(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356617
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】経路判定装置および経路判定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20180702BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
G06Q50/30
G08G1/00 D
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-33344(P2015-33344)
(22)【出願日】2015年2月23日
(65)【公開番号】特開2016-157205(P2016-157205A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2017年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】額田 直
(72)【発明者】
【氏名】村上 瑛
【審査官】
田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−293071(JP,A)
【文献】
特開平10−283517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アンテナと、
前記第1アンテナを介して、車載器から、当該車載器により取得された車両の位置を示す第1情報を受信する第1通信部と、
前記第1アンテナとは異なる第2アンテナと、
前記第2アンテナを介して、前記車両に対する有料道路の通行料金の課金に用いる第2情報を車載器に送信する第2通信部と、
前記第1通信部によって受信した前記第1情報に基づいて、前記車両が通過した経路を判定し、かつ当該判定した経路を示す情報を前記第2情報として、前記第2通信部を制御して前記車載器に送信する制御部と、
を備えた経路判定装置。
【請求項2】
前記第1アンテナは、前記第2アンテナが発信する電波と同一の周波数帯域の電波を発信し、
前記第1アンテナおよび前記第2アンテナは、互いの電波が干渉しない位置に設けられる請求項1に記載の経路判定装置。
【請求項3】
前記第2アンテナは、前記第1通信部により前記第1情報を受信してから、当該第1情報に基づいて車両が通過した経路を判定されるまでの時間、当該車両が前記第2アンテナの電波が届く範囲を通り過ぎないように設けられる請求項1に記載の経路判定装置。
【請求項4】
前記第1アンテナおよび前記第2アンテナは、前記第1通信部および前記第2通信部の順に車載器と通信が行われるように設けられる請求項1に記載の経路判定装置。
【請求項5】
車両が通過可能な経路を識別可能とする経路情報と、当該経路情報により識別される経路を特定可能とする範囲を示す範囲情報とを対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記範囲情報のうち、受信した前記第1情報が示す位置を含む範囲を示す前記範囲情報を特定し、当該特定した範囲情報と対応付けて記憶された前記経路情報が示す経路を、車両が通過した経路として判定する請求項1に記載の経路判定装置。
【請求項6】
第1アンテナを介して、車載器から、当該車載器により取得された車両の位置を示す第1情報を第1通信部により受信し、
前記第1アンテナとは異なる第2アンテナを介して、前記車両に対する有料道路の通行料金の課金に用いる第2情報を第2通信部により車載器に送信し、
車載器から受信した前記第1情報に基づいて、前記車両が通過した経路を判定し、かつ当該判定した経路を示す情報を前記第2情報として、前記車載器に前記第2通信部により送信する、
ことを含む経路判定方法。
【請求項7】
前記第1アンテナは、前記第2アンテナが発信する電波と同一の周波数帯域の電波を発信し、
前記第1アンテナおよび前記第2アンテナは、互いの電波が干渉しない位置に設けられる請求項6に記載の経路判定方法。
【請求項8】
前記第2アンテナは、前記第1通信部により前記第1情報を受信してから、当該第1情報に基づいて車両が通過した経路を判定されるまでの時間、当該車両が前記第2アンテナの電波が届く範囲を通り過ぎないように設けられる請求項6に記載の経路判定方法。
【請求項9】
前記第1アンテナおよび前記第2アンテナは、前記第1通信部および前記第2通信部の順に車載器と通信が行われるように設けられる請求項6に記載の経路判定方法。
【請求項10】
車両が通過可能な経路を識別可能とする経路情報と、当該経路情報により識別される経路を特定可能とする範囲を示す範囲情報とを対応付けて記憶する記憶部から、受信した前記第1情報が示す位置を含む範囲を示す前記範囲情報を特定し、
