(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356475
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/84 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
B29C45/84
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-88923(P2014-88923)
(22)【出願日】2014年4月23日
(65)【公開番号】特開2015-205489(P2015-205489A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】特許業務法人オーパス国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091694
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 守
(72)【発明者】
【氏名】今井 義徳
(72)【発明者】
【氏名】寺田 貴明
【審査官】
越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−073312(JP,U)
【文献】
特開2005−131951(JP,A)
【文献】
特開平02−060723(JP,A)
【文献】
特開平05−269797(JP,A)
【文献】
特開2002−331349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動金型と型閉される固定金型が装着される固定ダイプレートと、
樹脂を溶融する筒状の加熱シリンダと、
該加熱シリンダの先端に装着され、該加熱シリンダで溶融された樹脂を金型のキャビティに射出する射出ノズルと、
前記加熱シリンダの外周前方部に装着され、該加熱シリンダを加熱する前部ヒータと、
該前部ヒータよりも後方に位置する加熱シリンダの後方部及び当該後方部に装着された後部ヒータを覆うヒータカバーと、
パージ作業を行うときに、前記射出ノズルから排出される溶融樹脂の飛散を防止するパージカバーと、を備えた射出成形機であって、
前記パージカバーは、前記固定ダイプレートに固定可能な第1パージカバーと、該第1パージカバーにスライド自在に設けられた第2パージカバーとから構成され、
前記射出ノズルが装着された前記加熱シリンダを後退させ、前記固定ダイプレートに対し前記射出ノズルを離間させパージ作業を行うとき、
前記第1パージカバーにより、前記射出ノズルが露出しないように覆われると共に、該第1パージカバー及び前記第2パージカバーにより、前記後部ヒータの装着された前記加熱シリンダの後方部よりも、前方に位置する前記加熱シリンダの前方部、及び前記加熱シリンダの外周前方部に装着された前記前部ヒータが露出しないように覆われることを特徴とする射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱シリンダで溶融された樹脂を、当該加熱シリンダの先端に設けた射出ノズルから金型のキャビティへ射出して成形品を製造する射出成形機に関し、特に、安全性を高めるため、ヒータの装着された加熱シリンダを覆うヒータカバーと、加熱シリンダ内に残留した樹脂が射出ノズルから機外へ排出されるパージ作業を行うとき、排出される樹脂が飛散してしまうことを防止するパージカバーとを備えた射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形により成形品を成形する射出成形機は、その稼動の終了後や樹脂の交換をするに際し、加熱シリンダ内に残留した樹脂を排出するためパージ作業が行われる。そのため、射出成形機でパージ作業を行う場合には、排出される樹脂が飛散してしまうことを防止するためパージカバーを備えたものがある。また、射出成形機には、作業者が不用意に高温になり得る加熱シリンダに直接触れることを防止するため、加熱シリンダのヒータがヒータカバーにより覆われたものがある。このような技術に関連するものとして、特許文献1には、加熱シリンダを2重に覆う内部保護カバー及び外部保護カバーと、内部保護カバーと外部保護カバーとの間にスライド可能なパージカバーとを備えた射出成形機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−56645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、前述した加熱シリンダを覆うヒータカバーや樹脂の飛散を防止するパージカバーを備えた射出成形機における問題点について、
図3、
図4に基づき以下に説明する。
【0005】
図3及び
図4は、ヒータカバー100とパージカバー101とを備えた射出成形機の要部を示したものであり、
図3は、加熱シリンダ102の先端に装着された射出ノズル103が前進限位置にある状態を示している。
図4は、パージ作業を行うときに、固定ダイプレート104に対し射出ノズル103が離れる方向に後退された状態を示している。
