特許第6356821号(P6356821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6356821NTCデバイスおよびその製造のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356821
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】NTCデバイスおよびその製造のための方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/04 20060101AFI20180702BHJP
   C04B 35/01 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   H01C7/04
   C04B35/01
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-552612(P2016-552612)
(86)(22)【出願日】2015年2月3日
(65)【公表番号】特表2017-514292(P2017-514292A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】EP2015052177
(87)【国際公開番号】WO2015124421
(87)【国際公開日】20150827
【審査請求日】2016年10月14日
(31)【優先権主張番号】102014102042.1
(32)【優先日】2014年2月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァインツガー, マンフレッド
【審査官】 小池 秀介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−002962(JP,A)
【文献】 特開2012−134120(JP,A)
【文献】 特開昭61−242002(JP,A)
【文献】 特開平07−211515(JP,A)
【文献】 特開2013−131596(JP,A)
【文献】 特開2008−294326(JP,A)
【文献】 特開平08−055706(JP,A)
【文献】 特開昭63−315549(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第19942176(DE,A1)
【文献】 特開2010−258482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C7/02−7/22
C04B 35/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NTCデバイス(10)であって、
1つの第1の電極(1)および1つの第2の電極(2)と、
前記第1の電極(1)と前記第2の電極(2)との間に配設されている1つのNTC素子(3)と、
を備え、
前記NTC素子(3)は、一般組成AB24のセラミックを備え、ここでAおよびBはそれぞれ、Mn,Ni,Co,およびCuの材料の1つ以上を追加的に含み
前記セラミックは、(MntNiuCovCuw)(MnxCoyFez)O4の式による組成であり、t+u+v+w=1およびx+y+z=2となっており、
ここでtは[0.2〜0.4]から、uは[0.18〜0.38]から、vは[0〜0.15]から、wは[0.27〜0.47]から、xは[0.63〜0.83]から、yは[0〜0.19]から、そしてzは[1.07〜1.27]から選択されている、
ことを特徴とするNTCデバイス。
【請求項2】
Aは2価のカチオンであり、そしてBは3価のカチオンであることを特徴とする、請求項1に記載のNTCデバイス。
【請求項3】
前記第1の電極(1)は、主成分として銅を用いた1つの層を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のNTCデバイス。
【請求項4】
前記第1の電極(1)は、10μm〜100μmの層厚を有することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のNTCデバイス。
【請求項5】
前記NTCデバイスは、30μm〜100μmの部品厚を有することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のNTCデバイス。
【請求項6】
前記第1および第2の電極(1,2)の少なくとも1つは、銅の他にガラスと、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム(MgO)の1つ以上とを含むことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のNTCデバイス。
【請求項7】
前記NTCデバイスは、表面実装可能に構成されていることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のNTCデバイス。
【請求項8】
NTCデバイスを製造するための方法であって、
