(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
先端側に配置された線状の第1ワイヤと、該第1ワイヤの基端側に配置され、前記第1ワイヤの構成材料よりも剛性が高い材料で構成された線状の第2ワイヤとを有し、前記第1ワイヤの基端面と前記第2ワイヤの先端面とが接合することにより接合部が形成されたワイヤ本体と、
前記ワイヤ本体の外周側に配置され、該ワイヤ本体の少なくとも前記第1ワイヤの先端部から前記接合部までを覆う管状をなし、柔軟性を有する外側部材と、
前記ワイヤ本体の外周部と前記外側部材の内周部との間に配置され、前記接合部を覆う内側部材と、
前記外側部材の長手方向の途中を前記ワイヤ本体に対して固定する固定部材とを備え、
前記第2ワイヤは、その外径が基端方向に向かって漸増するテーパ部を有し、
前記内側部材は、内側部材用素線をコイル状に巻回してなる内側コイルであり、
前記内側コイルは、先端部と基端部とを有し、該基端部が前記テーパ部に当接することにより基端側への移動が規制されており、この規制状態で前記ワイヤ本体の長手方向に沿って伸縮可能となっており、
前記内側部材は、その先端部が前記固定部材から離間して配置されており、前記内側部材の先端部と、前記固定部材との離間距離は、前記内側部材用素線の直径分以下であることを特徴とするガイドワイヤ。
前記外側部材は、先端側に位置し、第1の外側部材用素線をコイル状に巻回してなる第1の外側コイルと、該第1の外側コイルの基端側に連結され、第2の外側部材用素線をコイル状に巻回してなる第2の外側コイルとで構成され、
前記第1の外側部材用素線、前記第2の外側部材用素線および前記内側部材用素線のうち、前記内側部材用素線が最も細い請求項1または2に記載のガイドワイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のガイドワイヤを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、ガイドワイヤの第1実施形態(参考例)を示す縦断面図である。なお、説明の都合上、
図1中(
図2〜
図10も同様)の右側を「基端」、左側を「先端」という。また、
図1中(
図2〜
図10も同様)では、理解を容易にするため、ガイドワイヤの長さ方向を短縮し、ガイドワイヤの太さ方向を誇張して模式的に図示しており、長さ方向と太さ方向の比率は実際とは異なる。
【0021】
図1に示すガイドワイヤ1は、例えばPTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:経皮的冠状動脈血管形成術)のような、外科的手術が困難な部位の治療に、カテーテル(バルーンカテーテル)を誘導するのに用いられるガイドワイヤである。PTCAでは、ガイドワイヤ1の先端をカテーテルの先端より突出させた状態にて、カテーテルとともに目的部位である血管狭窄部付近まで挿入され、カテーテルの先端部を血管狭窄部付近まで誘導する。なお、ガイドワイヤ1の全長は、特に限定されないが、200〜5000mm程度であるのが好ましい。
【0022】
このガイドワイヤ1は、ワイヤ本体10と、ワイヤ本体10の外周側に配置された外側部材5と、ワイヤ本体10の外周部と外側部材5の内周部との間に配置された内側部材4Aとを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0023】
ワイヤ本体10は、先端側に配置された線状の第1ワイヤ2と、第1ワイヤ2の基端側に隣接して配置された線状の第2ワイヤ3とを有し、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とを接合(連結)してなるものである。
【0024】
第1ワイヤ2は、柔軟性または弾性を有する線材で構成されている。この線材(第1ワイヤ2)の構成材料としては、例えば49〜52原子%NiのNi−Ti合金等のようなNi−Ti系合金が挙げられる。Ni−Ti系合金は、比較的柔軟であるとともに、復元性があり、曲がり癖が付き難い。このため、第1ワイヤ2をNi−Ti系合金で構成することにより、ガイドワイヤ1は、その先端側の部分に十分な柔軟性と曲げに対する復元性が得られ、複雑に湾曲・屈曲する血管に対する追従性が向上し、より優れた操作性が得られるとともに、第1ワイヤ2が湾曲・屈曲変形を繰り返しても、第1ワイヤ2に備わる復元性により曲がり癖が付かないので、ガイドワイヤ1の使用中に第1ワイヤ2に曲がり癖が付くことによる操作性の低下を防止することができる。
【0025】
上記組成のNi−Ti合金は、熱処理等で超弾性を持たせることができるが、例えばNiが52原子%より多く含まれていて超弾性を実質的に示さないものでも、適度な柔軟性と弾性とを有していれば、それを用いることができる。
【0026】
第1ワイヤ2は、先端側から順に、平板部21、第1の外径一定部22、テーパ部(第1ワイヤ側テーパ部)23、第2の外径一定部(第1ワイヤ側外径一定部)24が形成されたものである。
