特許第6356571号(P6356571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356571
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】静電塗装機
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/025 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   B05B5/025 A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-214428(P2014-214428)
(22)【出願日】2014年10月21日
(65)【公開番号】特開2016-77999(P2016-77999A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000117009
【氏名又は名称】旭サナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 富之
【審査官】 高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−193745(JP,A)
【文献】 特開平02−180660(JP,A)
【文献】 実開平04−026050(JP,U)
【文献】 実開平05−067348(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00−9/08;15/00−17/08
B05D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料を吐出するための吐出口と、
前記吐出口を閉鎖する閉鎖状態および開放する開放状態間で移動可能な弁体と、
自然状態で筒状をなすものであって、軸方向の長さ寸法が自然状態に比べて短くなることで前記弁体を閉鎖状態から開放状態または開放状態から閉鎖状態に移動操作するための弾性復元力を発生する非導電性のバネ部材と、
前記バネ部材の一端部を外側から取囲む第1のカバーと、
前記バネ部材の他端部を外側から取囲む第2のカバーを備え、
前記バネ部材は、
前記第1のカバーおよび前記第2のカバーのいずれによっても取囲まれていない開放部を有するものであって、当該開放部が弾性的に変形することに応じて弾性復元力を発生することを特徴とする静電塗装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗料を帯電させて塗装対象物に付着させる静電塗装機に関する。
【背景技術】
【0002】
静電塗装機には弁体を閉鎖状態および開放状態間で移動操作することに応じて塗料の吐出口を開閉するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−335642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の静電塗装機の場合には弁体を金属スプリングの弾性復元力で移動操作していた。従って、電極等の荷電部および金属スプリング間で放電が発生することがあり、金属スプリングの近傍に可燃性の部材が存在する場合には当該可燃性の部材が放電で損傷する虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の静電塗装機は、塗料を吐出するための吐出口と、前記吐出口を閉鎖する閉鎖状態および開放する開放状態間で移動可能な弁体と、前記弁体を閉鎖状態から開放状態または開放状態から閉鎖状態に弾性復元力で移動操作する非導電性のバネ部材を備えたところに特徴を有する。
【0006】
請求項に記載の静電塗装機は、塗料を吐出するための吐出口と、前記吐出口を閉鎖する閉鎖状態および開放する開放状態間で移動可能な弁体と、自然状態で筒状をなすものであって軸方向の長さ寸法が当該自然状態に比べて短くなることで前記弁体を閉鎖状態から開放状態または開放状態から閉鎖状態に移動操作するための弾性復元力を発生する非導電性のバネ部材と、前記バネ部材の一端部を外側から取囲む第1のカバーと、前記バネ部材の他端部を外側から取囲む第2のカバーを備え、前記バネ部材は前記第1のカバーおよび前記第2のカバーのいずれによっても取囲まれていない開放部を有するものであり、当該開放部が弾性的に変形することに応じて弾性復元力を発生するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の静電塗装機によれば、弁体を非導電性のバネ部材の弾性復元力で移動操作している。従って、電極等の荷電部およびバネ部材間で放電が発生することがなくなるので、バネ部材の近傍に可燃性の部材が存在する場合に当該可燃性の部材が放電で損傷することが防止される。