当該特定した範囲情報と対応付けて記憶された前記経路情報が示す経路を、車両が通過した経路として判定する請求項6に記載の経路判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、経路判定装置および経路判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の交通状態は、都心部においては、交通渋滞がある一方で、迂回路となる郊外部においては、比較的、交通渋滞していない傾向がある。そのため、道路の有効利用の観点では、混雑する経路の交通を閑散化して、都心部と郊外部の交通量を平準化することが望ましい。これを実現させるため、経路の通行料金を変動させる等によって、交通の流れを誘導することが求められている。そして、交通の流れの誘導には、課金を行うETC(Electronic Toll Collection)システムにおいて、ITS(Intelligent Transport Systems)スポットサービスシステムにより収集した車両情報を用いて、車両が走行した経路を記録する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−337966号公報
【特許文献2】特開2010−26777号公報
【特許文献3】特開平11−185082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車載器に搭載されたITS機能部とETC機能部が各々独立して構成されているため、ITS機能部により収集した車両の位置情報をETS機能部に通信する機能がなく、ITS機能部により収集した車両の位置情報を、交通の流れの誘導に利用することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の経路判定装置は、第1アンテナと、第1通信部と、第2アンテナと、第2通信部と、制御部と、を備える。第1通信部は、第1アンテナを介して、車載器から、当該車載器により取得された車両の位置を示す第1情報を受信する。第2アンテナは、第1アンテナとは異なる。第2通信部は、第2アンテナを介して、車両に対する有料道路の通行料金の課金に用いる第2情報を車載器に送信する。制御部は、第1通信部によって受信した第1情報に基づいて、車両が通過した経路を判定し、かつ当該判定した経路を示す情報を第2情報として、第2通信部を制御して車載器に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態にかかる経路判定システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態にかかる経路判定路側装置が記憶する経路判定マスタ情報の一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本実施形態にかかる経路判定路側装置から車載器へ送信される料金判定経路情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、ETCフリーフローを用いた料金判定経路情報の送信処理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかる経路判定装置および経路判定方法を適用した経路判定システムについて説明する。
【0008】
図1は、本実施形態にかかる経路判定システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる経路判定システムは、車両に搭載された車載器1と、車両が通行する道路の路側に設置されかつ車載器1と無線通信を行う経路判定路側装置2(経路判定装置の一例)と、当該経路判定路側装置2との間で経路判定マスタ情報I等の各種情報を通信する中央装置3と、を有する。
【0009】
車載器1は、当該車載器1を搭載した車両に対する課金に用いる情報(以下、課金情報と言う)を記憶可能な記憶媒体の一例であるICカード(例えば、ETCカード)が着脱可能である。また、車載器1は、ITS(Intelligent Transport System)機能部10と、ETC(Electronic Toll Collection System)機能部11と、を有している。
【0010】
