特許第6356310号(P6356310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356310
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】取り付けアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16M 11/18 20060101AFI20180702BHJP
   F16C 11/06 20060101ALI20180702BHJP
   F16C 11/10 20060101ALI20180702BHJP
   F16M 11/04 20060101ALI20180702BHJP
   F16M 13/02 20060101ALI20180702BHJP
   G03B 17/56 20060101ALI20180702BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   F16M11/18 Z
   F16C11/06 B
   F16C11/10 F
   F16M11/04 A
   F16M13/02 D
   G03B17/56 B
   G03B15/00 S
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-95213(P2017-95213)
(22)【出願日】2017年5月12日
(65)【公開番号】特開2018-21661(P2018-21661A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2018年4月20日
(31)【優先権主張番号】16170526.4
(32)【優先日】2016年5月20日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502208205
【氏名又は名称】アクシス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ローセンクヴィスト, アレクサンデル
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第8998512(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0251675(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 11/00
F16C 11/00
F16M 13/00
G03B 15/00
G03B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置のための取り付けアセンブリであって、
前記電子装置(11)に取り付けられるように構成された取り付け部分(12)、
取り付け表面(19)に取り付けられるように構成されたベース(16)、並びに
アーム(14)であって、前記アーム(14)を介して前記取り付け部分(12)が前記ベース(16)に連結され、前記取り付け部分(12)が、前記アーム(14)に対して固定された状態でチルト可能なように前記アーム(14)に連結され、前記アーム(14)が、前記アーム(14)の長手方向軸に平行な回転軸(18)の周りで、前記ベース(16)に対して固定された状態で回転可能なように前記ベースに連結されている、アーム(14)を備え、
前記アーム(14)がハウジングを備え、及び前記アーム(14)がさらに、前記ハウジングの内側に配置され、固定突起(30)が設けられた、固定部材(20)を備えることを特徴とし
調整部材(32)を調整することによって、前記固定部材(20)が前記ハウジングに対して変位可能なように、且つ、前記固定突起(30)が前記回転軸(18)に対して半径方向に変位可能なように、前記固定部材(20)が、前記調整要素(32)を介して前記ハウジングに連結されており、
前記ベース(16)には、前記回転軸(18)に対して一組の半径方向に延在する固定溝(22)が設けられており、並びに
前記ハウジングに対する前記固定部材(20)の変位、したがって、前記固定突起(30)の半径方向の変位に応じて、前記固定突起(30)が、前記一組の固定溝(22)内の1つの固定溝(22a)によって受け入れられ、それによって、前記アーム(14)が前記ベース(16)に対して回転不可能に固定されるように、前記取り付けアセンブリが構成されている、取り付けアセンブリ。
【請求項2】
前記固定突起(30)が、前記ベース(16)に面する前記固定部材の表面上に設けられている、請求項1に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項3】
