(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回路基板の実装面上に実装される第一コネクタと、該回路基板の実装面と平行に配される他の回路基板の実装面上に実装され該実装面に対して直角な方向をコネクタ嵌合方向として上記第一コネクタに嵌合接続される第二コネクタとを有するコネクタ組立体であって、
上記第一コネクタは、雄型の第一端子と、該第一端子を保持する第一ハウジングとを有しており、上記第一端子は、一端側に回路基板との接続のための第一接続部そして他端側に上記第二コネクタとの接触のための第一接触部を有し、上記第一ハウジングは、上記第一端子を介した回路基板への取付けのための固定ハウジングと該固定ハウジングに対して可動な可動ハウジングとを有し、
上記第二コネクタは、雌型の第二端子と、該第二端子を保持する第二ハウジングとを有しており、上記第二端子は、一端側に他の回路基板との接続のための第二接続部そして他端側に上記第一コネクタとの接触のための第二接触部を有している電気コネクタ組立体において、
上記第一端子は、上記固定ハウジングで保持される固定側被保持部と、上記可動ハウジングで保持される可動側被保持部と、上記固定側被保持部と上記可動側被保持部を連結していて弾性変形可能な弾性部とを有し、
上記第二端子は、金属板製で屈曲形態をなし、コネクタ嵌合方向で上記第二接触部と上記第二接続部との間の中間位置に形成され該第二接触部の基端につながる中間基部と、コネクタ嵌合方向での該中間基部と異なる位置で第二ハウジングに保持される被保持部と、該被保持部を中間基部に連結し一つの平坦面として形成された連結部とを有し、上記第二接触部は、上記コネクタ嵌合方向に対して直角な横方向で互いの板厚方向を対向方向として上記中間基部から第一コネクタ側へ向けて上記コネクタ嵌合方向に延びる一対の接触片を有しており、上記被保持部は、コネクタ嵌合方向に見て上記一対の接触片と異なる位置で該一対の接触片の板厚方向に対して直角をなす板厚方向をもって設けられており、
上記第二ハウジングは、上記第二端子の上記中間基部および上記一対の接触片を収容する収容部を有しており、該収容部は、上記中間基部に対して上記横方向で間隙を形成するとともに、上記接触片に対して該一対の接触片の対向方向での弾性変形を許容する空間を形成していることを特徴とする電気コネクタ組立体。
第二端子の中間基部は、コネクタ嵌合方向に見てU字状をなしており、接触片同士の対向方向に対して直角な板面をもつ一対の側面部と、該一対の側面部の側縁部同士を連結する底面部とを有しており、
各接触片は、それぞれ対応する上記側面部に連結されており、被保持部は、連結部を介して上記底面部に連結されていることとする請求項1または請求項2に記載の電気コネクタ組立体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
回路基板用電気コネクタは、回路基板の面からの高さ寸法が小さいことが要求される一方で、フローティング量はどの方向でも大きいことが望まれる。
【0008】
特許文献1の回路基板用電気コネクタにおける上記端子は、フローティングを可能とする上記可動部が一つの略ループ状をなしているため、コネクタの高さ方向(回路基板の板面に対し直角方向)あるいは幅方向(回路基板の板面に平行となる横方向)でもフローティング量を大きくしようとすると、それらの方向で可動部を大きくしなければならず、これは結果的に、同方向でのコネクタの大型化となってしまう。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑み、コネクタの高さ方向でコネクタの寸法を大きくすることなく、コネクタの高さ方向と幅方向で十分なフローティング量を確保できる回路基板用電気コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電気コネクタ組立体は、回路基板の実装面上に実装される第一コネクタと、該回路基板の実装面と平行に配される他の回路基板の実装面上に実装され該実装面に対して直角な方向をコネクタ嵌合方向として上記第一コネクタに嵌合接続される第二コネクタとを有するコネクタ組立体であって、上記第一コネクタは、雄型の第一端子と、該第一端子を保持する第一ハウジングとを有しており、上記第一端子は、一端側に回路基板との接続のための第一接続部そして他端側に上記第二コネクタとの接触のための第一接触部を有し、上記第一ハウジングは、上記