【0027】
平板部21は、板状(リボン状)をなし厚さおよび幅がワイヤ長手方向に沿って一定の部分である。この平板部21は、所望の形状に変形(リシェイプ:形状付け)させて用いることができる。一般に、ガイドワイヤ1では、誘導するカテーテル等の先端部を血管形状に対応させたり、血管分岐を適正かつ円滑に選択、誘導したりするために、医師等がガイドワイヤの先端部を予め所望の形状に変形させて使用することがあり、このようにガイドワイヤ1の先端部を所望の形状に曲げることをリシェイプと言う。そして、平板部21を設けることにより、リシェイプを容易かつ確実に行うことができ、ガイドワイヤ1を血管内に挿入する際の操作性が格段に向上する。
【0028】
第1の外径一定部22は、その外径がワイヤ長手方向に沿って一定の部分である。第1の外径一定部22の外径は、平板部21の厚さよりも大きく、平板部21の幅よりも小さいのが好ましい。
【0029】
テーパ部23は、その外径が先端方向に向かって漸減する部分である。第1ワイヤ2がテーパ部23を有することにより、第1ワイヤ2の剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)を先端方向に向かって徐々に減少させることができ、その結果、ガイドワイヤ1は、その先端部に良好な柔軟性を得て、血管等への追従性、安全性が向上するとともに、折れ曲がり等も防止することができる。なお、テーパ部23の先端の外径と第1の外径一定部22の外径とは、同じである。また、テーパ部23のテーパ角度(外径の減少率)は、ワイヤ長手方向に沿って一定でも、長手方向に沿って変化する部位があってもよい。例えば、テーパ角度(外径の減少率)が比較的大きい箇所と比較的小さい箇所とが複数回交互に繰り返して形成されているようなものでもよい。
【0030】
第2の外径一定部24は、その外径がワイヤ長手方向に沿って一定の部分である。第2の外径一定部24の外径は、テーパ部23の基端の外径と同じである。
【0031】
第1ワイヤ2の基端(基端面241)には、第2ワイヤ3の先端(先端面311)が例えば溶接により接続されている。第2ワイヤ3は、第1ワイヤ2と同様に柔軟性または弾性を有し、かつ、第1ワイヤ2の構成材料(Ni−Ti系合金)よりも剛性が高い線材で構成されている。この線材(第2ワイヤ3)の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、コバルト系合金等の各種金属材料が挙げられる。
【0032】
ステンレス鋼としては、例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等SUSの全品種が挙げられる。
【0033】
また、コバルト系合金としては、構成元素としてCoを含むものであれば、いかなるものを用いてもよいが、Coを主成分として含むもの(Co基合金:合金を構成する元素中で、Coの含有率が重量比で最も多い合金)が好ましく、Co−Ni−Cr系合金を用いるのがより好ましい。コバルト系合金は、ワイヤとしたときの弾性率が高く、かつ適度な弾性限度を有している。このため、コバルト系合金で構成された第2ワイヤ3は、トルク伝達性に優れ、座屈等の問題が極めて生じ難い。また、コバルト系合金は、弾性係数が高く、かつ高弾性限度としても冷間成形可能で、高弾性限度であることにより、座屈の発生を十分に防止しつつ、小径化することができ、所定部位に挿入するのに十分な柔軟性と剛性を備えるものとすることができる。
【0034】
Co−Ni−Cr系合金としては、例えば、28〜50wt%Co−10〜30wt%Ni−10〜30wt%Cr−残部Feの組成からなる合金や、その一部が他の元素(置換元素)で置換された合金等が好ましい。置換元素の含有は、その種類に応じた固有の効果を発揮する。例えば、置換元素として、Ti、Nb、Ta、Be、Moから選択される少なくとも1種を含むことにより、第2ワイヤ3の強度のさらなる向上等を図ることができる。なお、Co、Ni、Cr以外の元素を含む場合、その(置換元素全体の)含有量は30wt%以下であるのが好ましい。
【0035】
また、Co、Ni、Crの一部は、他の元素で置換してもよい。例えば、Niの一部をMnで置換してもよい。これにより、例えば、加工性のさらなる改善等を図ることができる。また、Crの一部をMoおよび/またはWで置換してもよい。これにより、弾性限度のさらなる改善等を図ることができる。Co−Ni−Cr系合金の中でも、Moを含む、Co−Ni−Cr−Mo系合金が特に好ましい。
【0036】
第2ワイヤ3は、先端側から順に、第1の外径一定部(第2ワイヤ側外径一定部)31、第1のテーパ部(第2ワイヤ側テーパ部)32、第2の外径一定部33、第2のテーパ部34、第3の外径一定部35が形成されたものである。
【0037】
第1の外径一定部31は、その外径がワイヤ長手方向に沿って一定の部分である。第1の外径一定部31の外径は、第1ワイヤ2の第2の外径一定部24の外径と同じである。