前記ベース(16)の前記一組の固定溝(22)が、半径方向に延在する溝の円形アレイとして構成されている、請求項1又は2に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項4】
前記一組の固定溝(22)が、前記固定突起(30)を受け入れるように配置された誘導溝(40)によって連結されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項5】
前記ハウジングに対する前記固定部材(20)の前記変位に応じて、前記取り付け部分(12)のジョイント部材(24)が、前記アーム(14)に対して位置的に固定されるように、前記取り付けアセンブリが構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項6】
前記アーム(14)の前記ハウジングの内側に配置された楔部材(23)と前記ハウジングとの間で前記ジョイント部材(24)を締め付けることによって、前記ジョイント部材(24)が前記アーム(14)に対して位置的に固定されるように、前記取り付けアセンブリが構成され、
前記ジョイント部材(24)を締め付けるための前記ハウジングに対する前記固定部材(20)の前記変位に応じて、前記楔部材(23)が前記ジョイント部材(24)に向けて押し付けられるように、前記固定部材(20)と前記楔部材(23)の当接面部分が傾斜している、請求項5に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項7】
前記取り付け部分(12)が、更に、前記アーム(14)に対して固定された状態で回転可能なように前記アーム(14)に連結されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項8】
前記取り付け部分(12)が、ボールジョイントを介して前記アームに連結されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項9】
前記固定突起(30)の前記半径方向の変位が、前記回転軸(18)に対して半径方向外向きの変位である、請求項1から8のいずれか一項に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項10】
前記調整要素が、調整のために前記ハウジングの外側からアクセス可能なねじ(32)である、請求項1から9のいずれか一項に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項11】
前記固定部材(20)には、更なる固定突起が設けられており、
前記調整部材(32)を調整することによって、前記固定部材(20)が前記ハウジングに対して変位可能なように、且つ、前記更なる固定突起が前記回転軸(18)に対して半径方向に変位可能なように、前記固定部材(20)が、前記調整要素(32)を介して前記ハウジングに連結されており、
前記ベース(16)には、前記回転軸(18)に対して更なる一組の半径方向に延在する固定溝が設けられており、及び
前記ハウジングに対する前記固定部材(20)の変位、したがって、前記更なる固定突起の半径方向の変位に応じて、前記更なる固定突起が、前記更なる一組の固定溝(22)内の1つの更なる固定溝によって受け入れられるように、前記取り付けアセンブリが構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項12】
前記固定部材(20)が、金属などの導電性材料から作られている、請求項1から11のいずれか一項に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項13】
前記取り付け部分(12)が、約90度の範囲内で、前記アーム(14)に対して固定された状態でチルト可能である、請求項1から12のいずれか一項に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項14】
前記電子装置が、監視カメラ(11)、熱センサ、ドアステーション、又はスピーカである、請求項1から13のいずれか一項に記載の取り付けアセンブリ。
【請求項15】
電子装置(11)及び請求項1から14のいずれか一項に記載の取り付けアセンブリ(10)を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置のための取り付けアセンブリに関する。特に、本発明は、取り付けアセンブリの取り付け部分、アーム、及びベースの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
