経路を形成する別の方法は、フロー包装前に、フィルムストック内の所望の経路に沿って材料を移動又は除去(燃焼、気化、若しくは融解、又はこれらの組み合わせ)するように好適に出力され、調整され、制御され、かつ案内されるレーザー光のビームの使用を含んでもよい。フィルムのレーザー切り込みは、食品包装産業にて使用されており、適切なレーザー光生成及び案内装置が利用可能である。好適なレーザー切り込み及び制御装置は、例えば、LasX Industries,Inc.(米国ミネソタ州St.Paul)から入手可能である。
【0020】
レーザービームの波長及び出力は、フィルム材料に所望の深度まで貫入するよう選択及び調整されてもよい。特定の環境下では、レーザーは、実質的に他のタイプの材料を通して切り込むことなく、一タイプの材料を通して切り込むよう選択及び/又は調整されてもよい。したがって、一実施例では、パッケージ10を形成するために2つ以上の層を有するフィルムが選択されてもよく、レーザー光源は、層の1つを通して切り込むが、いかなる実質的な程度にも他の層(1つ又は複数)を通して切り込まないよう選択及び/又は調整されてもよい。好適なレーザー切り込み装置は、例えばLasX Industries,Inc.(米国ミネソタ州St.Paul)から入手可能である。
【0021】
図4及び図5を参照すると、多層フィルム11は、レーザー切り込み経路を有するパッケージ10の形成に使用されるよう選択されてもよい。多層フィルム11は、例えば、第1のポリマー(又は第1のポリマーブレンド)から形成された外側層11aと、第2のポリマー(又は第2のポリマーブレンド)から形成された内側層11bとを有してもよい。別の代替例では、多層フィルムは、第1のポリマー(又は第1のポリマーブレンド)から形成された外側層11aと、第2のポリマー(又は第2のポリマーブレンド)から形成された1つ以上の中間層11cと、第1のポリマー(又はブレンド)又は第3のポリマー(又はそれらのポリマーブレンド)から形成された内側層11bとを有してもよい。(本明細書で使用するとき、用語「外側層」及び「内側層」は、完成したパッケージの内部と外部に関連した層の位置付けを指し、したがって、「内側層」は、収容されている製品に面し、「外側層」は、外部に面し、消費者が見ることができる。)フロー包装機類を使用して、フィルムをそれ自体に溶着又は融合させる熱の適用によってフィルムストックをそれ自体に連結する任意の継ぎ目13を形成する場合、内側層は、外側層及び/又は中間層(1つ又は複数)の形成に使用されるポリマー(1つ又は複数)(又はポリマーブレンド(1つ又は複数))よりも低い融点を有するポリマー(又はブレンド)から形成されることが望ましい場合がある。このことは、熱エネルギーが適用されて内側層がそれ自体に溶着又は融合するのに十分であるが、他の層の不必要な又は過剰な融解及び変形を生じるのに十分ではない程度に内側層を加熱することを可能にする。外側層、内側層及びいずれかの中間層は、共形成(例えば、共押出による)されてもよく、又は別の実施例では、別々に形成された後、それらの形成後に1つ以上の好適な積層接着剤の使用によって、互いに積層されてもよい。後者の実施例の場合、積層前に層の1つの側の上に印刷されてもよいという利点が提供される。その後、印刷側が他の層(1つ又は複数)によって覆われ、かつ完成したフィルム製品の摩損及び摩滅から保護され、それにより印刷された画像、グラフィック、言葉の内容などの完全性を保存するように、積層中に印刷側を他の層(1つ又は複数)の方向に向けてもよい。他の層(1つ又は複数)が実質的に半透明又は透明な材料から形成されている場合、層を通して印刷を見ることができる。
【0022】
フィルムの組成及び構造は、製造、加工及び包装の必要性に応じて選択されてもよい。例えば、多層フィルムは、印刷されたパッケージの図柄の保護だけでなく、レーザー切り込みに対する適合性を提供する目的でも望ましい場合がある。ポリエチレンは、その比較的低いコスト、比較的低い融点、加工に対する適合性から好ましい場合があり、そして内側層、又は内側層の実質的な構成要素の形成における使用に特に望ましい場合がある。中間層及び/若しくは外側層又はそれらの実質的な構成要素を形成するために、異なる配合及びより高い融点を有するポリエチレン材料が選択されてもよい。別の代替例では、ポリプロピレン、又は内側層とは異なる数種のポリマーのブレンドが、これらの中間層及び/又は外側層のための構成成分として選択されてもよい。尚更なる別の代替例では、ポリ乳酸(PLA)を含むがこれに限定されない他の材料が、中間層及び/又は外側層の全部又は一部を形成するよう選択されてもよく、このことは、石油から誘導される材料の使用を低減する利益を提供する場合がある。