第一端子を介した回路基板への取付けのための固定ハウジングと該固定ハウジングに対して可動な可動ハウジングとを有し、上記第二コネクタは、雌型の第二端子と、該第二端子を保持する第二ハウジングとを有しており、上記第二端子は、一端側に他の回路基板との接続のための第二接続部そして他端側に上記第一コネクタとの接触のための第二接触部を有している。
【0011】
かかる電気コネクタ組立体において、本発明では、上記第一端子は、上記固定ハウジングで保持される固定側被保持部と、上記可動ハウジングで保持される可動側被保持部と、上記固定側被保持部と上記可動側被保持部を連結していて弾性変形可能な弾性部とを有し、上記第二端子は、
金属板製で屈曲形態をなし、コネクタ嵌合方向で上記第二接触部と上記第二接続部との間の中間位置に形成され
該第二接触部の基端につながる中間基部と、
コネクタ嵌合方向での該中間基部と異なる位置で第二ハウジングに保持される被保持部と、
該被保持部を中間基部に連結し一つの平坦面として形成された連結部とを有し、上記第二接触部は、上記コネクタ嵌合方向に対して直角な横方向で
互いの板厚方向を対向方向として上記中間基部から第一コネクタ側へ向けて上記コネクタ嵌合方向に延びる一対の接触片を有しており、上記被保持部は、コネクタ嵌合方向に見て上記一対の接触片と異なる位置で
該一対の接触片の板厚方向に対して直角をなす板厚方向をもって設けられており、上記第二ハウジングは、上記第二端子の上記中間基部および上記一対の接触片を収容する収容部を有しており、該収容部は、上記中間基部に対して上記横方向で間隙を形成するとともに、上記接触片に対して該一対の接触片の対向方向での弾性変形を許容する空間を形成していることを特徴としている。
【0012】
本発明において、第二端子の連結部は、くびれ形状をなしていることとしてもよい。
【0013】
本発明において、第二端子の中間基部は、コネクタ嵌合方向に見てU字状をなしており、接触片同士の対向方向に対して直角な板面をもつ一対の側面部と、該一対の側面部の側縁部同士を連結する底面部とを有しており、各接触片は、それぞれ対応する上記側面部に連結されており、被保持部は、連結部を介して上記底面部に連結されていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、固定ハウジングと可動ハウジングとで保持された端子は、固定ハウジングと可動ハウジングとの間に形成される収容空間に位置する弾性部を有し、該弾性部が、一つの連続した帯状部をなすとともに、屈曲方向を繰り返して反転して形成される複数の屈曲部を経て波形部を連続して形成しているので、弾性部を高さ方向に大きくしなくとも十分に弾性変形量を確保でき、その結果、コネクタの高さ寸法を抑制したコネクタでもフローティング量を大きくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態としてのプラグ側コネクタ(以下「第一コネクタ」という)とこれに嵌合接続されるレセプタクル側コネクタ(以下「第二コネクタ」という)と、有するコネクタ組立体であり、
図1(A)は嵌合接続前、そして
図1(B)は嵌合接続後の状態をそれぞれ示す外観斜視図である。ここで、プラグ側とは雄型の端子を、レセプタクル側とはこれに嵌合する雌型の端子を有する側を示している。また、
図2は
図1の両コネクタの内部を示すように断面された斜視図であり、
図2(A)は
図1(A)に対応する嵌合接続前、
図2(B)は
図1(B)に対応する嵌合接続後の状態を示している。さらには、
図3は上記プラグ側コネクタたる第一コネクタを単体で示しており、
図3(A)は外観斜視図、(B)は断面斜視図である。そして
図4は上記レセプタクル側コネクタたる第二コネクタを単体で示しており、
図4(A)は外観斜視図、
図4(B)は断面斜視図である。
【0018】
