特許第6356494号(P6356494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356494
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 5/00 20060101AFI20180702BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   B25J5/00 F
   H04M1/00 R
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-117887(P2014-117887)
(22)【出願日】2014年6月6日
(65)【公開番号】特開2015-229230(P2015-229230A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】314000718
【氏名又は名称】株式会社ロボ・ガレージ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】川内 康裕
(72)【発明者】
【氏名】遠山 理
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智隆
【審査官】 藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−071765(JP,A)
【文献】 特開2011−121136(JP,A)
【文献】 特開2004−130428(JP,A)
【文献】 特開2007−151882(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3104727(JP,U)
【文献】 特開2000−014935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
A63H 1/00−37/00
H04M 1/00;1/24−1/82;99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの荷重が支持部により支えられている状態での上記ロボットの自律動作時に、ユーザが少なくとも一定時間は全部を視認することができない上記支持部の部位に配置された、ユーザが指示入力を上記ロボットに対して行うための入力部と、
上記入力部への指示入力操作に適する指示入力姿勢に上記ロボットが姿勢移行したことを判定する姿勢移行判定手段と、を備え、
上記入力部は、上記姿勢移行判定手段により上記ロボットが上記指示入力姿勢に移行したと判定した場合に、上記入力部の指示入力機能を起動させることを特徴とするロボット。
【請求項2】
ロボットの荷重が支持部により支えられている状態での上記ロボットの自律動作時に、ユーザが少なくとも一定時間は全部を視認することができない上記支持部の部位に配置された、ユーザが指示入力を上記ロボットに対して行うための入力部と、
ユーザが上記ロボットを把持したことを検知する把持検知手段と、
上記把持検知手段によりユーザが上記ロボットを把持したことが検知された場合に、上記ロボットが上記入力部への指示入力操作に適する指示入力姿勢となるよう、上記ロボットの姿勢を移行させる姿勢制御手段と、を備えていることを特徴とするロボット。
【請求項3】
ロボットの荷重が支持部により支えられている状態での上記ロボットの自律動作時に、ユーザが少なくとも一定時間は全部を視認することができない上記支持部の部位に配置された、ユーザが指示入力を上記ロボットに対して行うための入力部と、
ユーザに対して上記入力部への指示入力操作を要求することが必要な条件である指示入力要求条件の充足性を判定する要求条件判定手段と、
上記要求条件判定手段により上記指示入力要求条件を充足していると判定された場合に、上記ロボットが上記入力部への指示入力操作に適する指示入力姿勢となるように、上記ロボットの姿勢を移行させる姿勢制御手段と、を備えていることを特徴とするロボット。
【請求項4】
ロボットの荷重が支持部により支えられている状態での上記ロボットの自律動作時に、ユーザが少なくとも一定時間は全部を視認することができない上記支持部の部位に配置された、ユーザが指示入力を上記ロボットに対して行うための入力部と、
上記ロボットに対する指示入力操作を必要としない条件である指示入力不要条件の充足性を判定する不要条件判定手段と、
上記不要条件判定手段により上記指示入力不要条件を充足していると判定された場合に、上記入力部の指示入力機能を解除する解除手段と、を備えていることを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによる指示入力操作が可能なロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットの外観を有する携帯電話が広く開発されている。例えば、特許文献1には、柔軟体から成り、胴体部分、頭部分、手部分および脚部分を含み、かつ、電話基板が内蔵された本体を備えた携帯電話機が開示されている。当該携帯電話機の本体は人間のミニマルデザインともいうべき全体形状を有している。
【0003】
また、特許文献2には、両耳部、口部、腕部、足部、頭部および目部の少なくともいずれかと、胴体部とを備えたロボットの形状を有する携帯電話が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−29066号公報(2012年2月9日公開)
【特許文献2】特許第4201211号公報(2008年10月17日登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された携帯電話機は、ユーザが相手の名前を音声で入力することで、当該名前と対応付けられたアドレスデータに含まれる電話番号に基づいて発呼処理を実行するものである。したがって、テンキー等の入力キーの押下による電話番号の入力によって、通話可能状態を確立することを前提としていない。
【0006】
