特許第6356698号(P6356698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356698
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20180702BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20180702BHJP
   A61M 5/34 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   A61M5/20 570
   A61M5/24 500
   A61M5/34 530
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-554170(P2015-554170)
(86)(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公表番号】特表2016-508388(P2016-508388A)
(43)【公表日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】EP2014051473
(87)【国際公開番号】WO2014118110
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2017年1月16日
(31)【優先権主張番号】13153140.2
(32)【優先日】2013年1月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・ケーヴ
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/117404(WO,A2)
【文献】 特開2009−000557(JP,A)
【文献】 特開2007−313372(JP,A)
【文献】 特表2012−501771(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/010973(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20− 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物を投与する薬物送達デバイス(1)であって:
薬物を収容するカートリッジ(3)を保持するように適合された本体(2)と、
少なくとも1つの電気ユニット(EU)および該電気ユニット(EU)に電気的に接触するポート(6)と、
薬物送達デバイス(1)に注射針(4)を取り付けるアダプタ(7)と、
注射針(4)がカートリッジ(3)と流体連通している間、ポート(6)へのアクセスを防止するように配置され、ポート(6)がアクセス可能である間、注射針(4)とカートリッジ(3)との間の流体連通を確立するのを防止するように配置された安全機構(S)とを含む前記薬物送達デバイスにおいて、
本体(2)は、主要部材(2.1)と可動本体構成要素(2.2)とを含み、該可動本体構成要素(2.2)は、ポート(6)がアクセス可能である位置ずれ位置(MP)と、ポート(6)が覆われる位置合わせ位置(AP)との間を、主要部材(2.1)に対して可動であり、アダプタ(7)は、可動本体構成要素(2.2)が位置ずれ位置(MP)にあるときアダプタが分割されて針(4)の取り付けを防止するように本体(2)上に配置され、アダプタ(7)は、針(4)が取り付けられているとき可動本体構成要素(2.2)が位置合わせ位置(AP)から位置ずれ位置(MP)へ動くのを防止するように配置されることを特徴とする前記薬物送達デバイス。
【請求項2】
位置合わせ位置(AP)では、ポートは、可動本体構成要素(2.2)または可動本体構成要素(2.2)に連結された摺動ドア(12)によって隠される、請求項1に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項3】
変位利得を提供するリンク機構(13)が、摺動ドア(12)を可動本体構成要素(2.2)に連結するように配置される、請求項2に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項4】
摺動ドア(12)に連結されて可動本体構成要素(2.2)に向かって付勢された保持ピン(14)が、位置合わせ位置(AP)で可動本体構成要素(2.2)によって係合され、位置ずれ位置(MP)で係合解除されるように配置される、請求項2または3に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項5】
可動本体構成要素(2.2)は、位置合わせ位置(AP)と位置ずれ位置(MP)との間を並進運動および/または回転するように配置される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項6】
可動本体構成要素(2.2)は、位置ずれ位置(MP)で主要部材(2.1)から取り外し可能である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項7】
可動本体構成要素(2.2)は、薬物送達デバイス(1)の長手方向に対する横断面が4分の1の円となる、アダプタ(7)の実質的に4分の1の扇形部分を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項8】
