(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356263
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】流体フロー構造
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20180702BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
B41J2/14 201
B41J2/14 603
B41J2/14 605
B41J2/16 101
B41J2/16 513
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-562771(P2016-562771)
(86)(22)【出願日】2014年4月22日
(65)【公表番号】特表2017-513735(P2017-513735A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】US2014035037
(87)【国際公開番号】WO2015163859
(87)【国際公開日】20151029
【審査請求日】2016年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チエン−フア
(72)【発明者】
【氏名】カンビー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハマースタッド,ダイアン
【審査官】
高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−501655(JP,A)
【文献】
特開2005−001347(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0288183(US,A1)
【文献】
特開2013−230659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体フロー構造であって、内部に通路を有する成形体に埋め込まれ、かつ、前記成形体によって支持された流体供給マイクロデバイスを含み、前記通路を通って流体が前記デバイスまで直接流れることができ、前記デバイスが、複数の噴射器、及び複数の流体室を含み、各流体室が、噴射器の近くにあり、各流体室が、入口及び出口を有し、前記入口を通って流体が前記通路から前記流体室に入ることができ、かつ、前記出口を通して前記流体室から流体を噴射することができ、前記通路の外周は、前記入口を取り囲んでいる、流体フロー構造。
【請求項2】
前記デバイスは、長さ及び幅を有する細長いデバイスからなり、前記通路は、前記デバイスに沿って延在する細長い通路からなり、前記通路は、長さ及び幅を有し、前記通路の幅は、前記デバイスの幅よりも狭い、請求項1に記載の流体フロー構造。
【請求項3】
前記デバイスは、長さ及び幅を有する細長いデバイスからなり、前記通路は、前記デバイスに沿って延在する細長い通路からなり、前記通路は、長さ及び幅を有し、前記通路の幅は、前記デバイスの幅よりも広い、請求項1に記載の流体フロー構造。
【請求項4】
前記通路の長さと幅の積である前記通路の面積は、前記デバイスの長さと幅の積である前記デバイスの面積の0.25倍から2倍までである、請求項2または請求項3に記載の流体フロー構造。
【請求項5】
前記通路の長手方向の縁部の各々が、前記デバイスの長手方向の縁部の各対応する縁部から200μm以内にある、請求項2または請求項2に従属する請求項4に記載の流体フロー構造。
【請求項6】
前記デバイスの厚みが、前記成形体の厚みの二分の一未満である、請求項1〜5の何れか一項に記載の流体フロー構造。
【請求項7】
前記デバイスは、前記デバイスの厚みの中に、
前記通路からポートの中へ流体が直接流れ込むことができるように、前記通路に接続された複数のポートと、
前記ポートからマニホルドを通して前記入口に流体が流れ込むことができるように、前記ポートと前記入口との間に接続されたマニホルドと
をさらに含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の流体フロー構造。
【請求項8】