【0006】
射出成形機で成形体を製造するときには、
図3に示すように、射出ノズル103は固定ダイプレート104に対しノズルタッチされる。その一方で、
図4に示すように、パージ作業を行うため、射出ノズル103を後退させた状態では、パージ作業により排出される樹脂が固定ダイプレート104等に付着することを回避するため、射出ノズル103の先端は、固定ダイプレート104から離れるよう後退させることになるのだが、固定ダイプレート104の幅が比較的厚いような場合には、それに対応して、射出ノズル103の後退ストロークを長く採らなければならない。そのため、
図4に示すように、固定ダイプレート104等に設けられたパージカバー101により、射出ノズル103の先端を覆うことができたとしても、射出ノズル103の先端近傍にある加熱シリンダ102の前方部のヒータ105は、パージカバー101等のカバーに覆われることなく外部に露出することがある。
【0007】
こうした露出部分は、ヒータカバー100を射出ノズル103側へと延出することで、当該ヒータカバー100にてヒータ105を覆うようにすることも考えが及ばないこともないが、
図3に示すように、射出ノズル103の先端側は、固定ダイプレート104にノズルタッチされる際に、固定ダイプレート104内に挿入された状態となるため、射出ノズル103の先端近傍にあるヒータ105は、ヒータカバー100で覆うように構成することは実質困難となる。そのため、パージ作業を行うために射出ノズル103を後退させたときには、加熱シリンダ102に構成されるヒータ105や射出ノズルの一部等がカバーで覆われることなく露出することになる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、パージ作業を行うために、射出ノズルが後退された状態であっても、高温に加熱される加熱シリンダのヒータ等が外側に露出してしまうことを防止することができる射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本射出成形機に係る発明は、
移動金型と型閉される固定金型が装着される固定ダイプレートと、
樹脂を溶融する筒状の加熱シリンダと、
該加熱シリンダの先端に装着され、該加熱シリンダで溶融された樹脂を金型のキャビティに射出する射出ノズルと、
前記加熱シリンダの外周前方部に装着され、該加熱シリンダを加熱する前部ヒータと、
該前部ヒータよりも後方に位置する加熱シリンダの後方部及び当該後方部に装着された後部ヒータを覆うヒータカバーと、
パージ作業を行うときに、前記射出ノズルから排出される溶融樹脂の飛散を防止するパージカバーと、を備えた射出成形機であって、
前記パージカバーは、前記固定ダイプレートに固定可能な第1パージカバーと、該第1パージカバーにスライド自在に設けられた第2パージカバーとから構成され、
前記射出ノズルが装着された前記加熱シリンダを後退させ、前記固定ダイプレートに対し前記射出ノズルを離間させパージ作業を行うとき、
前記第1パージカバーにより、前記射出ノズルが露出しないように覆われると共に、該第1パージカバー及び前記第2パージカバーにより、前記後部ヒータの装着された前記加熱シリンダの後方部よりも、前方に位置する前記加熱シリンダの前方部、及び前記加熱シリンダの外周前方部に装着された前記前部ヒータが露出しないように覆われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パージ作業を行うために、射出ノズルの装着された加熱シリンダが後退されたとき、第1パージカバー、第2パージカバー、及びヒータカバーを用いて、射出ノズル、加熱シリンダ、該加熱シリンダに装着された前部ヒータ及び後部ヒータが、外側に露出しないよう覆うことができる。すなわち、従来、パージ作業を行うときに、加熱シリンダが後退された場合には、射出ノズル近傍の加熱シリンダの前方部に位置するヒータは、カバーで覆われることなく外側に露出してしまうことがあったが、本発明は、こうした不具合を解消することができ、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一例の射出成形機の要部を示す側面図であり、射出ノズルが前進限位置にある状態を示している。
【
図2】本発明の一例の射出成形機の要部を示す側面図であり、パージ作業のため、固定ダイプレートに対し射出ノズルを離間させた状態を示している。
【
図3】発明を理解する上での参考図であり、射出ノズルが前進限位置にある状態を示している。
【
図4】発明を理解する上での参考図であり、パージ作業のため、固定ダイプレートに対し射出ノズルを離間させた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例を
図1及び
図2により以下に説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反しない範囲で、本実施形態において説明した以外の構成のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0014】