【0023】
好適な多層フィルム11は、ポリプロピレン、又は優位を占める重量百分率のポリプロピレンを含む樹脂ブレンド;及びポリエチレン、又は優勢な重量百分率のポリエチレンを含む樹脂ブレンド、などの1つ以上のポリオレフィンから形成されてもよい。記載したように、内側層11aは、ポリエチレン、又は50重量%を超える含有率のポリエチレン含む樹脂ブレンドから形成されてもよい。非限定例では、第1の比較的より高い融点を有するポリプロピレンから主として形成された層と、第2の比較的より低い融点を有するポリエチレンから主として形成された層とを使用して、外側層及び/又は中間層、並びに内側層をそれぞれ形成してもよい。別の非限定例では、多層フィルムは、LLDPE(線状低密度ポリエチレン)の内側層と、低密度、中密度及び高密度のポリエチレン変形物のブレンド又は混合物の第2の層とを含んでもよい。所望により、第3の層は、LLDPEとLDPE(低密度ポリエチレン)とのブレンドを含んでもよい。
【0024】
図1〜5を参照すると、外側層11aは、ダイ又はレーザー光により切り込まれて、切り込み経路15を形成し、この経路15に沿って引裂の開始及び伝播が促進及び案内される経路をフィルム内に形成する。ダイは、所望の切り込み深度を超える程度にフィルムをz方向に切削、穿孔又は貫入しないように、好適に構成及び制御される場合がある。レーザー光源は、層全体を実質的に貫通することなく(例えば、図3)、又は中間層(1つ又は複数)11c及び/若しくは内側層11bに貫入することなく(図4図5)、外側層11aのポリマーを通して切り込むよう選択及び調整されてもよい。このことは中間層(1つ又は複数)11c及び/又は内側層11bなどのフィルムの部分を少なくとも部分的に無傷で残して、水蒸気が切り込み経路においてパッケージ内に通過することを阻害する防湿バリアを提供する。したがって、中間層及び/又は内側層の材料は、切り込まれた区域において水分が望ましくない程度にパッケージ内に進入できるようにするには不十分な水蒸気透過率を有するように、選択されてもよい。
【0025】
防湿バリアの能力に関する効果の目的に加えて、内側層11aと任意の中間層(1つ又は複数)11cとの組み合わせの厚さは、購入後、消費者による意図的な開放以前に、パッケージの輸送及び取り扱い中、それらの意図的ではない断裂又は引裂を可能にするほど薄いことがないように選択及び/又は調節されてもよい。吸収性物品パッケージの種類のフローラップパッケージを製造し及び取り扱う現在のプロセスの多くにおいて、パッケージが、輸送用の、より大きい保護容器内に包装される前に、設備によって様々で無作為な配向に落下及び移動される場合がある。切り込み経路の下にあるフィルム層(1つ又は複数)は、そのような取り扱い中、意図的ではない時期尚早の引裂を可能にすることがないように、十分強力である必要がある。
【0026】
同時に、切り込み経路15は、消費者が、許容不可能な程度の尽力を有することなく、フィルムを経路に沿って引裂いてパッケージ内に開口部を形成できるように、フィルム内へ十分深い必要がある。消費者は、切り込み経路15に直交する方向に沿って測定された、切り込みフィルムの引張強度が約15ニュートン/cm以下(試験サンプルの試料の1cm幅当たり、切り込み経路に平行な方向に沿って測定)、より好ましくは約11N/cm以下、又は9.0N/cm以下、又は更には約7.0N/cm以下である場合、フィルムの引裂が許容可能に容易であると見出すであろうと考えられ、ここで引張強度は、本明細書に記載する切り込みフィルム引張試験方法に従って測定される。消費者への販売前の取り扱いの間に、切り込み経路を横切るそのような方向の引張強度がパッケージ完全性を維持するのに十分である程度は、例えば、内容物の圧縮、及び/又は内容物によりパッケージフィルム上に付与される圧力、パッケージの重量、販売前の取り扱い中にパッケージが受ける可能性がある衝撃の程度及びレベル、並びに、パッケージフィルムが受けるであろう最大引張力に対する切り込み経路の配向から生じる、販売前にパッケージフィルムが耐える必要がある引張力の大きさ及び配向に依存することが認識されるであろう。下記に記されるように、パッケージ完全性は、パッケージ面上の直線状の切り込み経路が、その面上におけるフィルム内の最大引張力の方向に対して平行に近い場合に最も良好に保護される場合がある。
【0027】