第一コネクタ1は、雄型の第一端子(第一コネクタを構成する端子そしてハウジングには「第一」を付すこととし、第二コネクタ2については「第二」を付すこととする。)10と該第一端子10を保持する電気絶縁材製の第一ハウジング20とを有している。該第一ハウジング20は、回路基板(図示せず)に対し第一端子10を介し取り付けられる固定ハウジング21と該固定ハウジング21に対して可動な可動ハウジング26とを有している。上記第一コネクタ1は、その第一ハウジング20が回路基板に平行な面で長手方向と短手方向に延び略直方体外形をなしていて、該第一ハウジング20の長手方向に二列をなして上記第一端子10が配列されている。二列の第一端子10は、上記長手方向に対して直角な短手方向(コネクタ幅方向)で互いに対称な向きで対向している。
【0019】
固定ハウジング21は、回路基板に対し垂立し長手方向に延びる側壁22と短手方向に延びる端壁23とで周壁24を形成し、該周壁24の内方は上下に貫通していて上方から可動ハウジング26を収める中央空間24Aを形成している。上記側壁22は、長手方向にて端子配列範囲にわたり、外壁面に第一端子10の保持のための突出壁22Aが設けられ、該側壁22の内壁面は内方そして下方に向け開口された固定側凹部22Bが形成されている。該固定側凹部22Bは、後述の第一端子10の弾性部を収める収容空間の一部を形成する。上記突出壁22Aそして固定側凹部22Bについては、後に第一端子10との関連で詳述する。
【0020】
上記固定ハウジング21の端壁23には、その外面位置にL型の取付金具30が設けられていて、該取付金具30に形成された取付孔31にて半田により回路基板に強固に固定取付される。なお、該取付金具30は固定ハウジング21の回路基板への取付けに際し、必須なものではなく、上記第一端子10の回路基板への半田接続による取付強度が十分確保できるときには、該取付金具30は不要である。
【0021】
可動ハウジング26は、上記固定ハウジング21の中央空間24A内に貫入して位置する貫入部26Aと、上記中央空間24Aから上方へ突出して位置する突出部26Bとを有している。該可動ハウジング26は、上記突出部26Bから貫入部26Aに及ぶ範囲に相手接続部材、例えば相手コネクタとしての第二コネクタを受け入れる受入凹部27が上方に開口して形成されている。該受入凹部27内には、可動ハウジング26の底壁29から立ち上がる第一端子10の保持のための中央突壁29Aが設けられている。さらに、可動ハウジング26の貫入部26Aの外面には、上記固定ハウジング21の固定側凹部21Bに対向するように可動側凹部26Cが下方に開口して形成されている。該可動側凹部26Cは上記固定側凹部22Bとともに、後述の第一端子10の上記弾性部を収容する収容空間20Aを形成する。
【0022】
雄端子をなす第一端子10は、
図5に見られるように、金属板の平坦面を維持したまま形状づけられている。この第一端子10は、同一形状の端子がコネクタ幅方向で左右対称となるようにして同方向で対向して対をなして配置されており、コネクタ長手方向で複数対が配列されている。
図5では、複数対の第一端子10のうち、一対のみが第一ハウジング20から抽出された状態で、これらに接続される相手コネクタとしての第二コネクタ2の一対の第二端子40とともに図示されている。対をなして図示されている二つの第一端子10は、左右対称に配置されてはいるものの同一形状であるので、以下、一方の第一端子10について説明する。
【0023】
第一端子10は、コネクタ幅方向で対向する相手方となる第二端子40に近接する位置で垂立し可動ハウジング26により保持される可動側柱部11と、該可動側柱部11に対し上記コネクタ幅方向で、反対側に位置して垂立する固定側柱部12と、固定側柱部12の下端から横方向に延びる接続部13と、可動側柱部11と固定側柱部12の間に位置する弾性部14とを一体に有している。
【0024】
上記可動側柱部11は、その上半部が第二コネクタ2の雌型の第二端子40と接触する接触部11Aをなし、下半部が可動ハウジング26に固定保持される可動側被保持部11Bをなしている。接触部11Aはその先端(上端)が上記第二端子40への嵌入を容易とするように面取りされており、可動側被保持部11Bは可動ハウジング26に係止するためにその側縁に係止突起11B−1が設けられている。
