特許第6356593号(P6356593)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6356593車両用開閉体の制御装置及び制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356593
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】車両用開閉体の制御装置及び制御システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/78 20140101AFI20180702BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20180702BHJP
   E05F 15/611 20150101ALI20180702BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20180702BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20180702BHJP
   E05B 81/70 20140101ALI20180702BHJP
【FI】
   E05B81/78
   E05B49/00 J
   E05F15/611
   B60R25/24
   B60J5/00 N
   E05B81/70
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-255704(P2014-255704)
(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公開番号】特開2016-113860(P2016-113860A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2016年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(72)【発明者】
【氏名】浅野 良
(72)【発明者】
【氏名】錦邉 健
(72)【発明者】
【氏名】人見 佳典
(72)【発明者】
【氏名】勝田 武司
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−256675(JP,A)
【文献】 特開2006−266023(JP,A)
【文献】 特許第4434084(JP,B2)
【文献】 特開2006−233675(JP,A)
【文献】 特許第5423988(JP,B2)
【文献】 特許第5327520(JP,B2)
【文献】 特開2015−148093(JP,A)
【文献】 米国特許第8022808(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
E05F 15/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開閉体に設けられ前記開閉体を閉作動させるための閉スイッチに対して、ユーザによる特殊操作がなされたかどうかを判定する操作判定部と、前記操作判定部により前記特殊操作がなされたと判定された場合に所定時間の計測を開始し、前記所定時間が経過した後に前記開閉体を閉作動させる閉作動制御部とを有する第1のECUと、
前記第1のECUと異なるECUであり、前記第1のECUにおける前記操作判定部により前記特殊操作がなされたと判定され、前記第1のECUから施錠要求の信号を受けた場合、前記車両との間で通信を行う携帯機が前記車両の室内に無く且つ前記車両の室外であって通信可能な範囲にあるかどうか判定する第2のECUと、
前記第1のECU及び前記第2のECUとは異なるECUであり、前記第2のECUにより前記車両の携帯機が前記車両の室内に無く且つ前記車両の室外であって通信可能な範囲にあると判定され、前記第2のECUから施錠許可の信号を受けた場合、前記開閉体が閉状態になったと判定された場合に、前記車両を施錠する施錠制御部を有する第3のECUと、を備え
前記第1のECUは、前記第3のECUから前記閉作動及び施錠出力の信号を受け取り、前記所定時間が経過した後に、前記開閉体の閉作動が可能であると判定すると、前記特殊操作とは異なる操作がなされた場合とは異なる報知を行う、車両用開閉体の制御システム。
【請求項2】
前記開閉体は、前記車両の後部において、前記開閉体の上端部がヒンジを介して前記車両の車体に開閉自在に設けられており、
