特許第6356727号(P6356727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356727
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/42 20060101AFI20180702BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20180702BHJP
   B05C 3/09 20060101ALI20180702BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20180702BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   G03F7/42
   H01L21/304 642A
   B05C3/09
   B05C11/10
   H01L21/30 572B
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-106453(P2016-106453)
(22)【出願日】2016年5月27日
(62)【分割の表示】特願2012-267898(P2012-267898)の分割
【原出願日】2012年12月7日
(65)【公開番号】特開2016-200821(P2016-200821A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2016年5月27日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(72)【発明者】
【氏名】長良 修治
(72)【発明者】
【氏名】西村 高志
(72)【発明者】
【氏名】有岡 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】藤原 直澄
(72)【発明者】
【氏名】荒木 浩之
(72)【発明者】
【氏名】本庄 一大
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−115356(JP,A)
【文献】 特開2006−121031(JP,A)
【文献】 特開2008−244271(JP,A)
【文献】 特開2006−344792(JP,A)
【文献】 特開平10−022244(JP,A)
【文献】 特開2001−077073(JP,A)
【文献】 特開2000−070886(JP,A)
【文献】 特開平09−005691(JP,A)
【文献】 特開平08−323306(JP,A)
【文献】 特開平08−111448(JP,A)
【文献】 特開平07−240456(JP,A)
【文献】 特開2007−288134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00−7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に被着された被膜を剥離液により剥離処理する基板処理装置において、
剥離液を貯留し、基板を浸漬して処理するための処理槽と、
前記処理槽から溢れた剥離液を回収するオーバフロー槽と、
複数枚の基板を保持し、前記処理槽内の処理位置と、前記処理槽の上方にあたる待機位置とにわたって昇降自在のリフタと、
前記リフタの下部に取り付けられた板状部材と、
を備え、
前記リフタに複数枚の基板を保持させた状態で、前記リフタを処理位置に移動させ、剥離処理を行わせ、剥離処理の終了後、前記リフタを待機位置に移動させる際に、前記板状部材で剥離液に上昇液流を生じさせ、前記処理槽に浮遊している被膜の破片を前記オーバフロー槽へ排出させ、
前記板状部材は、基板の両側縁を越え、前記処理槽の内壁を越えない幅を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項に記載の基板処理装置において、
純水を貯留し、基板を浸漬して洗浄処理するための洗浄槽をさらに備え、
前記リフタを前記洗浄槽へ収容して、前記板状部材で捕捉された被膜の破片を純水により洗浄除去することを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板(以下、単に基板と称する)を処理する基板処理装置に係り、特に、フォトレジスト被膜などの各種被膜を除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、処理液を貯留し、基板を浸漬して被膜の洗浄除去処理を行う処理槽と、処理槽から溢れた処理液を回収するオーバフロー槽と、処理槽とオーバフロー槽とを連通接続し、処理液を処理槽に供給するとともに循環させる循環配管と、循環配管に連通したオーバフロー槽の排液口の上部を覆うように設けられたフィルタ部材と、循環配管に設けられ、処理液中のパーティクルを取り除く循環フィルタと、フォトレジスト被膜が被着された複数枚の基板を保持するリフタとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような構成の装置では、例えば、処理槽及びオーバフロー槽に剥離液が貯留循環された状態で、フォトレジスト被膜が被着された複数枚の基板がリフタに載置されたまま、処理槽の剥離液中に浸漬される。