特許第6356600号(P6356600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6356600航空機タイヤの行う着陸の回数をカウントする方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356600
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】航空機タイヤの行う着陸の回数をカウントする方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B64C 25/36 20060101AFI20180702BHJP
   B64D 45/00 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   B64C25/36
   B64D45/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-504378(P2014-504378)
(86)(22)【出願日】2012年4月12日
(65)【公表番号】特表2014-512304(P2014-512304A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】FR2012050798
(87)【国際公開番号】WO2012140370
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2015年1月16日
【審判番号】不服2017-7302(P2017-7302/J1)
【審判請求日】2017年5月22日
(31)【優先権主張番号】1101154
(32)【優先日】2011年4月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ファゴット−レヴュラート リオネル
【合議体】
【審判長】 氏原 康宏
【審判官】 出口 昌哉
【審判官】 一ノ瀬 覚
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第2937728(FR,A1)
【文献】 特開2008−27178(JP,A)
【文献】 特開平3−14795(JP,A)
【文献】 特開2008−49999(JP,A)
【文献】 特表2005−505843(JP,A)
【文献】 特開2008−22265(JP,A)
【文献】 米国特許第5965808(US,A)
【文献】 特開2005−141553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 25/36
B64D 45/00
B60C 23/04
B60C 23/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機タイヤ(10)の着陸及び離陸回数(N)をカウントする方法において、前記方法は、
-前記タイヤ(10)の内部に入っている空気の物理量(T)を不連続モードで一定の時間間隔(Δt)で測定するステップと、
-前記物理量(T)に関連した少なくとも1つの指標(I)を求めるステップと、
-前記指標(I)を前記タイヤ(10)と関連した所定のしきい値(S)と比較するステップと、
-前記指標(I)が前記タイヤ(10)と関連した所定のしきい値(S)よりも大きくなり、前記所定のしきい値(S)以下まで下がった場合、着陸及び離陸回数(N)を増分するステップとを含む、方法。
【請求項2】
タイヤ(10)運動の開始が検出されると、前記物理量(T)の測定シーケンス(S1〜S3)をトリガする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記指標(I)は、所定の時間間隔(Δt)にわたる前記物理量(T)の時間変化率である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記物理量(T)は、温度と圧力の中から選択される、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項5】
航空機タイヤ(10)の着陸及び離陸回数(N)をカウントする装置(22)において、前記装置は、
-前記タイヤ(10)の内部に入っている空気の物理量(T)を不連続に一定の時間間隔(Δt)で測定する手段(34)と、
-前記物理量(T)に関連した指標(I)を求める手段(52)と、
-前記指標(I)を前記タイヤ(10)と関連した所定のしきい値(S)と比較する手段(56)と、