また、特許文献2に記載の携帯電話は、ロボットの外観を有しており、制御部内のダイヤル入力部に信号を送るボタン(上記入力キーに相当)を備えているものの、当該ボタンが携帯電話の胴体部に広範に配置されている。したがって、上記携帯電話はその外観上、ロボット的な雰囲気が阻害された構成になっている。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロボットとしての雰囲気を損なわない外観を備え、なおかつユーザがロボットに対する指示入力を行うための入力インターフェイスを備えたロボットを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るロボットは、ロボットの荷重が支持部により支えられている状態での上記ロボットの自律動作時に、ユーザが視認することができない当該支持部の部位に、ユーザが指示入力を上記ロボットに対して行うための入力部を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、ロボットは、当該ロボットの荷重が支持部により支えられている状態での当該ロボットの自律動作時に、ユーザが視認することができない当該支持部の部位に入力部を備えていることから、ロボットとしての雰囲気を損なわない外観を備えたロボットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係るロボットの概略構成を示すブロック図である。
図2】(a)は、上記ロボットの概略を示す正面図である。(b)は、上記ロボットの概略を示す背面図である。(c)は、ユーザが上記ロボットを把持した状態における、上記ロボットの使用態様の一例を示す概略図である。(d)は、上記ロボットの足裏部を示す概略図である。
図3】(a)および(b)は、上記ロボットにおけるキー入力部の配置の一例を示す概略図である。
図4】(a)は、上記ロボットの指示入力姿勢情報と指示入力姿勢との対応関係を示すデータテーブルの一例である。(b)は、上記ロボットの非指示入力姿勢情報と非指示入力姿勢との対応関係を示すデータテーブルの一例である。
図5】本発明の実施形態1に係るロボットを用いて電話発信する際の処理等を示すフローチャートである。
図6】(a)〜(c)は、本発明の実施形態1に係るロボットの種類に応じた、キー入力部の配置の一例を示す概略図である。
図7】本発明の実施形態2に係るロボットの概略構成を示すブロック図である。
図8】本発明の実施形態2に係るロボットを用いて電話発信する際の処理等を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態3に係るロボットの概略構成を示すブロック図である。
図10】本発明の実施形態3に係るロボットを用いてメール送信する際の処理等を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図1図6を参照しながら、詳細に説明する。なお、下記の実施形態においては、入力部が2足歩行ヒューマノイドロボットに備えられているものとして説明する。しかしながら、2足歩行ヒューマノイドロボットに限らず、例えば、アニメキャラクタの戦闘ロボットまたは動物ロボット等のロボット全般に入力部が備えられていてもよい。また、下記の実施形態においては、電話機能付きの2足歩行ヒューマノイドロボットを例に挙げて説明する。
【0012】
(ロボットの概要) まず、図2を参照してロボット1の概要について説明する。図2の(a)は、本実施形態に係るロボット1の概略を示す正面図である。また、図2の(b)は、当該ロボット1の概略を示す背面図である。また、図2の(c)は、ユーザがロボット1を把持した状態における、当該ロボット1の使用態様の一例を示す概略図である。さらに、図2の(d)は、当該ロボット1の足裏部1fを示す概略図である。
【0013】
図2の(a)に示すように、ロボット1は、頭部1a、胴体部1b、腕部1c、脚部1d、および足部1eで構成される。頭部1aは首部1gを介して、腕部1cは肩関節部1hを介して、脚部1dは脚関節部1iを介して、それぞれ胴体部1bに対して可動に接続されている。また、足部1eは足関節部1jを介して脚部1dに対して、可動に接続されている。首部1gおよび各関節部には、後述するサーボモータ29aが内蔵されており、当該サーボモータ29aが駆動することによって、頭部1a、腕部1c、脚部1d、および足部1eはそれぞれ可動する。
【0014】
次に、図2の(b)に示すように、胴体部1bの一部を構成する背中部1kには、後述する表示部21が設けられている。また、図2の(c)に示すように、ロボット1は、ユーザによって把持され、かつ、表示部21の表示面と後述するキー入力部27とが略平行な状態になった場合に通話可能となる。さらに、図2の(d)に示すように、足部1eの一部を構成する足裏部1fには、キー入力部27が設けられている。
【0015】
なお、キー入力部27を配置する位置としては足裏部1fに限定される訳ではない。ここで、図3の(a)および(b)は、ロボット1におけるキー入力部27の配置の一例を示す概略図である。図3の(a)および(b)に示すように、例えば、脚部1dにおける足部1eとの接続部位1qにキー入力部27を設けて、当該足部1eを当該脚部1dの接続部位1qに対して開閉可能に接続させてもよい。この場合、足部1eは、ユーザ等がロボット1の外観からキー入力部27の存在を把握することができないようにする蓋としての役割を果たす。すなわち、ユーザ等がロボット1の外観からキー入力部27の存在を把握することができないように、当該キー入力部27が当該ロボット1の荷重を支える支持部のいずれかの部位に設けられていればよい。
【0016】
(ロボットの具体的構成) 次に、ロボット1の具体的構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、ロボット1の具体的構成を示すブロック図である。図1に示すように、ロボット1は、制御部10、グリップセンサ20、表示部21、バッテリー部22、アンテナ部23、送受信部24、マイク部25、スピーカ部26、キー入力部27、記憶部28、および駆動部29を備えている。
【0017】
制御部10は、ロボット1を統括的に制御するものであり、姿勢移行判定手段11および姿勢制御手段12を備えている。姿勢移行判定手段11および姿勢制御手段12の説明については後述する。
【0018】