第1の電極(1)、基本材料、および第2の電極(2)を1つの結着体とするための結合ステップであって、当該基本材料が、Mn,Ni,Co,およびCuの材料、および/またはこれらの化合物の1つ以上、およびFe,Y,Pr,Al,In,およびSbの材料、および/またはこれらの化合物の1つ以上を含む結合ステップと、
温度工程であって、当該工程の温度が、前記基本材料からNTC素子(3)が形成され、かつ前記基本材料が前記第1および第2の電極(1,2)の少なくとも1つと共に焼結されるように選択されている温度工程と、
を備え、
前記NTC素子(3)は、前記結着体の製造のために前記第1の電極上にパターニングされて取り付けられており、
前記基本材料は、(MntNiuCovCuw)(MnxCoyFez)O4の式による組成であり、t+u+v+w=1およびx+y+z=2となっており、
ここでtは[0.2〜0.4]から、uは[0.18〜0.38]から、vは[0〜0.15]から、wは[0.27〜0.47]から、xは[0.63〜0.83]から、yは[0〜0.19]から、そしてzは[1.07〜1.27]から選択されている、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記基本材料は、結晶粒状すなわち紛体状のセラミックを含み、当該セラミックは前記結合ステップの前に、直径が1μmより小さい中程度の粒子サイズあるいは結晶粒サイズに粉砕されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記結着体は、銅電極の場合、前記温度工程に際に、500℃〜1050℃、好ましくは850℃〜1050℃の温度で、1μbarより小さくかつ銅/酸化銅(Cu/Cu2O)の平衡分圧より下側の酸素分圧を有する保護ガス雰囲気に曝されることを特徴とする、請求項またはに記載の方法。
【請求項11】
前記基本材料が、前記結合ステップの前に、薄膜成形によって準備され、前記NTC素子(3)が、前記第1および第2の電極(1,2)を有する前記結着体に対してコーティングされることを特徴とする、請求項乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記結着体は、前記温度工程の前に、300℃〜500℃の温度で脱炭されることを特徴とする、請求項乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はNTCデバイスおよびその製造のための方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明が解決しようとする課題は、改善されたNTCデバイスまたはNTC部品を提供することであり、具体的には小型かつ安価に製造することができるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この課題は独立請求項に記載の特徴により解決される。有利な構成および派生例は従属請求項に記載のものに示されている。
【0004】
本発明によるNTCデバイスは、1つの第1の電極と1つの第2の電極とを備え、当該第1の電極と当該第2の電極との間に配設されている1つのNTC素子を備えている。このNTC素子は、好ましくは高温導体の電気的特性を備えており、すなわち負の温度係数を備えている。このNTC素子は、一般組成AB24のセラミックを備え、ここでAおよびBはそれぞれ、マンガン(Mn),ニッケル(Ni),コバルト(Co),および銅(Cu)の材料の1つ以上を含み、かつBは追加的に、鉄(Fe),イットリウム(Y),プラセオジム(Pr),アルミニウム(Al),インジウム(In),ガリウム(Ga),およびアンチモン(Sb)の材料の1つ以上を含む。このNTC素子は、好ましくはスピネル型セラミックを含む。上述の材料を選択することにより、このNTCデバイスの製造方法を有利に簡易化することができる。具体的には、上述の材料を用いて、所定の条件下で化学的還元、たとえば上記のNTC素子の組成の部分Bの化学的還元を、このNTCデバイスの製造の際に有利に制限または防止することができる。このような還元によって、製造の際に、上記の高温導体特性の望ましくない還元劣化または変性が起こり得る。
【0005】
上述の条件は、NTCデバイス用の従来の製造方法または焼結方法と比較して低い温度であってよく、たとえば低減された酸素分圧での保護ガス雰囲気が存在するものであってよい。さらに、本発明によるNTCデバイスによって、既に上記の利点で説明した、代替の、有利な電極材料(複数)、たとえば銅等の貴金属でない金属が用いられ、これによってこのNTCデバイスは、全体として安価および/またはよりコンパクトに製造することができる。
【0006】
1つの実施形態においては、Aは2価のカチオンであり、Bは3価のカチオンである。好ましくは、AおよびBはそれぞれ金属カチオンである。これらのカチオンの価数は、好ましくはそれぞれのカチオンの酸化数および/または酸化状態を示すものである。
【0007】
1つの実施形態においては、上記のセラミックは、(MntNiuCovCuw)(MnxCoyz)O4の式による組成であり、t+u+v+w=1およびx+y+z=2か、またはt+u+v+w≒1およびx+y+z≒2となっており、ここで変数Xで示される材料はFe,Y,Pr,Al,In,Ga,およびSbの材料の1つ以上を含むかあるいはこれから成ることを示している。これらの変数t,u,v,w,x,y,およびzは、好ましくはこれらの変数によって示される材料または物質の原子分率またはモル分率を表す。