【0038】
第1のテーパ部32は、その外径が基端方向に向かって漸増する部分である。
第2の外径一定部33は、その外径がワイヤ長手方向に沿って一定の部分である。
第2のテーパ部34は、その外径が基端方向に向かって漸増する部分である。
【0039】
そして、第1の外径一定部31、第1のテーパ部32、第2の外径一定部33、第2のテーパ部34で、第2ワイヤ3から第1ワイヤ2への物理的特性、特に弾性が滑らかに変化することとなる。
【0040】
第3の外径一定部35は、その外径がワイヤ長手方向に沿って一定の部分である。この第3の外径一定部35は、ガイドワイヤ1を操作するに把持される把持部として機能する。なお、第3の外径一定部35の基端面351は、丸みを帯びているのが好ましい。
【0041】
また、第2ワイヤ3には、第2のテーパ部34から第3の外径一定部35にわたって、その外周面を覆う樹脂被覆層8が設けられている。この樹脂被覆層8は、種々の目的で形成することができるが、その一例として、ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)を低減し、摺動性を向上させることによってガイドワイヤ1の操作性を向上させることがある。
【0042】
ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)の低減を図るためには、樹脂被覆層8は、以下に述べるような摩擦を低減し得る材料で構成されているのが好ましい。これにより、ガイドワイヤ1とともに用いられるカテーテルの内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)が低減されて摺動性が向上し、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好なものとなる。また、ガイドワイヤ1の摺動抵抗が低くなることで、ガイドワイヤ1をカテーテル内で移動および/または回転した際に、ガイドワイヤ1のキンク(折れ曲がり)やねじれ、特に接合部14付近におけるキンクやねじれをより確実に防止することができる。
【0043】
このような摩擦を低減し得る材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、ETFE等)、またはこれらの複合材料が挙げられる。
【0044】
また、樹脂被覆層8は、ガイドワイヤ1を血管等に挿入する際の安全性の向上を目的として設けることもできる。この目的のためには、樹脂被覆層8は柔軟性に富む材料(軟質材料、弾性材料)で構成されているのが好ましい。
【0045】
このような柔軟性に富む材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等の熱可塑性エラストマー、ラテックスゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料、またはこれらのうちに2以上を組み合わせた複合材料が挙げられる。
なお、樹脂被覆層8は、単層のものであってもよいし、2層以上の積層体でもよい。
【0046】
また、ガイドワイヤ1の少なくとも先端部には、親水性材料がコーティングされているのが好ましい。ガイドワイヤ1は、後述する外側部材5の外表面に親水性材料で構成された層を備えているのが好ましい。これにより、親水性材料が湿潤して潤滑性を生じ、ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)が低減し、摺動性が向上する。従って、ガイドワイヤ1の操作性が向上する。
【0047】
親水性材料としては、例えば、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGMA−DMAA)のブロック共重合体)、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0048】
このような親水性材料は、多くの場合、湿潤(吸水)により潤滑性を発揮し、ガイドワイヤ1とともに用いられるカテーテルの内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減する。これにより、ガイドワイヤ1の摺動性が向上し、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好なものとなる。
【0049】
また、ガイドワイヤ1では、第1ワイヤ2の平均外径が第2ワイヤ3の平均外径より小さくなっている。これにより、ガイドワイヤ1は、その先端側である第1ワイヤ2上では柔軟性に富み、基端側である第2ワイヤ3上では比較的剛性が高いものとなるので、先端部の柔軟性と優れた操作性(押し込み性、トルク伝達性等)とを両立することができる。
【0050】