可動本体構成要素(2.2)の内面は、2つの縁部(17.1、17.2)を画成するように形成され、可動本体構成要素(2.2)が位置合わせ位置(AP)にあるとき縁部の一方がカートリッジ(3)を径方向に支持し、可動本体構成要素(2.2)が位置ずれ位置(MP)にあるとき他方の縁部がカートリッジ(3)を径方向に支持する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項9】
縁部(17.1、17.2)は、可動本体構成要素(2.2)内に形成された複数の円周リブ(16)によって画成される、請求項8に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項10】
アダプタ(7)は、針(4)のねじ付ニードルハブ(4.1)に係合するためのねじ付領域を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項11】
可動本体構成要素(2.2)の並進運動は、軸方向成分および/または径方向成分を含む、請求項5〜10のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項12】
可動本体構成要素(2.2)は、長手方向成分および/または横断方向成分を有するピボット軸を画成するピボット点(10)またはヒンジ(18)の周りを回転するように配置される、請求項5〜11のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項13】
可動本体構成要素(2.2)を位置合わせ位置(AP)または位置ずれ位置(MP)に向かって付勢するためのばねが配置される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項14】
可動本体構成要素(2.2)の動きを制限するための拘束機構(5、8、9)が配置される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
注射を投与することは、使用者および医療従事者にとって、精神的にも身体的にも複数のリスクおよび難題をもたらすプロセスである。
【0003】
注射デバイス(すなわち、医薬品容器から薬剤を送達することが可能なデバイス)は、典型的には、2つの範疇、すなわち手動デバイスおよび自動注射器に入る。
【0004】
手動デバイスでは、使用者は、流体を針に通すために機械的なエネルギーを提供しなければならない。これは、典型的には、何らかの形のボタン/プランジャによって行われ、使用者はこれを注射中に押し続けなければならない。この手法には、使用者にとって多数の欠点がある。使用者がボタン/プランジャを押すのを止めた場合、注射も停止する。これは、デバイスが正しく使用されない場合(すなわち、プランジャが終端の位置まで完全に押されていない場合)、使用者が送達する用量が十分でない可能性があることを意味する。特に患者が高齢である場合、または手先の器用さに問題を抱えている場合、注射の力は使用者にとって大きすぎることがある。
【0005】
ボタン/プランジャの延長が大きすぎることもある。したがって、ボタンが完全に延びた状態に到達することは使用者にとって不便な可能性がある。注射の力とボタンの延長が組み合わさることで、手の揺れ/震えが生じる可能性があり、それによって挿入された針が動くときの不快さが増大する。
【0006】
自動注射デバイスは、注射される療法の自己投与を患者にとってより容易にすることを目的とする。自己投与式注射によって送達される現在の療法には、糖尿病向けの薬物(インスリンとより新しいGLP−1型の薬物との両方)、偏頭痛、ホルモン療法、抗凝血剤などが含まれる。
【0007】
自動注射器は、標準的なシリンジからの非経口的な薬物送達を伴う働きに完全または部分的に取って代わるデバイスである。これらの働きは、保護シリンジキャップの取り外し、患者の皮膚内への針の挿入、薬剤の注射、針の取り外し、針の遮蔽、およびデバイスの再利用の防止を含むことができる。これは、手動デバイスの欠点の多くを克服する。注射の力/ボタンの延長、手の震え、不完全な用量を送達する可能性が低減される。トリガは、多数の手段によって、たとえばトリガボタンによって、または針がその注射深さに到達する作用によって、実行することができる。いくつかのデバイスでは、流体を送達するためのエネルギーは、ばねによって提供される。他のデバイスでは、これは、電気機械的駆動装置によって実現される。電気機械的および/または電子的な構成要素を有するデバイスは、データ転送または充電のために別のデバイスとの有線通信を行うことができるポートを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、改善された薬物送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の薬物送達デバイスによって実現される。
【0010】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に与えられる。
【0011】
本発明によれば、薬物を投与する薬物送達デバイスは:
− 薬物を収容するカートリッジを保持するように適合された本体と、
− 少なくとも1つの電気ユニットおよび電気ユニットに電気的に接触するポートと、
