特許第6356858号(P6356858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356858
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】操作レバー
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20180702BHJP
【FI】
   B60N2/90
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-76072(P2017-76072)
(22)【出願日】2017年4月6日
(62)【分割の表示】特願2012-253499(P2012-253499)の分割
【原出願日】2012年11月19日
(65)【公開番号】特開2017-119513(P2017-119513A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2017年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】武井 浩崇
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 啓史
(72)【発明者】
【氏名】星野 洸行
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−201652(JP,A)
【文献】 特開2001−193320(JP,A)
【文献】 特開2001−310660(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0230033(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/90
A47C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動伝達部材に取り付けられる取付部と、
ユーザにより把握される把握部と、
前記取付部から前記把握部までを連結する連結部と、
を有し、
前記連結部の上縁部には、連結上部フランジが形成されており、
前記連結部の下縁部には、連結下部フランジが形成されており、
前記連結部の前記連結上部フランジと前記連結下部フランジとによって上下方向に挟まれた部分には、肉厚部分と、肉薄部分とが連結して形成され、
前記肉厚部分は、前記連結上部フランジと前記連結下部フランジとによって上下方向に挟まれた部分の前記取付部側に形成された、前記肉薄部分と比較して、前記連結上部フランジ及び前記連結下部フランジが立設する方向の厚みが厚い部分であり、
前記肉薄部分は、前記連結上部フランジと前記連結下部フランジとによって上下方向に挟まれた部分の前記把握部側に形成された、前記肉厚部分と比較して、前記連結上部フランジ及び前記連結下部フランジが立設する方向の厚みが薄い部分であることを特徴とする操作レバー。
【請求項2】
請求項1記載の操作レバーにおいて、
前記連結部の肉厚部分は、前記連結部の中央部で、前記連結部の肉薄部分と連結することを特徴とする操作レバー。
【請求項3】
請求項1又は2記載の操作レバーにおいて、
前記連結部は、肉厚部分と肉薄部分とが樹脂により一体成型されていることを特徴とする操作レバー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記連結部は、前記取付部と前記把握部とともに樹脂により一体成型されていることを特徴とする操作レバー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記連結部は、肉厚部分の前記把握部側の端部近傍が、他の部分よりも脆弱な脆弱部として機能することを特徴とする操作レバー。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記連結部は、前記取付部の下端部から斜め上方へと延在することを特徴とする操作レバー。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記連結部の肉厚部分は、前記取付部側の端部から中央部まで形成されたリブ部であることを特徴とする操作レバー。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記連結部には、
前記作動伝達部材の回転軸に対して直交する平面に沿う連結本体部と、
前記連結本体部の上縁部から立設する連結上部フランジと、
前記連結本体部の下縁部から立設する連結下部フランジと、
前記連結上部フランジ及び前記連結下部フランジの間であって、前記取付部側の端部から中央部まで形成されたリブ部とが備えられていて、
前記リブ部の前記把握部側の端部近傍に、他の部分よりも脆弱な脆弱部が設けられていることを特徴とする操作レバー。
【請求項9】
請求項記載の操作レバーにおいて、
