(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
設置対象に設置されて画像データを撮像する監視カメラと、該監視カメラから該画像データを受信して確認可能に出力するセンタ装置とを備える画像確認システムであって、
前記監視カメラは、
撮像した前記画像データを前記センタ装置に送信する通信部を備え、
前記センタ装置は、
前記監視カメラから受信した前記画像データを監視表示装置に送信する監視表示制御部と、
前記監視カメラの設置された地域情報と外部装置から入力される災害発生地域および災害規模の情報を記憶する記憶部と、
前記地域情報と前記災害発生地域の情報に基づいて前記監視カメラが前記災害発生地域に設置されているかを判定する災害判定部と、
前記災害発生地域に設置された監視カメラについて、前記災害規模に応じて予め設定された確認期間のあいだ、利用者端末からの要求信号を受け付けて前記画像データを該利用者端末に送信する利用者表示制御部と、を備えることを特徴とする画像確認システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通常私的に使用される監視目的のカメラ映像と、災害時に公共の用に供する被災確認のカメラ映像とでは、その目的の違いから求められる画像の特性が異なってくる。
【0006】
例えば、遠隔の監視センタにおいて監視員が監視映像を確認する場合には、早期の異常確認のために、設置対象に異常が発生した直後に映像を確認する必要があるが、当該異常が復旧した後の正常状態では映像を監視する必要性が少なくなる。他方、災害時に被災映像を確認するために映像閲覧を所望する不特定多数の希望者に映像を提供する場合には、利用者によって閲覧を希望するタイミングはまちまちで、利用者ごとに任意のタイミングとなるため、災害がおさまってもその後一定期間はカメラ映像が利用されることが考えられる。
【0007】
このように、犯罪など異常監視目的の監視映像の場合には、リアルタイム性が求められて閲覧需要が短期になるという特性がある一方、状況確認目的の被災映像の場合には、災害後すぐとは限らない任意のタイミングで閲覧需要が起き、災害が収まったあとも一定期間は閲覧需要が続くという特性がある。
【0008】
従来のシステムでは、このような画像利用の目的に応じた特性の違いについて考慮がされていない。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、画像利用の目的に応じた特性の違いを考慮して、異常時の短期の閲覧需要に対応できるとともに、災害時の一定期間続く閲覧需要にも対応して映像配信することができる画像確認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像確認システムは、設置対象に設置されて画像データを撮像する監視カメラと、該監視カメラから該画像データを受信して確認可能に出力するセンタ装置とを備える画像確認システムであって、前記監視カメラは、撮像した前記画像データを前記センタ装置に送信する通信部を備え、前記センタ装置は、前記監視カメラから受信した前記画像データを監視表示装置に送信する監視表示制御部と、前記監視カメラの設置された地域情報と外部装置から入力される災害発生地域および災害規模の情報を記憶する記憶部と、前記地域情報と前記災害発生地域の情報に基づいて前記監視カメラが前記災害発生地域に設置されているかを判定する災害判定部と、前記災害発生地域に設置された監視カメラについて、前記災害規模に応じて予め設定された確認期間のあいだ、利用者端末からの要求信号を受け付けて前記画像データを該利用者端末に送信する利用者表示制御部と、を備えている。
【0011】
この構成により、監視カメラから受信した画像データが、センタ装置から監視表示装置と利用者端末に送信される。監視員が常時駐在して異常発生の有無を監視する犯罪監視目的の監視センタと、災害時に多くの利用者が自分のタイミングで映像確認する被災状況確認目的のポータルサイト等では、求められる画像の特性が異なる。本発明では、異常監視目的と災害状況確認目的とで閲覧期間を異ならせて、災害発生地域に設置された監視カメラの画像データについては、災害規模に応じて予め設定された確認期間のあいだ利用者端末から確認できるようにする。これにより、異常時に監視表示装置からの短期の閲覧需要に対応することができるとともに、災害後も利用者端末からの一定期間続く閲覧需要に対応することができる。
【0012】
また、本発明の画像確認システムでは、前記センタ装置は、さらに、前記設置対象の異常および異常の復旧を検出する異常検出部を備え、前記監視表示制御部は、前記設置対象の異常が検出されたときに、当該異常の復旧を検出するまで前記画像データを前記監視表示装置に送信してもよい。
【0013】