前記閉スイッチは、前記開閉体の下端部に設けられていることを特徴とする、請求項に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用開閉体を閉作動させるための閉スイッチに対する操作に応じて、車両用開閉体を電動で閉作動させ且つ施錠する制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザが携帯する携帯機を用いて、車両の電動ドアの開閉及び施錠解錠を行う技術が知られている。特許文献1は、ユーザが携帯機の作動スイッチを操作すると電動ドアが全閉し、ユーザが携帯機の施錠スイッチを操作すると所定の条件下で電動ドアの施錠が予約され、電動ドアが閉じると施錠が行われる技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−214341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、車両のドア(車両用開閉体)の施錠を予約するために、ユーザは、携帯機を取出す必要があり、また、携帯機に対する車両用開閉体の閉作動のための操作と施錠のための操作とを別々に行う必要がある。これら車両を施錠するための動作及び操作は、ユーザにとって煩わしいものとなる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題を鑑み、車両用開閉体の閉作動及び車両の施錠においてユーザの利便性を向上させるための車両用開閉体の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、車両の開閉体に設けられ開閉体を閉作動させるための閉スイッチに対して、予め定められた特殊操作がユーザによってなされたかどうかを判定する操作判定部と、操作判定部により特殊操作がなされたと判定された場合に、開閉体を閉作動させ且つ車両を施錠する制御部とを備えた車両用開閉体の制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態に係る車両用開閉体の制御装置は、車両用開閉体に設けられ当該車両用開閉体を閉作動させるための閉スイッチに対する予め定められた特殊操作がユーザによってなされたことに応じて、当該車両用開閉体を閉作動させ且つ車両を施錠する。そのため、ユーザは、車両の施錠に際し、携帯機を取り出す必要がなく、また携帯機に対する施錠のための追加の操作を必要としない。その結果、ユーザの利便性は向上する。また、車両用開閉体を閉作動させるための閉スイッチに対する特殊操作を行うだけで車両の施錠も行うことができるため、施錠用のスイッチを別途設ける必要がなく、製造コストの低減に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る車両用開閉体の制御装置を備えた車両の概略構成図である。
図2】第1実施形態に係る駆動ユニットの概略構成図である。
図3】第1実施形態に係る制御装置等のブロック図である。
図4】開閉体の閉作動及び車両の施錠を表す概念図である。
図5】第1実施形態に係る開閉体の閉作動及び車両の施錠のフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る制御装置等のブロック図である。
図7】第2実施形態に係る各要素間のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用開閉体の制御装置20を備えた車両1の概略構成図である。
【0010】
車両1には複数のドア(開閉体)が設けられ、車両1の後部には、パワーバックドア(以下「開閉体2」という。)、開閉体2の開閉を駆動するための駆動ユニット40、開閉体2の開閉状態を検知するカーテシスイッチ50、及び光発生器としてのテールランプ61が設けられている。本実施形態は、開閉体2としてパワーバックドアを想定しているが、後部座席のスライドドアや、運転席及び助手席側のスイングドアにも同様に適用可能である。
【0011】
開閉体2は、ヒンジ3を介して車両1の車体に開閉自在に取り付けられている。開いた状態(開状態)にある開閉体2の端部には、開閉体2を電動で閉作動させるための閉スイッチ10が設けられている。限定されないが、図2に示すように、閉スイッチ10は、開閉体2が完全に開いている状態(全開状態)にあるときにでも、ユーザが操作し易い位置に配置されているとよい。
【0012】
ユーザが閉スイッチ10を操作すると、閉スイッチ10は、操作を示す信号を制御装置20に送り、それを受けて制御装置20は、駆動ユニット40を制御して、開閉体2を電動で閉作動させる。また、制御装置20は、電動による開閉体2の閉作動中にユーザが閉スイッチ10を操作すると、駆動ユニット40を制御して、開閉体2の閉作動を停止させる。本実施形態では、閉スイッチ10はボタン式のスイッチであり、ユーザが閉スイッチ10を押すと、制御装置20は、閉スイッチ10が操作されたと判定する。