本実施形態に係る射出成形機には、先端に射出ノズル1が装着された加熱シリンダ2を備える。該加熱シリンダ2の外周の前方部には前部ヒータ3が設けられており、該前部ヒータ3よりも後方に位置する加熱シリンダ2の後方部には後部ヒータ12が設けられている。そして、後部ヒータ12及び当該後部ヒータ12の装着された加熱シリンダ2の後方部は、加熱シリンダ2に取り付けられた、上面、左右側面、及び下面からなる筒状のヒータカバー4で覆われている。
【0015】
また、加熱シリンダ2内で加熱溶融される樹脂は、射出成形機で成形体を製造する通常の稼動時には、射出ノズル1から、固定ダイプレート6に装着された固定金型5と図示しない移動金型とを型閉したときに形成される金型のキャビティへ射出され、キャビティで樹脂が固化されることで成形体が成形される。
【0016】
また、移動可能であるが固定された第1パージカバー7には、金型の型開閉方向である
図2に示す左右方向にスライド自在な第2パージカバー8が構成されている。なお、本実施形態における第1パージカバー7と第2パージカバー8とは、上面、左右側面とからなる逆U字型に形成され、第2パージカバー8は第1パージカバー7よりも小さいサイズとなっている。
【0017】
図1及び
図2に示すように、第2パージカバー8の内側の上方前部には前部ストッパー片9が形成され、第2パージカバー8の内側の上方後部には後部ストッパー片10が形成されている。これら前部ストッパー片9と後部ストッパー片10とは、金型の型開閉方向に相対向するようにして配置されており、これら前部ストッパー片9と後部ストッパー片10との間には、ヒータカバー4の一端に形成された突起片11が配置されている。そして、
図1に示すように、射出ノズル1が固定ダイプレート6に対しノズルタッチされるため、加熱シリンダ2が前進されるときには、加熱シリンダ2の前進に伴い、ヒータカバー4の突起片11が第2パージカバー8の前部ストッパー片9を押すことで、第2パージカバー8は型開方向(
図1に示す左方向)に移動され、当該第2パージカバー8は第1パージカバー7内に収容される。
【0018】
また、
図2に示すように、パージ作業を行うため、加熱シリンダ2を後退限まで後退させ、射出ノズル1が固定ダイプレート6から離間されるときには、ヒータカバー4の突起片11が第2パージカバー8の後部ストッパー片10を押すことで、第2パージカバー8は、型閉方向(
図2に示す右方向)に移動されることにより第1パージカバー7の外側へと移動され、当該第2パージカバー8及び第1パージカバー7により、加熱シリンダ2の前方部及び加熱シリンダ2の外周前方部に装着された前部ヒータ3が覆われる。そして、この状態では、第1パージカバー7により、射出ノズル1が覆われる。
【0019】
また、本実施形態においては、
図1に示すように、射出ノズル1が固定ダイプレート6にノズルタッチされた前進限の状態から、パージ作業を行うため、
図2に示すように、射出ノズル1の装着された加熱シリンダ2が後退限まで後退されるときのストロークをstとし、前部ヒータ3よりも後方に位置する加熱シリンダ2の後方部を覆うヒータカバー4の長さをaとし、第2バージカバー8の長さをlとしたときにおいて、「st>a」の数式の条件を満たすときには、第2パージカバー8は、「l≧st−a」の数式の条件を満たすものを採用する。こうした条件を満たす第2パージカバー8を設けることにより、パージ作業を行うときに、加熱シリンダ2の前方部や当該加熱シリンダ2の前方部に装着された前部ヒータ3が外側に露出してしまわぬよう、第2パージカバー8等により覆うことができる。すなわち、パージ作業を行うときに専ら用いられる第2パージカバー8は、加熱シリンダ2の前方部や前部ヒータ3が外側に露出することを防止するためのヒータカバー等の保護カバーとして兼用することが可能となる。
【0020】
以上のように本実施形態の射出成形機は、パージ作業を行うために、射出ノズル1の装着された加熱シリンダ2が後退されたとき、第1パージカバー7、第2パージカバー8、及びヒータカバー4を用いて、射出ノズル1、加熱シリンダ2、該加熱シリンダ2に装着された前部ヒータ3及び後部ヒータ12が、外側に露出しないよう覆うことができる。すなわち、
図3、4を基にして説明したように、パージ作業を行うときに、加熱シリンダが後退された場合には、射出ノズル近傍の加熱シリンダの前方部に位置するヒータは、カバーで覆われることなく外側に露出してしまうことがあったが、本発明は、こうした不具合を解消することができ、安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 射出ノズル
2 加熱シリンダ
3 前部ヒータ
4 ヒータカバー
5 固定金型
6 固定ダイプレート
7 第1パージカバー
8 第2パージカバー
9 前部ストッパー片
10 後部ストッパー片
11 突起片
12 後部ヒータ
100 ヒータカバー
101 パージカバー
102 加熱シリンダ
103 射出ノズル
104 固定ダイプレート
105 ヒータ
a ヒータの後部を覆うヒータカバーの長さ
l 第2バージカバーの長さ
st ストローク