特許第6356485号(P6356485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社山本製作所の特許一覧

特許6356485業務用洗濯脱水乾燥装置および配置システム
<>
  • 特許6356485-業務用洗濯脱水乾燥装置および配置システム 図000002
  • 特許6356485-業務用洗濯脱水乾燥装置および配置システム 図000003
  • 特許6356485-業務用洗濯脱水乾燥装置および配置システム 図000004
  • 特許6356485-業務用洗濯脱水乾燥装置および配置システム 図000005
  • 特許6356485-業務用洗濯脱水乾燥装置および配置システム 図000006
  • 特許6356485-業務用洗濯脱水乾燥装置および配置システム 図000007
  • 特許6356485-業務用洗濯脱水乾燥装置および配置システム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356485
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】業務用洗濯脱水乾燥装置および配置システム
(51)【国際特許分類】
   D06F 25/00 20060101AFI20180702BHJP
   D06F 31/00 20060101ALI20180702BHJP
   D06F 58/12 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   D06F25/00 A
   D06F31/00
   D06F58/12
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-105273(P2014-105273)
(22)【出願日】2014年5月21日
(65)【公開番号】特開2015-217249(P2015-217249A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】591173822
【氏名又は名称】株式会社山本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【弁理士】
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】鏑流馬 祐二
(72)【発明者】
【氏名】越智 清孝
【審査官】 大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−089423(JP,A)
【文献】 米国特許第06397422(US,B1)
【文献】 特開2006−081712(JP,A)
【文献】 特開2006−122697(JP,A)
【文献】 特開平09−173680(JP,A)
【文献】 実開昭49−127526(JP,U)
【文献】 特開昭56−023998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 25/00
D06F 31/00
D06F 58/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に多数の貫通孔が設けられた中空の円筒状であって、周面に扉体による開閉可能な開口が設けられ、互いに対向する円形の一対の底面の中心を結ぶ軸を水平にして、これを回転軸として回転するドラムと、
内部に水が注入され、夫々が前記底面から外側へ張り出した回転軸の端部を受ける軸受けが固定された左右の側面板と、空気供給口と空気排出口とが形成された上側周面部と、集水用の凹み部から排水する下側周面部とにより前記ドラムを取り囲み、前記ドラムの周面を水平方向の両側から挟むように設けられた一対の開口を有する外胴と、
前記外胴の一対の開口に対して夫々設けられ、夫々対応する開口の開閉を行う一対の水密扉と、
前記上側周面部に形成された空気供給口及び空気排出口を通じてドラム内に加熱空気、或は外気を流通させる空気給排部と、
