(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、以下の説明は、当業者が本発明を充分に理解するために提供されるので、これらの説明によって、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図すると解釈されるべきではない。
【0015】
本発明の実施形態の導光板の製造方法は、
(A)二つの搬送体の間の二つのスタンパの間に配置された被転写体を準備すること;
(B)二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体を加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて加圧して、被転写体の少なくとも一方の表面に、少なくとも一方のスタンパの表面形状を転写すること(第1転写工程);
(C)二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体を保温し、保圧して、被転写体の少なくとも一方の表面に、少なくとも一方のスタンパの表面形状の転写を続けること(第2転写工程);
(D)被転写体を取り出すこと;及び
(E)二つのスタンパの間の被転写体を、二つの搬送体で略密封状態に保持して、(B)第1転写工程から(C)第2転写工程に搬送すること
を含む。
【0016】
本明細書において「導光板」とは、側方から入れた光を拡散させて、表面から光を出射する、一般的に導光板として理解されるものをいう。導光板は、例えば、スマートフォン、携帯電話、モバイル端末、携帯情報端末(PDA)、タブレット型パーソナルコンピューター(PC)、ノート型PC、車載用インストルメントパネル、PC用表示モニター等の液晶表示パネルのバックライト、及び例えば、スマートフォン、携帯電話、モバイル端末、携帯情報端末(PDA)、タブレット型パーソナルコンピューター(PC)、ノート型PC等のキーボードのバックライト等の照明装置内部で使用される。
【0017】
「導光板」の厚さは、特に制限されることはなく、一般的に、例えば、0.1〜3.0mmであってよいが、薄肉であることが表示装置の小型化の観点から好ましい。導光板の厚さは、0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.2〜2.0mmであることがより好ましく、0.2〜1.6mmであることが特に好ましい。
【0018】
「導光板」の大きさは、特に制限されることはないが、一般的に、例えば、縦50〜350×横80〜600mmであってよいが、縦50〜300×横80〜500mmであってよく、縦50〜250×横80〜450mmであることがより好ましく、縦50〜200×横80〜300mmであることが特に好ましい。
【0019】
本発明の実施形態の製造方法は、二つの(又は一組の)搬送体の間の二つのスタンパの間に配置された被転写体が準備すること(以下「(A)工程」ともいう)を含む。
目的とする導光板を製造することができる限り、搬送体、スタンパ及び被転写体を配置する順序等は、特に制限されることはなく、被転写体を二つのスタンパの間に配置した後、更に二つの搬送体の間に配置してもよいし、二つの搬送体の間に二つのスタンパを配置し、更にその二つのスタンパの間に被転写体を配置してもよい。
【0020】
本明細書において「被転写体」とは、加熱することによって可塑化する熱可塑性樹脂でできており、平板状であって、後述するスタンパの表面形状が、被転写体の表面に転写可能であり、本発明が目的とする導光板を得ることができる限り、特に制限されることはない。
【0021】
本明細書において被転写体に使用される「熱可塑性樹脂」として、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート−スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、ポリスチレン(PS)、シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂、環状オレフィンコポリマー(COC)、植物由来のイソソルバイド(イソソルビド)が主原料のバイオポリカーボネート系樹脂、ファンクショナルノルボルネン系樹脂、及びコポリエステル樹脂等を例示することができる。熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート及び/又はアクリル樹脂等を含むことが好ましい。
【0022】
被転写体は、熱可塑性樹脂のフィルム又はシート(以下「フィルム」ということがある)であることが好ましい。
本明細書で「フィルム又はシート」とは、熱可塑性樹脂を薄い膜状に成形したものをいう。
フィルム又はシートの厚さ及び大きさは、目的とする導光板を得ることができる限り、特に制限されることはないが、上述の「導光板」の厚さ及び大きさを参照することができる。
【0023】
本発明の実施形態の製造方法では、(A)工程で、二つのスタンパが使用され、被転写体は、二つのスタンパの間に配置されている。
本明細書において、二つの「スタンパ」は、いずれも平板状の形態を有し、二つのスタンパの少なくとも一方のスタンパの片面に、被転写体の表面に転写されるパターンが形成されており、本発明が目的とする導光板を得ることができる限り、特に制限されることはない。
表面にパターンが形成されているスタンパと接触する被転写体の表面に、スタンパのパターンが転写される。