そした、その状態を所定時間だけ維持することにより、基板に被着されたフォトレジスト被膜が剥離される。剥がれたフォトレジスト被膜は、処理槽からオーバフロー槽への剥離液の流れに乗って排出され、フィルタ部材によって捕らえられる。したがって、フォトレジスト被膜の破片に起因する循環フィルタの目詰まりを防止できるようになっている。なお、剥離されたフォトレジスト被膜は、数ミリ角程度の大きさの小さな破片や、数センチ角程度の大きさの大きな破片となって処理槽中を漂うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−96012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、フォトレジスト被膜の破片がフィルタ部材によって捕捉されるものの、フィルタ部材の交換頻度が高くなり、フィルタ部材の手動による洗浄が必要となってメンテナンスが煩雑になるという問題がある。
【0006】
また、フォトレジスト被膜の破片が処理槽の中からオーバフロー槽へと排出されない場合があり、オーバフロー槽に設けられたフィルタ部材によりフォトレジスト被膜の破片を効率的に回収することができないという問題がある。フォトレジスト被膜の小さな破片は処理槽からオーバフロー槽への液流に乗って排出されやすいが、特に、フォトレジスト被膜の大きめの破片は排出されにくい傾向がある。そのため、フォトレジスト被膜の大きめの破片が処理槽の処理液中に残留すると、フォトレジスト被膜の大きめの破片が処理中の基板に付着したり、次のロットの基板が処理槽に浸漬された際に基板に付着したりして悪影響が生じることになる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、被膜の破片を容易に回収することができ、メンテナンスを容易に行うことができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板から剥離した被膜の破片を処理槽から確実に排出することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(削除)
【0010】
(削除)
【0011】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項に記載の発明は、基板に被着された被膜を剥離液により剥離処理する基板処理装置において、剥離液を貯留し、基板を浸漬して処理するための処理槽と、前記処理槽から溢れた剥離液を回収するオーバフロー槽と、複数枚の基板を保持し、前記処理槽内の処理位置と、前記処理槽の上方にあたる待機位置とにわたって昇降自在のリフタと、前記リフタの下部に取り付けられた板状部材と、を備え、前記リフタに複数枚の基板を保持させた状態で、前記リフタを処理位置に移動させ、剥離処理を行わせ、剥離処理の終了後、前記リフタを待機位置に移動させる際に、前記板状部材で剥離液に上昇液流を生じさせ、前記処理槽に浮遊している被膜の破片を前記オーバフロー槽へ排出させ、前記板状部材は、基板の両側縁を越え、前記処理槽の内壁を越えない幅を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
[作用・効果]請求項に記載の発明によれば、剥離処理が終了した後、リフタを待機位置に移動させると、剥離処理により剥離し、処理槽内に残った被膜の破片を板状部材で剥離液に上昇液流を生じさせ、被膜の破片を前記オーバフロー槽へ排出させる。したがって、基板から剥離した被膜の破片を処理槽からオーバフロー槽へ確実に排出することができる。また、板状部材が基板の両側縁を越え、処理槽の内壁を越えない幅とされているので、処理槽中の被膜の破片を処理槽の底部へ最大限に追いやることができるとともに、処理槽中に残った被膜の破片を処理槽から最大限にすくい上げることができる。
【0013】
(削除)
【0014】
(削除)
【0015】
また、本発明において、純水を貯留し、基板を浸漬して洗浄処理するための洗浄槽をさらに備え、前記リフタを前記洗浄槽へ収容して、前記板状部材で捕捉された被膜の破片を純水により洗浄除去することが好ましい(請求項)。
【0016】