前記リブ部には、多数の円筒状穴が稠密に形成されていることを特徴とする操作レバー。
【請求項10】
請求項又は記載の操作レバーにおいて、
前記リブ部における前記連結上部フランジ側の端部は、前記リブ部における前記連結下部フランジ側の端部よりも、前記作動伝達部材の回転軸を通過する垂直線から離れていることを特徴とする操作レバー。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記把握部は、
前記連結本体部に連続するように、前記作動伝達部材の回転軸に対して直交する平面に沿う把握本体部と、
前記連結上部フランジに連続するように、前記把握本体部の上縁部から立設する把握上部フランジと、
前記連結下部フランジに連続するように、前記把握本体部の下縁部から立設する把握下部フランジと、
前記把握下部フランジの下端部から前記把握本体部と略平行に延在する補助フランジとを備えることを特徴とする操作レバー。
【請求項12】
請求項11記載の操作レバーにおいて、
前記把握上部フランジが前記把握部の上側、前記把握下部フランジが前記把握部の下側に位置し、これらが略水平方向に延在するように配置された状態で、
記把握下部フランジの前記把握部が前記連結部と接続されている側と反対側の端部は、前記連結部の肉厚部分の上端よりも上方に配置されていることを特徴とする操作レバー。
【請求項13】
請求項11又は12記載の操作レバーにおいて、
前記把握上部フランジが前記把握部の上側、前記把握下部フランジが前記把握部の下側に位置し、これらが略水平方向に延在するように配置された状態で、
前記連結部の上下方向の高さが最も大きくなる部分は、前記取付部の上下方向の高さが最も大きくなる部分及び前記把握部の上下方向の高さが最も大きくなる部分よりも、上下方向の高さが小さく形成されていることを特徴とする操作レバー。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記取付部は、前記作動伝達部材の全周を囲む第一壁部と、前記第一壁部の全周を囲む第二壁部とを備え、
前記第一壁部と前記第二壁部との間には、当該第一壁部と前記第二壁部とに連続するリブが所定の間隔を空けて複数設けられていることを特徴とする操作レバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバーに係り、特に車両用シートの座面位置を調整するための操作レバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等のシート装置においては、座面位置調整用の例えばハイトブレーキなどの作動伝達部材を搭載したシート装置が知られている。作動伝達部材には、操作レバーが取り付けられていて、この操作レバーを上下動させることで作動伝達部材を駆動させシート装置の座面位置を昇降できるようになっている。ところが、想定以上の力で操作レバーが操作されてしまうと、作動伝達部材にも大きな力がかかってしまうおそれがあった。
このため、近年においては、操作レバーに対してトルクリミッタを設けることで、所定以上の力を作動伝達部材に作用させない技術が開発されている(例えば特許文献1参照)。具体的には、操作レバーは、レバー本体およびグリップに分割され、そのレバー本体の先端およびそのグリップの根元の片方の側面にU字状ばね溝が開口されている。そして、その両U字状ばね溝の溝端を互いに向き合わせてそのレバー本体のその先端およびそのグリップのその根元で互いにヒンジ結合されて組み立てられている。操作レバーには、板幅方向に反る形状の細長い薄板ばねがその反り側板面を外側にし、そのレバー本体およびグリップのそのU字状ばね溝内にまたがって輪状に適宜に重ね巻きされてほぐれ止めされるトルクリミッタが内蔵されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−310660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようなトルクリミッタを備えた操作レバーであると構造が複雑であるために製造コストの抑制の弊害となっているのが実状である。また、操作レバーには、レバー本体とグリップとの間に隙間が形成されているために、通常の操作時においてもわずかではあるがレバー本体に対してグリップが変形する場合もあり、操作に違和感を与える要因となる。
そこで、本発明の課題は、簡素な構成であっても、作動伝達部材に想定以上の力が作用することを抑制し、通常操作時の違和感を抑制することのできる操作レバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明に係る操作レバーは、
作動伝達部材に取り付けられる取付部と、
ユーザにより把握される把握部と、
前記取付部から前記把握部までを連結する連結部と、
を有し、
前記連結部の上縁部には、連結上部フランジが形成されており、
前記連結部の下縁部には、連結下部フランジが形成されており、
