(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の可撓性のある導電性電極を、前記前方接触パッドに電気的に接続するために、前記第1接続タブと前記前方接触パッドの間に配置される第1の可撓性のある導電性接着剤と、
前記第2の可撓性のある導電性電極を、前記後方接触パッドに電気的に接続するために、前記第2接続タブと前記後方接触パッドの間に配置される第2の可撓性のある導電性接着剤と
をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
前記遠近調節作動器要素は、液晶(「LC」)層を含み、前記LC層は、前記第1の可撓性のある導電性電極および前記第2の可撓性のある導電性電極よりも、前記中心領域において広いエリアにわたって広がっている、請求項1に記載のデバイス。
前記第1の可撓性のある導電性電極および前記第2の可撓性のある導電性電極は、それぞれ、反復して塗布され、かつ硬化される透明な導電性液体の多層構造を備える、請求項1に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0013] 1つまたは複数の可撓性のある導電性層を含む眼に取付け可能なデバイスに対するシステム、装置、および製作方法の実施形態が、本明細書で述べられる。以下の記述では、諸実施形態の十分な理解を提供するために、数多くの特定の細部が述べられる。しかし、当業者であれば、本明細書で述べられる技法は、特定の細部の1つまたは複数のものを使用せずに、または他の方法、構成要素、材料などを用いて実施できることが理解されよう。他の例では、いくつかの態様を曖昧にしないようにするために、よく知られた構造、材料、または動作は詳細に示されていない、または述べられていない。
【0008】
[0014] 本明細書の全体を通して、「一実施形態」または「実施形態」に対する参照は、その実施形態に関連して述べられた特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して、様々な場所における「一実施形態では(においては)」、または「実施形態では(においては)」という表現の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を参照するものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0009】
[0015] コンタクトレンズの焦点距離を調整するための遠近調節作動器を含むスマートコンタクトレンズ、または眼に取付け可能なデバイスが本明細書で述べられる。いくつかの実施形態では、遠近調節は、ユーザの注視方向に基づいて、実時間で自動的に調整される。遠近調節作動器は、スマートコンタクトレンズの(例えば、少なくとも中心視覚を含む)中心領域に配置される。したがって、遠近調節作動器の構造的かつ電子的な構成要素が、ユーザの視覚中心の品質を過度に妨げない、または悪化させないことが望ましい。
【0010】
[0016] 遠近調節作動器は、様々な光電子デバイスで実施することができるが、それぞれは、遠近調節作動器を電子的に制御するための電極が必要になる。したがって、これらの電極は、透明であり、かつ導電性を有するべきである。インジウムスズ酸化物(「ITO」)の高い電気的な伝導性および光学的な透明性により、この材料は、光電子デバイス産業における標準の透明な導電性材料としての位置を占めている。しかし、従来のITOはもろく、したがって、可撓性のあるコンタクトレンズに十分適しているわけではない。ITOのもろさは、曲げる、または折り畳むと、その電気的な伝導性を劇的に減少させる。可撓性のあるコンタクトレンズは、ユーザにより操作され、挿入され、かつ装着されたとき、数多くの機械的な折り畳み、および曲げサイクルを受けるので、従来のITOのもろさは、望ましいものではない。
【0011】
[0017] 本開示の実施形態は、透明で可撓性のある導電性材料を用いて、光電子式の遠近調節作動器を操作するための電極を形成することにより、可撓性のあるコンタクトレンズでITOを使用する欠点に対処する。様々な実施形態では、可撓性のある導電性電極材料は、溶剤ベースのものであり、ステンシルスプレー技法、スタンプコーティングプロセス、またはその他のものにより塗布することができる。液体の導体材料を形成するための材料は、スマートコンタクトレンズの可撓性のある閉鎖容器材料上の定位置で硬化される導電性微粒子のコロイド状懸濁液を含む。例示的な導電性微粒子は、カーボンナノチューブ、および金属ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ)を含む。他の実施形態では、液体の導体材料は、導電性ポリマー、または導電性シリコンとすることができる。