消費者が許容可能な所望の引裂の容易さ(上記に説明したように、切り込み経路を横切る引張強度に反映される)を達成するのに必要な、フィルム材料を通した切り込み深度は、フィルム層(1つ又は複数)の厚さ及び組成(1つ又は複数)に応じて変動することになる。この点で、切り込み経路の下の層(1つ又は複数)(実質的に切り込まれない状態で残る層(1つ又は複数))は、上記に説明した限界内に存在する、切り込み経路に直交する方向に沿った引張強度を有することが望ましい場合があり、これは、外側層を通した切り込み経路が、切り込みに直交する方向における、切り込まれた層の引張強度を低下させるためである。したがって、外側層の下の層(1つ又は複数)は、約15ニュートン/cm以下(試験サンプルの試料の1cm幅当たり、切り込み経路に平行な方向に沿って測定)、より好ましくは約11N/cm、又は9.0N/cm以下、又は更には約7.0N/cm以下の引張強度を有することが望ましい場合があり、ここで引張強度は、本明細書に記載する、切り込みフィルム引張試験方法に従って測定される。
【0028】
更に、フィルム内の切り込み経路は、切り込み経路に沿った引裂の規則正しい伝播(即ち、切り込み経路から容易に逸れる傾向を有さない引裂)を容易にするのに有効なように、十分深いことが重要である場合がある。理論に束縛されるものではないが、したがって、切り込み深度(フィルムの外部表面から測定)は、本明細書に想定される任意のタイプのフィルムにおいて、フィルムの全厚tの10%以上、より好ましくは12%以上、尚より好ましくは14%以上、更により好ましくは16%以上である必要があると考えられる。図3〜5を参照して、この百分率は、切り込み経路15の深度dをフィルム厚さtで除算したもの×100%の計算を反映している。切り込み深度は、下記に記載する「切り込み深度測定方法」を用いて測定されるべきである。
【0029】
切り込み経路15の形状及び配向は、重要であると考えられる場合がある。切り込み経路は直線状であるのが好ましいことになる。あるいは、経路は、鋭い屈曲部又は角部をわずかしか又は全く含まないことが好ましい場合があり、これらは、切り込み経路15を越えて逸れ又は外部に逸れる引裂伝播を容易にする可能性がある、局在応力の効果を有する可能性がある。したがって、切り込み経路15は、その末端から1.0cmを超えた経路長の任意の部分に沿って、10mm未満の半径を有するいかなる曲線も含まないことが好ましい場合がある。
【0030】
図6を参照すると、折り畳まれた物品の積み重ねがほぼ矩形の直方体形状であるため、本明細書に想定されるパッケージのタイプは、パッケージフィルムから形成された、対向して配置された、ほぼ矩形の側面の対からなる6つの面を有する、ほぼ矩形の直方体形態を有する場合がある。パッケージ内で物品の積み重ね(1つ又は複数)が圧縮される結果として、各面のフィルムは3つの主方向DT1、DT2、及びDT3のうちの2つに沿った張力下にある場合があり、主方向DT1、DT2、及びDT3は、それぞれ面の側縁に直交しかつ平行である。パッケージ内に収容された物品を2つの主方向に沿って拘束する等しくない圧縮力は、他方の方向に沿った、フィルム内の最大引張力よりも大きい、これらの方向のうちの1つに沿った、フィルム内の最大引張力を生じることができる。例えば、図1を参照すると、物品が方向DT1に沿って比較的高い圧縮下で、かつDT2に沿って比較的低い圧縮下でパッケージ内で積み重ねられ、詰められた場合、図1及び図2に示す面上の方向DT1に沿ったパッケージフィルム内の最大引張力は、方向DT2及びDT3に沿った最大引張力よりも大きい場合がある。
【0031】
パッケージが切り込み経路を支持する場合に、パッケージの構造的完全性を最大にするためには、面上の切り込み経路15の全長の20パーセント未満、より好ましくは15パーセント未満、尚より好ましくは10パーセント未満が、方向DT1、DT2、又はDT3のうちの1つに沿った、その面のフィルム内の最大引張力の方向に直交することが望ましい場合がある。このことは、物品の圧縮された積み重ね(1つ又は複数)の拘束が拡大することから生じるパッケージフィルム11内の応力が、切り込み経路15に沿った意図的ではない、時期尚早の断裂を容易にする機会を低減する。(面上の切り込み経路の「全長」は、面に沿った連続する/途切れのないその長さであり、必ずしも直線状ではない。)上記によれば、図1及び図2に示唆されるように、任意の面上に配置されるそれぞれの切り込み経路15部分の各々は、実質的に直線状であり、方向DT1、DT2、又はDT3に沿った、面上の最大引張力の方向と角度を形成する線に沿って存在し、この角度は、45°未満、より好ましくは30°未満、尚より好ましくは10°未満、そして最も好ましくは実質的に0°、即ち、面上の方向DT1、DT2、又はDT3に沿った最大引張力の方向に実質的に平行である(例えば図1及び図2に示すように)ことが望ましい場合がある。