両方のスタンパの片面に、被転写体の表面に転写されるパターンが各々形成されていてもよい。この場合、被転写体の両方の表面にパターンが形成される。
【0024】
被転写体の表面と接しないスタンパの表面であって、パターンが形成されていないスタンパの表面は、鏡面であることが好ましい。
被転写体の表面と接しないスタンパの表面は、パターンが形成されている必要は無いが、加圧及び加熱をより均一に行えることを考慮すると、凹凸が少ないことが好ましく、平坦であることがより好ましく、鏡面であることが更により好ましい。
【0025】
「スタンパ」は、被転写体を加圧し、加熱する際に、変形等しない材料でできていればよく、そのような材料として、例えば、ニッケル、ステンレス、銅、及び鉄等の金属、硬質樹脂材料、及びセラミックス材料等を例示することができる。
【0026】
二つのスタンパの少なくとも一方のスタンパの片面に、パターンが形成されており、パターンの形状は、目的とする導光板に応じて適宜選択することができる。また、スタンパの大きさも、目的とする導光板に応じて適宜選択することができる。
【0027】
本明細書において二つの「搬送体」とは、被転写体を間に配置した二つのスタンパを外側から保持することができ、本発明が目的とする導光板を製造することができる限り、特に制限されることはない。
【0028】
更に、「搬送体」は、被転写体を間に配置した二つのスタンパを外側から保持して搬送する間に破損等しない強度があり、更に、後述する加圧、加熱する際に、変質等しないことが好ましい。
【0029】
「搬送体」は、長尺状であっても、枚葉状であってもよい。搬送体は、長尺状である場合、後述する表面形状のずれ(スタンパの位置ずれ)を、更に抑制できるので好ましい。
搬送体は、長尺状である場合、例えば、厚さ0.05〜0.5mmであってよく、厚さ0.075〜0.4mmであってよく、厚さ0.075〜0.35mmであってよい。幅は、被転写体及びスタンパの中の縦及び横の寸法の中で、最も大きな寸法より、0.5〜1.0cm大きくてよく、1.0〜2.0cm大きくてよく、2.0〜3.0cm大きくてよい。
【0030】
搬送体は、枚葉状である場合、例えば、厚さは、上述の長尺状と同様でよく、0.05〜0.5mmであってよく、0.075〜0.35mmであってよく、0.075〜0.4mmであってよい。
【0031】
更に、「搬送体」は、二つのスタンパの間に配置された被転写体を外側から完全に覆うことができることが好ましく、シート(フィルム又はシート状)であることがより好ましい。本明細書において、シートとは、薄くて広い形態をいう。
【0032】
搬送体は、被転写体を間に配置した二つのスタンパを外側から保持して搬送し、後述する(B)工程及び(C)工程で、加熱、加圧する際に、変質等しないことが好ましいことから、熱可塑性樹脂シート、ゴムシート及び金属シート等から適宜選択することができる。
そのような搬送体に使用される熱可塑性樹脂シートとして、一般的に使用可能温度が高いとされる樹脂のシートを例示することができる。例えば、二軸延伸ポリエステル、二軸延伸ポリフェニレンサルファイド(PPS)、セロハン、二軸延伸ナイロン、及びポリイミド等を例示できる。これらの使用可能温度の上限は、一般的に、例えば、二軸延伸ポリエステル(180℃)、二軸延伸ポリフェニレンサルファイド(PPS)(200℃)、セロハン(191℃)、二軸延伸ナイロン(177℃)、ポリイミド(400℃)である。
【0033】
本発明の実施形態の製造方法は、二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体が加熱され、ダイアフラム式加圧手段を用いて加圧されて、被転写体の少なくとも一方の表面に、少なくとも一方のスタンパの表面形状が、転写されること(以下「(B)工程」又は「(B)第1転写工程」ともいう)を含む。
【0034】
二つの搬送体の間の二つのスタンパの間に配置された被転写体は、二つの搬送体の外側から、加熱される。目的とする導光板を得ることができる限り、加熱温度及び加熱手段等は特に限定されることはない。
【0035】
(B)工程において、被転写体が変形され得る程度の温度(被転写体の「熱変形温度」ともいう)より高い温度(「(B)工程の加熱温度」ともいう)に加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて加圧することが好ましい。
【0036】
本明細書において、被転写体の「熱変形温度」とは、ISO 75に記載の方法に準じて測定される温度をいい、より具体的には、実施例に記載した方法で測定される温度をいう。
被転写体の「熱変形温度」として、例えば、ポリカーボネートでは124℃、ポリメチルメタクリレート(PMMA)では85℃、メチルメタクリレート−スチレン共重合樹脂(MS樹脂では80℃)、ポリスチレン(PS)では75℃、シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂では92℃、植物由来のイソソルバイド(イソソルビド)が主原料のバイオポリカーボネート系樹脂では90℃を例示できる。
【0037】
(B)工程では、その被転写体の「熱変形温度」より高い温度((B)工程の加熱温度)に加熱する。
その(B)工程の加熱温度は、被転写体の「熱変形温度」より高いが、被転写体の「熱変形温度」より高くとも80℃高いことが好ましい。
【0038】
本明細書では「加熱手段」として、一般的に使用されるヒーターを使用することができる。ヒーターは、搬送体等と接する面が、平板状であることが好ましい。加熱手段として、例えば、カートリッジヒータ及びプレートヒータ等を使用することができる。
