(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
固形粉末化粧料は、粉体を主成分とし、油剤などを添加してなる化粧品剤型の一つであり、ファンデーション、アイシャドウ、チークカラーなど、幅広い化粧料に用いられている。一般的に、アイシャドウやチークカラーといったポイントメイク製品は、ブラシやチップなどのアプリケーターを使用して化粧料を目的の部位に塗布するものであるが、より簡便に塗布できるものとして、アプリケーターを使用せずに直接化粧料を肌に塗布できる製品の開発が望まれている。
【0003】
化粧料を直に肌に塗布できるためには、製品の容器や金皿から化粧料が立体的に突出しており、かつ、立体的に成型された化粧料が十分な強度を有していることが必要となる。固形粉末化粧料の製法としては、粉体と油剤を混合した化粧料基剤を容器に充填しプレスする乾式成型法が古くから採用されている。しかし、乾式成型法では、化粧料全体を均一に加圧する必要があるため、化粧料を立体的な形状に成型することは困難であった。
【0004】
そこで、近年では、湿式充填法が採用されている。湿式充填法は、化粧料基剤に溶媒を混合してスラリー状とし、これを容器に充填した後、溶媒を除去して固形状に成型する方法である。そのため、化粧料を様々な立体的形状に成型するために適している。しかし、湿式充填法は、化粧料基剤を充填した直後に化粧料の硬さ調整や立体形状のエッジを出す目的で「ソフトプレス」と呼ばれる弱い力による加圧工程を行う場合もあるものの、基本的には溶媒を取り除く際の凝集力によって化粧料を固化させるものであるため、強い力による加圧工程を行って固化させる乾式成型法により製造された化粧料に比べ、強度が低くなることが問題となる。
【0005】
湿式充填法において化粧料の強度を高めるための方法としては、粉体の結合剤として作用する油剤の量を増やす他、澱粉や粘土鉱物を配合する方法(特許文献1)や、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合する方法(特許文献2)などが提案されている。
【発明の概要】
【0007】
従来の方法により油剤の量を増やした化粧料は、経時的にその表面が固化してしまい、それ以上使用することができない状態となる、いわゆるケーキングを生じてしまうことが問題となる。特に、立体的に高さ・長さのある形状の化粧料はケーキングを起こしやすい。その上、化粧料を直接肌に塗布する場合には、化粧料が皮脂や汗を吸収するために、さらにケーキングを生じやすいという問題がある。すなわち、従来の方法では、化粧料の成型性と強度を向上させつつ、使用性においても満足のいく水準にある固形粉末化粧料を製造することは困難であった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の諸問題を解消するためになされたものであり、高さのある立体形状に成型でき、耐衝撃性に優れ、化粧料を直接肌に塗布できる強度を有しつつ、ケーキングを起こすことなく、使用感にも優れた固形粉末化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究の結果、粉体と油剤を主成分とする化粧料基材に対し、さらに油ゲル化剤を配合することにより、十分な強度を有しながらケーキングを生じにくい特性を有する固形粉末化粧料が得られることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、下記の成分(a)〜(c):(a)粉体成分、(b)油性成分、および(c)油ゲル化剤を含有する化粧料基材と、溶剤とを混合してスラリー状とし、これを容器に充填して成型した後、前記溶剤を除去することにより製造される、表面を立体的形状に成型されてなる固形粉末化粧料を提供するものである。
【0011】
前記成分(c)の含有量が0.01〜5質量%であることが好ましい。
【0012】
前記成分(c)の油ゲル化剤は、架橋型オルガノポリシロキサン重合体であることが好ましい。
【0013】
前記架橋型オルガノポリシロキサン重合体は、予めシリコーン油により膨潤されていることが好ましい。
【0014】
前記化粧料基材において、前記成分(a)の含有量は5〜95質量%であり、前記成分(b)の含有量は0.1〜30質量%であることが好ましい。
【0015】
前記化粧料基材は、成分(d)微粒子粉体成分をさらに含むことが好ましい。
【0016】
前記化粧料基材において、前記成分(d)の含有量は0.01〜30質量%であることが好ましい。
【0017】
前記立体的形状において、基面から最高位置までの高さHと、前記最高位置を通りかつ平面視において前記立体的形状を最短で横断する直線の長さLとの比(H/L)は、0.03〜0.7であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る固形粉末化粧料は、優れた強度を有するため、高さのある立体的形状に成型でき、同時に、ケーキングを起こさず、良好な使用感を有するため、直接肌に塗布して使用することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。
