(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一日における最初の使用電力量取得時点及び最後の使用電力量取得時点を夫々特徴点として定め、前記基準パターン、前記使用電力量データの変化パターン及び前記個別パターンの夫々における使用電力量の増加状態から減少への変化点、及び減少状態から増加への変化点を割り出し、割り出した変化点の使用電力量と直前の特徴点の使用電力量との差が所定電力量以上である場合に当該変化点を新たに特徴点とする特徴点抽出手段を備え、
前記パターン近似判断手段は、前記基準パターンの特徴点の数と前記使用電力量データの変化パターンの特徴点の数との差が所定差以下であって、且つ、当該両パターンのうち前記特徴点の数が同数以下であるパターンにおける各特徴点の発生時刻及び使用電力量が相手側パターンにおけるいずれかの特徴点の発生時刻及び使用電力量の夫々所定範囲にあるときに両パターンが近似すると判断する請求項1記載の使用電力量変化パターン予測装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、各家庭での電力使用状況を正確に予測する技術について記載されていない。
そこで、本発明の目的は、各家庭での電力使用状況を正確に予測できる使用電力量変化パターン予測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般に、各家庭の生活リズムサイクルは、1週間単位で巡回する。そこで発明者は、まず、1週間の各曜日ごとに一日における単位時間ごとに使用電力量を取得して、曜日ごとの使用電力量の変化パターンを作成し、この曜日ごとに作成したパターンを次の該当曜日の予測パターンとして設定することを考えた。この場合、各家庭の生活パターンが反映された月曜日から日曜日までそれぞれ異なる7種類の予測パターンが設定されることになる。しかし、この7種類の予測パターンを用いて前記二次電池の充放電のタイミング制御を行おうとすると、毎日異なる制御となって、制御が複雑となってしまう。
【0007】
一方、例えば1週間のうち、例えば家庭にとって休日となる曜日(一般的には土日であるが、月曜日及び火曜日が休日となる家庭もある)や特別な曜日を除く曜日は、基本的にほぼ同じ生活パターンであってほぼ同じ使用電力量変化パターン(基本的パターン)となる。これに対し上記休日となる曜日や特別な曜日では、基本的パターンと異なる固有の使用電力量変化パターン(個別パターン)となる。つまり、基本的パターンと個別パターンとに分類が可能である。このようにパターンを分類できると、各曜日について予測する使用電力量変化パターン(予測パターン)の種類を簡略できて、上述の予測パターンを用いた種々の制御も簡単となると予測される。
【0008】
この点を考慮した請求項1の発明においては、基準パターン作成手段が、複数の連続した日における単位時間ごとの使用電力量を平均して、基準パターンを作成する。つまり、基本的な生活パターンの使用電力量変化パターンに近い基準パターンを作成する。そして、パターン近似判断手段により、基準パターンと、各曜日の一日分の使用電力量データの変化パターンとが近似するか否かを判断する。つまり、各曜日の使用電力量データの変化パターンが平均的な変化パターンである基準パターンに近いか、基準パターンとはかけ離れた個別パターンであるかを判断できる。
【0009】
そして、曜日用パターン指定手段は、パターン近似判断手段がいずれかの前記使用電力量データの変化パターンが基準パターンに近似していると判断したときには、基準パターンと近似した前記使用電力量データの変化パターンの該当曜日について予測される使用電力量の変化パターンとして、基準パターンを指定して記憶手段に記憶する。つまり、各曜日の一日分の使用電力量データの変化パターンが基準パターンに近似すれば当該曜日の予測パターンとして基準パターンを指定する。又、いずれかの曜日の一日分の使用電力量データの変化パターンが基準パターンと近似しないと判断すれば、当該曜日の使用電力量の変化パターンを基準パターンと異なる個別パターンと認識して、該当曜日についての予測パターンとして当該個別パターンを指定し記憶手段に記憶する。
【0010】