【0013】
車両1には不図示の音発生器60が設けられ、メロディーやブザー等の音を発生し、ユーザに合図を知らせる。光発生器としてのテールランプ61は、ハザード点灯し、ユーザに合図を知らせる。当該合図の内容については、後述するように、閉スイッチ10に対して通常操作が行われた場合と特殊操作が行われた場合とで音の種類や点灯パターンを変えることにより、ユーザに開閉体2の閉作動に加えて、車両1の施錠(ロック)も行われることを伝えるようにする。
【0014】
図2は、開閉体2の駆動ユニット40の概略構成図である。駆動ユニット40には、モータ41、減速機構42、操作アーム43、操作ロッド44及びガスダンパ45が含まれる。
【0015】
制御装置20は、リレー(不図示)を制御することにより、モータ41に流れる電流の通電、遮断及び方向を制御して、モータ41の回転を制御する。モータ41の回転は、減速機構42で減速された後、操作アーム43を動かし、一端が操作アーム43に他端が開閉体2に回転自在に連結された操作ロッド44を介して、開閉体2を開閉作動させる。ガスダンパ45は、一端が車両1の車体に他端が開閉体2に取り付けられ、ガス反力により開閉体2を開方向に付勢する。
【0016】
図3は、制御装置20等のブロック図である。図3に示すように、制御装置20は、バスを通じて接続されたCPU21、メモリ22及び入出力回路(I/O)23を備えたECU(Electronic Control Unit)であり、入出力回路23を通じて、閉スイッチ10、駆動ユニット40、カーテシスイッチ50、音発生器60及び光発生器61に接続されている。メモリ22は、各種制御プロブラムを記憶するROM及び各種データを一時記憶するRAMの機能を有する。また、制御装置20には、車両1のバッテリから電源回路(不図示)を介して電源電圧が供給されている。
【0017】
また、制御装置20は、メモリ22に記憶された所定のプログラムにのっとりCPU21により実現される機能部として、開閉状態判定部24、操作判定部25、閉作動制御部26及び施錠制御部27を有する。
【0018】
開閉状態判定部24は、カーテシスイッチ50からの情報を基に、開閉体2が開状態又は閉状態にあるかどうかを判定する。なお、開状態には、全開状態に限らず、中途半端に開いた状態も含まれる。操作判定部25は、閉スイッチ10からの信号を基に、閉スイッチ10に対して通常操作又は予め定められた特殊操作がユーザによってなされたかを判定する。
【0019】
ここで、「通常操作」は、ユーザが開閉体2を閉じようとして、閉スイッチ10を1回押す操作をいう。また、「特殊操作」は、ユーザが開閉体2を閉めて且つ車両1を施錠しようとして、閉スイッチ10を押す1回目の操作をした後所定の時間内に、閉スイッチ10を押す2回目の操作を行うことをいう。例えば、特殊操作は、ユーザが閉スイッチ10を連続して2回押す操作である。当該所定の時間は、予めメモリ22に記憶させておいた値をCPU21が読み出すようにしてもよいし、ユーザの利便性を考慮して後から変更できる仕様にしてもよい。当該所定の時間は、限定されないが1秒以下の時間で、例えば0.8秒である。
【0020】
閉作動制御部26は、閉スイッチ10に対する操作に応じて駆動ユニット40を制御し、開閉体2を閉作動させる。施錠制御部27は、閉スイッチ10に対して特殊操作がなされたとの操作判定部25による判定結果を基に、車両1を施錠する。なお、車両1の施錠には、車両1の全開閉体を施錠することに限らず、一部の開閉体(例えば開閉体2)だけを施錠する場合も含まれる。また、閉作動制御部26と施錠制御部27とを合わせて単に「制御部28」と称すると、制御部28は、閉作動制御部26及び施錠制御部27の両方の機能を実現する機能部である。
【0021】
図4は、閉スイッチ10に対するユーザによる特殊操作に応じて開閉体2が自動的に閉作動し且つ車両1が施錠される様子を表す概念図である。図4に示すように、ユーザUは、開閉体2を閉じ且つ車両1を施錠するために、閉スイッチ10を1回目操作し、その後所定の時間内に2回目の操作をする。そうすると、開閉体2は自動的に閉作動し、車両1は施錠される。ユーザUは、音発生器60及び光発生器61からのメロディー音及びハザード点灯から、車両1の施錠が完了したことを知ることができる。
【0022】
図5は、制御装置20による開閉体2の閉作動及び車両1の施錠処理についてのフローチャートである。
【0023】
S501で、操作判定部25は、閉スイッチ10の操作を示す信号を受けたかどうか、言い換えると閉スイッチ10に対する1回目の操作が行われたかどうかを判定し、1回目の操作が行われたと判定した場合にS502へ処理を移す。S502で、制御装置20は、音発生器60を制御し、それに応じて音発生器60は、ブザー音を発生し、ユーザに閉スイッチ10に対する操作を受け付けたことを知らせる。
