(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下に添付図面を参照して、商品データ処理装置及びプログラムの実施形態を説明する。なお、本実施形態では、スーパーマーケット等の店舗で用いられるPOS端末に商品データ処理装置及びプログラムを適用する場合について説明する。
【0007】
図1は、実施形態にかかるPOSシステム1の概略構成図である。
図1に示すように、POSシステム1は、商品データ処理装置としての複数台(図では2台)のPOS端末2と、これらのPOS端末2をLAN(Local Area Network)3等のネットワークで接続して集中管理するストアサーバ4とで構成される。
【0008】
ストアサーバ4は、POSシステム1全体の制御を受け持つものである。
図2は、ストアサーバ4の機能的構成を模式的に示すブロック図である。ストアサーバ4は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されるコンピュータ構成の制御部41と、通信I/F43と、I/O機器制御部44とがバス42によって接続されて構成されている。ストアサーバ4は、通信I/F43およびLAN3(
図1参照)を介して複数台のPOS端末2との間で相互にオンライン通信する。また、制御部41にはバス42及びI/O機器制御部44を介して、キーボード45、表示器46、プリンタ47及びHDD(Hard Disk Drive)48が接続されている。HDD48は、制御部41のCPUを動作させる各種制御プログラムの他、商品マスタMおよび税率設定データベースDBを格納している。
【0009】
図3は、商品マスタMのデータ構成を示す図である。
図3に示すように、商品マスタMは、各商品の「商品コード」に対応付けて、商品名や商品の価格等の商品情報を記憶する。「商品コード」は、商品ごとにユニークに設定される識別情報であり、商品の特定に用いられる。例えば、店舗では、商品に添付したラベルに、その商品に設定された商品コードを記載しておく。そして、ラベルに記載された商品コードをバス42や通信I/F43を介して接続するPOS端末2のスキャナ19(
図6参照)等で入力する。ストアサーバ4では、入力された商品コードで商品マスタMを参照することで、商品の特定を行うことができる。
【0010】
税率設定データベースDBは、商品マスタMに設定されている商品、すなわち店舗で取り扱う商品ごとに、商品にかかる税の情報が設定されたデータベースである。具体的には、税率設定データベースDBは、税区分マスタD1と、条件設定マスタD2とを含む。
【0011】
図4は、税区分マスタD1のデータ構成を示す図である。
図4に示すように、税区分マスタD1は、税の区分を識別する「税区分ID」に対応付けて、「税区分名称」と、「税率」とを記憶する。「税区分ID」は、税の区分ごとにユニークに設定された識別情報である。本実施形態では、各商品の売上点数に応じて課せられる消費税の種別を税区分としている。「税区分名称」は、「税区分ID」で識別される税区分の名称を示す。
図4では、「税区分名称」として、「必需品」と、「日用品」と、「嗜好品」とを設定した例を示している。また、「税率」は、「税区分ID」に適用される税率を示す。
【0012】
図5は、条件設定マスタD2のデータ構成を示す図である。
図5に示すように、条件設定マスタD2は、「商品コード」に対応付けて、「適用条件」と、「税区分ID」とを記憶する。ここで、「適用条件」は、「商品コード」で識別される商品にかかる税区分の特定に用いられる。「適用条件」は、「条件ID」と、「売上点数下限」と、「売上点数上限」とを含む。「条件ID」は、適用条件ごとにユニークに設定された識別情報である。また、「売上点数下限」には、売上点数の下限値が設定され、「売上点数上限」には、売上点数の上限値が設定される。適用条件の各々は、この「売上点数下限」と「売上点数上限」とで設定される売上点数の範囲により定義される。なお、「売上点数上限」での“null”は、その上限値が無制限であることを意味する。
【0013】
例えば、「商品コード」が“00101”の商品Aについて、その商品の売上点数が1個である場合、条件ID“201”の適用条件に該当するため、税区分ID“102”の税率“0.05”が適用される。また、「商品コード」が“00101”の商品Aについて、その商品の売上点数が2個以上である場合、条件ID“202”の適用条件に該当するため、対応する税区分ID“101”の税率“0.02”が適用される。
【0014】
次に、POS端末2について説明する。
図6は、POS端末2の外観斜視図である。
図6に示すように、POS端末2は、現金等を収容するためのドロワ12の上に載置されており、このドロワ12の引き出し12aの開閉を制御する。POS端末2の正面側には、登録、点検、精算、設定等の各種業務モードを選択するためのモードキー14が設けられている。また、POS端末2の正面に設けられたキーボード13には、オペレータ(店員)が、例えば預かり金額や売上点数等を入力するための置数キーや、1商取引として販売登録が行われた商品の合計出力を指示する現計キー等、各種操作入力を行うための操作キーが配置されている。