洗浄槽にリフタを収容することにより、板状部材に捕捉された被膜の破片を純水で洗浄除去することができる。したがって、次の基板の処理の際に被膜が処理槽内に持ち込まれることを防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る基板処理装置によれば、剥離処理が終了した後、リフタを待機位置に移動させると、剥離処理により剥離し、処理槽内に残った被膜の破片を板状部材で剥離液に上昇液流を生じさせ、被膜の破片を前記オーバフロー槽へ排出させる。したがって、基板から剥離した被膜の破片を処理槽からオーバフロー槽へ確実に排出することができる。また、板状部材が基板の両側縁を越え、処理槽の内壁を越えない幅とされているので、処理槽中の被膜の破片を処理槽の底部へ最大限に追いやることができるとともに、処理槽中に残った被膜の破片を処理槽から最大限にすくい上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。
図2】リフタが待機位置にある状態を示す模式図である。
図3】リフタが処理位置に下降した状態を示す模式図である。
図4】剥離処理中を示す模式図である。
図5】剥離処理により基板からフォトレジスト被膜が剥離している状態を示す模式図である。
図6】剥離処理後にリフタを待機位置に上昇させた状態を示す模式図である。
図7】網状部材に付着したフォトレジスト被膜の破片を廃棄する動作を示す模式図である。
図8】洗浄槽でリフタの網状部材を洗浄する動作を示す模式図である。
図9】実施例2に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。
図10】オートカバーを開放させた状態を示す模式図である。
図11】リフタを処理位置に移動させた状態を示す模式図である。
図12】剥離処理中を示す模式図である。
図13】剥離処理を終えた状態を示す模式図である。
図14】オートカバーを開放させる動作を示す模式図である。
図15】スクイーザの動作を示す模式図である。
図16】スクイーザの動作を示す模式図である。
図17】実施例3に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。
図18】剥離処理中を示す模式図である。
図19】剥離処理中を示す模式図である。
図20】実施例4に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。
図21】剥離処理中を示す模式図である。
図22】リフタを処理位置から上昇させ始めた状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る基板処理装置の各種の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施例1について説明する。
図1は、実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。また、図2は、リフタが待機位置にある状態を示す模式図であり、図3は、リフタが処理位置に下降した状態を示す模式図であり、図4は、剥離処理中を示す模式図であり、図5は、剥離処理により基板からフォトレジスト被膜が剥離している状態を示す模式図であり、図6は、剥離処理後にリフタを待機位置に上昇させた状態を示す模式図であり、図7は、網状部材に付着したフォトレジスト被膜の破片を廃棄する動作を示す模式図であり、図8は、洗浄槽でリフタの網状部材を洗浄する動作を示す模式図である。
【0021】
本実施例に係る基板処理装置は、基板Wに被着された被膜を剥離液によって剥離処理する。以下の説明においては、被膜としてフォトレジスト被膜を例にとって説明するが、本発明における被膜としては、例えばパッシベーション(Passivation)膜などの被膜であってもよい。
【0022】
基板処理装置は、複数枚の基板Wを一括して剥離処理するための処理部1を備えている。この処理部1は、純水や剥離液などの処理液を貯留し、複数枚の基板Wを収容可能な大きさを有する処理槽3と、処理槽3の上縁から周囲に溢れる処理液を回収するオーバフロー槽5と、処理槽3及びオーバフロー槽5の下方と側方とを囲った外容器7とを備えている。処理槽3は平面視で矩形の形状を有しており、その四辺それぞれに沿ってその外側にオーバフロー槽5が設けられている。
【0023】
処理部1の近くには、リフタ9が設けられている。このリフタ9は、高さ方向において処理槽3の上方にあたる「待機位置」(図1の二点鎖線)と、処理槽3の内部にあたる「処理位置」(図1の実線)とにわたって昇降可能に構成されている。また、リフタ9は、待機位置において水平方向にも移動可能に構成されている。さらに、リフタ9は、処理槽3の側壁に沿って延出された背板11と、背板11の下部にて水平方向(紙面の奥手前方向)に延出された3本の支持部13とを備えている。リフタ9は、3本の支持部13の下面に、すくい上げ網部15が取り付けられている。
【0024】
すくい上げ網部15は、その両端部がリフタ9に保持された基板Wの両側縁を越え、処理槽3の内壁よりも内側の範囲となる幅を備えていて、平面視では処理槽3とほぼ同一形状を呈するが、処理槽3の内壁には接触しない大きさと形状である。また、すくい上げ網部15は、処理液を通過させるが基板Wから剥離したフォトレジスト被膜は通過させない「網状部材」で形成されている。