【0020】
本発明は、下記の成分(a)〜(c):(a)粉体成分、(b)油性成分、および(c)油ゲル化剤を含有する化粧料基材と、溶剤とを混合してスラリー状とし、これを容器に充填して成型した後、前記溶剤を除去することにより製造される、表面を立体的形状に成型されてなる固形粉末化粧料である。ここで、「化粧料基材」とは、最終的な化粧料製品を構成する成分、すなわち、製造過程において除去される溶剤以外の成分を意味する。
【0021】
本発明における粉体成分(a)は、化粧料に通常使用される粉体であれば特に限定されるものではない。例えば、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、無水ケイ酸(シリカ)、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、窒化ホウ素などの無機粉体;シルク、ナイロン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル系ポリマー;ポリウレタン、シリコーン、ポリエチレン、セルロースなどの高分子粉体;有機顔料;およびこれらの複合粉体などが挙げられる。これらの粉体は、金属石けん、シリコーン、フッ素などにより表面を改質して用いることもできる。さらに、これらの粉体の一種または二種以上を任意に選択して用いてもよい。
【0022】
本発明の化粧料基材における粉体成分(a)の含有量は、基材の総質量を100%としたときに、好ましくは、5〜95質量%であり、特に好ましくは、50〜90質量%である。上記の範囲であれば、使用性の良好な化粧料を得ることができる。
【0023】
本発明における油性成分(b)は、常温〜化粧料の製造温度(25〜80℃)において液状を呈する油分であって、化粧料や医薬部外品に通常使用される油分であれば特に限定されるものではない。本発明に用いられる油分としては、例えば、流動パラフィン、スクワランなどの炭化水素類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ジペンタエリトリット2−エチルヘキサン酸、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル類;オリーブ油、ヒマシ油などの油脂類;イソステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸類;イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコール類;ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン(ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン)、デカメチルシクロペンタシロキサン(シクロメチコン)などのシリコーン油などが挙げられる。本発明における油性成分は、上記の一種または二種以上を任意に選択して用いることができる。
【0024】
また、本発明における油性成分は、常温〜化粧料の製造温度(25〜80℃)において液状を呈するものであれば、上記の液状油分と、半固形油分または固形油分とを混合したものであってもよい。この場合には、半固形油分としては、セスキイソステアリン酸ソルビタンなどの界面活性剤、ワセリン、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、ジペンタエリトリット脂肪酸(12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸など)エステルなどを使用し得る。また、固形油分としては、硬化油、モクロウなどの油脂;セレシン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどの炭化水素;ミツロウ、キャンデリラワックス、カルナウバワックスなどのロウ;ステアリン酸、ベへン酸などの高級脂肪酸;セタノールなどの高級アルコールなどを使用し得る。
【0025】
本発明の化粧料基材における油性成分(b)の含有量は、基材の総質量を100%としたときに、好ましくは、0.1〜30質量%であり、特に好ましくは、5〜20質量%である。上記の範囲であれば、使用性の良好な化粧料を得ることができる。
【0026】
本発明における油ゲル化剤(c)は、上記油性成分(b)をゲル化できるものであれば特に限定されるものではない。本発明に用いられる油ゲル化剤としては、例えば、架橋型オルガノポリシロキサン重合体、12−ヒドロキシステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、金属石鹸、有機変性粘土鉱物などが挙げられる。本発明における油ゲル化剤は、本発明における油ゲル化剤は、上記の一種または二種以上を任意に選択して用いることができるが、好ましくは、架橋型オルガノポリシロキサン重合体またはデキストリン脂肪酸エステルであり、特に好ましくは、架橋型オルガノポリシロキサン重合体である。