【0008】
上記の組成の部分BがFe,Y,Pr,Al,In,Ga,およびSbの材料の少なくとも1つを含有することによって、特に上記のNTCデバイスの製造の際に、上記のセラミック成分の還元あるいは還元劣化を防止または制限することができ、こうして上記のNTC素子の高温導体の特性を得ながら、低温またはさらに低温でのこのセラミックの焼結(Sinterung)または焼結体化(Versinterung)が、たとえば低減された酸素分圧を有する雰囲気下で、可能となる。
【0009】
1つの実施形態においては、Xは鉄を表し、すなわち鉄であり(X=Fe)、ここでtは[0.2〜0.4]から、uは[0.18〜0.38]から、vは[0〜0.15]から、wは[0.27〜0.47]から、xは[0.63〜0.83]から、yは[0〜0.19]から、そしてzは[1.07〜1.27]から選択されている。
【0010】
1つの実施形態においては、Xは鉄に対応し、すなわち鉄であり(X=Fe)、その他のパラメータは、t≒0.3,u≒0.28,v≒0.05,w≒0.37,x≒0.73,y≒0.09,そしてz≒1.17となっている。上記の表現「≒」(ほぼ等しい)は、この場合好ましくは、これらで与えられる大きさまたはそれぞれ与える本発明による成分が、それぞれ±20%で変動するかあるいはその規定値または所定値から+20%および−20%異なり得ることを意味している。代替として、この大きさまたは成分は、±10%まで変動してよい。とりわけ好ましくは、この大きさまたは成分は、±5%まで変動してよい。
【0011】
1つの実施形態においては、上記のNTC素子の材料Xの原子分率またはモル分率を決定する変数zは1より大きい(z>1)。
【0012】
1つの実施形態においては、上記の第1の電極は、主成分として1つの非貴金属を用いた1つの層を備える。
【0013】
追加的にまたは代替として、上記の第2の電極は、主成分として1つの非貴金属を用いた1つの層を備えてよい。この実施形態によって、電極材料として高価な貴金属を使わずに済ませることができるので、たとえば上記のNTCデバイスの製造コストを低減することができる。さらに、たとえば湿った環境におけるAgを含有する電極(複数)への電極材料のマイグレーションを、特に上記のNYCデバイスを回路(複数)に組み込む際に、このデバイスでの直流電圧がこれらの回路(複数)に印加される際に、防止あるいは制限することができる。
【0014】
1つの実施形態においては、上記の第1の電極は、主成分として銅を用いた1つの層を備える。さらに銅は電極材料として、またはその主成分として、高い熱伝導率という利点を提供し、これによって上記のNTCデバイスの応答特性を改善することができる。上述の層は1つのフィルム、たとえば1つの銅フィルムであってよい。この実施形態によって、このNTCデバイスの部品高を、たとえば従来のNTCデバイスと比較して小さくすることができる。これは上記の第1の電極用の層すなわち電極層を、銅フィルムとすることでとりわけコンパクトあるいは薄く準備することができるからである。
【0015】
1つの実施形態においては、上記の第1の電極は、上記のNTCデバイスの1つの補強体を形成している。このNTCデバイスの機械的剛性は、補強体として延性のある銅を用いることによって、同様に有利に大きくすることができる。
【0016】
1つの実施形態においては、上記の第1の電極は、10μm〜100μmの層厚を有する1つの層を備える。
【0017】
1つの実施形態においては、上記のNTC素子は、5μm〜100μmの層厚を有する1つの層を備える。
【0018】
1つの実施形態においては、上記のデバイスは30μm〜100μmの部品厚を有する。このデバイス厚は、好ましくは上記のようなNTCデバイスの全厚を表し、すなわち上記の第1の電極、上記のNTC素子、および上記の第2の電極を含む。さらにこの部品厚は、好ましくは、上記の第1の電極、上記のNTC素子、および上記の第2の電極の構成体に沿って、すなわちこれらの素子の積層方向に沿って測られる。
【0019】
上述の厚さの選択またはスケーリングによって、上記のNTCデバイスの部品厚すなわちデバイス厚は有利に小さくすることができ、および/または上記のNTCデバイスは、薄膜構造で、および/または「薄型」("low-profile";"niedrige Form"に対応する英語)の変形例で実装することができる。特に非常に薄い構造すなわち小さな部品高を実現することができる。さらにこれらの薄型構造は、上記のデバイスを、たとえば回路基板上で、他の部品アセンブリの下に省スペースで配置する、あるいはこの回路基板に一体化する可能性を提供する。さらにこの薄型構造は、パッシブインテグレーションである、上記のNTCデバイスの「埋込」("Einbettung")またはカプセル化を容易にする。
【0020】
1つの実施形態においては、上記の第1および第2の電極の少なくとも1つは、100%銅から成っている。
【0021】
1つの代替の実施形態においては、上記の第1および第2の電極の少なくとも1つは、銅の他にガラスおよび/または以下の材料の1つ以上を含む。酸化ジルコニウム、具体的にはZrO2、酸化アルミニウム、具体的にはAl23、および酸化マンガン(MgO)。