この構成により、設置対象の異常が検出された場合、その監視カメラの画像データについては、当該異常が復旧するまで監視表示装置から確認できるようにする。これにより、異常時に監視表示装置からの短期の閲覧需要に対応することができ、異常が復旧した正常時の画像を不用意に参照されることを防止して、プライバシーを確保することができる。
【0014】
また、本発明の画像確認システムでは、前記センタ装置は、さらに、予め設定された特定利用者と該特定利用者に対応する前記監視カメラとの組み合わせを記憶する第2の記憶部を備え、前記利用者表示制御部は、前記特定利用者の利用者端末からの要求信号を受け付けた場合には、前記災害発生地域外であっても、該特定利用者に対応する前記監視カメラから受信した画像データを前記特定利用者の利用者端末に送信してもよい。
【0015】
この構成により、特定利用者に対応する監視カメラから受信した画像データについては、災害発生地域外であっても、特定利用者の利用者端末にその画像データが送信される。これにより、特定利用者(監視カメラの設置対象の正当な利用者)は、いつでも、ポータルサイト等で自己の管理範囲の監視カメラの画像(高精細の画像)を確認することができる。
【0016】
本発明のセンタ装置は、監視カメラから画像データを受信する通信部と、前記監視カメラから受信した前記画像データを監視表示装置に送信する監視表示制御部と、前記監視カメラの設置された地域情報と外部装置から入力される災害発生地域および災害規模の情報を記憶する記憶部と、前記地域情報と前記災害発生地域の情報に基づいて前記監視カメラが前記災害発生地域に設置されているかを判定する災害判定部と、前記災害発生地域に設置された監視カメラについて、前記災害規模に応じて予め設定された確認期間のあいだ、利用者端末からの要求信号を受け付けて前記画像データを該利用者端末に送信する利用者表示制御部と、を備えている。
【0017】
このセンタ装置によっても、上記の画像確認システムと同様に、異常監視目的と災害状況確認目的とで閲覧期間を異ならせて、災害発生地域に設置された監視カメラの画像データについては、災害規模に応じて予め設定された確認期間のあいだ利用者端末から確認できるようにする。これにより、異常時に監視センタなどからの短期の閲覧需要に対応することができるとともに、災害後も利用者などからの一定期間続く閲覧需要に対応することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、異常監視目的と災害状況確認目的とで閲覧期間を異ならせて、異常時に監視センタなどからの短期の閲覧需要に対応することができるとともに、災害後も利用者などからの一定期間続く閲覧需要に対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態の画像確認システムについて、図面を用いて説明する。本実施の形態では、施設や建物などの異常監視と災害時の被災状況確認とをあわせた画像監視サービス等に用いられる画像確認システムの場合を例示する。
【0021】
<全体構成>
本発明の実施の形態の画像確認システムの構成を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の画像確認システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、施設や建物などの物件(監視区域)には、複数の監視カメラ1と警備装置2が設置されている。複数の監視カメラ1は警備装置2と接続されており、警備装置2はネットワーク3を介して遠隔のセンタ装置4に接続されている。また、監視カメラ1もネットワーク3を介してセンタ装置4に接続されており、監視カメラ1の画像は、ネットワーク3を介してセンタ装置4へ送信される。センタ装置4は、記録処理サーバ5とWEBサーバ6を備えている。センタ装置4には監視表示装置7が接続されており、監視表示装置7で監視カメラ1の画像を確認することが可能とされている。また、センタ装置4は、外部ネットワーク8に接続されており、利用者が所持する利用者端末9から監視カメラ1の画像を確認することが可能とされている。
【0022】
例えば、センタ装置4(記録処理サーバ5およびWEBサーバ6)と監視表示装置7は、監視センタに設置される。監視センタは、センタ装置4を備えた警備会社が運営する施設であり、監視カメラ1や警備装置2から受信する各種情報を監視表示装置7の表示部に表示して、監視員が監視対象を常時監視している。また、利用者端末9は、スマートフォンや携帯端末などである。利用者は、災害時に利用者端末9でWEBサーバ6にアクセスし、インターネット上のポータルサイト等で監視カメラ1の画像を閲覧することができる。
【0023】
<監視カメラ>