【0025】
処理槽3は、底部の両側に噴出管17を取り付けられている。各噴出管17は、供給された処理液を処理槽3の底面中央に向けて噴出させる。各噴出管17の間であって、処理槽3の底面には、4本の気泡供給管19が設けられている。各気泡配管19は、処理槽3の底部から気泡を供給する。
【0026】
オーバフロー槽5は、その上縁に捕捉部21が配設されている。捕捉部21は、処理槽3から溢れる処理液に含まれているフォトレジスト被膜の破片を捕捉する。具体的には、捕捉部21は、処理槽3の四辺それぞれについて、オーバフロー槽5の上縁に配置された駆動部23と、駆動部23により揺動駆動される捕捉部材25とから構成されている。捕捉部材25は、上述したすくい上げ網部15と同様の「網状部材」で構成されている。捕捉部材25は、オーバフロー槽5の上部開口に開閉自在に設置され、その上部開口を実質的に覆い、一方面が上方に向けられた「回収位置」(図1の実線)と、捕捉部材25の一方面が下方に向けられた「廃棄位置」(図1の二点鎖線)とにわたって駆動部23によって姿勢が制御される。駆動部23は、例えば、電動モータを備えている。
【0027】
なお、上述した駆動部23が本発明における「駆動手段」に相当する。上述したオーバフロー槽5は、必ずしも処理槽3の全周に設ける必要はないが、処理槽3から処理液をオーバフローさせる場所において、その処理液を実質的に全て受容できるようにするのがよい。また捕捉部21の捕捉部材25は、処理液が処理槽3からオーバフローしてオーバフロー槽5に至る実質的に全ての経路に設けられることが望ましい。
【0028】
外容器7は、回収容器27を備えている。回収容器27は、外容器7内においてオーバフロー槽5の外側でかつ下方の位置にあって、捕捉部材25が廃棄位置に移動された際に、捕捉部材25から落下するフォトレジスト被膜の破片を受け止めて回収する。回収容器27は、容器把手29が上部に立設されている。容器把手29は、上部が外容器7に係止される。回収容器27は、容器把手29により外容器7の下方に配置され、容器把手29を上方に引き上げることにより外容器7の外部に搬出される。
【0029】
オーバフロー槽5は、底部に排液口31が形成されている。循環配管33は、一端側が排液口31に連通接続され、他端側が噴出管17に連通接続されている。循環配管33は、オーバフロー槽5側である上流側から順に、循環ポンプ35と、制御弁37と、インラインヒータ39と、循環フィルタ41とを備えている。また、循環ポンプ35と制御弁37との間には、排液配管43の一端側が連通接続されている。排液配管43の他端側には、図示しない排液処理部が配置されている。排液配管43は、制御弁45が取り付けられている。
【0030】
上述した各気泡供給管19には、供給管47の一端側が連通接続されている。供給管447の他願側は、窒素ガス供給源49に連通接続されている。供給管47には、制御弁51が取り付けられている。
【0031】
なお、上述した気泡供給管19が本発明における「気泡供給手段」に相当する。
【0032】
上述した各部は、制御部53によって統括制御される。具体的には、リフタ9の昇降動作、駆動部23による捕捉部材25の回転動作、循環ポンプ35の作動、インラインヒータ39の温調動作、制御弁37,45,51の開閉が制御部53により制御される。また、図示省略しているが、処理部1に純水や剥離液などの処理液を供給する処理液供給系も制御部53により制御される。
【0033】
なお、本実施例では、上述した処理部1の近くに、図8に示す洗浄槽55が配置されているものとする。洗浄槽55は、純水などの洗浄液により洗浄を行う。この洗浄槽55は、上述した処理部1と同様に、処理槽3とオーバフロー槽5とを備えている。
【0034】
次に、図2図8を参照して、上述した基板処理装置の動作について説明する。なお、処理槽3には所定の温度に温調された剥離液が既に貯留され、フォトレジスト被膜が被着された複数枚の基板Wが既に少なくとも一度は浸漬されて剥離処理が行われ、処理槽3に貯留する剥離液には剥離したフォトレジスト被膜の破片ffが浮遊しているものとする。また、制御弁37,45,51は閉止され、捕捉部材25は回収位置にあるものとする。
【0035】
リフタ9は、フォトレジスト被膜が被着された複数枚の基板Wを保持した状態で待機位置にある(図2)。制御部53は、リフタ9を処理位置にまで下降させる。このとき、リフタ9の下降に伴って処理槽3の剥離液はすくい上げ網部15の網目を下から上に通過するが、剥離液中に浮遊しているフォトレジスト被膜の破片ffは、リフタ9のすくい上げ網部15の網目よりも大きいものはそのすくい上げ網部15を通過できず、処理槽3の底部に追いやられる(図3)。したがって、処理槽3内に残っていたフォトレジスト被膜の破片ffが基板Wに付着することを抑制できる。
【0036】