【0022】
上記の最後に挙げた2つの実施形態は、有利に高価な貴金属、電極材料としてたとえばAg,Pd,および/またはAuを使用せずに済ませることができる。
【0023】
1つの実施形態においては、上記の第1および第2の電極の少なくとも1つは、銀(Ag)が全く含まれていない。
【0024】
1つの好ましい実施形態においては、本発明によるNTCデバイスは表面実装可能に構成されている。この実施形態によって、特に表面実装可能な実施形態の利点、たとえばこのNTCデバイスをプリント基板または電子部品アセンブリ上に直接はんだ付けする可能性を有効に利用することができる。この実施形態は、具体的にはこのNTCデバイスの薄型構造を提供するという可能性を有利に実現する。これはこの場合電子アセンブリ全体の部品高も同様にこれに対応して有利に小さくされ得るからである。
【0025】
本発明のもう1つの態様は、1つの領域に配設された、たとえば並んで配設された複数のNTCデバイスを備えるNTC部品に関する。この実施形態によって、たとえば追加的な電子素子(複数)を有する1つの電子部品への、あるいは複数の個別のNTCデバイスが有利または必要となっている、この電子部品における、NTCデバイスの組み込みまたは配設を簡易化することができ。
【0026】
本発明のもう1つの態様は、本発明によるNTCデバイスの製造のための方法に関する。この方法は、上記の第1の電極と、たとえば上記のNTC素子および/または上記の第2の電極を1つの結着体とするために事前に準備された基本材料とを結合するステップを備え、ここでこの基本材料は、Mn,Ni,Co,およびCuの材料、および/またはこれらの化合物の1つ以上、およびFe,Y,Pr,Al,In,およびSbの材料、および/またはこれらの化合物の1つ以上を含む。
【0027】
上述の元素自体の他に、これらの元素は、たとえばこの基本材料において酸化物または他の化合物として存在してもよい。さらにこの方法は、1つの温度工程を備えてよく、この温度工程において、すなわちここで上記の結着体が1つの温度、好ましくは焼結温度に曝される。この温度工程では、この温度は、上記の基本材料から上記のNTC素子が形成され、かつこの基本材料が上記の第1および第2の電極と共に焼結あるいは焼結体化されるように選択されている。「焼結体化」は、この観点から、好ましくは上記の第1および第2の電極が、上記のNTC素子の焼結に加えて、機械的にも強固にこれらと結合し、あるいはこれらと一緒に焼結されることを意味する。
【0028】
上記の「結着体」なる表現は、好ましくは、上述の素子(複数)が上記の温度工程の前、すなわち上記の温度に曝される前に、それ以前に上記の素子が機械的に強固な一体性を有する必要なしに、何らかの方法で結合されること、あるいは相互または並んで配設されることを意味するものである。
【0029】
本発明による方法の1つの実施形態においては、この基本材料の材料組成が、上記の温度工程の前に選択され、この温度工程の間に、上記の基本材料の個々の成分が安定した酸化段階すなわち酸化状態となるようにされる。
【0030】
上述の組成によって、具体的にはFe,Y,Pr,Al,In,Ga,およびSbの材料の少なくとも1つを含有することによって、本発明によるNTCデバイス用の上記の焼結を、たとえば低減された酸素分圧を有する雰囲気下で行うことができ、同時に高温導体の特性を得ることができる。この理由は、上述のセラミックの部分Bへの上記の最後に挙げた材料の添加により、このセラミックが好適に3価の金属カチオンを含み、たとえば2価のカチオンが過剰となること、すなわち上記のセラミックの部分Aの2価のカチオンが過剰となること、およびこれによりこれらの2価のカチオンのそれぞれの酸化物、たとえば酸化ニッケルが分離されることを防止することができるからである。以上により、このセラミックの電気的特性の劣化または変性も有利に防止することができる。同様に、この結果としてこの焼結の間の高温導体の特性の損失を防止することができる。換言すれば、とりわけ本発明による基本材料の個々の成分すなわち材料組成の固有な材料特性は、上記の高温導体特性を得ること、ならびに上記の焼結の際に、上述した過剰となることを防止することに貢献するものである。この固有の材料特性は、好適に、上記の材料組成の上記の温度工程の際の物理的特性、具体的には上記の材料組成の高温導体の電気特性を用いた、複数の化学反応間の複雑な相互作用、たとえば酸化還元工程に関係するものである。
【0031】
本発明による方法の1つの実施形態においては、上記の基本材料は、結晶粒状すなわち紛体状のセラミックを含み、このセラミックは上記の結合ステップの前に、直径が1μmより小さい中程度の粒子サイズあるいは結晶粒サイズに粉砕される。この微粉砕は、個々のセラミック粒子の質量と比較して大きくされた表面積および表面エネルギのおかげで、好適に1つの結合した固体への焼結すなわち高密度化を容易にし、すなわち可能とする。
【0032】