取り付けアセンブリは、多くの異なる種類の装置に対して提供され得る。本特許出願は、電子装置に対して提供される取り付けアセンブリに関する。電子装置は、取り付けアセンブリの取り付け部分に取り付けられる。今度は、取り付け部分がアームに連結され、次に、アームがベースに連結される。ベースは、壁、テーブル、又は天井などの表面上に配置され、任意選択的に固定される。取り付けアセンブリは、取り付け部分が、したがって、取り付け部分に取り付けられた電子装置が、例えば、チルト及び/又は回転運動によってアームに対して動かされることを可能にするように構成され得る。更に、アームは、ベースに対して回転運動が可能なように構成され得る。
【0003】
取り付けアセンブリは、互いに対するその部品の動き、すなわち、ベースと取り付け部分のそれぞれに対するアームの動きの固定を提供するように構成され得る。1つの種類の固定構造は、アームとベースとの間のインターフェース内などの、部品の間のインターフェース内に生成される摩擦力を利用する。ベースに対するアームの回転運動を固定するために、取り付けアセンブリは、緊密な構成が生成されるように、アームの一部分がベースの一部分に対して押し付けられるように構成され得る。緊密な構成によって生成された結果としての摩擦力は、ベースに対するアームの動きに反作用する。したがって、ベースに対するアームの回転運動は制限され得る。
【0004】
この種類の構成の1つの問題は、部品の緊密な構成が、十分な摩擦力を実現するために非常に強く作られることを必要とし得ることである。そのような緊密な構成は、実現することが困難であり得る。その構成は、時を経て緩むリスクがある。これは、部品の特定の種類の滑らかな材料を使用するときに、克服することが困難な問題であり得る。金属は、そのような材料の一例である。金属は、内力及び外力の両方に対する優れた耐性を提供するための幾つかの構造において望ましい材料であり得る。
【0005】
この問題に対する解決策は、部品の間のインターフェースにおいて、接着材料又は摩擦コーティングなどの、摩擦増強材料を提供することである。摩擦増強材料は、生成される摩擦力と、そのような摩擦力を実現するために部品の間の緊密な構成が如何に緊密でなければならないかと、の間の比率を増加させ得る。
【0006】
摩擦増強材料の1つの問題は、それらを特定の材料の表面に付けることが困難であり、高いレベルの品質管理が必要であり得るということである。更に、摩擦増強材料は、時を経て摩耗し、それを監視して管理することが困難であり得る。何故ならば、インターフェースは、通常、取り付けアセンブリを解体することなしに視認することができないからである。
【0007】
更に、例えば、電磁環境適合性(EMC)規制を満たすために、アームとベースとの間に伝導路(conducting path)を提供することが望ましい取り付けアセンブリでは、摩擦を誘発する材料が、伝導路を遮る可能性がある望ましくない非伝導バリアを提供する。
【0008】
したがって、改良された取り付けアセンブリが必要である。特に、そのような取り付けアセンブリのアームとベースとの間の改良された固定機構が必要である。
【0009】
更に、取り付け部分に取り付けられる電子装置のケーブルが、取り付けアセンブリの部品を通って、すなわち、取り付け部分、アーム、及びベースを通って延在するように配置され得る。そのような配置では、互いに対する部品の回転運動を制限することが望ましいだろう。互いに対する部品の制限なしの回転運動は、ケーブルが機能を超えて捩じられ、切り取られ、又は連続的な回転がケーブルのコネクタを除去し得るという問題をもたらし得る。
【発明の概要】
【0010】
本発明の1つの目的は、取り付けアセンブリのアームが、改良されたやり方で取り付けアセンブリのベースに対して固定され得る、電子装置のための取り付けアセンブリを提供することである。本発明の更なる1つの目的は、不合理に高いレベルの緊密さを要求することなしに、好ましくは、取り付けアセンブリ内で使用される材料とは独立した、ロバストで強い固定機構を提供することである。
【0011】
本発明の更なる1つの目的は、構造を通る伝導路を実現するために固定された部品の導電性材料の使用と組み合わされ得る固定機構を提供することである。
【0012】
第1の態様によれば、上述の及び以下の説明から明らかとなる他の目的は、請求項1による電子装置のための取り付けアセンブリによって実現される。取り付けアセンブリは、電子装置に取り付けられるように構成された取り付け部分、取り付け表面に取り付けられるように構成されたベース、及びそれを介して取り付け部分がベースに連結されるところのアームを備える。取り付け部分は、取り付け部分がアームに対して固定された状態でチルト可能なように、アームに連結される。アームは、アームがアームの長手方向軸と平行な回転軸の周りでベースに対して固定された状態で回転可能なように、ベースに連結される。アームは、ハウジング、及びハウジングの内側に配置され固定突起が設けられた固定部材を備える。固定部材は、調整部材を調整することによって、固定部材がハウジングに対して変位可能であり、固定突起が回転軸に対して半径方向に変位可能なように、前記調整要素を介してハウジングに連結されている。ベースには、回転軸に対して一組の半径方向に延在する固定溝が設けられている。取り付けアセンブリは、ハウジングに対する固定部材の変位、したがって、固定突起の半径方向の変位に応じて、固定突起が一組の固定溝内の1つの固定溝によって受け入れられ、それによって、アームがベースに対して回転不可能に固定されるように構成されている。