【0012】
[0018] 眼に取付け可能なデバイスの実施形態は、電源、制御電子装置、遠近調節作動器、注視方向センサシステム、およびアンテナを含むことができ、すべてのものは、眼に接触して取り付けられるように形成された可撓性のあるレンズ閉鎖容器内に組み込まれる(例えば、角膜に取外し可能に取り付けられ、かつ眼瞼運動が開閉できるように形成される)。一実施形態では、制御電子装置は、センサシステムを監視するように結合されて、注視方向/焦点距離を特定し、眼に取付け可能なデバイスの屈折力を制御するように遠近調節作動器を操作し、かつ外部の読取り装置との無線通信を提供する。いくつかの実施形態では、電源は、組み込まれた電池の電磁誘導式ワイヤレス充電を制御する充電回路を含むことができる。
【0013】
[0019] 可撓性のあるレンズ閉鎖容器は、ポリマー材料、ヒドロゲル、PMMA、シリコーンベースのポリマー(例えば、フッ素シリコーンアクリレートなど)、またはその他のものなど、人の眼と直接接触するように適合性のある様々な材料から製作することができる。電子装置は、角膜の中心領域の近くに受け入れられた入射光との干渉を回避するように、その周辺に近い可撓性のあるレンズ閉鎖容器内に組み込まれたリング基板上に配置することができる。センサシステムは、センサシステムを覆うまぶたの範囲の量および位置に基づいて、注視方向/焦点距離を検出するように、まぶたの方向の外側に向けて、基板上に配置され得る。まぶたがセンサシステムの様々な位置を覆うと、これは、注視方向および/または焦点距離を求めるために測定できる特性(例えば、その静電容量)を変化させる。
【0014】
[0020] いくつかの実施形態では、次に、注視方向/焦点距離情報を使用して、可撓性のあるレンズ閉鎖容器の中心部分に位置する、透けて見える遠近調節作動器を介して適用される遠近調節量を決定することができる。遠近調節作動器は、コントローラに結合され、それにより、1対の可撓性のある導電性電極に電圧を印加することによって電気的に操作される。例えば、遠近調節作動器は、可撓性のある導電性電極に加えられた電気的なバイアス信号に応じて、その屈折率を変化させる液晶セルを用いて実施することができる。他の実施形態では、遠近調節作動器は、加えられた電界の存在下で屈折率を変化させる電気光学的材料など他のタイプの電気活性材料を用いて、または変形可能なレンズの形状を変化させる電気機械的構造を用いて実施することができる。遠近調節作動器を実施するために使用できる他の例示的な構造は、電気湿潤現象(electro-wetting)光学装置、微小電気機械システム、またはその他のものを含む。
【0015】
[0021]
図1は、本開示の実施形態による、外部の読取り装置105と共に、自動遠近調節を行うための注視追跡を備えた眼に取付け可能なデバイス100の機能的なブロック図である。眼に取付け可能なデバイス100の示された部分は、眼の角膜表面に接触して取り付けられるように形成された可撓性のあるレンズ閉鎖容器110である。基板115は、可撓性のあるレンズ閉鎖容器110内に組み込まれている、またはそれにより囲まれており、電源120、コントローラ125、センサシステム135、アンテナ140、および様々な相互接続145および150のための取付け面を提供する。遠近調節作動器130は、可撓性のあるレンズ閉鎖容器110内に組み込まれ、かつコントローラ125に結合されて、眼に取付け可能なデバイス100の装着者に自動遠近調節を提供する。電源120の示された実施形態は、エネルギー収集(harvesting)アンテナ155、充電回路160、および電池165を含む。コントローラ125の示された実施形態は、制御論理170、遠近調節論理175、および通信論理180を含む。読取り装置105の示された実施形態は、プロセッサ182、アンテナ184、およびメモリ186を含む。
【0016】
[0022] コントローラ125は、センサシステム135からのフィードバック制御信号を受け取るように結合され、また遠近調節作動器130を動作させるようにさらに結合される。電源120は、動作電圧を、コントローラ125および/または遠近調節作動器130に供給する。アンテナ140は、コントローラ125により動作されて、眼に取付け可能なデバイス100との間で情報を伝達する。一実施形態では、アンテナ140、コントローラ125、電源120、およびセンサシステム135は、すべて組み込まれた基板115上に位置する。一実施形態では、遠近調節作動器130は、可撓性のあるレンズ閉鎖容器110の中心領域内に組み込まれるが、基板115上に配置されない。眼に取付け可能なデバイス100は、電子装置を含み、かつ眼に対して接触して取り付けられるように構成されるので、それはまた、本明細書では、眼の電子装置プラットフォーム、コンタクトレンズ、またはスマートコンタクトレンズとも称される。