次に、制御部53は、制御弁37を開放させるとともに、循環ポンプ35及びインラインヒータ39を作動させ、処理槽3に貯留する剥離液を所定温度に温調させつつ循環配管33を通して循環させる。さらに、制御部53は、制御弁51を開放させて、気泡供給管15から窒素ガスの気泡を処理槽3の底部から供給させる(図4)。剥離液の循環により処理槽3の内部には、処理槽3の底部から液面に向かう液流が生じる。さらに、気泡供給管19からの気泡は、基板Wの間にも入り込みつつ上昇するので、基板Wに付着しているフォトレジスト被膜の剥離を促進させることができる。また、基板Wから剥離したフォトレジスト被膜を気泡により細かく分断させることができる。この剥離処理を所定時間維持すると、基板Wに被着されているフォトレジスト被膜が剥離されるとともに、フォトレジスト被膜の破片ffが液流にのってオーバフロー槽5側に排出される。排出されたフォトレジスト被膜の破片ffは、回収位置にある捕捉部材25によって捕捉される(図5)。したがって、オーバフロー槽5にフォトレジスト被膜の所定以上の大きさの破片ffが流入することはない。また、液流に乗らなかったフォトレジスト被膜の破片ffは、処理槽3の剥離液中に滞留する。
【0037】
所定時間の剥離処理の後、制御部53は、リフタ9を処理位置から待機位置へと上昇させる(図6)。このとき、処理槽3の剥離液のうち、すくい上げ網部15よりも上方部分中に浮遊するフォトレジスト被膜の破片ffは、すくい上げ網部15によってすくい上げられて回収される。なおこのとき制御部53は、制御弁37,51を閉止させるとともに、循環ポンプ35及びインラインヒータ39を停止させてもよい(図6)。
【0038】
制御部53は、リフタ9が待機位置に上昇し終えた後、駆動部23を作動させて、捕捉部材25を回収位置から廃棄位置に回転移動させる(図7)。すると、捕捉部材25は、捕捉部材25の一方面が下方に向けられるので、捕捉部材25で捕捉されたフォトレジスト被膜の破片ffが落下して、回収容器27に回収される。したがって、捕捉部材25で捕捉されたフォトレジスト被膜の破片ffを容易に回収することができ、メンテナンスを容易に行うことができる。回収容器27は、フォトレジスト被膜の破片ffがたまってきた場合には、オペレータにより容器把手29を持って外容器7から取り出され、内部にたまったフォトレジスト被膜の破片ffが廃棄される。
【0039】
次に、制御部53は、リフタ9が保持する複数枚の基板Wを他の装置等へ移載した後、空になったリフタ9を処理部1とは異なる位置にある洗浄槽55へ移動させる。そして、リフタ9を洗浄槽55の処理位置に移動させた後、洗浄槽55の処理槽3からオーバフロー槽5へ洗浄液をオーバフローさせる。これにより、すくい上げ網部15で捕らえられたフォトレジスト被膜の破片ffが洗浄液により押し上げられて処理槽3からオーバフロー槽5へと排出される。したがって、すくい上げ網部15に捕捉されたフォトレジスト被膜の破片ffを洗浄液で洗浄除去することができるので、次の基板Wの処理の際にフォトレジスト被膜の破片ffが処理部1の処理槽3に持ち込まれることを防止できる。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0041】
(1)上述した実施例1では、リフタ9にすくい上げ網部15を備えているとともに、オーバフロー槽5に捕捉部21を備え、さらに処理槽3に気泡供給管19を備えている。しかしながら、本発明はこれらの三個の構成を同時に備えることが必須ではなく、これらのいずれか一つだけを備える構成としてもよい。
【0042】
(2)上述した実施例1では、外容器7に対して回収容器27を容器把手29により着脱自在としているが、外容器7に対して回収容器27を固定的に設けてもよい。
【0043】
(3)上述した実施例1では、駆動部23により捕捉部材25を回転(揺動)駆動したが、例えば、エアシリンダとリンク機構とによって捕捉部材25を回収位置と廃棄位置とにわたって姿勢を変えるように構成してもよい。
【0044】
(4)上述した実施例1では、すくい上げ網部15を支持部13の下面に取り付けているが、基板Wの下縁よりも下方であればすくい上げ網部15の取り付け位置は限定されない。
【実施例2】
【0045】
次に、図面を参照して本発明の実施例2について説明する。
図9は、実施例2に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。また、図10は、オートカバーを開放させた状態を示す模式図であり、図11は、リフタを処理位置に移動させた状態を示す模式図であり、図12は、剥離処理中を示す模式図であり、図13は、剥離処理を終えた状態を示す模式図であり、図14は、オートカバーを開放させる動作を示す模式図であり、図15は、スクイーザの動作を示す模式図であり、図16は、スクイーザの動作を示す模式図である。
【0046】
なお、上述した実施例1と異なる部分について説明し、実施例1と同様の構成については同符号を付すことで詳細な説明については省略する。