グリップセンサ20は、例えば静電容量式センサまたは感圧式センサであり、ユーザがロボット1を把持しているか否かを検知し、検知結果を姿勢制御手段12に送信するものである。グリップセンサ20aは、例えば、胴体部1bの一部を構成する脇腹部1lに内蔵される(図2の(b)参照)。
【0019】
なお、本実施形態では、ユーザによるロボット1の把持状態を検知する手段として、グリップセンサ20以外の構成を用いることも可能である。例えば、加速度センサを用いて、ユーザがロボット1を把持して動かしているか否かを検知したり、または、ロボット1の重力の向きに対する傾斜角度を検出することで当該ロボット1の把持状態を検知したりしてもよい。さらには、ジャイロセンサを用いて、ロボット1の角加速度を検出することでロボット1の把持状態を検知してもよい。
【0020】
表示部21は、ロボット1に装備されている各種機能(アプリケーションソフト)が実行されることに起因する画像等の各種画像を表示する。表示部21としては、例えばタッチパネルを備えたLCD(Liquid crystal display:液晶ディスプレイ)が用いられる。
【0021】
バッテリー部22は、ロボット1を構成する各部に電力の供給を行うものである。送受信部24は、アンテナ部23を介して音声データ等の各種データの送受信を行うものである。マイク部25は、例えば通話中の音声を集音する。スピーカ部26は、音声データを含む情報を再生する機能と、通話者本人以外にも聞こえるように音声を出力するスピーカとを備えた再生部であり、例えば、頭部1aの一部を構成する口部1mに内蔵される(図2の(a)参照)。
【0022】
キー入力部27は、入力されたユーザ操作を取得するものであり、テンキー27a、発信キー27b、着信通知部27c、SPKキー27dおよび保留キー27eで構成される。また、足裏部1fにおけるキー入力部27が設けられている面(以下、「足裏面」とする)をフラットにするため、キー入力部27を構成する各キーには静電容量式タッチキーが使用される。
【0023】
テンキー27aは、0から9までの数字キー、♯(シャープ)キー、および*(アスタリスク)キーで構成され、主として電話番号を入力するためのキーである。発信キー27bは、ユーザの所望する相手に電話を掛けたい場合に、テンキー27aがタップされて電話番号が入力された後、あるいは電話番号が入力される前に、当該発信キー27bがタップされることで発信状態にするキーである。着信通知部27cは、例えば、当該着信通知部27c内のランプ等が点滅することで、ユーザに着信があることを通知するものである。SPKキー27dは、スピーカ部26から相手の音声が出力されるようにするためのキーである。保留キー27eは、相手との通話状態を保留状態にするためのキーである。
【0024】
なお、キー入力部27の構成は上記構成に限定される訳ではなく、例えば、テンキー27aのみの構成等であってもよい。
【0025】
記憶部28は、姿勢移行判定手段11によって判定されたロボット1の姿勢(以下、「判定姿勢」とする)に対応する各サーボモータ29aの回転位置に関するデータ(以下、「判定姿勢情報」)、後述する指示入力姿勢に対応する各サーボモータ29aの回転位置に関するデータ(以下、「指示入力姿勢情報」とする)、および制御部10が実行する各種の制御プログラム等を記憶するものである。記憶部28は、例えばハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成される。
【0026】
駆動部29は、首部1gおよび各関節部に対応する数のサーボモータ29aで構成される。また、サーボモータ29aはモータ部29bおよびドライバ部29cを備えている。
【0027】
モータ部29bは、当該モータ部29bを構成するシャフトの回転(以下、シャフトの回転位置のことを、「サーボモータ29aの回転位置」と表現する)によって生じるモータ出力を、カップリング等の伝達機構を介して頭部1a等の各駆動部位に伝達することで、当該各駆動部位を駆動するものである。ドライバ部29cは、ユーザによる特定のサーボモータ29aへの回転位置指令と、姿勢移行判定手段11によって検出された当該サーボモータ29aの回転位置とを比較して、当該サーボモータ29aに流れる駆動電流を制御するものである。
【0028】
駆動部29としては、本実施形態のようなサーボモータ29aの他、油圧シリンダ、空圧シリンダ、またはリニアアクチュエータ等のアクチュエータを用いてもよい。
【0029】
次に、制御部10の具体的構成について説明する。姿勢移行判定手段11は、各サーボモータ29aの回転位置を検出するとともに、当該検出された回転位置に基づいて、当該姿勢移行判定手段11の回転位置検出処理の実行時におけるロボット1の姿勢を判定するものである。
【0030】
そして、ロボット1の姿勢が、ユーザによるキー入力部27への指示入力操作に適する指示入力姿勢に移行していると判定した場合、姿勢移行判定手段11は、キー入力部27の指示入力機能を起動させる。一方、指示入力姿勢に移行していないと判定した場合、姿勢移行判定手段11は、グリップセンサ20の検知機能を起動させる。なお、指示入力姿勢とは、具体的には、キー入力部27が設けられている足裏面が表示部21の表示面側に向いており、かつ、当該足裏面と当該表示面とが略同一平面上にある状態における、ロボット1の姿勢をいう。
【0031】
サーボモータ29aの回転位置の検出手段としては、例えば、発光ダイオード(LED)を用いた光学式エンコーダの他、加速度センサ等が用いられる。姿勢移行判定手段11による判定方法の詳細については後述する。
【0032】
姿勢制御手段12は、グリップセンサ20から受信した検知結果に基づいて、各サーボモータ29aの駆動を制御するものである。具体的には、グリップセンサ20によってユーザがロボット1を把持したことが検知されると、姿勢制御手段12は、ロボット1が指示入力姿勢となるよう、当該指示入力姿勢への移行に対応する特定のサーボモータ29a(脚関節部1iおよび足関節部1jに内蔵された各サーボモータ29a)を駆動する。なお、姿勢制御手段12は、ロボット1の指示入力姿勢への移行後に、全てのサーボモータ29aの電源がOFFになるよう制御してもよい。後述する姿勢制御手段42についても同様である。
【0033】