【0039】
二つの搬送体の上下に二つの加熱手段(又は加熱装置)を配置することができる。更に、一方の搬送体とそれに面する加熱手段との間に後述するダイアフラム式加圧手段の膜状弾性体を配置することができる。
搬送体を加熱手段と接触させることで、被転写体を加熱することができる。
【0040】
更に、上述の加熱手段と接触していない搬送体を、後述するダイアフラム式加圧手段の膜状弾性体で加圧して、被転写体を加熱することができる。
また、後述するダイアフラム式加圧手段の膜状弾性体を、搬送体と加熱手段の間に配置して、この3者を接触させることで、膜状弾性体を介して被転写体を加熱することができる。
【0041】
更に、二つの搬送体の間の二つのスタンパの間に配置された被転写体は、二つの搬送体の外側から、加圧される。加圧は、ダイアフラム式加圧手段を用いて行い、目的とする導光板を得ることができる限り、圧力は特に限定されることはない。
【0042】
本明細書において「ダイアフラム式加圧手段」とは、平板状の材料(即ち、被転写体の外側のスタンパの外側の搬送体)に膜状の弾性体を接触させ、その弾性体を、例えば、空気及び窒素等の気体による圧力で加圧することによって加圧する加圧手段をいい、本発明が目的とする導光板を製造することができる限り、特に制限されることはない。膜状の弾性体、気体及び圧力等、適宜選択することができる。膜状の弾性体を使用して、気体による圧力を用いて加圧することで、より均一な加圧を達成することができるので、好ましい。更に、スタンパ及び被転写体に、多少の厚さの不均一性が存在しても、ダイアフラム式加圧手段を用いると、その不均一な形状に対応して、より均一な加圧を達成することができる。
「弾性体」として、例えば、シリコーンゴム及びネオプレーンゴム(NBR)等を例示することができ、耐熱性の観点でシリコーンゴムが好ましい。
【0043】
ダイアフラム式加圧手段を用いて、更に、二つのスタンパの間の被転写体を減圧した状態で、搬送体の外側から加圧することができる。その結果、空気による影響を減少させることができ、被転写体に使用される熱可塑性樹脂が、スタンパのパターン形状を、より正確に再現することができ、より好ましい。
【0044】
加圧する圧力は、250〜2000kPaであることが好ましく、500〜1500kPaであることがより好ましく、750〜1250kPaであることが更により好ましく、900〜1100kPaであることが特に好ましい。
【0045】
加熱し、加圧する時間は、加熱する温度及び加圧する圧力に応じて、適宜選択することができるが、20〜150秒であることが好ましく、30〜120秒であることがより好ましく、40〜100秒であることが更により好ましく、50〜90秒であることが特に好ましく、60〜80秒であることが最も好ましい。
【0046】
本発明の実施形態の製造方法は、二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体は保温され、保圧されて、被転写体の少なくとも一方の表面への、少なくとも一方のスタンパの表面形状の転写が続けられること((C)工程又は(C)第2転写工程)を含む。
【0047】
二つの搬送体の間の二つのスタンパ(14、16)の間に配置された被転写体は、その二つの搬送体の外側から、保温される。目的とする導光板を得ることができる限り、保温の温度、保温手段等は特に限定されることはない。
【0048】
(C)工程において、(B)工程の加熱温度より低い温度に保温し、保圧することが好ましい。
【0049】
保温する温度は、(B)工程の加熱温度より、10〜150℃低いことが好ましく、50〜140℃低いことがより好ましく、90〜130℃低いことが更により好ましく、110〜120℃低いことが特に好ましい。
更に、(C)工程において、被転写体の熱変形温度より低い温度に保温し、保圧することが好ましい。
【0050】
保温手段として、一般的に使用されるヒーターを使用することができる。例えば、カートリッジヒータ及びプレートヒータ等を使用することができる。
二つの搬送体の少なくとも片方を保温手段と接触させることで、保温することができる。二つの搬送体の両方を保温手段と接触させることで、保温することが好ましい。
【0051】
二つの搬送体の間の二つのスタンパの間に配置された被転写体は、二つの搬送体(21、25)の外側から、保圧される。目的とする導光板を得ることができる限り、保圧の圧力、保圧手段等は特に限定されることはない。
【0052】
保圧する圧力は、100〜2000kPaであることが好ましく、150〜1000kPaであることがより好ましく、200〜500kPaであることが更により好ましく、250〜350kPaであることが特に好ましい。
保圧手段として、例えば、油圧又は空気圧を用いることが好ましい。保圧手段として、上述の保温手段をそのまま兼用することができる。
【0053】
保温し、保圧する時間は、保温する温度及び保圧する圧力に応じて、適宜選択することができるが、20〜150秒であることが好ましく、30〜120秒であることがより好ましく、40〜100秒であることが更により好ましく、50〜90秒であることが特に好ましく、60〜80秒であることが最も好ましい。
【0054】
被転写体の保温、保圧は、例えば、上述の保温手段を二つ使用して行うことができる。即ち、二つの保温手段を二つの搬送体の上下に配置し、保温手段と搬送体を接触させて行うことができる。
【0055】
(B)工程において、被転写体の熱変形温度より高い温度に加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて加圧し、