これによって、月曜日から日曜日の予測パターンとして、平均的な基準パターンか、固有の個別パターンかに分類(グルーピング)でき、予測パターンの種類を少なくすることが可能となる。
そして、設定手段は、記憶手段から各曜日ごとに対応する予測パターンを読み出して、今日の予測パターンとして設定する。この場合、曜日用パターン指定手段による上記グルーピングによって、予測パターンの種類を少なくすることが可能となったので、この予測パターンを用いて各種制御を行う場合その制御の容易化に寄与できる。
【0011】
又、設定される予測パターンは、複数の連続した日における単位時間ごとの使用電力量を平均して作成した実データである基準パターンと、各曜日における単位時間ごとに使用電力量を取得して作成した実データである個別パターンのいずれかであるので、各曜日において各家庭での電力使用状況を正確に予測できる。
【0012】
ここで、ユーザによっては、休日となる曜日が異なるものである。例えば、土曜日及び日曜日が休日となる生活パターンとなるユーザにとっては、土曜日及び日曜日が平均的な基準パターンとは異なる固有の個別パターンとなると予測されるが、例えば月曜日が休日となる生活パターンのユーザでは、この月曜日が、平均的な基準パターンと異なる固有の個別パターンとなることが予測される。このようにユーザによって生活パターンは異なるため、固有の個別パターンとなる曜日も異なる。この点上述した請求項1では、平均的な基準パターンに対して、各曜日の一日分の使用電力量の変化パターンが近似するか否かを判断して近似していない場合には当該曜日の使用電力量の変化パターンを個別パターンと認定するので、各ユーザの生活パターンに応じて各曜日の予測パターンを基準パターン又は個別パターンに指定でき、各ユーザの生活パターンに応じた使用電力量の変化パターンを予測することができる。
【0013】
又、請求項2の発明においては、特徴点抽出手段が、一日における最初の使用電力量取得時点及び最後の使用電力量取得時点を夫々特徴点として定め、基準パターン、使用電力量データの変化パターン及び個別パターンの夫々における使用電力量の増加状態から減少への変化点、及び減少状態から増加への変化点を割り出し、割り出した変化点の使用電力量と直前の特徴点の使用電力量との差が所定電力量以上である場合に当該変化点を新たに特徴点とするようにしている。
【0014】
この請求項2の発明によれば、基準パターン、使用電力量データの変化パターン及び個別パターンの変化点を割り出し、割り出した変化点の使用電力量と直前の特徴点の使用電力量との差が所定電力量以上である場合に当該変化点を新たに特徴点とするので、使用する電気機器の個数が増減する場合のように大きな使用電力量差の変化点が有る場合には、その変化点を特徴点として抽出でき、そして、冷蔵庫のような電気機器が温度状態維持制御する場合のような小さな使用電力量差の変化点は、特徴点から排除でき、よって、基準パターン及び個別パターンの夫々について、実際の電気機器の使用状況にあった固有の特徴付けを行うことができる。
【0015】
又、この請求項2においては、パターン近似判断手段が、基準パターンの特徴点の数と使用電力量データの変化パターンの特徴点の数との差が所定差以下であって、且つ、当該両パターンのうち前記特徴点の数が同数以下であるパターンにおける各特徴点の発生時刻及び使用電力量が相手側パターンにおけるいずれかの特徴点の発生時刻及び使用電力量の夫々所定範囲にあるときに両パターンが近似すると判断する。
【0016】
基準パターンと各曜日の使用電力量データの変化パターンとが近似しているか否かを判断する場合、両パターンの特徴点の個数や、発生時刻及び使用電力量が完全一致することは現実的には殆ど有り得ない。しかし、両パターンの特徴点の個数や、発生時刻及び使用電力量がそれぞれある程度の範囲内にあれば、現実的には両パターンが示す使用電力量の変化パターンがほぼ同じであると言える。この点を考慮した請求項2によれば、パターン近似判断手段におけるパターン近似条件である特徴点の数の差、発生時刻及び使用電力量を所定範囲としたことで、両パターンの近似・非近似を実用的に判断することができる。
【0017】
又、上記請求項2においては、特徴点抽出手段が、一日における最初の使用電力量取得時点及び最後の使用電力量取得時点を夫々特徴点として定めている。
