特許第6356783号(P6356783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボルボトラックコーポレーションの特許一覧

特許6356783エネルギー貯蔵システムを充電する間の誤りを検出する方法及び構造
<>
  • 特許6356783-エネルギー貯蔵システムを充電する間の誤りを検出する方法及び構造 図000002
  • 特許6356783-エネルギー貯蔵システムを充電する間の誤りを検出する方法及び構造 図000003
  • 特許6356783-エネルギー貯蔵システムを充電する間の誤りを検出する方法及び構造 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356783
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵システムを充電する間の誤りを検出する方法及び構造
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20180702BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20180702BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20180702BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20180702BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20180702BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20180702BHJP
   B60L 11/14 20060101ALI20180702BHJP
   B60K 6/485 20071001ALI20180702BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20180702BHJP
   B60W 20/13 20160101ALI20180702BHJP
   B60W 20/50 20160101ALI20180702BHJP
   B60K 6/28 20071001ALI20180702BHJP
   B60K 6/20 20071001ALI20180702BHJP
【FI】
   H02J7/04 A
   H02J7/00 P
   H01M10/48 P
   H01M10/44 Q
   B60L11/18 CZHV
   B60L3/00 N
   B60L11/14
   B60K6/485
   B60W10/26 900
   B60W20/13
   B60W20/50
   B60K6/28
   B60K6/20
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-508016(P2016-508016)
(86)(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公表番号】特表2016-518803(P2016-518803A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】EP2013001093
(87)【国際公開番号】WO2014169927
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2016年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(74)【代理人】
【識別番号】100201259
【弁理士】
【氏名又は名称】天坂 康種
(74)【代理人】
【識別番号】100116757
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 英雄
(72)【発明者】
【氏名】レネヴィ,イェルケル
【審査官】 猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−123599(JP,A)
【文献】 特開2008−105478(JP,A)
【文献】 特開2010−154624(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/132405(WO,A1)
【文献】 特開2012−249409(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0161925(US,A1)
【文献】 特開平06−245325(JP,A)
【文献】 特開2008−206259(JP,A)