前記側面を貫通した回転軸を回転させることにより、ドラム内の衣類等を洗濯し、脱水処理し、或は前記空気給排部とともに作動して加熱乾燥、冷却を行う駆動部と、
を備え、さらに
前記空気排出口から排出された空気を大気中に放出させるための空気排出経路は、
前記空気排出経路内の空気流の上流側であって、筒状の金網をフィルタとして内部に有する外筒と、
前記外筒から前記筒状の金網の目を通して空気流を大気に放出する短絡通風路と、
前記短絡通風路を大気に開閉する第一開閉弁と、
前記空気排出経路内の空気流の下流側であって、前記金網の目を通さずに流れた空気流を濾過するフィルタを介して大気に開放するケーシングと、
前記外筒と前記ケーシングとを接続した通風路に設けられ、前記外筒の下端の開口を開閉する第二開閉弁とが備えられ、
前記加熱乾燥中には前記第一開閉弁を開放状態とし前記第二開閉弁を閉鎖状態とし、一方、加熱乾燥後のドラム内への外気供給による洗濯物の冷却中には前記第一開閉弁を閉鎖状態とし前記第二開閉弁を開放状態とし、
かつ冷却中に金網に振動を付与するバイブレータを具備することを特徴とする業務用洗濯脱水乾燥装置。
【請求項2】
周面に多数の貫通孔が設けられた中空の円筒状であって、周面に扉体による開閉可能な開口が設けられ、互いに対向する円形の一対の底面の中心を結ぶ軸を水平にして、これを回転軸として回転するドラムと、
内部に水が注入され、夫々が前記底面から外側へ張り出した回転軸の端部を受ける軸受けが固定された左右の側面板と、空気供給口と空気排出口とが形成された上側周面部と、集水用の凹み部から排水する下側周面部とにより前記ドラムを取り囲み、前記ドラムの周面を水平方向の両側から挟むように設けられた一対の開口を有する外胴と、
前記外胴の一対の開口に対して夫々設けられ、夫々対応する開口の開閉を行う一対の水密扉と、
前記上側周面部に形成された空気供給口及び空気排出口を通じてドラム内に加熱空気、或は外気を流通させる空気給排部と、
前記側面を貫通した回転軸を回転させることにより、ドラム内の衣類等を洗濯し、脱水処理し、或は前記空気給排部とともに作動して加熱乾燥、冷却を行う駆動部と、
を備えた業務用洗濯脱水乾燥装置と、
仕切壁部により衣類等が搬入されるダーティールームと、環境を清浄化されるクリーンルームとに仕切られ、前記仕切壁部には透孔が形成された作業室とを有し、
前記業務用洗濯脱水乾燥装置の前記外胴の一方側の開口を前記ダーティールーム側に、前記外胴の他方側の開口をクリーンルーム側に前記透孔を通じて配置して前記透孔を閉鎖していることを特徴とする業務用洗濯脱水乾燥装置を用いた配置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物の洗濯から乾燥までの処理を自動に行う業務用洗濯脱水乾燥装置および配置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や介護福祉施設等で業務に使用されるシーツや衣類(以下衣類等と称する)に対して洗い濯ぎを行い、続けて脱水/乾燥を一連の作業を自動で行う業務用の洗濯脱水乾燥装置が、例えば特許文献1や2により知られている。
【0003】
特許文献1に開示された装置は、円筒状ドラムの両底面において左右一対の軸受により両持ち状に支持されて洗い濯ぎ脱水を行い、また、乾燥用空気をドラムの一方側の底面に設けられた開口を経てドラム内に供給して乾燥を行うようになっている。そしてドラム周曲面に開口が設けられ、ドラムの外側を覆う外胴の一か所に形成されたドアを介して洗濯物が出し入れされる。
【0004】
また、特許文献2に開示された装置は、円筒状ドラムの片側の底面側に支軸により片持ち状に支持され洗い濯ぎ脱水を行い、また、加熱した外気を、ドラムの他方側の底面からドラム内に供給するようになっている。また、洗濯物を投入するための投入口は他方側の底面に形成され、外胴の一か所に形成されたドアを介して洗濯物が出し入れされる。