前述したように、ワイヤ本体10では、第1ワイヤ2の基端面241と第2ワイヤ3の先端面311とが溶接により接合されている。これにより、ワイヤ本体10には、ワイヤ長手方向の途中に、接合部14が形成される。
【0051】
なお、接合部14を溶接で形成した部分とすることにより、当該接合部14では、比較的高い接合強度が得られる。なお、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3との溶接方法としては、特に限定されず、例えば、摩擦圧接、レーザを用いたスポット溶接、アプセット溶接等の突き合わせ抵抗溶接などが挙げられるが、比較的簡単で高い接合強度が得られることから、突き合わせ抵抗溶接が特に好ましい。
【0052】
接合部14は、ろう材にて接合した部分であってもよい。ろう材を介して第1ワイヤ2の基端面241と第2ワイヤ3の先端面311が接合されるのが好ましい。ろう材の部分を含んだ外径は、実質的に第1ワイヤ2の第2の外径一定部24および第2ワイヤ3の第1の外径一定部31と同じであることが好ましい。
【0053】
また、接合部14は、中間部材を介して、第1ワイヤ2の基端面241と第2ワイヤ3の先端面311を接合したものであってもよい。中間部材は、先端部と基端部を備えており、中間部材の先端部は、第1ワイヤ2の基端面241と溶接され、中間部材の基端部は、第2ワイヤ3の先端面311と溶接されることが好ましい。中間部材の外径は、第1ワイヤ2の第2の外径一定部24および第2ワイヤ3の第1の外径一定部31の外径と同じであることが好ましい。
【0054】
また、接合部14は、その外径が先端側の第1ワイヤ2の外径一定部24の外径と基端側の第2ワイヤ3の外径一定部31の外径とそれぞれ同じとなっている。これにより、接合部14付近の柔軟性や曲げに対する復元性を十分に確保しつつ、各ワイヤと接合部14の強度を維持することができる。
【0055】
ワイヤ本体10は、その先端側の部分が、全体として管状をなす外側部材5を、外力を付与しない自然状態で、非接触で挿通している。これにより、ワイヤ本体10では、第1ワイヤ2の平板部21の途中(先端部)から接合部14を超え、当該接合部14からさらに基端側の第2ワイヤ3の第2の外径一定部33の途中までが、外側部材5で覆われた状態となる。なお、外側部材5は、ワイヤ本体10の少なくとも第1ワイヤ2の先端部から接合部14までを覆うものであれば、その長さは限定されない。
【0056】
外側部材5は、全体として管状をなすものである。
図1の構成では、外側部材5は、先端側に位置する第1の外側コイル51と、第1の外側コイル51の基端側に連結された第2の外側コイル52とで構成されている。
【0057】
第1の外側コイル51は、第1の素線(第1の外側部材用素線)511をコイル状(螺旋状)に巻回してなるものである。そして、第1の外側コイル51では、隣接する第1の素線511同士が、外力を付与しない自然状態で隙間を有しており、疎巻きとなっている。
【0058】
第2の外側コイル52は、第2の素線(第2の外側部材用素線)521を、第1の外側コイル51と同方向に、コイル状に巻回してなるものである。そして、第2の外側コイル52は、隣接する第2の素線521同士が自然状態で当接しており、密巻きとなっている。
【0059】
また、第1の外側コイル51の全長(ワイヤ長手方向の長さ)は、第2の外側コイル52の全長(ワイヤ長手方向の長さ)よりも短い。これにより、第1の外側コイル51は、第1ワイヤ2の平板部21の途中からテーパ部23と第2の外径一定部24との境界部付近までを覆うことができる。また、第2の外側コイル52は、前記境界部付近から第2ワイヤ3の第2の外径一定部33の途中までを覆うことができる。
【0060】
このような構成の外側部材5が設置されていることにより、ワイヤ本体10の先端側の部分が外側部材5に覆われて、血管壁との接触面積を抑えることができ、よって、摺動抵抗が低減され、ガイドワイヤ1の操作性がより向上する。
【0061】
第1の外側コイル51の内径は、第2の外側コイル52の内径よりも小さい。
第1の外側コイル51の外径と第2の外側コイル52の外径とは、それぞれ、ワイヤ長手方向に沿って一定であり、大きさも同じである。
第1の素線511の直径は、第2の素線521の直径よりも大きい。
【0062】
第1の素線511(第1の外側コイル51)の構成材料と、第2の素線521(第2の外側コイル52)の構成材料とは、同じであってもよいが、互いに異なるのが好ましい。第1の素線511の構成材料と第2の素線521の構成材料とが互いに異なる場合、第1の素線511の構成材料としては、X線不透過材料を用いるのが好ましく、例えば、Ptまたはその合金(例えばPt−Ni合金、Pt−W合金)を用いることができる。第2の素線521の構成材料としては、第1の素線511よりもX線不透過性が低い材料を用いるのが好ましく、例えば、第2ワイヤ3の構成材料と同じステンレス鋼を用いることができる。第1の素線511に上述の材料を用いることにより、X線透視下でガイドワイヤ1の先端部の位置を確認しつつ生体内に挿入することができ、好ましい。