【0027】
デキストリン脂肪酸エステルとしては、デキストリンと炭素数8〜22の高級脂肪酸とのエステルが好ましく、具体的には、ラウリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリンなどが挙げられる。これらのデキストリン脂肪酸エステルは市販されており、例えば、レオパールKE、レオパールKL、レオパールTT(いずれも千葉製粉社製)などが好ましい市販品として挙げられる。
【0028】
架橋型オルガノポリシロキサン重合体としては、特に限定されないが、例えば、「ジビニルジメチルポリシロキサンで架橋したジメチルポリシロキサン」、「炭素数3〜20のアルキル基で架橋したジメチルポリシロキサン」、「ビニルシクロヘキセンオキシドで架橋したアルキルジメチコン」、「フェニルビニルジメチルポリシロキサンで架橋したジメチルポリシロキサン」などが挙げられる。
【0029】
本発明において、油ゲル化剤(c)として架橋型オルガノポリシロキサン重合体を用いる場合、架橋型オルガノポリシロキサン重合体は、予めシリコーン油により膨潤されたものを用いることが好ましい。なお、この場合には、予めシリコーン油により膨潤された状態のものを「油ゲル化剤」と定義する。架橋型オルガノポリシロキサン重合体を膨潤させるために使用できるシリコーン油としては、化粧料に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、ジメチコン、メチルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、シクロメチコンなどが挙げられる。また、予めシリコーン油により架橋型オルガノポリシロキサン重合体を膨潤させる場合には、シリコーン油と架橋型オルガノポリシロキサン重合体との混合比(質量比)は、98:2〜60:40とすることが好ましい。
【0030】
架橋型オルガノポリシロキサン重合体は、シリコーン油によりすでに膨潤された状態のものが市販されているため、本発明では、こうした市販品を使用することもできる。市販品としては、例えば、KSG−15、KSG−16、KSG−18、KSG−1610(信越化学工業社製)、9040−Silicone Elastomer Blend、9045−Silicone Elastomer Blend、9041−Silicone Elastomer Blend、9546−Silicone Elastomer Blend(東レ・ダウコーニング社製)、VELVESIL 125、VELVESIL DM(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
【0031】
本発明の化粧料基材における油ゲル化剤(c)の含有量は、基材の総質量を100%としたときに、0.01〜5質量%であることが好ましい。上記の範囲で油ゲル化剤を含有させることにより、立体的な形状に成型でき、直接肌に塗布できる強度を有しつつ、ケーキングが起こりにくい化粧料をより確実に得ることができる。油ゲル化剤の含有量が0.01質量%未満であると、ケーキングの発生を十分に抑制できない場合がある。一方、油ゲル化剤の含有量が5質量%を超えると、化粧料の成型性と強度が低下する場合があるため、好ましくない。上記の範囲は、特に好ましくは0.05〜2質量%である。
【0032】
本発明の化粧料基材は、成型助剤として、微粒子粉体成分(d)をさらに含むことが好ましい。微粒子粉体成分を配合することにより凝集力を高め、化粧料の強度を一層高めることができ、耐衝撃性に優れた固形粉末化粧料を得ることが可能となる。本発明において使用できる微粒子粉体成分(d)には、例えば、微粒子シリカや微粒子金属酸化物などが挙げられる。
【0033】
本発明において使用できる微粒子シリカは、微粒子の無水ケイ酸であり、例えば、四塩化ケイ素の酸水素焔中での高温加水分解により得られるものである。また、本発明における微粒子シリカは、疎水化処理されたものであってもよい。疎水化処理の方法としては、例えば、ジメチルジクロルシランによるジメチルシリル化処理、トリメチルクロルシランやヘキサメチルジシラザンによるトリメチルシリル化処理、オクチルトリクロルシランによるオクチルシリル化処理、ジメチルポリシロキサンやメチルハイドロジェンポリシロキサンによるシリコーン処理、金属セッケン化合物による処理などが挙げられる。
【0034】
本発明において使用できる微粒子シリカは、好ましくは、その平均粒子径が1〜50nmであり、かつ、BET比表面積が50〜500m
2/gであり、特に好ましくは、その平均粒子径が3〜20nmであり、かつ、BET比表面積が100〜400m