このような洗濯脱水乾燥装置においては、外胴に設けられたドアが洗濯物の出し入れにおいて共通であり、洗濯済みの衣類等と、洗濯前の衣類等とが、同時或は時系列的に空間を共有する。また、洗濯脱水乾燥装置に汚れた衣類等を投入する作業者と、装置から洗濯済みの衣類を取り出す作業者も、同一空間で作業することになる。
【0005】
一方、汚れた衣類等を投入する投入口と、洗濯した後の取出口を別々に設けた洗濯機として、特許文献3に示すものがある。多数の円筒状ドラムの底面同士を多連に仕切り版を介して接続しており、両持ちの軸自体を中空にして衣類等の通路にし、ドラムからドラムへ移し替えてゆく。尚、この装置は脱水、乾燥を行うものではなく、別途脱水機、乾燥機を用意して、濯ぎの終わった衣類等を乾燥機へ移し替える必要がある。脱水処理は、水を含んだ衣類等を高速回転で回すものであり、かつ衣類等を通すほど大きい径の中空を有する軸では、軸受け径が大きく、機械的強度を保つことが困難であり、また乾燥処理は衣類等の損傷を防ぐため60度程度の温度で長時間行う必要があるため、同じ装置内に組み込むことは困難である。
【0006】
乾燥のみを行う装置として、円筒状ドラムの両方の底面に、入り口ドアと出口ドアを設けたものが、特許文献4に開示されている。洗濯/濯ぎが終了すると菌はほぼ滅菌された状態となるので、この装置は入り口ドアと出口ドアと環境において、洗濯前の汚染された衣類等が存在する環境にはない。乾燥処理は水切りを行った衣類等に乾燥風をいきわたらせる処理のため、脱水処理に比べてドラムの回転数は低く、軸受け径は大きなものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−81712号公報
【特許文献2】特開2002−306893号公報
【特許文献3】特開平5−154270号公報
【特許文献4】特開2009−50429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、病院や各種施設では、院内感染防止などの目的で寝具類の衛生管理が重要視されており、汚れた衣類等と洗濯が終了した衣類等を区別して処理することが望まれる。
脱水、乾燥の機能を有する特許文献1、2の装置においては、入口と出口が同じであるため、汚れた衣類等と洗濯が終了した衣類等を区別することができない。脱水、乾燥機能を持たない特許文献3に開示された装置では、ドラムからドラムに移し替えて処理を行っており、入口と出口が異なるため衣類等を区別が可能であるが、装置自体が大がかりである。脱水処理には、ドラムの回転数を高めるため、装置の強度を高める必要があるが、回転軸内に衣類等が移動する空間を設けると、軸の太さが増大して軸受け機構が複雑になる。
【0009】
本発明の目的は、洗濯、脱水による回転の機械的強度を保持したうえで、衣類等の投入口、排出口を別々に設置することにより、洗濯及び脱水、乾燥の一連の処理を一つのドラム内で完了したうえで、洗濯前の汚れた衣類等と、乾燥の完了した後の清潔な衣類等と、夫々別の空間で扱うことを可能とする業務用洗濯脱水乾燥装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る業務用洗濯脱水乾燥装置は、周面に多数の貫通孔が設けられた中空の円筒状であって、周面に扉体による開閉可能な開口が設けられ、互いに対向する円形の一対の底面の中心を結ぶ軸を水平にして、これを回転軸として回転するドラムと、
内部に水が注入され、夫々が前記底面から外側へ張り出した回転軸の端部を受ける軸受けが固定された左右の側面板と、空気供給口と空気排出口とが形成された上側周面部と、集水用の凹み部から排水する下側周面部とにより前記ドラムを取り囲み、前記ドラムの周面を水平方向の両側から挟むように設けられた一対の開口を有する外胴と、
前記外胴の一対の開口に対して夫々設けられ、夫々対応する開口の開閉を行う一対の水密扉と、
前記上側周面部に形成された空気供給口及び空気排出口を通じてドラム内に加熱空気、或は外気を流通させる空気給排部と、
前記側面を貫通した回転軸を回転させることにより、ドラム内の衣類等を洗濯し、脱水処理し、或は前記空気給排部とともに作動して加熱乾燥、冷却を行う駆動部と、