-前記指標(I)が前記タイヤ(10)と関連した所定のしきい値(S)よりも大きくなり、前記所定のしきい値(S)以下まで下がった場合、前記着陸及び離陸回数(N)を増分する手段(58)とを有する、装置(22)。
【請求項6】
前記タイヤの運動の開始を検出する手段(32)及び前記検出手段(32)によって作動可能な前記測定手段(34)を作動させる手段(51)を更に有する、請求項5記載の装置(22)。
【請求項7】
タイヤ(10)であって、前記タイヤは、請求項5又は6記載の装置(22)を有する、タイヤ。
【請求項8】
航空機用ホイールであって、前記ホイールは、請求項5又は6記載の装置(22)を有する、航空機用ホイール。
【請求項9】
航空機であって、前記航空機は、請求項7記載のタイヤ(10)又は請求項8記載のホイールを有する、航空機。
【請求項10】
ホイール弁であって、前記弁は、請求項5又は6記載の装置(22)を有する、ホイール弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の着陸装置用タイヤの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機のタイヤの摩耗度は、タイヤの行う着陸及び離陸回数で決まる。着陸回数は、離陸回数に等しい。
【0003】
一方、製造業者は、タイヤの摩耗をモニタしてタイヤの摩耗の関数としてタイヤの性能の変化を把握するためにこの着陸又は離陸回数を知ることが望ましい。他方、航空機に関与する(保守業務、点検業務等)種々の作用主体(アクター)は、摩耗したタイヤの交換又は更生(リトレッド)を予測することができるということが望ましい。
【0004】
仏国特許第2,939,897号明細書から、航空機タイヤの着陸回数をカウントする方法及び装置が知られている。この装置は、タイヤの内面に取り付けられる。この装置は、センサ及び装置に電力供給する手段、例えばバッテリを有する。センサは、地球の磁界又は例えば磁石により生じる局所磁界内でのタイヤの回転によって生じる磁束の時間変化に敏感なコイルを有する。すると、コイルは、周波数がタイヤの回転回数に等しい周期的信号を発生させる。この方法の実施中、タイヤの回転回数を測定する。回転回数が所定のしきい値を超えると、換言すると、着陸又は離陸段階中、着陸回数を増分する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】仏国特許第2,939,897号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ホイールの回転回数を測定するためにセンサはコイルにより生じる信号を連続的に測定するが、これはエネルギーを極めて要する。かくして、装置は、その高いエネルギー消費量に鑑みて、容量550mA.h、重量8gのバッテリを用いると、この装置の寿命は、2年に制限される。したがって、更生の度ごとに電力供給手段を交換することが必要である。更生の度に交換することを回避するため、電力供給手段の容量を増大させる場合があり、これにより、必然的に重量が増大する。しかしながら、重量の増大の結果として、高速でのタイヤの回転中における質量不均衡状態が高すぎるようになる。
【0007】
本発明の目的は、エネルギーをそれほど必要としないカウント装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明の一要旨は、航空機タイヤの着陸回数をカウントする方法において、この方法は、次のステップ、即ち、
‐タイヤの内部に入っている空気の物理量を不連続モードで測定するステップ、
‐物理量に関連した少なくとも1つの指標を求めるステップ、
‐指標をタイヤと関連した所定のしきい値と比較するステップ、及び
‐指標が所定のしきい値よりも大きい場合、着陸回数を増分するステップを含むことを特徴とする方法にある。
【0009】
本発明の方法を実施するカウント装置の電力消費量は、比較的低い。確かに、回転回数を求めるために物理量の各測定を1回だけ実施すれば良く、先行技術の方法では必要であるような連続モードで実施するようなことはない。かくして、本発明の方法により、電力が各測定相互間ではなく、測定時点でのみ消費される。
【0010】
有利には、タイヤ運動の開始が検出されると、物理量の測定シーケンスをトリガする。かくして、物理量の測定は、タイヤが運動している時間間隔にのみ制限される。したがって、エネルギー消費量が減少する。測定シーケンスは、タイヤの運動開始後に、タイヤの運動がもはや検出されない時点で止められる。
