(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両トランスミッションを制御するためのトランスミッション制御信号を出力するように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の車両制御システム。
車両制御システムは、1つまたはそれ以上の車両動作パラメータをモニタして、前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータに基づいてレンジ変更信号を出力するように構成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の車両制御システム。
レンジ変更信号は、車両速度が所定の速度閾値以上であり、および/または車両加速度が所定の加速度閾値以上である場合、低速レンジから高速レンジへのレンジ変更を実行するアップシフト要求を含むことを特徴とする請求項8に記載の車両制御システム。
車両制御システムは、車両速度が所定の速度閾値より大きいとき、レンジ変更信号の出力を禁止するように構成されたことを特徴とする請求項8または9に記載の車両制御システム。
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータが、車両の負荷を決定するためのトルク要求を含むことを特徴とする請求項6〜10のいずれか1に記載の車両制御システム。
レンジ変更信号は、車両負荷が所定の負荷閾値以上である場合、高速レンジから低速レンジへのレンジ変更を実行するダウンシフト要求を含むことを特徴とする請求項11に記載の車両制御システム。
車両制御システムは、トランスファケースに対する入力シャフトの回転速度が、入力シャフトの閾値速度より小さい場合、レンジ変更信号を出力するように構成されたことを特徴とする請求項18に記載の車両制御システム。
ブレーキ制御信号は、レンジ変更時に車両を静止した状態に維持するように動作可能であり、および/またはレンジ変更時に車両速度を制御するように動作可能であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
レンジ変更信号は、車両速度が所定の速度閾値以上であり、および/または車両加速度が所定の加速度閾値以上である場合、低速レンジから高速レンジへのレンジ変更を実行するアップシフト要求を含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
レンジ変更信号は、車両負荷が所定の負荷閾値以上である場合、高速レンジから低速レンジへのレンジ変更を実行するダウンシフト要求を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【発明の概要】
【0007】
本発明に係る態様は、車両制御システム、トランスファケースの制御方法、および車両に関する。
【0008】
本発明に係る1つの態様によれば、高速レンジおよび低速レンジで動作可能な車両のトランスファケースを制御する車両制御システムが提供され、車両制御システムは、トランスファケースのレンジ変更を実行するためのレンジ変更信号と、レンジ変更時に車両のブレーキを制御するためのブレーキ制御信号とを出力するように構成されている。ブレーキ制御信号は、たとえば車両速度を一定にし、または車両を静止した状態に維持するように車両速度を制御するために、車両ブレーキを制御するものである。これは、レンジ変更時に車両のトランスミッションをニュートラルに設定するとき、特に有用である。ブレーキ制御信号は、車両に搭載されたアンチロックブレーキ(ABS)システムを制御するために利用してもよい。ブレーキ制御信号は、ABSシステムに直接的に出力するか、またはABSシステムに送信するためにCANバス等の通信ネットワークに出力してもよい。
【0009】
車両制御システムは、レンジ変更信号、および任意的にはブレーキ制御信号を出力するように構成されたトランスファケース制御モジュールを有してもよい。択一的には、ブレーキ制御信号は、レンジ変更信号に基づいて出力してもよい。たとえばブレーキ制御信号は、レンジ変更信号を受信したとき、アンチロックブレーキ(ABS)システムにより出力されるものであってもよい。
【0010】
ブレーキ制御信号は、レンジ変更時に車両を静止した状態に維持するように動作可能であってもよい。このブレーキ制御ストラテジは、レンジ変更が可能な時に車両が静止しているので、シンクロナイザを有さないトランスファケースに対して実行することができる。択一的にまたは追加的には、このブレーキ制御ストラテジは、レンジ変更が開始された時に車両が静止している場合、および/またはレンジ変更中に車両が停止している場合に実行することができる。制御システムは、レンジ変更が開始された時、および/またはレンジ変更中に車両速度をモニタするように構成してもよい。ブレーキ制御信号により、たとえば車両のヒルホールド機能を起動してもよい。少なくとも特定の実施形態において、制御システムは、トランスミッションがニュートラル状態にある時であってもヒルホールド機能を維持するように構成してもよい。
【0011】
ブレーキ制御信号は、レンジ変更中に車両速度を制御するように動作可能である。ブレーキ制御信号により、車両の減速度を制御してもよい。択一的には、ブレーキ制御信号により、レンジ変更中の車両速度の増大を防止し、または維持するように動作可能である。たとえば、車両が坂道の上にあるとき、ブレーキ制御信号は、車両トランスミッションがニュートラル状態にあるとき、車両速度の増大を禁止するように動作可能である。
【0012】
レンジ変更信号は、トランスファケースの低速レンジから高速レンジへのレンジ変更を実行するためのアップシフト要求、および/またはトランスファケースの高速レンジから低速レンジへのレンジ変更を実行するためのダウンシフト要求を含んでもよい。アップシフト要求および/またはダウンシフト要求は、レンジ変更を実行する前に、ドライバの認証(確認)を要求してもよい。たとえば、レンジ変更信号に応じてディスプレイ指示またはメッセージを生成して、示唆された動作をドライバが認証したときにのみ、アップシフト/ダウンシフトを開始してもよい。択一的には、アップシフト要求および/またはダウンシフト要求は、それぞれのレンジ変更を実行するためにトランスファケースに出力してもよい。これらの半自動化および自動化された制御ストラテジの組み合わせを実行してもよい。すなわち制御システムは、トランスファケースの自律的または半自律的なレンジ変更を実行してもよい。
【0013】
制御システムは、車両トランスミッションを制御するためのトランスミッション制御信号を出力するように構成してもよい。トランスミッション制御信号は、レンジ変更を開始する前に、車両トランスミッションをニュートラル状態に設定するためのニュートラル選択要求を含んでもよい。制御システムは、トランスファケース制御信号を出力する前に、車両トランスミッションがニュートラル状態にあることをチェックするように構成してもよい。トランスミッション制御信号は、レンジ変更が完了した後のトランスミッションのギアを係合するためのギア選択要求を含んでもよい。制御システムは、トランスミッション制御信号を出力するように構成されたトランスミッション制御モジュールを有してもよい。トランスミッション制御信号は、レンジ変更信号に基づいて、トランスミッション制御モジュールにより生成されてもよい。
【0014】
制御システムは、1つまたはそれ以上の車両動作パラメータをモニタし、1つまたはそれ以上の車両動作パラメータに基づいてレンジ変更信号を出力するように構成してもよい。この特徴は、独立して特許可能であると思料される。
【0015】
本発明に係るさらなる態様によれば、高速レンジおよび低速レンジで動作可能な車両のトランスファケースを制御する車両制御システムが提供され、この車両制御システムは、
1つまたはそれ以上の車両動作パラメータをモニタし、
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータに基づいてトランスファケースのレンジ変更を開始するためのレンジ変更信号を出力するように構成される。
【0016】
制御システムは、レンジ変更信号を出力するように構成されたトランスファケース制御モジュールの形態を有してもよい。
【0017】
1つまたはそれ以上の車両動作パラメータは、および/または車両加速度を含んでもよい。制御システムは、車両速度がアップシフト速度閾値以上であり、および/または車両加速度が所定の加速度閾値以上である場合、アップシフト要求の出力を禁止してもよい。アップシフト速度閾値は、事前に設定してもよい。アップシフト速度閾値は、たとえば低速レンジで運転しているときのトランスファケースの最大車両速度に対応させてもよい。少なくとも特定の実施形態では、車両速度がアップシフト速度閾値以上であるとき、制御システムは、低速レンジから高速レンジへのレンジ変更を自動的に行う制御ストラテジを実行してもよい。
【0018】
制御システムは、車両速度がダウンシフト速度閾値より大きいとき、ダウンシフト要求の出力を禁止するように構成してもよい。ダウンシフト速度閾値は、事前に設定してもよい。制御システムは、車両速度が第2の速度閾値より大きいとき、高速レンジから低速レンジへのレンジ変更を禁止してもよい。車両速度は、車両ブレーキシステムによりモニタしてもよい。車両ブレーキシステムは、レンジ変更信号に基づいて、車両を静止状態に維持し、または車両速度を制御するように構成してもよい。制御システムは、任意的には、車両速度がダウンシフト速度閾値より小さくなったとき、または所定の範囲内に入ったとき、レンジ変更信号を出力して、ダウンシフトを実行するように構成してもよい。
【0019】
アップシフト速度閾値は、ダウンシフト速度閾値以下であってもよい。たとえばアップシフト速度閾値が60km/時であり、ダウンシフト速度閾値が40km/時であってもよい。
【0020】
車両動作パラメータは、車両の負荷を決定するトルク要求を含んでもよい。制御システムは、車両の速度および/または加速度を考慮したトルク要求に基づいて車両負荷を決定してもよい。制御システムは、負荷に基づいて、車両が坂道を上っているか、下っているか、あるいはトレーラを牽引していることを判断することができる。制御システムは、車両負荷が所定の負荷閾値より大きいとき、高速レンジから低速レンジへのレンジ変更を実行するようにダウンシフト要求を出力することができる。
【0021】
車両動作パラメータは、(トランスミッションからの出力シャフトの回転速度に相当する)トランスファケースの入力シャフトの回転速度を含んでもよい。制御システムは、車両が走行中である時、レンジ変更信号の出力を禁止するように構成してもよい。エンジンが回転している間、トランスファケースの入力シャフトは、トランスミッションの牽引トルクに起因して停止することはない。制御システムは、トランスファケースの入力シャフトの回転速度が所定の入力シャフト速度閾値を超え、トランスミッションからの出力トルクがトルク閾値を超えたとき、レンジ変更信号の出力を禁止するように構成してもよい。この制御ストラテジは、シンクロナイザを有さないトランスファケースのために実行することができる。
【0022】