【0024】
S503で、操作判定部25は、閉スイッチ10から閉スイッチ10が操作されたことを示す信号をさらに受けたかどうか、言い換えると閉スイッチ10に対する2回目の操作が行われたかどうかを判定し、2回目の操作が行われたと判定した場合にS504へ処理を移し、そうでない場合はS511へ処理を移す。なお、S502で発生させたブザー音を停止するようにしてもよい。
【0025】
S504で、操作判定部25は、S501における1回目の操作が行われたと判定した後所定の時間内に、S503における2回目の操作が行われたかどうか判定し、2回目の操作が当該所定の時間内に行われたと判定した場合にS505へ処理を移し、そうでない場合はS513へ処理を移す。S505で、操作判定部25は、閉スイッチ10に対してユーザによる特殊操作がなされたと判定する。
【0026】
S506で、開閉状態判定部24は、カーテシスイッチ50又は他のECU(不図示)からの情報を基に、開閉体2が開状態にあるかどうかを判定し、開状態にある場合にS507へ処理を移し、そうでない場合はS513へ処理を移す。なお、制御装置20は、開閉体2が開状態にあることを知ることができればよいので、自らそれを判定する開閉状態判定部24を備えた構成の他に、開閉状態判定部24を備えず他のECU(ボデーECU等)からの情報を用いる構成にしてもよい。
【0027】
S507で、閉作動制御部26は、駆動ユニット40を制御し、開閉体2を閉作動させる。このときに、制御装置20は、音発生器60を制御し、開閉体2の閉作動及び車両1の施錠予約が受け付けられたことを示すメロディー音を発生し、ユーザにその旨を知らせる。これにより、ユーザは、開閉体2が閉じ車両1が施錠される前に、車両1から離れることができ、ユーザの利便性が向上する。
【0028】
S508で、開閉状態判定部24は、カーテシスイッチ50からのOFF信号、言い換えると開閉体2が閉状態になったことを示す信号を受け取ったかどうかを判定し、受け取った場合にS509に処理を移し、そうでない場合はS507の処理(開閉体2の閉作動)を継続する。
【0029】
S509で、開閉体2が閉状態になったとの開閉状態判定部24による判定に応じて、閉作動制御部26は、開閉体2の閉作動を停止し、施錠制御部27は、車両1を施錠する。なお、車両1の全開閉体が閉状態にあると開閉状態判定部24が判定する場合には、施錠制御部27は、全開閉体を施錠する。
【0030】
ここで、車両1の施錠について、制御装置20のメモリ22(又は他のECU等)内に車両1の各開閉体が施錠された状態であることを示す情報を有しておき、それがリセットされるまで制御装置20は、施錠解除されるまで各開閉体を開閉作動できないようにしてもよい。また、車両1の車体と係合する電動のロック機構(不図示)を各開閉体に設け、制御装置20が当該ロック機構を作動させ、車両1の車体と係合させることで、各開閉体を施錠するようにしてもよい。
【0031】
S510で、制御装置20は、光発生器61を制御し、ハザードを点灯させ、ユーザに開閉体2の施錠が完了したことを知らせる。なお、このときに、音発生器60から当該完了を知らせる音を発生させるようにしてもよい。
【0032】
S511で、操作判定部25は、閉スイッチ10に対する2回目の操作が無いため、閉スイッチ10に対して通常操作がなされたと判定する。なお、このときに、制御装置20は、音発生器60を制御し、音発生器60から通常操作を示すブザー音を発生し、ユーザに通常の閉作動が行われる旨を伝えるようにしてもよい。
【0033】
S512で、閉作動制御部26は、駆動ユニット40を制御し、開閉体2を開作動させる。S513で、制御装置20は、音発生器60を制御しブザー音を発生させ、ユーザに特殊操作が不適であり開閉体2の閉作動及び車両1の施錠が行われない旨知らせ、フローは終了する。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る車両用開閉体の制御装置としての制御装置20は、開閉体2が開状態にあるときに、開閉体2を閉作動させるための閉スイッチ10に対してユーザによる特殊操作がなされた場合に、開閉体2を閉作動させ且つ車両1を施錠する。そのため、開閉体2を閉作動させるための閉スイッチ以外に、車両1の施錠のための追加のスイッチ等を設ける必要はなく、部品点数を減らすことができる。また、既存の閉スイッチを用いるため、制御装置側のソフトウェアの修正により本実施形態の機能を実現することができるため、車両のアップグレードに係るコストを減らすことができる。また、ユーザは、車両1の施錠を行うのに際し、開閉体2を開閉作動させるための閉スイッチ10だけを操作すればよいため、携帯機を取り出す等の別の動作を行う必要がなく、ユーザの利便性は向上する。また、制御装置20は、特殊操作を受け付けた時に、通常操作の受け付け時とは異なる音(ブザーとメロディーで分ける等)を発生させることで、ユーザは、開閉体2が閉作動され、車両1が施錠されることを知ることができ、開閉体2が閉じる前及び車両1の施錠前に車両1から離れることができるようになるり、ユーザの利便性が向上する。