図2は、監視カメラ1の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、監視カメラ1は、光学系10、撮像素子11、画像アナログ/デジタルコンバータ12、画像圧縮回路13、通信部14、制御部15、記憶部16、画像記録部17、入出力部18を備えている。
【0024】
監視カメラ1は、予め各監視カメラ1を識別するカメラIDとカメラ機器種別と使用レンズ種別などの識別情報を記憶部16に記憶して、設置対象となる監視区域内に設置されている。
【0025】
監視カメラ1には、予め利用者により撮影情報が設定されており、監視カメラ1は、この撮影情報に基づいて撮像された画像データを取得する。撮影情報は、予め設定されて記憶部16に記憶される。撮影情報としては、撮影間隔(フレームレート)や画質(画像サイズや圧縮率)といった撮影条件が含まれる。また、撮影情報としては、記録モードも含まれる。記録モードは、撮像する画像データを常時記録する連続記録モードと、指定された期間内に限り画像データを連続的に記録する期間記録モードと、警備装置2の監視センサから検知信号を受信したときのみ画像データを記録するセンサ連動記録モードとを有している。
【0026】
監視カメラ1の画像アナログ/デジタルコンバータ12では、撮像素子11から入力される画像信号を撮影情報として記憶した撮影間隔でデジタル信号に変換する。また、監視カメラ1の画像圧縮回路13では、撮影情報として記憶した画質に対応するパラメータに従って、画像圧縮符号化方式としてH.264/MPEG−4 AVC規格に準拠した圧縮符号化データ(画像データ)を生成する。画像圧縮符号化方式としては、MPEG2Video規格など他の規格であってよく、JPEG規格など静止画として生成されてもよい。また、異なる画像圧縮符号化方式のカメラがネットワーク上に混在してもよいし、一つのカメラが画像圧縮符号化方式を切り替えてもよい。
【0027】
生成された画像データは、通信部14から記録処理サーバ5に送信される。このとき送信される画像データには、カメラを識別するカメラ番号が含まれる。また、生成された画像データはバックアップとして、監視カメラ1の画像記録部17に記録される。画像記録部17は、例えば、HDDやフラッシュメモリなどで構成される。画像データには、付加情報として、カメラID、監視カメラ1の機器種別、使用レンズの機器種別、撮影条件、撮影日時などがデータのヘッダ領域などに含まれている。
【0028】
ここでは、画像を取得するごとに記録処理サーバ5に送信する例について説明するが、本発明の範囲はこれに限られることはない。通信部14から記録処理サーバ5に画像を送信するタイミングとしては、画像を取得するごとに常時伝送する連続送信モードや、警備装置2から異常信号の入力があったとき及び記録処理サーバ5から送信要求があったときに画像データを伝送する連動伝送モードといった公知の伝送制御モードを組み合わせた送信スケジュールとして設定されてもよい。
【0029】
通信部14は、ネットワーク3としての移動体通信網やインターネット網に接続されて記録処理サーバ5と通信を行う通信インタフェース(例えばLTE通信モジュールとLTEアンテナ)である。なお、本発明の範囲は、監視カメラ1が直接に記録処理サーバ5と通信する例に限られない。警備装置2に画像データを出力して、警備装置2の通信部14から記録処理サーバ5に画像データを送信するようにしてもよい。
【0030】
入出力部18は、警備装置2などの周辺機器が接続されるインタフェース(例えば有線・無線LANモジュール)である。また、入出力部18には、利用者のパソコンなどが接続されて監視カメラ1が取得している画像あるいは画像記録部17に記録された画像データを参照可能となる。
【0031】
<警備装置>
図3は、警備装置2の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、警備装置2は、操作部20、通信部21、表示部22、入出力部23、記憶部24、制御部25を備えている。
【0032】
操作部20は、利用者の認証情報を読み取るための読取部201と、警備セットモードや警備解除モードを設定するために操作されるキー入力部202を備えている。操作部20は、読取部201に利用者の認証情報(ID情報)を読み込ませて利用者を照合した上で操作が許容される。なお、操作部20は、表示部22の液晶モニタにタッチパネルを設けて該タッチパネルにて構成してもよい。
【0033】
利用者のID情報を読み取る読取部201としては、RFIDタグからの無線信号を読み取るタグリーダ、ICカードや磁気カードのカード情報を読み取るカードリーダ、指紋や顔画像などのバイオメトリクス情報を読み取る生体情報取得手段などが適宜に設けられて良い。
【0034】