(姿勢移行判定手段による判定方法) 次に、姿勢移行判定手段11による判定方法について、図4を参照しながら説明する。姿勢移行判定手段11は、指示入力姿勢情報を参照し、当該指示入力姿勢情報と判定姿勢情報とを対比して両者が一致するか否かを判定することで、判定姿勢が指示入力姿勢に該当するか否かを判定する(ホワイトリスト方式)。
【0034】
ここで、指示入力姿勢情報とは、具体的には、ロボット1の足裏面と表示部21の表示面とが略同一平面上にある状態での各サーボモータ29aの回転位置をいう。なお、ホワイトリスト方式を採用する場合、判定姿勢情報以外で記憶部28に記憶されていないロボット1の姿勢は、全て後述する非指示入力姿勢とみなされる。
【0035】
次に、図4の(a)は、ロボット1の指示入力姿勢情報と指示入力姿勢との対応関係を示すデータテーブルの一例である。図4の(a)のNo1に示すように、駆動部29を構成するサーボモータ29aがn個ある場合、各サーボモータ1、2、・・・、nのシャフトの回転位置α、β、・・・、δが、それぞれa1、b1、・・・、n1の場合(指示入力姿勢情報)、ロボット1は指示入力姿勢A1にあるものと対応付けられる。そして、指示入力姿勢A1と対応関係付けられた当該指示入力姿勢情報が、判定姿勢が指示入力姿勢に該当するか否かを判定する際の判定基準として記憶部28に記憶される。この場合、「指示入力姿勢情報と判定姿勢情報とが一致する」とは、姿勢移行判定手段11によって判定されたロボット1の姿勢に対応する各サーボモータ29aの回転位置が、それぞれa1、b1、・・・、n1になることをいう。
【0036】
なお、指示入力姿勢情報を構成する回転位置α、β、・・・、δは、上述のa1、b1、・・・、n1のように特定の値に設定される必要はない。例えば図4の(a)のNo2に示すように、回転位置α、β、・・・、δは、それぞれa21<α<a22、b21<β<b22、・・・、n21<δ<n22のように一定範囲内にある値をすべて包含するよう設定されてもよい。この場合、「指示入力姿勢情報と判定姿勢情報とが一致する」とは、姿勢移行判定手段11によって判定されたロボット1の姿勢に対応する各サーボモータ29aの回転位置が、それぞれa21<α<a22、b21<β<b21、・・・、n21<δ<n22の範囲内にあることをいう。
【0037】
また、ロボット1の非指示入力姿勢に関する非指示入力姿勢情報と判定姿勢情報とを対比し、両者が一致しない場合にロボット1が指示入力姿勢であると判定するブラックリスト方式を、姿勢移行判定手段11による判定方法として採用してもよい。ここで、非指示入力姿勢とは、例えば、表示部21の表示面を視認しているユーザにとって、キー入力部27が視認しにくい角度に足部1eが傾いている場合等、ユーザによるキー入力部27への指示入力操作に適さない当該ロボット1の姿勢をいう。なお、ブラックリスト方式を採用する場合、判定姿勢情報以外で記憶部28に記憶されていないロボット1の姿勢は、全て指示入力姿勢とみなされる。
【0038】
次に、図4の(b)は、ロボット1の非指示入力姿勢情報と非指示入力姿勢との対応関係を示すデータテーブルの一例である。図4の(b)のNo3に示すように、駆動部29を構成するサーボモータ29aがn個ある場合、各サーボモータ1、2、・・・、nのシャフトの回転位置α、β、・・・、δが、それぞれa3、b3、・・・、n3の場合(非指示入力姿勢情報)、ロボット1は非指示入力姿勢A2にあるものと対応付けられる。そして、非指示入力姿勢A2と対応関係付けられた当該非指示入力姿勢情報が、判定姿勢が指示入力姿勢に該当するか否かを判定する際の判定基準として記憶部28に記憶される。この場合、「非指示入力姿勢情報と判定姿勢情報とが一致しない」とは、姿勢移行判定手段11によって判定されたロボット1の姿勢に対応する各サーボモータ29aの回転位置のいずれかが、a3、b3、・・・、n3のいずれかと異なることをいう。
【0039】
なお、非指示入力姿勢情報を構成する回転位置α、β、・・・、δは、上述のa3、b3、・・・、n3のように特定の値に設定される必要はない。例えば図4の(b)のNo4に示すように、回転位置α、β、・・・、δは、それぞれa41<α<a42、b41<β<b41、・・・、n41<δ<n42のように一定範囲内にある値をすべて包含するよう設定されてもよい。この場合、「非指示入力姿勢情報と判定姿勢情報とが一致しない」とは、姿勢移行判定手段11によって判定されたロボット1の姿勢に対応する各サーボモータ29aの回転位置のいずれかが、a41<α<a42、b41<β<b42、・・・、n41<δ<n42のいずれかの範囲外にあることをいう。
【0040】
(ロボットを用いた発信時の通話方法) 次に、図5を使用して、ロボット1を用いて電話発信する際の処理等について説明する。図5は、当該処理等を示すフローチャートである。
【0041】
図5に示すように、まず、姿勢移行判定手段11は、ロボット1が指示入力姿勢であると判定した場合(YES)、キー入力部27の指示入力機能を起動させる。一方、指示入力姿勢でないと判定した場合(NO)、姿勢移行判定手段11は、グリップセンサ20の検知機能を起動させる(S100:姿勢移行判定工程)。
【0042】
次に、姿勢移行判定手段11によってグリップセンサ20の検知機能が起動した場合、当該グリップセンサ20は、ユーザによってロボット1が把持されたか否かを検知する。そして、把持されたことを検知した場合(YES)、グリップセンサ20は、その旨の検知結果を姿勢制御手段12に送信する。一方、把持されていないことを検知した場合(NO)、グリップセンサ20は、ユーザによってロボット1が把持されたか否かを再び検知する(S101:把持検知工程)。
【0043】
次に、姿勢制御手段12は、グリップセンサ20からロボット1が把持された旨の検知結果を受信した場合、ロボット1の姿勢が指示入力姿勢に移行するようにサーボモータ29aの駆動を制御する(S102:姿勢制御工程)。
【0044】
次に、姿勢制御手段12によって、ロボット1の姿勢が指示入力姿勢へ移行した場合、キー入力部27の指示入力機能は起動する(S103:指示入力機能起動工程)。
【0045】