(C)工程において、(B)工程の加熱温度より低い温度に保温し、保圧することが好ましい。
【0056】
(B)工程において、被転写体の熱変形温度より最大で80℃高い温度に加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて500〜1500kPaに加圧し、
(C)工程において、(B)工程の加熱温度より50〜140℃低い温度に保温し、150〜1000kPaに保圧することがより好ましい。
【0057】
(B)工程において、被転写体の熱変形温度より最大で80℃高い温度に加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて750〜1250kPaに加圧し、
(C)工程において、(B)工程の加熱温度より50〜140℃低い温度に保温し、200〜500kPaに保圧することが更により好ましい。
【0058】
(B)工程において、被転写体の熱変形温度より最大で80℃高い温度に加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて900〜1100kPaに加圧し、
(C)工程において、(B)工程の加熱温度より50〜140℃低い温度に保温し、250〜350kPaに保圧することが特に好ましい。
【0059】
本発明の実施形態の製造方法は、被転写体を取り出すこと(以下「(D)工程」ともいう)を含む。
搬送体を除去し、スタンパから被転写体を取り出してもよいし、搬送体を除去することなくスタンパから被転写体を取り出してもよく、本発明が目的とする導光板を得られる限り、被転写体を取り出す方法は、特に制限されることはない。
搬送体が、長尺状の場合、片方の搬送体を巻き取ることで、搬送体を除去することができる。
【0060】
本発明の実施形態の製造方法は、二つのスタンパの間の被転写体は、二つの搬送体で略密封状態に保持されて、(B)工程から(C)工程に搬送されること(以下「(E)工程」ともいう)を含む。
【0061】
本発明の実施形態の製造方法では、(B)工程で加熱し、加圧された、二つのスタンパの間の被転写体は、二つの搬送体の間に保持された状態で、(C)工程に搬送される。その搬送の際、被転写体は、二つの搬送体の間で、二つのスタンパと一緒に、略密封状態に保持される。
【0062】
略密封状態は、(B)工程で、ダイアフラム式加圧手段を用いて被転写体を加圧する際に、被転写体を二つの搬送体及び二つのスタンパと一緒に減圧した後、二つの搬送体の外側から加圧することで達成することができる。
【0063】
被転写体を(B)工程から(C)工程に搬送することで、加熱、加圧工程である(B)工程と、保温、保圧工程である(C)工程を、分離することができ、各々を専用工程とすることができる。各々を専用工程とすることができるので、各々に専用装置を用いることができ、より効率的に導光板を製造することができる。
【0064】
更に、(B)工程から(C)工程に被転写体を搬送するにもかかわらず、スタンパと被転写体のずれが生じ、被転写体に形成されるパターンにずれ、不明瞭化、不均一化等を生じない。二つの搬送体を用いて、被転写体とスタンパを略密封状態に保持することで、パターンのずれ(即ち、表面形状のずれ)等を防止することができる。
【0065】
本発明の実施形態の導光板の製造装置は、
(I)二つの搬送体の間の二つのスタンパの間に配置された被転写体を準備する配置部;
(II)二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体を加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて加圧して、被転写体の少なくとも一方の表面に、少なくとも一方のスタンパの表面形状を転写する第1転写部;及び
(III)二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体を保温し、保圧して、被転写体の少なくとも一方の表面に、少なくとも一方のスタンパの表面形状の転写を続ける第2転写部
(IV)被転写体を取り出す取出部;及び
(V)二つのスタンパの間の被転写体を、二つの搬送体で略密封状態に保持して、(II)第1転写部から(III)第2転写部に搬送する搬送部
を含む。
【0066】
本発明の実施形態の製造方法で記載した、「搬送体」、「スタンパ」、「被転写体」、「加熱」、「加熱手段」、「ダイアフラム式加圧手段」、「加圧」、「保温」、「保温手段」、「保圧」、「保圧手段」、「略密封状態に保持」等については、本発明の実施形態の製造装置にそのまま適用できる。
【0067】
本発明の実施形態の製造装置は、二つの搬送体の間の二つのスタンパの間に配置された被転写体を準備する(I)配置部を含む。
配置部は、搬送体が長尺状の場合、二つの搬送体の巻だし部を有し、下の搬送体を保持するためのベルトコンベアを有することが好ましい。
【0068】
本実施形態の製造装置は、二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体を加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて加圧して、被転写体の少なくとも一方の表面に、少なくとも一方のスタンパの表面形状を転写する(II)第1転写部を含む。
【0069】