【0035】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係る車両用開閉体の制御システム600のブロック図である。制御システム600は、開閉体ECU(Electronic Control Unit)200、ボデーECU30及び照合ECU31を有し、各ECUはバスを介して互いに接続されている。本実施形態でも、開閉体2として車両1のバックドアを想定しているが、これに限定されるものではない。
【0036】
開閉体ECU200は、開閉体2のためのECUであり、CPU21、メモリ22、入出力回路23、操作判定部25、閉作動制御部26及び作動条件判定部201を備える。ボデーECUは、車両1の全開閉体の開閉状態及び施錠の制御を行う上位のECUであり、各開閉体の開閉状態を判定する開閉状態判定部24と、各開閉体の施錠又は解錠を制御する施錠制御部27とを備える。なお、構成要素21〜27については第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0037】
開閉体ECU200は、メモリ22に記憶された所定のプログラムにのっとりCPU21により実現される機能部として、作動条件判定部201を備える。作動条件判定部201は、ボデーECU30からの情報を基に開閉体2が開状態にある場合や、駆動ユニット40のモータ41やリレー(不図示)等に異常が無い場合等に、開閉体2の閉作動が可能であると判定する。
【0038】
照合ECU31は、車両1の携帯機70と通信し、携帯機70が車両1の室内にあるか、室外であって照合ECU31と通信できる範囲にあるか、及び照合ECU31と通信できない位置にあるかを判定する。そのため、照合ECU31は、携帯機70が車両1の室内に無く且つ室外であって照合ECU31と通信できる範囲にあると判定した場合に、照合が成功した旨を示す「照合認証」信号をボデーECU30に送り、ボデーECU30はそれを開閉体ECU20に送る。また、照合ECU31は、開閉体ECU20から「施錠要求」コマンドを受けとると、携帯機70の照合(即ち、携帯機70が車室内に無く且つ室外であって通信できる位置にあるとの判定)を行い、ボデーECU30に対して「施錠許可」コマンドを送る。
【0039】
図7は、制御システム600に係る各要素間のタイミングチャートである。
【0040】
ステップS1で、ユーザにより閉スイッチ10が操作され、閉スイッチ10は、操作を示す信号を開閉体ECU200に送る。ステップS2で、開閉体ECU200の操作判定部25は、閉スイッチ10からの信号を基に閉スイッチ10に対する1回目の操作がなされたと判定する。このとき、開閉体ECU200は、1回目の閉スイッチ10の操作の時から所定の時間T1の計測を開始する。なお、所定の時間T1は、限定されないが1秒以下の時間であり、例えば0.8秒である。ステップS3で、開閉体ECU200は、音発生器60を制御し、ブザー音を発生させユーザに操作を受け付けた旨を知らせる。
【0041】
ステップS4で、ユーザにより閉スイッチ10が再度操作され、閉スイッチ10は、操作を示す信号を開閉体ECU200に送る。ステップS5で、開閉体ECU200の操作判定部25は、閉スイッチ10からの信号のOFFエッジの検出後に、閉スイッチ10に対する2回目の操作がなされたと判定する。そして、閉スイッチ10に対する2回目の操作が所定の時間T1内に行われているため、操作判定部25は、閉スイッチ10に対してユーザにより特殊操作がなされたと判定し、開閉体ECU200は、「施錠要求」コマンドをボデーECU30に送る。なお、ユーザにより所定の時間T1内に閉スイッチ10が押されて操作されたが、所定の時間T1以内にその信号のOFFエッジが検出できない場合には、開閉体ECU200は、開閉体2の閉作動をキャンセルし、音発生器60を通じてユーザにその旨伝えるようにしてもよい。
【0042】