【0015】
さらにPOS端末2には、正面側には店員用ディスプレイ15が、背面側には客用ディスプレイ16が取り付けられている。店員用ディスプレイ15及び客用ディスプレイ16には、例えば液晶ディスプレイ等が用いられ、販売登録された商品の品名、価格や、1商取引の合計金額、釣銭額等が表示される。POS端末2は、レシート及びジャーナルを印字するプリンタ17を内蔵している。プリンタ17によって印字されたレシートは、POS端末2の正面側に形成されたレシート発行口18から発行される。またPOS端末2には、商品に付与されたバーコードを読取るためのスキャナ19が接続されている。
【0016】
図7は、POS端末2の機能的構成を模式的に示すブロック図である。POS端末2は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)等(いずれも不図示)で構成されるコンピュータ構成の制御部21を備えている。ROMは、CPUが実行する各種プログラムや各種データを記憶している。RAMは、CPUが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶する。また、RAMは、商品の販売記録を示す販売データや、店員用ディスプレイ15や客用ディスプレイ16に表示する各種の画面表示データを記憶する。
【0017】
制御部21は、I/O機器制御部24およびバス22を介して、キーボード13、店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16、プリンタ17、スキャナ19等のI/O機器を制御する。また、制御部21は、通信I/F23およびLAN3(
図1参照)を介してストアサーバ4と相互に通信を行う。
【0018】
制御部21は、CPUがROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行することにより、商品コード受付部31と、売上点数受付部32と、税率特定部33と、販売登録部34と、表示制御部35と、印刷制御部36として機能する。
【0019】
商品コード受付部31は、各商品に付されたバーコードがスキャナ19によってスキャンされた場合に、バーコードのデータから商品コードを読み取って受付ける。尚、商品コード受付部31は、キーボード13から入力されたキーにより商品コードの入力を受付けるとしてもよい。また、商品コード受付部31は、二次元コードのようなその他のコードシンボルから商品コードを読み取ってその入力を受付けるとしてもよい。
【0020】
売上点数受付部32は、商品コード受付部31が受け付けた商品コードで特定される商品のうち、所定の条件で分類された同一種別の商品の売上点数の入力を受け付ける。ここで、「同一種別」とは、例えば、同一の商品コードで特定される商品であり、その商品の個数が売上点数として、キーボード13の置数キー等を介して入力される。なお、置数キーの操作が行われない場合には、売上個数“1”がデフォルト値として入力されるよう構成してもよい。また、売上点数の入力方法は、置数キーに限らず、商品コード受付部31が受け付けた商品コードのうち、重複した商品コードの個数を、当該商品コードで特定される商品の売上点数として受け付けてもよい。
【0021】
税率特定部33は、商品コード受付部31が受け付けた商品コードと、その商品コードの売上点数をもとに、通信I/F23を介してストアサーバ4の商品マスタM及び税率設定データベースDBを参照することで、その商品コードで特定される商品に課せられる税率を特定する。
【0022】
具体的には、税率特定部33は、商品コード受付部31及び売上点数受付部32で受け付けられた商品コード及び売上点数をもとに、ストアサーバ4の条件設定マスタD2を参照することで、この商品コード及び売上点数の条件に該当する「税区分ID」を取得する。次いで、税率特定部33は、取得した税区分IDをもとに、税率設定データベースDBの税区分マスタD1を参照することで、その税区分IDに対応付けられた税率を取得する。
【0023】
販売登録部34は、商品コード受付部31が受け付けた商品コードで特定される商品の販売登録を行う。具体的には、商品コード受付部31が受け付けた商品コードを通信I/F23を介してストアサーバ4に問い合わせ、その商品コードに対して商品マスタMに設定されている商品名や価格を取得する。次いで、取得した価格と、税率特定部33が取得した「税率」とをもとに、税額と税込み価格とを算出する。具体的には、販売登録部34は、取得した価格と、税率特定部33が取得した「税率」とを掛け合わせることで、その商品に課せられる税額を算出する。また、販売登録部34は、算出した税額をその商品の価格に加算することで、税込み価格を算出する。そして、販売登録部34は、商品名、価格、税額、税込み価格(販売価格)等を、販売された商品の情報として登録する。