第1転写部は、ダイアフラム式加圧手段と加熱手段を含む。第1転写部は、上部と下部に分離可能な容器を有することが好ましい。ダイアフラム式加圧手段は、膜状弾性体を有し、膜状弾性体は、下部容器の上部開口直下に開口全体を覆うように配置され、下部容器の膜状弾性体と接するように、その下に加熱手段が配置されることが好ましい。上部容器にも、膜状弾性体と対向して加熱手段が配置されることが好ましい。上部容器と下部容器は、共に少なくとも1つの穴を有することが好ましく、その穴を通して、排気又は給気可能なことが好ましい。
【0070】
上部容器と下部容器は、開口部を合わせると、容器外部に対する気密性を保てることが好ましい。搬送体が枚葉状の場合、被転写体を含む搬送体全体を、上部容器と下部容器を合わせたときの内部空間に完全に含むことができることが好ましい。搬送体が長尺状の場合、上部容器と下部容器の間にたとえ搬送体を挟んだとしても、容器外部に対する気密性を保てることが好ましい。
【0071】
(II)第1転写部は、被転写体の熱変形温度より高い温度(「第1転写部の加熱温度」ともいう)に加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて加圧することが好ましい。
【0072】
本実施形態の製造装置は、二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体を保温し、保圧して、被転写体の少なくとも一方の表面に、少なくとも一方のスタンパの表面形状の転写を続ける(III)第2転写部を含む。
【0073】
第2転写部は、保温手段と保圧手段を含む。保圧手段として、保温手段を用いることもできる。第2転写部は、上部と下部に分離可能な容器を有することが好ましい。下部容器と上部容器の各々に、対抗するように一対の保温手段が配置されていることが好ましい。
第2転写部では、一対の保温手段が、搬送体の外側から被転写体で挟むことで、保圧手段も兼ねることが好ましい。
【0074】
(III)第2転写部は、第1転写部の加熱温度より低い温度に保温し、保圧することが好ましい。
更に、(III)第2転写部は、被転写体の熱変形温度より低い温度に保温し、保圧することが好ましい。
【0075】
(II)第1転写部は、被転写体の熱変形温度より高い温度に加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて加圧し、
(III)第2転写部は、第1転写部の加熱温度より低い温度に保温し、保圧することが好ましい。
【0076】
(II)第1転写部は、被転写体の熱変形温度より最大で80℃高い温度に加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて500〜1500kPaに加圧し、
(III)第2転写部は、第1転写部の加熱温度より50〜140℃低い温度に保温し、150〜1000kPaに保圧することがより好ましい。
【0077】
(II)第1転写部は、被転写体の熱変形温度より最大で80℃高い温度に加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて750〜1250kPaに加圧し、
(III)第2転写部は、第1転写部の加熱温度より50〜140℃低い温度に保温し、200〜500kPaに保圧することが更により好ましい。
【0078】
(II)第1転写部は、被転写体の熱変形温度より最大で80℃高い温度に加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて900〜1100kPaに加圧し、
(III)第2転写部は、第1転写部の加熱温度より50〜140℃低い温度に保温し、250〜350kPaに保圧することが特に好ましい。
【0079】
本実施形態の製造装置は、被転写体を取り出す(IV)取出部を含む。
取出部は、搬送体が長尺状の場合、二つの搬送体の巻込部を有し、下の搬送体を保持するためのベルトコンベアを有することが好ましい。
【0080】
本実施形態の製造装置は、二つのスタンパの間の被転写体を、二つの搬送体で略密封状態に保持して、第1転写部から第2転写部に搬送する(V)搬送部を含む。
【0081】
搬送部は、搬送体が枚葉状の場合、アーム等の装置を有し、一つずつ搬送することが好ましい。
搬送体が長尺状の場合、巻き出し部、巻き込み部、搬送ローラー等を含み、これらを用いて搬送することが好ましい。
搬送部は、第1転写部から第2転写部への搬送のみならず、配置部から取出部までの製造装置全体を通して搬送する搬送部であってもよい。
【0082】
図1は、本発明の一の実施形態の導光板の製造装置を模式的に示す。
図1の製造装置は、長尺状の二つの搬送体(21、25)を有し、その搬送体(21、25)が通る第1転写部(40)と第2転写部(50)を有する。第1転写部(40)より上流部分の搬送体(21、25)は配置部(20)を兼ね、第2転写部(50)より下流部分の搬送体(21、25)は取出部(30)を兼ねる。
更に、搬送体(21、25)は、第1転写部(40)と第2転写部(50)の間で、搬送部も兼ねる。
【0083】
下側の搬送体(21)は、巻だし部(22)から巻出され、ローラー(23)を通り、コンベア(24)上を送られる。上側の搬送体(25)は、巻だし部(26)から巻出され、ローラー(27)を通る。
二つの搬送体(21、25)は、一緒に第1転写部(40)と第2転写部(50)を通る。
下側の搬送体(21)は、コンベア(34)上を送られ、ローラー(33)を通り、巻き込み部(32)で、巻き込まれる。上側の搬送体(25)は、ローラー(37)を通り、巻き込み部(36)で、巻き込まれる。
【0084】