ITS機能部10は、DSRC(Dedicated Short Range Communication)と称される通信方式を用いて、一般道路や高速道路等の各種道路の路側に設置されたITSスポット等で構成される経路判定路側装置2との間で、道路交通情報等の各種情報をやりとりする。また、ITS機能部10は、GPS(Global Positioning System)衛星から受信した電波を用いて、車載器1を搭載した車両の位置である車両位置(本実施形態では、緯度および経度)を取得するGPS受信機を有する。さらに、ITS機能部10は、GPS受信機により取得した車両位置および当該車両位置を取得した時刻を含む位置情報を、当該位置情報を取得してから所定期間だけ記憶可能な記憶部を有する。そして、ITS機能部10は、DSRCと称される通信方式を用いて、GPS受信機により取得した位置情報に、当該ITS機能部10を有する車載器1を識別可能とする個体識別情報(例えば、車載器管理番号やWCN:Wireless Call Numberなど)を付加して、経路判定路側装置2へ送信する。
【0011】
ETC機能部11は、DSRCと称される通信方式を用いて、高速道路等の有料道路の入口や出口等のETCレーンに設置された路側装置であるETCフリーフロー400(
図4参照)と、経路判定路側装置2とに対して、個体識別情報を送信する。また、ETC機能部11は、ETCフリーフロー400から、車載器1を搭載した車両に対する有料道路の通行料金の課金に用いる情報の一例である料金判定経路情報(本実施形態では、車両が通過した有料道路の入口および出口を識別可能とする情報、車両が有料道路の入口および出口それぞれを通過した日時等)を受信し、当該受信した料金判定経路情報を車載器1に装着されたICカードに書き込む。また、ETC機能部11は、経路判定路側装置2から、車両が通過した経路を示す情報(本実施形態では、車両が通過した経路の番号や車両が経路を通過した日時など)を、料金判定経路情報として受信し、当該受信した料金判定経路情報を車載器1に装着されたICカードに書き込む。
【0012】
本実施形態では、ETC機能部11は、経路判定路側装置2から料金判定経路情報を受信する度に、当該受信した料金判定経路情報によって、車載器1に装着されたICカードに記憶されている料金判定経路情報を上書き(更新)する。これにより、経路判定路側装置2から受信した料金判定経路情報を全てICカードに保存しておく必要がないため、当該ICカードに記憶される料金判定経路情報の情報量を削減することができる。
【0013】
経路判定路側装置2は、ITS用アンテナ20(第1アンテナの一例)と、当該ITS用アンテナ20を介して車載器1と無線通信を行うITS通信部21と、ETC用アンテナ22(第2アンテナの一例)と、当該ETC用アンテナ22を介して車載器1と無線通信を行うETC通信部23と、経路判定路側装置2全体を制御する制御部24と、を有する。本実施形態では、ITS用アンテナ20は、ETC用アンテナ22が発信する電波と同一の周波数帯域の電波を発信するものとする。
【0014】
ITS用アンテナ20は、車載器1のITS機能部10との無線通信に用いるアンテナである。ITS通信部21は、DSRCと称される通信方式を用いて、ITS用アンテナ20を介して、車載器1のITS機能部10と無線通信を行う。具体的には、ITS通信部21は、車載器1に対して、道路交通情報等の各種情報を送信する。また、ITS通信部21(第1通信部の一例)は、車載器1から、当該車載器1により取得された車両位置を示す位置情報(本実施形態では、緯度および経度)を受信する。
【0015】
ETC用アンテナ22は、車載器1のETC機能部11との無線通信に用いるアンテナである。ETC通信部23は、DSRCと称される通信方式を用いて、ETC用アンテナ22を介して、車載器1のETC機能部11と無線通信を行う。具体的には、ETC通信部23は、車載器1から、当該車載器1の個体識別情報を受信する。そして、ETC通信部23は、受信した個体識別情報が示す車載器1が搭載された車両に対する有料道路の通行料金の課金に用いる料金判定経路情報を、当該車載器1に送信する。また、ETC通信部23は、制御部24により制御され、受信した個体識別情報が示す車載器1が搭載された車両が通過した経路を示す情報を料金判定経路情報として、車載器1に送信する。
【0016】
本実施形態では、ITS用アンテナ20とETC用アンテナ22とは、互いの電波が干渉しない位置に設けられている。これにより、ITS用アンテナ20およびETC用アンテナ22それぞれから発信される電波が干渉することによる、車載器1との間での通信品質が低下することを防止することができる。また、ITS用アンテナ20とETC用アンテナ22とは、ITS通信部21およびETC通信部23の順に車載器1との通信が行われるように設けられている。これにより、ITS通信部21により受信した位置情報に基づいて車両が通過した経路を判定する前に、ETC通信部23による車載器1との通信が終了してしまい、車載器1に対して、車両が通過した経路を示す情報を送信できなくなるのを防止できる。さらに、ETC用アンテナ22は、ITS通信部21によりある車載器1から位置情報を受信してから、当該位置情報に基づいて車両が通過した経路が判定されるまでの時間、当該車両がETC用アンテナ22の電波の届く範囲を通り過ぎないように設けられている。例えば、ETC用アンテナ22は、ITS用アンテナ20から約30m離れた位置に設けられている。これにより、車両が通過した経路の判定が完了するまえに、車両がETC用アンテナ22の電波が届く範囲を通り過ぎてしまい、車両が通過した経路を示す情報を車載器1に送信できなくなることを防止できる。