【0024】
表示制御部35は、店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に販売登録部34が登録した各商品の商品名、価格、税額、税込み価格等を表示する。具体的には、表示制御部35は、税率特定部33による判別結果をもとに、税区分ごとに、その税区分が判別された商品を示す情報(商品名、価格、税込み価格)と、その商品にかかる税額とを表示する(詳細は後述する)。なお、表示制御部35が表示する表示内容は、店員用ディスプレイ15及び客用ディスプレイ16の双方においてその全てを表示する必要はなく、表示内容は利便性に応じて適宜振り分けて表示されればよい。
【0025】
印刷制御部36は、販売店の店名や連絡先、販売登録部34が登録した各商品の商品名、価格、税込み価格、税額等をプリンタ17によってレシート用紙に印字する。具体的には、印刷制御部36は、税率特定部33による判別結果をもとに、税区分ごとに、その税区分が判別された商品を示す情報(商品名、価格、税込み価格)と、その商品にかかる税額とをレシート用紙に印字する(詳細は後述する)。印字したレシート用紙はレシート発行口18から発行される。
【0026】
次に、POS端末2が実行する動作の手順について説明する。
図8は、POS端末2が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【0027】
まず、POS端末2において、商品に付されたバーコードがスキャナ19によりスキャンされる。商品コード受付部31は、スキャナ19によりバーコードがスキャンされるまで待機する(ステップS11:No)。スキャナ19によりバーコードがスキャンされると、商品コード受付部31は、このバーコードのデータから商品コードを読み取って受付ける(ステップS11:Yes)。また、このとき置数キーの操作等により、スキャンされた商品の売上点数が入力されると、売上点数受付部32は、その入力された売上点数を受け付ける(ステップS12)。
【0028】
続いて、税率特定部33は、商品コード受付部31が受付けた商品コードに対応する商品の税区別IDと、売上点数受付部32が受け付けた当該商品の売上個数とをもとに、この条件に該当する税区分IDを条件設定マスタD2から取得する(ステップS13)。次いで、税率特定部33は、ステップS13で取得した税区分IDをもとに、その税区分IDで特定される税率を税区分マスタD1から取得する(ステップS14)。
【0029】
販売登録部34は、商品コードに対して商品マスタMに設定されている商品名や価格等の商品情報を取得し、税率特定部33が取得した税率をもとに、税額や税込み価格を算出する(ステップS15)。次いで、販売登録部34は、税率特定部33が取得した税区分及び税率に、商品コードで特定された商品の商品情報と、算出した税額とを対応付けてRAMに記憶する(ステップS16)。具体的には、税区別を示す「税区別ID」用に確保された配列(記憶領域)に、商品コード受付部31が受け付けた商品コードと、算出した税額とをスタックする。
【0030】
続いて、販売登録部34は、商品名、価格、税額、税込み価格、売上点数等、販売された商品の情報を登録する(ステップS17)。次いで、表示制御部35は、店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に、販売登録部34が登録した各商品の商品名、価格、税額、税込み価格等を表示する(ステップS18)。
【0031】
次に、POS端末2は、キーボード13において現計キーが押下されたか否かを判定する(ステップS19)。現計キーが押下されていない間(ステップS19:No)は、ステップS11に戻りステップS11〜S19の処理を全商品の販売登録が終わるまで続ける。したがって、ステップS16では、販売登録の対象となった全商品について、税区分ごとに商品と算出した税額とがRAMにスタックされて、記憶されることとなる。
【0032】
現計キーが押下された場合(ステップS19:Yes)、印刷制御部36は、税区分ごとにRAMに記憶されている商品と税額とを順次読み出し、税区分ごとに各商品の品名、価格、税額、税込み価格、売上点数等をレシート用紙に印字する(ステップS20)。具体的には、税区分ごとにRAMに記憶されている商品コードを順次読み出し、その商品コードで特定される商品についてステップS17で登録した内容を読み出してレシート用紙に印字する。また、印刷制御部36は、税区分ごとの「税区分名称」を税区分マスタD1より読み出し、税区分において商品の価格に対して課税される税率等の、税区分に関する情報をレシート用紙に印字する。
【0033】
図9は、POS端末2が印字するレシート用紙の一例を示す概念図である。