【0025】
上記可動側被保持部11Bは、可動ハウジング26の底壁29に形成された保持溝29Bに下方から圧入されて該保持溝29Bで保持される(
図3(B)参照)。その際、上記
係止突起11B−1が該保持溝29Bの対応内面に喰い込み係止が強固になる。
【0026】
上記固定側柱部12は、その下端側の基部12Aよりも上方部分が固定側被保持部12Bとして形成されている。該固定側被保持部12Bには、固定ハウジング21に係止するための係止突起12B−1が設けられている。該固定側被保持部12Bは、固定ハウジング21の側壁22の底壁面で突出した突出壁22Aの厚み内に上下貫通して形成された保持溝22A−1に下方から圧入されて該保持溝22A−1で保持される。その際、上記係止突起12B−1が該保持溝22A−1の対応内面に喰い込み係止が強固になる。
【0027】
上記固定側柱部12の基部12Aの下端からは固定ハウジング21の下面に沿って横方向に延び固定ハウジング21外へ向け突出する接続部13が設けられている。
【0028】
上記第一端子10は、上記可動側被保持部11Bと固定側被保持部12Bとの間に位置する部分に弾性部14を有している。該弾性部14は、左方へは、上記可動側被保持部11Bの下端から横方向に延びる可動側移行部15を経て上記可動側被保持部11Bと連結され、右方へは、上記固定側被保持部12Bの下方の基部12Aから横方向に延びる固定側移行部16を経て上記固定側被保持部12Bに連結されている。
【0029】
上記弾性部14は、上記可動側移行部15と固定側移行部16とから立ち上がり、略M字状をなして屈曲されて一つの連続した帯状部をなしている。略M字状をなす該弾性部14は、可動側被保持部11Bそして固定側被保持部12Bよりも細い幅の帯状をなしており、上部に弯曲形状の二つの屈曲部14A,14Cと下部に弯曲形状の一つの屈曲部14Bを有するとともに、屈曲部14Aと屈曲部14Bを結ぶ内側直状部14Dそして屈曲部14Cと屈曲部14Bを結ぶ内側直状部14E、さらには、上記屈曲部14Aと屈曲部14Cのそれぞれから外側に延びる外側直状部14F,14Gを有し、二つの逆U字状の波形部の間に一つのU字状の波形部を位置させて全体として略M字状をなすように三つの波形部を連続した波形をなしていて弾性変形を可能としている。かくして、三つの波形部のそれぞれは、屈曲部と直状部とを有している。三つの波形部において、各直状部14D,14E,14F,14Gは、屈曲部14Aと14Cあるいは14Bから遠くになるにしたがい波形の開き幅を広くするように傾斜した拡幅部分を形成している。
【0030】
上記三つの波形部のうち、左側に位置する波形部は、外側直状部14Fから下方に延びて上下方向で屈曲部14Bよりも下方位置で下方に向け内側(
図5にて右側)に傾斜する傾斜部14Hを有しており、これに対し、右側に位置する波形部は、上記外側直状部14Gから下方に延びて下方の屈曲部14Bよりも下方位置で下方に向け内側(
図5にて左側)に傾斜する傾斜部14Iを有している。かくして、上記傾斜部14Hと傾斜部14Iとが、下方に向け内側に傾斜することで、上記下方の屈曲部14Bよりも下方の範囲で、互いの間隔を狭めている。
【0031】
弾性部14は、細い幅の帯状で弾性を得るように波形をなしているが、本実施形態では、各直状部14D,14E,14F,14Gの中央部分にかけて屈曲部14A、14Cよりも除々に端子幅(帯幅)が狭くなっていて、また、内側直状部14D,14Eの中央部分にかけて屈曲部14Bよりも除々に端子幅(帯幅)が狭くなっている。また、弾性部14は外側直状部14F,14Gの中央部分にかけて傾斜部14H、14Iよりも除々に端子幅(帯幅)が狭くなっている。なお、該弾性部14は、除々に端子幅(帯幅)が狭くなっていればよく、中央部分の位置は問わない。かくして、上記弾性部14は、屈曲部を支点として弾性撓み変形を生じやすくしている。
【0032】
次に、第二コネクタ2は、