【0047】
本実施例における処理部1Aは、外容器7を備えていないこと、リフタ9Aがすくい上げ網部15を備えていないこと、オーバフロー槽5が捕捉部21を備えていないことにおいて上述した実施例1の構成と相違する。一方、処理部1Aは、オートカバー57を備えている。このオートカバー57は、一対のカバー部材59を備えている。一対のカバー部材59は、処理槽3の上方を覆う「閉止位置」と、処理槽3の上方を開放する「開放位置」とにわたって移動可能に構成されている。その移動は、図9に二点鎖線で示すように、中央側の高さの変動が小さく、端部側の高さの変動が大きくなるように、傾斜姿勢で徐々に側方へ変位することで行われる。
【0048】
オートカバー57は、処理槽3の上縁から若干上方にその下面が離間して位置し、オーバフロー槽5の上方にわたって配置されている。オートカバー57は、各カバー部材59の突き合わせ部に、スクイーザ61が取り付けられている。スクイーザ61は、カバー部材59に取り付ける取り付け部材63と、この取り付け部材63によってカバー部材59から垂下した姿勢で設けられたスクイーズ部65とを備えている。スクイーズ部65は、オートカバー57が閉止された状態において、処理槽3に貯留する剥離液の表層に浸漬される位置に設けられている。一方、オートカバー57が開放される際には、スクイーズ部65が処理槽3に貯留する剥離液の表層をオーバフロー槽5側へ押し出すように移動される。
【0049】
上述したオートカバー57は、制御部53によって駆動操作される。
【0050】
次に図10図16を参照して、上述した基板処理装置の動作について説明する。
【0051】
制御部53は、まず基板Wを支持したリフタ9Aを待機位置に位置させた状態で、オートカバー57を開放位置に移動させる(図10)。そして、リフタ9Aを処理位置に下降させた後、オートカバー57を閉止位置に移動させる(図11)。次に、制御部53は、剥離液を温調させつつ剥離液を処理槽3とオーバフロー槽5との間で循環させ、さらに処理槽3に気泡を供給させる。これにより基板Wに被着されているフォトレジスト被膜が剥離処理される。剥離したフォトレジスト被膜は、気泡と液流に乗って処理槽3の表層へと運ばれる(図12)。しかしながら、フォトレジスト被膜の破片ffは、全てがオーバフロー槽5へ排出されるわけではなく、一部が処理槽3に貯留している剥離液の表層に滞留する(図13)。
【0052】
制御部53は、処理が終了して剥離液の循環及び気泡の供給を停止させた後、オートカバー57を開放位置へと移動させる。このとき、図14から図16に示すように、オートカバー57が開放位置に移動する際に、スクイーザ61のスクイーズ部65が処理槽3に貯留する剥離液の表層に漬けられた状態で移動し、その剥離液の表層をオーバフロー槽5側へ押しやるが、それに伴って浮遊しているフォトレジスト被膜の破片ffが剥離液の表層と共にオーバフロー槽5へ押し出されて排出される。
【0053】
上述した動作により、基板Wから剥離したフォトレジスト被膜の破片ffを処理槽3から確実に排出することができる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0055】
(1)上述した実施例2では、スクイーザ61をオートカバー57に取り付けているのでオートカバー57の動作に連動させることができる。したがって、スクイーザ61の駆動手段を必要としないので装置コストを抑制することができる。しかし、スクイーザ61を別の駆動手段で移動させるようにしてもよい。これにより、オートカバー57の動作に関係なく、スクイーザ61を動作させることができる。
【0056】
(2)上述した実施例2では、気泡供給管19から気泡を発生させているが、気泡供給管19を省略した構成としてもよい。
【0057】
(3)上述した実施例2に対して、さらに実施例1における捕捉部21をオーバフロー槽5に備えるようにしてもよい。これにより、スクイーザ61によって押し出された被膜の破片ffを容易に回収することができる。
【実施例3】
【0058】
次に、図面を参照して本発明の実施例3について説明する。
図17は、実施例3に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。また、図18は、剥離処理中を示す模式図であり、図19は、剥離処理中を示す模式図である。
【0059】
なお、上述した実施例1,2と同様の構成については同符号を付すことで詳細な説明については省略する。
【0060】
本実施例における処理部1Bは、オートカバー57に取り付けられたスクイーザ61を備えておらず、処理槽3の底面を囲うように溶媒槽69を備え、その溶媒槽69の下面に超音波振動付与部67を備えている点で上述した実施例2と相違する。超音波振動付与部67は、超音波振動を発生させる。溶媒槽69は、超音波振動付与部67が発生した超音波振動を処理槽3の底面から処理槽3に貯留する剥離液に伝達させる。超音波振動付与部67は、制御部53によって操作される。