通信部21は、警備装置2と監視表示装置7を接続する通信インタフェースである。警備装置2と監視表示装置7は、ネットワークとしての公衆回線網やインターネットを介して接続される。本実施形態では、記録処理サーバ5を経由して監視表示装置7と接続される例について説明するが、監視表示装置7が個別に外部通信できる場合にはこれに限らず直接あるいは異なる経路を経て監視表示装置7と接続されてよい。
【0035】
表示部22は、液晶ディスプレイ、表示灯、スピーカなどにより構成される。表示部22は、操作部20の近傍あるいは一体的に設置され、操作のガイドやメニュー表示を行う機能を備えている。表示部22は、音声報知する機能を備えてもよい。
【0036】
入出力部23は、監視カメラ1や防犯センサなどの周辺機器26が接続されるインタフェースである。入出力部23は、監視区域となる領域内/外の適宜な場所に配置された扉の開閉を検出するマグネットセンサ、赤外線にて人体を検出する赤外線センサなどの防犯センサ、煙感知器や熱感知器などの防災センサ、利用者に操作される非常ボタンなどと接続されて、各種センサから検知信号を受信する通信インタフェースである。各種センサにはそれぞれ固有の識別番号が付与されており、検知信号にはこの識別番号が含まれる。また、入出力部23は、監視カメラ1と接続されてもよく、警備装置2が異常と判定したときに異常信号を出力する。
【0037】
記憶部24は、制御部25を警備装置2として動作させるためのプログラム、各種センサのID番号毎にセンサの種類およびセンサの設置位置を対応付けたセンサ情報、警備装置2を操作する利用者を認証するための登録認証情報、動作モード履歴、異常履歴を記憶している。また、記憶部24は、動作モードが設定されるたびに、設定時刻と設定した利用者の情報と設定された動作モードの情報を動作モード履歴として記憶する。
【0038】
制御部25は、警備装置2の各種の制御を行う機能を備えている。本実施の形態では、制御部25は、照合部251、モード設定部252、異常判定部253を備えている。
【0039】
照合部251は、操作部20を操作入力する利用者が予め登録された利用者か否かを判定する。具体的には、照合部251は、操作部20から取得した利用者のID情報が記憶部24に予め登録されたものと一致するか(照合OKであるか)否かを判定する。一致した場合には、利用者を正当な操作権限を有するものとして認証し、(モード設定部252により)操作部20を通じて行われた操作による警備装置2の動作モードの移行を可能とする。
【0040】
モード設定部252は、照合部251にて照合部251にて照合OKと判定された利用者の操作により警備装置2の動作モードを設定する。警備装置2の動作モードとしては、少なくとも警備セットモード、警備解除モードの2種類が設定される。
【0041】
ここで、警備セットモードとは、防犯センサから検知信号が入力されると、監視区域の異常検出と判定して、センタ装置4に異常通報するモードである。また、警備解除モードとは、防犯センサから検知信号が入力されても、監視区域の異常検出とせず、異常通報しないモードをいう。なお、火災センサ、非常ボタンによる検知信号は常時監視されており、警備セットモードと警備解除モードの何れのモードであっても異常通報される。利用者は、例えば警備対象が無人になるときに操作部20を操作して警備セットモードを設定し、警備対象に入るときに操作部20を操作して警備解除モードを設定する。
【0042】
モード設定部252は、警備装置2の動作モードが設定されると、設定された動作モードを示すモード設定信号を通信部21より記録処理サーバ5に送信する。
【0043】
異常判定部253は、センサから検知信号を受信すると、現在のモード及び記憶部24のセンサ情報と比較して異常の有無を判定する。また、異常判定部253は、警備セットモードに設定されているときに、各種センサの何れかから検知信号を受信すると異常と判定し、警備解除モードに設定されているときに、防災センサ、非常ボタンの何れかから検知信号を受信すると異常と判定する。異常判定部253は、異常と判定するとかかる異常を示す異常信号を通信部21より記録処理サーバ5に送信する。異常信号は、警備装置2の識別番号、異常を検知したセンサのID番号、センサの種類及びその設置位置の情報を含む。また、異常判定部253は、異常と判定した検知信号の送信元において事象が復旧したことを判定すると復旧信号を記録処理サーバ5に送信する。
【0044】
<センタ装置>
図4は、センタ装置4の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、センタ装置4は、記録処理サーバ5とWEBサーバ6を備えている。記録処理サーバ5は、情報記憶部50、災害判定部51、異常検出部52、画像蓄積部53、画像データ変換部54、監視表示制御部55、利用者表示制御部56を備えている。
【0045】