を備え、さらに
前記空気排出口から排出された空気を大気中に放出させるための空気排出経路は、
前記空気排出経路内の空気流の上流側であって、筒状の金網をフィルタとして内部に有する外筒と、
前記外筒から前記筒状の金網の目を通して空気流を大気に放出する短絡通風路と、
前記短絡通風路を大気に開閉する第一開閉弁と、
前記空気排出経路内の空気流の下流側であって、前記金網の目を通さずに流れた空気流を濾過するフィルタを介して大気に開放するケーシングと、
前記外筒と前記ケーシングとを接続した通風路に設けられ、前記外筒の下端の開口を開閉する第二開閉弁とが備えられ、
前記加熱乾燥中には前記第一開閉弁を開放状態とし前記第二開閉弁を閉鎖状態とし、一方、加熱乾燥後のドラム内への外気供給による洗濯物の冷却中には前記第一開閉弁を閉鎖状態とし前記第二開閉弁を開放状態とし、
かつ冷却中に金網に振動を付与するバイブレータを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の業務用洗濯脱水乾燥装置によれば、外胴の両側であってドラムを半回転した位置に夫々開口を設けて、これに水密扉を設けることにより、業務用洗濯脱水乾燥装置の正面と背面に夫々、投入口、排出口が設置でき、ドラムを半回転するのみで、外胴の両側の開口に対してドラムの開口を向けることができる。
このため、洗濯及び脱水、乾燥の一連の処理を一つのドラム内で完了することができ、洗濯前の汚れた衣類等と、乾燥の完了した後の清潔な衣類等と、夫々別の空間で扱うことが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】業務用洗濯脱水乾燥装置の斜視図である。
図2】ドラムと扉体及び外胴の関係を示す図である。
図3】扉体を除いた外胴の斜視図である。
図4】上記業務用洗濯脱水乾燥装置の正面と左右方向に切断した中央横断面を示す図である。
図5】ドラムを回転軸に対して垂直に切断して示した図である。
図6】乾燥用空気給排部の系統説明図である。
図7】業務用洗濯脱水乾燥装置の設置状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施例に係る業務用洗濯脱水乾燥装置100は、図1及び図2に示すように、基台1に対して、洗濯物処理部2、空気給排部3を備えている。洗濯物処理部2は、外胴5、この外胴5の内側に位置し洗濯物が投入される円筒状のドラム6、及び、このドラム6に回転力を付与する駆動部7を備えている。ドラム6は、周面に多数の貫通孔が設けられた中空の円筒状であり、互いに対向する円形の一対の底面(円形端面板19a、19b)の中心を結ぶ軸を水平にして、これを回転軸18として回転する。
【0014】
外胴5はドラム6の外周面を包囲するように位置されるもので、図2及び図3に示すように上側周面部8aと下側周面部8bを有し、これら周面部8a、8bの各側端縁を右側面板9aと左側面板9bで結合され、内側にドラム6を配置される空間a1を有している。下側周面部8b及び左右の側面板9a、9bで囲まれた領域は洗濯水を貯溜する場所として使用される。
【0015】
上側周面部8aにおいて空気供給口11bとして機能する3つの透孔が形成され、空気排出口11aとして機能する2つの透孔が形成されている。そして下側周面部8bの最下部には集水用の凹み部8b1が形成され、この凹み部8b1に水を排水する排水弁10が設けられている。この排水弁10の出口10aには排水管(図示せず)が接続される。
【0016】
外胴5には、ドラム6の周面と正対する位置に開口12aが形成されている。開口12aは、ドラム6の開口を介して衣類等を内に投入するために外胴5に設けられる(業務用洗濯脱水乾燥装置100の正面側)。また、ドラム6の周面と正対する位置であって、開口12aの反対側の位置の外胴5には開口12bが形成されている。開口12bは、ドラム6内の衣類等を外方に取り出すために設けられている(業務用洗濯脱水乾燥装置100の背面側)。外胴5は、ドラム6の周面を水平方向の両側から挟むように開口12a、12bが一対設けられる。