【0017】
[0023] 接触した取付けを容易にするために、可撓性のあるレンズ閉鎖容器110は、湿った角膜表面に(例えば、角膜表面を覆う涙液層による毛細管力により)貼り付かせる(「取り付ける」)ように構成された凹面を有することができる。さらに、または代替的に、眼に取付け可能なデバイス100は、凹形の湾曲により、角膜表面と可撓性のあるレンズ閉鎖容器110との間の真空力により貼り付くことができる。凹面を用いて眼に取り付けられているが、可撓性のあるレンズ閉鎖容器110の外側を向いている表面は、凸形の湾曲を有することができ、それは、眼に取付け可能なデバイス100が眼に取り付けられている間、眼瞼運動を干渉しないように形成される。例えば、可撓性のあるレンズ閉鎖容器110は、コンタクトレンズと同様の形状の実質的に透明な湾曲した円板とすることができる。
【0018】
[0024] 可撓性のあるレンズ閉鎖容器110は、コンタクトレンズ、または角膜表面と直接接触することを含む他の眼科用途で使用するために採用されるものなど、1つまたは複数の生体適合性のある材料を含むことができる。可撓性のあるレンズ閉鎖容器110は、任意選択により、部分的にこのような生体適合性のある材料から形成することができるが、あるいはこのような生体適合性のある材料を用いた外側コーティングを含むことができる。可撓性のあるレンズ閉鎖容器110は、ヒドロゲルおよび同様のものなど、角膜表面を湿らせるように構成された材料を含むことができる。可撓性のあるレンズ閉鎖容器110は、装着者の快適さを向上させるために、変形可能な(「非剛性的な」)材料である。いくつかの例では、可撓性のあるレンズ閉鎖容器110は、コンタクトレンズにより提供され得るものなど、所定の、視力矯正屈折力を提供するような形状とすることができる。可撓性のあるレンズ閉鎖容器110は、ポリマー材料、ヒドロゲル、PMMA、シリコーンベースのポリマー(例えば、フッ素シリコンアクリレート)、または他のものを含む様々な材料から製作することができる。
【0019】
[0025] 基板115は、センサシステム135、コントローラ125、電源120、およびアンテナ140を取り付けるのに適した1つまたは複数の表面を含む。基板115は、チップベースの回路に対する(例えば、フリップチップ取付けによるなど)取付けプラットフォームとして、かつ/または電極、相互接続、アンテナなどを作成するための、導電性材料(例えば、金、白金、パラジウム、チタン、銅、アルミニウム、銀、金属、他の導電性材料、これらの組合せなど)をパターン化するためのプラットフォームとして使用することができる。いくつかの実施形態では、実質的に透明な導電性材料(例えば、インジウムスズ酸化物、または以下で論ずる可撓性のある導電性材料)は、回路、電極などを形成するために基板115上でパターン化することができる。例えば、アンテナ140は、基板115上に金または他の導電性材料のパターンを付着させることにより形成することができる。同様に、相互接続145および150は、基板115上に導電性材料の適切なパターンを付着させることにより形成することができる。レジスト、マスク、および付着技法の組合せを、基板115上に材料をパターン化するために使用することができる。基板115は、回路および/または電子装置を閉鎖容器材料110内で構造的に支持するのに十分なポリエチレンテレフタレート(「PET」)、または他の材料など、比較的剛性のある材料とすることができる。眼に取付け可能なデバイス100は、代替的に、単一の基板ではなく、1群の接続されない基板を用いて構成することもできる。例えば、コントローラ125および電源120を1つの基板に取り付けることができるが、アンテナ140およびセンサシステム135は、他の基板に取り付けられ、2つのものは、相互接続を介して電気的に接続することができる。
【0020】