2/gである。本発明における「平均粒子径」とは、例えば、超高圧透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)による観察などによって求められる数値であり、市販品を使用する場合には、製品に表示された平均粒子径であってよい。また、本発明における「BET比表面積」は、BET法により求められる数値である。上記の範囲であれば、良好な使用感と良好な耐衝撃性を備える化粧料が得られる。上記の範囲未満であると、滑らかさなどの使用感を十分に得ることができない場合がある。一方、上記の範囲を超えるものであると、十分な耐衝撃性を得ることができない場合がある。
【0035】
本発明において使用できる微粒子シリカは市販されており、本発明では、市販品を使用することもできる。市販品としては、例えば、微粒子シリカとしては、アエロジル(AEROSIL)130(比表面積130m
2/g、平均粒子径16nm)、アエロジル(AEROSIL)200(比表面積200m
2/g、平均粒子径12nm)、アエロジル(AEROSIL)300(比表面積300m
2/g、平均粒子径7nm)、アエロジル(AEROSIL)380(比表面積380m
2/g、平均粒子径7nm)(以上、日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。また、疎水性微粒子シリカとしては、アエロジル(AEROSIL)RY200(比表面積100mm
2/g、平均粒子径12nm)、アエロジル(AEROSIL)R972(比表面積110m
2/g、平均粒子径16nm)、アエロジル(AEROSIL)R974(比表面積170m
2/g、平均粒子径12nm)、アエロジル(AEROSIL)R812(比表面積260m
2/g、平均粒子径7nm)(以上、日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。本発明における微粒子シリカは、必要に応じ、上記の一種または二種以上を選択して用いることができる。
【0036】
本発明において使用できる微粒子金属酸化物は、通常化粧料に配合されるものであってよく、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機紫外線散乱剤として公知のものが挙げられる。また、本発明における微粒子金属酸化物は、疎水化処理されたものであってもよい。疎水化処理の方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、シリコーン、脂肪酸、脂肪酸石鹸(金属石鹸)、脂肪酸エステルなどの疎水化処理剤による被覆処理などが挙げられる。前記シリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどの各種のシリコーンオイルや、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどの各種のアルキルシランや、トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランなどの各種のフルオロアルキルシランなどが挙げられる。前記脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数12〜22の脂肪酸や、ロジン酸などが挙げられる。前記脂肪酸石鹸(金属石鹸)としては、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムなどの炭素数12〜22の脂肪酸石鹸などが挙げられる。前記脂肪酸エステルとしては、デキストリン脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステルなどが挙げられる。前記エステルの脂肪酸は炭素数12〜22の脂肪酸が好ましい。
【0037】
本発明において使用できる微粒子金属酸化物は、好ましくは、一次粒子の平均粒子径が1〜100nmであることが好ましい。上記の範囲であれば、良好な使用感と良好な耐衝撃性を備える化粧料が得られる。上記の範囲未満であると、滑らかさなどの使用感を十分に得ることができない場合がある。一方、上記の範囲を超えるものであると、十分な耐衝撃性を得ることができない場合がある。
【0038】
本発明において使用できる微粒子金属酸化物は市販されており、本発明では、市販品を使用することもできる。市販品としては、例えば、例えば、疎水性微粒子酸化チタンとしては、SA−TTO−S−4(10%)MiBrid Powder(ジメチコンで疎水化処理した微粒子(30nm)酸化チタン)(三好化成株式会社製)、MT−02(メチコンで疎水化処理した微粒子(20nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MT−01(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよびステアリン酸で疎水化処理した微粒子(10nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MT−10EX(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよびイソステアリン酸で疎水化処理した微粒子(10nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MT−100TV(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよびステアリン酸で疎水化処理した微粒子(15nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MT−100Z(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよびステアリン酸で疎水化処理した微粒子(15nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MT−150EX(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよびイソステアリン酸で疎水化処理した微粒子(15nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MTY−02(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化珪素およびシリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(10nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MTY−110M3S(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化珪素およびシリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(10nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MT−500SAS(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化珪素およびシリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(30nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、MTY−700BS(シリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(80nm)酸化チタン)(テイカ株式会社製)、STR−60C−LP(アルミナおよびオルガノポリシロキサンで疎水化処理した微粒子(30×90nm)酸化チタン)(堺化学工業株式会社製)、STR−100C−LP(アルミナおよびオルガノポリシロキサンで疎水化処理した微粒子(20×100nm)酸化チタン)(堺化学工業株式会社製)、STR−100A−LP(D.シリカ、アルミナおよびオルガノポリシロキサンで疎水化処理した微粒子(20×100nm)酸化チタン)(堺化学工業株式会社製)などが挙げられる。疎水性微粒子酸化亜鉛としては、MZ−505S((ジメチコン/メチコン)コポリマーで疎水化処理した微粒子(30nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、FINEX−K2−LP2((ジメチコン/メチコン)コポリマーで疎水化処理した微粒子(30nm)酸化亜鉛)(堺化学工業株式会社製)、Z−COTE HP1(ジメチコンで疎水化処理した微粒子(25nm)酸化亜鉛)(BASFジャパン株式会社製)、SAMT−UFZO−450(13%)(ジメチコンおよびミリスチン酸で疎水化処理した微粒子(40nm)酸化亜鉛)(三好化成株式会社製)、SAS−UFZO−450(13%)(ジメチコンおよびメチコンで疎水化処理した微粒子(40nm)酸化亜鉛)(三好化成株式会社製)、MZY−303S(シリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(35nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、MZ−306X(シリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(35nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、MZY−505S(シリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(25nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、MZY−510M3S(シリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(25nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、MZ−506X(シリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(25nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、MZ−510HPSX(酸化珪素、水酸化珪素およびシリコーンオイルで疎水化処理した微粒子(25nm)酸化亜鉛)(テイカ株式会社製)、FINEX−30S−LP2(オルガノポリシロキサンで疎水化処理した微粒子(35nm)酸化亜鉛)(堺化学工業株式会社製)、FINEX−30W−LP2(D.