次に、ユーザがキー入力部27のテンキー27aをタップして電話番号を入力し(YES)(S104:電話番号入力工程)、キー入力部27の発信キー27bをタップすると(S105:発信工程)、マイク部25およびスピーカ部26が起動する(S106:通話準備工程)。そして、相手が応答することによって通話が開始される(S107:通話開始工程)。一方、ユーザが電話番号を入力しない場合(NO)、相手との通話は開始されず、一旦起動したキー入力部27の指示入力機能は維持された状態となる(S104:電話番号入力工程)。
【0046】
(効果) 以上のように、本実施形態によれば、キー入力部27は、足裏部1fというロボット1の荷重を支える支持部であって、かつ、当該ロボット1の荷重が足裏部1fを含む支持部によって支えられている状態での当該ロボット1の自律動作時に、ユーザが視認することができない部位に備えられている。したがって、キー入力部27がロボット1に設けられていることを、当該ロボット1の外観からユーザ等が把握することは困難である。そのため、ロボットとしての雰囲気を損なわない外観を備えたロボットを実現することが可能となる。ここで、自律動作とは、ロボット1が、通話モード(キー入力部27の指示入力機能が起動し通話可能な状態となっている)以外の状態で、ロボットが自律的に動作することをいう。具体的には、ロボット1がロボットモード(歩行またはダンス等特定のモーションを実行している状態、および直立その他特定の姿勢で静止している状態)になっている場合の他、ロボットがユーザの手を介さずに自律的に動作するような状態が、「自律動作」状態に含まれる。
【0047】
なお、ロボット1が歩行またはダンス等の特定のモーションを実行している場合、瞬間的にキー入力部27の一部または全部を視認可能な状態が生じ得る。しかし、前記状態の発生によって、ロボット1の外観がロボットとしての雰囲気を損なったものになるわけではない。したがって、「ロボット1の荷重が足裏部1fを含む支持部によって支えられている状態での当該ロボット1の自律動作時」には、上記特定のモーションを実行している状態が含まれる。
【0048】
また、本実施形態によれば、姿勢移行判定手段11は、ロボット1が指示入力姿勢に姿勢移行したことを判定することができる。そして、キー入力部27は、姿勢移行判定手段11が指示入力姿勢に移行したと判定した場合に指示入力機能が起動する。そのため、ユーザは、ロボット1が指示入力操作しやすい状態になったうえで当該指示入力操作を行うことができ、ロボット1の操作性の向上を図ることができる。
【0049】
さらに、指示入力姿勢への移行前においてキー入力部27の指示入力機能は起動していない状態であり、当該キー入力部27の作動電流が抑えられる。そのため、キー入力部27の作動電流の無駄な消費を効率的に抑制することが可能となる。
【0050】
さらに、本実施形態によれば、グリップセンサ20は、ユーザがロボット1を把持したことを検知することができる。そして、姿勢制御手段12は、グリップセンサ20がユーザによるロボット1の把持を検知した場合、ロボット1の姿勢を指示入力姿勢に移行させることができる。そのため、ユーザがロボット1を把持した状態で使用する場合、ユーザ自身がロボット1の姿勢を指示入力姿勢に移行させる必要がなく、ユーザは容易に指示入力操作を行うことができる。
【0051】
(変形例) なお、本実施形態では、ロボット1が2足歩行ヒューマノイドロボットであり、キー入力部27が足裏部1fに設けられているが、ロボット1の種類に応じてキー入力部27の配置は異なってもよい。ここで、図6の(a)〜(c)は、ロボット1の種類に応じた、キー入力部27の配置の一例を示す概略図である。図6の(a)に示すように、例えば、ロボット1がアニメキャラクタの戦闘ロボット(支持部1nには一対のキャタピラ1oが設けられている)の場合であれば、当該支持部1nにおけるキャタピラ1oが地面または机等に接している側の部位にキー入力部27が配置されてもよい。また、ロボット1が動物ロボットの場合、例えば、図6の(b)に示すように、犬型ロボットのような4足歩行の動物ロボットであれば足裏部1fに、図6の(c)に示すように、蛇型ロボットのように手足のない動物ロボットであれば腹部1pにキー入力部27が配置されてもよい。
【0052】
換言すれば、戦闘ロボットおよび動物ロボットとしての雰囲気を損なわないように、ユーザ等が当該各ロボットの外観からキー入力部27を視認することができない部位に、キー入力部27が配置されていればよい。
【0053】
次に、本実施形態では、グリップセンサ20がユーザによるロボット1の把持を検知した場合に、姿勢制御手段12は当該ロボット1の姿勢を指示入力姿勢へ移行させるが、グリップセンサ20および姿勢制御手段12は当該ロボット1の必須の構成要素ではない。したがって、ユーザが手動で強制的に、ロボット1の姿勢を指示入力姿勢に移行させてもよい。
【0054】
次に、本実施形態では、足裏面が表示部21の表示面側に向いており、かつ、当該足裏面と表示面とが略同一平面上にある状態におけるロボット1の姿勢を指示入力姿勢としているが、これに限定される訳ではない。例えば、ロボット1が直立状態にあるときに着信があった場合、姿勢制御手段12は、当該ロボット1の姿勢を一旦体育座り姿勢(膝を折り曲げて座った姿勢)に移行させ、その後、足裏面をユーザに見せるようにサーボモータ29aの駆動を制御してもよい。そして、このように体育座りの状態で足裏面をユーザに見せているロボット1の姿勢を指示入力姿勢としてもよい。換言すれば、ロボット1の使用状況に応じた、ユーザによるキー入力部27への指示入力操作に適する当該ロボット1の姿勢を指示入力姿勢とすればよい。
【0055】
また、指示入力姿勢は本実施形態のように単一の姿勢に限定される必要はなく、複数設定されてもよい。そして、例えば、本実施形態の指示入力姿勢を第1指示入力姿勢、上記足裏面をユーザに見せる姿勢を第2指示入力姿勢とし、両姿勢の指示入力姿勢情報(それぞれ、第1指示入力姿勢情報、第2指示入力姿勢情報とする)を指示入力姿勢に該当するか否かの判定基準として、記憶部28に記憶させてもよい。この場合、判定姿勢情報が第1指示入力姿勢情報または第2指示入力姿勢情報のいずれか一つに一致すれば、当該判定姿勢は指示入力姿勢に該当することとなる。