本発明による方法の1つの実施形態においては、上記の結着体は、銅電極の場合、500℃〜1050℃、好ましくは850℃〜1050℃の温度に曝される。このような焼結温度の設定は、銅電極の場合、上記の基本材料の焼結体化、あるいは上記のNTC素子の、上記の第1および/または上記の第2の電極との焼結体化を有利に可能とする。これは銅がこのような条件でまだ融解せず、むしろ固い状態となっているからである。この銅電極の使用は、その電気的特性が良いことおよび低コストであること、ならびに、たとえば上記の第1の電極を銅フィルムとして実装し、この際これが同時に上記のNTCデバイスのための補強体として用いられ得ることから、とりわけ有利である。
【0033】
「銅電極」なる表現は、この場合好ましくは、これらのそれぞれの電極、すなわちたとえば上記の第1および第2の電極が、銅から成っており、または銅(Cu)が主成分として含まれていることを意味する。
【0034】
本発明による方法の1つの実施形態においては、上記の結着体は、1μbarより小さな酸素分圧を有する保護雰囲気下で上記の温度に曝される。
【0035】
本発明による方法の1つの実施形態においては、上記の結着体は、銅−銅酸化物(Cu/Cu2O)の平衡分圧より低い酸素分圧を用いて、上記の温度に曝される。
【0036】
上述の最後に挙げた2つの実施形態によって、上記の第1の電極および/または上記の第2の電極が上記の焼結の際に大幅にあるいは顕著に酸化されること、これによってこれらの電極が使用不能となり得ることを好適に防止することができる。
【0037】
本発明による方法の1つの実施形態においては、上記の結着体用の第1の電極には、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷、または薄膜成形(Foliengiesen)を用いて、上記のNTC素子が設けられる、すなわちコーティングされる。この実施形態によれば、好ましくはまず上記の第1の電極が準備され、そして次にこの上に上記のNTC素子が堆積される。
【0038】
1つの実施形態においては、上記の結着体の製造のためのこれらのNTC素子は、たとえば結合されていない層における小さな正方形の形態で、上記の第1の電極上に取り付けられる。この実施形態によれば、このNTC素子は、好ましくはシルクスクリーン印刷を用いて準備され、すなわち塗布される。
【0039】
本発明による方法の1つの代替の実施形態においては、上記のNTC素子は、大面積ですなわち全面的に上記の第1の電極と結着される。この実施形態によれば、上記のNTC素子は、好ましくは薄膜成形を用いて準備され、すなわち上記の第1の電極上に取り付けられる。
【0040】
本発明による方法の1つの実施形態においては、上記の第2の電極はパターニングされる。
【0041】
本発明による方法の1つの実施形態においては、上記の第2の電極はパターニングされて、上記のNTC素子と結着され、すなわちこの上に取り付けまたは堆積される。
【0042】
本発明による方法の1つの実施形態においては、上記の第1の電極、上記の基本材料、および上記の第2の電極の結着の前に、上記の基本材料が、薄膜成形によって準備され、ここで上記のNTC素子は、上記の結着体用に、これらの第1および第2の電極でコーティングされる。
【0043】
本発明による方法の1つの実施形態においては、上記の結着体は、上記の温度工程の前に、300℃〜500℃の温度で脱炭される。
【0044】
本発明による方法の1つの実施形態においては、上記の結着体には、上記の温度工程の後に、少なくとももう1つの電極、たとえばさらなる外部電極(複数)が設けられる。
【0045】
本発明のもう1つの態様は、NTC部品の製造のための方法に関し、このNTC部品は、上述したように、複数の、1つの領域に並んで配設された複数のNTCデバイスを備える。この際これらの個々のNTCデバイスは、好適に並行して処理され、こうして上記の個々のNTCデバイスに対して記載された方法ステップ(複数)は正にこのNTC部品に対し有効となり得る。
【0046】
上術の最後に記載した方法の1つの実施形態においては、上記のNTC部品は、上記の結着体を上記の温度に曝した後に、複数の個々のNTC部品および/またはNTCデバイスに個々に分離される。ここで上述の最後に挙げたNTC部品は、好ましくは、それ自体たとえば一列にまたは1つの帯状に配設された複数のNTCデバイスを備える1つのNTC部品である。
【0047】
本発明のもう1つの態様は、上記のNTCデバイスまたは上記のNTC部品の、温度センサとしてあるいは突入電流リミッタとしての使用に関する。
【0048】
本発明のさらなる利点,有利な実施形態,および有用性が、以下の実施例の、図を参照した説明により示される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】1つのNTC部品の概略断面図すなわち概略側面図を示す。
図2】1つのNTC部品概略上面図を示す。
図3】1つのNTCデバイスに対する抵抗特性曲線を例示する図を示す 。
【0050】
これらの図中で同じ要素、同様な要素、および同等に機能する要素には、同じ参照符号が付されている。これらの図、およびこれらの図に示された要素相互の大きさの関係は、縮尺通りとはなっていない。むしろ個々の要素は、より見易いように、および/またはより理解しやすいように、誇張して大きく図示されている場合がある。
【0051】
図1は、本発明によるNTC部品100の概略的な断面図すなわち側面図を示す。このNTC部品100は、1つの第1の電極1を備える。この第1の電極1は、好ましくは薄膜成形によって準備されている。