図9に示すように、ステップS20によりレシート用紙には、税区分ごとに各商品の品名、税額が印字される。図示例では、税区分である“必需品”、“日用品”、嗜好品ごとに、商品名(“商品A”等)と税額(“¥8”等)とがレシート用紙に印字されている。また、税区分に関する情報として、商品の価格に対して課税される税率(“ゼイ:2%”等)が印字される。
【0034】
図8に戻り、印刷制御部36は、レシート発行口18から印字したレシート用紙を発行する(ステップS21)。そして、店員は会計処理を行って一会計の販売登録処理を終了する。
【0035】
なお、本実施形態ではステップS20、S21においてレシート用紙に印字して出力する動作を例示しているが、表示制御部35が上述したステップS20、S21においてレシート用紙に印字する内容を店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16に表示してもよい。すなわち、表示制御部35による店員用ディスプレイ15、客用ディスプレイ16への表示及び印刷制御部36によるレシート用紙への印字の少なくとも一方で出力されればよい。
【0036】
以上のように、POS端末2では、同一の商品コードで特定される商品の売上点数に応じて、その売上点数に応じた税率を特定し、当該税率をもとに算出した税額及び税込み価格を用いて販売登録を行う。これにより、商品に課せられる税率を当該商品の売上点数に応じて変更することができるため、商品の売上点数を条件に税率(消費税)を変更するような税制度への対応が可能となる。また、本実施形態のPOS端末2では、販売登録される商品について、税区分ごとに、商品名、税込み価格等の商品を示す情報と、その商品にかかる税額とが出力される。したがって、店員や顧客は、販売登録される商品の各々について、税区分ごとに、その税区分にかかる商品と税額とを容易に知ることができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0038】
例えば、上記実施形態では、同一種別の商品を、同一の商品コードで特定される商品としたが、これに限らず、同一のカテゴリ(例えば、酒類等)に属する商品を、同一種別の商品としてもよい。この場合、商品マスタMは、各商品の商品コードと対応付けて、当該商品が所属するカテゴリを識別するための分類コードを記憶し、条件設定マスタD2では、分類コードと対応付けて、適用条件及び税区分IDを対応付けて記憶する。そして、売上点数受付部32は、販売登録の対象となった商品のうち、同一のカテゴリに属する商品群ごとに、その売上点数の入力を受け付ける。このような構成を採用することで、同一カテゴリに属する商品群の売上点数に応じて、当該商品群に課せられる税率を変更することが可能となる。なお、分類コードは、商品コードの一部(例えば、上位3桁等)に含まれる形態としてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、税率が売上点数に依存しない、税率が一定の商品を条件設定マスタD2に登録する形態としたが(
図5の商品コード“00102”参照)、これに限らず、他の領域に登録する形態としてもよい。例えば、税率が一定の商品については、当該商品の商品コードと対応付けて商品マスタMに税率を記憶する形態としてもよい。この構成を採用する場合、税率特定部33は、商品コード受付部31が受け付けた商品コードを、条件設定マスタD2から検索し、該当する商品コード(適用条件)が存在しない場合に、商品マスタMを参照する。そして、税率特定部33は、商品コード受付部31が受け付けた商品コードに対応する税率を商品マスタMから読み出すことで、当該税率を特定する。
【0040】
また、上記実施形態では、商品マスタM及び税率設定データベースDBをストアサーバ4が保持する形態としたが、これに限らず、商品マスタM及び税率設定データベースDBの一部又は全てを、POS端末2が保持する形態としてもよい。
【0041】
なお、本実施形態のPOS端末2で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施形態のPOS端末2で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0042】
さらに、本実施形態のPOS端末2で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のPOS端末2で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0043】
上記実施形態のPOS端末2で実行されるプログラムは、上述した各部(商品コード受付部31、売上点数受付部32、税率特定部33、販売登録部34、表示制御部35、印刷制御部36)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、主記憶装置上に生成されるようになっている。