【0056】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図7および図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、下記の実施形態においては、実施形態1と同様、電話機能付きの2足歩行ヒューマノイドロボットを例に挙げて説明する。
【0057】
(ロボットの具体的構成) ロボット2の具体的構成について、図7を参照しながら説明する。図7は、ロボット2の具体的構成を示すブロック図である。図7に示すように、本実施形態に係るロボット2は、制御部10に代えて不要条件判定手段31および解除手段32を有する制御部30を備えている点で、実施形態1に係るロボット1と異なる。
【0058】
不要条件判定手段は31、ロボット2の使用状況から、当該ロボット2に対する指示入力操作を必要としない条件である指示入力不要条件を充足しているか否かを判定し、判定結果を解除手段31に送信するものである。ここで、指示入力不要条件とは、具体的には、通話中にユーザがテンキー27aのうちの♯(シャープ)キー(通話中は、終話キーとしての役割を果たす)をタップしたことで通話が終了したことをいう。
【0059】
解除手段32は、不要条件判定手段31から受信した判定結果に基づいて、キー入力部27の指示入力機能を解除するものである。具体的には、♯キーがタップされて通話が終了した、すなわち、上記指示入力不要条件が充足されたとの判定結果を受信した場合、解除手段32はキー入力部27の指示入力機能を解除する。
【0060】
なお、上記指示入力機能の解除状態は、ロボット2の姿勢が再び指示入力姿勢に移行するまで継続する。したがって、例えば、ロボット2が、歩行またはダンス等特定のモーションを実行しているときの他、直立その他指示入力姿勢以外の特定の姿勢で静止しているときのようなロボットモードに切り替わっている間は、上記解除状態は維持されている。
【0061】
(ロボットを用いた発信時の通話方法) 次に、図8を使用して、ロボット2を用いて電話発信する際の処理等について説明する。図8は、当該処理等を示すフローチャートである。なお、図8におけるS100からS107までの処理は、図5のフローチャートにおけるS100からS107までの処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0062】
図8に示すように、通話開始後、ユーザが♯キーをタップして通話を終了した場合、すなわち、ユーザによって指示入力不要条件が充足された場合(YES)、不要条件判定手段31は、その旨の判定結果を解除手段32に送信する(S108:不要条件判定工程)。一方、ユーザが♯キーをタップせずに通話を継続している場合、すなわち指示入力不要条件が充足されない場合(NO)、不要条件判定手段31は、指示入力不要条件の充足性を再び判定する(S108:不要条件判定工程)。
【0063】
次に、不要条件判定手段31から指示入力不要条件が充足されたとの判定結果を受信した場合、解除手段32はキー入力部27の指示入力機能を解除する(S109:指示入力機能解除工程)。
【0064】
以上のように、本実施形態によれば、不要条件判定手段31は、指示入力不要条件の充足性を判定することができる。また、解除手段32は、不要条件判定手段31が指示入力不要条件を充足していると判定した場合、キー入力部27の指示入力機能を解除することができる。指示入力機能が解除されれば、キー入力部27の作動電流が抑えられることから、ロボット2が指示入力操作を必要としない状況であるにもかかわらず当該指示入力機能が維持される場合に比して、キー入力部27の作動電流の無駄な消費をより効率的に抑制できる。
【0065】
さらに、ユーザ自身が指示入力機能の解除のための操作をする必要がなく、容易にロボット2の指示入力機能を解除することができる。
【0066】
なお、通話中にユーザがテンキー27aのうちの♯(シャープ)キーをタップしたことで通話が終了したことを指示入力不要条件としているが、これに限定される訳ではない。例えば、足裏部1fの足裏面におけるキー入力部27が配置されていない箇所に近接センサを設けて、当該近接センサが当該足裏面の机等との接触を検知した場合に指示入力不要条件が充足されたとしてもよい。
【0067】
また、例えば、ユーザが手動で強制的に、または制御部30によってサーボモータ29aを駆動することで、ロボット2の指示入力姿勢が解除された場合に指示入力不要条件が充足されたとしてもよい。さらには、「通話終了」等の、キー入力部27の指示入力機能が不要となったことを通知するユーザの音声を、例えば、制御部30に備えられた音声認識手段が認識した場合に指示入力不要条件が充足されたとしてもよい。
【0068】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図9および図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、下記の実施形態においては、メール機能付きの2足歩行ヒューマノイドロボットを例に挙げて説明する。
【0069】
(ロボットの具体的構成) ロボット3の具体的構成について、図9を参照しながら説明する。図9は、ロボット3の具体的構成を示すブロック図である。図9に示すように、本実施形態に係るロボット3は、グリップセンサ20を備えていない点、およびキー入力部27に代えてキー入力部47を備えている点で、実施形態1に係るロボット1および実施形態2に係るロボット2と異なる。また、ロボット3は、制御部10および30に代えて、要求条件判定手段41および姿勢制御手段42を有する制御部40を備えている点でも、実施形態1に係るロボット1および実施形態2に係るロボット2と異なる。
【0070】
キー入力部47は、キー入力部27と同様、入力されたユーザ操作を取得するものであり、テンキー47a、言語キー47b、メール受信通知部47c、送信キー47d、およびメール機能終了キー47eで構成される。また、キー入力部47を構成する各キーには静電容量式タッチキーが使用されている点も、キー入力部27と同様である。
【0071】