【0011】
好ましくは、指標は、所定の時間間隔にわたる物理量の時間変化率である。かくして、必ずしも物理量の絶対値を測定することなく適切な指標が用いられる。というのは、この方法を実施する装置をリセットすると、較正に必要な場合のあるステップの実施が回避されるからである。最後に、物理量が天候条件に敏感であるかそうでないかは、重要ではない。
【0012】
この方法のオプションとしての特徴によれば、物理量を一定の時間間隔で測定する。十分に短い時間間隔を選択することによって、しきい値を超えたかどうかが比較的迅速に検出される。十分に長い時間間隔を選択することにより、行われる測定回数が減少するのでエネルギー消費量が減少する。
【0013】
好ましくは、物理量は、温度と圧力の中から選択される。かかる物理量は、タイヤの磁気環境とは実質的に無関係である。したがって、この方法により、物理量の確実な測定を、磁界の測定が標識の計算に用いられる方法とは対照的に、磁気環境とは無関係に行うことができる。
【0014】
本発明のもう一つの要旨は、航空機タイヤの着陸回数をカウントする装置において、この装置は、
‐タイヤの内部に入っている空気の物理量を不連続に測定する手段と、
‐物理量に関連した指標を求める手段と、
‐指標をタイヤと関連した所定のしきい値と比較する手段と、
‐着陸回数を増分する手段とを有することを特徴とする装置にある。
【0015】
本発明の装置のエネルギー消費量は、比較的少ない。電力供給手段の交換をできるだけ回避することが望ましい場合、容量550mA.h、重量8gのバッテリにより、12年に達する場合のある装置の寿命を得ることができる。かくして、同じ電力供給手段をタイヤの構造体の受ける種々の回数の更生、一般に5回の更生の間、構造体の寿命全体にわたってそのまま使うことができる。装置の重量を減少させると同時に寿命を2年に制限したままにすることが望ましい場合、この装置は、バッテリの容量を110mA.hに減少させることができ、それ故に装置の全質量を約20%だけ減少させることができる。
【0016】
好ましくは、カウント装置は、タイヤの運動の開始を検出する手段及び検出手段によって作動可能な測定手段を作動させる手段を更に有する。本発明の他の要旨は、弁、タイヤ、航空機用ホイール及び航空機であり、これら要旨の各々は、これが上述した装置を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の内容は、非限定的な実施例として与えられているに過ぎず、そして添付の図面を参照して提供される以下の説明を読むと一層よく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のタイヤの軸方向断面図である。
図2図1のタイヤのための本発明の装置の基本的機能図である。
図3】離陸及び着陸を含むサイクル中におけるタイヤの回転回数の時間の関数としての変化を表す曲線及びこの同じサイクル中におけるタイヤの内部に入っている空気の温度の時間の関数としての変化を表す曲線を示す図である。
図4図2の装置による温度測定のためのトリガ信号の時間の関数としての変化を示す図である。
図5図2の装置による温度測定のシーケンスを示す図である。
図6図5で測定された温度の変化に関する指標の時間の関数としての変化を表す曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、全体を符号10で示された本発明のタイヤを示している。タイヤ10は、航空機用ホイールに取り付けられるよう設計されている。図1は、タイヤの通常の半径方向(Z)軸方向(Y)及び円周方向(X)に対応した相互に直交した軸線X,Y,Zを示している。
【0020】
従来通り、タイヤ10は、クラウンSを有し、このクラウンSの延長部として2つの側部(サイドウォール)F及び2つの内側ビードBが設けられている。2つのスチールワイヤコア12が内側ビードB内に埋め込まれている。2つのスチールワイヤコア12は、タイヤの中央半径方向平面Mに関して対称に配置されている。各スチールワイヤコア12は、基準軸線を中心とした回転体である。この基準軸線は、方向Yに実質的に平行であり、この基準軸線は、タイヤの回転軸線と実質的に一致している。クラウンSは、彫刻又はパターン付けされた特徴部16を備えるトレッド14を有する。タイヤ10は、クラウンSを通って進むタイヤ10の2つの環状スチールワイヤコア12相互間に延びる漏れ止めゴムの内側層18を更に有する。内側層18は、タイヤの内部に入っている空気と接触状態にある外面20を有する。タイヤ10は、タイヤ10の着陸回数Nをカウントする装置22を有する。この装置22は、例えば接着によって外面20に取り付けられている。