− 薬物送達デバイスに注射針を取り付けるアダプタと、
− 注射針がカートリッジと流体連通している間、ポートへのアクセスを防止するように配置され、ポートがアクセス可能である間、注射針とカートリッジとの間の流体連通を確立するのを防止するように配置された安全機構とを含む。
【0012】
ポート、たとえばUSBポートは、データ転送または充電のために別のデバイスとの有線通信を行うことができる。安全機構は、使用者が注射を試みる間に不注意で薬物送達デバイスがケーブルを介して接続されたままにするリスクを回避する。この場合、外部に接続されたデバイスから薬物送達デバイスのケーブル、ポート、および電子機器を通って導電性の金属注射針を介して患者までつながる潜在的な導電経路が存在することがある。ポート上の電流が過負荷状態である場合、またはカートリッジが漏れている場合、薬物送達デバイス内に短絡が生じるため、患者は感電を受けるはずである。感電は、ケーブルがポートに接続されているか否かにかかわらず、患者とポートに接続された外部デバイスとの両方が接地されている場合、または患者が注射中にポートに接触した場合に生じることがある。同様に、ポートは、使用者の血糖値を測定する血糖ストリップとインターフェース接続するように適用することができる。したがって、ポートもまた、電子接点を特徴とする。したがって、同様のリスクが伴う。本発明による安全機構は、このリスクを防止する。
【0013】
上記のリスクは、注射針がカートリッジと流体連通している間、ポートへのアクセスを防止するように配置され、ポートがアクセス可能である間、注射針とカートリッジとの間に流体連通を確立するのを防止するように配置された安全機構を設けることによって対処される。
【0014】
他の選択肢は、使用者がポートにアクセスできるとき安全機構によって薬物送達デバイスの用量投入動作(dosing operation)を無効にすることである。これは、薬物送達デバイスの送達機構を無効にする動作を実行することによって、または使用者が薬物送達デバイスを動作させる人間−機械インターフェース上のボタンもしくはソフトボタンにアクセスするのを防止することによって実現することができる。
【0015】
例示的な実施形態では、本体は、主要部材(main part)と可動本体構成要素(movable body component)とを含み、可動本体構成要素は、ポートがアクセス可能である位置ずれ位置(misaligned position)と、ポートが覆われる位置合わせ位置(aligned position)との間を、主要部材に対して可動であり、アダプタは、可動本体構成要素が位置ずれ位置にあるときアダプタが分割されて針の取り付けを防止するように本体上に配置され、アダプタは、針が取り付けられているとき可動本体構成要素が位置合わせ位置から位置ずれ位置へ動くのを防止するように配置される。
【0016】
位置合わせ位置では、ポートは、可動本体構成要素または可動本体構成要素に連結された摺動ドアによって隠すことができる。
【0017】
変位利得を提供するリンク機構を、摺動ドアを可動本体構成要素に連結するように配置することができ、したがって可動本体構成要素の比較的小さい動き、または可動本体構成要素によって引き起こされる比較的小さい動きによって、摺動ドアのより大きい動きを引き起こすことを可能にする。
【0018】
例示的な実施形態では、摺動ドアに連結されて可動本体構成要素に向かって付勢された保持ピンが、位置合わせ位置で可動本体構成要素によって係合され、位置ずれ位置で係合解除されるように配置され、したがって、摺動ドアを一方の方向に並進運動させながら可動本体構成要素を別の方向または向きに動かす簡単な手段を提供する。
【0019】
例示的な実施形態では、可動本体構成要素は、位置合わせ位置と位置ずれ位置との間を並進運動および/または回転するように配置される。
【0020】
別の例示的な実施形態では、可動本体構成要素は、位置ずれ位置で主要部材から取り外し可能とすることができる。
【0021】
例示的な実施形態では、可動本体構成要素は、たとえば4分の1の円の横断面を有する、アダプタの実質的に4分の1の扇形を含む。これにより、A型針(type A needle)を受け入れるのに十分なほどアダプタの直径を小さく保ちながら、それでもなお可動本体構成要素を回転させることによってアダプタを分割する作用により、針がアダプタに嵌合されるのを確実に防止することが有効になり、ねじ付領域の周囲で可動本体構成要素とカートリッジとの間の干渉を引き起こさない。
【0022】
例示的な実施形態では、可動本体構成要素の内面が、2つの縁部を画成するように形成され、可動本体構成要素が位置合わせ位置にあるとき縁部の一方がカートリッジを径方向に支持し、可動本体構成要素が位置ずれ位置にあるとき他方の縁部がカートリッジを径方向に支持する。これにより、可動本体構成要素の位置にかかわらず、カートリッジが確実に本体内に拘束されたままとなる。
【0023】
例示的な実施形態では、縁部は、可動本体構成要素内に形成された複数の円周リブによって画成される。リブは、可動本体構成要素内に成形することができる。リブのプロファイルは、位置合わせ位置と位置ずれ位置との間で平滑に湾曲し、したがって可動本体構成要素とカートリッジとの間のあらゆる干渉を回避するように設計することができる。
【0024】