ユーザが在宅している場合などでは、使用電力量が多くなる傾向にあり、この場合、曜日が変わった時つまり一日の最初の時における使用電力量や、曜日が変わる直前つまり一日の最後の時における使用電力量も多い。逆に、ユーザが家を留守にしている場合にはその逆の傾向にある。つまり、一日の最初の時における使用電力量や、一日の最後の時における使用電力量が少ないといった傾向がみられる。よって、一日の最初及び最後の時間帯の使用電力量は特徴点としてみなすことが可能である。
【0018】
この点、上記請求項2の発明によれば、特徴点抽出手段が、一日における最初の使用電力量取得時点及び最後の使用電力量取得時点を夫々特徴点として定めているので、基準パターン及び使用電力量データの変化パターンの夫々について、固有の特徴付けをさらに有効に行うことができる。
【0019】
又、請求項3の発明においては、基準パターンに近似しないと判断された個別パターンが複数あるとき、パターン近似判断手段は、複数の個別パターンについて近似するか否かを判断し、曜日用パターン指定手段は、パターン近似判断手段により、近似するパターンがあると判断されたときには、近似する同士の両パターンをいずれか一方に統合して記憶手段に記憶し、近似しないと判断されたときには、近似しない同士の個別パターンについては統合しないようにしている。
【0020】
これによれば、基準パターンと近似しない個別パターンが複数あって、個別パターン同士が近似している場合には、一方に統合でき、予測データ数の種類をさらに削減できる。
請求項4の発明においては、基準パターン作成手段が、基準パターンと使用電力量データの変化パターンが近似されていると判断されたときには、両パターン
から、当該曜日の各時刻ごとの使用電力を平均して、新たな基準パターンを再作成するようにしている。
【0021】
ユーザの電気機器の使用状況つまり使用電力量は季節や特定の月(例えば夏季休暇の多い7、8月や師走月、あるいは1月)で基本的なパターンが変化することが多い。
そこで上述した請求項4の発明のように、基準パターンと使用電力量データの変化パターンが近似されていると判断されたときには、両パターン
から、当該曜日の各時刻ごとの使用電力を平均して、新たな基準パターンが順次再作成されるので、再作成ごとに、各月や季節を反映した基準パターンを設定でき、従って、基準パターンを各月や季節を反映したパターンとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第1実施形態について
図1から
図9を参照して説明する。
図1においては、電力制御システム1は、電力系統2から供給される電力を、電力供給部3を介して家庭の家電機器などの電気機器4に与えられる。電力供給部3は、充放電コネクタ5を介して、例えば二次電池61を搭載した車両6から電気機器4への放電や、二次電池61への放電も行う。なお、前記車両6は、負荷制御部用通信部62、車両用制御部63を有している。
【0024】
さらに電力制御システム1は、使用電力量変化パターン予測装置7、負荷制御部8を備えている。使用電力量変化パターン予測装置7は、制御装置9、使用電力量計測手段としての使用電力量計測部10、記憶手段としての記憶部11、時計部12を有して構成されている。
【0025】
負荷制御部8は、前記制御装置9を共用すると共に、対車両用通信部13を有して構成されている。
制御装置9はマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御装置9は、使用電力量変化パターン予測装置7の一部として、当該マイクロコンピュータのソフトウエア構成により、使用電力量取得制御手段としての使用電力量取得制御部90、記憶制御手段としての記憶制御部91、基準パターン作成手段としての基準パターン作成部92、特徴点抽出手段としての特徴点抽出部94、パターン近似判断手段としてのパターン近似判断部95、曜日用パターン指定手段としての曜日用パターン指定部96、設定手段としての設定部97を備えている。
【0026】
さらに、制御装置9は、ソフトウエア構成により、負荷制御部8の一部として、充放電制御時間帯設定部98、充放電制御部99を備えている。