【0017】
制御部24は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、経路判定路側装置2全体を制御する。具体的には、制御部24は、ITS通信部21によって受信した位置情報に基づいて、車両が通過した経路を判定し、かつ判定した経路を示す情報を、料金判定経路情報として、当該受信した位置情報に付加された個体識別情報が示す車載器1に送信する。本実施形態では、制御部24は、経路判定部241と、経路判定マスタ情報記憶部242と、通信部243と、経路紐付機能部244と、を有している。通信部243は、インターネット等のネットワークを介して、中央装置3と通信を行う。本実施形態では、通信部243は、中央装置3から、経路判定マスタ情報Iを受信する。経路判定マスタ情報記憶部242は、通信部243により中央装置3から受信した経路判定マスタ情報Iを記憶する。
【0018】
図2は、本実施形態にかかる経路判定路側装置が記憶する経路判定マスタ情報の一例を説明するための図である。
図2に示すように、本実施形態では、経路判定マスタ情報Iは、車両が通過した経路の判定に用いるルールを識別可能とする判定ルール番号I1に対応付けて、車両が通過可能な経路(例えば、経路R1,R2,R3,R4など)を識別可能とする情報の一例である経路番号I2と、当該経路番号I2により識別される経路を特定可能とする範囲(例えば、範囲A1,A2など)を示す範囲情報I3と、を記憶している。例えば、範囲情報I3は、経路番号I2:「1」により識別される経路(例えば、経路R2)と判定される四角形状の範囲:「範囲A1」の緯度の上限および下限と、当該経路番号I2に対応する経路:「経路R2」と判定される四角形状の範囲:「範囲A1」の経度の上限および下限と、を含む。ここで、範囲情報I3が示す範囲は、経路番号I2により識別される経路の位置の誤差を含むように、当該経路の位置を含むように設定されている。
【0019】
経路判定部241は、ITS通信部21により位置情報を受信した場合に、当該受信した位置情報に基づいて、車両が通過した経路を判定する。本実施形態では、経路判定部241は、経路判定マスタ情報Iに記憶された範囲情報I3のうち、ITS通信部21により受信した位置情報が示す車両位置を含む範囲を示す範囲情報I3を特定する。そして、経路判定部241は、経路判定マスタ情報Iにおいて、特定した範囲情報I3と対応付けて記憶される経路番号I2により識別される経路を、車両が通過した経路と判定する。さらに、経路判定部241は、ITS通信部21により受信した位置情報に付加された個体識別情報と、当該受信した位置情報を用いて判定した経路を示す経路情報とを対応付けて、図示しない一時記憶部に書き込む。本実施形態では、経路情報には、受信した位置情報を用いて判定した経路の経路番号I2と、当該受信した位置情報が含む日時(位置情報が含む車両位置が取得された日時)とが含まれる。
【0020】
例えば、経路判定部241は、ITS通信部21により受信した位置情報が示す車両位置が範囲A1に含まれる場合、経路判定マスタ情報Iに記憶された範囲情報I3のうち、範囲A1を示す範囲情報I3を特定する。そして、経路判定部241は、範囲A1を示す範囲情報I3と対応付けて記憶される経路番号I2:「1」に対応する経路:「経路R2」を、車両が通過した経路と判定する。一方、経路判定部241は、ITS通信部21により受信した位置情報が示す車両位置が範囲A2に含まれる場合、経路判定マスタ情報Iに記憶された範囲情報I3のうち、範囲A2を示す範囲情報I3を特定する。そして、経路判定部241は、範囲A2を示す範囲情報I3と対応付けて記憶される経路番号I2:「××」に対応する経路:「経路R3」を、車両が通過した経路と判定する。
【0021】
経路紐付機能部244は、ETC通信部23により個体識別情報を受信した場合に、当該受信した個体識別情報と同一の個体識別情報と対応付けて図示しない一時記憶部に保存された経路情報を読み出す。そして、経路紐付機能部244は、ETC通信部23を制御して、当該読み出した経路情報に含まれる経路番号I2により識別される経路を示す情報を料金判定経路情報として車載器1へ送信する。
【0022】