車両動作パラメータは、エンジン速度を含んでもよい。制御システムは、レンジ変更時のエンジン速度を制限または制御するためのパワートレイン制御信号を出力するように構成してもよい。パワートレイン制御信号は、たとえばトランスミッションがニュートラルに設定され、トランスファケースのレンジ変更が実行されているとき、エンジン速度を低減してもよい。パワートレイン制御信号は、レンジ変更が実行される前で、トランスミッションがニュートラルに設定されると直ちに、エンジン回転速度規制値を定義してもよい。パワートレイン制御信号は、レンジ変更中に実行または維持されるエンジン回転速度規制値を定義してもよい。パワートレイン制御信号は、レンジ変更が完了した時、たとえばトルク要求に適応するためにエンジン速度を自動的に増大させてもよい。エンジン速度は、漸進的または累進的に増大させてもよい。
【0023】
少なくとも特定の実施形態において、制御システムは、高速レンジおよび低速レンジにおいて異なるスロットルマップを実行してもよい。
【0024】
車両動作パラメータは、たとえばトルセンディファレンシャル(登録商標)等の中央ディファレンシャルの動作モードを含んでもよい。中央ディファレンシャルは、車輪スリップを低減して、牽引力を増大させるためにロック(固定)してもよい。制御システムは、中央ディファレンシャルがロックしたとき、レンジ変更信号の出力を禁止するように構成してもよい。択一的な実施形態では、制御システムは、レンジ変更信号を禁止するために、電子式ディファレンシャル(たとえばインボードブレーキシステムおよびアウトボードブレーキシステム)と協働して動作するように構成してもよい。択一的には、車両の横方向加速度が所定の閾値を超えたとき、レンジ変更信号を禁止してもよい。ABS事象が生じたとき、ABSシステムがすべての車両車輪に対するブレーキ力の配分を完全に制御するために、レンジ変更およびクラッチ制御を禁止してもよい。所定の横方向加速度閾値を超えると、レンジ変更を禁止してもよい。この制御機能は、たとえば選択スイッチを偶発的に操作したことに応じてレンジ変更を偶然に実行することを防止する上で役立ち得る。
【0025】
車両動作パラメータは、トランスファケースの動作レンジを含んでもよい。トランスファケースが低速レンジで動作しているとき、制御システムは、アップシフト要求を含むレンジ変更信号を出力するように構成してもよい。トランスファケースが高速レンジで動作しているとき、制御システムは、ダウンシフト要求を含むレンジ変更信号を出力するように構成してもよい。
【0026】
レンジ変更信号は、ユーザのレンジ変更要求に応じて出力してもよい。レンジ変更要求は、ユーザ入力を受けるレンジ変更選択手段により生成してもよい。レンジ変更選択手段は、たとえばボタン、スイッチ、レバー、タッチスクリーン、またはセンサ等の形態を有してもよい。択一的または追加的に、レンジ変更要求は、制御システムにより自動的に生成してもよい。少なくとも特定の実施形態では、制御システムは、生成されたレンジ変更要求に自動的に呼応してレンジ変更を開始する前にユーザの確認を要求してもよい。
【0027】
制御システムは、レンジ変更時にギアの係合を禁止するためのトランスミッション制御信号を出力するように構成してもよい。トランスミッション制御信号は、レンジ変更が完了するまで、駆動ギアの係合を禁止するように車両トランスミッションを制御してもよい。トランスミッション制御信号は、レンジ変更動作中、トランスミッションをニュートラル状態に維持することを支援してもよい。制御システムは、ギア選択手段をロック(固定)または禁止するためのセレクタ制御信号を出力するように構成してもよい。ギア選択手段は、車両トランスミッションを制御するためのスイッチ、レバー、ボタン、ダイヤル、等のアクチュエータを含んでもよい。セレクタ制御信号は、レンジ変更中、ギア選択手段を機械的または電気的にロックして、車両トランスミッションのユーザ制御を禁止してもよい。
【0028】
本発明に係るさらに別の態様によれば、高速レンジおよび低速レンジで動作可能な車両のトランスファケースを制御する車両制御システムが提供され、
車両制御システムは、複数の車両システムをモニタするとともに、
・車両のトランスミッションがニュートラル状態にあること、および
・車両速度が所定の範囲内にあるか、または所定の閾値より小さいことの条件が合致したとき、トランスファケースのレンジ変更を実行するためのレンジ変更信号を出力するように構成される。
【0029】
車両制御システムは、レンジ変更信号を出力する前に車両速度がゼロである(車両が静止している)ことを要求してもよい。車両制御システムは、任意的には、車両速度がダウンシフト速度閾値より小さくなるか、所定範囲内に入ったとき、ダウンシフトを実行するように構成してもよい。車両ブレーキシステムは、たとえば1つまたはそれ以上の車輪センサから受信しデータに基づいて車両速度をモニタしてもよい。制御システムは、レンジ変更信号を出力するように構成されたトランスファケース制御モジュールの形態を有してもよい。
【0030】
車両ブレーキシステムは、レンジ変更信号に基づいて、車両ブレーキの動作を続けて制御して、車両を静止させるか、車両速度を所定範囲内または所定閾値より小さく維持してもよい。
【0031】
制御システムは、勾配、加速度、車両浸水走行状態、または位置情報の動作パラメータのうちの1つまたはそれ以上をモニタしてもよい。
【0032】
制御システムは、ギア選択手段が固定または禁止された場合、および/または車両ブレーキシステムが車両速度の増大を抑制するように動作する場合、トランスファケースのレンジ変更を開始するように構成してもよい。
【0033】
制御システムは、トランスファケースに対する入力シャフトの回転速度が所定の入力シャフト速度閾値より小さい場合、レンジ変更を開始するように構成してもよい。入力シャフト速度閾値は、たとえば100回転/分、200回転/分、または300回転/分であってもよい。シンクロナイザは、トランスファケースを道路速度に同期させ、トランスファケースおよびトランスミッションの出力シャフトの回転速度を増大させる。車両がドライブに戻された後、シンクロナイザは、トランスミッションおよびドライブラインをエンジン速度に同期させるように、トルクコンバータを係合させてもよい。
【0034】
本願で説明する車両制御システムは、トランスファケース・コントローラで実現されるものであってもよい。択一的には、車両制御システムは、複数の車両制御システムを含む電子制御システム全体で実現されるものであってもよい。たとえば、車両ABSモジュールは、レンジ変更信号に基づいて、ブレーキ制御信号を生成するように構成し、および/またはエンジン制御モジュールは、レンジ変更信号に基づいて、パワートレイン制御信号を生成するように構成してもよい。レンジ変更信号は、レンジ変更選択手段またはトランスファケース・コントローラにより通信ネットワークに出力されるものであってもよい。
【0035】
本発明に係るさらに別の態様によれば、上記説明した制御システムを搭載した車両が提供される。
【0036】
本発明に係るさらに別の態様によれば、高速レンジおよび低速レンジで動作可能な車両のトランスファケースを制御する方法が提供され、この方法は、
トランスファケースのレンジ変更を実行するためのレンジ変更信号を出力するステップと、
レンジ変更時に車両のブレーキを制御するためのブレーキ制御信号を生成するステップとを有する。
【0037】
ブレーキ制御信号は、レンジ変更時に車両を静止した状態に維持するように動作可能であり、および/またはレンジ変更時に車両速度を制御するように動作可能であってもよい。
【0038】
この方法は、車両トランスミッションを制御するためのトランスミッション制御信号を出力するステップを有してもよい。トランスミッション制御信号は、レンジ変更開始前に車両トランスミッションをニュートラルに設定するニュートラル選択要求を含んでもよい。トランスミッション制御信号は、レンジ変更完了後に車両トランスミッションのギアを係合するギア選択要求を含んでもよい。
【0039】
この方法は、1つまたはそれ以上の車両動作パラメータをモニタするステップと、前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータに基づいてレンジ変更信号を出力するステップとを有してもよい。この制御ストラテジは、独立して特許可能であると思料する。
【0040】
本発明に係るさらに別の態様によれば、高速レンジおよび低速レンジで動作可能な車両のトランスファケースを制御する方法が提供され、この方法は、
1つまたはそれ以上の車両動作パラメータをモニタするステップと、
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータに基づいてトランスファケースのレンジ変更を開始するためのレンジ変更信号を出力するステップとを有する。
【0041】
車両動作パラメータは、車両速度および/または車両加速度を含んでもよい。レンジ変更信号は、車両速度がアップシフト速度閾値以上であり、および/または車両加速度が加速度閾値以上である場合、低速レンジから高速レンジへのレンジ変更を実行するアップシフト要求を含んでもよい。アップシフト速度閾値および加速度閾値は事前設定されたものであってもよい。
【0042】
この方法は、車両速度がダウン速度閾値より大きい場合、ダウンシフト要求の出力を禁止するステップを有してもよい。ダウン速度閾値は、アップシフト速度閾値と同一であってもよい。択一的には、ダウン速度閾値は、アップシフト速度閾値より小さくてもよい。たとえばアップシフト速度閾値は60km/時であり、ダウンシフト速度閾値は40km/時であってもよい。
【0043】
車両動作パラメータは、トルク要求を含んでもよい。この方法は、トルク要求に基づいて車両負荷を決定するステップを有してもよい。たとえば車両負荷は、所与のトルク要求に対する車両の速度および/または加速度に基づいて決定してもよい。車両負荷は、車両が坂道(登り坂または下り坂)を走行していること、および/またはトレーラが連結されているか否かを示すものであってもよい。レンジ変更信号は、車両負荷が所定の負荷閾値以上でいる場合、高速レンジから低速レンジへレンジ変更を実行するためのダウンシフト要求を有してもよい。ダウンシフト要求は、トランスファケースに直接的に送信され、またはレンジ変更の実行の確認のためにドライバに出力してもよい。
【0044】
車両動作パラメータは、トランスファケースの入力シャフトの回転速度を含んでもよい。この方法は、入力シャフトの回転速度が入力シャフト速度閾値より大きい場合、レンジ変更信号の出力を禁止するステップを有してもよい。トランスファケースがシンクロナイザを有さない場合、または入力シャフトの回転速度がトランスファケースの回転閾値より大きい場合、この制御シーケンスは適当なものである。
【0045】
車両動作パラメータは、エンジン速度を含んでもよい。この方法は、レンジ変更時にエンジン速度を制限または制御するためのパワートレイン制御信号を出力するステップを有してもよい。この方法は、エンジン速度が所定のエンジン速度閾値より大きい場合、レンジ変更信号の出力を禁止するステップを有してもよい。
【0046】
車両動作パラメータは、トランスファケースの動作範囲を含んでもよい。すなわち、この方法は、トランスファケースが現時点において高速レンジまたは低速レンジのいずれで動作しているかを判断するステップを有してもよい。この方法は、トランスファケースが低速レンジで動作している場合、低速レンジから高速レンジへのレンジ変更を実行するためのアップシフト要求を含むレンジ変更信号を出力するステップを有してもよい。反対に、この方法は、トランスファケースが高速レンジで動作している場合、高速レンジから低速レンジへのレンジ変更を実行するためのダウンシフト要求を含むレンジ変更信号を出力するステップを有してもよい。
【0047】