【0063】
図1に示すように、外側部材5は、その両端部および長手方向の途中がそれぞれ固定材料(固定部材)11、12、13を介してワイヤ本体10に対し固定されている。これにより、外側部材5のワイヤ本体10に対するワイヤ長手方向の位置ズレが確実に防止される。
【0064】
図1に示す構成では、第1の外側コイル51は、その先端部が固定材料11を介してワイヤ本体10の平板部21に対し固定され、基端部が固定材料12を介してワイヤ本体10のテーパ部23と第2の外径一定部24との境界部付近に対し固定されている。また、第2の外側コイル52は、その先端部がワイヤ本体10のテーパ部23と第2の外径一定部24との境界部付近に対し固定され、基端部がワイヤ本体10の第2の外径一定部33対し固定されている。固定材料12は、第1の外側コイル51のワイヤ本体10に対する固定と第2の外側コイル52のワイヤ本体10に対する固定との両方を兼ねている。そして、第1の外側コイル51と第2の外側コイル52とは、固定材料12を介して連結されている。
【0065】
これらの固定材料11、12および13は、それぞれ、半田(ろう材)で構成されている。なお、固定材料11、12および13は、半田に限らず、接着剤でもよい。また、血管等の体腔の内壁の損傷を防止するために、固定材料11の先端面111および固定材料13の基端面131は、丸みを帯びているのが好ましい。
【0066】
前述したように、ワイヤ本体10は、その先端側の部分が外側部材5を非接触で挿通している。これにより、ワイヤ本体10の外周部と外側部材5(第2の外側コイル52)の内周部との間には、間隙15が形成され、当該間隙15に内側部材4Aが配置されている。内側部材4Aは、内側部材用素線(第3の素線)41をワイヤ本体10の中心軸回りにコイル状に巻回してなる内側コイル(第3のコイル)であり、その内側にワイヤ本体10が挿通している。これにより、内側部材4A(内側コイル)は、接合部14と、接合部14の先端側の第2の外径一定部24と、基端側の第1の外径一定部31とを一括して覆うことができる。なお、内側部材4Aの内径および外径は、それぞれ、ワイヤ長手方向に沿って一定である。
【0067】
また、内側部材4Aは、その先端部42がワイヤ本体10に対して支持、固定されており、その固定を固定材料12が担っている。すなわち、内側部材4Aの先端部42は、固定材料12を介して、ワイヤ本体10に対して支持、固定されている。内側部材4Aの基端部45は、ワイヤ本体10と固定されていない。さらには、内側部材4Aの内側部材用素線41の外径は、ワイヤ本体10と内側部材4Aとの隙間よりも大きい。これにより、内側部材4Aは、片持ち支持された状態となり、その基端側の部分(基端部45)がワイヤ長手方向に伸縮することができる。内側部材4Aの先端部42の固定材料12で固定された部分以外は、ワイヤ本体10の長手方向に沿って自由に伸縮可能な状態で配置されている。
【0068】
このように構成することにより、ガイドワイヤ1にトルクを与えて内側部材4Aにも捩れの負荷が掛かっても、内側部材4Aは、ワイヤ長手方向に伸縮可能なのでその負荷を逃がすことができて、当該内側部材4Aの破損を未然に防止できる。
【0069】
なお、固定材料12が外側部材5の固定以外に、内側部材4Aの固定も兼ねていることにより、内側部材4Aの固定用の部材を別途設けるのを省略することができる。これにより、ガイドワイヤ1の構造を簡単なものとすることができる。
【0070】
ガイドワイヤ1の使用状態では、当該ガイドワイヤ1には、その軸回りのトルクや、基端側からの押込力、湾曲した血管からの押圧力(ガイドワイヤ1を曲げる力)等が加わる。そのため、接合部14には、相応の応力が生じるが、その応力は、前述したように配置された内側部材4Aによって、確実に緩和される。これにより、ガイドワイヤ1の使用中(操作中)に、当該ガイドワイヤ1が接合部14で不本意に折れ曲がったり、接合部14で破断したりする等の不具合を確実に防止することができる。従って、ガイドワイヤ1は、操作性、すなわち、トルク伝達性、押し込み性、耐キンク性に優れたものとなる。
【0071】
また、内側部材4Aにより、第2ワイヤ3から第1ワイヤ2への剛性の移行がなだらかになる。すなわち、第2ワイヤ3よりも剛性の小さい第1ワイヤ2の基端部付近は、曲げ応力に対して大きく変形し易いが、内側部材4Aに覆われた第1ワイヤ2の基端部付近が曲がっても、内側部材4Aによって極端な湾曲変形を抑止することができる。すなわち、湾曲する外側において内側部材4Aの内表面が第1ワイヤ2の基端部の外表面に接触して曲がりを抑えるとともに、湾曲する内側において内側部材4Aの内側部材用素線41同士が集まり接触することにより、第1ワイヤ2の基端部の極端な屈曲を防ぐことができる。これにより、ガイドワイヤ1を湾曲した血管に挿入した際、接合部14付近でもガイドワイヤ1が滑らかに湾曲することができ、よって、操作性が向上する。