使用電力量計測部10は、電力供給部3から家庭内へ供給される使用電力量を計測する。
記憶部11は、例えば不揮発性メモリから構成され、記憶制御部91からの指令により、取得した使用電力量や、基準パターン、個別パターンなどを記憶する。
時計部12は、例えばリアルタイムクロックから構成されており、時計機能とカレンダー機能を有し、時計情報及びカレンダー情報を制御装置9に与える。
【0027】
対車両用通信部13は車両6の対負荷制御部用通信部62と無線通信する。
さて、使用電力量変化パターン予測装置7の制御装置9の制御内容について、
図2及び
図3を参照して説明する。まず
図2において、制御装置9は、使用電力量取得制御を実行する。制御装置9は、設定された取得時刻である0:00、1:00、・・・23:00(
図10(a)、
図11(b)の時刻参照)になったか否かを判断し、各時刻になれば(ステップS10の「YES」)、ステップS20に移行して、使用電力用計測部10で計測した使用電力量を取得する(使用電力量取得制御部90)。つまり単位時間ごとに使用電力量を取得する。そして、次のステップS30では、現在の曜日と時刻と取得した使用電力量とを紐付けして記憶部11に記憶させる(記憶制御部91)。次のステップS40では現時点の記憶データ数が4週間+1日分となったか否かを判断し、「YES」であればステップS50で最も古い1日分の記憶データを削除する。なお、ステップS10で「NO」であれば使用電力量の取得及び記憶は実行しない。つまり、この使用電力量取得制御は各時刻ごとに実行される。
【0028】
図8には、各曜日の各時刻に取得され記憶された使用電力量データの4週間分の格納領域E1と、各曜日について予測されるパターンの格納領域E2を概念的に示している。
又、制御装置9は、
図3に示すように、メイン制御を実行する。まずステップT10で曜日が変わったか(0時となったか)否かを判断し、曜日が変われば、ステップT15に移行して取得データが1日分有るか否かを判断する。1日分がなければ、ステップT10に戻る(1日分のデータが溜まるまで待つ)。1日分が有れば、ステップT20以降の制御を実行する。ステップT20では、取得データが1日分以上6日分以下であるか否かの判断をし、「YES」であればステップT30に移行して初期予測制御を実行する。この初期予測制御の内容を
図4にサブルーチンとして示している。
【0029】
図4においてステップU10では、記憶されているデータが過去1日分のみか否かを判断し、過去1日分のみであれば、ステップU20に移行して上記1日分の取得データを、デフォルト的に今日の予測パターンとする。このステップU20の後ステップU25に移行して上記予測パターンをデフォルト的に基準パターンとして設定する。
【0030】
ステップU10において「NO」であれば、ステップU30に移行し、記憶されているデータが過去2日以上6日以下であるか否かを判断し、「YES」であれば、ステップU35に移行して、この時点で記憶されている分のデータを基に基準パターンを作成する。すなわち、この時点で記憶されている連続した日数分のデータを平均して基準パターンを作成する(基準パターン作成部92)。そして次のステップU40に移行して、上記基準パターンを今日の予測パターンとする。
【0031】
図3のステップT20において「NO」(記憶されているデータ数が7日分以上ある場合)にはステップT40の予測制御を実行する。この予測制御は
図5に示すように、ステップW10で今日の曜日の所属するパターンを記憶部11から読み出す。そして、次のステップW20で読み出したパターン(基準パターン又は個別パターン)を今日の予測パターンとして設定する(設定部97)。
【0032】
図3に戻り、ステップT30又はステップT40で、今日の予測パターンが設定された後は、ステップT50に移行する。このステップT50では、今日一日分の各時刻の使用電力量データを取得したか否かを判断し、「YES」であれば、ステップT70に移行して、基準パターンの特徴点を抽出する(特徴点抽出部94)。この特徴点抽出制御の制御内容を
図6に示す。
【0033】
この