【文献】 特開2012−157131(JP,A)
【文献】 特開2007−336778(JP,A)
【文献】 再公表特許第2008/132782(JP,A1)
【文献】 再公表特許第2012/144061(JP,A1)
【文献】 特開2013−030351(JP,A)
【文献】 特開2009−022061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00− 7/12
H02J 7/34− 7/36
H01M 10/42−10/48
B60K 6/20− 6/547
B60L 1/00− 3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
B60W 10/00−10/28
B60W 10/30−20/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)のエネルギー貯蔵システム(7)を充電する間における誤りを検出する方法であって、
前記車両(1)は、前記車両(1)を推進するべく構成された電機(3)を備え、
− 前記エネルギー貯蔵システム(7)の外部電力供給源(11)への接続(19)に応じ、車両制御装置(8)により、前記外部電力供給源(11)からの充電パターンを要求すること(20);及び、
− 前記外部電力供給源(11)の一部を構成する外部充電制御装置(17)により、前記エネルギー貯蔵システム(7)に前記充電パターンを供給すること(22);を含む方法において、
前記方法が、
− 要求された充電パターンの予め定められた調整をもたらすこと(21);
− 前記エネルギー貯蔵システム(7)に供給される充電パターンが、前記予め定められた調整を含んでいるかどうかを評価すること(23)、及び、
前記エネルギー貯蔵システム(7)に供給される充電パターンが、前記予め定められた調整を含んでいない場合に、
− 前記エネルギー貯蔵システム(7)の充電が誤りであると示すこと(25)、
を更に含み、
前記調整は、前記車両制御装置によって制御できるとともに前記外部電力供給源からの供給が要求される充電電流の予め定められた変化を指すものである
前記方法。
【請求項2】
− 前記充電パターンで供給される充電電流の周波数あるいは振幅の予め定められた、一時的変更の形態で前記調整をもたらすこと(21)、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
− 前記充電パターンで供給される充電電流に一時的に重畳される付加信号成分の形態で前記調整をもたらすこと(21)、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
− 前記充電が誤りである場合に警告信号をもたらすこと、を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
− 前記充電が誤りである場合に前記エネルギー貯蔵システム(7)を前記外部電力供給源(11)から分離すること、を含む請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
− 前記車両制御装置(8)のハイブリッド制御装置(13)と前記外部充電制御装置(17)との間のワイヤレス接続(18)を介して前記充電パターンを要求すること、を含む請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
− 前記車両制御装置(8)における充電流の測定によって、前記充電パターンが前記予め定められた調整を含んでいるかどうかを評価すること、を含む請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
− 前記外部電力供給源(11)における前記充電パターンに関する充電流の測定値をもたらすとともに、前記車両制御装置(8)における対応する充電流の測定値と比較すること、を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
車両(1)を推進するべく構成された電機(3)を備える車両(1)においてエネルギー貯蔵システム(7)を充電する間の誤りを検出する構造であって、
前記構造が、前記エネルギー貯蔵システム(7)の外部電力供給源(11)に対する接続に応じて前記外部電力供給源(11)からの充電パターンを要求するべく構成されたハイブリッド制御装置(13)を備える車両制御装置(8)を更に備え、
かつ前記外部電力供給源(11)が、前記エネルギー貯蔵システム(7)に前記充電パターンを供給するべく構成された外部充電制御装置(17)を有している、
構造において、
前記ハイブリッド制御装置(13)が、前記要求された充電パターンの予め定められた調整を適用するための調整装置(13a)と、前記エネルギー貯蔵システム(7)に供給される充電パターンが前記予め定められた調整を含んでいるかどうかを判定する評価装置(13b)とを有しており、