【0052】
代替としてこの第1の電極1は、他の方法、たとえばシルクスクリーン印刷または電気めっきで堆積すなわち準備されてよい。上記の第1の電極層1は、好ましくは1つの層である。この第1の電極1は、好ましくはさらに銅から成り、または主成分として銅を含む。この第1の電極は好ましくは銅フィルムである。好ましくはこの第1の電極は別の1つの非貴金属を主成分として含んでよい。この第1の電極1は、好ましくは上記のNTC部品100用の補強体を形成している。
【0053】
さらに本発明によるNTC部品100は、1つのNTC素子3を備える。このNTC素子は、好ましくは1つの高温導体材料すなわちNTC材料となっている。このNTC素子3は、図1においては、第1の電極1上に大面積で配設されている。代替としてこのNTC素子3は、パターニングされてよく、したがって第1の電極1上の特定の領域においてのみ取り付けられてよい。このNTC素子3は、たとえばシルクスクリーン印刷、インクジェット印刷、あるいはインクジェット印刷方法と同様な方法、または薄膜成形によって第1の電極1上に取り付けられてよい。このNTC素子3は、好ましくは1つの層である。
【0054】
さらに本発明によるNTC部品100は、1つの第2の電極2を備える。図1には、例示的に複数の第2の電極2として、全部で4つの第2の電極2が示されている。上記のNTC素子は、上記の第1の電極1とこのあるいはこれらの第2の電極2との間に配設されている。これらの第2の電極2は、ここでは好ましくは、複数の第2の電極2の形成のための1つの製造ステップにおいて、たとえば正方形(図2参照)にパターニングされて取り付けられる。以下でこの第2の電極に関する場合は、好ましくは全ての個々の第2の電極に関するものとする。
【0055】
この第2の電極2は、好ましくは、電気めっきで堆積されているか、またはシルクスクリーン印刷によってNTC素子3と結着またはこの上に取り付けられている。
【0056】
第1および第2の電極1,2は、好ましくは主成分として銅を含み、あるいは完全に銅から成っている。代替としてこれらの第1および第2の電極は、たとえば非貴金属の、別の金属を主成分として含んでよい。さらにこれらの第1および第2の電極は、ZrO2,Al23,および/またはMgOを含んでよい。好ましくはこの第1の電極1およびこの第2の電極2は、銀を全く含まない。
【0057】
本発明によるNTC部品100の部品厚は、好ましくは30μm〜100μmとなっている。上記のNTC素子の厚さは、好ましくは5μm〜100μmとなっている。第1の電極1の厚さは、好ましくは10μm〜100μmとなっている。
【0058】
図1において、NTC部品100は、焼結された状態または焼結されていない状態で示されている。焼結されていない状態の場合、参照番号3は、好ましくは上記のNTC素子の出発材料すなわち基本材料(グリーン部品)を表す。
【0059】
以下の段落においては、従来の技術による1つのNTC部品の製造について説明し、次にこれに対して本発明の利点が続いて記載すなわち示される。
【0060】
上記の基本材料またはNTC素子に対する公知および/または従来の技術に属するセラミック処方すなわち組成は、一般的な形式あるいは式でAB24を有するスピネル型セラミックに関するものである。ここでAは2価のカチオンを表し、Bは3価のカチオンを表している。この組成は、たとえば個々の金属カチオンMn,Ni,Co,Cu,およびFeをそれぞれ1.6992,0.4572,0.2328,0.6108,および0(Feに対し)のモル分率または原子分率で含んでいる。典型的に1050℃を越える焼結温度を有する従来の焼結方法のために、個々の酸化段階の安定性を考慮して、空気中での焼結では、このNTC素子の材料用に以下の化学式または概ね類似した化学式(これらはほぼ以下に相当する)に到達することができる。(Mn0.0508''Ni0.2387''Co0.0858''Cu0.6755'') (Mn1.8284'''Co0.1716'''Fe0''')O4.0000。上付きカンマは、それぞれの酸化の価数を表す。この材料は公知であり、広く行き渡っており、NTC部品用に大量に(トン単位で)既に利用されている。上記の従来の焼結の後またはこの従来の焼結では、過剰な2価のカチオンが生成され、これよりたとえば0.2669のモル分率または原子分率のNiOが生成され、すなわちほぼこの割合で分離され、あるいは残ったままとなる。
【0061】
本発明によれば、上記の第1の電極1,上記のNTC素子3用の基本材料,および上記の第2の電極2の結着の後、生成される結着体は焼結用に1つの温度に曝され、すなわち1つの温度工程が行われ、ここでこの温度は、この基本材材料から上記のNTC素子3が形成されるように、かつこの結着体あるいはこの基本材料が上記の第1および第2の電極1,2と共に焼結されるように設定される。この焼結温度は、好適には銅の融点の下側にあり、こうして本発明により、電極材料としての銅の利点を利用することができ、そしてこれらの電極は融解することがない。この焼結の前にそれぞれの対応するグリーン部品は、形状にプレスされて切り出されてよい。好ましくは、上述の結着体は焼結のために850℃〜1050℃の温度に曝される。これは好ましくは、酸化を防止または制限するために、1μbarより小さな酸素分圧を有する保護ガス雰囲気下で、かつ銅/酸化銅(Cu/Cu2O)の平衡分圧の下側で行われる。