レンジ変更信号は、レンジ変更要求に応じて出力されるものであってもよい。レンジ変更要求は、自動的に、またはたとえばレンジ変更選択手段の操作に基づいてユーザ要求に応じて生成されるものであってもよい。レンジ変更選択手段は、ボタン、スイッチ、タッチスクリーン、または他のヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)の形態を有するものであってもよい。
【0048】
この方法は、レンジ変更時にギアの係合を禁止するためのトランスミッション制御信号を出力するステップを有してもよい。択一的または追加的には、この方法は、ギア選択手段を固定または禁止するためのセレクタ制御信号を出力するステップを有してもよい。
【0049】
本発明に係るさらに別の態様によれば、高速レンジおよび低速レンジで動作可能な車両のトランスファケースを制御する方法が提供され、この方法は、
・車両のトランスミッションがニュートラル状態にあること、および
・車両速度が所定の範囲内にあるか、または所定の閾値より小さいことの条件が合致したとき、トランスファケースのレンジ変更を実行するためのレンジ変更信号を出力するステップを有する。
【0050】
この方法は、たとえば車両ブレーキシステム内の1つまたはそれ以上の速度センサを用いて、車両速度をモニタするステップを有してもよい。この方法は、レンジ変更を実行しているとき、車両を静止した状態に維持するか、または車両速度を制御するように車両ブレーキシステムを制御するステップを有してもよい。
【0051】
本明細書で説明する車両制御システムは、たとえば1つまたはそれ以上の制御モジュールを含む制御装置の形態を有するものであってもよい。制御モジュールはそれぞれ、互いに独立してまたは並行して機能できる1つまたはそれ以上のプロセッサを有してもよい。制御モジュールは、たとえば通信ネットワークを介して互いに通信するシステムアーキテクチャ(システム構造)内に配設してもよい。
【0052】
本明細書で説明する方法は、たとえば1つまたはそれ以上のマイクロプロセッサを有するコンピュータ装置上でコンピュータにより実行することができる。本発明に係るさらに別の態様によれば、コンピュータ可読プログラムコードを含むコンピュータ可読記憶媒体を有するコンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータ上で実行されるとき、コンピュータ可読プログラムコードは、上記説明した方法をコンピュータに実行させることができる。
【0053】
本明細書で用いるプロセッサの用語は、単一のプロセッサおよび複数のプロセッサの両方を意図するものと理解されたい。たとえば本明細書で説明した処理ステップは、単一のプロセッサまたは独立した複数のプロセッサにより実行されてもよい。プロセッサは、たとえば車両制御システムを構成するさまざまな制御モジュールで実現することができる。すなわち車両制御システムは、ネットワークを介して互いに通信する1つまたはそれ以上の制御モジュールを統合した車両システムアーキテクチャに一体化することができる。制御モジュールは、たとえばトランスファケース制御モジュール、トランスミッション制御モジュール、ABS制御モジュール、パワートレイン制御モジュール、ギアセレクタ制御モジュール、計器パック制御モジュール、およびアドバンスト・地形制御モジュールのうちの1つまたはそれ以上の制御モジュールを有してもよい。
【0054】
本願の範疇において、上記段落、クレーム、および/または以下の明細書および図面に記載された、さまざまな態様、実施形態、実施例、および択一例、特に個々の特徴物は、独立してまたは組み合わせて採用することができる。1つの実施形態に関連して説明された特徴物は、その特徴物が矛盾するものでなければ、すべての実施形態に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0056】
添付図面を参照して、本発明に係る実施形態によるトランスファケース・制御モジュール(TCCM)2を搭載した車両制御システム1について以下説明する。TCCM2は、車両5のトランスファケース3を高速レンジと低速レンジの間の変更を制御するように動作可能である。
【0057】
図1を参照すると、TCCM2およびトランスファケース3が車両5に搭載されている。車両5は、前輪W1,W2および後輪W3,W4を有し、各車輪W1〜W4に選択的に駆動トルクを伝達することができる(車両は4輪駆動車、すなわち4WD車両である。)。(
図1では破線で示す)内燃エンジンEは、車輪W1〜W4にトルクを伝達するために設けられている。また本発明は、1つまたはそれ以上の電気マシンを用いて車輪W1〜W4を駆動する車両(ハイブリッド電気車両(HEV)または電気車両(EV)等)に実装してもよい。本発明は、6つの車輪を有する車両等の他の全輪駆動車両(AWD)に適用してもよい。
【0058】
トランスファケース3は、車両5のトランスミッション7に取り付けられている。トランスファケース3は、前輪駆動(前輪プロペラ)シャフト9および前輪ディファレンシャル11を介して前輪W1,W2にトルクへトルクを伝達し、後輪駆動(後輪プロペラ)シャフト13および後輪ディファレンシャル15を介して後輪W3,W4へトルクを伝達するように単一のトランスミッション出力から2つの出力に駆動力を伝達することができる。トランスファケース3は、前輪駆動シャフト9と後輪駆動シャフト13との間で速度差を形成する中央ディファレンシャルを構成する。オフロードでの牽引力を支援するために、トランスファケース3は、高速レンジ(直結駆動)および低速レンジ(減速駆動)で選択的に動作可能なツイン速度(2速度)トランスファケース3を実現する減速ギアセットを有する。トランスファケース3は、高速レンジと低速レンジの間を変更するための電磁気マシン等のサーボアクチュエータを有する。サーボアクチュエータの動作は、TCCM2により制御される。サーボアクチュエータは、トランスファケース3の内部または外部に配置してもよい。
【0059】
トランスファケース3は、任意的には、高速レンジと低速レンジの間を動的に変更することができるシンクロナイザを有してもよい。シンクロナイザを用いて、トランスファケース3は、車両5が走行している間に、高速レンジと低速レンジの間を(高速レンジから低速レンジへの変更および低速レンジから高速レンジへの変更の両方)シフト(変更)させることができ(シフト・オン・ザ・フライ制御またはシフト・オン・ザ・ムーブ制御ともいう。)、ドライバがレンジ変更を完了させるために車両を停止させる必要性を回避することができる。トランスファケース3からの出力の回転速度を、トランスファケース3の内側回転速度に一致させる。トランスファケース3は、前輪駆動シャフト9および後輪駆動シャフト13に直接的に接続されるため、車両の(走行)速度により決定される。トランスファケース3に対する入力シャフトの相対的な回転速度は、トランスファケース3がトランスミッション7に同期できるように、できる限りゼロに近づける(ほぼゼロの速度差である)ことが必要である。トランスファケース3が高速レンジから低速レンジにシフトする前に、トランスファケース3に対する入力シャフトの速度を実質的に小さくできるように、トランスミッション7は、ニュートラルを選択する必要がある。たとえば入力シャフトが約100回転/分であるとき、レンジを変更することができる。シンクロナイザは、トランスファケース3とトランスミッション7の出力シャフトが車両速度で回転するようにトランスファケース3の回転速度を増大させることができる。「ドライブ」およびギアの再係合へのシフトは、車両速度へのエンジン速度の同期という観点からトルクコンバータを用いて処理される。
【0060】
先行技術の構成では、ドライバは、トランスファケースの高速レンジから低速レンジに変更する前に、まずトランスミッション7をニュートラルに係合する必要がある。トランスファケース3がシンクロナイザを有さない場合、静的な変更のみを実行することができる。換言すると、車両5は、高速レンジと低速レンジの間で変更できる前に、車両5を停止させる必要がある。本発明は、シンクロナイザの有するか否かによらず、トランスファケース3に適用され、静的または動的なシフトを実行するように構成された制御ストラテジ(制御方法)について以下説明する。少なくとも特定の実施形態において、車両制御システム1は、トランスファケースの自律型または半自律型の変更を実現することができる。
【0061】
ドライバがレンジ変更を要求できるように、レンジ変更セレクタ21が配設される。起動されると、レンジ変更セレクタ21は、レンジ変更要求信号を生成し、車両通信ネットワーク23に送信される。本実施形態では、レンジ変更セレクタ21は、レンジ変更を選択するためにドライバが押すことができるボタンの形態を有する選択手段を含む。理解されるように、選択手段は、スイッチ、レバー、静電容量センサ、またはタッチスクリーン・インターフェイスに表示される仮想的なセレクタ等の他の形態であってもよい。本実施形態において、選択手段は、重複的な制御部を提供する一連のステアリングホイール制御部を有する。ステアリングホイール制御部によれば、ドライバは、ステアリングホイールから手を離すことなく、レンジ変更を実行することができる。択一的または追加的には、選択手段は、ダッシュボードまたは中央コンソールの上に配置することもできる。
【0062】
TCCM2は、車両通信ネットワーク23を介して他の車載電子モジュールからデータ信号を受信する。とりわけTCCM2は、車両およびそのさまざまなシステムの動的状態を示す車両動作パラメータを受信するように構成されている。TCCM2は、通信ネットワーク23を介して他のモジュールと通信して、トランスファケースのレンジ変更を行うために制御ストラテジを実行する。TCCM2は、通信ネットワーク23からデータを受信し、通信ネットワークに送信する。たとえばTCCM2は、次の1つまたはそれ以上のネットワーク信号を通信ネットワークに送信することができる
(a)たとえばレンジ変更要求に基づいて、レンジ変更の要求があったことを示す変更通知信号;
(b)行われようとしているレンジ変更が静的変更であるか、または動的変更であることを示す変更特定信号;
(c)レンジ変更を初期化するための変更初期化信号;
(d)レンジ変更が完了したことを示すレンジ変更完了信号;または
(e)車両5に搭載された他のモジュールからの異なる反応を要求する任意の他の状態。
【0063】
TCCM2は、通信ネットワーク23を介して車両動作パラメータにアクセスして、車両システムの現在の状況および/または車両5の動的な動作パラメータを決定する。たとえばTCCM2は、車両速度データにアクセスして、試みられたレンジ変更が静的なものか、動的なものかを示す変更特定信号を修正する。トランスファケース3がシンクロナイザを有さないとき、TCCM2は、車両5が移動中であるとき、レンジ変更が実行できないと判断して、要求されたレンジ変更は実行できないこと、任意的には車両5をリセットする必要があることをドライバに通知するために、計器パック制御モジュール33への通知を出力する。同様に、トランスファケース3がシンクロナイザを有するが、車両速度が所定のレンジ変更閾値より大きいとTCCM2が判断したとき、要求されたレンジ変更は実行できないこと、任意的には車両5を減速する必要があることをドライバに通知するために、計器パック制御モジュール33への通知を出力する。レンジ変更をうまく(成功裡に)実行するために動作する車両モジュールは、
・トランスミッション7を制御するためのトランスミッション制御モジュール(TCM)25と、
・全輪および後輪の摩擦ブレーキを制御するためのアンチロックブレーキシステム(ABS)制御モジュール27と、