【0017】
各開口12a、12bは四角状の開口であって、この開口を水密状に遮蔽する一対の水密扉13が設けられ、水密扉13にはロック状態及び非ロック状態を電気的に切り替えるロック機構13a1、13a2が付設されている。図示例では水密扉13は中央に透視窓c1を有する四角板状であり、各開口12a、12bの上端辺に支持された支軸13b回りに開閉される。
【0018】
基台1と外胴5とは防振手段14を介して結合されている。防振手段14は右側面板9aの前後箇所と、左側面板9bの前後箇所とにそれぞれに設けられている。それぞれの防振手段14は基台1の受部と、右側面板9a又は左側面板9bから張り出されたブラケット15(図3参照)との間に例えばゴム又はバネなどの弾性支持部材16を設けた弾性支持部14aと、各弾性支持部14aの近傍に基台1と、右側面板9a又は左側面板9bの何れかとをダンパー17で結合した運動抑制部14bとで構成されている。
尚、図中44は、操作パネルである。
【0019】
図4図5において、ドラム6は、ドラム6の筒状の一対底面をなす円形端面板19a、19bと、回転軸18を中心とした筒状の外周壁部20とを有している。各円形端面板19a、19bには補強円板21が固着され中心箇所に回転軸18を嵌着するための筒部材22を固定されている。外周壁部20は水や空気を流通させるための多数の貫通孔d1を形成され、内面の周方向の一定間隔位置には断面形状を三角形の筒状の攪拌突起23(図5)を回転軸18に沿って内域のほぼ全範囲に渡るように設けられている。各攪拌突起部23は補強用の角筒部材24を介して周面壁部20に固定されており、外周壁部20は角筒部材24を介して円形端面板19a、19bに結合されている。
【0020】
ドラム6は図5に示すように、直径位置に仕切板25を固設され内部を2つの室e1、e2に区分されている。この仕切板25は空気や水を流通させるための多数の透孔d2(図4B参照)が形成され、各端縁を対向した一対の攪拌突起23、23に止着され、端縁間を回転軸18で支持されている。そして、衣類等を投入するため外胴5に設けられ開口12aに対して、開口26aが正対したとき(図5において、左側に開口12aがあるとき)、仕切板25は開口26aの上端から、反対側では開口26bの下端の間を仕切るように配置される。
【0021】
各室e1、e2の夫々に対して、ドラム6の周側面には洗濯物を入れ出しするための開口26a、26bが形成されており、開口26a、26aは直径方向で対向するように配置されている。各開口26a、26aは四角状の開口であって、この開口を閉鎖する2枚の扉体27a、27bが設けられている。各開口26a、26aは隣接した2つの攪拌突起部23に固着された横向き縁材28、28とこれら横向き縁材28、28を結合した縦向き縁材28aとで周囲を囲まれている。2枚の扉体27a、27bは各開口26a、26aの左右端部に配置されたヒンジ29を介して縦軸回りの回動可能に支持されて外方への観音開き状に開放されるものとなっている。各水密扉13は多数の透孔d3を形成された板部材で形成されて空気や水の流通を可能とされており、内部には扉体27a、27bのロックを行うロック機構30a、30bが付設されている。
【0022】
回転軸18の両端部は円形端面板19a、19bから外側へ夫々支軸部18a、18bとして張り出している。右端側の支軸部18aは右側面板9a(図3参照)の透孔箇所31に固定された軸受32(図1参照)に支承され、また左端側の支軸部18bは左側面板9a(図3参照)の図示しない透孔箇所に固定された軸受に両持ち状に支承される。本例では左端側の支軸部18bは右端側の支軸部18aよりも長く形成され駆動部7(図2一点破線)から回転が付与される。
【0023】