かつ、前記エネルギー貯蔵システム(7)に供給される充電パターンが前記予め定められた調整を含んでいない場合に、前記エネルギー貯蔵システム(7)の前記充電が誤りであることを示し、
前記調整は、前記車両制御装置によって制御できるとともに前記外部電力供給源からの供給が要求される充電電流の予め定められた変化を指すものである
前記構造。
【請求項10】
前記調整装置(13a)は、前記充電パターンで供給される充電電流の周波数あるいは振幅の予め定められた一時的な変更の形態で前記調整をもたらすべく構成されている、請求項9に記載の構造。
【請求項11】
前記調整装置(13a)は、前記充電パターンで供給される充電電流に一時的に重畳される付加的な信号要素の形態で前記調整をもたらすべく構成されている、請求項9に記載の構造。
【請求項12】
前記評価装置(13b)は、前記充電が誤りであるとみなされる場合に警告信号をもたらすべく構成されている、請求項9乃至11のいずれかに記載の構造。
【請求項13】
前記車両制御装置(8)は、前記充電が誤りであるとみなされる場合に前記エネルギー貯蔵システム(7)を前記外部電力供給源(11)から分離すべく構成されている、請求項9乃至12のいずれかに記載の構造。
【請求項14】
前記ハイブリッド制御装置(13)と前記外部充電制御装置(17)との間に通信リンク(18)を備えている、請求項9乃至13のいずれかに記載の構造。
【請求項15】
前記通信リンク(18)がワイヤレスである、請求項14に記載の構造。
【請求項16】
前記エネルギー貯蔵システム(7)と前記外部電力供給源(11)との間に誘導性あるいは導電性の接続素子(9、10)を備えている、請求項9乃至15のいずれかに記載の構造。
【請求項17】
前記エネルギー貯蔵システム(7)が再充電可能電池装置を含んでいる、請求項9乃至16のいずれかに記載の構造。
【請求項18】
前記評価装置(13b)は、充電流の測定値によって、前記充電パターンが前記予め定められた調整を含んでいるかどうかを評価するべく構成されている、請求項9乃至17のいずれかに記載の構造。
【請求項19】
前記外部電力供給源(11)は、前記充電パターンに関連する充電流の測定値をもたらすとともに、これを、前記評価装置(13b)における対応する充電流の測定値と比較するべく構成されている、請求項18に記載の構造。
【請求項20】
プラグインハイブリッド電気自動車のタイプの車両(1)であって、
電機(3)を備えるとともに、請求項9乃至19のいずれかに記載した構造を更に備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエネルギー貯蔵システムを充電する間の誤りを検出する方法であって、その車両を推進するべく構成された電機をその車両が備えており、その方法が、エネルギー貯蔵システムの外部電力供給源に対する接続に応じ、車両制御装置により、外部電力供給源からの充電パターンを要求すること、及び外部電力供給源の一部を構成する外部充電制御装置によりエネルギー貯蔵システムに充電パターンを供給すること、を含む方法に関する。
【0002】
本発明はまた、車両を推進するべく構成された電機を備える車両におけるエネルギー貯蔵システムを充電する間の誤りを検出する構造であって、その構造が、エネルギー貯蔵システムの外部電力供給源に対する接続に応じてその外部電力供給源からの充電パターンを要求するべく構成された車両制御装置を備え、かつ、その外部電力供給源が、エネルギー貯蔵システムに対しその充電パターンを供給するべく構成された外部充電制御装置を有している、構造に関する。
【背景技術】
【0003】
車両の分野においては、代わりの動力源、すなわち従来の内燃機関に代わるものとして用いられる動力源を備えた車両の推進に関する研究開発が着実に拡大しつつある。
【0004】
例えばガソリンエンジンあるいはディーゼルエンジンの形態の内燃機関は、比較的低い燃料消費量で高い効率をもたらす。しかしながら、環境に対する懸念は、車両のためのより環境フレンドリーな動力源の開発の高まりを引き起こしている。特に、有望な代替案としての電気的に作動する車両の開発が出現しつつある。
【0005】
今日、電機を含む様々なタイプの車両推進システムが存在している。例えば、車両は、電機のみによって、あるいは電機及び内燃機関の両方を備える構成により作動させることができる。後者の代替案は、多くの場合にハイブリッド電気自動車(HEV)と呼ばれ、例えば、市街地の外側で運転する間に車両を作動させるために内燃機関を用いるが、市街地において、あるいは例えば一酸化炭素及び窒素酸化物といった有害汚染物質の排出を制限する必要がある環境においては電機を用いるといったやり方で利用することができる。
【0006】