これにより、例えば、地点P1から地点P2への経路が複数存在する場合に、ITS通信部21により車載器1から受信した位置情報に基づいて判定した車両の経路に応じた通行料金の課金をETCフリーフロー400において行えるので、ITS通信部21により車載器1から受信した位置情報を、交通の流れの誘導に利用することができる。
【0023】
図3は、本実施形態にかかる経路判定路側装置から車載器へ送信される料金判定経路情報のデータ構成の一例を示す図である。例えば、車両が通行可能な経路が8つ存在する場合、経路紐付機能部244は、
図3に示すように、8ビットの料金判定経路情報を生成する。ここで、8ビットの料金判定経路情報の各桁は、8つの経路のうちいずれか1つの経路に対応する。
【0024】
具体的には、8ビットの料金判定経路情報の1桁目は、8つの経路のうち一つの経路である第1経路に対応する。8ビットの料金判定経路情報の2桁目は、8つの経路のうち、第1経路とは異なる1つの経路である第2経路に対応する。8ビットの料金判定経路情報の3桁目は、8つの経路のうち、第1,2経路とは異なる1つの経路である第3経路に対応する。8ビットの料金判定経路情報の4桁目は、8つの経路のうち、第1〜3経路とは異なる1つの経路である第4経路に対応する。8ビットの料金判定経路情報の5桁目は、8つの経路のうち、第1〜4経路とは異なる1つの経路である第5経路に対応する。8ビットの料金判定経路情報の6桁目は、8つの経路のうち、第1〜5経路とは異なる1つの経路である第6経路に対応する。8ビットの料金判定経路情報の7桁目は、8つの経路のうち、第1〜6経路とは異なる1つの経路である第7経路に対応する。8ビットの料金判定経路情報の8桁目は、8つの経路のうち、第1〜7経路とは異なる1つの経路である第8経路に対応する。
【0025】
そして、8ビットの料金判定経路情報の各桁は、当該桁に対応する経路を車両が通過した場合には「1」となり、当該桁に対応する経路を車両が通過していない場合には「0」となる。例えば、経路紐付機能部244は、8ビットの料金判定経路情報に含まれる桁のうち、図示しない一時記憶部から読み出した経路情報に含まれる経路番号I2に対応する経路(例えば、第1経路および第2経路)に対応する1桁目および2桁目を「1」とする。そして、経路紐付機能部244は、1桁目および2桁目が「1」となった料金判定経路情報を、車載器1へ送信する。
【0026】
中央装置3は、インターネット等のネットワークを介して経路判定路側装置2と通信可能な通信部31を有する。本実施形態では、中央装置3は、経路判定マスタ情報Iを記憶する。そして、中央装置3の通信部31は、経路判定路側装置2からの送信指示に応じて若しくは所定時間毎に、経路判定マスタ情報Iを経路判定路側装置2へ配信する。
【0027】
次に、
図4を用いて、本実施形態にかかる経路判定路側装置2による料金判定経路情報の送信処理の具体例について説明する。
図4は、ETCフリーフローを用いた料金判定経路情報の送信処理の一例を説明するための図である。
【0028】
図4に示すように、高速道路等の有料道路を利用した車両に対する通行料金の課金方法によれば、有料道路の入口および出口に設置されたETCフリーフロー400を用いて行われる。具体的には、ETCフリーフロー400を用いた通行料金の課金方法では、有料道路の入口に設置されたETCフリーフロー400の通過時において、車載器1に装着されたICカードに対する入口情報の書き込み、当該ICカードに既に書き込まれている不要な情報(前回の有料道路の利用時の課金に用いた情報、例えば、入口情報など)の消去、およびETCフリーフロー400から車載器1への通行料金の通知等が行われる。また、ETCフリーフロー400を用いた通行料金の課金方法では、有料道路の出口に設置されたETCフリーフロー400の通過時において、有料道路の入口および出口の少なくとも一方に応じた通行料金の算出、および当該算出した通行料金の車載器1への通知等が行われる。
【0029】
しかしながら、ETCフリーフロー400を用いた通行料金の課金方法では、
図4に示すように、事業者Aの有料道路を利用する車両が、入口EN1から出口EX1までの道のりの途中で、乗継出口ex1および乗継入口en1を利用して、事業者Bの有料道路に進入した後、乗継出口ex2および乗継入口en2を利用して、再び事業者Aの有料道路に戻った場合(すなわち、事業者Bの有料道路を跨いで、事業者Aの有料道路を利用した場合)、有料道路の出口(乗継出口ex1,ex2、出口EX1)に設置されたETCフリーフロー400を通過する度に、通行料金の課金が行われる。そのため、ETCフリーフロー400を用いた通行料金の課金方法では、有料道路の出口において課金された通行料金を記憶する料金テーブルの情報量が膨大になる。
【0030】