・パワートレインを制御するためのパワートレイン制御モジュール(PCM)29と、
・ドライバのギア選択を制御するためのギアセレクタ制御モジュール(GSM)31と、・ドライバへの情報を制御するための計器パック制御モジュール(IPCM)33と、
・車両5の動的動作パラメータを制御するためのアドバンスト・地形制御モジュール(ATCM)35とを含む。
【0064】
TCCM2に実施される制御ストラテジは、
図2の第1のブロック図に示されている。(A1において)ドライバ要求に応じてレンジ変更セレクタ21からレンジ変更要求信号を受信する。(A2において)通信ネットワーク23を介してレンジ変更要求信号を受信したとき、TCM25および/またはGSM31は、トランスミッション7がニュートラルであることを要求し、GSM31はギア選択を禁止し、PCM29はスロットルペダル入力を禁止し、ABS制御モジュール27は、ブレーキを掛け、および/または車輪速度を制御する。(A3において)トランスファケース3はレンジ変更を実行する。(A4において)TCM25は適当なギアに係合し、GSM31はギア選択を可能にし、PCM29はスロットルペダル入力を入力可能にする。このとき(A5において)ギア選択は完了する。
【0065】
少なくとも特定の実施形態において、TCCM2は、レンジ変更セレクタ21が起動されたとき、いくつかの条件を実行することにより、レンジ変更を実行するためのドライバ入力を低減するように動作可能である。以下説明するように、通信ネットワーク23を介してレンジ変更要求信号を受信したとき、TCCM2は、レンジ変更が可能か否かを判断するために、車両動作パラメータをチェックする。動作パラメータが所定の条件に合致するとき、TCCM2は、レンジ変更が要求されたことを示す変更通知信号を出力する。GSM31は、ドライバがトランスミッションのギアを選択するためのギアレバー、パドル、ロータリダイヤル等のセレクタ(選択手段)を有する。GSM31は、たとえばレバーとともにステアリングホイールに取り付けられたパドルを有し、重複的な制御部を有してもよい。
【0066】
これらの複数の電子モジュールは、TCCM2から出力されたネットワーク信号に基づいて、関連するシステムを制御するように構成されている。変更通知信号を受信すると、関連する複数の車両モジュールは、トランスファケース3がレンジ変更をうまく(成功裡に)実行することができるように、一連の動作を実行するように動作可能となる。
図3に示すように、通信ネットワーク23を介して変更通知信号を受信した時、これらの複数の電子モジュールは、以下の制御ストラテジを実行する。
a.[ステップ6において]トランスミッション制御モジュール(TCM)25は、レンジ変更に必要なようにトランスミッション7をニュートラルに係合するように制御する。
b.[ステップ4において]ABS制御モジュール27は、車両のロールアウェイを防止するために車両ブレーキを掛け、または車輪速度を制御する。
c.[ステップ7において]パワートレイン制御モジュール(PCM)29は、スロットル入力を禁止する。
d.[ステップ5において]ギアセレクタ制御モジュール(GSM)31はシフト変更を固定または禁止する。
e.[ステップ8において]計器パック制御モジュール(IPCM)33は、レンジ変更を示すドライバ通知を出力する。
【0067】
これらのステップがうまく(成功裡に)完了した場合のみ、トランスファケース・制御モジュール(TCCM)2は、レンジ変更を実行する。この制御ストラテジは、たとえばレンジ変更中に車両がロールアウェイ等の予想外に動作する可能性を排除するために、上記動作は経時的に順序立てて実行される。シンクロナイザを有さないトランスファケース3が行うすべてのレンジ変更、および車両5が静止しているときにシンクロナイザを有するトランスファケース3が行うすべてのレンジ変更において、静的シフトの制御ストラテジが実行される。静的および動的なシフトの両方の制御ストラテジについて、以下詳細に説明する。
【0068】
[静的なシフト(車両が静止)]
図3に示す第1のフローチャート100を参照しながら、静的なレンジ変更を実行するための制御ストラテジについて以下説明する。レンジ変更が低速レンジから高速レンジへのレンジ変更であるか、高速レンジから低速レンジへのレンジ変更であるかに拘わらず、制御ストラテジは同一のものである。
【0069】
i)[ステップ1において]TCCM2は、レンジ変更セレクタ21からレンジ変更要求を受信する。TCCM2は、現時点での車両状況がレンジ変更を実行する上で適当であるか否かを評価する。たとえば車両5が走行中である場合等、車両5が適当な車両状況にない場合、[ステップ3において]IPCM33は、レンジ変更が実行できないことを通報するために、計器クラスタ上で表示するメッセージを出力する。TCCM2は、レンジ変更が実行可能であると判断した場合、変更通知信号を通信ネットワーク23に出力する。実際には、[ステップ2において]車両が静的なレンジ変更を完了しようとしていることを示すために、通信信号の値を変更することにより、変更通知信号が生成される。
【0070】
ii)[ステップ4において]ABS制御モジュール27は、通信ネットワーク23を介して変更通知信号を受信し、ヒルホールド機能(坂道発進補助機能)を起動して、たとえばトランスミッション7がニュートラルを選択したとき、レンジ変更中に車両5がロールアウェイすることを防止する。ABS制御モジュール27は、ヒルホールド通知信号を通信ネットワーク23に出力する。
【0071】
iii)[ステップ5において]GSM31は、変更通知信号を受信すると、機械的にまたはソフトウェアを用いて、ギアセレクタを固定(ロック)し、レンジ変更中にドライバがトランスミッション7のギアを係合(操作)することを防止する。GSM31は、ギアセレクタ固定通知信号を通信ネットワーク23に出力する。[ステップ4において]ABS制御モジュール27がヒルホールド機能を起動すると同時に、GSM31はギアセレクタを固定してもよい。
【0072】
iv)[ステップ6において]トランスミッション制御モジュール(TCM)25は、変更通知信号およびギアセレクタ固定通知信号を受信すると、ニュートラルに係合する。TCM25は、ニュートラル係合通知信号を通信ネットワーク23に出力する。
【0073】
v)[ステップ7において]パワートレイン制御モジュール(PCM)29は、変更通知信号およびニュートラル係合通知信号を受信すると、スロットル入力を禁止する。
【0074】
vi)[ステップ9において]TCCM2は、すべての電子制御モジュールをチェックして、レンジ変更の前提条件を満たすことを確認する。レンジ変更の前提条件を満たす場合、[ステップ10において]TCCM2は、トランスファケース3のサーボモータの動作を制御する制御信号を出力することにより、レンジ変更を完了する。TCCM2は、初期化信号を通信ネットワーク23に出力する。
【0075】
vii)TCCM2は、レンジ変更が完了すると、レンジ変更完了信号を出力する。[ステップ11において]トランスミッション制御モジュール(TCM)25は、レンジ変更完了信号に基づいて、新しいレンジのための正しいギアに係合し、またはレンジ変更シフトが初期化される前の状態に戻す。
【0076】
viii)安全機能特性として、[ステップ12において]レンジ変更が完了されると、ABS制御モジュール27は、車両がロールアウェイしないように、ヒルホールド支援機能を解除しない。
【0077】
ix)レンジ変更完了信号を受信すると、[ステップ13において]PCM29はスロットル入力の禁止を解除する。
【0078】
x)レンジ変更完了信号を受信すると、[ステップ14において]GSM31はギアセレクタの固定を解除する。
【0079】
xi)[ステップ15において]IPCM33は、要求されたレンジ変更が完了したこと、および新しく選択されたレンジをドライバに通知するために計器クラスタ上でメッセージを表示するための通知信号を出力する。ABS制御モジュール27は、ドライバがスロットルペダルを踏み込んだとき、ヒルホールド支援機能を解除する。
【0080】
[動的なシフト(車両が走行中)]
動的なレンジ変更を実行するための制御ストラテジについて以下説明する。レンジ変更が低速レンジから高速レンジへのレンジ変更であるか、高速レンジから低速レンジへのレンジ変更であるかに拘わらず、制御ストラテジは同一のものである。
【0081】
i)[ステップ1において]TCCM2は、レンジ変更セレクタ21からレンジ変更要求を受信する。TCCM2は、現時点での車両状況がレンジ変更を実行する上で適当であるか否かを判断する。たとえば車両速度が低速レンジ動作閾値より大きい場合等、車両5が適当な状況にない場合、[ステップ3において]IPCM33は、レンジ変更が実行できないことをドライバに通報するために、計器クラスタ上で表示するメッセージを出力する。TCCM2は、レンジ変更が実行可能であると判断した場合、変更通知信号を通信ネットワーク23に出力する。実際には、[ステップ2において]車両が動的なレンジ変更を完了しようとしていることを示すために、通信信号の値を変更することにより、変更通知信号が生成される。
【0082】
ii)[ステップ4において]ABS制御モジュール27は、通信ネットワーク23を介して変更通知信号を受信し、車両5が加速しないように制御ストラテジを起動する。
【0083】
iii)[ステップ5において]GSM31は、変更通知信号を受信し、加速が禁止されたことを確認すると、機械的にまたはソフトウェアを用いて、ギアセレクタ(シフタ)固定(ロック)し、レンジ変更中にドライバがトランスミッション7のギアを係合(操作)することを防止する。GSM31は、ギアセレクタ固定通知信号を通信ネットワーク23に出力する。
【0084】
iv)[ステップ6において]トランスミッション制御モジュール(TCM)25は、変更通知信号およびギアセレクタ固定通知信号を受信すると、ニュートラルに係合する。TCM25は、ニュートラル係合通知信号を通信ネットワーク23に出力する。
【0085】
v)[ステップ7において]パワートレイン制御モジュール(PCM)29は、変更通知信号およびニュートラル係合通知信号を受信すると、スロットル入力を禁止する。
【0086】
vi)[ステップ9,10において]TCCM2は、すべての電子制御モジュールをチェックして、レンジ変更の前提条件を満たすことを確認し、レンジ変更の前提条件を満たす場合、トランスファケース3のサーボモータの動作を制御する制御信号を出力することにより、レンジ変更を完了する。TCCM2は、初期化信号を通信ネットワーク23に出力する。
【0087】
vii)TCCM2は、レンジ変更が完了すると、レンジ変更完了信号を出力する。[ステップ11において]トランスミッション制御モジュール(TCM)25は、レンジ変更完了信号に基づいて、新しいレンジのための正しいギアに係合し、またはレンジ変更シフトが初期化される前の状態に戻す。
【0088】
viii)[ステップ12において]ABS制御モジュール27は、ドライバがスロットルペダル入力またはブレーキペダル入力のいずれかを用いて介入するまで車輪速度を制御し続ける。
【0089】
ix)レンジ変更完了信号を受信すると、[ステップ13において]PCM29はスロットル入力の禁止を解除する。
【0090】
x)レンジ変更完了信号を受信すると、[ステップ14において]GSM31はギアセレクタの固定を解除する。
【0091】
xi)[ステップ15において]IPCM33は、要求されたレンジ変更が完了したこと、および新しく選択されたレンジをドライバに通知するために計器クラスタ上でメッセージを表示するための通知信号を出力する。