電気的に作動する車両に関連する技術は、例えば車両用バッテリ関連技術の形態の電気エネルギー貯蔵システムの発展に密接に関連している。今日の車両用電気エネルギー貯蔵システムは、再充電可能な電池セルの組を備え、それは制御回路と共に、車両に配置されて電機を作動させるべく構成された装置を形成する。ハイブリッド車はまた、多くの場合、回生制動として公知の方法によって、制動の間にエネルギー貯蔵システムが充電されるように構成される。
【0007】
内燃機関及び再充電可能な電気エネルギー貯蔵システムから電力が供給される電機により作動する車両は、時々、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)と呼ばれる。プラグインハイブリッド電気自動車は、再充電可能な電池を有するエネルギー貯蔵システム、あるいは、外部電力供給源への接続によって、完全充電を含む状態に回復させることができる他の適切なエネルギー源を用いる。
【0008】
外部電力供給源は、普通の電源コードを介してアクセスすることができる一般的な送電網電力システムの形態とすることができ、あるいは関係する車両及び再充電プロセスのための電力の必要性に応じた他の装置の形態とすることができる。バスあるいは大型輸送車両の形態の車両の場合は、より小さい車両及び類似の車両に比較して、通常は、より強力な充電装置及びプロセスが必要である。
【0009】
今日の、電気的に駆動される車両、特にバス及びトラックといった大型車両における挑戦は、車両の運転範囲を最適化するために、比較的短い時間で多量のエネルギーをエネルギー貯蔵システムに充電しなければならないことである。このため、エネルギー貯蔵システムの実際の充電は、外部電力供給源によって、充電が実行されることを車載の制御装置が要求する方法によって、最適に実行される。これは、エネルギー貯蔵システムと外部電力供給源とが適切な接続素子によって、電気的に接続された後に実行される。その場合、車載のエネルギー貯蔵システムを外部電力供給源に接続するために、例えばいわゆるパンタグラフを用いることができる。
【0010】
バスのエネルギー貯蔵システムの再充電は、例えば、充電電流の大きさが200アンペアである多数の電池セルを備える電気エネルギー貯蔵システムの充電を伴い得るが、その電気エネルギー貯蔵システムの電圧は600ボルトとすることができる。そのような充電の手順は、例えば、電池セルが過剰な熱、衝撃あるいは過充電を受けた場合、あるいはエネルギー貯蔵システム若しくは充電システムの導電部分が人に接触した場合に、一定の安全リスクを伴う。従って、充電の間に発生し得る如何なる誤りの場合においても人体を保護する必要がある。
【0011】
また、エネルギー貯蔵システムの電池セルは、極めて高価であり、かつ過充電に対し極めて敏感である。このことは、エネルギー貯蔵システムの過充電が発生してはならないことを意味する。
【0012】
特許文献1は、電力貯蔵装置が電源により充電されるハイブリッド車の充電システムを教示している。当該車両が充電中に移動しなければならない場合、制御装置は充電プロセスを停止する。その制御装置は充電装置の状態を診断し、可能であるときには充電を再開する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/196545号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記した特許文献1による解決策が、車両を移動させなければならない場合に充電プロセスを終了させる信頼性が高い解決策をもたらすとしても、特にハイブリッド自動車のエネルギー貯蔵システムを充電する間の、人体及び電装品にとって十分に高いレベルの安全性の更なる要請がある。
【0015】
本発明の目的は、上述した問題を解決できる、特に車両のエネルギー貯蔵システムを充電する間に発生する如何なる誤りをも効果的にかつ安全な方法で検出できる、改良された方法及び構造を提供することにある。そして、そのような検出は、充電プロセスを中断するために、あるいは警告信号を出すために用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によると、この目的は、車両のエネルギー貯蔵システムを充電する間の誤りを検出する方法であって、その車両を推進するべく構成された電機をその車両が備えている方法により達成される。この方法は、エネルギー貯蔵システムの外部電力供給源に対する接続に応じ、車両制御装置により、外部電力供給源からの充電パターンを要求すること、及び、外部電力供給源の一部を構成する外部充電制御装置によりエネルギー貯蔵システムに充電パターンを供給することを含む。更に、その方法は、要求された充電パターンの予め定められた調整を提供すること、エネルギー貯蔵システムに供給される充電パターンが予め定められた調整を含んでいるかどうかを評価すること、及び、そうでない場合に、エネルギー貯蔵システムの充電が誤っていることを示すことを含む。