【0032】
それに関連して、又はそれとは別に、図1図2、及び図8図11に示唆されるように、切り込み経路15は、図の大きい矢印が示すように、その全長の大部分がパッケージの末端部付近に存在して、引裂によって、末端部のより近辺にアクセス開口部を形成することを容易にするように構成及び配置されてもよい。このことはパッケージの大きい部分を無傷のまま残すため、パッケージは、その開放後に未使用物品の供給物を継続して収容及び保管するのに使用してもよく、またある状況下では、比較的小さい張力しか受けないパッケージフィルムの位置に、切り込み経路を配置する役割を果たす場合がある。例えば、切り込み経路15は、例として図1図2、及び図8図11に示されるように、その経路長の大部分(全部の面上で、累積的に)が、パッケージの中間部よりも、パッケージの末端部により近接して存在するように、1つ以上の面上の位置に配置されてもよい。(このパラグラフの記述の目的では、パッケージの「末端部」は、パッケージ内に収容されている積み重ね(1つ又は複数)中の物品の腰部縁部又は横方向折り目に当接し又は面する内側表面を有する、個々の物品の積み重ねの方向に平行な面内にほぼ位置する、パッケージの対向して配置された面であり、「中間部」は、「末端部」面と平行かつそれらから等間隔の、それらの間の想像面である。例えば、図1図2及び図8図11では、「末端部」は、図に示す配向に関してパッケージ10の上面17と下面18であり、これは、上面17と下面18が、積み重ね中の物品20の腰部縁部、又は物品20内の横方向折り目に当接又は面しているためである。個々の物品20の積み重ねの方向は、図1図8及び図10では、DT1と平行である。「中間部」は、図1図2及び図8図11を通して示される想像面Pである。
【0033】
図1を参照すると、本明細書に記載した切り込み経路は、本質的に、パッケージフィルム内の穿孔の経路よりも見えにくいため、切り込み経路15に近接してしるし16を含むことが望ましい場合がある。そのようなしるし16は、パッケージ上の切り込み経路の位置を視覚的にかつ/又は言葉で特定するのに有効な、単に印刷された指導、又は任意の他の指示であってもよい。そのようなしるしは、他の印刷されたグラフィック、画像、及び情報に関して上述したように、外側層11aの内側表面上に印刷されてもよく、又はフィルム11の外側表面上に印刷されてもよい。
【0034】
切り込みフィルム引張試験方法
切り込みフィルムの試料の引張強度は、コンピュータインターフェイスを有する定速の伸張引張試験機(好適な機器は、MTS Systems Corp.(米国ミネソタ州Eden Prairie)から入手可能な、Testworks 4.0ソフトウェアを使用するMTS Allianceである)上で、ロードセルを使用して測定され、測定される力はセルの限界の10%〜90%以内である。可動式(上部)及び固定式(下部)空気圧つかみ具の両方に、試験試料の幅よりも広いゴム面の把持部を装着する。全試験は、約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度に維持された空気調和室で行われる。
【0035】
切り込み経路を有するサンプルパッケージから試料を準備するために、切り込み経路から好適に除去される位置と、下記に記載するように試料が取得される位置とから、パッケージの周辺部の周りでパッケージフィルムを切り、これによってパッケージの内容物を容易に空にすることが可能な大きい開口部を形成し、パッケージを空にする。切り込み経路15に近接したフィルムが平らに置かれるように、パッケージの残りの部分を作業台上に横たえ、鋭利なExactoナイフ又は鋭利な鋏を使用して、この部分から5.08cm(±0.05cm)(試料長さSL)×5.08cm(±0.05cm)(試料幅SW)の、図7に示すように、試料長さSLに直交し、かつ試料長さSLを等分する切り込み経路15を有する矩形試料30を切り取った。試料に、いかなる継ぎ目も含むことを避ける。試験前に、試料を空気調和室内で少なくとも24時間調整する。
【0036】