[0026] 基板115は、組み込まれる電子装置構成要素に対する取付けプラットフォームを提供するのに十分な半径方向の幅寸法を有する平坦化されたリングとして形成され得る。基板115は、眼に取付け可能なデバイス100の輪郭に悪影響を与えることなく、基板を可撓性のあるレンズ閉鎖容器110に組み込むことを可能にするように十分小さな厚さを有することができる。基板115は、その上に取り付けられた電子装置を支持するのに適した構造的な安定性を提供するように十分大きな厚さを有することができる。例えば、基板115は、約10ミリメートルの直径、約1ミリメートルの半径方向幅(例えば、外側半径は内側半径よりも1ミリメートル大きい)、および約50マイクロメートルの厚さを備えたリングとして形成することができる。基板115は、任意選択により、眼に取付け可能なデバイス100の眼への取付け表面(例えば、凸面)の湾曲と整合させることができる。例えば、基板115は、内側半径および外側半径を画定する2つの円形セグメントの間の仮想円錐の表面に沿って形成することができる。このような例では、仮想円錐の表面に沿った基板115の表面は、その半径で、眼の取付け表面の湾曲とほぼ整合する傾斜面を画定する。
【0021】
[0027] いくつかの実施形態では、電源120およびコントローラ125(ならびに基板115)は、眼に取付け可能なデバイス100の中心から離れて配置することができ、それにより、眼に取付け可能なデバイス110の中心を通る眼への光透過との干渉が回避される。その反対に、遠近調節作動器130は、中心的に配置されて、眼に取付け可能なデバイス110の中心を通る眼に送られる光に対して光学的な遠近調節を適用することができる。例えば、眼に取付け可能なデバイス100が、凹形に湾曲した円板として形成された場合、基板115は、円板の周辺付近に(例えば、外周近くに)組み込むことができる。いくつかの実施形態では、センサシステム135は、まぶたの重なりを感知するように周辺に分散された1つまたは複数の別々の静電容量センサを含む。
【0022】
[0028] 示された実施形態では、電源120は、コントローラ125を含む様々な組み込まれた電子装置に電力を供給するための電池165を含む。電池165は、充電回路160およびエネルギー収集アンテナ155により、誘導的に充電され得る。一実施形態では、アンテナ140とエネルギー収集アンテナ155は、独立したアンテナであり、エネルギー収集と通信を行うアンテナの各機能を提供する。他の実施形態では、エネルギー収集アンテナ155とアンテナ140は、誘導性の充電と、読取り装置105との無線通信とを行うアンテナの各機能に対して時分割方式(time shared)を使用する同じ物理的なアンテナである。充電回路160は、電池165を充電するために、取り込まれたエネルギーを調整するための整流器/レギュレータを含むことができるが、あるいは電池165を使用しないで直接コントローラ125に給電することができる。充電回路160はまた、エネルギー収集アンテナ155における高周波変動を軽減するために、1つまたは複数のエネルギー格納デバイスを含むこともできる。例えば、1つまたは複数のエネルギー格納デバイス(例えば、コンデンサ、インダクタなど)が接続されて、低域フィルタとして機能することができる。
【0023】
[0029] コントローラ125は、他の組み込まれた構成要素の動作を構成するための論理を含む。制御論理170は、論理的なユーザインターフェース、電力制御機能などを提供することを含む、眼に取付け可能なデバイス100の動作全体を制御する。遠近調節論理175は、センサシステム135からのフィードバック信号を監視し、ユーザの現在の注視方向または焦点距離を決定し、かつ適切な遠近調節を提供することに応じて遠近調節作動器130を操作するための論理を含む。自動遠近調節は、注視追跡からのフィードバックに基づいて実時間で実施することができるが、あるいはユーザが、特定の遠近調節法(例えば、読むための近視野調節、通常の活動のための遠視野調節など)を選択するのを制御できるようにする。通信論理180は、アンテナ140を介して読取り装置105と無線通信するための通信プロトコルを提供する。一実施形態では、通信論理180は、読取り装置105から出力された電磁場171が存在するとき、アンテナ140を介して後方散乱通信を提供する。一実施形態では、通信論理180は、後方散乱無線通信のために、アンテナ140のインピーダンスを変調するスマートな無線高周波識別装置(RFID)タグとして動作する。コントローラ125の様々な論理モジュールは、汎用のマイクロプロセッサ上で実行されるソフトウェア/ファームウェアで、ハードウェア(例えば、特定用途向け集積回路)で、またはその両方の組合せで実施することができる。
【0024】