テンキー47aは、0から9までの数字キーで構成され、主として、メール文作成中に数字で表現する必要が生じた場合にタップされるキーである。言語キー47bは、AからZまでのアルファベットキー等で構成され、主として、メール文作成時に使用されるキーである。メール受信通知部47cは、例えば、当該メール受信通知部47c内のランプ等が点滅することで、ユーザにメールを受信したことを通知するものである。送信キー47dは、当該送信キー47dがタップされることで、送受信部24を介して相手にメールが送信されるキーである。メール機能終了キー47eは、当該メール機能終了キー47eがタップされることで、ロボット3のメール機能が解除されるキーである。
【0072】
なお、キー入力部27の構成は上記構成に限定される訳ではなく、例えば、テンキー47aおよび言語キー47bのみの構成等であってもよい。
【0073】
要求条件判定手段41は、ユーザに対してキー入力部47への指示入力操作を要求することが必要な条件である指示入力要求条件を充足しているか否かを判定し、判定結果を姿勢制御手段42に送信するものである。ここで、指示入力要求条件とは、具体的には、送受信部24が相手からのメールを受信することで、ロボット3のメール機能が起動することをいう。
【0074】
姿勢制御手段42は、要求条件判定手段41から受信した判定結果に基づいて、各サーボモータ29aの駆動を制御するものである。具体的には、送受信部24が相手からのメールを受信してロボット3のメール機能が起動した、すなわち、指示入力要求条件が充足されたとの判定結果を受信した場合、姿勢制御手段42は、ロボット3が指示入力姿勢となるよう、当該指示入力姿勢への移行に対応する特定のサーボモータ29a(腕関節部1h、脚関節部1iおよび足関節部1jに内蔵された各サーボモータ29a)を駆動する。
【0075】
ここで、指示入力姿勢とは、具体的には、膝を折り曲げて座っている姿勢から両腕部1cの手のひらが地面等につき、キー入力部47が配置されている足裏部1fの足裏面全面がユーザに視認可能となるまで脚部1dが上がっている、ロボット3の姿勢をいう。
【0076】
(ロボットを用いたメール送信方法) 次に、図10を使用して、ロボット3を用いてメール送信する際の処理等について説明する。図10は、当該処理等を示すフローチャートである。図10に示すように、まず、姿勢移行判定手段11は、ロボット3が指示入力姿勢であると判定した場合(YES)、キー入力部47の指示入力機能を起動させる。一方、指示入力姿勢でないと判定した場合(NO)、姿勢移行判定手段11は、当該指示入力姿勢でない旨の判定結果を要求条件判定手段41に送信する(S200:姿勢移行判定工程)。
【0077】
次に、要求条件判定手段41は、姿勢移行判定手段11から指示入力姿勢でない旨の判定結果を受信した場合、送受信部24の受信結果に基づいて指示入力要求条件の充足性を判定する。具体的には、送受信部24が相手からのメールを受信することでロボット3のメール機能が起動した、すなわち、指示入力要求条件が充足された場合(YES)、要求条件判定手段41は、その旨の判定結果を姿勢制御手段42に送信する(S201:要求条件判定工程)。一方、メールを受信していないことでロボット3のメール機能が起動していない、すなわち、指示入力要求条件が充足されていない場合(NO)、要求条件判定手段41は、指示入力要求条件の充足性を再び判定する(S201:要求条件判定工程)。
【0078】
次に、姿勢制御手段42は、要求条件判定手段41から指示入力要求条件が充足された旨の判定結果を受信した場合、ロボット3の姿勢が指示入力姿勢に移行するようにサーボモータ29aの駆動を制御する(S202:姿勢制御工程)。
【0079】
次に、姿勢制御手段42によって、ロボット3の姿勢が指示入力姿勢へ移行した場合、キー入力部47の指示入力機能は起動する(S203:指示入力機能起動工程)。
【0080】
次に、ユーザがキー入力部47のテンキー47aおよび言語キー47bをタップしてメール文を作成し(S204:メール文作成工程)、キー入力部47の送信キー47dをタップすると、ユーザからのメールが相手に送信される(S205:送信工程)。
【0081】
一方、ユーザがメール文を作成しない場合(NO)、メール送信はされず、一旦起動したキー入力部47の指示入力機能は維持された状態となる(S204:メール文作成工程)。
【0082】
次に、指示入力不要条件が充足された場合(YES)、不要条件判定手段31は、その旨の判定結果を解除手段32に送信する(S206:不要条件判定工程)。一方、指示入力不要条件が充足されない場合(NO)、不要条件判定手段31は、指示入力不要条件の充足性を再び判定する(S206:不要条件判定工程)。ここで、指示入力不要条件とは、具体的には、ユーザによってメール機能終了キー47eがタップされて、ロボット3のメール機能が解除されたことをいう。
【0083】
次に、不要条件判定手段31から指示入力不要条件が充足されたとの判定結果を受信した場合、解除手段32はキー入力部47の指示入力機能を解除する(S207:指示入力機能解除工程)。
【0084】
以上のように、本実施形態によれば、要求条件判定手段41は、指示入力要求条件の充足性を判定することができる。また、姿勢制御手段42は、要求条件判定手段41が指示入力要求条件を充足していると判定した場合、ロボット3の姿勢を指示入力姿勢に移行させることができる。したがって、ロボット3が把持されて使用される以外の場合でも、ユーザによる指示入力操作が要求される状況であれば、自動的に当該ロボット3の姿勢が指示入力姿勢に移行する。そのため、上記指示入力操作が要求される様々な状況において、ユーザは容易かつ確実に指示入力操作を行うことができる。
【0085】
なお、本実施形態では、メール機能付きの2足歩行ヒューマノイドロボットを例に挙げて説明しているが、これに限定される訳ではない。例えば、ゲーム機能付きの2足歩行ヒューマノイドロボットであって、表示部21に表示された問題に対してユーザがYES/NOで解答するような場合に本実施形態に係るロボット3が適用されてもよい。そして、ロボット3がユーザによる解答を要求するときに、姿勢制御手段42は、本実施形態における指示入力姿勢(キー入力部47を備えた足裏面をユーザに向ける姿勢)に当該ロボット3の姿勢が移行するようサーボモータ29aの駆動を制御してもよい。換言すれば、本実施形態に係るロボット3は、ユーザによるキー入力部47への指示入力操作が要求される様々な状況において、適用されてもよい。