前記流体供給マイクロデバイスは、プリントヘッド・ダイからなり、前記プリントヘッド・ダイは、前記成形体の中に埋め込まれ、かつ、前記成形体によって支持されている、請求項1〜7の何れか一項に記載の流体フロー構造。
【請求項9】
プリントヘッドであって、
内部に複数の細長い通路を有する成形体であって、各通路が、長さと、幅と、前記長さと前記幅の積である面積とを有している、成形体と、
複数の細長いプリントヘッド・ダイであって、各プリントヘッド・ダイが、長さと、幅と、前記長さと前記幅の積である面積とを有し、各ダイが、前記成形体に埋め込まれ、かつ、前記成形体によって支持されており、さらに、各通路から前記ダイのうちの対応する一つに印刷流体を直接渡すことができるように、前記通路に接続されている、複数の細長いプリントヘッド・ダイと
を含み、各通路の面積が、対応するダイの面積の0.25倍から2倍までである、プリントヘッド。
【請求項10】
各ダイが、ダイ・スライバーからなり、前記ダイ・スライバーは、前記成形体に埋め込まれ、かつ、前記成形体によって支持されており、さらに、前記プリントヘッドの幅を横切って互いに平行に配置されている、請求項9に記載のプリントヘッド。
【請求項11】
各ダイが、ダイ・スライバーからなり、前記ダイ・スライバーは、前記成形体に埋め込まれ、かつ、前記成形体によって支持されており、さらに、概ね端と端を近づける形で前記プリントヘッドの長手方向に沿って互い違い構成で配置され、各ダイ・スライバーが他のダイ・スライバーと重なり合っている、請求項9に記載のプリントヘッド。
【請求項12】
各ダイが、前記成形体に埋め込まれ、かつ、前記成形体によって支持されたダイ・スライバーからなり、
各通路の幅が、対応するダイ・スライバーの幅よりも狭く、
各通路の各長手方向の縁部が、対応するダイ・スライバーの各対応する長手方向の縁部から200μm以内にある、請求項9に記載のプリントヘッド。
【請求項13】
各ダイが、前記成形体に埋め込まれ、かつ、前記成形体によって支持されたダイ・スライバーからなり、各通路の幅が、対応するダイ・スライバーの幅よりも広い、請求項9に記載のプリントヘッド。
【請求項14】
プリントヘッドであって、
接着剤を使用せずに成形体に埋め込まれ、かつ、前記成形体によって支持された複数のプリントヘッド・ダイと、
前記成形体における複数の流体通路であって、前記流体通路を通って印刷流体が前記ダイまで直接流れることができる、複数の流体通路と
を含むプリントヘッド。
【請求項15】
前記成形体が、単一の成形体からなり、前記ダイが、接着剤を使用せずに前記単一の成形体に埋め込まれ、かつ、前記単一の成形体によって支持されており、各通路は、前記ダイのうちの対応する1つに隣接する形で前記単一の成形体に形成されている、請求項14に記載のプリントヘッド。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
インクジェット・ペンまたはプリント・バー上の各プリントヘッド・ダイは、インクその他の印刷流体を噴射室まで運搬するための非常に小さな通り道を含む。インクジェット・ペンまたはプリントバー上にプリントヘッド・ダイを支持する構造では、印刷流体は、種々の通路を通してダイの通り道に供給される。例えば、ダイのコストを低減するために、ひいては、インクジェット・ペンまたはプリント・バーのコストを低減するために、各プリントヘッド・ダイのサイズを縮小することが望ましい場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】成形流体フロー構造の一例を実施するインクジェット・プリントヘッドを示す正面図である。
【
図2】成形流体フロー構造の一例を実施するインクジェット・プリントヘッドを示す背面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示したプリントヘッドの部分正面図である。
【
図4】
図3においてライン4−4に沿って切断して見たときの断面図である。
【
図9】プリントヘッド成形流体フロー構造の他の例を示す図である。
【
図10】成形流体フロー構造の他の例を実施するインクジェット・プリントヘッドを示す図である。
【
図12】
図11においてライン12−12に沿って切断して見たときの断面図である。
【0003】