【0013】
したがって、固定部材は、ベースに対するアームの回転運動における固定モードと固定解除モードとの間での調整のためにハウジングに対して変位可能である。固定部材が変位するときに、固定突起が回転軸に対して半径方向に変位するように、固定突起が固定部材の上に配置される。更に、固定部材がハウジングに対して変位するときに、したがって、固定突起が回転軸に対して半径方向に変位するときに、固定部材の固定突起がベースの固定溝の中へ摺動し固定溝によって受け入れられるように、取り付けアセンブリが構成される。固定溝が半径方向に延在していることによって、固定部材、したがって、アームの回転運動は、固定突起が固定溝の何れかの中に受け入れられているときに妨げられる。
【0014】
ベースに対してアームを回転不可能に固定するために提供される本発明の固定機構は、アームとベースとの間のインターフェース内の摩擦を誘発する材料の必要性を少なくとも低減させる。機械的な固定手段が設けられていることによって、固定機構が摩擦を誘発する材料によって提供される摩擦力のみに頼るのではないため、高いレベルの取り付けアセンブリの安定性及びロバストネスが実現される。本発明の構造は、摩耗に対しても耐性が高いだろう。
【0015】
上述の利点から利益を得るために、ベースに対するアームの回転運動は、完全には固定される必要がない。実際、取り付けアセンブリの通常の構成は、固定突起と固定突起が受け入れられる固定溝の寸法における差異によって、固定モードにおいてさえも小さな回転運動を可能にし得る。
【0016】
更なる1つの利点は、固定機構が、アームとベースとの間の伝導路を提供するために、導電性材料の使用と組み合わされ得るということである。例えば、固定部材、ベース(の部品)、及び調整部材(の部品)は、調整部材とベース(の部品)との間の伝導路を提供するために、鋼などの導電性材料で作られ得る。
【0017】
固定突起は、ベースに面する固定部材の表面上に設けられ得る。
【0018】
ベースの一組の固定溝は、半径方向に延在する溝の円形アレイ(circular array)として構成され得る。
【0019】
一組の固定溝は、固定突起を受け入れるように配置された誘導溝によって連結され得る。
【0020】
取り付けアセンブリは、取り付け部分のジョイント部材が、ハウジングに対する固定部材の変位に応じて、アームに対して位置的に固定されるように構成され得る。
【0021】
取り付けアセンブリは、楔部材とアームのハウジングとの間でジョイント部材を締め付けることによって、ジョイント部材がアームに対して位置的に固定されるように構成され得る。楔部材は、ハウジングの内側に配置され得る。固定部材と楔部材の当接面部分は、ジョイント部材を締め付けるためのハウジングに対する固定部材の変位に応じて、楔部材がジョイント部材に押し付けられるように傾斜し得る。
【0022】
取り付け部分は、更に、取り付け部分がアームに対して固定された状態で回転可能なように、アームに連結され得る。
【0023】
取り付け部分は、ボールジョイントを介してアームに連結され得る。ボールジョイントは、通常、チルト運動と回転運動の両方を可能にする。
【0024】
固定突起の半径方向の変位は、回転軸に対する半径方向外向きの変位として規定され得る。
【0025】
調整要素は、ねじであり得る。ねじは、調整のためにハウジングの外側からアクセス可能なように配置され得る。
【0026】
固定部材には、更なる固定突起が設けられ得る。固定部材は、調整部材を調整することによって、固定部材がハウジングに対して変位可能であり、更なる固定突起が回転軸に対して半径方向に変位可能なように、前記調整要素を介してハウジングに連結され得る。ベースには、回転軸に対して更なる一組の半径方向に延在する固定溝が設けられている。取り付けアセンブリは、ハウジングに対する固定部材の変位、したがって、更なる固定突起の半径方向の変位に応じて、更なる固定突起が更なる一組の固定溝内の1つの更なる固定溝によって受け入れられるように構成され得る。
【0027】
複数の固定突起を利用することによって、各々が、固定溝内に受け入れられるように配置され、構造が回転力に対してより高い抵抗性を持ち得る。この例示的な構造は、より大きな寸法の取り付けアセンブリに対して有益であり得る。