前記連結部の前記連結上部フランジと前記連結下部フランジとによって上下方向に挟まれた部分には、肉厚部分と、肉薄部分とが連結して形成され、
前記肉厚部分は、前記連結上部フランジと前記連結下部フランジとによって上下方向に挟まれた部分の前記取付部側に形成された、前記肉薄部分と比較して、前記連結上部フランジ及び前記連結下部フランジが立設する方向の厚みが厚い部分であり、
前記肉薄部分は、前記連結上部フランジと前記連結下部フランジとによって上下方向に挟まれた部分の前記把握部側に形成された、前記肉厚部分と比較して、前記連結上部フランジ及び前記連結下部フランジが立設する方向の厚みが薄い部分であることを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の操作レバーにおいて、
前記連結部の肉厚部分は、前記連結部の中央部で、前記連結部の肉薄部分と連結することを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の操作レバーにおいて、
前記連結部は、肉厚部分と肉薄部分とが樹脂により一体成型されていることを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記連結部は、前記取付部と前記把握部とともに樹脂により一体成型されていることを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記連結部は、肉厚部分の前記把握部側の端部近傍が、他の部分よりも脆弱な脆弱部として機能することを特徴としている
求項記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記連結部は、前記取付部の下端部から斜め上方へと延在することを特徴としている。
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記連結部の肉厚部分は、前記取付部側の端部から中央部まで形成されたリブ部であることを特徴としている。
【0006】
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記連結部には、
前記作動伝達部材の回転軸に対して直交する平面に沿う連結本体部と、
前記連結本体部の上縁部から立設する連結上部フランジと、
前記連結本体部の下縁部から立設する連結下部フランジと、
前記連結上部フランジ及び前記連結下部フランジの間であって、前記取付部側の端部から中央部まで形成されたリブ部とが備えられていて、
前記リブ部の前記把握部側の端部近傍に、他の部分よりも脆弱な脆弱部が設けられていることを特徴としている。
【0007】
請求項記載の発明は、請求項記載の操作レバーにおいて、
前記リブ部には、多数の円筒状穴が稠密に形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項10記載の発明は、請求項又は記載の操作レバーにおいて、
前記リブ部における前記連結上部フランジ側の端部は、前記リブ部における前記連結下部フランジ側の端部よりも、前記作動伝達部材の回転軸を通過する垂直線から離れていることを特徴としている。
【0009】
請求項11記載の発明は、請求項10のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記把握部は、
前記連結本体部に連続するように、前記作動伝達部材の回転軸に対して直交する平面に沿う把握本体部と、
前記連結上部フランジに連続するように、前記把握本体部の上縁部から立設する把握上部フランジと、
前記連結下部フランジに連続するように、前記把握本体部の下縁部から立設する把握下部フランジと、
前記把握下部フランジの下端部から前記把握本体部と略平行に延在する補助フランジとを備えることを特徴としている。
請求項12記載の発明は、請求項11記載の操作レバーにおいて、
前記把握上部フランジが前記把握部の上側、前記把握下部フランジが前記把握部の下側に位置し、これらが略水平方向に延在するように配置された状態で、
記把握下部フランジの前記把握部が前記連結部と接続されている側と反対側の端部は、前記連結部の肉厚部分の上端よりも上方に配置されていることを特徴としている。
請求項13記載の発明は、請求項11又は12記載の操作レバーにおいて、
前記把握上部フランジが前記把握部の上側、前記把握下部フランジが前記把握部の下側に位置し、これらが略水平方向に延在するように配置された状態で、
前記連結部の上下方向の高さが最も大きくなる部分は、前記取付部の上下方向の高さが最も大きくなる部分及び前記把握部の上下方向の高さが最も大きくなる部分よりも、上下方向の高さが小さく形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項14記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の操作レバーにおいて、