【0008】
請求項に記載の静電塗装機によれば、弁体を非導電性のバネ部材の弾性復元力で移動操作しているので、バネ部材の近傍に可燃性の部材が存在する場合に当該可燃性の部材が放電で損傷することが防止される。しかも、バネ部材の一端部を第1のカバーで取囲むことでバネ部材の一端部が弾性変形することを抑制し、バネ部材の他端部を第2のカバーで取囲むことでバネ部材の他端部が弾性変形することを抑制し、バネ部材を一端部および他端部間の開放部で弾性変形させている。従って、バネ部材が弾性変形する場合のバネ部材の挙動が安定するので、目標値通りのバネ力が継続的に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1を示す図(静電塗装機の内部構成を塗料ノズルの閉鎖状態で示す図)
図2】静電塗装機の内部構成を塗料ノズルの開放状態で示す図
図3】ベローズおよびドライブスプリングを拡大して示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1の塗装ボディ1はフロントブロック2とリアブロック3とバックプレート4とシュラウド5を有するものであり、フロントブロック2とリアブロック3とシュラウド5のそれぞれは非導電性の合成樹脂を材料に成形され、バックプレート4は金属を加工することで形成されている。フロントブロック2およびリアブロック3のそれぞれは前後方向へ指向するものであり、フロントブロック2にはフロントブロック2の外周面から突出する締結部6が形成され、リアブロック3には螺旋状の雄ネジ部7が形成されている。
【0011】
バックプレート4は、図1に示すように、リアブロック3の後に配置されたものであり、リアブロック3に複数のネジを介して着脱可能に接合されている。このリアブロック3にはカバー8が一体成形されている。このカバー8は筒状をなすものであり、バックプレート4の外周面はカバー8で覆われている。
【0012】
シュラウド5は、図1に示すように、フロントブロック2およびリアブロック3の2つの外側に挿入された筒状をなすものであり、シュラウド5には締結部9および雌ネジ部10が形成されている。雌ネジ部10はシュラウド5の内周面に形成された螺旋状をなすものであり、リアブロック3の雄ネジ部7に螺合されている。締結部9はシュラウド5の内周面から突出するものであり、シュラウド5の雌ネジ部10がリアブロック3の雄ネジ部7に螺合されることに応じてフロントブロック2の締結部6に前から押付けられる。即ち、シュラウド5はフロントブロック2およびリアブロック3間を着脱可能に接合するものであり、フロントブロック2およびリアブロック3間の接合はシュラウド5の雌ネジ部10がリアブロック3の雄ネジ部7から螺脱されることに応じて解除される。
【0013】
フロントブロック2には、図1に示すように、塗料通路11が形成されている。この塗料通路11は前後方向へ指向するものであり、塗料通路11内にはノズル12が挿入されている。このノズル12は非導電性の合成樹脂を材料とするものであり、キャップ13を介してフロントブロック2に着脱可能に装着されている。このノズル12には前後方向へ指向する塗料吐出通路14が形成されている。この塗料吐出通路14はフロントブロック2の塗料通路11に通じるものであり、塗料吐出通路14内には電極15が収納されている。この電極15は導電性の合成樹脂を材料とするものであり、電極15にはコイル状の電極スプリング16が一体成形されている。この電極15には電極ピン17が固定されている。この電極ピン17は導電性の金属を材料とするものであり、塗料吐出通路14の前端面を通って外部へ突出している。
【0014】
フロントブロック2の塗料通路11内には、図1に示すように、電極ベース18が収納されている。この電極ベース18は導電性の金属を材料とするものであり、電極15の電極スプリング16は電極ベース18の前端面に前から弾性力で接触している。この電極ベース18の後端面にはスプリング端子19の前端部が弾性力で接触している。このスプリング端子19は導電性の金属を材料とするコイル状をなすものであり、フロントブロック2内に収納されている。
【0015】
スプリング端子19は、図1に示すように、高電圧発生回路20の端子に接続されている。この高電圧発生回路20はフロントブロック2内およびリアブロック3内の2つに跨って収納されたものであり、昇圧回路および倍電圧整流回路を有している。この高電圧発生回路20は接地電位に対して負となる静電塗装用の高電圧を発生するものであり、電極ピン17には高電圧発生回路20からスプリング端子19と電極ベース18と電極スプリング16と電極15を通して静電塗装用の高電圧が印加される。