例示的な実施形態では、アダプタは、針のねじ付ニードルハブに係合するためのねじ付領域を含む。ねじ付領域の代わりに、アダプタは、バヨネットフィット、円錐、またはルアーロックなど、針を取り付ける他の手段を含むことができる。
【0025】
例示的な実施形態では、位置合わせ位置と位置ずれ位置との間の可動本体構成要素の並進運動は、軸方向成分および/または径方向成分を含むことができる。たとえば、可動本体構成要素は、本体の主要部材から離れる方へ傾斜して上昇するように、外方と上方の両方に摺動することができる。
【0026】
例示的な実施形態では、可動本体構成要素は、長手方向成分および/または横断方向成分を有するピボット軸を画成するピボット点またはヒンジの周りを回転するように配置される。たとえば、可動本体構成要素は、横断方向軸もしくは長手方向軸または任意の他の軸の周りを回転することができる。同様に、可動本体構成要素の回転軸は、任意の他の方向に傾斜させることができる。
【0027】
例示的な実施形態では、可動本体構成要素を位置合わせ位置または位置ずれ位置に向かって付勢するためのばねが配置される。
【0028】
例示的な実施形態では、特に位置ずれ位置に向かう可動本体構成要素の動きを制限するための拘束機構が配置される。
【0029】
本発明のさらなる適用可能範囲は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および特有の例は本発明の好ましい実施形態を示すが、本発明の精神および範囲内の様々な変更および修正がこの詳細な説明から当業者には明らかになるため、例示のみを目的として与えられることを理解されたい。
【0030】
本発明は、以下の詳細な説明および添付の図面からより完全に理解される。これらは、例示のみを目的として与えられ、したがって本発明を限定するものではない:
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本体を含み、可動本体構成要素が位置合わせ位置にあり、本体上のアダプタに注射針が取り付けられた、薬物を投与する電気機械的薬物送達デバイスの第1の例示的な実施形態の概略図である。
図2】注射針が取り外された、電気機械的薬物送達デバイスの第1の例示的な実施形態の概略図である。
図3】可動本体構成要素が位置ずれ位置にある、電気機械的薬物送達デバイスの第1の例示的な実施形態の概略図である。
図4】本体を含み、可動本体構成要素が位置合わせ位置にあり、本体上のアダプタに注射針が取り付けられた、薬物送達デバイスの第2の例示的な実施形態の側面図である。
図5】注射針を取り外した後、可動本体構成要素を位置ずれ位置へ回転させた、薬物送達デバイスの第2の実施形態の側面図である。
図6】本体を含み、可動本体構成要素が位置合わせ位置にある、薬物送達デバイスの第3の例示的な実施形態の側面図である。
図7】可動本体構成要素を位置ずれ位置へ回転させた、薬物送達デバイスの第3の実施形態の側面図である。
図8】可動本体構成要素を位置ずれ位置へ回転させた、薬物送達デバイスの第3の実施形態の斜視図である。
図9】可動本体構成要素が位置ずれ位置にある、カートリッジの縦断面図である。
図10】可動本体構成要素が位置合わせ位置にある、薬物送達デバイスの第4の実施形態の横断面図である。
図11】可動本体構成要素が位置ずれ位置にある、薬物送達デバイスの第4の実施形態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
すべて図において、対応する部分は同じ参照記号で示す。
【0033】
図1〜3は、薬物を投与する電気機械的薬物送達デバイス1の第1の例示的な実施形態の概略図である。薬物送達デバイス1は、薬物カートリッジ3またはシリンジを受けるように適合された主要部材2.1を有する本体2を含む。カートリッジ3には皮下注射針4を取り付けることができ、好ましくは、針4は2つの先端部を有し、先端部の一方は注射部位に穿孔し、他方はカートリッジ3上のセプタムに穿孔して、カートリッジ3と針4との間の流体連通を確立する。薬物送達デバイス1は、使用者へ情報を通信して使用者が薬物送達デバイスを動作させることを可能にする制御ユニットおよび/もしくは人間−機械インターフェース、ならびに/または針4を注射部位、たとえば患者の皮膚内へ挿入し、かつ/もしくは針4を通ってカートリッジ3からの薬物を投薬し、かつ/もしくは注射後に針4を後退させる電気機械的駆動装置(図示せず)など、少なくとも1つの電気ユニット(EU)をさらに含む。
【0034】
本体2は、針4を取り付けるアダプタ7を含む。アダプタ7は、ねじ付領域7として配置することができる。針4は、使用者によって取り付けかつ取り外すことができ、したがって針は、薬物の単回の送達に使用することが可能となる。送達後、針4は適宜取り外され、廃棄され、新しい針に交換される。
【0035】
薬物送達デバイス1は、データ転送または充電のために別のデバイスとの有線通信を行うことができるポート6を含む。この特徴には、使用者が注射を試みる間に不注意で薬物送達デバイス1がケーブルを介して接続されたままにするリスクが伴う。薬物送達デバイス1の制御ユニットは、この状況では薬物の送達を防止するための確認を含むソフトウェアを実行することができるが、外部に接続されたデバイスから薬物送達デバイス1のケーブル、ポート6、および電子機器を通って導電性の金属針4を介して患者までつながる潜在的な導電経路がやはり存在する。したがって、たとえば、ポート6上の電流が過負荷であり、またはカートリッジ3が漏れている可能性があり、それによって薬物送達デバイス1内に短絡が生じ、患者に感電を送達する可能性がある。これは、ケーブルがポート6に接続されているか否かにかかわらず、患者とポート6に接続された外部デバイスとの両方が接地されている場合、または患者が注射中にポート6に接触した場合に生じることがある。