【0072】
図1に示すように、内側部材4Aは、その内径が接合部14での外径よりも大きく、外径が第2の外側コイル52(外側部材5)の内径よりも小さい。これにより、内側部材4Aの内周部43は、第1ワイヤ2の第2の外径一定部24の外周部242と、第2ワイヤ3の第1の外径一定部31の外周部312から離間する。また、内側部材4Aの外周部44は、第2の外側コイル52の内周部522から離間する。そして、このような離間と、内側部材4Aが伸縮可能との相乗効果により、ガイドワイヤ1の使用中に生じ得る、隣接する内側部材用素線41同士のうちの一方が他方に乗り上げてしまう、すなわち、内側部材用素線41同士の位置ズレを確実に防止することができる。
【0073】
また、
図1に示すように、内側部材用素線41の横断面形状は、円形をなす。そして、内側部材用素線41の直径は、第2の外側コイル52を構成する第2の素線521の直径と同じかそれよりも小さいことが好ましい。このように構成することにより、第2の外側コイル52と内側部材4Aとの隙間を小さく保ちながら、第2の外側コイル52の第2の素線521の直径を大きくできるので、第2の外側コイル52の第2の素線521同士の位置ズレを防止することができる。さらに、内側部材用素線41(内側部材4A)の構成材料は、第1の素線511(第1の外側コイル51)の構成材料と同じであり、例えば、前述したようにステンレス鋼を用いることができる。
【0074】
また、内側部材4Aの内側部材用素線41同士は、密巻きが好ましい。これにより、内側部材4Aに初張力が備わる。そして、内側部材4Aが真直ぐになろうとする力が作用して、当該力で、ワイヤ本体10の湾曲を抑制する効果が発揮される。
【0075】
さらには、内側部材4Aの内側部材用素線41の直径は、内側部材4Aと第2の外側コイル52との隙間よりも大きいので、内側部材用素線41同士の位置ズレを防止することができる。また、第2の外側コイル52の第2の素線521の直径は、内側部材4Aと第2の外側コイル52との隙間よりも大きいので、第2の素線521同士の位置ズレを防止することができる。
【0076】
このような内側部材用素線41で構成された内側部材4Aは、適度に柔軟でありながら、真直性を備えたものとなる。これにより、接合部14で生じる前記応力をより確実に緩和することができるとともに、ガイドワイヤ1が湾曲する際、その湾曲を内側部材4A自体が過度に妨げるのを確実に防止することができる。
【0077】
また、内側部材用素線41の巻回方向は、第1の素線511および第2の素線521のそれぞれの巻回方向と同じである。これにより、ガイドワイヤ1の軸回りの回転方向に対する各コイル(第1の外側コイル51、第2の外側コイル52)の縮径・拡径が同一になるため、各コイルの破損を防止することができると言う利点がある。
【0078】
<第2実施形態>
図2は、ガイドワイヤの第2実施形態(参考例)を示す縦断面図である。
【0079】
以下、この図を参照してガイドワイヤの第2実施形態(参考例)について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、内側部材の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0080】
図2に示すように、本実施形態のガイドワイヤ1では、内側部材4Bは、隣接する内側部材用素線41同士が自然状態で離間しており、疎巻きとなっている。これにより、内側部材4Bは、密巻きの第2の外側コイル52よりも初張力が小さい。
【0081】
このような疎巻きの内側部材4Bは、ワイヤ長手方向により容易に伸縮し易いものとなる。これにより、ガイドワイヤ1の使用中に生じ得る、隣接する内側部材用素線41同士のうちの一方が他方に乗り上げられてしまうのをより確実に防止することができる。また、柔軟性を有することで、物性変化をなだらかにし、操作性の低下をすることができると言う利点もある。
【0082】
<第3実施形態>
図3は、ガイドワイヤの第3実施形態(参考例)を示す縦断面図である。
【0083】
以下、この図を参照してガイドワイヤの第3実施形態(参考例)について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、内側部材の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0084】
図3に示すように、本実施形態のガイドワイヤ1では、内側部材4Cを構成する内側部材用素線41の巻回方向は、第2の外側コイル52を構成する第2の外側部材用素線521(第1の外側部材用素線511についても同様)の巻回方向と反対である。これにより、ガイドワイヤ1の使用中に、内側部材用素線41が、隣接する第2の外側部材用素線521同士の間に噛み込まれて、当該ガイドワイヤ1が不本意な変形をするのを確実に防止することができる。
【0085】
<第4実施形態>
図4は、ガイドワイヤの第4実施形態(参考例)を示す縦断面図である。