情報記憶部50は、監視カメラ1の設置された設置地域情報として、住所や地域、近隣の主要施設(ランドマーク)など監視区域の情報とカメラ番号および警備装置2の識別番号を対応させた管理情報を予め記憶している。また、管理情報には、監視カメラ1ごとに設置時に登録される情報として、設置箇所が屋内か屋外かを識別する屋外フラグ情報が記憶されている。屋外フラグがONであれば屋外に設置されることを示す。管理情報は、各種のフラグを備えたテーブル情報として管理され、警備装置2の動作モード設定や異常の有無、災害の有無などに応じて随時更新される。
【0046】
また、情報記憶部50は、警備装置2ごとに現在設定されている動作モードを管理情報に記憶している。動作モードは、記録処理サーバ5が警備装置2からモード設定信号を受信すると、管理情報において該当する警備装置2に対応させて現在モード情報として記録される。さらに、情報記憶部50は、監視区域ごとに対応させて利用者の照合情報として、IDとパスワードを記憶している。
【0047】
災害判定部51は、情報提供元装置(外部装置)から災害発生地域の情報を含む災害情報を受信する。例えば、災害判定部51は、情報提供元装置である公的機関など災害情報の配信プロバイダの情報配信装置から災害情報の配信を受けると、これを受信時刻とともに記憶する。災害情報は、例えば緊急地震速報であるが、その他、津波予測の情報、台風警報、火災に関する情報など、種々の災害に関する情報が災害情報として配信されてよい。
【0048】
災害判定部51は、震度や降水量、風速といった災害の強さを示すパラメータ(災害強度)を災害強度閾値として予め記憶し、災害強度閾値を上回る災害情報を受信したときに対処すべき災害の発生を判定する。災害判定部51は、災害発生と判定したときにその災害発生地域に何れかの監視区域が含まれているか判定し、含まれている場合には当該監視区域に対応する監視カメラ1および警備装置2について災害フラグをONにする(管理情報のテーブル上で災害フラグを有効にする)。災害判定部51は、災害フラグをONにしてから所定期間が経過すると災害フラグをOFFにする。所定期間は、災害情報の災害強度に応じて予め設定された期間である。例えば、災害情報が緊急地震速報である場合、震度3のときには所定期間が1日に設定され、震度6のときには所定期間が1週間に設定される。
【0049】
異常検出部52は、監視カメラ1や警備装置2から入力される情報(異常信号)に基づき監視区域の異常を検出する。警備装置2から異常信号が入力されると、管理情報において該当する監視区域の異常フラグをONにする(管理情報のテーブル上で異常フラグを有効にする)。また、監視カメラ1から入力される画像データより変化量が所定以上である場合などに異常と判定してもよい。また、異常検出部52は、監視カメラ1や警備装置2から入力される情報(復旧信号)に基づき監視区域の異常復旧を判定して、該当する監視区域の異常フラグをOFFにする。
【0050】
画像蓄積部53は、監視カメラ1から取得した画像データと、この画像データを管理するためのデータテーブルを記憶している。画像データの記録領域は、予めカメラごとあるいは監視区域ごとに区分され、画像データを受信することにより該当する監視カメラ1の画像データが記録される。
【0051】
データテーブルは、記録された画像データを識別するための情報であって、画像データの記録IDと、画像データの付加情報(カメラID、監視カメラ1の機器種別、使用レンズの機器種別、撮影条件、撮影日時)とが、画像データを記録したアドレス情報と対応付けて記録される。
【0052】
画像データ変換部54は、監視カメラ1から取得した画像データを予め設定された精細度にダウンコンバートして、低精細画像データに変換する。具体的には、画像データ変換部54は、監視カメラ1から受信した画像データが、予め設定された解像度(例えばVGA解像度)より高画質であればダウンコンバートを行い、VGA解像度の低精細画像データに変換する。変換された低精細画像データは、変換前の基礎の画像データ(監視カメラ1から受信した画像データ)と対応させて画像蓄積部53に記録される。
【0053】
ここでは、ダウンコンバートの内容として解像度を低下させる例について説明しているが、本発明の範囲は、これに限定されない。画像データ変換部54は、フレームレートを低下させる、あるいは圧縮率を上げる、またはこれらの組合せにより精細度を低下させるようにしてもよい。
【0054】
また、ここでは、画像データ変換部54が画像データの取得時にダウンコンバートを行い予め低精細画像データを記憶しておく例について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されない。利用者表示制御部56から画像データを出力する際に、画像データ変換部54がダウンコンバートを行い低精細画像データへの変換を行ってもよい。
【0055】