【0016】
フロントブロック2には、図1に示すように、塗料通路21が形成されている。この塗料通路21はフロントブロック2の塗料通路11を介してノズル12の塗料吐出通路14に通じるものであり、塗料吐出通路14には塗料通路21から塗料通路11を通して塗料が供給される。この塗料吐出通路14は前端面から塗料を前向きに吐出するものであり、電極ピン17は塗料吐出通路14の前端面から吐出される塗料を帯電させる。
【0017】
ノズル12には、図1に示すように、霧化用エア吐出口22およびパターン用エア吐出口23が形成されている。これら霧化用エア吐出口22およびパターン用エア吐出口23のそれぞれは電極ピン17を外側から取囲むものであり、フロントブロック2のエア通路に接続されている。これら霧化用エア吐出口22およびパターン用エア吐出口23のそれぞれはエア通路を通して加圧空気が供給されるものであり、霧化用エア吐出口22はエア通路からの加圧空気を前に向けて吐出することで塗料吐出通路14から吐出される塗料を霧化し、パターン用エア吐出口23はエア通路からの加圧空気を前に向けて吐出することで霧化された塗料を扁平なパターンに整形する。
【0018】
バックプレート4には、図1に示すように、シリンダ24が形成されている。このシリンダ24は前後方向へ指向する筒状をなすものであり、シリンダ24の内周面には後からキャップ25が嵌合されている。このキャップ25はシリンダ24の後面を気密状態に塞ぐものであり、キャップ25にはピストンロッド26の後端部が前後方向へ直線的に移動可能に挿入されている。
【0019】
ピストンロッド26には、図1に示すように、ピストン27が固定されている。このピストン27はシリンダ24内に収納されたものであり、シリンダ24の内周面に沿ってピストンロッド26と一体的に移動可能にされている。これらピストン27およびキャップ25間にはリターンスプリング28が介在されている。このリターンスプリング28は金属製の圧縮コイルスプリングからなるものであり、リターンスプリング28の自然状態ではシリンダ24内にピストン27の前に位置して隙間状の加圧室29が形成される。この加圧室29はコンプレッサに接続されたものであり、加圧室29内にはコンプレッサから加圧空気が注入される。
【0020】
図2は加圧室29内に空気が注入された状態であり、加圧室29内に空気が注入された状態ではピストン27が空気圧で後へ押されることに応じてピストン27およびピストンロッド26がリターンスプリング28のバネ力に抗して後退し、ピストン27がキャップ25に接触することで限度位置に停止する。このピストン27にはOリング30が固定されている。このOリング30はシリンダ24の内周面に弾性力で接触するものであり、加圧室29内から空気が後へ漏れることを防止する。
【0021】
バックプレート4には、図1に示すように、スリーブ31が固定されている。このスリーブ31は前後方向へ指向する円筒状をなすものであり、スリーブ31内にはピストンロッド26の前端部が挿入されている。このスリーブ31の前端部はガイド孔32内に挿入されている。このガイド孔32は前後方向へ指向するものであり、円筒状の内周面を有している。このガイド孔32はリアブロック3に形成されたものであり、ガイド孔32内には金属製のリアロッド33が挿入されている。このリアロッド33は前後方向へ指向する円柱状をなすものであり、リアロッド33の後端部はスリーブ31内でピストンロッド26の前端部に連結されている。
【0022】
リアロッド33の前端部には、図1に示すように、ガイドプレート34が形成されている。このガイドプレート34はガイド孔32の内周面に接触する円板状をなすものであり、リアロッド33はガイドプレート34がガイド孔32の内周面で案内されることに応じてピストンロッド26と一体的に移動可能にされている。このリアロッド33は加圧室29内に空気が注入されていない非加圧状態で前進位置(図1参照)に静止するものであり、加圧室29内に空気が注入された加圧状態で前進位置に比べて後の後退位置(図2参照)に静止する。
【0023】
フロントブロック2には、図1に示すように、ノズル室35が形成されている。このノズル室35は前後方向へ指向する円柱状の内周面を有するものであり、ノズル室35内には塗料ノズル36が収納されている。この塗料ノズル36は非導電性の合成樹脂を材料に成形されたものであり、前後方向へ指向する円柱状をなしている。
【0024】