コンベア(24)上の下側搬送体(21)に、二つのスタンパ(14、16)の間の被転写体(12)が配置される。予め二つのスタンパ(14、16)の間に挟んだ被転写体(12)を、コンベア(24)上に配置してよく、スタンパ(16)、被転写体(12)、スタンパ(14)の順にコンベア(24)上に配置してもよく、配置方法は特に制限されることはない。
【0085】
搬送体(21、25)の巻出しと巻き取りを行うと同時に、コンベア(24、34)及びローラー等を適宜動かすことで、二つのスタンパ(14、16)の間に配置された被転写体(12)は、二つの搬送体(21、25)の間に挟まれる。引き続き二つの搬送体(21、25)の巻出しと巻き取りを行うことで、二つのスタンパ(14、16)の間に配置された被転写体(12)は、第1転写部(40)に移動する。
【0086】
第1転写部(40)は、上下に分離可能な上側容器(41)と下側容器(45)を有する。上側容器(41)は、通気口(42)を有し、排気及び給気することができる。上側容器(41)内に、加熱手段(ヒーター)(43)が配置されている。下側容器(45)にも、通気口(46)があり、排気及び給気することができる。下側容器(45)の上部開口近くに、ダイアフラム式加圧手段(膜状弾性体)(48)が設けられており、その下に加熱手段(ヒーター)(47)が配置されている。上側容器(41)と下側容器(45)は、両方共シール(49)を有し、両者の開口部を合わせると密着させることができる。
【0087】
図2A及びBを参照して、第1転写部(40)での加熱と加圧を説明する。両方の加熱手段(43、47)を所定温度に加熱しながら、両方の通気口(42、46)から上側容器内と下側容器内の両方の内部を減圧する(
図2A参照)。その後、通気口(46)のみから加圧すると、ダイアフラム式加圧手段(48)が、被転写体(12)を搬送体(25)の下側から持ち上げて、加熱手段(43)に押し付ける(
図2B参照)。ダイアフラム加圧手段の上側は減圧されているので、二つの搬送体(21、25)同士は密着されている。
【0088】
加熱及び加圧終了後、上側容器(41)と下側容器(45)の開口部を解放する。
二つの搬送体(21、25)の巻出しと巻き取りを行うことで、二つの搬送体(21、25)の間の二つのスタンパ(14、16)の間に配置された被転写体(12)は、第2転写部(50)に移動する。
【0089】
第2転写部(50)は、上側と下側の両側に保温手段(53、57)を有する保圧手段(51、55)を有する。
図3を参照しながら、第2転写部(50)の詳細について説明する。二つの保温手段(53、57)を、所定の温度に加熱し、上側と下側から二つの保温手段(53、57)を用いて、二つの搬送体(21、25)の間の二つのスタンパ(14、16)の間に配置された被転写体(12)を、所定の圧力で保持する。
【0090】
保温及び保圧終了後、二つの搬送体(21、25)の巻出しと巻き取りを行うことで、二つのスタンパ(14、16)の間に配置された被転写体(12)は、第2転写部から、コンベア(34)に移動する。その際に、ローラー(37)によって、上側の搬送体(25)は、剥離され、下側搬送体(21)上に、二つのスタンパ(14、16)の間の被転写体(12)が取り出される。
【0091】
本発明は、上述の製造方法で製造された、片面又は両面にパターンが形成された、導光板を提供する。
更に、本発明は、上述の製造方法で製造された導光板を有する表示デバイスを提供する。
【0092】
本発明は、MVR(メルトボリュームフローレイト:300℃、1.2kg)が、10〜90であり、重量平均分子量(Mw)が、16000〜28000であるポリカーボネートでできている、100〜3000μmの厚さを有する、ポリカーボネート導光板を提供する。
本発明は、上述の導光板を有する表示デバイスを提供する。
【0093】
本発明の形態の導光板は、例えば、液晶表示パネルのバックライト、及びキーボードのバックライト等の照明装置内部で使用され、本発明は、そのような照明装置を提供する。
【0094】
更に、そのような照明装置は、例えば、スマートフォン、携帯電話、モバイル端末、携帯情報端末(PDA)、タブレット型パーソナルコンピューター(PC)、ノート型PC、車載用インストルメントパネル、PC用表示モニター等の表示デバイスとして使用され、本発明は、そのような表示デバイスを提供する。
本明細書は、以下の形態を含む。
1.
(A)二つの搬送体の間の二つのスタンパの間に配置された被転写体を準備すること;
(B)二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体を加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて加圧して、被転写体の少なくとも一方の表面に、少なくとも一方のスタンパの表面形状を転写すること;
(C)二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体を保温し、保圧して、被転写体の少なくとも一方の表面に、少なくとも一方のスタンパの表面形状の転写を続けること;
(D)被転写体を取り出すこと;及び
(E)二つのスタンパの間の被転写体を、二つの搬送体で略密封状態に保持して、(B)工程から(C)工程に搬送すること
を含む、導光板の製造方法。
2.
被転写体は、熱可塑性樹脂のフィルムである、上記1に記載の方法。
3.
搬送体は、二軸延伸ポリエステル、二軸延伸ポリフェニレンサルファイド、セロハン、二軸延伸ナイロン、及びポリイミドから選択される樹脂のシートである、上記1又は2に記載の方法。
4.