さらに、画像データを取得した監視カメラ1について既に災害フラグがONになっている場合には、災害判定部51にて判定した災害発生地域の多さ(広さあるいは含まれる地域の数)によって、ダウンコンバートする度合い(精細度)を異ならせるようにしてもよい。例えば、当該災害の災害情報に含まれた災害発生地域が多くなるほど精細度が低下するようにする。例えば、災害発生地域が「東京都全域」である場合のほうが「東京都千代田区のみ」である場合よりダウンサイズするようにする。これによって潜在的な閲覧需要者が増えるほど画像データのデータサイズを小さくすることができる。
【0056】
監視表示制御部55は、監視対象の情報及び異常の情報とともに、監視カメラ1から受信した画像データを監視表示装置7に出力する。監視表示制御部55は、画像データを受信したときに、管理情報において該当する監視区域の異常フラグがONになっていればこれを監視表示装置7に出力する。また、監視表示装置7から画像データの要求を受け付けたときに、要求された画像データに対応する監視区域の異常フラグがONとなっていればこの画像データを画像蓄積部53より読み出して監視表示装置7に出力する。
【0057】
このように、監視員に提供する画像データは、オリジナルの精細度を維持した画像データとすることで、異常時にその原因を画像から把握できるようにするとともに、画像の証拠性を高めるようにしている。
【0058】
利用者表示制御部56は、WEBサーバ6が利用者からの閲覧要求を受けつけたときに、要求された地域に対応する画像データについて、低精細画像データを読み出して地域情報とともにWEBサーバ6に出力し、利用者端末9に送信する。このとき出力する地域情報は、市町村名の区分など、ある程度広域な地域範囲を示す情報である。
【0059】
利用者表示制御部56は、閲覧要求信号として利用者端末9から地域情報の入力を受けると、管理情報からこの地域情報に該当する監視区域を抽出する。利用者表示制御部56は、管理情報において該当する監視区域の災害フラグがONで、且つ屋外フラグがONになっている監視カメラ1についてのみ利用者が画像を閲覧できるように制御する。そのため、利用者表示制御部56は、利用者から閲覧要求を受けつけたときに、管理情報において該当する監視区域の災害フラグがONになっていれば、対応する屋外フラグがONの監視カメラ1について最も直近の記録単位となる低精細画像データを読み出してWEBサーバ6に出力する。災害フラグがOFFであれば、または、対応する監視カメラ1が全て屋外フラグOFFであれば、画像データは読み出さず、エラーメッセージを返す。
【0060】
このように、利用者に提供する画像データは、オリジナルの画像データに対して、データサイズが小さいものを用いることができる。これにより、ピーク性の高い災害時画像の提供サービスにおいて、災害時にアクセスが集中したとしても、処理遅延やシステムの停止に陥る可能性を低減して利用者に継続的に画像提供することが可能となる。
【0061】
なお、かかる処理の例外として、利用者表示制御部56は、WEBサーバ6を介して利用者から監視区域を指定する情報とID/パスワードが認証信号として入力されると、情報記憶部50に記憶した照合情報と照合して、指定された監視区域または監視カメラ1についての照合OKと判定されれば、災害フラグと屋外フラグに拘わらず画像の閲覧を許容する。特にこの場合には、低精細画像データでなく、ダウンコンバートしていない基礎の画像データ(監視カメラ1からの受信した画像データ)を利用者端末9に出力してよい。これにより、特定利用者となる監視カメラ1設置対象の正当な利用者は、WEBサーバ6を介し自己の管理範囲の画像を確認することができる。
【0062】
WEBサーバ6は、アクセス受付部60を備えている。アクセス受付部60は、利用者端末9からのアクセスを受け付ける機能を備えている。
【0063】
利用者は、パソコンやスマートフォンなどクライアント装置となる利用者端末9から、専用アプリケーション或いはWEBブラウザなどを利用してWEBサーバ6のアクセス受付部60に設定されたポータルサイトのURLにアクセスすることで、閲覧可能に公開されている監視カメラ1の画像データを指定して、参照することができる。
【0064】
また、利用者は、予め設定されたIDとパスワードなど照合情報を入力することで、自己に対応する監視区域の監視カメラ1の画像データを参照することができる。
【0065】
WEBサーバ6は利用者端末9からのアクセスを受け付けて画像データを出力する。WEBサーバ6は利用者からアクセスがあると利用者が画像データの閲覧を希望する地域情報を指定する入力部と、利用者の照合情報を入力する入力部が実装されたポータルサイトのWEBページを利用者端末9に送信する。利用者は、当該WEBページにて閲覧を希望する地域情報を指定して、画像データを要求する閲覧要求信号をWEBサーバ6に送信する。例えば、市区町村名の区分、あるいは町域の区分までが地域情報として指定可能となる。このほか、地域情報として近隣の主要施設(ランドマーク)を指定可能にしてもよい。あるいは、予め監視センタから照合情報を取得している利用者は、自己の照合情報を入力して認証を要求する認証信号をWEBサーバ6に送信する。