【0021】
一変形実施形態によれば、装置22は、ホイール弁に取り付けられても良い。
【0022】
図2は、装置22の基本的機能図である。装置22は、電力を装置10に供給する手段26及びデータを格納する手段28と一緒にマイクロコントローラ24を有している。装置22は、手段28内に格納されたデータを外部に伝える手段30を有する。装置22は、タイヤ10の回転の開始を検出する手段32及びタイヤ10の内部に入っている空気の物理量の不連続測定を行う手段34を更に有する。
【0023】
電力供給手段26は、容量が550mA.h、重量8gのバッテリ36を含む。データ格納手段28は、E2PROM型のメモリ38を含む。通信手段30は、125kHzで動作する送信機/受信機40と、リーダからの読み取り信号に応答してメモリ38内に格納されているデータを外部に伝送することができるアンテナ42とを含む。
【0024】
検出手段32は、タイヤ10の回転のセンサ44を含み、かかる検出手段により、タイヤ10の回転の開始を検出することができる。かかるセンサ44は、特に、WO2004/110793という番号で公開された国際公開パンフレットに記載されている。
【0025】
測定手段34は、タイヤの内部に入っている空気の温度Tの測定を可能にする。手段34は、例えば、熱電対46、白金プローブを含み、又は、変形例として、一体形温度センサを含む。
【0026】
マイクロコントローラ24は、検出手段32からの信号Dにより作動可能な測定手段34を作動させる手段51と一緒にクロック50を含む回数カウント手段48を有する。マイクロコントローラ24は、物理量、この場合、タイヤ10の内部に入っている空気の温度Tに関連した指標Iを求める手段52を更に含み、この場合、これら手段は、コンピュータ54である。さらに、マイクロコントローラ24は、指標Iをタイヤ10と関連した所定のしきい値Sと比較する手段56を有する。最後に、マイクロコントローラ24は、データ格納手段28に接続された着陸回数Nを増分する手段58を有する。
【0027】
手段34は、タイヤ10の内部に入っている空気の温度Tの各瞬時測定を一定時間間隔で行うようにするために熱電対46をクロック50と同期させる手段60を含む。
【0028】
次に、図3図6を参照して本発明の方法の主要なステップについて説明する。
【0029】
図3は、離陸及び着陸を含むサイクル中におけるタイヤの回転回数の時間の関数としての変化を表す曲線(連続した曲線)及びこの同じサイクル中におけるタイヤの内部に入っている空気の温度の時間の関数としての変化を表す曲線(破線の曲線)を示す図である。
【0030】
時刻t0とt1との間の時間間隔は、駐機段階に対応している。航空機は、駐機場所に存在して動かない。したがって、回数又は周期数fは、ゼロであり、温度Tは、一定であり且つ周囲空気の温度に等しい。
【0031】
時刻t1とt4との間の時間間隔は、転動段階に対応している。航空機は、時刻t1とt2との間で、その駐機場所を出て加速し、ついには、この航空機は回転回数f2に一致した一定速度に達する。滑走路上におけるタイヤの転動が滑走路を昇温させるので、温度Tは、次第に高くなる。航空機は、時刻t2とt3との間で、誘導路上を一定速度で動き、着陸ストリップに達する。温度Tは、引き続き漸次上昇する。航空機は、時刻t3とt4との間で、次第に減速し、その目的は、航空機自体を離陸のための滑走路の端に定位させることにある。時刻t4では、航空機は、動かず、いつでも離陸可能な状態にある。温度Tは、航空機の停止後、減少する。
【0032】
航空機は、時刻t4とt5との間で滑走路の端のところで動かないままであり、時刻t5で起こる離陸命令を待つ。温度Tは、時刻t5まで引き続き減少する。
【0033】
時刻t5とt6との間の時間間隔は、離陸段階に対応している。航空機は、回転回数f6に対応したその離陸速度に達するために急加速する。温度Tも又、迅速に増大する。
【0034】
時刻t6とt8との間の時間間隔は、飛行段階に対応している。時刻t6とt7との間において、タイヤの回転は、迅速に減速して時刻t7で停止状態に達する。タイヤの内部に入っている空気の熱慣性(余熱)により、温度は、t6とt7との間の時間間隔の部分にわたって増大し続ける。時刻t7とt8との間で、着陸装置は引っ込められており、ゼロの回数fに対応したタイヤは、不動状態にある。温度Tは、タイヤが動かないがタイヤの周りの空気の温度が非常に低いので、減少する。
【0035】