【0092】
車両5が動的レンジ変更中に静止した場合、当初、動的シフトを示していた通信信号は、車両を安定させ、車両のロールアウェイを防止するために静的シフトストラテジを実行すべきであることを反映するような値に変更される。
【0093】
トランスファケースのレンジ変更は、車両が立ち往生し、ロールアウェイし、制御を失うことを防止するために特定の状況下で禁止することができる。たとえば、浸水しながら走行しているとき(浸水走行中)、車両が水中で立ち往生して止まってしまうことを防止し、吸気口内への浸水を防止する車両フロント部分に生じる波を排除するために、動的シフトを禁止することができる。さらにABS制御モジュール27を利用することにより、オーバーヒート事象を引き起こす可能性があるので、ブレーキ温度が高くなったとき(たとえば高速で走行している時および/または坂道を下っている時)、動的シフトを禁止することができる。動的シフトを禁止することができる。安定性喪失を防止し、および/または車両ドライブラインにおける意図しないノイズ・パブレーション・ハーシュネス(NVH)効果を防止するために、(校正可能な制限値を超えて)ディファレンシャルを固定した場合、動的シフトを禁止することができる。
【0094】
[レンジ変更の記録要求および長押し機能]
トランスファケース・制御モジュール(TCCM)2は、レンジ変更セレクタ21と協働して、たとえばレンジ変更を開始するタイミングおよび/またはトリガ事象(起動事象)を制御するための追加的な機能を提供することができる。少なく利根特定の実施形態では、ドライバは、独立した制御媒体を用いてレンジ変更を起動するように、レンジ変更セレクタ21を設定することができる。たとえばTCCM2は、所定の時間が経過した後に、または1つまたはそれ以上の車両の動的パラメータが合致したときにレンジ変更を実行するように構成することができる。
【0095】
この制御ストラテジは、
図2および
図3を参照して上記説明した一般的な制御ストラテジとは独立して、またはこれらと組み合わせて実行することができる。この動作モードは、顧客が介入することなく(自動的に)新たなレンジに係合する機能を有する車両5において実行することができる。レンジ変更セレクタ21は、1次的および2次的に機能を提供することができる。1次的機能および2次的機能により実行される事象の異なるシーケンスは、トランスファケースの現時点の動作レンジに固有のものであり、TCCM2の応答は、現時点で高速レンジにあるか、低速レンジにあるかで異なる。択一的または追加的に、TCCM2は、別のトリガ事象に基づいて、トランスファケースのレンジ変更を開始するように設定することができる。
【0096】
TCCM2の設定後、レンジ変更を行うように実行される制御ストラテジが、
図4に示す第2のブロック図に図示されている。(B1において)TCCM2は、レンジ変更するように設定され、たとえば「レンジ変更の設定」というメッセージを表示して、(B2において)計器パック制御モジュール(IPCM)33にドライバへの指示が出力される。その後(B3において)ドライバが操作するステアリングホイールに取り付けられた制御部により、レンジ変更を起動することができる。(B4において)トランスファケース3は、ドライバ要求に応じてレンジ変更を行い、(B5において)レンジ変更が完了する。
【0097】
本実施形態において、1次的機能および2次的機能は、ボタンが押下された時間(押下時間)に基づいて選択される。押下時間は、TCCM2によりモニタされ、検出された押下時間に基づいて異なる制御ストラテジが実行される。とりわけ押下時間は、たとえば1秒、2秒、3秒またはそれ以上の校正可能な所定の第1の時間と比較される。押下時間が第1の時間より短い場合、1次的機能が選択される。押下時間が第1の時間より長い場合、2次的機能が選択される。たとえばステアリングホイール制御部上に独立したキャンセル機能を設けることができる。レンジ変更セレクタ21は、任意的には、所定の最大時間より長くボタンを押し続けると、1次的機能および2次的機能をキャンセルするように構成することができる。(たとえば車両内の物体がレンジ変更セレクタ21の上に落下したことに起因する)偶発的な操作を避けるために、レンジ変更セレクタ21は、任意的には、ボタンが最小時間より長い時間押下された場合にのみ1次的機能を選択するように構成してもよい。
【0098】
1次的機能は、
図3を参照して上記説明した制御ストラテジに基づいてレンジ変更を開始することを含む。2次的機能は、1つまたはそれ以上の基準を満たしたとき、レンジ変更を開始するためにTCCM2を準備するように設定することを含む。2次的機能が選択されたとき、車両のヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)は、(たとえばIPCM33上に)「設定(準備)」状態信号を表示することができ、任意的には低速レンジ選択ライトが断続的に明滅する。任意的には、レンジ変更セレクタ21は、特定の条件が所定の時間内に合致しない場合、2次的機能を自動的にキャンセルするように構成することができる。
【0099】
1次的機能は、過度に遅延することなく(要求された車両動作パラメータが合致したか否かに依存して)、レンジ変更を行うように制御ストラテジを実行する。とりわけTCCM2は、通信ネットワーク23に出力されたデータにアクセスすることにより、車両5の状態をチェックし、車両5が(上述のように)適当な状態にある場合には、変更通知信号を通信ネットワーク23に出力する。
【0100】
図5に示す第2のフローチャート200を参照すると、[ステップ201において]2次的機能は、レンジ変更を行うためにTCCM2を準備するように設定するステップを有する。2次的機能により実行される制御ストラテジは、トランスファケースの現時点の動作レンジ、すなわち[ステップ203の]高速レンジであるか、[ステップ202の]低速レンジであるかに依存する。2次的機能は、[ステップ206の]所定時間が経過したとき、および/または[ステップ205の]車両速度が所定の速度閾値より大きい/小さいときにレンジ変更を開始するステップを有する。択一的には、レンジ変更は、[ステップ204において]シンクロナイザの有無に拘わらず、高速レンジまたは低速レンジで起動することができる。この構成において、[ステップ208において]ドライバは、たとえばステアリングホイール制御部の形態を有する2次的な入力手段を用いて、レンジ変更を実行することができる。シンクロナイザの有無によらず、トランスファケースのさまざまな制御ストラテジについて以下説明する。
【0101】
1次的機能および2次的機能は、異なる技術を用いて選択することができる。たとえばレンジ変更セレクタ21は、1次的機能および2次的機能のそれぞれに個別の選択手段を有してもよい。たとえばレンジ変更セレクタ21は、1次的機能および2次的機能のそれぞれを選択するための第1および第2のボタンまたはスイッチを有してもよい。択一的には、1次的機能および2次的機能は、選択手段の変位または移動に基づいて、もしくはユーザが加えた作動のための力に基づいて選択することができる。さらなる択一例は、ドライバはレンジ変更を要求するが、所定の動作条件が合致せず、レンジ変更セレクタ21はレンジ変更を実行できないと判断した場合、2次的機能を選択することを含む。
【0102】
[高速レンジでの車両動作]
トランスファケース3がレンジを下げるためのシンクロナイザを有さない場合(車両が静止した状態で静的なレンジ変更を必要とする場合)、2次的機能は、以下のステップを有する。
1.車両5が速度条件を満たす場合、[ステップ206において]車両5が所定時間内にレンジを自動的に変更できるようにタイムラッチ(時間的なレンジ変更の防止)を実行するステップ。
所定時間は、たとえば(HMIを介して)ドライバにより校正可能であり、または(当初の装置製造者OEMにより)事前に設定可能なものである。
2.[ステップ207において]レンジ変更が実行されるまでの任意の時間ポイントで、速度条件が合致したとき(すなわち車両速度がゼロであるとTCCM2が判断したとき)、レンジを変更する準備状態に車両を維持するように永続的なラッチ(永続的なレンジ変更の防止)を実行するステップ。
たとえば選択プロセスを反復することにより、ラッチ(レンジ変更の防止)をキャンセルまたは解除することができる。
【0103】
トランスファケース3がレンジを下げるためのシンクロナイザを有する場合(「シフト・オン・ザ・フライ」動的レンジ変更が可能な場合)、2次的機能は、以下のステップを有する。
1.[ステップ206において]車両5が所定時間内にレンジを自動的に変更するようにタイムラッチ(時間的なレンジ変更の防止)を実行するステップ。
所定時間は、たとえば(HMIを用いて)ドライバにより校正可能であり、(当初の装置製造者OEMにより)事前に設定可能なものであり、択一的には表示するためにIPCM33に出力する。
2.[ステップ205において]設定速度が確定したとき、車両がレンジを変更するように速度ラッチ(速度によるレンジ変更の防止)を実行するステップ。
この速度は、[ステップ211において]HMIを介して設定することができる。特にドライバは、[ステップ215において]車両の±(プラスマイナス式)のクルーズ制御セレクタ、HMI、専用設定速度の±(プラスマイナス式)の制御部を用いて設定速度を定義することができる。低速レンジから高速レンジへの移行は、車両速度が第1の(アップシフト)速度閾値以上である場合に実行することができ、高速レンジから低速レンジへの移行は、車両速度が第2の速度閾値以下である場合に実行することができる。第1の速度閾値は、第2の速度閾値より小さくてもよい。たとえば第1の速度閾値は、30マイル/時であり、第2の速度閾値は、50マイル/時であってもよい。第1および第2の速度閾値は、任意的には、OEMにより事前に設定することができ、またはユーザにより定義することができる。
【0104】
[低速レンジでの車両動作]
トランスファケース3が高速レンジへのシンクロナイザを有さない場合(車両を静止させて静的なレンジ変更を必要とする場合)、2次的機能は、以下のステップを有する。
1.車両が速度条件を満たすときレンジを自動的に変更できるようにタイムラッチ(時間的なレンジ変更の防止)を実行するステップ。
この時間は、たとえば(HMIを用いて)ドライバにより校正可能であり、または(OEMにより)事前に設定可能なものである。
2.[ステップ207において]レンジ変更が実行されるまでの任意の時間ポイントで、速度条件が合致したとき、レンジを変更する準備状態に車両を維持するように永続的なラッチ(永続的なレンジ変更の防止)を実行するステップ。
たとえば選択プロセスを反復することにより、ラッチ(レンジ変更の防止)をキャンセルまたは解除することができる。
【0105】
トランスファケース3が高速レンジへのシンクロナイザを有する場合(「シフト・オン・ザ・フライ」動的レンジ変更が可能な場合)、2次的機能は以下のステップを有する。
1.[ステップ206において]車両5が所定時間内にレンジを自動的に変更するようにタイムラッチを実行するステップ。
所定時間は、たとえば(HMIを用いて)ドライバにより校正可能であり、(たとえばOEMにより)事前に設定可能なものであり、択一的には表示するためにIPCM33に出力する。
2.[ステップ205において]設定速度が確定したとき、車両がレンジを変更するように速度ラッチ(速度によるレンジ変更の防止)を実行するステップ。