図1,2,4に見られるように、雌型の第二端子40と該第二端子40を保持する電気絶縁材製の第二ハウジング50を有し、該第二ハウジング50が回路基板(図示せず)に対し上記第二端子40を介して取り付けられている。該第二ハウジング50は、第一コネクタ1の第一ハウジング20における長手方向そして短手方向をそれぞれ該第二ハウジング50の長手方向そして短手方向とする略直方体外形をなしていて、該第二ハウジング50の長手方向に二列をなして上記第二端子40が配列されている。二列の第二端子40は、上記長手方向に対して直角な短手方向(コネクタ幅方向)で互いに対向している。なお、
図1及び
図2では、上記第二コネクタ2は第一コネクタ1に対する嵌合方向を向く姿勢で示されているが、第二コネクタ2単体を示す
図4では、上下方向で反転した姿勢で描かれている。
【0033】
第一コネクタ1の相手方たる第二コネクタ2の第二ハウジング50は、回路基板(図示せず)に対して取り付けられる取付ブロック部51と、該取付ブロック部51から第一コネクタ1への嵌合方向に突出する嵌合ブロック部52とを有し、ともに第一コネクタ1の長手方向そして短手方向をそれぞれ同じく長手方向そして短手方向とする略直方体外形をなしている。上記第二ハウジング50は、
図1そして
図2で上方から見て取付ブロック51の中央で、上部側に上部没入部53Aそして下部側に上部没入部53Aよりも幅狭で深い下部没入部53Bが形成されていて、該上部没入部53Aと下部没入部53Bの間の部分に、中央壁部54が形成されており、上記上部没入部53Aと下部没入部53Bの内壁に沿って延び上記中央壁部54を貫通する端子溝55が形成されている。該端子溝55には後に詳述する第二端子40が圧入保持されている。
【0034】
上記取付ブロック部51の長手方向に延びる側壁56の外面(
図4(A)参照)は、該長手方向中央部にて、短手方向に没した凹壁部56Aが形成されていて、ここに後に詳述する第二端子40の接続部42が位置しており、回路基板へのこの接続部42の半田接続そしてその接続確認を容易としている。
【0035】
上記第二ハウジング50の端壁57には、その外面位置にL型の取付金具60が設けられていて、該取付金具60に形成された取付孔61にて半田により回路基板に強固に固定取付される。なお、該取付金具60は第二ハウジング50の回路基板への取付けに際し、必須なものではなく、上記第二端子40の回路基板への半田接続による取付強度が十分確保できるときには、該取付金具60は不要である。
【0036】
雌端子をなす第二端子40は、既述の第一端子10と対応してコネクタ嵌合接続前の状態を示す
図5に見られるように、金属帯状部材を板厚方向に屈曲して形状づけられている。この第二端子40は、第一端子10と同様に同一形状の端子がコネクタ幅方向で左右対称となるようにして同方向で対向して対をなして配置されており、コネクタ長手方向で複数対が配列されている。
図5では、複数対の第二端子40のうち、一対のみが第二ハウジング50から抽出された状態で図示されている。対をなして図示されている二つの第二端子40は、左右対称に配置されてはいるものの同一形状であるので、以下、一方の第二端子40について説明する。
【0037】
上記第二端子40は、
図5にて、該第二端子40の中間部の位置で上記第一端子10の板面に対し直角方向な板面をなす平帯状の被保持部41と、該被保持部41よりも上端側で該被保持部41の板面に対して直角に屈曲された接続部42と、上記被保持部41よりも下方での中間位置に断面がU字状をなす中間基部43と、該中間基部43よりもさらに下側で、フィンガ状に延びる一対の接触片44Aから成る接触部44とを有している。
【0038】
上記被保持部41は平帯状をなし両側縁には、第二ハウジング50の端子溝55の対応面に喰い込む係止突起41Aが設けられている。
【0039】
上記被支持部43は、くびれた連結部45を介して上記被保持部41と連結されており、上記被保持部41の板面を下方に延長した板面状の底面部43Aと、該底面部43Aの両側縁から該底面部の板面に対して直角をなす側面部43Bを有し、上記底面部43Aと両側の側面部43BとでU字状をなしている。
【0040】