【0036】
同様に、ポート6は、使用者の血糖値を測定する血糖ストリップとインターフェース接続するように適用することができる。したがって、ポート6もまた、電子接点を特徴とする。したがって、同様のリスクが伴う。
【0037】
上記のリスクは、使用者がポート6にアクセスすることができるとき薬物送達デバイス1の用量投入動作を無効にする安全機構Sを設けることによって対処される。これは、薬物送達デバイス1の送達機構を無効にする動作を実行することによって、または使用者が針4に接続するように適用された薬物送達デバイス1のアダプタ7または人間−機械インターフェース上のボタンもしくはソフトボタンにアクセスするのを防止することによって実現される。
【0038】
図1の実施形態では、本体2は、本体2の遠位端部の方を向く可動本体構成要素2.2を含む。アダプタ7、具体的にはねじ付領域7は、一部が可動本体構成要素2.2上に配置され、一部が本体2の主要部材2.1上に配置される。可動本体構成要素2.2は、ねじ付領域7が針4を取り付けることを可能にするように本体2の主要部材2.1と軸方向に位置合わせされた図1および図2に示す近位位置合わせ位置APと、可動本体構成要素2.2が本体2の主要部材2.1から軸方向に位置ずれし、したがって針4の取り付けを防止する図3に示す遠位位置ずれ位置MPとの間を、主要部材2.1に対して軸方向に動かすことができる。針4がアダプタ7に取り付けられている場合、アダプタ7およびニードルハブ4.1のねじ山が係合しているため、可動本体構成要素2.2は、位置合わせ位置APから動くのを防止される。ポート6は、主要部材2.1内に配置されており、可動本体構成要素2.2がその位置ずれ位置MPにあるときのみアクセスすることができる。
【0039】
摺動拘束部(slide restraint)5が可動本体構成要素2.2上に配置され、主要部材2.1内に配置された拘束スロット9内に係合されたピン8を含み、可動本体構成要素2.2の運動が単一の軸および制限された範囲に抑制されることを確実にする。同様に、摺動拘束部5は、主要部材2.1および可動本体構成要素2.2内の拘束スロット9上に配置することもできる。
【0040】
図1では、アダプタ7に針4が取り付けられ、したがって可動本体構成要素2.2が位置合わせ位置APから動くのを防止する。ポート6にアクセスするには、使用者は、図2に示すように、アダプタ7から針4のねじをゆるめ、したがって主要部材2.1と可動本体構成要素2.2の分離を可能にする。次いで、可動本体構成要素2.2は位置ずれ位置MPへ動かされて、アダプタ7上のねじ山を分割してポート6を露出させる。アダプタ7が分割されるため、ポート6がアクセス可能である間は針4を取り付けることができない。
【0041】
例示的な実施形態では、可動本体構成要素2.2を位置ずれ位置MPまたは位置合わせ位置APに向かって付勢するように、少なくとも1つのばねを配置することができる。
【0042】
別の例示的な実施形態では、可動本体構成要素2.2は、異なる運動平面内を動くように主要部材2.1に連結することができる。たとえば、可動本体構成要素2.2は、本体2の主要部材2.1から離れる方へ傾斜して上昇するように、外方と上方の両方に摺動することができる。同様に、可動本体構成要素2.2は、完全に別個の構成要素として主要部材2.1から完全に外れるように配置することができる。アダプタ7のねじ付領域を分割することを可能にする任意のリンク機構が適しうる。
【0043】
図4は、薬物送達デバイス1の別の例示的な実施形態の側面図である。
【0044】
薬物送達デバイス1は、薬物カートリッジ3またはシリンジを受けるように適合された主要部材2.1を有する本体2を含む。カートリッジ3には皮下注射針4を取り付けることができる。薬物送達デバイス1は、使用者へ情報を通信して使用者が薬物送達デバイスを動作させることを可能にする制御ユニットおよび/もしくは人間−機械インターフェース、ならびに/または針4を注射部位、たとえば患者の皮膚内へ挿入し、かつ/もしくは針4を通ってカートリッジ3からの薬物を投薬し、かつ/もしくは注射後に針4を後退させる電気機械的駆動装置(図示せず)など、少なくとも1つの電気ユニットをさらに含む。
【0045】
本体2は、針4を取り付けるアダプタ7を含む。アダプタ7は、ねじ付領域7として配置することができる。針4は、使用者によって取り付けかつ取り外すことができ、したがって針4は、薬物の単回の送達に使用することが可能となる。送達後、針4は適宜取り外され、廃棄され、新しい針に交換される。
【0046】
薬物送達デバイス1は、データ転送または充電のために別のデバイスとの有線通信を行うことができるポート6を含む。
【0047】