図6において、ステップV10では、特徴点抽出対象(基準パターン又は今日取得した一日分の使用電力量データあるいは個別パターン)、この場合基準パターンの各時刻ごとの使用電力量を取得する。そして、ステップV15に移行して、各時刻ごとの使用電力量の差を算出する。この後、ステップV20に移行して当該基準パターンの変化点を次のように割り出す。つまり、基準パターンにおける0時から23時の各時刻間の使用電力量が増加状態から減少に転じたときの時刻又は減少状態から増加に転じたときの時刻を変化点と定義し、0時から順に変化点を割り出す。そして、ステップV30に移行して0時と23時の使用電力量を一義的に特徴点とする。
【0034】
次に、ステップV40では、割り出された変化点のうち時系列で早い変化点から順に、直前の特徴点(最初は0時の特徴点)との使用電力量の差(絶対値)を算出する。次のステップV50では上記差が予め設定された所定電力量(例えば100Wh)より大きいか否かを判断し、大きければステップV60に移行して当該変化点を特徴点とする(特徴点抽出部94)。この特徴点は次の変化点に対する判断基準となる。ステップV50で「NO」であれば、ステップV60は実行しない。
【0035】
ステップV70では、1日分(0時から23時までの分)が終了したか否かを判断し、終了していなければ、ステップV40に戻る。
ここで、
図10、
図11を参照して、変化点の割り出し、及び特徴点の抽出の一例を説明する。
図10(a)には基準パターンにおける各時刻の使用電力量の値を示し、同図(b)には各時刻の使用電力量の変化の様子を示している。
図11(a)、(b)には夫々今日取得のデータ(使用電力量データ)における各時刻の使用電力量の値、各時刻の使用電力量の変化の様子を示している。なお、
図10及び
図11において変化点の欄における「1」は使用電力量の減少状態から増加へ転じた変化点を示し、「−1」は使用電力量の増加状態から減少へ転じた変化点を示している。又、特徴点の欄における「○」は特徴点であることを示している。
【0036】
ステップV70で1日分が終了したことが判断されると、
図3のステップT90に戻る。このステップT90では、今日取得の使用電力量データの変化パターンについての特徴点抽出制御を行う。この特徴点抽出制御は前述した
図6にフローチャートに従って、前述同様に行う。なおこの場合、
図6のステップV10での特徴点抽出対象は今日取得の使用電力量データである。
【0037】
図3のステップT90の後、ステップT100に移行して、基準パターンと今日取得の使用電力量データの変化パターンとは近似するか(特徴点が近似するか)否かを判断する。この場合、基準パターンの特徴点の数と今日取得の使用電力量データの変化パターンの特徴点の数との差が所定差(例えば4)以下であって、且つ、両パターンのうち特徴点の数が同数以下であるパターン(一方のパターン)における各特徴点の発生時刻が相手側パターンのいずれかの特徴点の発生時刻に対して所定範囲(例えば±1時間以内)であって、一方のパターンの各特徴点の使用電力量が相手側パターンの前記いずれかの特徴点の使用電力量に対して所定範囲(例えば最大電力量の10%以内)にあれば、近似すると判断する。
【0038】
ステップT100で近似する(「YES」)と判断されたときには、ステップT110で今日取得の使用電力量データの変化パターンと現時点の基準パターンとから、当該曜日の各時刻ごとの使用電力量を平均して、新たな基準パターンを再作成する(基準パターン作成部92)。この後、ステップT120に移行して、今日に該当する曜日の予測パターンとして基準パターンを指定して記憶部11に記憶する(曜日用パターン指定部96)。この場合、今日該当曜日の予測パターンとして個別パターンが記憶されている場合は、当該個別パターンの記憶は削除する。
【0039】
前記ステップT100で近似していないと判断されたときには、ステップT130に移行し、今日取得の使用電力量データの変化パターンを今日の曜日の個別パターンとして指定し記憶部11に記憶する(曜日用パターン指定部96)。この場合、当該曜日の予測パターンとして個別パターンが記憶されている場合は、当該基準パターンの記憶は削除する。次のステップT140では、今日の曜日と同じ曜日のうち個別パターンとして指定された実績のあるデータを各時刻ごとに平均して今日該当曜日の個別パターンを作成する。
【0040】