[0030] 眼に取付け可能なデバイス100は、様々な他の組み込まれた電子装置、および論理モジュールを含むことができる。例えば、ユーザに視覚的なフィードバックを提供するために、光源またはピクセル配列を含めることができる。位置、回転、方向、または加速度フィードバック情報をコントローラ125に提供するために、加速度計またはジャイロスコープを含めることができる。
【0025】
[0031]
図2Aおよび
図2Bは、本開示の実施形態による、眼に取付け可能なデバイス200の2つの図を示している。
図2Aは、眼に取付け可能なデバイス200の上面図であり、
図2Bは、同じものの斜視図である。眼に取付け可能なデバイス200は、
図1で示された眼に取付け可能なデバイス100の1つの可能な実装形態である。眼に取付け可能なデバイス200の示された実施形態は、可撓性のあるレンズ閉鎖容器210、リング基板215、電源220、コントローラ225、遠近調節作動器230、静電容量性のセンサシステム235、およびアンテナ240を含む。
図2Aおよび
図2Bは、必ずしも縮尺を合わせて描かれておらず、例示的な眼に取付け可能なデバイス200の構成を述べる例示目的だけで示されていることを理解されたい。
【0026】
[0032] 眼に取付け可能なデバイス200の可撓性のあるレンズ閉鎖容器210が、湾曲した円板として形成されている。可撓性のあるレンズ閉鎖容器210は、一方の側面が、眼の角膜表面上に合わせるのに適した凹面211を有するように形成される。円板の反対側は、眼に取付け可能なデバイス200が眼に取り付けられている間、眼瞼運動と干渉しない凸面212を有する。示された実施形態では、円形または楕円形の外側縁部213は、凹面211と凸面212を接続する。
【0027】
[0033] 眼に取付け可能なデバイス200は、約1センチメートルの直径、および約0.1から約0.5ミリメートルの厚さなど、視力矯正および/または美容コンタクトレンズと同様の寸法を有することができる。しかし、直径および厚さの値は、例示的な目的で提供されるに過ぎない。いくつかの実施形態では、眼に取付け可能なデバイス200の寸法は、装着者の目の角膜表面の寸法および/または形状に従って選択することができる。可撓性のあるレンズ閉鎖容器210は、様々な方法で湾曲した形状を備えて形成することができる。例えば、熱成形、射出成形、遠心鋳造など視力矯正コンタクトレンズを形成するために使用されるものと同様な技法を、可撓性のあるレンズ閉鎖容器210を形成するために使用することができる。
【0028】
[0034] リング基板215は、可撓性のあるレンズ閉鎖容器210内に組み込まれる。リング基板215は、遠近調節作動器230が位置する中心領域から離れた、可撓性のあるレンズ閉鎖容器210の外周に沿って位置するように組み込むことができる。示された実施形態では、リング基板215は、遠近調節作動器230を囲んでいる。リング基板215は、眼に近過ぎることにより焦点が合わず、また入射光が眼の光感知部分へと送られる中心領域から離れて配置されるために、視力との干渉はない。いくつかの実施形態では、リング基板215は、視覚に対する影響をさらに軽減するために、任意選択により、透明材料から形成することもできる。リング基板215は、平坦な円形のリング(例えば、中心化された穴を有する円板)として形成することができる。リング基板215の(例えば、半径方向の幅に沿った)平坦な表面は、電子装置を取り付けるための、かつ電極、アンテナ(複数可)、および/または相互接続を形成するために導電性材料をパターン化するためのプラットフォームである。
【0029】
[0035] 静電容量センサ235は、静電容量タッチスクリーンと同様な方法で、まぶたの重なりを感知するように、眼に取付け可能なデバイス200の周囲に分散される。まぶたの重なりの量および位置を監視することにより、近似的な注視方向および/または焦点距離を求めるために、静電容量センサシステム235からのフィードバック信号をコントローラ225によって測定することができる。示された実施形態では、静電容量センサシステム235は、一連の並列に結合された別々の静電容量素子により形成される。他の実装形態を使用することもできる。
【0030】