この速度は、[ステップ211において]HMIを介して、たとえばクルーズ制御部の設定速度および/または自動速度制限部の設定速度を設定するためのステアリングホイールに取り付けられた制御部を用いて設定することができる。
【0106】
TCCM2は、[ステップ213において]関連条件が合致したとき、要求されたレンジ変更を実行するために、トランスファケース3を制御するための制御信号を出力する。TCCM2は、関連条件が合致した場合、さらにドライバから入力がなくてもレンジ変更を実行することができる。択一的には、関連条件が合致した場合、TCCM2は、レンジ変更を実行する必要がある旨のドライバからの認証を求める質問を出力することができる。
【0107】
1次的機能および2次的機能は、アクチュエータがたとえば係止部に対して所定位置に維持される時間に基づいて選択することができる。1次的機能は、アクチュエータを所定位置に設定することにより選択することができ、2次的機能は、上述の第1の時間より長い時間、アクチュエータを所定位置に保持することにより洗濯することができる。アクチュエータは、所定位置から離れた位置(たとえばニュートラル位置)にばね付勢することができる。アクチュエータは、たとえばレバー、スイッチ、またはロータリノブであってもよい。
【0108】
理解されるように、少なくとも特定の実施形態では、レンジ変更セレクタ21は、たとえばボタン等の単一の選択デバイスを用いて、選択すべき1次的機能および2次的機能の両方を実行することができる。この両方の機能は、択一的には、タッチスクリーン、タッチパネル、またはロータリセレクタ等のさらなる制御デバイスを用いて補完することができる。たとえばレンジ変更セレクタ21は、関連する機能性を校正するために、制御スクリーンを起動するように構成することができる。たとえば制御スクリーンは、ディファレンシャルの固定トルクを調整することができる。スライダ・オンスクリーン・ディスプレイ(または他のソフトウェア入力デバイス)を用いて、固定トルクを調整することができる。この機能は、上述の他の技術とは独立して特許可能であると思料する。
【0109】
[トレーラ牽引モード・インターフェイスおよびヒル・クライム支援]
トランスファケース・制御モジュール(TCCM)2は、トレーラ牽引モードおよび/またはヒル・クライム支援機能を提供するように動作することができる。少なくとも特定の実施形態において、この動作モードは、車両5にトレーラを連結した状態で作動させるとき、または坂道を上っていくとき、ドライバの制御を改善することができる。トレーラソケットが車両に連結されたとき、トレーラ連結信号が通信ネットワーク23に出力される。TCCM2は、トレーラ連結信号をチェックして、トレーラが連結されたと判断した場合、トランスファケースの低速レンジに移行するようにドライバ示唆を生成する。ドライバ示唆は、通信ネットワーク23に出力され、たとえばIPCM33に表示することができる。ドライバは、たとえばレンジ変更セレクタ21またはステアリングホイール制御部を操作することにより、この推奨(示唆)を受諾または却下することができる。逆に、トレーラが離脱すると、TCCM2は、トランスファケースの高速レンジに係合するように推奨信号を出力する。同様に、この推奨は、IPCM33に表示するために、通信ネットワーク23に出力される。
【0110】
車両5が静止しているときにTCCM2により実行される制御ストラテジが、
図6Aの第3のブロック図に図示されている。(C1において)TCCM2は、トレーラが車両5に連結されていることを示すトレーラ連結信号を通信ネットワーク23において検知する。(C2において)TCCM2は、IPCM33にドライバへの示唆を出力し、たとえば「トレーラを検出、低速レンジ適用の推奨」といったメッセージを表示する。(C3において)ドライバは、たとえばステアリングホイール制御部に配設されたレンジ変更セレクタ21を用いて、高速レンジから低速レンジへのレンジ変更を実行することができる。(C4において)TCCM2は、車両速度を継続してモニタし、一定の速度が検出されると、IPCM33にドライバへの示唆を出力し、たとえば「完全に離脱させよ。高速レンジ適用の推奨」といったメッセージを表示する。このとき(C5において)ドライバは、レンジ変更セレクタ21を用いて、低速レンジから高速レンジへのトランスファケースのレンジ変更を実行することができる。
【0111】
車両5が走行しているときにTCCM2により実行される制御ストラテジが、
図6Bの第4のブロック図に図示されている。(D1において)TCCM2は、トレーラが車両5に連結されていることを示すトレーラ連結信号を通信ネットワーク23において検知する。(D2において)TCCM2は、ドライバに停車させて、校正可能な転がり抵抗を牽引するために低速レンジに係合するようにドライバ示唆を出力する。このとき(D3において)ドライバは、車両5が停車した時、たとえばステアリングホイールに設置されたレンジ変更セレクタ21を用いて、高速レンジから低速レンジへのレンジ変更を実行することができる。(D4において)TCCM2は、車両速度を継続してモニタし、一定の速度が検出されると、IPCM33にドライバへの示唆を出力し、たとえば「完全に離脱させよ。高速レンジ適用の推奨」といったメッセージを表示する。このとき(D5において)ドライバは、レンジ変更セレクタ21を用いて、低速レンジから高速レンジへのトランスファケースのレンジ変更を実行することができる。
【0112】
(A1において)ドライバ要求に応じてレンジ変更セレクタ21からレンジ変更要求信号を受信する。(A2において)通信ネットワーク23を介してレンジ変更要求信号を受信したとき、TCM25および/またはGSM31は、トランスミッション7がニュートラルであることを要求し、GSM31はギア選択を禁止し、PCM29はスロットルペダル入力を禁止し、ABS制御モジュール27は、ブレーキを掛け、および/または車輪速度を制御する。(A3において)トランスファケース3はレンジ変更を実行する。(A4において)TCM25は適当なギアに係合し、GSM31はギア選択を可能にし、PCM29はスロットルペダル入力を入力可能にする。このとき(A5において)ギア選択は完了する。
【0113】
任意的には、TCCM2がドライバに高速レンジへの係合を示唆するときの校正可能な速度閾値を設定することができる。TCCM2は、たとえば車両速度をモニタし、車両5が一定速度で走行している場合、または低速レンジがもはや必要ではないと検知されるのに十分に車速が大きくなったとき、ドライバへの示唆を出力する。ステアリングホイールに取り付けられた制御部を用いて、またはレンジ変更セレクタ21を用いて、速度閾値を設定することができる。この機能は、上記説明した低速レンジのVmaxアップシフトにも採用することができる。
【0114】
この制御ストラテジは、
図2および
図3を参照して上記説明した一般的な制御ストラテジとは独立して、またはこれらと組み合わせて実行することができる。TCCM2は、トレーラが車両5に連結されていることを示すトレーラ連結信号の有無を通信ネットワーク23においてチェックする。択一的には、TCCM2(またはその他の制御ロジック)は、走行のために大きなトルクが必要であるか否かを判断するために、パワートレインのトルク、車両の向き、および車両の加速度のうちの1つまたはそれ以上をモニタしてもよい。大きなトルク要求はそれ自体で、車両5がトレーラを牽引していることを示す適当な示唆を提供することができる。
【0115】
TCCM2は、正の牽引信号またはパワートレインに対する過度に重い負荷を検出したとき、改善された車両制御を提供するためにトランスファケースの低速レンジに係合することを推奨するドライバ示唆を出力する。ドライバ示唆は、たとえば高レベル表示フロント(HLDF)またはIPCM33を介したメッセージとしてドライバに出力することができる。ドライバ示唆に呼応して、ドライバは、ステアリングホイールに取り付けられた制御部またはレンジ変更セレクタ21のいずれかを利用して(上述の1次的機能または2次的機能を用いて)レンジ変更を実行することができる。レンジ変更機能は、ドライバがステアリングホイールに取り付けられた制御部またはレンジ変更セレクタ21を用いるかに拘わらず、レンジ変更を実行する上で同一のものである。たとえばステアリングホイール制御部を用いて、メッセージを却下することができる。
【0116】
トレーラを切り離して、低速レンジで(安定状態の)速度でクルージングしているとき、TCCM2は、高速レンジに係合するようにドライバに示唆を与える。クルージング速度は、たとえばドライバまたはOEMにより校正可能なものであってもよい。車両がオフロードモードで動作している場合、任意的には、この機能を禁止することができる。たとえばドライバ示唆は、高レベル表示フロント(HLDF)またはIPCM33を介したメッセージとしてドライバに出力することができる。ドライバ示唆に呼応して、ドライバは、ステアリングホイールに取り付けられた制御部またはレンジ変更セレクタ21のいずれかを利用して(上述の1次的機能または2次的機能を用いて)レンジ変更を実行することができる。レンジ変更機能は、ドライバがステアリングホイールに取り付けられた制御部またはレンジ変更セレクタ21を用いるかに拘わらず、レンジ変更を実行する上で同一のものである。たとえばステアリングホイール制御部を用いて、メッセージを却下することができる。
【0117】
TCCM2は、通信ネットワーク23をモニタして車両の向きを判断する(車両の向きは、たとえば車両に搭載された1つまたはそれ以上のジャイロスコープおよび/または加速度計を用いて測定することができる。)。車両の向きが所定の閾値を超えた場合、TCCM2は、車両5が急峻な坂道上にあると判断し、低速レンジに係合するようにドライバ示唆を出力する。同様に、TCCM2は、車両を動かすために必要なパワートレイントルクに基づいて、坂道を登坂することを判断することができる。
【0118】
[低速レンジのVmaxアップシフト]
TCCM2は、車両速度および/または加速度に基づいて低速レンジから高速レンジへ変更するように操作することができる。この動作モードによれば、TCCM2は、急加速中、または車両速度が低速レンジでの最大速度機能に対応する速度に近づいた時、自動的にレンジ変更することができる。TCCM2は、車両の加速度により、低速レンジVmax(すなわち低速レンジが係合しているときの最大許容車両速度)に達するか、またはこれを超えた場合、低速レンジから高速レンジへ自動的に変更するように構成されている。またTCCM2は、通信ネットワーク23を介して受信したさまざまな信号に基づいて、低速レンジから高速レンジへの変更を自動的に実行する校正可能な速度を提供することができる。
【0119】
TCCM2により実行される制御ストラテジが、
図7の第5のブロック図に図示されている。(E1において)TCCM2は、トランスファケース3が低速レンジで動作していることを検出する。(E2において)TCCM2は、車両加速度をモニタし、車両速度が低速レンジの最大速度Vmax以上であることを判断する。(E3において)TCCM2は、ステアリングホイールに取り付けられた制御部またはレンジ変更セレクタ21のいずれかを利用して高速レンジに係合することを推奨するドライバ示唆をIPCM33に出力する。(E4において)ドライバは、レンジ変更セレクタ手段21を用いて、低速レンジから高速レンジへのレンジ変更を実行することができる。(E5において)TCCM2は、択一的には、校正パラメータをチェックすることにより自動レンジ変更を実行することができ、満たす場合には、(E6において)トランスファケースの低速レンジから高速レンジへの自動的なアップシフトを実行する。(E4において)トランスファケース3は、ドライバ入力の必要なく、自動的にアップシフトを実行することができる。