図4の実施形態では、本体2は、本体2の遠位端部の方を向く可動本体構成要素2.2を含む。アダプタ7、具体的にはねじ付領域7は、一部が可動本体構成要素2.2上に配置され、一部が本体2の主要部材2.1上に配置される。可動本体構成要素2.2は、薬物送達デバイス1の長手方向軸に対して略横断方向軸を画成するピボット点10の周りを回転可能に配置される。可動本体構成要素2.2は、アダプタ7のねじ付領域が針4を取り付けることを可能にするように本体2の主要部材2.1と同一平面である図4に示す位置合わせ位置APと、可動本体構成要素2.2が本体2の主要部材2.1から回転方向に位置ずれし、したがってアダプタ7を分割して針4の取り付けを防止する図5に示す位置ずれ位置MPとの間を、主要部材2.1に対して回転させることができる。針4がアダプタ7に取り付けられている場合、アダプタ7およびニードルハブ4.1のねじ山が係合しているため、可動本体構成要素2.2は、位置合わせ位置APから動くのを防止される。ポート6は、主要部材2.1内に配置されており、主要部材2.1内の開口部11を通ってアクセス可能である。開口部11を覆いまたは露出させるように、摺動ドア12が配置される。摺動ドア12は、リンク機構13を通って保持ピン14に連結され、保持ピン14は、ばね15によって遠位方向Dに付勢される。リンク機構13により、摺動ドア12は、保持ピン14が近位位置PPにある場合には開口部11を覆い、保持ピン14が遠位位置DPにある場合には開口部11を露出させる。図4では、可動本体構成要素2.2は、位置合わせ位置APにあるため、保持ピン14に係合し、したがって保持ピンを近位位置PPで維持し、ポート6へのアクセスを防止する。可動本体構成要素2.2は、位置ずれ位置MPへ回転した場合、保持ピン14を係合解除する。したがって保持ピン14は、ばね15によって遠位位置DPへ動かされ、したがって摺動ドア12を動かして開口部11を露出させ、ポート6へのアクセスを可能にする。
【0048】
図4では、アダプタ7に針4が取り付けられ、したがって可動本体構成要素2.2が位置合わせ位置APから動くのを防止し、保持ピンを近位位置PPで維持し、ポート6へのアクセスを防止する。ポート6にアクセスするには、使用者は、アダプタ7から針4のねじをゆるめ、したがって主要部材2.1と可動本体構成要素2.2の分離を可能にする。次いで、可動本体構成要素2.2は位置ずれ位置MPへ回転してアダプタ7上のねじ山を分割し、保持ピン14を解放してポート6を露出させる。アダプタ7が分割されるため、ポート6がアクセス可能である間は針4を取り付けることができない。
【0049】
可動本体構成要素2.2が使用者によってその位置合わせ位置APへ戻されると、可動本体構成要素2.2は保持ピン14を近位位置PPへ押し込み、摺動ドア12を閉じてポート6へのアクセスを防止する。可動本体構成要素2.2と保持ピン14の係合は、傾斜した係合面によって容易にすることができる。
【0050】
リンク機構13は、変位利得を提供するように配置することができ、したがって保持ピン14は、摺動ドア12の距離の2分の1だけ動く。これにより、可動本体構成要素2.2を位置合わせ位置APへ回転させることによって、保持ピン14をやはりその近位位置PPへ確実に戻すことができる。摺動ドア12が動く必要のある距離に応じて、リンク機構13の必要をなくし、保持ピン14を摺動ドア12へ直接連結させて摺動ドア12の運動を作動させるように、実施形態を修正することもできる。
【0051】
典型的には、薬物送達デバイス1は、A型針4を受け入れてカートリッジ3を適切に拘束するように、カートリッジ3の遠位端部の周りにぴったりと嵌合する本体構成要素を有する。特にA型針4および標準的な3mlのカートリッジ3が使用される場合、可動本体構成要素2.2のねじ付領域7とカートリッジ3の遠位端部との間の干渉を回避するため、図4および図5の実施形態を、図6図7、および図8に示すように修正することができる。
【0052】
図6は、薬物送達デバイス1の例示的な実施形態の概略側面図であり、アダプタ7上のねじ付領域は、1:3の比で分割され、したがって可動本体構成要素2.2上のねじ付領域は、4分の1の円の横断面を有するアダプタ7の実質的に4分の1の扇形を含む(図8参照)。これにより、A型針4を受け入れるのに十分なほどアダプタ7のねじ付領域の直径を小さく保ちながら、それでもなお可動本体構成要素2.2を回転させることによって本体2を分割する作用により、針がアダプタ7に嵌合されるのを確実に防止することが有効になり、ねじ付領域の周囲で可動本体構成要素2.2とカートリッジ3との間の干渉を引き起こさない。
【0053】
図6は、可動本体構成要素2.2が位置合わせ位置APにある、薬物送達デバイス1を示す。図7は、可動本体構成要素2.2が位置ずれ位置MPに回転させられ、したがってアダプタ7のねじ付領域が分割された、薬物送達デバイス1の側面図である。図8は、対応する斜視図である。
【0054】
図9は、可動本体構成要素2.2が位置ずれ位置MPにある、カートリッジ3の縦断面図である。可動本体構成要素2.2を回転させることで、可動本体構成要素2.2によって本体2内に拘束されているカートリッジ3に対して位置ずれが生じる。
【0055】
可動本体構成要素2.2の位置にかかわらずカートリッジ3が確実に拘束されたままになるように、可動本体構成要素2.2内に成形された複数の円周リブ16が、2つの縁部17.1、17.2を画成し、可動本体構成要素2.2が位置合わせ位置APにあるとき縁部の一方がカートリッジ3に接触し、可動本体構成要素2.2が位置ずれ位置MPにあるとき他方の縁部がカートリッジ3に接触する。
【0056】
図10は、図4および図5の実施形態の修正形態である薬物送達デバイス1の一実施形態の横断面図である。