[0036] 遠近調節作動器230は、可撓性のあるレンズ閉鎖容器210内の中心に配置されて、ユーザの視覚中心における眼に取付け可能なデバイス200の屈折力に影響を与える。様々な実施形態では、遠近調節作動器230は、コントローラ225により操作される可撓性のある導電性電極の影響下で、その屈折率を変える要素を含む。その屈折率を変化させることにより、眼に取付け可能なデバイス200の湾曲した表面の正味の屈折力が変更され、それにより、制御可能な遠近調節が適用される。遠近調節作動器230は、様々な異なる光電子要素を用いて実施することができる。例えば、遠近調節作動器230は、可撓性のあるレンズ閉鎖容器210の中心に配置された液晶(例えば、液晶セル)の層を使用して実施することができる。他の実施形態では、遠近調節作動器230は、加えられた電界の存在下で屈折率を変化させる電気光学的材料など、他のタイプの電気的に活性な光学材料を用いて実施することができる。遠近調節作動器230は、閉鎖容器材料210(例えば、液晶セル)内に組み込まれた別個のデバイスとすることができるが、または制御可能な屈折率を有するバルク材とすることができる。さらに他の実施形態では、遠近調節作動器230は、電気信号の影響下で形状を変化させる変形可能なレンズ構造を用いて実施することができる。したがって、眼に取付け可能なデバイス200の屈折力は、コントローラ225から延びる1つまたは複数の電極を介して、電気信号を遠近調節作動器230に加えることにより、コントローラ225によって制御される。
【0031】
[0037]
図3は、本開示の実施形態による、眼に取付け可能なデバイス300を示す分解斜視図である。眼に取付け可能なデバイス300は、眼に取付け可能なデバイス100または200の可能な1つの実装形態であるが、分解斜視図は、様々な構成要素のさらなる細部を示している。眼に取付け可能なデバイス300の示された実施形態は、前方層305および後方層310を含む可撓性のあるレンズ閉鎖容器、前方の可撓性のある導電性電極(ANT)315、後方の可撓性のある導電性電極(POST)320、液晶(「LC」)層325、リング基板330、電源335、コントローラ回路340、前方接触パッド345、ならびに後方接触パッド350(
図3では隠されている)を含む。集合的に、ANT315、LC層325、およびPOST320は、コントローラ回路340の影響下で操作される遠近調節作動器を形成する。ANT315の示された実施形態は、接続タブ360を含み、またPOST320の示された実施形態は、接続タブ365を含む。
【0032】
[0038] ANT315およびPOST320は、電極に電圧を印加することにより、LC層325を電気的に操作する透明な電極である。ANT315およびPOST320は、折り畳みおよび曲げを含む周期的な機械的応力の存在下であっても、その導電性を実質的に維持する可撓性のある導体である。ANT315およびPOST320は、それぞれ、前方層305および後方層310の湾曲した表面上へと硬化し、したがって、それに適合される液体の導体材料から形成される。例えば、この液体の導体材料は、導電性微粒子のコロイド状懸濁液とすることができる。これらの導電性微粒子は、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ)、またはその他のものを含むことができる。他の実施形態では、液体の導体材料は、導電性ポリマーまたは導電性シリコンとすることができる。
【0033】
[0039] ANT315およびPOST320は、それぞれ、様々な技法を用いて、前方層305および後方層310に塗布することができる。一実施形態では、液体の導体材料は、適合された凹形のステンシルを用いて前方層305の内側凹面上にスプレーコーティングされ、また適合された凸形のステンシルを用いて後方層310の内側凸面上にスプレーコーティングされる。他の実施形態では、スプレーコーティングを、ステンシルを使用せずに能動的に制御することができるが、あるいは一時的なマスクを使用した後に塗布することができる。さらに他の実施形態では、液体の導体材料は、適合する形状の表面を備えたスタンプ上にコーティングされ、スタンプは、次いで、前方層305または後方層310に押し付けられて、液体の導体材料が転写される。ANT315およびPOST320を、前方層305および後方層310上でそれぞれ形成し、かつ配置するために、他の塗布技法もまた使用することができる。
【0034】
[0040] 一実施形態では、ANT315およびPOST320は、望ましい合計のシート抵抗を達成するために、複数の層を構築する材料の塗布および硬化/アニールの反復プロセスの一部として形成される。目標とするシート抵抗は、100Ωスクウェアから2000Ωスクウェアの間の範囲とすることができる(例えば、190Ωスクウェア)。当然であるが、この範囲外の他の目標シート抵抗を使用することもできる。望ましい目標シート抵抗を達成するための塗布および硬化の反復数は、1から10の範囲の反復とすることができるが、通常、1から4の範囲の塗布であると予想される。
【0035】
[0041]