全図面を通して、同じ部品番号は、同一または類似の部品を示している。図面は、必ずしも原寸通りの寸法で描かれてはいない。図示した例をより分かりやすく示すために、一部の部品のサイズは誇張されている。
【発明を実施するための形態】
【0004】
説明
従来のインクジェット・プリンタ・ペン、及びプリント・バーは、印刷流体を小型プリントヘッド・ダイまで運搬するための複数の部品を含み、印刷流体は、プリントヘッド・ダイから用紙その他の印刷媒体上に噴射される。プリントヘッド・ダイは通常、接着剤を使用して支持構造に組み付けられている。プリントヘッド・ダイが小さくなるにしたがって、接着剤を利用する組み立てプロセスは、次第に複雑かつ困難になってくる。より小さなプリントヘッド・ダイの使用を可能にし、インクジェット・プリンタにおけるペン、及びプリント・バーのコストの低減を促進するために、接着剤を使用しない新たな流体フロー構造が開発されている。
【0005】
一例において、支持構造は、プリントヘッド・ダイその他の流体供給マイクロデバイスの周りに成形される。成形体自体が、マイクロデバイスを支持している。すなわち、マイクロデバイスは、接着剤を使用せずに、成形体に埋め込められている。成形体は通路を含み、流体は、通路を通ってマイクロデバイスまで直接流れることができる。マイクロデバイスは、複数の流体噴射器及び複数の流体室を含み、各流体室は、噴射器の近くにあり、各流体室が、入口及び出口を含み、流体は入口を通って通路から流体室に入ることができ、流体は出口を通して流体室から噴射されることができる。成形体における通路の外周は、噴射室への入口を取り囲んでいるが、それ以外にサイズ的に、マイクロデバイスのサイズに制約されることはない。そのため、マイクロデバイスがプリントヘッド・ダイである場合、通路をダイとほぼ同程度の広さにすることができ、またはダイよりも広くすることができる。これは、従来の接着剤を利用するプリントヘッド製造においては実現不可能である。流体通路を拡大することで、気泡が通路内のインクの流れを妨げるリスクを低減しつつ、プリントヘッド・ダイにおけるインクの流動性を高めることが可能となる。また、成形体によれば、外部インク接続の作成に備えて、及び、ペンまたはプリント・バーに対するプリントヘッド・ダイの取り付けに備えて、事実上、各プリントヘッド・ダイのサイズが拡張されるため、シリコン基板にインク通路を形成する必要が無くなり、より薄い、より長い、及びより狭いダイの使用が可能となる。
【0006】
図面に示され、以下で説明されるこれら及び他の例は、本開示を例証するものであって、制限するものではない。本開示は、この説明の後に続く特許請求の範囲に規定される。
【0007】
本文書において、「マイクロデバイス」とは、30mm以下の1以上の外形寸法を有するデバイスを意味し;「薄い」とは、650μm以下の厚みを意味し;「スライバー」とは、長さと幅の比率(L/W)が少なくとも3である薄いマイクロデバイスを意味し;「プリントヘッド」及び「プリントヘッド・ダイ」とは、1以上の開口部から流体を供給するインクジェット・プリンタの一部のようなインクジェット式ディスペンサーを意味している。プリントヘッドは、1以上のプリントヘッド・ダイを含む。「プリントヘッド」及び「プリントヘッド・ダイ」が、インクその他の印刷流体による印刷を行うもののみに限定されることはなく、それらは、他の流体のインクジェット式供給、及び/又は印刷以外の使用を行うものも含む。
【0008】
図1及び
図2は、成形流体フロー構造12の一例を実施するインクジェット・プリントヘッド10の正面図及び背面図をそれぞれ示している。
図3は、
図1及び
図2に示したプリントヘッド10の部分正面図である。
図4は、
図3においてライン4−4に沿って切断して見たときの断面図である。
図5〜
図8は、
図3及び
図4からの詳細図である。
図1〜
図8を参照すると、プリントヘッド10は、接着剤を使用せずに、成形体16の中に成形され、または他の形で埋め込まれた複数のプリントヘッド・ダイ14を含む。成形体16には、印刷流体を対応するプリントヘッド・ダイ14まで直接運搬するために、通路18が形成されている(分かり易くするために、
図4の断面図では、ダイ14から平行斜線を省略している)。図示の例では、各プリントヘッド・ダイ14は、ダイ・スライバーとして構成されている。ダイ・スライバー14は、プリントヘッド10の幅を横切って、互いに平行に配置されている。図面上では、4本のダイ・スライバー14が、平行配置を成しているが、もっと多数または少数のダイ・スライバーを使用してもよく、及び/又は、異なる配置であってもよい。