【0066】
WEBサーバ6は、利用者端末9から入力された情報を利用者表示制御部56に出力する。利用者表示制御部56において、該当する画像データを参照可能と判定された場合に利用者端末9へ画像データを提供する際は、ファイル転送またはストリーミングなど周知の方法を採用してよい。該当する画像データとは、災害の発生により一時的に災害フラグがONになっている屋外設置の監視カメラ1の画像データと、予め照合情報に対応して閲覧が許可されている監視カメラ1(例えば設置対象の利用者)である。
【0067】
<監視表示装置>
監視表示装置7は、1又は複数のコンピュータとその操作部および表示部で構成されており、記録処理サーバ5から受信する画像データや監視区域の名称および住所など各種情報を表示部に表示し、監視員が監視対象を常時監視している。監視表示装置7は、監視対象やそこに設置された警備装置2の情報を記憶したデータベースとして記録処理サーバ5の管理情報にアクセス可能となる。
【0068】
監視表示装置7の表示部には、警備装置2からの異常に基づいて対処すべき監視対象の情報及び異常の情報と、監視対象に設置された監視カメラ1の画像データが表示される。例えば、監視区域の名称および住所など設置対象の物件を特定する情報が表示される。監視員は、かかる表示を見て監視区域に異常が発生していると判断すると、監視対象への対処員の対処指示などの必要な措置をとる。例えば、監視員は受信する画像データを表示部にて確認し、炎や煙など火災の発生が認められれば対処員に監視対象への対処指示を行うとともに119番通報を行う。
【0069】
以上のように構成された画像確認システムについて、図面を参照してその動作を説明する。
【0070】
本発明の実施の形態の画像確認システムでは、
図5に示すような異常フラグ制御が実行される。異常フラグ制御は、センタ装置4の記録処理サーバ5(主に異常検出部52)で実行される。
【0071】
異常フラグ制御では、まず、監視カメラ1や警備装置2から異常信号を受信したか否かの判定が行われる(S100)。異常信号を受信した場合には、異常検出部52において異常検出と判定され(S101)、その監視区域のカメラの異常フラグをONに設定する(S102)。一方、異常信号を受信しない場合には、監視区域の異常復旧の判定が行われる(S103)。例えば、監視カメラ1や警備装置2から復旧信号を受信した場合には、その監視区域の異常が復旧したと判定し、異常フラグをOFFに設定する(S104)。
【0072】
本発明の実施の形態の画像確認システムにおいて、異常時に監視表示装置7で監視カメラ1の画像を確認する場合には、
図6に示すような監視表示制御が実行される。監視表示制御は、センタ装置4の記録処理サーバ5(主に監視表示制御部55)で実行される。
【0073】
監視表示制御は、監視区域で異常が検出されたときに実行される。したがって、まず、記録処理サーバ5で、監視区域で異常が検出されたか否かの判定が行われる(S1)。そして、異常が検出された場合には、その監視区域(異常が検出された監視区域)の画像データを監視員が選択可能なように監視表示装置7に提供する(S2)。監視員が監視表示装置7で(例えばその画像をクリックするなどして)画像データを選択すると、記録処理サーバ5は、選択された画像データを読み出して(S3)、その画像データと設置対象(監視区域)を特定する情報(監視区域の名称および住所など)を監視表示装置7に出力する(S4)。異常が復旧するまでの間、このように選択された画像データの出力を繰り返す。その後、監視区域の異常が復旧すると(S5)、画像データの出力を禁止して(S6)、処理を終了する。
【0074】
また、本発明の実施の形態の画像確認システムでは、
図7に示すような災害フラグ制御が実行される。災害フラグ制御は、センタ装置4の記録処理サーバ5(主に災害判定部51)で実行される。
【0075】
災害フラグ制御では、まず、情報提供元装置(外部装置)から災害情報を受信したか否かの判定が行われる(S110)。災害情報には、少なくとも、災害強度の情報と災害発生地域の情報が含まれている。災害情報を受信した場合には、災害判定部51において、その災害情報で示される災害強度が災害強度閾値以上であるか否かの判定が行われる(S111)。災害強度が災害強度閾値以上である場合には、災害発生と判定される(S112)。災害発生と判定されると、災害発生地域に含まれる監視区域の監視カメラの災害フラグをONに設定し(S113)、災害強度に応じた所定期間(例えば、災害情報が緊急地震速報である場合、震度3のときには1日、震度6のときには1週間など)を設定する(S114)。
