(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸着槽の排出口および前記混練部の供給口に接続されて前記混合水から前記吸着剤の一部を分離する予備分離部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水処理装置。
前記吸着ステップの後段に、前記放射性核種および前記油脂成分を吸着した前記吸着剤を沈降分離させる沈降分離ステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の排水処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる排水処理装置10の概略構成図である。
【0015】
第1実施形態にかかる排水処理装置10は、
図1に示されるように、放射性核種および油脂成分を含む排水11に吸着剤12を添加する吸着剤添加部20と、吸着剤12および排水11の混合水11c(11)を一定時間貯留する吸着槽13と、吸着槽13に接続されて混合水11cから浄化水14を分離して吸着剤12が濃縮された吸着剤濃縮泥15を生成する分離部16と、吸着剤濃縮泥15を融解した助燃固化剤17とともに混練して混練体18を生成する混練部19と、助燃固化剤17を固化させて混練体18を成型する成型部21と、を備える。
また、吸着槽13の供給口に接続されて油脂層11a(11)および水層11b(11)が形成された排水11から油脂層11aを除去する除去部22を備える。
【0016】
原子炉建屋の地下などに溜まった排水11は、
図1に示されるように、排水収集管h
0から排水処理装置10に収集される。
排水収集管h
0は、排水11の流量を調整する排水収集弁V
0を備えて、排水処理装置10の除去部22に接続される。
【0017】
排水11は、機械油などの油脂成分を多く含む場合、油脂層11aおよび水層11bに分離していることが多い。
また、排水11に界面活性剤が混入しているなどで層を形成していなくても、界面活性剤などを取り除くことで容易に層にすることができる。
排水11を容易に層状にすることができる場合、除去部22において、この排水11から油脂層11aが除去される。
【0018】
除去部22には、例えばこの除去部22の側面にデカントライン22a(22)が接続されている。
そして、デカントライン22aは油脂保管部52に接続される。
デカントライン22aで除去部22から抜き取られた油脂層11aの油脂成分は、油脂保管部52に保管される。
【0019】
なお、除去部22は、
図1に示されるような槽に限定されず、遠心分離器など層に分離していない排水11を層に分離させる従来知られた機器を備えてもよい。
また、デカントライン22aは、油脂層11aを抜き取るものでも水層11bを抜き取るものでもよい。
【0020】
また、除去部22において油脂成分が完全に除去されなくてもよい。
つまり、水層11bの油脂成分の濃度が5000ppm程度以下となれば、油脂層11aが僅かに残留し、または油脂成分が水層11bに溶け込んでいてもよい。
水層11bを排出する除去部22の排出口は、水層弁V
1を備える水層管h
1によって吸着槽13に接続される。
【0021】
そして、水層11bは、吸着槽13に排出される。
なお、油脂成分が微量なため油脂成分の容易な除去ができない場合、除去部22における油脂成分の除去作業は省略することができる。
除去作業を省略する場合、排水収集管h
0は、直接吸着槽13の供給口に接続される。
【0022】
吸着槽13には、吸着剤12を収容する吸着剤添加部20が第1供給弁V
2を備える供給管h
2を介して接続されている。
水層11bが吸着槽13に供給されると、第1供給弁V
2が開放されて吸着剤添加部20から吸着槽13に吸着剤12が添加される。
吸着剤12は、例えば粉末活性炭またはゼオライトなど、排水11から放射性核種および油脂成分を吸着させるものである。