そしてこの後、ステップS150に移行して、個別パターン統合判断を実行する。この個別パターン統合判断の制御内容を
図7に示している。ステップX5では、個別パターンが複数あるか否かを判断し、複数有ればステップX10に移行する。ステップX10では、今日取得のデータが所属する曜日の個別パターンについての特徴点抽出制御を実行する。この特徴点抽出制御は、前述したとおり(
図6)である。
【0041】
次のステップX20では、今日取得のデータが所属しない曜日の個別パターンについての特徴点抽出制御を実行する。この特徴点抽出制御も、前述したとおり(
図6)である。次のステップX30では、両パターンが近似するか否かを判断する。この判断方式は
図3のステップT100の場合と同様である。
【0042】
前記ステップX30で「YES」(近似する)と判断されると、ステップX40に移行して、今日取得のデータが所属しない曜日の個別パターンを今日取得のデータが所属する個別パターンに統合する。つまり、今日取得のデータが所属しない個別パターンの曜日についての予測パターンを今日取得のデータが所属する個別パターンに指定し記憶する。なお、両パターンを統合する場合、逆に、今日取得のデータが所属する個別パターンを今日取得のデータが所属しない個別パターンに統合しても良い。
【0043】
なお、
図10の基準パターンの特徴点と
図11の今日取得の使用電力量データの変化パターンの特徴点とがパターン近似条件に合致するか判断する場合、基準パターンの各特徴点A〜Fと今日取得の使用電力量データの変化パターンの各特徴点a〜kと数の差が5である(4以下ではない)ので、パターン近似判断部95は両パターンは近似しない(近似条件に合致しない)と判断する。
【0044】
上述した曜日用パターン指定部96の機能により、
図9(a)〜(c)に示すように、月曜日から日曜日の各曜日について予測パターンが基準パターンか、一つ又は複数の個別パターンかにグルーピングされる。
図9(a)では、月曜日〜金曜日が基準パターンにグルーピングされ、土曜日及び日曜日が一つの個別パターン(図では個別パターン1と表示)にグルーピングされている。
図7(b)では、月曜日〜金曜日が基準パターンにグルーピングされ、土曜日が土曜日固有の個別パターン(図では個別パターン1と表示)とされ、日曜日が日曜日固有の個別パターン(図では個別パターン2と表示)とされている。又、
図7(c)では、月曜日〜木曜日が基準パターンにグルーピングされ、金曜日が金曜日該当の個別パターン(図では個別パターン1と表示)とされ、土曜日及び日曜日が一つの個別パターン(図では個別パターン2と表示)にグルーピングされている。
【0045】
なお、負荷制御部8は、各曜日において、設定された予測パターンを基に、例えば次に述べる負荷制御を実行する。負荷制御部8の一部を構成する制御装置9の充放電時間帯設定部98は、設定された使用電力量の予測パターンから、使用電力量が多くなる時間帯を判定し、この時間帯に合わせて車両6の二次電池61の放電時間帯を設定する。この場合、電気料金(電気料金情報は予め取得しておくものとする)の高い時間帯を加味しても良い。
【0046】
又、充放電時間帯設定部98は、電気料金の安い時間帯に合わせて二次電池61に対する充電時間帯を設定する。そして、充放電制御部99は、設定された放電時間帯となったところで放電指令を対自動車用通信部13を介して車両6の対負荷制御部用通信部62に送信する。すると車両6の車両側制御部63が二次電池61の電力を放電する。又、充放電制御部99は、設定された充電時間帯になったところで充電指令を対自動車用通信部13を介して車両6の対負荷制御部用通信部62に送信する。すると車両6の車両側制御部63が二次電池61に電力系統の電力を充電する。
【0047】
上述した本実施形態においては、基準パターン作成部92が、複数の連続した日における単位時間ごとの使用電力量を平均して、基準パターンを作成する。これにより、基本的な生活パターンの使用電力量変化パターンに近い基準パターンが作成される。そして、パターン近似判断部95により、基準パターンと、今日(各曜日)の一日分の使用電力量データの変化パターンとが近似するか否かを判断する。つまり、各曜日の使用電力量データの変化パターンが平均的な変化パターンである基準パターンに近いか、基準パターンとはかけ離れた個別パターンであるかを判断できる。