【0028】
固定要素は、金属などの導電性材料から作られ得る。
【0029】
取り付けアセンブリは、ベースに対するアームの回転運動を制限するように配置された回転ストップ部材を更に備え得る。好ましくは、回転運動が、360度よりわずかに上、すなわち、完全な一回転よりも少し上までに制限される。
【0030】
取り付け部分は、約90度の範囲において、アームに対して固定された状態でチルト可能であり得る。好ましくは、一回転をわずかに超える、ベースに対するアームの回転運動を許容することと組み合わせて、電子装置の広い範囲の可能な位置付けが可能になる。
【0031】
電子装置は、監視カメラ、熱センサ、ドアステーション(door station)、又はスピーカであり得る。
【0032】
第2の態様によれば、本発明は、第1の態様の一実施形態による、電子装置と取り付けアセンブリを備えたシステムに関する。取り付けアセンブリの構成の上述の実施例が、システムの取り付けアセンブリにも適用される。
【0033】
概して、請求項で使用される全ての用語は、本明細書で別段明示的に規定されない限り、該当技術分野における通常の意味に従って解釈されるべきである。本明細書において別段明示的に規定されない限り、「1つの/この(素子、機器、構成要素、手段、ステップなど)」の呼称は、前記素子、機器、構成要素、手段、ステップなどのうちの少なくとも1つの例を指すものとして広義に解釈される。
【0034】
本発明の上記開示の態様及びその他の態様を、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照しながら更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】表面に取り付けられた監視カメラと取り付けアセンブリを備えたシステムを示す。
図2】システムの分解図を示す。
図3】取り付けアセンブリの部品の構成を示す。
図4a】一組の固定溝に対する固定部材のある位置を示す。
図4b】一組の固定溝に対する固定部材の異なる位置を示し、両方が取り付けアセンブリの部品である。
図5】固定部材、一組の固定溝、及び回転ストップ部材の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
これより、本発明の現時点で好ましい実施形態を示す添付図面を参照して、本発明を以下により詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施され、本明細書に明記される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0037】
図1は、監視カメラ11の形態を採る電子装置と取り付けアセンブリ10とを備えた、システム1を示す。監視カメラ11は、監視されている光景の視覚映像又は熱画像をキャプチャするための視覚センサ又は熱センサを備え得る。
【0038】
取り付けアセンブリ10は、取り付け部分12の形態を採る第1の部品、アーム14の形態を採る第2の部品、及びベース16の形態を採る第3の部品を備える。監視カメラ11は、ねじなどによって取り付け部分12に取り付けられている。取り付けアセンブリ10の構造の1つの目的は、電子装置、この場合では監視カメラ11の表面19への取り付けを可能にすることである。表面19は、この実施例では、壁であるが、天井などの異なる配向を有する表面であり得る。取り付けアセンブリ10の構造の別の1つの目的は、取り付けアセンブリ10に取り付けられる電子装置の位置の設定及び調整を可能にすることである。この目的のために、示されている一実施形態では、取り付け部分12が、アーム14に対して固定された状態でチルト可能なように、アーム14に連結されている。取り付け部分12と、それに取り付けられた監視カメラ11は、したがって、13で示されているようにアーム14に対してチルトすることが可能である。この実施形態では、取り付け部分12が、0から約90度までの間隔でチルト可能である。
【0039】
この実施形態において、取り付けアセンブリ10は、取り付け部分12が、したがって、監視カメラ11も、取り付け部分12の長手方向軸17の周りで回転可能なように更に構成されている。取り付け部分12は、アーム14に対する取り付け部分12のチルト運動と回転運動の両方を可能にするために、ボールジョイントによってアーム14に連結されている。アーム14に対する取り付け部分12の望ましい運動機構を可能にするために、取り付けアセンブリ10内で他の種類のジョイントも使用され得る。
【0040】