特に、排水処理装置10で生成された固化体29は焼却によって最終処分されることを予定しているので、吸着剤12にはより燃焼が容易な粉末活性炭を用いるのがよい。
【0023】
ところで、吸着剤12の添加量が多くなると、その分放射性廃棄物の量が増加することになる。
よって、吸着剤12の添加量は、水層11bにおける吸着剤12の濃度が5000ppm以下となるようにするのが望ましい。
【0024】
一方、吸着剤12が粉末活性炭である場合、粉末活性炭の添加量がより多い方が分離部16のろ過比抵抗を軽減することができる。
よって、吸着剤12の添加量は水層11bにおける吸着剤12の濃度が300ppm以上であることが必要である。
これらの条件を考慮すると、吸着剤12の添加量は、水層11bにおける吸着剤12の濃度が1000ppm程度とするのが望ましい。
【0025】
なお、吸着剤12は、一種類のみで油脂成分および放射性核種のいずれも吸着する必要はない。
油脂成分のみを吸着するものと放射性核種のみを吸着させるものを組み合わせて吸着剤として使用してもよい。
【0026】
吸着剤12が添加された水層11bは、吸着槽13において、数分〜数十分程度の一定時間、貯留される。
貯留時間は、水層11bにおける油脂成分および放射性核種の濃度が5000ppm程度以下となるように設定される。
貯留時間は、吸着槽13に水層11bが供給された時点における油脂成分および放射性核種の濃度に合わせて自由に変更できる。
【0027】
なお、吸着槽13に撹拌部34を設けて、貯留の間撹拌してもよい。
後述する実施例1では、撹拌時間を15分とすることで、油脂成分を十分吸着されたことが確認された。
このように、吸着剤12および排水11の混合水11cを吸着槽13に一定時間貯留することで、油脂成分および放射性核種が吸着剤12に吸着される。
吸着槽13は、回収弁V
3が設けられた回収管h
3を介して混練部19に接続される。
【0028】
また、吸着槽13には、分離部16が接続されている。
分離部16には、フィルタ、クラッドセパレータ、フィルタプレス、遠心分離器またはデカンタなどが用いられる。
特に、
図1で例示しているクロスフローろ過器16a(16)は、ろ過効率を長期間維持することができて好適に用いることができる。
【0029】
図1で例示されるように、回収管h
3は、途中で分岐して往路弁V
4が設けられた往路管h
4となってクロスフローろ過器16aの流入口に接続される。
一方、クロスフローろ過器16aの流出口と吸着槽13とは、復路弁V
5が設けられた復路管h
5によって接続される。
【0030】
このようにクロスフローろ過器16aの流入口および流出口の両方が吸着槽13に接続されて、排水11が吸着槽13およびクロスフローろ過器16aを循環する経路が形成される。
そして、クロスフローろ過器16aは、水層11bから浄化水14を分離して吸着剤12が濃縮された吸着剤濃縮泥15を生成する。
【0031】
分離部16で浄化された浄化水14は、浄水弁V
6を設けた浄水管h
6から一時的に浄水槽24に収容される。
そして、浄水槽24において水質分析で安全性が確認されてから、放出弁V
7が開放されて放出管h
7から自然環境に放出される。
【0032】
分離部16および吸着槽13にそれぞれ残留した吸着剤濃縮泥15は、吸着槽13に回収管h
3で接続された混練部19に回収される。
混練部19には、第3供給弁V
9を備える第3供給管h
9によって、融解した助燃固化剤17を供給する助燃剤供給部25が接続される。
【0033】
そして、助燃剤供給部25から、吸着剤濃縮泥15に対する助燃固化剤17の体積比が0.7〜2.0となるように助燃固化剤17が混練部19に添加される。
混練部19は、吸着剤濃縮泥15をこの融解した助燃固化剤17とともに混練して、混練体18を生成する。
【0034】
助燃固化剤17は、例えば、石油ワックス、木蝋および白蝋から選ばれる燃焼促進剤である。
これらの助燃固化剤17は、いずれも炭素数が12〜30の直鎖脂肪族系の炭素化合物で、65〜70℃の融点を有するものである。