【0062】
上述の公知のセラミック材料が本発明のように焼結されたならば、上記のスピネル型セラミックに含まれる元素である、一定の比率で2価および3価のカチオンがこのセラミック中に形成されるマンガンおよびコバルトは、たとえば還元によってその3価の酸化状態が2価の酸化状態に移行する。これにより、上記のNTC素子に対して必要な高温導体相すなわち特性が阻止されかねず、あるいはこの相がこの焼結処理の際に崩壊しかねない。結果としてこのNTC材料あるいはNTC素子は高抵抗および/または絶縁体となるであろう。もっと正確に言えば、上述の公知の材料を、低減された酸素分圧下、たとえば1μbarより下でかつ低い温度で焼結すると、これはたとえば以下の組成あるいは概ね同様な組成(ほぼこの組成)を生成するであろう。(Mn0.7295''Ni0''Co0.1142''Cu0.1563'') (Mn1.7716'''Co0.2284'''Fe0''')O4.0000。ここでは2価と3価のカチオンの比率は、上述の式あるいは材料組成と比べて乱されている。すなわち上記の焼結の後またはこの焼結の際に過剰な2価のカチオン(複数)あるいはこれらの酸化物が生成され、こうしてこの場合たとえば0.6729のモル分率または原子分率のNiO、および0.7428のモル分率または原子分率のCuOが、またはほぼこれらの分率で、分離されあるいは残ったままとなる。
【0063】
ここでは上記の過剰な2価のカチオンと、これに伴うこれらのそれぞれの酸化物の分離が、上述の場合と比べ5倍となっている。この劣化によって、このNTC素子またはこのNTC材料は、極めて大きな電気的抵抗を備えており、すなわち上記の高温導体の特性が損なわれて絶縁体となっている。以上によりこれはもはやNTC部品への使用には適していない。
【0064】
この3価から2価のカチオンへの還元の理論的証拠は、酸化還元滴定によっても、また低減された酸素分圧下での上記のNTC材料の質量損失の定量によっても定量的に検証または確認することができる。
【0065】
本発明による処理が必要としているように、これらの還元条件下で所望の高温導体の材料相の形成を可能とするために、本発明では、好ましくはマンガンおよび/またはコバルトの一部が鉄または他の元素に置き換えられる。これら鉄または他の元素は、その3価の酸化段階が、上記の第1および/または第2の電極が好適に大幅には酸化されない条件下で安定となっている、すなわち酸化還元安定となっている。鉄は上述の公知の焼結条件下においても、また本発明による条件下(焼結の際の低い温度および保護ガス雰囲気)においても常に3価の形態で存在し、そのマンガンおよびコバルトと類似したイオン半径のおかげで、3価のMnカチオンおよびCoカチオンの代わりに上記のスピネル型セラミックに組み入れることができ、本発明による処理または焼結方法において顕著に化学的に還元されることおよび劣化することが無い。鉄の代わりに、その3価の酸化段階が本発明による条件下で安定である他の元素、たとえばFe,Y,Pr,Al,In,Ga,およびSbも使用することができる。
【0066】
本発明のように上記の焼結処理のために充分に反応性のある材料を得るため、これが500℃〜1050℃の温度で焼結できるために、この焼成物、すなわち焼結される試料は通常平均的な直径で1μmより小さな粒子サイズとなるように粉砕される。この後この粉末から、さらなる処理のために、シート用スラリまたはシルクスクリーン印刷用ペーストが製造される。
【0067】
図1においては、上記の基本材料は本発明では、Mn,Ni,Co,およびCuの材料および/またはこれらの化合物の1つ以上と、Fe,Y,Pr,Al,In,Ga,およびSbの材料および/またはこれらの化合物の1つ以上を含み、これより上述したように、この基本材料あるいは上記のNTC素子の還元および劣化が発生することが無い。
【0068】
好ましくはこの基本材料は、本発明では一般組成AB24のセラミックを備え、ここでAおよびBはそれぞれ、Mn,Ni,Co,およびCuの材料の1つ以上を含み、かつBは追加的に、Fe,Y,Pr,Al,In,Ga,およびSbの材料の1つ以上を含む。Aは好ましくは、2価のカチオンであり、Bは3価のカチオンである。
【0069】
上記のセラミックは、好ましくは(MntNiuCovCuw)(MnxCoyz)O4の式による組成であり、t+u+v+w=1およびx+y+z=2か、またはt+u+v+w≒1およびx+y+z≒2となっており、ここで変数Xで示される材料はFe,Y,Pr,Al,In,Ga,およびSbの材料の1つ以上を含む。
【0070】
好ましくはX=Fe(鉄)であり、t≒0.3,u≒0.28,v≒0.05,w≒0.37,x≒0.73,y≒0.09,そしてz≒1.17となっており、ここで「≒」(ほぼ等しい)は、それぞれの変数の数値が、この変数の規定値または所定値から±20%まで異なるか、とりわけ好ましくは±10%まで異なるか、および/またはその構成が含まれていることを意味する。
【0071】
好ましくはX=Feであり、ここでtは[0.2〜0.4]から、uは[0.18〜0.38]から、vは[0〜0.15]から、wは[0.27〜0.47]から、xは[0.63〜0.83]から、yは[0〜0.19]から、そしてzは[1.07〜1.27]から選択されている。