【0017】
本発明により、エネルギー貯蔵システムの充電に何らかの予想外の誤りが発生しているかどうかを判定するための、及び充電を終了させるとともにそのような誤りが発生している場合に警報を出すための、安全かつ信頼性が高い方法が提供される。
【0018】
本発明の特別な利益は、充電パターンの要求を車両から外部電力供給源への伝送路を介して伝達できるとともに、その後で、車両のエネルギー貯蔵システムにより実際に受け入れられる充電パターンが要求された充電パターンに対応しているかどうかを、車両制御装置が評価ステップの間に判定できることにある。
【0019】
一実施形態によると、その調整は、例えば、その充電パターンで供給される充電電流の周波数、振幅あるいは波形の、予め定められた、一時的な変更の形態でもたらされる。これは、例えば周波数あるいは振幅の一時的な変更が実際の充電電流に発生するかどうかを、車両制御装置が検出できることを意味する。このような場合、充電は正しく作動している。
【0020】
あるいは、上述の調整は、その充電パターンで供給される充電電流に一時的に重ね合せられる付加的な信号成分の形態でもたらすことができる。
【0021】
一実施形態によると、その充電が誤りである場合に警告信号が出される。これは、車両のオペレータあるいは運転者が、エネルギー貯蔵システムが損傷することを防止するために、あるいは如何なる人的な損害をも防止するために、外部電力供給源の非常スイッチを起動させ得ることを意味する。また、エネルギー貯蔵システムは、充電が誤りである場合に自動的なやり方で外部電力供給源から分離させることができる。そのような分離は、車両制御装置に関連する断路器装置により自動的に行うことができる。
【0022】
一実施形態によると、車両上の制御装置と外部電力供給源との間の情報は、ハイブリッド制御装置と外部充電制御装置との間の無線接続でもたらすことができる。
【0023】
上述の目的はまた、車両を推進するべく構成された電機を備える車両におけるエネルギー貯蔵システムを充電する間の誤りを検出する構造であって、その構造が、エネルギー貯蔵システムの外部電力供給源に対する接続に応じてその外部電力供給源からの充電パターンを要求するべく構成された車両制御装置を備え、かつ、外部電力供給源が、エネルギー貯蔵システムに対しその充電パターンを供給するべく構成された外部充電制御装置を有している、構造により達成される。本発明によると、ハイブリッド制御装置は、要求された充電パターンの予め定められた調整を付加するための調整装置、及びエネルギー貯蔵システムに供給される充電パターンが予め定められた調整を含んでいるかどうかを判定するための評価装置を有し、かつ、そうでない場合は、エネルギー貯蔵システムの充電が誤りであることを示す。
【0024】
本発明は、特に、車両を推進するべく構成された内燃機関及び電機を有した、いわゆるプラグインハイブリッド車に用いられるように適合される。
【0025】
「充電パターン」という用語は、再充電プロセスの予め定められたスケジュール、シーケンス、あるいは進行を指す。そのような充電パターンは、例えば「急速充電」すなわち比較的短い期間の間に比較的高い充電電流を伴う形態、あるいは「通常充電」すなわち比較的長い時間の間に低い充電電流を伴う形態とすることができる。「急速充電」タイプの充電パターンは、例えば、お昼休みの間あるいは2つの連続する巡回の間にバスが短時間駐車するときの、バスのエネルギー貯蔵システムの再充電に適している。従って、「充電パターン」は、特定の時間に、あるいはエネルギー貯蔵システムの特定の充電状態が達成されるまでに発生する、特定の充電電流及び電圧で充電するシーケンスである。
【0026】
さらにまた、「調整」という用語は、車両制御装置によって、制御できるとともに外部電力供給源からの供給が要求される充電電流あるいは充電電圧の予め定められた変化、偏差あるいは適合を指す。そのような「調整された」充電パターンは、外部電力供給源により供給される充電が、要求された充電に一致しているかどうかを判定するために、引き続いて車両制御装置によって、検出しかつ評価できる。要求された充電パターンと供給される充電パターンのいかなる違いも、充電プロセスの誤りと解釈できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
ここで一実施形態及び添付の図面を参照しつつ、本発明を説明する。
【0028】
図1】本発明を用いることができるバスの形態のハイブリッド車の模式図である。
図2】本発明の構造を示す図である。