【0120】
TCCM2は、スロットルペダルへのキックダウンスイッチが起動しているとき、高速レンジへの自動シフトを実行することができる。キックダウンスイッチが起動されたとき、TCCM2は、通信ネットワーク23内でキックダウン信号を検出するように構成することができる。この動作モードは、システムの機能安全性における役割を果たし、たとえばドライバが低速レンジにあることを失念して高速道路で加速した場合、高速レンジへの自動シフトを可能にして、車両の最大速度を増大させることができる。
【0121】
この制御ストラテジは、
図2および
図3を参照して上記説明した一般的な制御ストラテジとは独立して、またはこれらと組み合わせて実行することができる。この動作モードは、
図8の第3のフローチャート300に図示されている。[ステップ302において]TCCM2は、トランスファケース3が低速レンジにあると判断する。[ステップ303において]TCCM2は、車両加速度、車両速度、およびスロットル位置をモニタして、ドライバの運転の攻撃性の程度を評価する。低速レンジにあるとき、[ステップ301において]車両が低速レンジに対する最大速度閾値に達するポイントを予測するために、これらのパラメータがモニタされる。車両5が最大速度閾値に達するか接近したとき、[ステップ307において]TCCM2は、低速レンジから高速レンジに変更するようにドライバに示唆を与えるためにIPCM33に情報を出力する。[ステップ310において]ドライバは、レンジ変更セレクタ21を用いてレンジ変更を実行して、上記説明した1次的機能および2次的機能を実行することができる。
【0122】
[ステップ311において]ドライバは、IPCM33上に表示された情報を却下することができる。択一的には、[ステップ312において]ドライバは、レンジ変更セレクタ21を操作して、レンジ変更を実行することができる。ユーザ入力に呼応して、TCCM2は、レンジ変更を開始する。
【0123】
[ステップ308において]スロットルペダルに対するキックダウンスイッチ等の2次的(副次的)なアップシフト手段を特定することができる。TCCM2は、キックダウンスイッチが作動したときにレンジ変更を実行することができるように構成される。その挙動が有効となるポイントは、加速度を最大化するために数多くのギアをシフトダウンさせる意図を妨害することがないように校正することができる。
【0124】
択一的には、所定期間内において特定のスロットル量が検出された場合、車両を高速レンジに変更するタイミング方法を採用することができる。これは、低速レンジにおける最大速度に達した場合でも、ドライバが加速する意図を示せるように校正可能なものとすることができる。
【0125】
[エンジン始動レンジ確認]
この動作モードは、エンジンが始動しているとき低速レンジが要求されたか否かを自動的にチェック(判断)するものである。この動作モードは、車両5のオフロード走行が終了した後、またはトレーラが切り離された後、トランスファケースの適当なレンジを選択するドライバを支援することができる。たとえばレンジ変更セレクタ21またはステアリングホイール制御部を用いて、レンジ変更を実行することができる。
【0126】
この制御ストラテジは、
図2および
図3を参照して上記説明した一般的な制御ストラテジとは独立して、またはこれらと組み合わせて実行することができる。この動作モードは、
図9の第3のフローチャート400に図示されている。[ステップ401において]TCCM2は、通信ネットワークにおいてエンジン点火信号(エンジンイグニッション信号)を検出する。TCCM2は、[ステップ402において]現時点のトランスファケースのレンジをモニタし、[ステップ403において]車両動作モードがアドバンスト・地形制御モジュール(ATCM)35内でアクティブであることをモニタする。トランスファケースの低速レンジが係合し、(たとえばATCM35がロード/ダイナミック・モードで動作しているときのように)車両動作モードがトランスファケースの高速レンジのために構成された場合、[ステップ404において]TCCM2は、点火サイクルを検知したときドライバ示唆を出力する。トランスファケースの高速レンジに係合することをドライバ示唆が推奨する。ドライバ示唆は、たとえばIPCM33上に表示されるメッセージの形態を取ってもよい。[ステップ405において]ドライバは適当な入力を与える。レンジ変更を実行するために、[ステップ407において]ドライバは、レンジ変更セレクタ21を起動して、上記説明した1次的機能または2次的機能を提供する。
【0127】
任意ではあるが、[ステップ406において]ドライバは、たとえばステアリングホイールに実装された制御部を用いてメッセージを却下することができる。ATCM35がトランスファケースの低速レンジへ移行させない動作モード(たとえばオフロードモード、または岩徐行モード(ロック・クロール・モード)等)にある場合、TCCM2は、ドライバ示唆の出力を禁止する。
【0128】
[車両動作モードインターフェイス]
TCCM2は、岩徐行モード、泥モード(マッドモード)、砂モード(サンドモード)、草/砂利/雪モード(グラス/グラベル/スノー・モード)、およびダイナミックモード等のさまざまな車両動作モードを起動させるATCM35等の他の車両システムと一体に構成することができる。いくつかの車両動作モード(岩徐行モード等)は、任意的には、トランスファケースの低速レンジでの動作を必要とするように構成されている。逆に、いくつかの車両動作モードは、任意的には、トランスファケースの高速レンジでの動作を必要とするように構成されている。いくつかの、またはすべての車両動作モードは、本質的なものではないが、トランスファケースの好適な動作範囲を有し得る。たとえば泥、砂、および草/砂利/雪の動作モードは、トランスファケースの低速レンジでの動作において最適化することができ、ロード/ダイナミック動作モードは、トランスファケースの高速レンジでの動作において最適化することができる。これまでは、選択された動作モードに基づいて、適当なトランスファケースのレンジをドライバが手作業で設定する必要があった。
【0129】
トランスファケースの高速レンジが係合しているとき、低速レンジを要求する車両動作モードが(ドライバにより、または自動的に)選択されると、TCCM2は、低速レンジに自動的に係合するように構成される。TCCM2は、所定時間が経過した後、低速レンジ1に係合する(任意的には、所定時間はドライバまたはOEMにより校正することができる。)。たとえばトランスファケースの高速レンジでの動作が最適化される異なる車両動作モードが選択された場合、TCCM2は、トランスファケースが依然として低速レンジを要求するか否かをドライバに確認する問合せをする(示唆を与える)ことができる。
【0130】
この制御ストラテジは、
図2および
図3を参照して上記説明した一般的な制御ストラテジとは独立して、またはこれらと組み合わせて実行することができる。この動作モードは、(車両性能、運転のしやすさ、および動力学(ダイナミックス)等の)車両特性の応答を変更する異なる動作モードで動作可能な車両5に適用することができる。1つまたはそれ以上の車両動作モードは、たとえば牽引支援等、トランスファケースの低速レンジの係合を要求することができ、または低速レンジの係合により実現されるものである。車両動作モードは、大まかにオフロードモードとオンロードモードに分類することができる。オフロードモードは、低速レンジ・オフロードモード(低速レンジの選択を要求するか、低速レンジの選択により実現されるオフロードモード動作モード)と、高速レンジ・オフロードモード(低速レンジの選択を要求しないオフロードモード動作モード)に分類される。本実施形態では、低速レンジ・オフロードモードは、岩徐行モードおよび泥モードであり、高速レンジ・オフロードモードは、砂モードおよび草/砂利/雪(GGS)モードである。本実施形態では、ロード/ダイナミック動作モード等のオンロードモードは、トランスファケースの低速レンジで許容される速度を超える速度で車両が走行する場合(および改善された燃費が要求される場合)に通常選択され、トランスファケースの高速レンジが係合される。車両動作モードは、たとえばHMIを用いてドライバにより、または車両5により自動的に選択することができる。TCCM2は、通信ネットワーク23にアクセスして、現時点で選択される車両動作モードを決定するとともに、参照テーブルにアクセスして、選択した車両動作モードが低速レンジ・オフロードモードであるか、高速レンジ・オフロードモードであるか判断する。
【0131】
TCCM2をATCM35に統合するための上記処理ストラテジが、
図10の第6のブロック図に図示されている。(F1において)ATCM35は、岩徐行モードを選択するように動作し、(F2において)低速レンジが自動的に係合する。その後(F3において)ATCM35が、ロード動作モードを選択するように動作した場合、(F4において)TCCM2は、高速レンジを自動的に選択するようにトランスファケース3を制御する。(F5において)ATCM35が、岩徐行モード以外のオフロードモードを選択するように動作した場合、(F6において)「低速レンジが必要か?」というメッセージをIPCM33上に表示するように示唆が与えられる(出力される)。その後(F7において)ロード動作モードが選択された場合、(F4において)TCCM2は、高速レンジを自動的に選択するようにトランスファケース3を制御する。
【0132】
図11に示す第5のフローチャートを参照して、上記制御モードについて以下詳細に説明する(選択されたトランスファケース3の高速レンジ/低速レンジが右側の列に図示されている。)。低速レンジ・オフロード動作モードが係合しているとき、TCCM2は、低速レンジに自動的に係合する前にタイマをスタートさせる。その車両動作モードを解除するとき、TCCM2は、トランスファケース3の高速レンジに自動的に係合する。
【0133】
[ステップ501において]トランスファケースの低速レンジが係合したとき、TCCM2は、以下の制御ロジックを実行する。
i)低速レンジ・オフロード動作モードが解除された場合、TCCM2は、[ステップ502において]高速レンジに係合せず、(新たに選択された動作モードが高速レンジ・オフロード動作モードまたは低速レンジ・オフロード動作モードであるかに拘わらず)[ステップ503において]別のオフロード動作モードが選択される。
ii)オンロード動作モードが選択された場合、[ステップ505において]TCCM2は高速レンジに係合する。
iii)低速レンジ・オフロード動作モードの後にオンロード動作モードが間接的に係合した場合、[ステップ504において]TCCM2は高速レンジに係合する。
iv)高速レンジ・オフロード動作モードが係合した場合、ドライバが低速レンジに変更するように要求するまで、TCCM2は低速レンジに変更しない。
[ステップ507において]高速レンジが係合し、[ステップ506において]レンジ変更が完了する。
【0134】
[ステップ507において]トランスファケースの高速レンジが係合したとき、TCCM2は、以下の制御ロジックを実行する。
i)車両動作モードが[ステップ508の]オンロード動作モードから[ステップ509の]高速レンジ・オフロード動作モードに変更した場合、TCCM2は、高速レンジを維持する。
ii)低速レンジ・オフロード動作モードが係合した場合、[ステップ510において]TCCM2は、低速レンジに係合する。