図4A〜
図4Cは、本開示の実施形態による、眼に取付け可能なデバイス300内のANT315およびPOST320の例示的な方向付けを示している。
図4Aは、前方層305の凹形の内側表面上に形成されたANT405を示し、
図4Bは、POST320の凸形の内側表面上に形成されたPOST410を示し、また
図4Cは、完全に組み立てられた眼に取付け可能なデバイス300の平面図である。
図5は、本開示の実施形態による、ANT315の接続タブ360、およびPOST320の接続タブ365への電気的な接続を形成するリング基板330の一部の側面図である。
【0036】
[0042] 示された実施形態では、ANT315は、リング基板330の前側に配置された前方接触パッド345に電気的に接続するための接続タブ360を含む。それに応じて、POST320は、リング基板330の後側に配置された後方接触パッド350に電気的に接続するための接触タブ365を含む。
図5は、接続タブ360および365と、接触パッド345および350との間の電気的な接続を向上させるために、それぞれ、導電性接着剤405を使用することを示している。導電性接着剤405は、銀が充填されたエポキシ、シリコン、もしくはポリウレタン、または他のものなど、様々な異なる材料を用いて実施することができる。導電性接着剤405は、眼に取付け可能なデバイス300の様々な構成部分の異なる可撓性特性にかかわらず、スマートコンタクトレンズを曲げる、または折り畳んだとき、電気的な接続を維持する可撓性のある導電性接着を提供する。
【0037】
[0043] 示された実施形態では、接続タブ360および365は、接触パッド345、365の一方または両方に対して、基板貫通穴用の場所を作るために、互いに対して回転方向にオフセットされている。例えば、示された実施形態では、電源335およびコントローラ回路340は、リング基板330の前側に配置され、したがって、後方接触パッド350は、基板貫通穴を用いてコントローラ回路340に接続される。
【0038】
[0044]
図4Cは、LC層325の輪郭410をさらに示している。LC層320は、ANT315とPOST320の間に配置され、またコントローラ回路340によりこれらの電極に電圧が印加されることにより作動される。示された実施形態では、LC層320は、中心領域のより大きな部分にわたって広がっており、ANT315およびPOST320が、互いに短絡しないことを保証する。一実施形態では、透明な絶縁層(例えば、ポリイミド)を、LC層325をANT315およびPOST320から分離するために適用することができるが、他の実施形態では、ANT315およびPOST320は、LC層325との直接接触を形成することができる。さらに、ANT315およびPOST320の両方と共にLC層320は、リング基板330の内側半径内に含まれ、リング基板330の内側縁部と接触しない。一実施形態では、ANT315およびPOST320は約6mmの直径を有し、LC層325は約7mmの直径を有し、また中心領域を画定するリング基板330の内側縁部は9mmの直径を有する。リング基板330の内側縁部のより大きな直径は、ANT315とPOST320の間に間隙を形成して、リング基板330への短絡を阻止する。当然であるが、他の寸法を実施することもできる。
【0039】
[0045]
図6は、本開示の実施形態による、眼に取付け可能なデバイス100、200、または300を製作するためのプロセス600を示す流れ図である。プロセスブロックのいくつか、またはすべてのものが、プロセス600で現れる順序は、限定するものと見なされるべきではない。そうではなくて、本開示の利益を有する当業者であれば、プロセスブロックのいくつかのものは、示されていない様々な順序で、または並列であっても実行できることが理解されよう。
【0040】
[0046] プロセスブロック605および610で、前方層305および後方層310が、可撓性のあるレンズ閉鎖容器の別々の層として形成される。前方層305および後方層310は、可撓性のある透明材料でスプレーコーティングされる、または注入される型を用いて形成することができる。可撓性のある透明材料は、ポリマー材料、ヒドロゲル、PMMA、シリコーンベースのポリマー(例えば、フッ素シリコンアクリレート)、またはその他もののうちいずれかを含むことができる。
【0041】
[0047] プロセスブロック615で、前方層305および後方層310は、ANT315およびPOST320に対する向上させた接着を行うために、反応しやすい表面を形成するように処理される。一実施形態では、前方層305および後方層310は、高いイオン化環境でプラズマ処理され、それにより、前方層305および後方層310の内側表面は化学的に反応しやすくなる。