【0048】
そして、曜日用パターン指定部96は、パターン近似判断部95がいずれかの曜日の使用電力量データの変化パターンが基準パターンに近似していると判断したときには、基準パターンと近似した使用電力量データの変化パターンの該当曜日について予測される使用電力量の変化パターンとして、基準パターンを指定して記憶部11に記憶する。つまり、各曜日の一日分の使用電力量データの変化パターンが基準パターンに近似すれば当該曜日の予測パターンとして基準パターンを指定する。又、いずれかの曜日の一日分の使用電力量データの変化パターンが基準パターンと近似しないと判断すれば、当該曜日の使用電力量の変化パターンを基準パターンと異なる個別パターンと認識して、該当曜日についての予測パターンとして当該個別パターンを指定し記憶部11に記憶する。
【0049】
これによって、月曜日から日曜日の予測パターンとして、平均的な基準パターンか、固有の個別パターンかに分類(グルーピング)でき、予測パターンの種類を少なくすることが可能となる。
そして、設定部97は、記憶部11から各曜日ごとに対応する予測パターンを読み出して、今日の予測パターンとして設定する。この場合、曜日用パターン指定部96による上記グルーピングによって、予測パターンの種類を少なくすることが可能となったので、この予測パターンを用いて各種制御を行う場合その制御の容易化に寄与できる。
【0050】
又、設定される予測パターンは、複数の連続した日における単位時間ごとの使用電力量を平均して作成した実データである基準パターンと、各曜日における単位時間ごとに使用電力量を取得して作成した実データである個別パターンのいずれかであるので、各曜日において各家庭での電力使用状況を正確に予測できる。
【0051】
ここで、ユーザによっては、休日となる曜日が異なるものである。例えば、土曜日及び日曜日が休日となる生活パターンとなるユーザにとっては、土曜日及び日曜日が平均的な基準パターンとは異なる固有の個別パターンとなると予測されるが、例えば月曜日が休日となる生活パターンのユーザでは、この月曜日が、平均的な基準パターンと異なる固有の個別パターンとなることが予測される。このようにユーザによって生活パターンは異なるため、固有の個別パターンとなる曜日も異なる。
【0052】
この点上述した本実施形態では、平均的な基準パターンに対して、各曜日の一日分の使用電力量の変化パターンが近似するか否かを判断して近似していない場合には当該曜日の使用電力量の変化パターンを個別パターンと認定するので、各ユーザの生活パターンに応じて各曜日の予測パターンを基準パターン又は個別パターンに指定でき、各ユーザの生活パターンに応じた使用電力量の変化パターンを予測することができる。
【0053】
又、本実施形態においては、特徴点抽出部94が、一日における最初の使用電力量取得時点及び最後の使用電力量取得時点を夫々特徴点として定め、基準パターン、使用電力量データの変化パターン及び個別パターンの夫々における使用電力量の増加状態から減少に転じたときの時刻、及び減少状態から増加に転じたときの時刻を夫々変化点と定義して、当該変化点を割り出し、割り出した変化点の使用電力量と直前の特徴点の使用電力量との差が所定電力量以上である場合に当該変化点を新たに特徴点とするようにしている。
【0054】
これによれば、基準パターン、今日の使用電力量データの変化パターン及び個別パターンの変化点を割り出し、割り出した変化点の使用電力量と直前の特徴点の使用電力量との差が所定電力量以上である場合に当該変化点を新たに特徴点とするので、使用する電気機器の個数が増減する場合のように大きな使用電力量差の変化点が有る場合には、その変化点を特徴点として抽出でき、そして、冷蔵庫のような電気機器が温度状態維持制御する場合のような小さな使用電力量差の変化点は、特徴点から排除でき、よって、基準パターン及び個別パターンの夫々について、実際の電気機器の使用状況にあった固有の特徴付けを行うことができる。
【0055】
又、この実施形態においては、パターン近似判断部95が、基準パターンの特徴点の数と使用電力量データの変化パターンの特徴点の数との差が所定差以下であって、且つ、当該両パターンのうち前記特徴点の数が同数以下であるパターンにおける各特徴点の発生時刻及び使用電力量が相手側パターンにおけるいずれかの特徴点の発生時刻及び使用電力量の夫々所定範囲にあるときに両パターンが近似すると判断する。