ここで、開閉体ECU200は、ステップS5における閉スイッチ10からの信号のOFFエッジの検出後に、所定の時間T2及びT3の計測を開始する。所定の時間T2は、限定されないが1秒以下の時間であり、例えば0.8秒である。所定の時間T2は、その経過後に、開閉体ECU200の作動条件判定部201が、開閉体2の閉作動が可能かどうか判定を開始するまでの待ち時間である。また、所定の時間T3は、限定されないがT1及びT2よりも大きく、例えば5秒程度の時間である。開閉体ECU200は、所定の時間T3以内に、後述するボデーECU30から「照合認証」信号と、後述する「閉作動及び施錠出力」コマンドを受けとり、所定の時間T2後に自ら行う作動条件判定で開閉体2の閉作動が可能と判定した場合に、開閉体2の閉作動を実行する。
【0043】
ステップS6で、ボデーECU30は、「施錠要求」コマンドを照合ECU31に送る。ステップS7で、「施錠要求」コマンドを受けた照合ECU31は、携帯機70と通信し、携帯機70が車両1の車室内に無く且つ車室外であって照合ECU31と通信できる範囲にあるかとうかを判定する。ステップS8で、照合ECU31は、「照合認証」信号をボデーECU30に送り、ステップS9で、ボデーECU30は、それを開閉体ECU20に送る。
【0044】
ステップS10で、照合ECU31は、「施錠許可」コマンドをボデーECU30に送る。ステップS11で、「施錠許可」コマンドを受けたボデーECU30の開閉状態判定部24は、車両1の開閉体2を除く開閉体が閉状態にあることを確認し、開閉体2の閉作動及び施錠が行われるようにするために、「閉作動及び施錠出力」コマンドを開閉体ECU200に送信する。ステップS12で、開閉体ECU20は、音発生器60を制御し、開閉体2が閉作動され、その後車両1が施錠されることを示すメロディー音を発生させ、ユーザに知らせる。
【0045】
ステップS13で、開閉体ECU200の作動条件判定部201は、所定の時間T2が経過すると、開閉体2の閉作動が可能であるかを判定する。つまり、作動条件判定部201は、ボデーECU30からの情報を基に開閉体2が開状態にあるか、駆動ユニット40のモータ41やリレー(不図示)等に異常が無いか等を判定する。ステップS14で、作動条件判定部27が開閉体2の作動が可能であると判定すると、開閉体ECU20は、光発生器61を制御し、ハザード点灯させ、ユーザにこれから開閉体2の閉作動及び施錠が行われる旨を知らせる。
【0046】
ステップS15で、開閉体ECU200の閉作動制御部26は、所定の時間T3が経過する前に、「照合認証」信号と、「閉作動及び施錠出力」コマンドを受け取り、ステップS14における作動可能との判定を行っているため、開閉体2の閉作動を開始する。
【0047】
ステップS16で、開閉体2が閉状態となっため、カーテシスイッチ50はOFF信号を開閉体ECU200に送る。ステップS17で、カーテシスイッチ50からOFF信号を受け取った開閉体ECU200は、開閉体2の閉作動を停止し、当該OFF信号をボデーECU30に送る。ステップS18で、ボデーECU30の開閉状態判定部24は、開閉体2及び/又は全開閉体が閉状態にあると判定し、施錠制御部27は、車両1の全開閉体の施錠を行う。なお、この後に、音発生器60によるブザー音や光発生器61によるハザード点灯等を用いて、車両1の施錠が完了した旨をユーザに知らせるようにしてもよい(アンサーバック)。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る車両用開閉体の制御システム600は、開閉体2が開状態にあるときに閉スイッチ10に対してユーザによる特殊操作がなされた場合に、開閉体2を閉作動させ且つ全開閉体を施錠する。また、ユーザは、開閉体2の閉スイッチ10に対する特殊操作を行うことにより、開閉体2の閉作動とともに全開閉体の施錠を予約でき、ユーザが施錠前に車両1から離れることができるようになる等ユーザの利便性は向上する。
【0049】
(その他の実施形態)
その他の実施形態として、開閉体2に設けられた閉スイッチ10が第1の方向に操作されることにより開閉体2が閉作動されるものである場合、ユーザが閉スイッチ10を当該第1の方向とは異なる第2の方向に操作すると、制御装置20又は開閉体ECU200が、閉スイッチ10に対して特殊操作がされたと判定するよう構成してもよい。また、ユーザによる特殊操作は、開閉体2に設けられた閉スイッチ10に限らず、携帯機70に設けられた開閉体の開閉作動のためのスイッチに対するものであってもよく、この場合には、携帯機70には施錠のためのスイッチを別途設けておく必要はない。
【符号の説明】
【0050】
1:車両、2:開閉体、10:閉スイッチ、20:制御装置、25:操作判定部、26:閉作動制御部、27:施錠制御部、28:制御部、30:ボデーECU(第3のECU)、31:照合ECU(第2のECU)、200:開閉体ECU(第1のECU)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7