シリカおよびオルガノポリシロキサンで疎水化処理した微粒子(35nm)酸化亜鉛)(堺化学工業株式会社製)、FINEX−50S−LP2(オルガノポリシロキサンで疎水化処理した微粒子(20nm)酸化亜鉛)(堺化学工業株式会社製)、FINEX−50W−LP2(D.シリカおよびオルガノポリシロキサンで疎水化処理した微粒子(20nm)酸化亜鉛)(堺化学工業株式会社製)などが挙げられる。疎水性微粒子酸化セリウムとしては、SI01−5 セリガードSC6832(メチコンで疎水化処理した微粒子(35nm)酸化セリウム)(大東化成工業株式会社製)などが挙げられる。
【0039】
本発明の化粧料基材における微粒子粉体成分(d)の含有量は、基材の総質量を100%としたときに、好ましくは、0.01〜30質量%であり、特に好ましくは、0.5〜5質量%である。上記の範囲で微粒子粉体成分を含有させることにより、良好な使用感を有しつつ、立体的な形状に成型されても耐衝撃性に非常に優れた化粧料を得ることができる。
【0040】
本発明の化粧料基材は、上記成分(a)〜(d)の他に、化粧料、医薬部外品、医薬組成物などに通常用いられる他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。前記他の成分としては、例えば、水、染料、高分子化合物、香料、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、保湿剤、多価アルコール、低級アルコール、糖類、紫外線吸収剤、美白剤、皮膚賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤等の薬剤、収斂剤、清涼剤などが挙げられる。また、例えば、油分とともに油溶性成分を配合しても構わない。さらに、油中水型乳化組成物、水中油型乳化組成物などの乳化組成物を配合することもできる。
【0041】
本発明の固形粉末化粧料は、上記成分を含有する化粧料基材と溶剤と混合してスラリー状としたものを、容器に充填した後、前記溶剤を除去することにより製造される。本発明において「化粧料」とは、成型後、溶剤が除去された状態のものを意味する。本発明において用いられる溶剤は、揮発性の溶剤であり、具体的には、エタノール、水、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、軽質流動イソパラフィンなどの低沸点炭化水素、低重合度のジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどの揮発性シリコーン、低沸点パーフルオロポリエーテルなどが挙げられ、これらを一種または二種以上用いることができる。化粧料基剤と溶剤の混合比(質量比)は、限定されないが、好ましくは100:40〜100:140である。
【0042】
上記化粧料基材と上記溶剤と混合して得られたスラリーは、容器に充填され、立体的形状に成型される。化粧料基材を所望の立体的形状に成型するためには、容器に型枠を組み合わせ、型枠と容器の間にスラリーを充填する。本発明において「容器」とは、最終的に化粧料製品を構成する容器を意味し、例えば、金皿や樹脂皿、直接充填可能なジャー容器などが挙げられる。また、本発明において「型枠」とは、化粧料基材を所望の立体的形状に成型する工程においてのみ使用される金型や樹脂型などの資材を意味するものであり、これは最終的な化粧料製品の構成として残らない。化粧料基材の成型は、型枠と容器の間にスラリーを充填した後、溶剤を除去することにより行う。この際、型枠によるソフトプレスをさらに行うこともできる。ソフトプレスは、好ましくは、1〜400kgf/cm
2のプレス圧で0.1〜10秒間行うことができる。上記の範囲であれば、良好な成型を行うことができる。ソフトプレスは、溶剤が残っている状態で行って、その後に溶剤を除去してもよいし、溶剤の除去と同時に行ってもよい。また、型枠は、溶剤を除去するための吸引孔を備えるものであってもよい。
【0043】
溶剤を除去する方法としては、特に限定されるものではなく、常法により行うことができ、例えば、型枠に備えられた吸引孔から溶剤を吸引する方法、布や不織布などの吸引体に溶剤を吸着させる方法、乾燥機などにより乾燥させる方法などがあるが、これらを組み合わせて溶剤を除去する方法が一般的である。なお、溶剤は、本工程によって完全に除去されることが好ましいが、化粧料の使用感や強度に影響しない範囲であれば、多少残存しても構わない。
【0044】