図6は空気給排部3の系統説明図である。空気給排部3は、ドラム6の真上範囲内の外胴5箇所に形成された空気供給口11及び空気排出口11を通じてドラム6内に加熱空気或は外気を流通させるものであり、空気供給部3aと空気排出部3bを備えている。空気供給部3aはブロアー33から送り出された圧力空気を、通風路34a、34bを通じることにより空気加熱器35を経て空気供給口11まで移送する。外胴5の空気供給口11と通風路34bとは可撓管36aで接続されている。
【0024】
一方、空気排出部3bは空気排出口11から排出された空気を、通風路37aを通じることによりフィルタ装置38を経て排風口39まで移送し大気中へ放散させる。フィルタ装置38は空気排出部3bの空気排出経路上における上流側の第一フィルタ40と下流側の第二フィルタ41を備えており、外胴5の空気排出口11bと通風路37aとは可撓管36bで接続されている。
【0025】
第一フィルタ40は、起立された外筒40a内に配置された筒状の金網40bによるフィルタである。外筒40aには、金網40bを振動させるためのバイブレータ40cが設けられている。外筒40aに流入した空気が金網40bの内周から目を通過して外周に達するときに、リント(綿挨)を濾し出すようになっている。バイブレータ40cにより金網40bを振動させると、筒状の金網40bの内周面に蓄積されたリントは金網40bから分離され下方へ落下する。
フィルタとして金網40bを用いるのは、バイブレータ40cの振動が金網40b全体に伝わり、リントを落下させることができるからである。
【0026】
第二フィルタ41は、円筒状の保持枠41a内に内挿された布袋41bによるフィルタである。布袋41bの内方に流入した空気が布袋41bの生地を通過するときに、布袋41bがこの空気に含まれるリントをその内面上に濾し出すようになっている。第二フィルタ41と第一フィルタ40のリントの濾過能力はほぼ同等で良い。布袋41bは、これを出し入れするための開口41c1を有するケーシング41cで包囲されている。ケーシング41cから濾過空気を大気へ放散させるための通風路37bが上方へ向け延出されており、この通風路37bの上端開口が排風口39である。
【0027】
第一フィルタ40側の外筒40aは通風路37bとは短絡通風路37cで連通されており、この短絡通風路37c内にはこれを開閉するための第一開閉弁42が設けられている。また外筒40aとケーシング41cとを接続した通風路37d内には外筒40aの下端の開口を開閉するための第二開閉弁43が設けられている。バイブレータ40cの振動により金網40bから落下したリントは、第二開閉弁43を介してケーシング41cに落下する。
【0028】
次に上記した業務用洗濯脱水乾燥装置100の使用した配置システムの例について説明する。
図7において、作業室は、衣類等が搬入されるダーティールームh1と、環境を清浄化されるクリーンルームh2とに、仕切壁部i1を境として区分けられている。この仕切壁部i1に透孔i2を形成し、業務用洗濯脱水乾燥装置100の大部分をダーティールームh1内に配置してこの透孔i2を閉鎖する。そして開口12aがクリーンルームh2側に、開口12bがこの透孔i2を通じてクリーンルームh2内に配置された状態とする。このように設置された本例装置100のブロアー33は吸気用の室内ダクト33aを通じて屋外の外気を吸引し、排風口39から排出される空気は排風用の室内ダクト39aを通じて屋外に放散されるようにしている。これにより、クリーンルームh2はその通行口j1の扉を閉めた状態では、投入口12a又は取り出し口12bが同時に開放されない限りダーティールームh1から離隔された空間になる。
【0029】
業務用洗濯脱水乾燥装置100の作動停止状態においては、外胴5の開口12aとドラム6の開口26a又は26bとが図2に示す対面配置状態となっている。作業者は、外胴5の開口12aと、これに対面状態となっているドラム6の開口26a若しくは開口26bを開放する。ダーティールームh1に搬入された処理すべき衣類等をドラム6内に投入して、27bを閉鎖する。
【0030】
次にドラム6を半回転させて他方の室e2又はe1の開口26b又は26bを開放して、さらに衣類等を投入した後、この水密扉13及び26bを閉鎖する。