【0086】
〔ソフトウェアによる実現例〕
ロボット1〜3の制御ブロック(特に制御部10、30および40)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0087】
後者の場合、ロボット1〜3は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0088】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るロボット(1、2、3)は、ロボットの荷重が支持部(1f)により支えられている状態での上記ロボットの自律動作時に、ユーザが視認することができない上記支持部の部位に、ユーザが指示入力を上記ロボットに対して行うための入力部(27、47)を備えている。
【0089】
上記の構成によれば、入力部は、ロボットの荷重が支持部により支えられている状態での当該ロボットの自律動作時に、ユーザが視認することができない当該支持部の部位に備えられている。当該部位は、例えば、ユーザがロボットを把持し、かつ、傾ける等しなければ視認できない位置に設けられているため、入力部がロボットに設けられていることを、当該ロボットの外観からユーザ等が把握することは困難である。そのため、ロボットとしての雰囲気を損なわない外観を備えたロボットを実現することが可能となる。
【0090】
本発明の態様2に係るロボット(1、2、3)は、上記態様1において、さらに、上記入力部(27、47)への指示入力操作に適する指示入力姿勢に上記ロボットが姿勢移行したことを判定する姿勢移行判定手段(11)を備え、上記入力部は、上記姿勢移行判定手段により上記ロボットが上記指示入力姿勢に移行したと判定した場合に、上記入力部の指示入力機能を起動させる構成であってもよい。
【0091】
上記の構成によれば、姿勢移行判定手段は、ロボットが指示入力姿勢に姿勢移行したことを判定することができる。また、入力部は、姿勢移行判定手段が上記指示入力姿勢に移行したと判定した場合に指示入力機能が起動する。そのため、ユーザは、ロボットが指示入力操作しやすい状態になったうえで当該指示入力操作を行うことができ、ロボットの操作性の向上を図ることができる。
【0092】
さらに、指示入力姿勢への移行前において入力部は作動していない状態であり、当該入力部の作動電流が抑えられる。そのため、入力部の作動電流の無駄な消費を効率的に抑制することが可能となる。
【0093】
本発明の態様3に係るロボット(1、2)は、上記態様1または2において、ユーザが上記ロボットを把持したことを検知する把持検知手段(20)と、上記把持検知手段によりユーザが上記ロボットを把持したことが検知された場合に、上記ロボットが上記入力部への指示入力操作に適する指示入力姿勢となるよう、上記ロボットの姿勢を移行させる姿勢制御手段(12)を備えていてもよい。
【0094】
上記の構成によれば、把持検知手段は、ユーザがロボットを把持したことを検知することができる。また、姿勢制御手段は、把持検知手段がユーザによるロボットの把持を検知した場合、ロボットの姿勢を指示入力姿勢に移行させることができる。そのため、ユーザがロボットを把持した状態で使用する場合、ユーザ自身がロボットの姿勢を指示入力姿勢に移行させる必要がなく、ユーザは容易に指示入力操作を行うことができる。
【0095】
本発明の態様4に係るロボット(3)は、上記態様1または2において、ユーザに対して上記入力部(27、47)への指示入力操作を要求することが必要な条件である指示入力要求条件の充足性を判定する要求条件判定手段(41)と、上記要求条件判定手段により上記指示入力要求条件を充足していると判定された場合に、上記ロボットが上記入力部への指示入力操作に適する指示入力姿勢となるように、上記ロボットの姿勢を移行させる姿勢制御手段(42)を備えていてもよい。
【0096】
上記の構成によれば、要求条件判定手段は、指示入力要求条件の充足性を判定することができる。また、姿勢制御手段は、要求条件判定手段が指示入力要求条件を充足していると判定した場合、ロボットの姿勢を指示入力姿勢に移行させることができる。したがって、ロボットが把持されて使用される以外の場合でも、ユーザによる指示入力操作が要求される状況であれば、自動的にロボットの姿勢が指示入力姿勢に移行する。そのため、上記指示入力操作が要求される様々な状況において、ユーザは容易かつ確実に指示入力操作を行うことができる。
【0097】
本発明の態様5に係るロボット(2、3)は、上記態様1から4のいずれかにおいて、上記ロボットに対する指示入力操作を必要としない条件である指示入力不要条件の充足性を判定する不要条件判定手段(31)と、上記不要条件判定手段により上記指示入力不要条件を充足していると判定された場合に、上記入力部(27、47)の指示入力機能を解除する解除手段(32)を備えていてもよい。
【0098】
上記の構成によれば、不要条件判定手段は、指示入力不要条件の充足性を判定することができる。また、解除手段は、不要条件判定手段が指示入力不要条件を充足していると判定した場合、入力部の指示入力機能を解除することができる。指示入力機能が解除されれば、入力部の作動電流が抑えられることから、ロボットが指示入力操作を必要としない状況であるにもかかわらず入力部の指示入力機能が維持される場合に比して、入力部の作動電流の無駄な消費をより効率的に抑制することが可能となる。
【0099】
さらに、ユーザ自身が解除のための操作をする必要がなく、容易にロボットの指示入力機能を解除することができる。
【0100】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、ロボットとしての雰囲気を損なわない外観を備えたロボットを実現するために利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1、2、3 ロボット
1f 足裏部(支持部)
11 姿勢移行判定手段
12、42 姿勢制御手段
20 グリップセンサ(把持検知手段)
27、47 キー入力部(入力部)
31 不要条件判定手段
32 解除手段
41 要求条件判定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10