塗料ノズル36には、図1に示すように、塗料吐出通路37が形成されている。この塗料吐出通路37は塗料ノズル36を前後方向に貫通する通路状をなすものであり、塗料吐出通路37の前端部は塗料通路21に通じている。この塗料ノズル36にはバルブ38が固定されている。このバルブ38は非導電性の合成樹脂を材料とするものであり、円筒状をなしている。このバルブ38は塗料吐出通路37の後端部に配置されたものであり、塗料吐出通路37の入口として機能する。この塗料吐出通路37は吐出口に相当する。
【0025】
フロントブロック2には、図1に示すように、ノズル室35の後に隣接して塗料室39が形成されており、塗料室39内にはフロントブロック2の塗料通路から加圧された塗料が注入される。この塗料室39は前後方向へ指向する円柱状の内周面を有するものであり、塗料室39の後面はフロントブロック2およびリアブロック3間の取外し状態で開口する。
【0026】
塗料室39内には、図1に示すように、ドライブユニット40が収納されている。このドライブユニット40はフロントブロック2およびリアブロック3間の取外し状態で塗料室39内に後面から挿入されたものであり、フロントブロック2およびリアブロック3間の取外し状態で塗料室39内に対して着脱可能にされている。このドライブユニット40の詳細構成は次の通りである。
【0027】
塗料室39の内周面には、図1に示すように、螺旋状の雌ネジ部41が形成されており、雌ネジ部41にはユニットベース42の雄ネジ部43が後から螺合されている。このユニットベース42は非導電性の合成樹脂を材料に成形されたものであり、前後方向へ指向する円筒状をなしている。このユニットベース42の内周面には金属製のフロントロッド44が挿入されている。このフロントロッド44は前後方向へ指向する円柱状をなすものであり、前後方向へ移動可能にされている。
【0028】
フロントロッド44の後端部には、図1に示すように、円板状のガイドプレート45が形成されており、ガイプレート45はリアブロック3のガイド孔32の内周面に接触している。このフロントロッド44の外周面にはOリング46が弾性力で接触している。このOリング46はユニットベース42に固定されたものであり、塗料室39内の塗料がユニットベース42およびフロントロッド44間を通って後へ漏れることを防止する。
【0029】
フロントロッド44の外周部には、図1に示すように、ベローズ47が挿入されている。このベローズ47は非導電性の合成樹脂を材料とするものであり、前後方向へ指向する蛇腹状をなしている。このベローズ47は前後方向へ弾性的に伸縮可能にされたものであり、ベローズ47の後端部にはベローズベース48が一体成形されている。このベローズベース48はフロントロッド44の外周部に挿入されたものであり、ユニットベース42に固定されている。
【0030】
ベローズ47の前端部には、図1に示すように、ニードルベース49が一体成形されている。このニードルベース49はフロントロッド44の外周部に前後方向へ移動可能に挿入されたものであり、ベローズ47が伸縮することに応じて前後方向へ移動する。このニードルベース49にはニードル50が固定されている。このニードル50はバルブ38内に後から嵌合された閉鎖状態(図1参照)およびバルブ38内から後へ脱出した開放状態(図2参照)間で移動可能にされたものであり、バルブ38はニードル50の閉鎖状態で塗料が通過不能に閉鎖され、ニードル50の開放状態で塗料が通過可能に開放される。このニードル50は弁体に相当する。
【0031】
フロントロッド44の外周部には、図3に示すように、ドライブスプリング51が挿入されている。このドライブスプリング51は非導電性のエラストマーを材料とするものであり、前後方向へ指向する円筒状をなしている。このドライブスプリング51はユニットベース42およびガイドプレート45間に介在されたものであり、ドライブスプリング51のバネ力はバックプレート4のリターンスプリング28のバネ力に比べて小さく設定されている。このドライブスプリング51はバネ部材に相当するものであり、ドライブスプリング51の直径寸法は一定に設定されている。
【0032】
ユニットベース42には、図3に示すように、前スプリングカバー52が一体成形されている。この前スプリングカバー52は前後方向へ指向する円筒状をなすものであり、ドライブスプリング51の前半部は前スプリングカバー52内に接触状態で挿入されている。このドライブスプリング51の後端部は後スプリングカバー53内に接触状態で挿入されている。この後スプリングカバー53はガイドプレート45に一体成形されたものであり、前後方向へ指向する円筒状をなしている。
【0033】