時刻t8とt9との間の時間間隔は、着陸段階に対応している。航空機は、時刻t8で着陸する。タイヤは、急加速して回転回数f9に対応したt9のところで航空機の着陸速度に達する。温度Tも又急上昇する。
【0036】
時刻t9とt10との間の時間間隔は、転動段階に対応している。航空機は、次第に減速し、ついには、これがその駐機場所に達し、ここで停止する。この場合、回数fは、時刻t10においてゼロである。タイヤの内部に入っている空気の熱慣性により、温度は、時刻t9とt10との間の時間間隔の一部にわたって増大し続け、その後タイヤの回転数の減少に続いて減少する。
【0037】
図4は、手段32によって放出されたタイヤ10の運動の開始を検出するための信号Dを示している。タイヤ10が不動状態にあり、この不動状態においてタイヤの回転数がゼロである場合、信号Dは、値0を取る。タイヤ10が動いているとき、その回転数は、ゼロではなく、信号Dは、値1を取る。かくして、信号Dは、t0〜t1、t4〜t5、t7〜t8及びt10〜t1の時間間隔の間、値0を取り、t1〜t4、t5〜t7及びt8〜t10の時間間隔にわたり値1を取る。
【0038】
図5は、本発明のタイヤ10の内部に入っている空気の温度Tの時間測定シーケンスS1,S2,S3を示している。各測定シーケンスS1,S2,S3は、タイヤ10の運動の開始が検出されると、換言すると、運動の開始を検出する信号が値1を取ると、トリガされる。シーケンスS1は、時刻t1で始まり、時刻t4で中断される。シーケンスS2は、時刻t5で始まり、時刻t7で中断される。シーケンスS3は、時刻t8で始まり、時刻t10で中断される。各シーケンスS1,S2,S3において、タイヤの内部に入っている空気の温度Tは、不連続モードで測定される。この場合、温度Tは、一定の時間間隔、この場合、10秒毎に測定される。
【0039】
図6は、時間の関数として温度Tに関連した指標Iの変化の曲線を示している。指標Iは、所定の時間間隔Δtにわたる温度Tの時間変化率である。この場合、温度Tの2つの連続した測定を隔てる時間間隔であり、即ち、10秒である。かくして、以下の計算が10秒毎に実施され、即ち、I(t+Δt)=(T(t+Δt)−T(t))/Δtである。
【0040】
各シーケンスS1,S2,S3の実施中、温度に関連した指標Iは、各所定の時間間隔Δtにわたって求められる。計算された指標Iの各々をタイヤと関連した所定のしきい値Sと比較する。
【0041】
指標Iが所定のしきい値Sよりも大きい場合、着陸回数Nを1だけ増分する。指標Iが所定のしきい値Sよりも小さい場合、着陸回数Nは、変わらない。指標Iが所定のしきい値Sを下回らない限り、着陸回数Nを増分することはできない。かくして、図6に示されているように、着陸及び離陸を含むサイクル中、指標Iは、時刻t5の直後の航空機の離陸に対応した測定のシーケンスS2の実施中、最初に所定のしきい値Sを超え、そして、時刻t5の直後のこの同じシーケンスS2の実施中、所定のしきい値Sを下回る。次に、指標Iは、時刻t8の直後の航空機の着陸に対応した測定のシーケンスS3の実施中、二度目に所定のしきい値Sを超え、そして、時刻t9の直後のこの同じシーケンスS3の実施中、所定のしきい値Sを下回る。かくして、着陸及び離陸を含むサイクル中、回数Nを2回増分する。
【0042】
本発明は、上述の実施形態には限定されない。
【0043】
かくして、別の実施形態では、タイヤの内部に入っている空気の測定される物理量は、圧力である。
【0044】
利点のうちで、本発明の装置を、例えばWO2004/110793号という番号で公開された国際公開パンフレットに記載されている装置を有するタイヤに、この装置を改造することによって取り付けることができる。本発明の装置は、物理量の測定をトリガするこの先行技術の装置のタイヤの運動の開始を検出するための機能を利用しているにすぎない。本発明の装置は、タイヤの回転数を求める磁束の時間変化率の連続測定のための機能を利用しているわけではない。というのは、後者は、エネルギーをあまりにも必要とするからである。かくして、既存の装置のタイヤの運動の開始を検出する機能を利用するのが良く、その目的は、本発明の装置を既に使用中のタイヤに適合させることにある。かくして、装置の磁気環境が自然界にはない出所からの磁気源によって乱された場合であっても、これら磁気源は、本発明に従って改造された先行技術の装置のタイヤの運動の開始の検出を妨害するほど強力ではない。この検出により、物理量の測定をトリガすることができ、この測定は、どのような磁気的干渉の影響も受けない。
図1
図2
図3-6】