分析のために、ゲージ長を25.4mmに設定する。クロスヘッド及びロードセルをゼロ調整する。長さSLを上部及び下部つかみ具内にて垂直方向に整列して(切り込み経路15が、牽引方向に直交し、上部把持部と下部把持部との間の間隙の中央に位置するように)、試料末端部の一方を上部把持部内におよそ12.7mm挿入し、上部把持部を閉鎖する。他方の試料末端部を下部把持部内におよそ12.7mm挿入し、下部把持部を閉鎖する。両方の把持部内にクランプした後、あらゆるゆるみを排除するがロードセル上の力が0.05N未満であるように、試料を十分な張力下に置く必要がある。
【0037】
伸張試験を行い、試料が引き離されるまでクロスヘッドを速度100mm/分で上昇させながら、獲得速度50Hzで力及び伸張データを収集するよう引張試験機をプログラミングする。引張試験機及びデータ収集を開始する。構築された力(N)対伸長(mm)曲線からピーク力(N)を記録するようにソフトウェアをプログラムする。引張強度を、以下のとおり計算する。
引張強度=ピーク力(N)/試料の幅(cm)
【0038】
実質的に同一の様式で、全試料を分析する。引張強度を0.01N/cmの位まで記録する。10個のサンプルパッケージのそれぞれから1つずつ取った、全部で10個の試料を分析する。10個の試料に関して、引張強度の平均及び標準偏差を0.01N/cmの位まで計算及び報告する。
【0039】
切り込み深度測定方法
GFMesstechnik GmbH(ドイツ、Teltow/Berlin)から市販されているGFM MikroCAD Light機器を使用して、切り込み経路の深度を測定する。GFM MikroCAD Light機器は、以下の主要構成要素からなる。a)直接デジタル制御マイクロミラーを有するDLPプロジェクター、b)少なくとも1600×1200ピクセルの解像度を有するCCDカメラ、c)少なくとも5×4mmの測定面積に適合された投影光学機器、d)少なくとも5×4mmの測定面積に適合された記録光学機器、e)小さい硬石プレートに基づく低い三脚台、f)青色LED光源、g)ODSCADソフトウェア(バージョン6.2、又は等価物)を実行する、測定、制御及び評価コンピュータ、h)販売元から入手可能な、横方向(x−y)及び垂直方向(z)較正のための較正プレート。
【0040】
GFM MikroCAD Lightシステムは、デジタルマイクロミラーパターン縞投影技術を用いて、サンプルの表面高さを測定する。分析の結果は、x−y平面内の変位に対する表面高さ(z軸)のマッピングである。システムは、5×4mmの視野を有し、x−yピクセル解像度はおよそ3マイクロメートルである。高さ解像度を、±1.0mmの高さ範囲で0.1マイクロメートル/カウントに設定する。全試験は、約23±2℃及び約50±2%の相対湿度に維持された空気調和室で行う。
【0041】
製造者の仕様書に従い、販売元から入手可能な較正プレートを使用して、横方向(x−y)及び垂直方向(z)に対して計器を較正する。
【0042】
切り込み経路を有するサンプルパッケージから試料を準備するために、切り込み経路から好適に除去した位置において、パッケージの周辺部の周りでパッケージフィルムを切り、パッケージの内容物を容易に空にすることが可能な大きい開口部を形成し、パッケージを空にする。切り込み経路に近接したフィルムが平らに置かれるように、パッケージの残りの部分を作業台上に横たえ、図7に示すように、5.08cm(±0.05cm)(試料長さSL)×5.08cm(±0.05cm)(試料幅SW)の試料長さSLに直交し、かつ試料長さSLを等分する切り込み経路15を有する正方形試料30を切り取った。試料にいかなる継ぎ目又は折り目も含むことを避ける。試験前に、試料を空気調和室内で少なくとも24時間調整する。
【0043】
試料上の切り込み経路の長さの中央の5mmの部分を視野内で見ることができ、切り込み経路の両側にほぼ等しい切り込まれていないフィルムの部分が出現するように、試料を該試料の長さ及び幅の両方についてカメラ視野内の中心になるように置く。試料はテーブル上で平らに置かれる必要がある。スライドガラスをフィルム表面上に置いて、試料を平らな状態に保つ。
【0044】
機器の製造業者の推奨測定手順に従うことによって、試料の高さ画像を収集する。以下の操作パラメーターを用いて、技術的表面/標準的測定プログラムを選択する。(a)3フレーム遅延を用いた高速画像記録の使用、(b)ピクチャー数12を有する16ピクセルストライプ幅として定義される単一レベル位相、及び(c)ピクセル2で開始し、ピクセル1024で終了するフルグレイコード。測定プログラムの選択後、測定システムの焦点合わせ及び輝度調整の実行に関して、機器の製造業者の推奨手順に継続して従う。3D測定を行った後、高さ画像及びカメラ画像ファイルを保存する。