(B)工程において、被転写体の熱変形温度より高い温度に加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて加圧し、
(C)工程において、(B)工程の加熱温度より低い温度に保温し、保圧する、上記1〜3のいずれか1つに記載の方法。
5.
薄肉の導光板を製造する、上記1〜4のいずれか1つに記載の方法。
6.
(I)二つの搬送体の間の二つのスタンパの間に配置された被転写体を準備する配置部;
(II)二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体を加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて加圧して、被転写体の少なくとも一方の表面に、少なくとも一方のスタンパの表面形状を転写する第1転写部;及び
(III)二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体を保温し、保圧して、被転写体の少なくとも一方の表面に、少なくとも一方のスタンパの表面形状の転写を続ける第2転写部
(IV)被転写体を取り出す取出部;及び
(V)二つのスタンパの間の被転写体を、二つの搬送体で略密封状態に保持して、(II)第1転写部から(III)第2転写部に搬送する搬送部
を含む、導光板の製造装置。
7.
被転写体は、熱可塑性樹脂のフィルムである、上記6に記載の製造装置。
8.
搬送体は、二軸延伸ポリエステル、二軸延伸ポリフェニレンサルファイド、セロハン、二軸延伸ナイロン、及びポリイミドから選択される樹脂のシートである、上記6又は7に記載の方法。
9.
第1転写部において、被転写体の熱変形温度より高い温度に加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて加圧し、
第2転写部において、第1転写部の加熱温度より低い温度に保温し、保圧する、上記6〜8のいずれか1つに記載の製造装置。
10.
薄肉の導光板を製造する、上記6〜9のいずれか1つに記載の製造装置。
【実施例】
【0095】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
尚、実施例の記載において、特に記載がない限り、溶媒を考慮しない部分を、重量部及び重量%の基準としている。
【0096】
<実施例1>
50cm×50cmの第1転写容器内に、水平方向に配置された対抗する二つの48m×48cmの広さを有する加熱プレートを配置した。
その二つの加熱プレートの間に、50cm×50cmの広さを有し、耐熱性弾性体(補強シリコーンゴム)でできているダイヤフラム加圧手段を配置して、第1転写容器を上室と下室に分割した。第1転写容器の上室と下室の両方に、空気穴を設けて、第1転写部を準備した。
50cm×50cmの大きさの加熱用ヒータを内蔵した二つの離間した加圧用金属板を水平方向に配置し、第2転写部とした。
【0097】
幅45cmのPET(使用可能温度の上限:180℃)でできた二つの長尺樹脂シート搬送体を巻き出して、コンベア上を経由して、第1転写容器内のダイヤフラム加圧手段と上側加熱プレートの間に通した。更に、その二つの長尺の樹脂シート搬送体を第2転写部内の上側加圧プレートと下側加圧プレートの間を通した。そして、コンベア上を経由して、二つの長尺樹脂シート搬送体を巻き込んだ。
【0098】
縦18cm×横14cm×厚さ0.4mmのポリカーボネート樹脂(住化スタイロンポリカーボネート社製TX0301、重量平均分子量(Mw):21400、MVR:29、熱変形温度:124℃)のフィルムを、被転写体として用いた。
ISO 75に記載の方法に準じて測定した。具体的には、長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの試験片を作成し、HDT Tester 6M−2(株式会社東洋精機製作所社製)を用いて荷重1.80MPaの条件にて測定して、124℃であった。
縦15cm×横10cm×厚さ0.3mmのニッケルでできている二つのスタンパを用いた。一方のスタンパには、直径50μm、深さ15μmの半球形状の多数の凹部を、その表面に全体的に形成した。
【0099】
ポリカーボネート樹脂フィルム(被転写体)を、二つのスタンパの間に挟んだ。表面に半球形状を有するスタンパの表面を、ポリカーボネート樹脂フィルムに対向させた。
二つのスタンパに挟んだポリカーボネート樹脂フィルムを、第1転写部の前の二つの搬送体の間に配置した。表面形状を有するスタンパを下側に配置した。
【0100】
二つの搬送体の間の二つのスタンパに挟まれたポリカーボネート樹脂フィルムを、第1転写部のダイヤフラム加圧手段上に移した。ダイヤフラム加圧手段は下側加熱プレートに接していた。上下の両方の加熱プレートを180℃に加熱して、ポリカーボネート樹脂フィルムを加熱した。一旦、第1転写部の上室及び下室を両方とも減圧した後、下室を空気で加圧することで、ダイヤフラム加圧手段で二つの搬送体の間の二つのスタンパに挟まれたポリカーボネート樹脂フィルムを、上側の180℃の加熱プレートに1000kPaの圧力で押圧し、加熱した。二つの搬送体の間の二つのスタンパに挟まれたポリカーボネート樹脂フィルムは、減圧されることで、二つの搬送体の間で略密封状態になり、加熱によるポリカーボネート樹脂フィルムへの空気の影響を低減させることができた。第1転写部での加熱時間は、30秒間であった。
【0101】