図3】本発明の原理を説明する簡略化されたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここで一実施形態及び添付の図面を参照しつつ、本発明を説明する。最初に図1を参照すると、一実施形態のハイブリッドタイプのあるバス1の形態の車両の簡略化された透視図が示されている。より正確に言うと、バス1は、プラグインハイブリッドタイプであって、クラッチ4を介して互いに接続された内燃機関2と電機3を備えており、バス1を駆動するために内燃機関1と電機2の両方を用いることができる。
【0030】
バスの形態の車両を参照して本発明を説明するが、本発明は、少なくとも電機によって作動する実質的に任意のタイプの車両に用いることができる。
【0031】
図1を参照すると、電機3は変速機5に接続されており、続いて変速機5はバス1の後車軸6に接続されている。このような公知のやり方で、内燃機関2及び電機3は後車軸6を駆動するために用いることができる。一実施形態の電機3は、電動モータ及び発電機として併用できるとともに、内燃機関2の始動モータとしても適切に用いられる。
【0032】
バス1は、一組の電池セル及び他の制御回路を有する電気エネルギー貯蔵システム7を搭載している。その大きさと幅により、エネルギー貯蔵システム7は、例えば、図1に示すようにバス1の屋根の上に配置することが適切である。エネルギー貯蔵システム7は、直列に接続されて所望の電圧レベルの直流出力電圧を供給する多くの電池セルを含んでいる。適切には電池セルはリチウムイオンタイプであるが、他のタイプを用いることもできる。エネルギー貯蔵システム7はまた、電池セルの作動をモニタするべく適合された制御回路を有している。
【0033】
バス1の推進機関の上述した様々な構成部品は車両の制御装置8に接続されているが、それについては以下により詳細に説明する。
【0034】
バス1のある運転モードの間は、バス1を運行するために電機3だけを用いることが適切である。このことは、エネルギー貯蔵システム7が電機3に必要なパワーを供給し、続いて電機3が後車軸6を駆動することを意味している。バス1の他の運転モードの間、例えば、電機3によって、バス1を運行するにはエネルギー貯蔵システム7の充電状態が充分ではないと判定されたときには、内燃機関2がクラッチ4及び変速機5を介して後車軸6に接続される。車両を運行するために電機及び内燃機関を用いる方法は、以前から一般に知られていることである。そのため、ここではそれについて詳細には説明しない。
【0035】
更にまた、バス1は、適切にはバス1の屋根に載置されたパンタグラフの形態の電気接続素子9を備えている。このパンタグラフ9は、ある電圧の充電電流を導電する架空導電線の形態の更なる接続素子10に接続されるように構成されている。
【0036】
パンタグラフは、バス、路面電車あるいは類似の車両の屋根の上に配置できる電気接続装置であり、車両の上方に配置された導電線あるいはレールと接触する状態となる上昇した状態を呈すべく起立するように適合されている。本発明の前後関係において、エネルギー貯蔵システム7には、エネルギー貯蔵システム7を充電すべく、架線10とパンタグラフ9の間の接続により電流を供給できる。
【0037】
この実施形態によると、接続素子9、10は、バス1が静止している間、すなわちターミナル施設、バス停あるいは同様の位置において、エネルギー貯蔵システム7の充電が生じるように構成されている。更にまた、導線10は、図1に模式的な方法で示すように外部電力供給源11の一部を構成している。外部電力供給源11は、一般的には、導線10に対してある充電電圧の充電電流を供給するべく構成される。
【0038】
図2は、本発明の一部を構成する主要な要素の概略図である。図1及び図2の両方に現れる要素は、同一の参照符号で示される。従って、バス1は内燃機関2と電機3を有する装置によって、作動し、それらは変速機5を介してバス1の後車軸6に接続されている。電機3は、スタータモータ、発電機、あるいはエネルギー貯蔵システム7から作動電圧が供給される電機として用いられるべく構成されている。
【0039】
電機3は、車両制御装置8(図1を参照)の一部を構成する電動モータ駆動装置12により制御される。車両制御装置8はまた、エネルギー貯蔵システム7の充電手順を制御するべく構成されたハイブリッド制御装置13を有しているが、それについては以下に詳述する。更にまた、車両制御装置8はDC/DCコンバータ14を有しており、それはエネルギー貯蔵システム7からの直流(DC)を一つの電圧レベルからもう一つへと、例えばエネルギー貯蔵システム7の約200Vから、例えば車両のライト及び他の電気装置といった装備品を作動させるために用いることができる約24Vへと変換するように構成されている。
【0040】
車両制御装置8はまた、2つの接続素子9、10を必要に応じて互いに分離できるように構成された断路器装置15を有している。そのような必要性は、以下に説明するように、充電の間に誤りが発生した場合に生じ得る。
【0041】