アーム14は、回転軸18の周りでベース16に対して固定された状態で回転可能なように、ベース16に連結されている。したがって、アーム14は、15で示されているようにベース16に対して回転することが可能である。回転軸18は、アーム14の長手方向軸と平行であり、示されている実施例では、それらの軸が同じである。
【0041】
互いに対する取り付け部分12、アーム14、及びベース15の動きは、固定されるように構成されており、それは、取り付けアセンブリ10が、互いに対するそれらの部品のうちの1以上の潜在的な動きを固定するように構成され得ることを意味する。それぞれ、アーム14に対する取り付け部分12の動きとベース16に対するアーム14の動きは、取り付けアセンブリ10の異なる固定機構によって固定され得る。示されている一実施形態では、しかし、両方の動きのために1つの共通な固定機構が構成されている。次に、この共通な固定機構が、更に図2を参照しながら詳細に説明される。
【0042】
図2では、システム1が、分解図で示されている。例えば、監視カメラ11を電源に接続するためのケーブル29が、取り付けアセンブリ10を通って配置されている。取り付けアセンブリ10は、ケーブ29の捩じれを妨げるために互いに対してこれらの部品の回転運動を制限するために、取り付け部分12とアーム14との間のジョイントにおいて回転ストップ機構を有するように構成され得る。
【0043】
アーム14は、この実施形態では、第1のハウジングセクション21aと第2のハウジングセクション21bによって形成されたハウジングを備える。接合されたときに、第1及び第2のハウジングセクション21a、21bは、全体として円筒形状を有するハウジングを形成する。形成されたハウジング(内)の内側に、固定部材20が配置される。固定部材20は、ハウジングの一端において配置される。固定部材20の下面は、ベース16に向かって面する。
【0044】
楔部材23も、ハウジング(内)の内側に配置される。楔部材23は、固定部材20に当接する。
【0045】
ハウジングの他端において、取り付け部分12のジョイント部材が配置される。この実施形態では、ジョイント部材が、取り付け部分12をアーム14に連結させるボールジョイントの部分であるボール24によって形成されている。楔部材23とハウジングセクション21a、21bは、ボール24を受け入れるための、及び、ボール24がボールソケット内に配置されたときにボール24が除去されることを妨げるための、ボールソケットを形成する。
【0046】
ベース16は、ベース16を表面19に取り付けるための孔27a、27bが設けられた、プレート部材26を備える。
【0047】
ベース16は、溝部材28を更に備える。この実施形態では、溝部材28が、プレート部材26と共に形成されている。溝部材28とプレート部材26は、例えば、共に鋳造又は成形され得る。他の実施形態では、溝部材28が、別個の部品を形成し得る。回転ストップ部材60は、ベース16に対するアーム14の回転ストップ機能を可能にするために設けられている。回転ストップ部材60のデザインと機能は、図5との関連で詳細に説明される。
【0048】
図2を参照すると、溝部材28に、一組の固定溝22が設けられている。一組の固定溝22は、円形アレイとして構成されている。固定溝22は、取り付けアセンブリ10が組み立てられたときに、アーム14の回転軸18に対して半径方向に延在するように設けられている。
【0049】
ハウジングセクション21a、21bは、ハウジングを形成するように接合されたときに、アーム14がベース16に回転可能に固定されるように、ベースの一部分と係合するように配置される。言い換えると、取り付けアセンブリ10は、アーム14が、アーム14の長手方向軸に沿って動くことを妨げるように固定されるように配置される。この連結は、当業者にとって既知であり実現可能なアームとベースの異なる構造によっても実現可能であり得る。
【0050】
詳細には、取り付けアセンブリ10の固定機構の機能が、次に、図3図4a、及び図4bを更に参照しながら説明される。回転ストップ部材60は、本開示の機能の理解を容易にするために、これらの図面では示されていない。
【0051】
先ず、ベース16に対するアーム14の固定が、次に、説明される。この固定は、固定部材20と溝部材との間の相互作用によって提供される。この目的のために、固定部材20には、固定突起30が設けられている。この実施形態では、固定突起30が、溝部材28及び、したがって、ベース16に面する表面上に設けられる。
【0052】
固定部材20は、ハウジング、この実施形態では、第1のハウジングセクション21aに連結されるように配置される。連結は、33によって示されるように調整され得るねじ32の形態を採る、調整部材によって提供される。ねじ32は、ハウジングの外側からアクセス可能なように配置され、したがって、調整は取り付けアセンブリを解体することなしに実行され得る。
【0053】