よって、これらの助燃固化剤17は、加熱によって融解するとともに常温で固化する性質を有する。
【0035】
上記の性質を有する助燃固化剤17を添加することで、混練体18は後に固化して運搬や保管が容易な形態となる。
特に、入手の容易性の観点から、助燃固化剤17として、パラフィンワックスが好適に用いられる。
なお、助燃固化剤17として、助燃作用のある助燃剤と固化作用のある固化剤とで別個のものをそれぞれ添加してもよい。
【0036】
また、油脂成分がリン酸エステルの場合は、ステアリン酸カルシウムなどの炭素数が12〜30でCa元素を含む長鎖脂肪酸を用いるのがよい。
リン酸エステルが吸着された吸着剤12を焼却すると、リンがリン酸となって揮発して、焼却炉33の内部に拡散してしまうからである。
拡散したリン酸は、焼却炉33の内部の金属や耐火物を腐食させる。
そこで、上述のCa元素を含む長鎖脂肪酸を助燃固化剤17として用い、リンとカルシウムを反応させてリンによる腐食を防止する。
【0037】
同様の効果は、助燃固化剤17とは別個に、消石灰などのCa含有物54を吸着剤濃縮泥15に投与しても得られる。
この場合、混練部19は、第4供給弁V
12が設けられた第4供給管h
12でCa投与部53に接続されて、このCa投与部53からCa含有物54の供給を受ける。
【0038】
また、混練部19には加熱部23および撹拌モータ35に接続された混練機28が備えられている。
吸着剤濃縮泥15および助燃固化剤17は、加熱部23で加熱されながら混練機28で混練される。
混練された吸着剤濃縮泥15および助燃固化剤17は、エマルジョン状の混練体18となる。
【0039】
なお、このときの混練体18の含水量が高いと、その分最終処分の際の焼却が困難となる。
そこで、必要に応じて、混練部19に吸水剤投与部26を設置して、吸着剤濃縮泥15に吸水剤27を投与する。
吸水剤27としては、例えばアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物などの高分子ポリマーが好適に使用できる。
【0040】
なお、吸水剤27は、シリカゲル系または石灰系の乾燥剤および塩化カルシウムなど、原子力発電所での使用が認められていれば、種類は限定されない。
吸水剤27は、水分量、粒子径または混合時間など混練体18の状態に合わせて適宜選択すればよい。
【0041】
なお、除去部22で排水11から除去された油脂層11aも吸着剤濃縮泥15とともに混練してもよい。
吸着剤濃縮泥15と同様に、油脂層11aも最終処分が必要な放射性廃棄物であるからである。
【0042】
この場合、混練部19は、油脂回収弁V
11を備える油脂回収管h
11によって油脂保管部52に接続される。
ただし、油脂層11aは、吸着剤濃縮泥15とは別系統で独立して助燃固化剤17が添加されて、固化体29とは異なる成分の固化体にされてもよい。
【0043】
混練部19の下部には、例えば鋳型などの成型部21が配置される。
成型部21は、助燃固化剤17を固化させて混練体18を成型する。
エマルジョン状の混練体18は、この鋳型の成型部21に流し込まれて一定の期間常温で静置される。
【0044】
静置された混練体18は、助燃固化剤17が固化するとともに水分が蒸発して、固化体29となる。
この固化体29は、吸水剤27によって乾燥されているとともに助燃固化剤17が混合されているので、単体での焼却が可能である。
また、この固化体29は、積み上げが可能であるので、すぐに焼却しない場合でも、例えば、ドラム缶31などに積み上げて収容して貯蔵することもできる。
【0045】
なお、混練体18を混練部19である程度固化させて粘土状にして、押出し成型や圧縮成型をすることも可能である。
押出し成型の場合、成型部21は、例えば、混練部19に設けられる口金、口金から連続的に排出される角材状の混練体18を載せるベルトコンベアおよび混練体18を切断する切断刃などである。
【0046】
このように、第1実施形態にかかる排水処理装置10によれば、放射性核種を吸着した吸着剤12を取り扱いやすい形態にするとともにこの吸着剤12の単体での焼却を可能とすることができる。