[ステップ513において]高速レンジに係合し、[ステップ512において]レンジ変更が完了する。
【0135】
車両動作パラメータが自動制御ロジックに基づいて変更される場合、TCCM2は、(高速レンジから低速レンジへ、または低速レンジから高速レンジへ)レンジを自動的に変更しない。
【0136】
さらに、レンジ変更により、出力(駆動)トルクが低減する場合、TCCM2は、レンジ変更を禁止するように構成することができる。トランスファケースをアップシフトすると、典型的にはエンジン速度が低減し、特にガソリン内燃エンジンにおいて、エンジン速度の低減に伴い出力トルクが低減する。
【0137】
理解されるように、本願の範疇から逸脱することなく、本発明に対するさまざまな変更例および変形例を想到擦ることができる。本発明の更なる態様は、番号が付された以下の段落に記載されている。
【0138】
段落1:
高速レンジおよび低速レンジで動作可能な車両のトランスファケースを制御する車両制御装置であって、
車両制御装置は、トランスファケースのレンジ変更を実行するためのレンジ変更信号と、レンジ変更時に車両のブレーキを制御するためのブレーキ制御信号とを出力するように構成された、車両制御装置。
【0139】
段落2:
ブレーキ制御信号は、レンジ変更時に車両を静止した状態に維持するように動作可能である、段落1に記載の車両制御装置。
【0140】
段落3:
ブレーキ制御信号は、レンジ変更時に車両速度を制御するように動作可能である、段落1に記載の車両制御装置。
【0141】
段落4:
車両トランスミッションを制御するためのトランスミッション制御信号を出力するように構成された、段落1に記載の車両制御装置。
【0142】
段落5:
トランスミッション制御信号は、レンジ変更開始前に車両トランスミッションをニュートラルに設定するニュートラル選択要求を含み、および/または
トランスミッション制御信号は、レンジ変更完了後に車両トランスミッションのギアを係合するギア選択要求を含む、段落4に記載の車両制御装置。
【0143】
段落6:
車両制御装置は、1つまたはそれ以上の車両動作パラメータをモニタして、前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータに基づいてレンジ変更信号を出力するように構成された、段落1に記載の車両制御装置。
【0144】
段落7:
高速レンジおよび低速レンジで動作可能な車両のトランスファケースを制御する車両制御装置であって、
車両制御装置は、
1つまたはそれ以上の車両動作パラメータをモニタし、
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータに基づいてトランスファケースのレンジ変更を開始するためのレンジ変更信号を出力するように構成された、車両制御装置。
【0145】
段落8:
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータは、車両速度および/または車両加速度を含む、段落7に記載の車両制御装置。
【0146】
段落9:
レンジ変更信号は、車両速度が所定の速度閾値以上であり、および/または車両加速度が所定の加速度閾値以上である場合、低速レンジから高速レンジへのレンジ変更を実行するアップシフト要求を含む、段落8に記載の車両制御装置。
【0147】
段落10:
車両制御装置は、車両速度が所定の速度閾値より大きいとき、レンジ変更信号の出力を禁止するように構成された、段落8に記載の車両制御装置。
【0148】
段落11:
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータが、車両の負荷を決定するためのトルク要求を含む、段落7に記載の車両制御装置。
【0149】
段落12:
レンジ変更信号は、車両負荷が所定の負荷閾値以上である場合、高速レンジから低速レンジへのレンジ変更を実行するダウンシフト要求を含む、段落11に記載の車両制御装置。
【0150】
段落13:
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータが、トランスファケースの入力シャフトの回転速度を含み、
車両制御装置は、回転速度が入力シャフト速度閾値より大きい場合、レンジ変更信号の出力を禁止するように構成された、段落7に記載の車両制御装置。
【0151】
段落14:
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータが、エンジン速度を含み、
車両制御装置は、レンジ変更時にエンジン速度を制限または制御するためのパワートレイン制御信号を出力する、段落7に記載の車両制御装置。
【0152】
段落15:
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータが、トランスファケースの動作レンジを含み、
トランスファケースが低速レンジで動作している場合、車両制御装置は、低速レンジから高速レンジへのレンジ変更を実行するアップシフト要求を出力し、
トランスファケースが低速レンジで動作している場合、車両制御装置は、高速レンジから低速レンジへのレンジ変更を実行するダウンシフト要求を出力するように構成された、段落7に記載の車両制御装置。
【0153】
段落16:
レンジ変更信号は、レンジ変更要求に応じて出力される、段落1に記載の車両制御装置。
【0154】
段落17:
車両制御装置は、
レンジ変更時にギアの係合を禁止するためのトランスミッション制御信号を出力し、および/または
ギア選択手段を固定または禁止するためのセレクタ制御信号を出力するように構成された、段落1に記載の車両制御装置。
【0155】
段落18:
高速レンジおよび低速レンジで動作可能な車両のトランスファケースを制御する車両制御装置であって、
車両制御装置は、複数の車両システムをモニタするとともに、
・車両のトランスミッションがニュートラル状態にあること、および
・車両速度が所定の範囲内にあるか、または所定の閾値より小さいことの条件が合致したとき、トランスファケースのレンジ変更を実行するためのレンジ変更信号を出力するように構成された、車両制御装置。
【0156】
段落19:
車両制御装置は、トランスファケースに対する入力シャフトの回転速度が、入力シャフトの閾値速度より小さい場合、レンジ変更信号を出力するように構成された、段落18に記載の車両制御装置。
【0157】
段落20:
段落1に記載の車両制御装置を備えた車両。
【0158】
段落21:
高速レンジおよび低速レンジで動作可能な車両のトランスファケースを制御する方法であって、
トランスファケースのレンジ変更を実行するためのレンジ変更信号と、レンジ変更時に車両のブレーキを制御するためのブレーキ制御信号を出力するステップを有する、方法。
【0159】
段落22:
ブレーキ制御信号は、レンジ変更時に車両を静止した状態に維持するように動作可能であり、および/またはレンジ変更時に車両速度を制御するように動作可能である、段落21に記載の方法。
【0160】
段落23:
車両トランスミッションを制御するためのトランスミッション制御信号を出力するステップを有する、段落22に記載の方法。
【0161】
段落24:
トランスミッション制御信号は、レンジ変更開始前に車両トランスミッションをニュートラルに設定するニュートラル選択要求を含み、および/または
トランスミッション制御信号は、レンジ変更完了後に車両トランスミッションのギアを係合するギア選択要求を含む、段落23に記載の方法。
【0162】
段落25:
1つまたはそれ以上の車両動作パラメータをモニタするステップと、
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータに基づいてレンジ変更信号を出力するステップとを有する、段落21に記載の方法。
【0163】
段落26:
高速レンジおよび低速レンジで動作可能な車両のトランスファケースを制御する方法であって、
1つまたはそれ以上の車両動作パラメータをモニタするステップと、
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータに基づいてトランスファケースのレンジ変更を開始するためのレンジ変更信号を出力するステップとを有する、方法。
【0164】
段落27:
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータは、車両速度および/または車両加速度を含む、段落26に記載の方法。
【0165】
段落28:
レンジ変更信号は、車両速度が所定の速度閾値以上であり、および/または車両加速度が所定の加速度閾値以上である場合、低速レンジから高速レンジへのレンジ変更を実行するアップシフト要求を含む、段落26に記載の方法。
【0166】
段落29:
車両速度が所定の速度閾値より大きいとき、レンジ変更信号の出力を禁止するステップを有する、段落26に記載の方法。
【0167】
段落30:
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータが、車両の負荷を決定するためのトルク要求を含み、
この方法は、トルク要求に基づいて車両負荷を決定するステップを有する、段落26に記載の方法。
【0168】
段落31:
レンジ変更信号は、車両負荷が所定の負荷閾値以上である場合、高速レンジから低速レンジへのレンジ変更を実行するダウンシフト要求を含む、段落30に記載の方法。
【0169】
段落32:
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータが、トランスファケースの入力シャフトの回転速度を含み、
この方法は、入力シャフトの回転速度が入力シャフト速度閾値より大きい場合、レンジ変更信号の出力を禁止するステップを有する、段落26に記載の方法。
【0170】
段落33:
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータが、エンジン速度を含み、
この方法は、レンジ変更時にエンジン速度を制限または制御するためのパワートレイン制御信号を出力するステップを有する、段落26に記載の方法。
【0171】
段落34:
前記1つまたはそれ以上の車両動作パラメータが、トランスファケースの動作レンジを含み、
この方法は、
トランスファケースが低速レンジで動作している場合、低速レンジから高速レンジへのレンジ変更を実行するアップシフト要求を出力するステップと、
トランスファケースが低速レンジで動作している場合、高速レンジから低速レンジへのレンジ変更を実行するダウンシフト要求を出力するステップとを有する、段落26に記載の方法。
【0172】
段落35:
レンジ変更信号は、レンジ変更要求に応じて出力される、段落21に記載の方法。
【0173】
段落36:
レンジ変更時にギアの係合を禁止するためのトランスミッション制御信号を出力するステップ、および/または
ギア選択手段を固定または禁止するためのセレクタ制御信号を出力するステップを有する、段落21に記載の方法。
【0174】
段落37:
高速レンジおよび低速レンジで動作可能な車両のトランスファケースを制御する方法であって、
・車両のトランスミッションがニュートラル状態にあること、および
・車両速度が所定の範囲内にあるか、または所定の閾値より小さいことの条件が合致したとき、トランスファケースのレンジ変更を実行するためのレンジ変更信号を出力するステップを有する、方法。
【0175】
段落38:
添付図面を参照して実質的に上記説明された車両制御装置。
【0176】
段落39:
添付図面を参照して実質的に上記説明された車両トランスファケース。