上記接触部44は、上記中間基部43の両側の側面部43Bの下端からそれぞれ下方へ向けフィンガ状に延びる一対の接触片44Aを対向させることで形成されている。この一対の接触片44Aは下方に向けその間隔を次第に狭めて互いに近接する方向に傾斜し、下端近傍で上記間隔を最小とし、再び下端に向け広がり、この間隔が最小の部分で喉部44A−1を形成している。該喉部44A−1における両接触片44Aの間隔は既述の第一端子10の接触部11Aの板厚よりも小さく、上記喉部44A−1で該接触部11Aを挟圧して弾性接触するようになっている。
【0041】
かかる形状の第二端子40は、
図1そして
図2において第二ハウジング50の端子溝55へ上方から圧入される(第二コネクタ2を
図1,2に対して上下反転して示す
図4にあっては下方から圧入される)。上記端子溝55は、
図2(A)において、上記第二端子40が上方から圧入される関係上、上記中央壁部54には、上記第二端子40の最大外周形、すなわち、断面がU字状をなす中間基部43の外周形状に相当する内周形状の四角筒孔54Aが該中央壁部54を上下に貫通して形成されていて、上記中間基部43の通過を可能としている。一方、四角筒孔54A及び上部没入部53Aの内壁面には、上記断面がU字状の中間基部43が上記中央壁部54の上記四角筒孔54Aを通過した後に、該上部没入部53Aの内壁面に位置する平帯状の被保持部41を収める溝部55Aが該被保持部41の板厚に相当する深さの溝として形成されており、被保持部41の係止突起41Aが該被保持部41の溝部55Aへの圧入の際、この溝部55Aの内面へ喰い込んで、第二ハウジング50により保持され抜けが防止される。また、上記中央壁部54よりも下方(
図4では上方)の下部没入部53Bの内壁面には上記第二端子40を所定位置に圧入組立てされた際に上記中間基部43と接触部44とを収める溝部55Bが形成されている。上記溝部55Bは、上記中間基部43に対しては、該溝部55Bの溝底面が上記中間基部43の底面部43Aと接触しあるいは間隙を形成し、溝側面が側面部43Bに対し間隙を形成しており、また接触部44に対しては、一対の接触片44Aの弾性変形を可能とする空間を形成している。
【0042】
かかる構成の本実施形態の回路基板用電気コネクタの使用要領を、主として
図1、
図2にもとづき以下に説明する。
【0043】
第一コネクタ1と第二コネクタ2は、それぞれ対応する回路基板へ半田接続により取り付けられる。すなわち、第一コネクタ1は、固定ハウジング21に保持されている第一端子10の接続部13と取付金具30とで半田され、第二コネクタ2は第二端子40の接続部42と取付金具60とで半田されることで、それぞれ回路基板へ取り付けられる。
図1、
図2では、回路基板は図示が省略されているが、第一コネクタ1はその下面でそして第二コネクタ2はその上面で回路基板に取り付けられている。
【0044】
先ず、
図1(A)そして
図2(A)に見られるように、上面で回路基板に取り付けられている第二コネクタ2が、その嵌合ブロック部52を下向きとした姿勢で、上記第一コネクタ1の上方位置にもたらされる。しかる後、上記第二コネクタ2はそのままの姿勢で降下され、上記嵌合ブロック部52が第一コネクタ1の可動ハウジング26の受入凹部27へ進入し該可動ハウジング26に嵌合される(
図1(B)、
図2(B)参照)。
【0045】
第二コネクタ2が第一コネクタ1に嵌合されると、第二コネクタ2の第二端子40は対をなすフィンガ状の接触片44Aから成る接触部44が第一コネクタ1の第一端子10の接触部11Aを挟圧して該接触部11Aと弾性接触するようになる。
【0046】
上記第二端子40の接触部44は、対をなす接触片44Aの下端近傍に喉部44A−1を有しているので、この喉部44A−1へ第一端子10の平帯状の接触部11Aが円滑に進入することで、該第一端子10の接触部11Aを弾性力をもって挟圧して該第一端子10との電気的接続がなされる。
【0047】
かくして、第一コネクタ1と第二コネクタ2とは接続され、第一コネクタ1側の回路基板と第二コネクタ2側の回路基板は、第一端子10そして第二端子40を介して導通状態となる。
【0048】