【0047】
次に、
図2、
図3(A)および
図3(B)を用いて、排水処理装置10で好適に用いられる分離部16について詳述する。
図2は、クロスフローろ過器16aの概略断面図である。
また、
図3(A)はクロスフローろ過器16aを構成するクロスフローフィルタ16a
1の一例を示す断面斜視図、
図3(B)は
図3(A)で示されるクロスフローフィルタ16a
1の変形例を示す断面斜視図である。
【0048】
一般に濾過器には、圧力をフィルタ表面に対して垂直に印加するデッドエンドろ過方式と、ろ過対象となる液体をフィルタ表面に沿って流動させるクロスフローろ過方式と、に大別される。
デッドエンドろ過方式では、ろ過が進むにつれてフィルタ表面に不透過成分が堆積して、ろ過率が低下するとともに、フィルタの目詰まりが発生しやすい。
一方、クロスフローろ過方式では、
図2に示されるように、中空柱で複数の流水路46を形成するクロスフローフィルタ16a
1を備えるクロスフローろ過器16aが用いられる。
【0049】
クロスフローろ過方式では、不透過成分は流水路46の表面に沿って循環するので、目詰まりの発生頻度が低く、長期間高いろ過率を維持することができる。
ここで、排水処理装置10が処理する排水11は放射性核種を含むので、頻繁に排水処理装置10の近傍に立ち入ることは好ましくない。
そこで、排水処理装置10で使用する分離部16には、目詰まり、ろ過率の低下またはこれらに関する点検などの頻度を抑制することができるクロスフローろ過器16aを用いるのが好ましい。
【0050】
クロスフローフィルタ16a
1として、
図3(A)に示されるチューブラ型、
図3(B)に示されるモノリス型などがろ過対象などに合わせて適宜選択される。
クロスフローろ過器16aは、内部に、これらのクロスフローフィルタ16a
1が数本〜数百本並置されて構成される。
クロスフローフィルタ16a
1は、セラミック、カーボンまたはプラスチックなどの素材からなり、数μm程度の無数の微細孔を有する。
【0051】
また、クロスフローフィルタ16a
1には、その長手方向に沿って流水路46が設けられている。
この流水路46に、吸着剤12を含む排水11を通流させて、微細粒子のみを壁面の微細孔に浸透させることで、浄化水14を外部へ湧出させる。
排水11は、ろ過ポンプ32の動力でクロスフローろ過器16aおよび吸着槽13を連続的に循環して徐々に吸着剤濃縮泥15が濃縮されていく。
【0052】
そして、濃縮された吸着剤濃縮泥15は、クロスフローろ過器16aおよび吸着槽13に残留する。
【0053】
次に、第1実施形態にかかる排水処理方法を
図5のフローチャートを用いて説明する(適宜
図1を参照)。
【0054】
まず、排水収集弁V
0を開放して、排水11を除去部22に収集する(S11)。
収集した排水11は、除去部22に一定期間静置することで、油脂層11aと水層11bとに分離する。
そこで、油脂層11aと水層11bとに分離した排水11から、油脂層11aを除去する(除去ステップS12)。
【0055】
界面活性剤の混入などにより排水11が層を形成しない場合は、不溶性シクロデキストリンなどを添加して界面活性剤を除去するなどの工夫をする。
水層11bに残留した微量の油脂層11aおよび溶け込んだ油脂成分の全体の油脂成分の濃度は、5000ppm程度以下とするのが望ましい。
【0056】
油脂層11aを除去した後、水層11bを吸着槽13に貯留する。
そして、第1供給弁V
2を開放して吸着剤添加部20から吸着剤12を水層11bに供給する(供給ステップS13)。
そして、油脂成分の濃度が5000ppm程度となるように算出された一定時間の間吸着槽13において貯留される(吸着ステップS14)。
【0057】
なお、吸着ステップS14において水層11bを攪拌することで、この一定時間を短くすることができる。
また、撹拌によって、油脂成分の濃度のムラの発生を防止することができる。
【0058】