【0061】
なお、上述した超音波振動付与部67が本発明における「超音波振動付与手段」に相当する。
【0062】
次に、図18及び図19を参照して、上述した基板処理装置の動作について説明する。
【0063】
基板Wを支持したリフタ9Aを処理位置に移動させて、処理槽3の剥離液に基板Wを浸漬させ、剥離液を循環させる。さらに、制御部53は、超音波振動付与部67から超音波振動を発生させる(図18)。剥離液により基板Wからフォトレジスト被膜が剥離され,フォトレジスト被膜の破片ffとなって剥離液中に浮遊するが、超音波振動によりフォトレジスト被膜の破片ffが細かく分解されて、細かい破片sffにされる(図19)。したがって、処理槽3からオーバフロー槽5への剥離液の液流に乗せて、フォトレジスト被膜の破片ffを排出させることができる。その結果、基板から剥離したフォトレジスト被膜の破片ffを処理槽から確実に排出することができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0065】
(1)上述した実施例3では、実施例1,2と同様の気泡供給管19をオーバフロー槽5に備えるようにしてもよい。これにより、オーバフロー槽5へ排出されたフォトレジスト被膜の細かい破片sffを気泡によりさらに細分化することができる。したがって、下流側の循環フィルタ41や循環配管33の詰まりを抑制することができる。
【0066】
(2)上述した実施例3では、実施例1と同様の捕捉部21を併用してもよい。これにより細かくされなかった被膜の破片ffを捕捉部21で捕捉させることができる。
【0067】
(3)上述した実施例3では、実施例2と同様のスクイーザ61を併用してもよい。これにより液流に乗り切れなかったフォトレジスト被膜の細かい破片sffをオーバフロー槽5へ排出することができる。
【実施例4】
【0068】
次に、図面を参照して本発明の実施例4について説明する。
図20は、実施例4に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。また、図21は、剥離処理中を示す模式図であり、図22は、リフタを処理位置から上昇させ始めた状態を示す模式図である。
【0069】
なお、上述した実施例1と同様の構成については同符号を付すことで詳細な説明については省略する。
【0070】
処理部1Cは、処理槽3と、オーバフロー槽5とを備えている。リフタ9Bは、支持部13の下面にすくい上げ部材71を備えている。すくい上げ部材71は、板状部材で構成されている。すくい上げ部材71は、その幅が、基板Wの側縁を越えて、処理槽3の内壁を越えない寸法に形成されている。
【0071】
制御部53は、フォトレジスト被膜が被着された基板Wを保持したリフタ9Bを処理位置に移動させ、剥離液を循環させて剥離処理を行わせる。このとき、処理槽3中にフォトレジスト被膜の破片が浮遊していたとしても、すくい上げ部材71により処理槽3の下部へ追いやった状態で剥離処理を行わせることができる。剥離処理により、基板Wに被着されていたフォトレジスト被膜が剥離され、剥離液中にフォトレジスト被膜の破片ffとなって浮遊する(図21)。一部は、剥離液の流れに乗ってオーバフロー槽5に排出されるが、処理槽3内に滞留するものもある。
【0072】
剥離処理が終わると、制御部53は、リフタ9Bを待機位置に上昇させ始めるが、このとき処理槽3内の剥離液は、すくい上げ部材71によって持ち上げられる(図22)。これにより剥離液に上昇液流が生じるので、処理槽3内に浮遊しているフォトレジスト被膜の破片ffをオーバフロー槽5へ排出させることができる。したがって、基板Wから剥離したフォトレジスト被膜の破片ffを処理槽3から確実に排出することができる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0074】
(1)上述した実施例4では、実施例1と同様の捕捉部21を併用してもよい。これによりオーバフロー槽5側へ押し出されたフォトレジスト被膜の破片ffを捕捉部21で捕捉させることができる。
【0075】
(2)上述した実施例4では、実施例3と同様の超音波振動付与部67をオーバフロー槽5に備えるようにしてもよい。これにより、オーバフロー槽5へ排出されたフォトレジスト被膜の破片ffを超音波振動により細分化することができる。したがって、下流側の循環フィルタ41や循環配管33の詰まりを抑制することができる。
【符号の説明】
【0076】
W … 基板
1 … 処理部
3 … 処理槽
5 … オーバフロー槽
9 … リフタ
15 … すくい上げ網部
19 … 気泡供給管
21 … 捕捉部
23 … 捕捉部材
27 … 回収容器
33 … 循環配管
35 … 循環ポンプ
53 … 制御部
ff … フォトレジスト被膜の破片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22