二つの搬送体の間の二つのスタンパに挟まれたポリカーボネート樹脂フィルムを、略密封状態のままで、第2転写部の加熱プレート上に移した。上下の両方の加熱プレートを70℃に加熱して、ポリカーボネート樹脂フィルムの保温を開始した。更に、下側加熱プレートを上昇させて上側加熱プレートとの間で、300kPaの圧力で保圧した。第2転写部での保温時間は、30秒間であった。
【0102】
二つの搬送体の間の二つのスタンパに挟まれたポリカーボネート樹脂フィルムを、第2転写部から取り出した。そして、ポリカーボネート樹脂フィルムを、二つの搬送体の間の二つのスタンパから取り出した。
製造した実施例1のポリカーボネート導光板の厚さは、0.4mmであった。
【0103】
導光板について、以下の評価を行った。結果を、表1に示した。
表面形状のずれ
導光板のパターンを目視で観察して、表面形状のずれの有無を観察した。評価基準は、下記の通りである。
ずれが全く無い(A):表面形状のずれが、完全にない。
ずれが実質的に無い(B):表面形状のずれが、一部にわずか認められるが、使用上問題がない。
ずれが有る(C):表面形状のずれが、明らかにある。
【0104】
転写率
導光板の表面を3列×3行に9分割し、キーエンスのレーザー顕微鏡(品番:ZEISS社製 LSM−700)で、各々の分割した表面の中心を観察して、各々の転写率を測定した。それら9つの転写率の平均値を計算して、実施例1の導光板の転写率を得た。
ここで、転写率とは、導光板表面に形成された半球状の凸部の高さの転写率(凸部の底面からの最も高い部分の寸法/凹部の深さ15μm)をいう。
実施例1の導光板の転写率は、99%であった。
【0105】
表面形状の均一性
表面形状の均一性は、上述の転写率の測定の際に、下記の評価基準に基づいて、評価した。
上述の9箇所の転写率の全てが、上述の(平均の)転写率の±3%以内の場合、非常に均一(A)とした。
上述の9箇所の転写率のいずれかが、上述の転写率の±5%を超えるが、全てが±5%以内である場合、実質的に均一(B)とした。
上述の9箇所の転写率のいずれかが、±5%を超える場合、不良(C)とした。
【0106】
そり
導光板を平面に配置して、導光板の端部が平面から離間しているか否かを目視で観察した。
そりが全く無い(A):導光板の端部が、平面から全く離間していない。
そりが実質的に無い(B):導光板の端部が、平面からわずかに離間していることが認められるが、極めて小さい。
そりが有る(C):導光板の端部が、平面から明らかに離間している。
【0107】
実施例2〜5
実施例1と同様の方法を用いて、実施例2〜5の導光板を製造した。
ただし、実施例1と、各々異なる部分があり、その詳細と結果を、まとめて表1に示した。
【0108】
比較例1
第2転写工程を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法を使用して、ポリカーボネート導光板を製造した。
【0109】
比較例2
第1転写工程を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法を使用して、ポリカーボネート導光板を製造した。
【0110】
比較例3
ダイアフラム加圧手段を用いないで、上下の加熱プレートで加圧した以外は、実施例1と同様の方法を使用して、ポリカーボネート導光板を製造した。
【0111】
比較例4
二つの搬送体を使用しないで、二つのスタンパに挟まれたポリカーボネート樹脂フィルムを第1転写部、第2転写部の順に移動させたこと以外は、実施例1と同様の方法を使用して、ポリカーボネート導光板を製造した。
比較例1〜4の詳細と結果を、表2に示した。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
実施例と比較例を検討すると、ダイアフラム加圧手段を有する第1転写部と第2転写部の2段階で転写し、かつ、第1転写部から第2転写部へ、搬送体を用いて略密封状体で搬送すると、たとえ厚さが薄い導光板であっても、80%以上の転写率を示し、かつ表面形状の均一性に優れる、導光板を製造可能なことが判る。本発明の実施形態の製造方法では、スタンパを使用して製造するので、スタンパごとに表面形状を変えることが可能であり、少量多品種の導光板を容易に製造することができる。
【0115】
以上のように、本発明における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、詳細な説明を記載した。
【0116】
従って、詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須の構成要素のみならず、上記技術を例示するために、課題解決のために必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須でない構成要素が詳細な説明に記載されていることで、直ちに、それらの必須でない構成要素が必須であると、認定すべきでない。
【0117】
また、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体を加熱し、ダイアフラム式加圧手段を用いて加圧して、被転写体の表面にスタンパの表面形状を転写する第1転写工程;二つの搬送体の外側から、二つのスタンパの間の被転写体を保温し、保圧して、被転写体の表面に、スタンパの表面形状の転写を続ける第2転写工程;及び二つのスタンパの間の被転写体を、二つの搬送体で略密封状態に保持して、第1転写工程から第2転写工程に搬送することを含む、導光板の製造方法である。