ねじ32は、ハウジングセクション21aの孔35を通って、更に、固定部材20のネジが切られた孔31を通って配置される。ねじ32は、ハウジングに対する、この実施形態では、第1のハウジングセクション21aに対する固定部材20の位置を調整するために設けられている。具体的には、回転軸18に対する半径方向において見られるように、固定突起30の位置は、ねじ32によって調整可能にされている。この実施形態では、回転軸18が、ハウジングとアームの長手方向軸と同じである。言い換えると、ねじ32の調整によって、固定部材20は、ハウジングに対して変位可能であり、それによって、固定突起30が、回転軸18に対して半径方向に変位可能である。固定部材20の変位は、34によって示されている。
【0054】
固定部材20と溝部材28との間の相互作用は、図4a及び図4bで示されている。図4aでは、固定突起30が、回転軸18から半径方向外向きに、したがって、ハウジングに向かって変位されており、それによって、固定突起30は、一組の固定溝22内の1つの固定溝22aによって受け入れられている。固定突起30の変位は、上述されたように、ねじ32によってハウジングに対する固定部材20の位置を調整することによって実現される。固定突起30がこの位置にあると、ベース16に対するアーム14の固定モードが実現される。図4bでは、固定突起30が、41によって示されているように、回転軸18に向かって半径方向内向きに変位されている。固定突起30がこの位置にあると、ベース16に対するアーム14の固定解除モードが実現される。この位置では、固定部材20、したがって、アーム14が、ベース16に対して回転することが可能である。固定突起30は、この固定解除モードで、溝部材28の誘導溝40内に受け入れられる。この実施形態では、誘導溝40が、溝部材28の内側領域に向かってオープンである。一組の固定溝22は、固定突起30の受け入れを容易にするために、誘導溝40から見られるように、隣接する固定溝の入口の間に比較的小さなギャップを有して互いに接近するように設けられている。
【0055】
一実施例として、固定部材20が、図4bで示されるように配置されたときに、アーム14は、溝部材28に対して、したがって、ベース16に対して第1の位置から第2の位置へ回転され得る。第2の位置では、固定部材20が再びねじ32の調整によって変位され得る。それによって、固定突起30は、回転軸18から半径方向外向きに変位され、一組の固定溝22内の第2の固定溝内に受け入れられる。第2の固定溝は、図4bの固定溝22aとは別のものであってもよい。したがって、ベース16に対するアーム14の異なる回転位置が、回転運動の観点から固定され得る。
【0056】
次に、アーム14に対する取り付け部分12の固定が、今度は、説明される。図3を参照すると、楔部材23と固定部材20の当接面部分は、対応する方式で傾斜していることが見られ得る。具体的には、楔部材23が、ハウジングに向かう固定部材20の変位に応じて、ボール24に向けて上向きに押し付けられるように、当接表面部分が傾斜している。楔部材23がボール24に向けて押し付けられることによって、及び、ボールソケットの構造によって、ボール24が楔部材23とハウジングとの間で締め付けられる。したがって、ボール24の、したがって、取り付け部分12の任意の動きは固定される。ボール24は、取り付けアセンブリ10がこのモードに配置されたときに、アーム14に対して回転することもチルトすることもできない。
【0057】
楔部材23と固定部材20の傾斜面部分は、当接する必要がないことが理解される。ジョイント部材を締め付けるために、楔部材23を押しつける望ましい機能が、他の構造によっても実現され得る。例えば、楔部材23と固定部材20との間に、中間部材が設けられ得る。代替的な構成が、当業者には明らかである。
【0058】
取り付けアセンブリ10の開示された構造によって、アーム14に対する取り付け部分12の動きとべース16に対するアーム14の動きの両方が、単一の固定調整によって固定され得る。それは、ハウジングに対して固定部材20を変位させるためのねじ32の調整である。それに応じて、取り付けアセンブリ10の部品の動きが、固定部材20が逆方向へ変位される単一の固定解除調整によって可能になり得る。
【0059】
図5は、図2の取り付けアセンブリの部品を示す。
【0060】