【0042】
[0048] プロセスブロック620で、ANT315およびPOST320を形成する液体の導体材料が、前方層305の凹形の内側表面に付着され、また後方層310の凸形の内側表面に付着される。一実施形態では、液体の導体材料の付着は、凹面および凸面に適合するステンシルの上にスプレーコーティングすることができる。さらに他の実施形態では、液体の導体材料は、前方層305および後方層310の凹面および凸面にそれぞれ適合する湾曲した表面を備えるスタンプに塗布される。コーティングされたスタンプは、次いで、前方層305および後方層310の内側表面に押し付けられて、それに対してインクパターンが転写される。液体の導体材料が塗布された後、熱を用いて硬化および/またはアニールされる(プロセスブロック625)。
【0043】
[0049] 液体の導体材料が、導電性微粒子(例えば、ナノチューブまたはナノワイヤ)のコロイド状溶液である実施形態では、アニールは、導電性微粒子を配置する、または敷く(mat-down)のに役立ち、それにより、ANT315およびPOST320の導電性特性を向上させることができる。液体の導体材料を実施するための例示的な市販されている材料は、銀ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、PEDOT:PSS、またはその他のものを含む。いくつかの実施形態では、ANT315およびPOST320の、それぞれ、前方層305および後方層310への一様なコーティングおよび接着を向上させるために、様々な溶剤(例えば、アルコール)、界面活性剤、または賦形剤を液体の導体材料に加えることができる。
【0044】
[0050] いくつかの実施形態では、液体の導体材料のいくつかの層は、望ましいシート抵抗が達成されるまで、ANT315およびPOST320の厚さを構築するために反復して塗布され、硬化される(判断ブロック630)。これらの反復は、1回の塗布から多数回の塗布にわたることができる(例えば、10回もの塗布)。しかし、1回から4回までの反復塗布および硬化/アニール工程で、多くの場合に十分であると予想される。
【0045】
[0051] プロセスブロック635では、導電性接着剤405が、リング基板330上の接触パッド34および350に塗布される。次に、電源335およびコントローラ回路340を含むリング基板330は、後方接触パッド350が、POST320上の接続タブ365と位置合せされた状態で、後方層310の凸形の内側表面上に配置される(プロセスブロック640)。
【0046】
[0052] プロセスブロック645では、液晶材料が前方層305の凹形の内側表面の中心領域へと供給され、ANT315を覆う。一実施形態では、液晶材料は、LC層325が、ANT315またはPOST320よりも広いエリアを覆うように、より大きなエリア上に供給される。
【0047】
[0053] プロセスブロック650では、可撓性のあるレンズ閉鎖容器の2つの半分のもの(前方層305および後方層310)が共に押し付けられて封止される。2つの半分のものを嵌合させるとき、前方接続タブ360と前方接触パッド345の間の位置合せを確実に行うように注意する必要がある。一実施形態では、封止を形成するために、嵌合される前方層305および後方層310の底面縁部もしくはリムに、さらなる可撓性のある閉鎖容器材料が加えられる。最後に、眼に取付け可能なデバイスまたはスマートコンタクトレンズは、配布用のレンズ溶液が封止された容器の中にパッケージされる。
【0048】
[0054] 要約で述べられているものを含む、本発明の示された実施形態の上記の記述は、網羅的であること、または開示された正確な形態に本発明を限定することは意図されていない。本発明の特定の実施形態および例が、本明細書において例示目的で述べられているが、当業者であれば理解されるように、本発明の範囲に含まれる様々な変更形態が可能である。
【0049】
[0055] 上記の詳細な記述を考慮すれば、これらの変更形態を本発明に行うことができる。添付の特許請求の範囲で使用される用語は、本明細書で開示された特定の実施形態に本発明を限定するものと解釈されるべきではない。そうではなくて、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により完全に決定されるべきであり、それは、特許請求の範囲の解釈の確立された基本原則に従って解釈されるべきである。