上記第一コネクタ1の第一端子10は弾性部14を有しており、第二コネクタ2が正規位置あるいは正規姿勢からコネクタ長手方向、短手方向、挿抜方向で多少ずれていてもあるいは両コネクタ1,2の少なくとも一方が振動を受けても、上記弾性部14でそのずれあるいは振動を吸収する。さらには、上記弾性部14に加え、第一端子10の接触部11Aが平帯状であるので、これを挟圧する接触部44はその喉部44A−1が上記接触部11Aの板面との間でコネクタ短手方向及び挿抜方向での摩擦を伴うものの該板面に沿って上記接触部11Aに対して相対変位(移動)が可能であり、この相対変位によっても上記ずれや振動を吸収する。
【0049】
上記弾性部14の挙動についてさらに詳述すると、上記第一端子10は、可動ハウジング26により保持されている可動側被保持部11Bと固定ハウジング21により保持されている固定側被保持部12Bとの間に、可動側移行部15と固定側移行部16のそれぞれを介して上記可動側被保持部11Bと固定側被保持部12Bに接続する弾性部14を有している。この弾性部14は上記可動側移行部15と固定側移行部16から立ち上がり略M字状の波形をなしており、コネクタ高さ方向、コネクタ長手方向そして短手方向(コネクタ幅方向)のいずれの方向にも弾性変位可能となっているので、したがって、第一コネクタ1と第二コネクタ2とが、上記のいずれの方向にずれても、あるいは振動を受けても、これを吸収する。
【0050】
波形をなす上記弾性部14は、直状部14D,14E,14F,14Gが傾斜していて中央のU字状そして両側の逆U字状をなす各波形部で、屈曲部14B,14A,14Cから離れるにしたがい波形の開き幅を大きくする拡幅部分を形成しているので、上記コネクタ幅方向で、該弾性部14が可動ハウジング26と固定ハウジング21からコネクタ幅方向に圧縮されたとき、各波形部が互いに近接しても当接しにくくなりそれだけ弾性変位量が大きく確保される。上記弾性部14は、図示されているごとく、すべての直状部で傾斜させて各波形部にて拡幅部分が形成されているようにしてもよいが、少なくとも、両方の外側に位置する可動側被保持部と固定側被保持部にそれぞれ隣接している波形部について拡幅部分が形成されていれば十分であり、中間に位置する波形部は傾斜せずに拡幅部分を有していなくてもよい。
【0051】
さらには、両方の外側の直状部14F,14Gは、コネクタ幅方向で中央に位置する下側の屈曲部14Bよりも下方位置で互いにコネクタ幅方向で互いに近づくように傾斜した傾斜部14H,14Iを介してそれぞれ可動側移行部15そして固定側移行部16と接続されているので、可動側移行部15と固定側移行部16との間では波形部は不存在であり、上記弾性部14がコネクタ幅方向で圧縮される弾性変位を生じて上記可動側移行部15と固定側移行部16とが大きく近づいても両者が当接することはない。
【0052】
また、本実施形態では、直状部14D,14E、14F,14Gが屈曲部14A,14B,14Cよりも帯幅が小さくなっているので、該屈曲部14A,14B,14Cを支点として撓みを生じやすくなっており、直状部14D,14E、14F,14Gを可能な限り長く、すなわち波の高さを大きくすることで、弾性部14の弾性変位量を、コネクタ高さ方向、コネクタ長手方向(弾性部の板面に対し直角方向)、コネクタ短手方向(コネクタ幅方向)のいずれかの方向でも大きく確保できる。また、屈曲部14A,14B,14Cよりも直状部14D,14E,14F,14Gの帯幅が小さいので、撓みが生じた際に屈曲部に掛かる応力を直状部14D,14E、14F,14Gに分散させることによって、屈曲部同士14A,14C、または、屈曲部14Bと直状部14F,14G、または、隣り合う直状部同士が弾性変位時に互いに当接しにくくなる。また、上記弾性部14は、図示されているごとく、すべての直状部において直状部の中央部分にかけて除々に端子幅(帯幅)が狭くなっているようにしてもよいが、少なくとも、いずれかの屈曲部と直状部においてから除々に端子幅(帯幅)が狭くなっているように形成されていれば十分であり、他の屈曲部と直状部はこのような端子幅(帯幅)を有していなくてもよい。
【0053】
本発明は、図示された形態のような二つのコネクタのそれぞれが接続される回路基板同士を平行とする場合のみならず、例えば、互いに直角をなす、いわゆるライトアングルのコネクタにも適用可能である。