【0056】
基準パターンと各曜日の使用電力量データの変化パターンとが近似しているか否かを判断する場合、両パターンの特徴点の個数や、発生時刻及び使用電力量が完全一致することは現実的には殆ど有り得ない。しかし、両パターンの特徴点の個数や、発生時刻及び使用電力量がそれぞれある程度の範囲内にあれば、現実的には両パターンが示す使用電力量の変化パターンがほぼ同じであると言える。
この点を考慮した本実施形態によれば、パターン近似判断部95におけるパターン近似条件である特徴点の数の差、発生時刻及び使用電力量を所定範囲としたことで、両パターンの近似・非近似を実用的に判断することができる。
【0057】
又、本実施形態においては、特徴点抽出部94が、一日における最初の使用電力量取得時点及び最後の使用電力量取得時点を夫々特徴点として定めている。
ユーザが在宅している場合などでは、使用電力量が多くなる傾向にあり、この場合、曜日が変わった時つまり一日の最初の時における使用電力量や、曜日が変わる直前つまり一日の最後の時における使用電力量も多い。逆に、ユーザが家を留守にしている場合にはその逆の傾向にある。つまり、一日の最初の時における使用電力量や、一日の最後の時における使用電力量が少ないといった傾向がみられる。よって、一日の最初及び最後の時間帯の使用電力量は特徴点としてみなすことが可能である。
【0058】
この点、上記した本実施形態によれば、特徴点抽出94が、一日における最初の使用電力量取得時点及び最後の使用電力量取得時点を夫々特徴点として定めているので、基準パターン及び使用電力量データの変化パターンの夫々について、固有の特徴付けをさらに有効に行うことができる。
【0059】
又、本実施形態においては、
図7を用いて説明したように、基準パターンに近似しないと判断された個別パターンが複数あるとき、パターン近似判断部95は、複数の個別パターンについて近似するか否かを判断し、曜日用パターン指定部96は、パターン近似判断部95により、近似するパターンがあると判断されたときには、近似する同士の両パターンをいずれか一方に統合して記憶部11に記憶し、近似しないと判断されたときには、近似しない同士の個別パターンについては統合しないようにしている。
【0060】
これによれば、基準パターンと近似しない個別パターンが複数あって、個別パターン同士が近似している場合には、一方に統合でき、予測データ数の種類をさらに削減できる。特に本実施形態では、個別パターン同士が近似している場合には、最新(今日)のデータが所属する方の個別パターンに、他の個別パターンを統合するから、常に最新の個別パターンに統合できる。
又、本実施形態では、
図3のステップT110から判るように、基準パターン作成部92が、基準パターンと今日の使用電力量データの変化パターンが近似されていると判断されたときには、両パターンに基づいて基準パターンを再作成するようにしている。
【0061】
ユーザの電気機器の使用状況つまり使用電力量は季節や特定の月(例えば夏季休暇の多い7、8月や師走月、あるいは1月)で基本的なパターンが変化することが多い。
そこで上述したように本実施形態では、基準パターンと今日の使用電力量データの変化パターンが近似されていると判断されたときには、両パターンに基づいて基準パターンが順次再作成されるので、再作成ごとに、各月や季節を反映した基準パターンを設定でき、従って、基準パターンを各月や季節を反映したパターンとすることができる。
【0062】
図12は第2実施形態を示している。この第2実施形態では、第1実施形態(
図6)とは、ステップV16を追加した点と、第1実施形態のステップV50に代えてステップV50´を設けた点が異なる。ステップV15に続くステップV16では、使用電力量差分の標準偏差を計算する。又、ステップV50´では、変化点と直前の特徴点との差が前記標準偏差を上回るか否かを判断し、上回れば、既述のステップV60で、当該変化点を特徴点とする。このようにしても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。