【0009】
インクジェット・プリントヘッド・ダイ14は通常、シリコン基板20上に形成された複雑な集積回路(IC)構造である。各プリントヘッドIC回路構造におけるサーマル方式、圧電方式その他の適当な方式の流体噴射素子22及び他の部品(図示せず)は、各ダイ14上のボンドパッドその他の適当な電気端子24を通して、外部回路に接続されている。図示の例では、端子24は、導体26によって、外部回路と接続するための端子28に接続されている。導体26は、必要に応じてエポキシその他の適当な保護材料30によって覆われてもよく、または、インクのような有害な可能性がある環境要因から、導体を保護することが望ましい場合がある。基礎となる構造を不明瞭にしないように、
図1には、保護材料カバー30の外形だけが示されている。
【0010】
次に
図5〜
図8の詳細図を具体的に参照すると、図示の例では、各プリントヘッド・ダイ14は、2列の噴射室32、及び対応するノズル34を含み、ノズル34を通して、インクその他の印刷流体が、噴射室32から噴射される。成形体16において各通路18は、印刷流体を1つのプリントヘッド・ダイ14に供給する。プリントヘッド・ダイ14及び通路18については、他の適当な構成も可能である。例えば、もっと多数または少数の噴射室32、及び/又は通路18を使用してもよい。印刷流体は、2列の噴射室32の間において各ダイ14に沿って長手方向に延在するマニホルド(多枝管)38から、入口36を通って各噴射室32に流れ込む。印刷流体は、印刷流体供給通路18に接続された、ダイ表面42にある複数のポート40を通って、マニホルド38に供給される。
図5〜
図8におけるプリントヘッド・ダイ14の理想化された描写は、噴射室32、ノズル34、入口36、マニホルド38、及びポート40を単に分かり易く示す都合上、3つの層(基板20、室層44、及びノズル・プレート46)を描いている。実際のインクジェット・プリントヘッド・ダイ14は、図示したものより少数若しくは多数の層、及び/又は、流体を室32に供給するための異なる経路を有していてもよい。例えば、マニホルド38の有無に関わらず、複数のポート40の代わりに、単一の通り道を使用してもよい。
【0011】
成形体16によれば、各通路18のサイズが対応するダイ14のサイズによって制約されない状態を維持しつつ、プリントヘッド・ダイ14を基礎となる支持構造、及び/又はファンアウト構造に組み付けるための接着剤の必要性を無くすことができる。そのため、必要に応じて、あるいは、従来よりも小型のダイを搭載したいという要望に応じて、通路18をダイ14よりも広くし、または狭くすることが可能である。
図3〜
図8に示した例では、各通路18が、対応するダイ14よりも狭い。通路18は、ノズル34を取り囲み、かつ、プリントヘッド・ダイ14の幅WDよりも小さい幅WCを有している。したがって、通路18の平面積AC(WC×LC)は、ダイ14の平面積(WD×LD)よりも小さい。ダイが基礎となる支持構造、及び/又はファンアウト構造に接着剤を使用して組み付けられる従来のプリントヘッドの場合、組み立ての際に接着剤が通路内にはみ出ないようにするために、インク供給通路の両端が200μm以上の距離だけプリントヘッド・ダイと重なり合っていなければならない。
図3〜
図8に示した成形プリントヘッド10の場合、通路18の長手方向の縁部48を、プリントヘッド・ダイ14の長手方向の縁部50から200μm以内にすることができる(WD−WC<400μm)。
【0012】
図9に示した例では、通路18は、ノズル34を取り囲み、かつ、プリントヘッド・ダイ14よりも広い。したがって、
図9に示した構成における通路18の平面積は、ダイ14の平面積よりも大きい。
【0013】
各通路18、及び対応するダイ14の相対的サイズは、特定の流体フロー実施形態によって変わる場合があり、薄いダイ・スライバー14を使用する一般的インクジェット・プリントヘッド10の場合、通路面積ACに対するダイ面積ADの比率は通常、2.0から0.25までの範囲になることが期待される(2.0≧AD/AC≧0.25)。現時点で、接着剤を利用したダイ取り付け技術を使用して、この範囲の面積比率を実現することはできない。成形プリントヘッド10の使用によれば、この拡張された範囲の通路とダイのサイズ比率を実現することができる。