【0072】
とりわけ好ましくは、XはFeを表し、t=0.3021,u=0.2787,v=0.0473,w=0.3723,x=0.7336,y=0.0946,およびz=1.1716であり、これより上記のNTC素子は、本発明では以下の式に対応した組成となっている。(Mn0.3021''Ni0.2787''Co0.0473''Cu0.3723'') (Mn0.7336'''Co0.0946'''Fe1.1746''')O4.0000
【0073】
上記のNTC部品100は、さらに表面実装可能に構成されていてよく、たとえば多層構造状になっていてよい。このような構成によれば、上記のセラミックの組成は以下のようになっている。XはFeを表し、t=0.371,u=0.299,v=0.152,w=0.400,x=0.742,y=0,およびz=1.258であり、あるいはt≒0.37,u≒0.3,v≒0.15,w≒0.40,x≒0.74,y≒0,およびz≒1.26であり、ここで「≒」(ほぼ等しい)は、それぞれの変数の数値が、この変数の規定値または所定値から±20%まで異なるか、とりわけ好ましくは±10%まで異なるか、および/またはその構成が含まれていることを意味する。
【0074】
特にFeの代わりに、(上述したような)他の適合した酸化還元安定な材料が使用される場合、これに対応してこのNTC素子のセラミック組成におけるこれ以外の元素あるいは金属カチオンの別のモル分率が用いられていてよい。
【0075】
これらの実施形態によって、好適に、上記の基本材料の焼結の際に生成される過剰な2価のカチオンが少なくなり、また上記の高温導体の電気的特性に対し許容され得るような過剰な2価のカチオンが生成される。
【0076】
図1に関して、上記の第1の電極の代わりに、上述したように、上記のNTC素子3が最初に、たとえば薄膜成形を用いて準備されてもよく、そして(上記の結着体用に)上記の第1および第2の電極1,2が設けられてもよい。上記のNTC部品100の表面実装可能な構成のために、これらの電極1,2は、好ましくはこれに対応してパターニングされていてよい。こうしてこのNTC部品は、たとえば1つのプリント基板または1つの電子アセンブリ上にはんだ付けすることができる。
【0077】
上記の結着体は、上記の温度工程の前に、すなわちこの温度にこの結着体を曝す前に、300℃〜500℃の温度で脱炭されてよい。この脱炭の間に、たとえば溶剤および/または炭素の残渣を、上記の結着体または上記のNTC素子から除去することができる。
【0078】
この温度に曝す前に、この結着体には、少なくとも1つのさらなる電極、たとえば1つの外部電極が設けられてよい。この際このさらなる電極の材料はまず取り付けられ、そして続いてたとえばこの結着体との機械的結合の生成のために、焼成されてよい。このさらなる電極は、さらに上記の第1の電極と電気的に導通して結合されていてよい。
【0079】
上記の焼結あるいは温度工程の後で、好ましくは上記のNTC部品100は、多数のNTCデバイス10に個々に分離される。これが図1において垂直方向にひかれた直線1で示されている。この個々の分離はソーイング,切断,またはパンチ加工,または他の方法によって行われてよい。
【0080】
図2は、1つの例示的なNTC部品100の概略上面図を示す。このNTC100は、1つの領域に配設された複数のNTCデバイス10を備え、あるいはこれらから形成されている。例として3×3のNTCデバイスの領域が示されている。具体的には第1の電極1は、50μmの厚さを有する1つのCu基板となっていてよい。この上にNTC素子(複数)3が、たとえば1辺が2mmの正方形のNTCデバイス(複数)の形成のために、シルクスクリーン印刷されてよい。第2の電極(複数)2は、銅から成っていてよく、そして(図示されているように)、同様に1辺が1mmの正方形または円形に形成されていてよい。この活性のNTC層またはNTC素子3の層厚、およびこの第2の電極2の層厚は、それぞれ15μmであってよい。このNTCデバイスの部品高は、ここでは80μmとなっている。好ましくはこのNTC部品100は、電極層として、1つの連続した単一の第1の電極1を備え、この電極層は、示された全てのNTCデバイスに対して第1の電極として機能する。第2の電極2の数は、このNTCデバイス10の数に対応している。
【0081】
図3は、1つのNTCデバイス10の温度依存性の抵抗特性曲線の例を示す。電気抵抗がオーム単位で、横軸の温度に渡って対数的に示されている。示されている温度範囲は−40〜180℃に渡っている。この電気抵抗は25℃の温度では、たとえば70kオームとなっている。B100値(特性曲線傾き)は、4800Kの温度となっており、すなわちこの温度に対応している。
【0082】
本発明は上記の実施形態例を参照した説明によって限定されない。むしろ本発明は、特に請求項中の特徴の組み合わせそれぞれが含むいかなる新規な特徴、並びにいかなる新規な特徴の組み合わせをも、たとえその特徴またはその組み合わせがそれ自体として請求項または実施例に明示されていなくとも、含むものである。
【符号の説明】
【0083】
1 : 第1の電極
2 : 第2の電極
3 : NTC素子
10 : NTCデバイス
100 : NTC部品
図1
図2
図3