【0086】
以下、この図を参照してガイドワイヤの第4実施形態(参考例)について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、内側部材の長さが異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0087】
図4に示すように、本実施形態のガイドワイヤ1では、内側部材4Dは、固定材料12を挿通して、先端部42が固定材料12から先端方向に向かって突出して延びた突出部421を形成している。なお、突出部421の突出量は、特に限定されないが、例えば、内側部材4Dの全長の1〜34%であるのが好ましい。
【0088】
この突出部421は、第1の外側コイル51と第1ワイヤ2との間を埋めるよう作用する。これにより、ガイドワイヤ1の使用中に生じ得る、第1の外側コイル51の基端部において、隣接する第1の素線511同士のうちの一方が他方に乗り上げられてしまうのをより確実に防止することができる。なお、このような乗り上げは、コイルの先端部よりも基端部の方が起き易い傾向にある。
【0089】
<第5実施形態>
図5は、本発明のガイドワイヤの実施形態(第5実施形態)を示す縦断面図である。
【0090】
以下、この図を参照して本発明のガイドワイヤの実施形態(第5実施形態)について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0091】
本実施形態は、内側部材のワイヤ本体に対する支持箇所が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0092】
図5に示すように、本実施形態のガイドワイヤ1では、内側部材4Eは、その先端部42から基端部45にかけて、伸縮可能な状態で配置されている。より詳細には、内側部材4Eは、その先端部42が固定材料12から離間し、基端部45が第2ワイヤ3のテーパ部32に位置している。内側部材4Eの先端部42は、固定材料12からその内側部材用素線41の直径分以下の隙間を有することが好ましい。これにより、ワイヤ本体10の軸方向の遊び過多による内側部材4Eの破損を防止することができる。また、内側部材4Eの基端部45は、内側部材4Eの内径が第2ワイヤ3の第1のテーパ部32の外径に達した部位にて、該第1のテーパ部32の外表面と基端部45の内表面とが接した状態となる。この状態では、内側部材4Eは、ワイヤ本体10の基端側への移動が実質的に規制されることとなる。これにより、内側部材4Eは、ワイヤ本体10に対して固定点を有さない状態となり、その全体がワイヤ長手方向に伸縮することができる。このように構成することにより、ガイドワイヤ1にトルクを与えて内側部材4Eにも振れの負荷が掛かっても、ワイヤ長手方向に伸縮可能なのでその負荷を逃がすことができて内側部材4Eの破損を未然に防止できる。また、ガイドワイヤ1の使用中に生じ得る、隣接する内側部材用素線41同士のうちの一方が他方に乗り上げられてしまうのをより確実に防止することができる。
【0093】
<第6実施形態>
図6は、ガイドワイヤ(第6実施形態)(参考例)が備える内側部材の拡大縦断面である。
【0094】
以下、この図を参照してガイドワイヤの第6実施形態(参考例)について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0095】
本実施形態は、内側部材用素線の横断面形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0096】
図6に示すように、本実施形態のガイドワイヤ1では、内側部材4Fを構成する内側部材用素線41の横断面形状は、偏平形状をなし、図示の構成では、長方形であり、その長手方向がワイヤ長手方向と同方向となっている。また、この長方形では、各角部411がそれぞれ直角となっていてもよいが、
図6に示すように、丸みを帯びているのが好ましい。
【0097】
内側部材用素線41の横断面形状が長方形をなしていることにより、第2ワイヤ3よりも剛性の小さい第1ワイヤ2の基端部付近は、曲げ応力に対して大きく変形し易いが、内側部材4Fに覆われることによって、第2ワイヤ3よりも剛性の小さい第1ワイヤ2の基端部付近の極端な湾曲変形を一層抑止することができる。また、内側部材4Fが比較的細いものとなり、よって、ガイドワイヤ1の細径化に寄与する。内側部材用素線41の厚さは、外側コイル52の素線径にもよるが、例えば、外側コイル52の素線径が40〜50μmの場合、好ましくは10〜40μmであり、より好ましくは20〜30μmである。
【0098】
<第7実施形態>
図7は、ガイドワイヤ(第7実施形態)(参考例)が備える内側部材の拡大縦断面である。
【0099】
以下、これらの図を参照してガイドワイヤの第7実施形態(参考例)について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0100】