【0045】
高さ画像を、クリップボードを介してソフトウェアの分析部分に取り込む。材料部分の多項式フィルタをランクn=5で適用し、高さ分析のための差異画像を選択する。
【0046】
切り込み深度
フィルタリングされた高さ画像上で、画像内に出現している切り込み経路の長さを横切り、この長さに直交して、この長さを均等に分割して、切り込み経路の両側上に切り込み経路を越えてフィルム表面上に延びる線を引く。引いた線に沿って、高さ画像の断面像を生成する。断面画像は、谷部50を有する、切り込み経路15により切り込まれているフィルム表面49の断面を図示する、図12に示すものと同様の外観を有するであろう。切り込み経路15が、例えばレーザーによって形成された場合、移動されたフィルム材料の大きいピーク51が、切り込まれた谷部50の両側に見られる場合がある。断面画像に反映されるフィルム断面の拡大下で、切り込み経路15及び大きいピーク51の外側の切り込まれていない/乱されていないフィルム表面49は、完全に平らではない場合があり、その上に小さいピーク53及び小さい窪み54を有する不規則性を示す場合がある。図12に示すように、それぞれ、小さいピーク53の最高のものの頂部接するように選択されたPLと、切り込まれた谷部50の底部に接するように選択されたVLとの2つの水平基準線の間の垂直距離として、表面から谷部への深度dを測定する。
【0047】
10個のサンプルパッケージのそれぞれから1つ取った、全部で10個の試料を分析する。実質的に同一の様式で、複製試料を分析する。高さを0.1μmの位まで記録する。10個の試料に関して、切り込み深度の平均及び標準偏差を1μmの位まで計算及び報告する。
【0048】
フィルムの厚さ
パッケージフィルムの厚さは、ProGauge厚さ試験機(Thwing Albert、米国イリノイ州Glen Ellyn)を使用して、脚部直径5センチメートル(2インチ)、圧力1kPa(0.2psi)で測定される。パッケージの内容物を空にし、いかなる折り目、継ぎ目、穿孔、又は切り込みも避けた位置から、10センチメートル(4インチ)四方のフィルム試料を切り取る。この試料を、試験位置をキャリパー脚部の下方にて中心に合わせた状態で、アンビル上に平らに置く。脚部を1kPa(0.2psi)の圧力を印加するまで5.08mm/秒で下げる。5秒後に値を読み取り、脚部を上げる。10個のサンプルパッケージのそれぞれから1つ取った、全部で10個の試料を分析する。実質的に同一の方法で、複製試料を分析する。厚さを1μmの位まで記録する。10個の試料に関して、厚さの平均及び標準偏差を1μmの位まで計算及び報告する。全試験は、約23±2℃及び約50±2%の相対湿度に維持された空気調和室で行われる。試験前に、試料を空調室内で少なくとも24時間調整する。
【0049】
パーセント切り込み深度
切り込み深度の平均をフィルム厚さの平均で除算し、100で乗算することにより切り込み深度の百分率を計算する。パーセント切り込み深度を1%の位まで報告する。
【0050】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0051】
「発明を実施するための形態」にて引用した全文書は、関連部分において、参照により本明細書に組み込まれ、あらゆる文書の引用は、該文書が特許請求の範囲に対する先行技術であることの容認と解釈されるべきではない。本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれる文書における同一の用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する範囲においては、本文書におけるその用語に付与された意味又は定義が適用されるものとする。
【0052】
特定の実施形態を図示及び記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な他の変更及び修正を行うことができることが当業者に明らかであろう。したがって、本発明の趣旨及び範囲内にあるすべてのかかる変更及び修正を添付の特許請求の範囲に包含することが意図される。
図1
図2
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図5
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図10
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図12