また、ETCフリーフロー400を用いた通行料金の課金方法では、事業者Bの有料道路を跨いで、事業者Aの有料道路を利用した場合、有料道路の入口(入口EN1、乗継入口en1,en2)に設置されたETCフリーフロー400を通過する度に、車載器1に装着されたICカードに書き込まれた入口情報等の通行情報が、不要な情報として消去されてしまう。そのため、ETCフリーフロー400を用いた通行料金の課金方法では、出口EX1を通過する際に、入口EN1から出口EX1までの有料道路の利用による通行料金をまとめて課金することはできない。
【0031】
これに対して、本実施形態では、経路判定路側装置2は、車載器1のITS機能部10から位置情報を受信し、当該位置情報が示す車両位置に基づいて、車両が通過した経路を判定し、判定した経路を示す情報を料金判定経路情報として車載器1に送信して、当該車載器1に装着されたICカードに書き込む。これにより、事業者Bの有料道路を跨いで、事業者Aの有料道路を利用した場合に、有料道路の入口に設置されたETCフリーフロー400を通過する度に、ICカードに書き込まれた通行情報が消去されたとしても、料金判定経路情報を利用して、入口EN1から出口EX1までの有料道路の利用による通行料金をまとめて課金することができる。また、出口EX1を通過する際に、入口EN1から出口EX1までの有料道路の利用による通行料金をまとめて課金されるので、有料道路の出口において課金された通行料金を記憶する料金テーブルの情報量を削減することができる。
【0032】
また、経路判定路側装置2(経路紐付機能部244)は、有料道路の乗継入口en1,en2に設置されたETCフリーフロー400の通過時において、車載器1に装着されたICカードから料金判定経路情報が不要な情報として消去されることを防止するため、料金判定経路情報に、当該料金判定経路情報の消去の禁止を指示する引き継ぎフラグを付加して、車載器1に送信しても良い。若しくは、経路判定路側装置2は、車載器1へ送信する情報のうち、料金判定経路情報以外の不要な情報(例えば、入口情報等)を圧縮して車載器1に送信することによって、料金判定経路情報と不要な情報とを識別可能として、圧縮されていない料金判定経路情報が消去されるのを防止しても良い。なお、乗継入口en1,en2以外の入口EN1に設置されたETCフリーフロー400の通過時においては、車載器1のICカードに記憶された料金判定経路情報も不要な情報として消去しても良い。
【0033】
また、車載器1のICカードに料金判定経路情報が記憶されている場合、乗継出口ex1,ex2に設置されたETCフリーフロー400は、出口EX1に設置されたETCフリーフロー400の通過時に課金される料金と区別するために、車載器1に対する、通行料金の通知を行わないようにしても良い。
【0034】
このように、本実施形態の経路判定路側装置2によれば、ある地点から他の地点への経路が複数存在する場合に、ITS通信部21により車載器1から受信した位置情報に基づいて判定した車両の経路に応じた通行料金の課金をETCフリーフロー400において行えるので、ITS通信部21により車載器1から受信した位置情報を、交通の流れの誘導に利用することができる。
【0035】
なお、本実施形態の経路判定路側装置2で実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。本実施形態の経路判定路側装置2で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0036】
さらに、本実施形態の経路判定路側装置2で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の経路判定路側装置2で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0037】
本実施形態の経路判定路側装置で実行されるプログラムは、上述した各部(ITS通信部21、ETC通信部23と、経路判定部241、通信部243、経路紐付機能部244)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、ITS通信部21、ETC通信部23と、経路判定部241、通信部243、経路紐付機能部244が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0038】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 車載器
2 経路判定路側装置
3 中央装置
10 ITS機能部
11 ETC機能部
20 ITS用アンテナ
21 ITS通信部
22 ETC用アンテナ
23 ETC通信部
24 制御部
241 経路判定部
242 経路判定マスタ情報記憶部
243 通信部
244 経路紐付機能部