【0031】
次に業務用洗濯脱水乾燥装置100を始動させる。洗い、濯ぎ、脱水及び乾燥の各処理を連続的に行わせる。洗濯処理では、まず図示しない給水手段及び洗剤供給手段などから外胴5内に洗剤や水などを供給し外胴5内の下部に貯溜させる。次に駆動部7を作動させドラム6を回転させることにより、衣類等をドラム6内で攪拌させ、洗い、濯ぎを行う。
洗濯処理が終了すると、ドラム6の回転を停止させ、排水弁10を開放させ排水管を経て外胴5内の洗濯水を外方へ流出させる。次に排水弁10が開放された状態の下で、駆動部7によるドラム6の回転数を増加させて脱水処理を行わせる。ドラム6内の衣類等の水分は遠心力でドラム6の透孔d1を通じて外胴5側へ飛散されて凹み部8b1内に集水され排水弁10を経て外方へ排水される。
【0032】
脱水処理が終了すると、駆動部7によりドラム6の回転を下げて、ブロアー33を始動させ、空気加熱器35による空気加熱を開始する。加熱された空気は、通風路34b及び空気供給口11aを経て外胴5内に送られ、ドラム6の外周壁部20の前部の透孔d1を通じてドラム6内に供給され、回転衣類等と接触されて衣類等の水分が蒸発する。このとき第一開閉弁42は開放状態とし、第二開閉弁43は閉鎖状態とする。
【0033】
水分蒸発により湿度が上昇したドラム6内の加熱状態の空気は乾燥で生じたリントを巻き込みつつ、空気排出口11bを経て空気排出部3bの通風路37a内に排出される。通風路37aの空気は、第二開閉弁43が閉鎖されているため、第一フィルタ38の金網40bの目を通過した後、通風路37c及び通風路37bをこの順に流下されて排風口39から放散される。この間、金網40bの内面にリントが蓄積される。
【0034】
乾燥処理が終了すると、空気加熱器35の発熱を停止させ、ブロアー33の作動を継続させる冷却運転を行う。乾燥処理と同様に、駆動部7によりドラム6を回転させる。第一開閉弁42を閉鎖し、第二開閉弁43を開放してバイブレータ40cを作動させる。これによりドラム6内には非加熱状態の空気が継続的に流動され、衣類等が冷却される。また通風路37a内を流下する空気は金網40bの内周側を通過した後、通風路37d内を経てケーシング41cに流下する。この際、金網40bの振動でこれの内周からリントが分離/落下してケーシング41c内に至る。ケーシング41c内では布袋41b内にこのリントが濾し出される。冷却が終了するとブロアー33を停止させる。この時点では、金網40bは清浄化されており、空気給排部3の通風経路も次の衣類等の加熱状態の空気による乾燥処理に備えた状態となっている。
【0035】
この後、外胴5の開口12bと開口26a又は26bとの位置を重ね合わせ、ロック機構13a2及びロック機構30a、30bを非ロック状態とする。水密扉13をクリーンルームh2内において開放し、これと重なる一方の室e1又はe2の扉体27a又は27bを開放して、この室e1又はe2内の衣類等をクリーンルームh2内に取り出す。ドラム6を半回転させた後、他方側の室e1又はe2内の衣類等をクリーンルームh2内に取り出す。取り出すことが完了したら、これを知らせる信号をダーティールームh1側の操作パネル44に、取出し完了を知らせる信号を表示する。
【0036】
ダーティールームh1側の作業者は、操作パネル44の取出し完了を受けてから、業務用洗濯脱水乾燥装置100の開口12aの開閉を行い、次の洗濯の作業を開始する。
【0037】
このように、業務用洗濯脱水乾燥装置100においては、汚れた衣類等を投入する入口と、脱水、乾燥が終了した衣類等を取り出す出口が、ドラム6の周面を両側から挟むように設けられている。従って、一方をダーティールームh1側に、他方をクリーンルームh2内に向けて、業務用洗濯脱水乾燥装置100をダーティールームh1とクリーンルームh2の仕切り位置に配置すれば、汚れた衣類等と洗濯が終了した衣類等を区別して処理することができる。
【0038】