図2には、接続素子9、10がプラグ及びソケットの形態で図式的に表されている。しかしながら、図1に示した実施形態に関連して開示したように、接続素子9、10は、適切にはパンタグラフ9及び導線10の形態である。2つの接続素子は、代わりに、他の導体素子によって、あるいはパンタグラフ及び導線の形態の導体素子に代わる誘導要素によっても構成できる。
【0042】
更にまた、車両制御装置8は接続箱16を有しており、エネルギー貯蔵システム7、ハイブリッド制御装置13、DC/DCコンバータ14、電動モータ駆動装置12、及び断路器装置15がそれに接続されている。また、外部電力供給源11は、エネルギー貯蔵システムの充電プロセスを制御するべく構成された充電制御装置17を有しているが、それについては以下に説明する。
【0043】
通常の運転の間、パンタグラフ9は、いかなる外部電力供給源にも接続されない。エネルギー貯蔵システム7の再充電が必要なときには、バス1は導線10の下方に駐車し、パンタグラフ9は導線10と接触するように配置される。
【0044】
パンタグラフ9が導線10と接触する位置にバス1がいるときに、エネルギー貯蔵システム7は結果的に外部電力供給源11と接触する。このことは、バス1の車両制御装置8が外部電力供給源11からの充電を要求し得ることを意味する。これは、ハイブリッド制御装置13と充電制御装置17との間のデータリンク18上でデータメッセージを伝達する手段により達成される。このデータリンク18は好ましくはワイヤレスであり、かつハイブリッド制御装置13と充電制御装置17の間のデータ伝達を可能にする。
【0045】
一般的に言えることは、ハイブリッド制御装置13が、充電制御装置17に独特の充電パターンを要求し得ることである。上述したように、「充電パターン」という用語は、ある充電電流及び電圧による、ある時間の、あるいはエネルギー貯蔵システム7によりある充電状態が達成されるまでの、所与の充電シーケンスを意味する。
【0046】
ここで、本発明によるエネルギー貯蔵システム7の充電方法について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
それによって、この方法が開始する第1のステップは、上述したように、接続素子9、10の接続である。バスの接続素子9がパンタグラフであり、かつ外部電力供給源の接続素子10が頭上の導線である場合、この第1ステップ(図3の参照符号19を参照)は、パンタグラフ9が頭上の導線10と導電的に接触する上昇した状態に対応する。
【0048】
接続素子9、10が互いに電気的に接続されたときに、ハイブリッド制御装置13は、予め定められた充電パターン(図3のステップ20)の形態での充電の供給を要求することに対応する情報を、充電制御装置17に送信する。上述したように、そのような充電パターンは、例えば「急速充電」すなわち比較的短い時間の間に大きな充電電流を伴う形態、あるいは「通常充電」すなわち比較的長い時間の間に比較的小さい充電電流を伴う形態とすることができる。
【0049】
選択される充電パターンは、例えば充電のために利用可能な時間、エネルギー貯蔵システム7の実際の充電状態、及び外部電力供給源11からの利用可能な電力といった、いくつかの要因によって決まる。
【0050】
充電パターンの要求を含むそのような情報は、データリンク18上で伝達される。この実施形態によると、データリンク18は少なくとも部分的にワイヤレスである。それは、最適には、少なくともバス1から外部電力供給源11への無線接続を構成する。大部分の用途において、バス1と外部電力供給源11は互いに近い距離、典型的に5〜20メートルの範囲内に位置することが予想される。この理由により、この無線接続は、短距離無線接続リンクにより達成することができ、例えばBluetooth(登録商標)あるいはZigbee(登録商標)通信リンクとすることもできる。
【0051】
エネルギー貯蔵システム7の実際の充電が外部電力供給源11により開始される前に、要求された充電パターンの予め定められた調整が開始される(段階21)。これは、ハイブリッド制御装置13が、外部電力供給源11により供給される充電電流に対し、予め定められた形態の変化、調節あるいは調整を加えるように構成されていることを意味する。この調整が「予め定められている」という事実は、車両1がその後に受け入れる実際の充電が、要求された充電に実際に対応しているかどうかを判定するように、ハイブリッド制御装置13が構成されていることを意味する。そのような調整は、例えば以下によって、実行できる:
i) その充電パターンによって、エネルギー貯蔵システムに供給される充電電流の周波数、振幅あるいは波形を一時的に変更する;
ii) 予め定められた振幅又は周波数あるいは予め定められた波形の充電電流に対し、ハイブリッド制御装置13の検出器によって検出できる信号成分を、少なくとも一時的に、重畳しあるいは付加する;