本発明の固形粉末化粧料は、メイクアップ、スキンケア化粧料などに応用することができ、目的に応じて、その表面を種々の立体的形状に成型し、製品形態とすることできる。立体的形状としては、例えば、ドーム状、半球状、円錐状、角錐状、ダイヤモンドカット状、スティック状など、様々な形状を取ることができる。本発明において「立体的形状」とは、基面(容器の上部縁)から1mm以上の凸部のある形状を意味する。また、本発明において「表面」とは、成型された化粧料が肌に塗布される際に肌に接する部分を意味する。本発明の固形粉末化粧料の具体的な製品形態としては、例えば、チークカラー、アイシャドウ、アイブロウ、ファンデーション、コンシーラーなどが挙げられる。
【0045】
本発明の固形粉末化粧料の立体的形状は、基面から最高位置までの高さHと、前記最高位置を通りかつ平面視における前記立体的形状を最短で横断する直線の長さLとの比(H/L)が、好ましくは0.03〜0.7、特に好ましくは0.03〜0.5である。上記の範囲であれば、直接肌に塗布するために適した化粧料とすることができる。高さHに関しては、例えば、1〜20mmとすることができ、特に好ましくは3〜15mmとすることができる。長さLは、例えば、化粧料の立体的形状がドーム状であれば、平面視における円形の最短径であり、化粧料の立体的形状が角錐状であれば、平面視における矩形の短辺であり、一般的には10〜60mmである。
【実施例】
【0046】
以下に実施例を挙げ、本発明についてさらに説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0047】
<実施例1〜8および比較例1〜2:ドーム状チークカラー(L=30mm、H=12mm)>
下記表1に示す組成および以下に示す製造方法により、ドーム状チークカラーを調製し、「耐衝撃性」、「とれ(ケーキング)」、「官能特性(フィット感)」、「官能特性(滑らかさ)」、「化粧持ち」の項目について、以下に示す評価方法および判定基準により評価し、その結果をあわせて表1に示した。表中の数値は質量%である。
【0048】
【表1】
【0049】
注1:AEROSIL 300 (日本アエロジル株式会社製)
注2:KSG−16 (信越化学工業株式会社製)
注3:レオパール KL (千葉製粉株式会社製)
注4:KF−96A 20CS (信越化学工業株式会社製)
注5:一般アルコール99度1級発酵無変性 (日本アルコール販売株式会社製)
【0050】
[製造方法]
A:成分1〜13の粉体原料を混合し、アトマイザーにて均一に分散させる。
B:14〜20を混合する。
C:AにBを添加し、ヘンシェルミキサーで均一混合する。
D:C(成分1〜20)100質量部に対し、揮発性溶媒として99度エタノール70質量部を計算する。
E:CにDを添加して均一に混合し、スラリー状組成物を得る。
F:Eを容器と型枠との間に充填し、7kgf/cm
2で3秒間のソフトプレスを行い、ドーム状に成型した後、約30℃で一昼夜乾燥し、揮発性溶媒を除去してドーム状のチークカラーを得た。
【0051】
[評価方法および判定基準]
a.耐衝撃性
(評価方法)
各試料を高さ30cmから2cm厚のラワン材上に1〜5回落下させ、その落下毎に各試料の表面を観察し、ヒビや割れの発生を確認し右記の基準に従って落下強度により判断した。
(判定基準)
5回落下させてもヒビや割れなし : ◎
4〜5回目でヒビや割れが生じる : ○
2〜3回目でヒビや割れが生じる : △
1回目でヒビや割れが生じる : ×
【0052】
b.とれ(ケーキング)
(評価方法)
各試料を頬に直接塗布することを1日1〜2回実施し、5日間続けたときの粉の取れ方を確認した。
(判定基準)
良く取れる(ケーキングなし) : ◎
取れる(ケーキングなし) : ○
取れ難い(ケーキングなし) : △
取れない(ケーキング) : ×
【0053】
c.官能特性(フィット感)
(評価方法)
各試料を肌に塗布したときのフィット感を確認した。
(判定基準)
非常に良い : ◎
良い : ○
やや不良 : △
不良 : ×
【0054】
d.官能特性(滑らかさ)
(評価方法)
各試料を肌に塗布したときの滑らかさを確認した。
(判定基準)
非常に良い : ◎
良い : ○
やや不良 : △
不良 : ×
【0055】
e.化粧持ち
(評価方法)
各試料を頬に塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、5時間後の化粧効果について評価した。
(判定基準)
非常に良い : ◎
良い : ○
やや不良 : △
不良 : ×
【0056】
[結果]
上記の表の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1〜8のドーム状チークは、「耐衝撃性」、「とれ」、「官能特性」、「化粧持ち」の全ての項目に優れた固形粉末化粧料であった。一方、ゲル化剤(成分14、15)を含有しない比較例1では「とれ」が悪くケーキングしてしまい、「官能特性(フィット感)」の評価も悪かった。また、微粒子粉体(成分13)ゲル化剤(成分14、15)を含有しない比較例2でも、「官能特性(フィット感)」、「化粧持ち」でやや不良といった評価であった。