【0076】
一方、情報提供元装置(外部装置)から災害情報を受信しない場合には、上記のステップ114で設定された所定期間が経過したか否かの判定が行われる(S115)。所定期間が経過した場合には、災害フラグをOFFに設定する(S116)。
【0077】
本発明の実施の形態の画像確認システムにおいて、災害時に利用者端末9で監視カメラ1の画像を確認する場合には、
図8に示すような利用者表示制御が記録処理サーバ5で実行される。利用者表示制御は、センタ装置4の記録処理サーバ5(主に利用者表示制御部56)で実行される。
【0078】
利用者表示制御は、WEBサーバ6を介して利用者端末9からの閲覧要求があったときに実行される。利用者端末9からの閲覧要求があった場合(S10)、まず、その利用者が特定利用者であるか否かの判定が行われる(S11)。特定利用者でない場合(すなわち、固有の照合情報の入力がない一般利用者である場合)、閲覧要求があった監視区域の災害フラグがONか否かを判定する(S12)。災害フラグがONである場合、閲覧可能な監視カメラ1の画像があるか否かを判定する(S13)。閲覧可能な監視カメラ1とは、災害フラグがONで、且つ、屋外フラグがONの監視カメラ1である。災害フラグは、監視区域が災害発生地域に含まれている場合にONにされ、ONにしてから所定期間が経過するとOFFにされる。所定期間は、災害情報の災害強度に応じて予め設定される。例えば、災害情報が緊急地震速報である場合、震度3のときには所定期間が1日に設定され、震度6のときには所定期間が1週間に設定される。
【0079】
閲覧可能な監視カメラ1の画像がある場合には、その監視カメラ1の低精細画像を読み出して(S14)、その低精細画像とこの監視カメラ1の地域情報を利用者端末9に出力する(S15)。特に、このときには市町村名の区分、あるいは、町域の区分までが地域情報として出力される。その後、災害フラグがOFFになったか否かを判定する(S16)。災害フラグがOFFになると、低精細画像の出力を禁止して(S17)、処理を終了する。また、災害フラグがONのままでも、利用者端末9から閲覧終了の入力を受け付けると(S18)、処理を終了する。
【0080】
利用者が特定利用者である場合には、WEBサーバ6から入力される認証信号と照合情報を照合してその特定利用者に対応する監視区域を特定し(S19)、その監視区域の画像データを利用者が選択可能なように利用者端末9に提供する(S20)。この場合、監視区域が災害発生地域外であっても、その監視区域の画像データが選択可能に提供される。利用者が利用者端末9で(例えばその画像をクリックするなどして)画像データを選択すると、記録処理サーバ5は、選択された画像を読み出して(S21)、その画像データと設置対象(監視区域)を特定する情報(監視区域の名称および住所など)を利用者端末9に出力する(S22)。その後、利用者端末9から閲覧終了の入力を受け付けると(S23)、処理を終了する。
【0081】
このような本実施の形態の画像確認システムでは、監視カメラ1から受信した画像データが、センタ装置4から監視表示装置7と利用者端末9に送信される。監視員が常時駐在して異常発生の有無を監視する犯罪監視目的の監視センタと、災害時に多くの利用者が自分のタイミングで映像確認する被災状況確認目的のポータルサイト等では、求められる画像の特性が異なる。本発明では、異常監視目的と災害状況確認目的とで閲覧期間を異ならせて、災害発生地域に設置された監視カメラ1の画像データについては、災害規模に応じて予め設定された確認期間のあいだ利用者端末9から確認できるようにする。これにより、異常時に監視表示装置7からの短期の閲覧需要に対応することができるとともに、災害がおさまった後も利用者端末9からの一定期間続く閲覧需要に対応することができる。
【0082】
また、本実施の形態では、設置対象の異常が検出された場合、その監視カメラ1の画像データについては、当該異常が復旧するまで監視表示装置7から確認できるようにする。これにより、異常時に監視表示装置7からの短期の閲覧需要に対応することができる。
【0083】
また、本実施の形態では、特定利用者に対応する監視カメラ1から受信した画像データについては、災害発生地域外であっても、特定利用者の利用者端末9にその画像データが送信される。これにより、特定利用者(監視カメラの設置対象の正当な利用者)は、いつでも、ポータルサイト等で自己の管理範囲の監視カメラの画像(高精細の画像)を確認することができ、異常が復旧した正常時の画像を不用意に参照されることを防止して、プライバシーを確保することができる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。