本実施形態は、内側部材用素線の横断面形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0101】
図7に示すように、本実施形態のガイドワイヤ1では、内側部材4Gを構成する内側部材用素線41の横断面形状は、偏平形状をなし、図示の構成では、楕円形であり、その長径方向がワイヤ長手方向と同方向となっている。
【0102】
内側部材用素線41の横断面形状が楕円形をなしていることにより、第2ワイヤ3よりも剛性の小さい第1ワイヤ2の基端部付近は、曲げ応力に対して大きく変形し易いが、内側部材4Gに覆われることによって、第2ワイヤ3よりも剛性の小さい第1ワイヤ2の基端部付近の極端な湾曲変形を一層抑止することができる。また、内側部材4Gが比較的細いものとなり、よって、ガイドワイヤ1の細径化に寄与する。
【0103】
<第8実施形態>
図8は、ガイドワイヤ(第8実施形態)(参考例)が備える内側部材の拡大縦断面である。
【0104】
以下、この図を参照してガイドワイヤの第8実施形態(参考例)について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0105】
本実施形態は、内側部材用素線の横断面形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0106】
図8に示すように、本実施形態のガイドワイヤ1では、内側部材4Hを構成する内側部材用素線41の横断面形状は、偏平形状をなし、図示の構成では、半円形状であり、その長径方向がワイヤ長手方向と同方向となっている。
【0107】
内側部材用素線41の横断面形状が半円形状をなしていることにより、第2ワイヤ3よりも剛性の小さい第1ワイヤ2の基端部付近は、曲げ応力に対して大きく変形し易いが、内側部材4Hに覆われることによって、第2ワイヤ3よりも剛性の小さい第1ワイヤ2の基端部付近の極端な湾曲変形を一層抑止することができる。また、内側部材4Gが比較的細いものとなり、よって、ガイドワイヤ1の細径化に寄与する。
【0108】
また、内側部材用素線41は、その湾曲面412と反対側の平面413がワイヤ本体10に臨んでいる。これにより、内側部材4Hがワイヤ本体10に対して安定して載置される。
【0109】
前記第6〜8実施形態の内側部材4F〜4Hは、隣り合う内側部材用素線41同士が接触する態様であったが、隙間を有している態様であってもよい。
【0110】
<第9実施形態>
図9は、ガイドワイヤの第9実施形態(参考例)を示す縦断面図、
図10は、
図9に示すガイドワイヤが備える内側部材の側面図である。
【0111】
以下、これらの図を参照してガイドワイヤの第9実施形態(参考例)について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、内側部材の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0112】
図9、
図10に示すように、本実施形態のガイドワイヤ1では、内側部材4iは、パイプ(管体)で構成されている。そして、この内側部材4i(パイプ)には、管壁46を貫通する複数の貫通部461が形成されている(
図10参照)。各貫通部461は、それぞれ、内側部材4iの周方向に沿って、複数のスロットとして形成されている。隣接するスロットの位置は、互いに異なっている。
【0113】
このような内側部材4iは、柔軟性に富むものとなり、接合部14での前記応力を緩和することができ、よって、前述したようにガイドワイヤ1で操作性が向上する。
【0114】
なお、各貫通部461は、それぞれ、
図10に示す構成ではスロット状であるが、これに限定されず、例えば、円形状、螺旋状、または、細長い切れ込み(スリット)や帯状の切れ込みであってもよい。
【0115】
なお、
図10に示した内側部材4iの構成は、前掲した各実施形態における外側部材5として用いることが可能である。
【0116】
以上、本発明のガイドワイヤを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ガイドワイヤを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0117】
また、本発明のガイドワイヤは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0118】
また、内側部材の内周部は、前記各実施形態ではワイヤ本体の外周部から離間しているが、これに限定されず、ワイヤ本体の外周部と接していてもよい。
【0119】
また、内側部材は、前記各実施形態では片持ち支持されているが、これに限定されず、両持ち支持されていてもよい。内側部材が両持ち支持されている場合、例えば、ガイドワイヤのトルク伝達性が向上する。
また、外側部材と内側部材との間に、樹脂層が介挿されていてもよい。