【0057】
可動本体構成要素2.2がピボット点10の周りを回転させられる図4および図5の実施形態とは異なり、図10の薬物送達デバイス1の本体2は、その側面に沿って軸方向に分割される。主要部材2.1と可動本体構成要素2.2との間にヒンジ18が配置され、可動本体構成要素2.2が本体2の主要部材2.1に対して長手方向軸の周りを旋回することが可能になり、したがって図4および図5と同様に、アダプタ7(図11)のねじ付領域を分割し、保持ピン(図10および図11には図示せず)を解放することが可能になる。長手方向軸の周りに可動本体構成要素2.2をヒンジ留めすることで、カートリッジ3と可動本体構成要素2.2との間の干渉を回避する。
【0058】
安全機構Sは概して、純粋に機械的な手段または電子的に作動される機械システムのいずれかを含むことができる。安全機構は、潜在的には、部材を位置合わせ位置または位置ずれ位置へ掛止するのを助けるために、物理的な戻り止めまたは磁気要素を使用することもできる。
【0059】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0060】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0061】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0062】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0063】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0064】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0065】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0066】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0067】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり;分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0068】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖;システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり;それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0069】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され;これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0070】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり;αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し;重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0071】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン:1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し;哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0072】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0073】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0074】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0075】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0076】
本発明の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載する装置、方法、および/またはシステムの様々な構成要素、ならびに実施形態の修正(追加および/または削除)を加えることができ、本発明は、そのような修正およびそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0077】
1 薬物送達デバイス
2 本体
2.1 主要部材
2.2 可動本体構成要素
3 カートリッジ
4 針
4.1 ニードルハブ
5 摺動拘束部
6 ポート
7 アダプタ
8 ピン
9 拘束スロット
10 ピボット点
11 開口部
12 摺動ドア
13 リンク機構
14 保持ピン
15 ばね
16 リブ
17.1 縁部
17.2 縁部
18 ヒンジ
AP 位置合わせ位置
D 遠位方向
DP 遠位位置
EU 電気ユニット
MP 位置ずれ位置
P 近位方向
PP 近位位置
S 安全機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11