【0014】
図8及び
図9から最もよく分かるように、印刷流体供給通路18は、印刷流体ポート40よりも実質的に広くなっていて、緩い間隔を開けて形成されたペンまたはプリント・バー上の比較的大きな通り道から、狭い間隔を開けて形成されたプリントヘッド・ダイ14上の比較的小さな印刷流体ポート40まで印刷流体を運搬する。通路18を大きくすることは、ダイ14に対する印刷流体の十分な供給を確保することに役立つだけでなく、多くの従来のプリントヘッドにおいて必要とされる個別の「ファンアウト」流体経路決定構造の必要性を低減し、場合によっては無くすことに役立つ場合がある。また、図示のようにプリントヘッド・ダイ表面42の相当な面積を通路18に直接露出させることによって、印刷の際に、通路18内の印刷流体を利用して、ダイ14を冷却することが可能になる。
【0015】
薄いダイ・スライバー14を用いる種々の実施形態の場合、十分な支持のために、成形体16の厚みTM(
図5)は、ダイ14の厚みTDの少なくとも2倍であることが望ましい。通路18は、切断、エッチング、成形等によって、成形体16に形成されることができる。また、各通路18のサイズは、対応するプリントヘッド・ダイ14についての必要性または要望に応じて、変更されてもよい。
【0016】
図10は、成形流体フロー構造12を実施するプリントヘッド10の他の例を示している。
図11は、
図10から詳細を示している。
図12は、
図11においてライン12−12に沿って切断して見たときの断面図である。この例では、4色のインクを供給するページ幅プリント・バーにおいて使用されることがあるもののように、4列のダイ・スライバー14が、概ね端と端を近づける形で互い違い構成を成して配置され、各ダイ・スライバーは、他のダイ・スライバーと重なり合っている。他の適当な構成も可能である。スライバーよりも大きなプリントヘッド・ダイ14を使用することもでき、もっと多数または少数のダイ、及び/又は異なる構成を使用することもできる。
【0017】
図10〜
図12を参照すると、プリントヘッド10は、成形体16の中に成形された種々のプリントヘッド・ダイ・スライバー14を含む。印刷流体を対応するダイ・スライバー14まで直接運搬するために、通路18が成形体16に形成されている。各通路18は、対応するダイ・スライバー14上の種々のノズル34を取り囲んでいる。この例では、各通路18が、対応するダイ・スライバー14よりも狭い。ただし、上記のように、対応するダイ・スライバー14に対する各通路18の幅は、図示された幅とは違っていてもよく、例えば、ダイ・スライバー14よりも広い幅であってもよい。各プリントヘッドIC回路構造における流体噴射素子その他の部品は、各ダイ14上のボンドパッドその他の適当な電気端子24を通して外部回路に接続されている。この例では、端子24を他のダイ及び/又は外部回路に接続する導体26が、成形体16に埋め込まれている。
【0018】
図面に示され、上で説明されたもののような成形プリントヘッドフロー構造によれば、接着剤代(しろ)から、及びシリコン基板にインク供給通路を形成する困難性から、継続的ダイ縮小を分離し、組み立てプロセスを単純化し、設計自由度を拡大し、長い、狭い、及び非常に薄いプリントヘッド・ダイの使用が可能となる。任意の適当な成形プロセスを使用することができ、かかる成形プロセスとしては、例えば、2013年7月29日に出願された「Transfer Molded Fluid Flow Structure or compression molding」と題する国際特許出願第PCT/US2013/052505号、及び2013年7月29日に出願された「Fluid Structure With Compression Molded Channel」と題する国際特許出願第PCT/US2013/052512号に記載されたもののようなトランスファ成形プロセスが挙げられる。
【0019】
本開示の最初に書いたように、図面に示され、上で説明された種々の例は、本開示を例証するものであって、制限するものではない。他の例もまた可能である。したがって、上記の説明を本開示の範囲を制限するものとして解釈してはならない。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって定義される。