ドライブスプリング51は、図3に示すように、開放部54を有している。この開放部54はドライブスプリング51のうち前スプリングカバー52内および後スプリングカバー53内のいずれにも挿入されていない部分であり、ドライブスプリング51は開放部54で弾性変形可能にされている。この前スプリングカバー52は第1のカバーに相当し、後スプリングカバー53は第2のカバーに相当する。
【0034】
加圧室29の非加圧状態では、図1に示すように、リアロッド33が前進位置に静止している。このリアロッド33の前進位置ではフロントロッド44のガイドプレート45がリアロッド33のガイドプレート34に接触し、ドライブスプリング51が開放部54で外側へ膨らんだ拡径状態となる。このドライブスプリング51の拡径状態ではドライブスプリング51の前後方向の長さ寸法が自然状態に比べて短くなることに応じてドライブスプリング51が弾性復元力を発生し、フロントロッド44のガイドプレート45がリアロッド33のガイドプレート34にドライブスプリング51の弾性復元力で押付けられ、フロントロッド44が前進位置に静止する。
【0035】
フロントロッド44の前進位置では、図1に示すように、ベローズ47が縮小状態にあり、ニードル50がベローズ47の弾性復元力で前へ押されることに応じてノズル38内に後方から嵌合された閉鎖状態に静止する。従って、ノズル38が閉鎖されるので、塗料室39内の塗料がノズル38から塗料ノズル36の塗料吐出通路37内に進入しない。
【0036】
加圧室29の加圧状態では、図2に示すように、リアロッド33が後退位置に移動する。このリアロッド33の後退位置ではフロントロッド44のガイドプレート45がドライブスプリング51の弾性復元力で後へ押されることに応じてフロントロッド44が後へ移動する。このフロントロッド44はドライブスプリング51が拡径状態から自然状態となることに応じて閉鎖位置に比べて後の開放位置で移動停止するものであり、ドライブスプリング51の自然状態での前後方向の長さ寸法はフロントロッド44の開放位置でフロントロッド44のガイドプレート45およびリアロッド33のガイドプレート34間に隙間が形成される値に設定されている。
【0037】
フロントロッド44の後退位置では、図2に示すように、ベローズ47が縮小状態から自然状態に復帰しており、ニードル50がノズル38内から後へ脱出した開放状態に静止する。従って、ノズル38が開放されるので、塗料室39内の塗料がノズル38から塗料ノズル36の塗料吐出通路37とフロントブロック2の塗料通路21とフロントブロック2の塗料通路11を通ってノズル12の塗料吐出通路14内に供給され、塗料吐出通路14の前端面から前へ吐出される。
【0038】
上記実施例1によれば次の効果を奏する。
ニードル50を非導電性のドライブスプリング51の弾性復元力で閉鎖状態から開放状態に移動操作したので、電極15と電極スプリング16と電極ピン17と電極ベース18のそれぞれとドライブスプリング51間で放電が発生することがなくなるので、ドライブスプリング51の近傍のベローズ47が放電で損傷することが防止される。従って、ベローズ47の弾性力が放電で低下することが防止されるので、ニードル50の閉鎖状態でのノズル38の密閉度が低下することが防止される。
【0039】
ドライブスプリング51の前半部を前スプリングカバー52で取囲むことでドライブスプリング47の前半部が弾性変形することを抑制し、ドライブスプリング51の後端部を後スプリングカバー53で取囲むことでドライブスプリング51の後端部が弾性変形することを抑制し、ドライブスプリング51を前半部および後端部間の開放部54で弾性変形させた。従って、ドライブスプリング51が拡径状態および自然状態間で弾性変形する場合のドライブスプリング51の挙動が安定するので、目標値通りのバネ力が継続的に得られる。
【0040】
上記実施例1においては、ニードル50をドライブスプリング51の弾性復元力によって開放状態から閉鎖状態に移動操作しても良い。
上記実施例1においては、ドライブスプリング51をコイル状に成形しても良い。
【0041】
上記実施例1においては、ゴム製または合成樹脂製のドライブスプリング51を用いても良い。
上記実施例1においては、ドライブスプリング51が開放部54で縮径することで弾性復元力を発生するように構成しても良い。
【0042】
上記実施例1においては、ドライブスプリング51の開放部54を蛇腹状に形成しても良い。
上記実施例1においては、リアロッド33を手動式のトリガで前進位置から後退位置に操作しても良い。
【符号の説明】
【0043】
37は塗料吐出通路(吐出口)、50はニードル(弁体)、51はドライブスプリング(バネ部材)、52は前スプリングカバー(第1のカバー)、53は後スプリングカバー(第2のカバー)、54は開放部である。
図1
図2
図3