溝部材28、したがってベースに対する、固定部材20、したがってアームの回転運動を制限するために、回転ストップ部材60が、固定部材20と溝部材28との間に設けられる。回転ストップ部材60は、全体的にプレート形状を有する。第1の突起64は、回転ストップ部材60が固定部材20と共に回転するように、回転ストップ部材60を固定部材20に動作可能に連結させるために設けられている。第1の突起64は、回転ストップ部材60に面する(固定部材20の)表面内に設けられた開口部又は溝内に受け入れられ得る。第2の突起61は、溝部材28の内面65に沿って突出し動くように配置されている。ストップ要素63が、溝部材28の内面65に沿って設けられ、第2の突起61が回転の間に通過することを妨げるように配置されている。この構造によって、回転ストップ部材60、及びしたがって固定部材20は、無限に回転することができない。この機能は、構造を通って設けられ得るケーブルが、機能を超えて捩じられることを妨げ保護する。
【0061】
間隙62が、固定突起30が溝部材28及び特に一組の固定溝22に到達することを可能にするために、回転ストップ部材60に設けられている。間隙62は、回転ストップ部材60に対する固定部材20の回転運動における柔軟性を提供するために、固定突起30よりも断面がより大きく設計されている。それによって、固定部材20は、第2の突起61がストップ要素63とぶつかって更なる回転を妨げられたときに、固定突起30の寸法に対して間隙62の寸法によって設定される距離に応じて、わずかに更に回転することが可能である。この構造は、固定部材20が、完全な回転、すなわち、360度よりもわずかに上の回転範囲において回転することを可能にする。
【0062】
異なる材料が、取り付けアセンブリ10の部品に対して使用され得る。特に、少なくとも固定部材20、ねじ32によって例示されている調整部材、及び溝部材28が、金属で作られていることは有利であり得る。それによって、伝導路は、ねじ32から固定部材20を通って溝部材28まで繋がるように実現され得る。その後、固定部材20と調整部材は、容易に接地され得る。それは、EMC、EMS、又はECD規制などの、装置規制を満たすために有利である。
【0063】
取り付けアセンブリの代替的な一実施形態において、固定部材には、2以上の固定突起が設けられ得る。固定部材には、上述の実施形態による(第1の)固定突起と、更に、更なる(第2の)固定突起とが設けられ得る。そのような一実施形態では、溝部材に、複数の組の固定溝が設けられている。溝部材には、上述の実施形態による(第1の)一組の固定溝と、更に、更なる(第2の)一組の固定溝とが設けられ得る。したがって、固定部材には、第1の固定突起と第2の固定突起が設けられ得る。第1及び第2の固定突起は、アームの回転軸からの異なる距離において半径方向に位置合わせされ、配置され得る。固定突起は、溝部材に面する、特に、溝部材の複数の組の固定溝に面する表面上に設けられ得る。ベースに対するアームの固定機構は、上述の実施形態と同じ原理に従う。固定部材が、例えば、ねじの調整によって、アームのハウジングに対して変位されたときに、固定突起は、アームの回転軸に対して半径方向に変位される。固定突起の各々は、それぞれの組の固定溝内の1つの固定溝内に受け入れられる。固定突起が固定溝に受け入れられたときに、固定部材、したがって、アームは、溝部材、したがって、ベースに対して、回転運動の観点から固定される。複数の固定突起を利用することによって、各々が、固定溝内に受け入れられるように配置され、構造が回転力に対してより高い抵抗性を持ち得る。この例示的な構造は、より大きな寸法の取り付けアセンブリに対して有益であり得る。
【0064】
取り付けアセンブリの異なる実施形態の説明の理解を容易にするために、取り付け部分12、アーム14、及びベース16が提供されたことに留意されたい。しかし、特許請求される取り付けアセンブリの構造は、その部品(取り付け部分、アーム、ベース)と、各部品内に備えられるように開示された、その構成要素(例えば、固定部材、楔部材、ジョイント部材、溝部材)のこの分割の使用に従属しない。したがって、取り付けアセンブリの多くの異なる構成が、特許請求の範囲内で可能であり、当業者にとって実現できることは明らかである。
【0065】
上述された取り付けアセンブリの固定構造は、ベースが固定部材を備え、アームが一組の固定溝を有する溝部材を備える、逆の方式で構成され得ることに留意されたい。
【0066】
当業者は、本発明が如何なる意味においても、上述した好ましい実施形態に限定されないことを理解するであろう。むしろ、添付の特許請求項の範囲内で多くの修正例及び変形例が可能である。例えば、取り付け部分とアームとの間の連結は、上述されたものに対する代替的な構造によって実現され得る。連結は、回転運動を可能にすることなしに、取り付け部分がアームに対してチルトできるようにするために提供され得る。現在、固定突起をベースに面する固定部材の表面上に配置することが好ましいとしても、取り付けアセンブリは、固定部材の側面上に固定突起が設けられるように設計され得る。これらの実施例の組み合わせも、可能であり得る。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5