このように、吸着ステップS14をバッチ処理にして一定時間の貯留を確保することで、油脂成分および放射性核種を確実に吸着させることができる。
さらに、吸着剤12の吸着機能が低下してきた場合、この低下に合わせて貯留時間を長くすることで排水11の浄化機能を長期間にわたり高く維持させることができる。
【0059】
次に、混合水11cから浄化水14を分離して吸着剤12が濃縮された吸着剤濃縮泥15を生成させる(分離ステップS15〜S20)。
分離ステップ(S15〜S20)では、まず、水層弁V
1および第1供給弁V
2を閉止し、往路弁V
4および復路弁V
5を開放して、ろ過ポンプ32を起動させる。
ろ過ポンプ32は、排水11を吸着槽13と分離部16とで繰り返し循環させて吸着剤濃縮泥15へと濃縮させる(S15)。
【0060】
ろ過によって生成された浄化水14は(S16:YES)、一度浄水槽24に回収される(S17)。
回収された浄化水14は、水質分析によって安全が確認されてから(S18)、例えば、自然環境へ放出される(S19)。
【0061】
一方、水層11bは(S16:NO)、水分が浄化水14となって徐々に分離されて吸着剤12からなる吸着剤濃縮泥15が生成される(S20)。
十分な吸着剤濃縮泥15が生成されたら、ろ過ポンプ32を停止させて、往路弁V
4および復路弁V
5を閉止する。
【0062】
このとき、吸着剤濃縮泥15は、吸着槽13または分離部16に残留する(S21)。
残留した吸着剤濃縮泥15は、回収管h
3に設けられた回収弁V
3を開放して混練部19へ流下させる。
また、油脂回収弁V
11を開放して、混練部19に排水11から除去された油脂層11aの油脂成分を流下させる。
【0063】
さらに、第2供給管h
8および第3供給管h
9の第2供給弁V
8および第3供給弁V
9をそれぞれ開放して、混練部19に吸水剤27および助燃固化剤17を供給する。
このとき、添加される吸水剤27は、吸着剤濃縮泥15の質量に対して0.01〜0.05程度が望ましい。
また、油脂成分がリン酸エステルである場合は、Ca投与部53からCa含有物54を供給する。
【0064】
そして、助燃固化剤17などが添加された吸着剤濃縮泥15および油脂層11aは、エマルジョン状の混練体18になるまで混練される(混練ステップS22)。
【0065】
次に、混練部19の底部に接続された排出管h
10に設けられた排出弁V
10を開放して、混練体18を成型部21の鋳型に流し込む(S23)。
混練体18は、一定時間静置されて冷却され、固化して、固化体29となる(成型ステップS24)。
そして、固化体29は、焼却炉33で焼却されて最終処分がなされる(S25)。
なお、油脂層11aは、混練ステップS22で吸着剤濃縮泥15に供給されずに、吸着剤濃縮泥15とは別個に固化されてもよい。
【0066】
以上のように、第1実施形態にかかる排水処理装置10によれば、排水11の浄化機能を長期間にわたり高く維持させるとともに、排水11の浄化で発生する放射性廃棄物を自燃可能にすることができる。
また、発生した放射性廃棄物を固化体29にすることで、吸着した吸着剤12を焼却による最終処分までの間に取り扱いやすい形態にすることができる。
【0067】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態にかかる排水処理装置10の概略構成図である。
なお、
図4において
図1で示したCa投与部53は省略している。
【0068】
第2実施形態にかかる排水処理装置10は、
図4に示されるように、吸着槽13の排出口および混練部19の供給口に接続されて吸着剤12および水層11bの混合水11cから吸着剤12の一部を分離する予備分離部57を備える。
例えば、水層11bの油脂成分または放射性核種の濃度が高い場合、吸着剤12の供給量を多くする必要がある。
【0069】
しかし、水層11bに含まれる吸着剤12の分量が多くなると、その分だけ分離部16かかる負荷が大きくなる。