また、外胴5には、ドラム6の周面と正対する位置に開口12aが形成されている。開口12aは、ドラム6の開口を介して洗濯物を内に投入するために設けられる。また、ドラム6の周面と正対する位置であって、開口12aの反対側の位置の外胴5には開口12bが形成されている。開口12bは、ドラム6内の洗濯物を外方に取り出すために設けられている。一方、ドラム6は、円形端面板19a、19bから外側へ張り出された支軸部18a、18bが、外胴5の右側面板9aと左側面板9bとに夫々固定された軸受(図1、左側面板9bの軸受け32参照)に両持ち状に支承されており、軸受け半径を小さくかつ両持ち軸受けであるので、脱水による高速回転に対しても構造を簡単化できる。
【0039】
さらに、外胴5において、空気供給口11a及び空気排出口11bが、開口12a、12bよりも上側に設けられているので、空気供給口11a及び空気排出口11bが洗濯水に浸かることがない。
また、ドラム6は回転軸18を中心とした点対称の位置に開口26a又は26bを設けているので、回転バランスを容易に取りやすい。
【0040】
さらに、直径位置に仕切板25を固設して、内部を2つの室e1、e2に区分しているので、汚れた衣類等を投入するときには図5の矢印イに示すように、ドラム6の底に向けて投げ入れるようになる。一方、衣類等を取り出すときには、図5の矢印ロのように、衣類が仕切板25をすべり台のようにして取り出すことができ、また、取出し残しを起こすこともない。
【0041】
また、衣類等の洗濯が繰り返されると、布袋41b内の塵埃が蓄積して目詰まりし風量が低下していくので所定の周期でリントの取出しを行う。一方、金網40bは乾燥処理前には常に清掃されている状態であるので、布袋41bのリントの処理は、乾燥処理前の度に行う必要はない。
【0042】
取り出し口12bから取り出された衣類等は洗濯処理により清浄化されているため、ダーティールームh1とは隔離されている。この衣類等はクリーンルームh2内の清浄な環境下で仕上げ処理される。
【0043】
外胴5に対して、ドラム6を半回転した位置に夫々開口12a、12bを設けて、これに水密扉13を設けることにより、業務用洗濯脱水乾燥装置100の正面と背面に夫々、投入口、排出口が設置でき、ドラム6を半回転するのみで、両方の開口12a、12bに対してドラムの開口26a、26bを向けることができる。
このため、洗濯及び脱水、乾燥の一連の処理を一つのドラム6内で完了することができ、洗濯前の汚れた衣類等と、乾燥の完了した後の清潔な衣類等と、夫々別の空間で扱うことが可能となるのである。
【0044】
なお、ドラム6の回転駆動は開口12a、12b及び開口26a、26bの全てが閉鎖されロック機構13a1、13a2、30a、30bによりロックされた状態でのみ可能となるように構成し、また投入口12a及び取り出し口12bはロック機構13a1、13a2により、何れか一方が開放されているとき他方は開放されない構成とするのがよい。
【0045】
上記実施例の業務用洗濯脱水乾燥装置100ではドラム6内を仕切板25で2室e1、e2に仕切っているが、この仕切板25を省略してドラム6内を単一の室としても良い。この場合には、ドラム6の開口26a、26bは何れか一方を省略して、この省略箇所を外周壁部20で覆う。例えば開口26bを省略したとすれば、乾燥処理が終了してドラム6が停止するとき、1つの開口26aが取り出し口である開口12bに正対した状態でドラム6が自動的に停止するようにその回転を制御させ、またこの停止状態でドラム6内の衣類等をクリーンルームh2内に取り出して取り出し口である開口12bを閉鎖したときには開口26aが投入口である開口12aに正対した状態でドラム6が自動的に停止するようにその回転を制御させる。
【符号の説明】
【0046】
100 業務用洗濯脱水乾燥装置
2 洗濯物処理部
3 空気給排部
5 外胴
6 ドラム
11a 空気供給口
11b 空気排出口
12a、12b 開口
18a、18b 支軸部
26a、26b 開口
h1 ダーティールーム
h2 クリーンルーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7