iii) さもなければ、ハイブリッド制御装置13により検出可能な方法で充電パターンを変更しあるいは調整する。
【0052】
充電パターンの調整がハイブリッド制御13によって、より正確には図2に図式的に示されている調整装置13aにおいて、決定されかつ実行されるときに(ステップ21)、エネルギー貯蔵システム7に対し、外部充電制御装置11によって、その充電パターンを供給することにより実際のパターンが開始される(ステップ22)。
【0053】
本発明の重要な特徴は、エネルギー貯蔵システム(7)に供給される充電パターンが先行して充電電流に賦課された予め定められた調整(ステップ21)を含んでいるかどうかを評価するステップ(図3のステップ23)を含んでいることにある。この評価は、ハイブリッド制御装置13の一部を構成する評価装置13bにおいて、実行される(ステップ24)。その評価が、調整装置13aにより実行された調整を評価された充電電流が含んでいないことを示す結果になると、これは誤った充電(ステップ25)と解釈される。
【0054】
他方、その評価が、調整装置13aにより実行された調整を評価された充電電流が含んでいることを示す結果になると、これは正しい充電と解釈される。これは、この方法が、充電パターン(ステップ23)を評価する段階に戻ることを意味する。
【0055】
ここで言及されるべきことは、いくつかの用途において、エネルギー貯蔵システム7のいわゆる予充電が実行されることである。これは、起動中に外部電力供給源11からエネルギー貯蔵システム7の容量性入力部に流れる電流を制限する方法であり、そのようなものとして以前から知られている。図面に示す実施形態によると、そのような予充電は、予め定められた充電パターンによる実際の本充電が開始される前に適切に実行される。
【0056】
要約すると、本発明は、要求された充電パターンに対し予め定められた調整をもたらし、エネルギー貯蔵システム7に供給される充電パターンが予め定められた調整を含んでいるかどうかを評価し、及び、そうでない場合はエネルギー貯蔵システム7の充電が誤っていることを示す、という原理に基づいている。
【0057】
本発明の特定の実施形態によると、誤り検出は、充電制御装置17における充電電流及び充電電圧の測定と、断路器装置15における充電電流及び充電電圧の対応する測定とを含むことができる。充電電流あるいは充電電圧が、これらの2つの位置の間でずれる場合、それは接続素子9、10のいずれかあるいは両方における抵抗の増大の徴候であり得る。これは、充電プロセスにおける誤りの表示であり得る。
【0058】
エネルギー貯蔵システム7の充電が正しくない場合、この実施形態によるハイブリッド制御装置13は、警告信号を始動させるように構成されている。そのような信号は、例えば車両1の運転者が察知し得る形態とすることができる。すると、ドライバーは、スイッチあるいは類似物(図示せず)を手動で回して充電スイッチを切ることができる。あるいは、誤った充電の場合に、接続素子9,10を自動的なやり方で互いに分離させるべく断路器装置15が作動するように、車両制御装置8を構成できる。エネルギー貯蔵システム7を外部電力供給源11から実際に分離することにより、充電が誤りである場合にも、極めて高いレベルの安全性が本発明によってもたらされる。
【0059】
本発明は、上述した実施形態には限定されず、以下の請求の範囲内で変更することができる。
【0060】
例えば、本発明は、電機を作動させるべく構成されるとともに充電手順をモニタする要求がある充電可能なエネルギー貯蔵システムを備えた、任意のタイプの車両に用いることができる。
【0061】
例えば、本発明は、例えばプラグインハイブリッド車といったハイブリッド車、あるいは電機のみによって作動する完全な電気自動車に用いることができる。本発明は、送電線網ベースの再充電装置、及び例えば実施形態を参照して上述したような外部電力供給源ベースの充電装置の両方の、異なるタイプの充電システムと共に用いることができる。
【0062】
更にまた、本発明は、異なるタイプのエネルギー貯蔵システム、異なるタイプのバッテリ装置及び制御装置等と共に用いることができる。また、外部電力供給源をエネルギー貯蔵システムに接続するために、本発明に関連して、異なるタイプの導電性あるいは誘導性の接続素子を用いることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 バス
2 内燃機関
3 電機
4 クラッチ
5 変速機
6 後車軸
7 エネルギー貯蔵システム
8 車両制御装置
9 パンタグラフ
10 導線
11 外部電力供給源
12 駆動装置
13 ハイブリッド制御装置
13a 調整装置
13b 評価装置
14 DC/DCコンバータ
15 断路器装置
16 接続箱
17 充電制御装置
18 データリンク
図1
図2
図3