分離部16は、排水処理装置10の構成部材のうちで高価であるとともに比較的高い頻度でメンテナンスが必要となる部材である。
よって、分離部16で吸着剤12と浄化水14とを分離する前に、水層11bに含まれる吸着剤12の分量をできるだけ少なくする必要がある。
【0070】
そこで、分離部16の前段に予備分離部57を設けて、吸着剤12および水層11bの混合水11cから吸着剤12を分離する。
予備分離部57は、例えば、
図4に示されるように、深底形状の沈降分離槽57a(57)である。
吸着槽13の排出口は、移送ポンプ61を備える予備分離管h
13で予備分離部57に接続される。
【0071】
吸着槽13における吸着が終了すると、移送ポンプ61によって水層11bが沈降分離槽57aへ移送される。
沈降分離槽57aにおいて、水層11bが所定時間静置されることで、吸着剤12が沈降分離する。
吸着剤12の沈降分離を促進するために、沈降分離槽57aに凝集剤37を付加して水層11bに浮遊する吸着剤12を凝集させる。
【0072】
凝集剤37は、付加管h
14によって沈降分離槽57aに接続される凝集剤付加部38から付加管h
14に備えられた付加弁V
14が開放されて付加される。
吸着剤12の沈殿物58は、例えばデカンティングなどによって上澄水62と分離される。
吸着剤12の濃度が低い上澄水62は、第1実施形態における混合水11cと同様の手順で分離部16によって吸着剤濃縮泥15が分離される。
【0073】
なお、予備分離部57は、吸着槽13が兼ねることもできる。
すなわち、吸着槽13を沈降分離に十分な深底形状とするとともに、この吸着槽13に凝集剤37を付加することで吸着槽13において吸着剤12の一部を沈降分離させることができる。
【0074】
このように第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、分離部16の負荷を軽減することで、排水処理装置10のメンテナンスの頻度を抑制することができる。
【0075】
なお、分離部16による浄化水14の分離の前段で吸着剤12の一部を分離すること以外は、第2実施形態は第1実施形態と同じ構造および動作手順となるので、重複する説明を省略する。
図面においても、共通の構成または機能を有する部分は同一符号で示し、重複する説明を省略する。
【実施例】
【0076】
以下、上記実施形態の排水処理方法を用いて行った試験結果を説明する。
(実施例1)
図6は、実施例1の試験条件および試験結果を示す図である。
実施例1では、まず、第1の水槽に油脂成分を5500ppmの濃度で含む排水を収容してよく撹拌した。
【0077】
撹拌の後、第1の水槽を15分間静置した。
油脂成分が浮上分離して、排水は油脂層および水層の層を形成した。
そこで、水層を第2の水槽に引き抜くことで排水から油脂層を除去した。
このとき、第2の水槽に引き抜かれた水槽成分における油脂成分の濃度は、284ppmとなった。
【0078】
次に、水層が収容された第2の水槽に粉末活性炭を300ppm添加し、よく撹拌した。
水層から粉末活性炭を除去後、水層の油脂成分濃度を測定した。
測定の結果、油脂成分濃度は0ppmとなり、油脂成分が完全に除去されたことが確認された。
なお、油脂成分の濃度測定には、HORIBA(登録商標)製のOCMA305を使用した。
【0079】
(実施例2)
粉末活性炭10gに対してパラフィンを15g添加し、混練して混練体を作製した。
作製した混練体について、JIS Z 7302−2の規定に準じて発熱量を測定した。
測定の結果、混練体の発熱量は9000kcal/kg以上となり、自燃可能な熱量となることが確認された。
【0080】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の排水処理装置10によれば、排水11の浄化機能を長期間にわたり高く維持するとともに、排水11の浄化で発生する放射性廃棄物を自燃可能にすることが可能となる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。