前記取付部は、前記作動伝達部材の全周を囲む第一壁部と、前記第一壁部の全周を囲む第二壁部とを備え、
前記第一壁部と前記第二壁部との間には、当該第一壁部と前記第二壁部とに連続するリブが所定の間隔を空けて複数設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、操作レバーに最大値を超える力がかかったとしても作動伝達部材に大きな力が伝わる前に連結部が変形することになる。
請求項4記載の発明によれば、従来よりも簡素な構成の操作レバーを提供することができる。
【0012】
請求項記載の発明によれば、連結部には、連結上部フランジ及び連結下部フランジの間であって、取付部側の端部から中央部までリブ部が形成されているので、連結部と取付部との接合部分の強度を高めることができる。通常操作時においては、この連結部と取付部との接合部分にどうしても応力が集中してしまうが、この部分の強度が高められているために通常操作時に変形してしまうことを抑制することができる。
【0013】
請求項記載の発明によれば、リブ部に多数の円筒状穴が稠密に形成されているので、リブ部の強度を確保しつつ、樹脂の使用量を抑制することができる。
【0014】
請求項10記載の発明によれば、リブ部における連結上部フランジ側の端部が、リブ部における連結下部フランジ側の端部よりも、作動伝達部材の回転軸を通過する垂直線から離れているので、脆弱部が変形する際に回転軸に直交する平面に対して捻る力が取付部を介して作動伝達部材に作用することになる。このため、脆弱部の変形時に作動伝達部材に作用する力が抑制され、作動伝達部材に大きな力が伝わることをより一層抑制することができる。
【0015】
請求項11記載の発明によれば、把握部には、把握下部フランジの下端部から把握本体部と略平行に延在する補助フランジが設けられているので、この補助フランジによって把握部全体の剛性を高めることができ、把握部の強度を高めることができる。
【0016】
請求項14記載の発明によれば、作動伝達部材の全周を囲む第一壁部と、第一壁部の全周を囲む第二壁部との間に、当該第一壁部と前記第二壁部とに連続するリブが所定の間隔を空けて複数設けられているので、取付部自体の剛性を高めることができ、通常操作時に作動伝達部材に対する力の伝達をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る操作レバーの概略構成を示す正面図である。
図2図1の操作レバーの背面図である。
図3図1の操作レバーの一部を拡大して示す斜視図である。
図4】本実施形態に係る操作レバーの変形例を部分的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0019】
図1は本実施形態に係る操作レバーの概略構成を示す正面図であり、図2は操作レバーの背面図、図3は操作レバーの一部を拡大して示す斜視図である。図1図3に示すように、操作レバー1は、図示しない作動伝達部材(ハイトブレーキ)に取り付けられる取付部2と、ユーザにより把握される把握部3と、取付部2から把握部3までを連結する連結部4とが樹脂により一体成型されて構成されている。
【0020】
取付部2には、作動伝達部材の全周を囲い背面側が開口された略円筒状の壁部21と、作動伝達部材に係合するため、壁部21の内周面に所定の間隔を空けて形成された複数の係合凸部22と、作動伝達部材を固定するためネジ等の固定具が挿入される一対の貫通孔23と、壁部21の正面側を覆い外装をなす外装部24とを備えている。
外装部24は、壁部21と同心円状の外形を有していて、その外径は壁部21の外径よりも大きく形成されている。
【0021】
連結部4は、基端部が取付部2の下端部に連続していて、そこから徐々に斜め上方へと延在している。連結部4には、作動伝達部材の回転軸に対して直交する平面に沿う連結本体部41と、連結本体部41の上縁部から背面側に向かって立設する連結上部フランジ42と、連結本体部41の下縁部から背面側に向かって立設する連結下部フランジ43と、連結上部フランジ42及び連結上部フランジ43の間であって、取付部2側の端部から中央部まで形成されたリブ部44とが備えられている。
ここで、「作動伝達部材の回転軸に対して直交する平面」とは、図1及び図2の紙面に平行な面のことである。
【0022】
リブ部44は、連結本体部41の背面から立設し、連結上部フランジ42及び連結下部フランジ43の背面と面一に形成されている。このリブ部44には、多数の円筒状穴45が稠密に形成されている。そして、リブ部44における連結上部フランジ42側の端部44aは、リブ部44における連結下部フランジ43側の端部44bよりも、作動伝達部材の回転軸を通過する垂直線L1から離れている(a1>b1)。
そして、連結部4におけるリブ部44が存在しない部分においては、リブ部44が存在する部分よりも肉薄であるために強度が弱い。つまり、連結部4におけるリブ部44の把握部3側の端部近傍が他の部分よりも脆弱な脆弱部5となる。なお、脆弱部5は、連結本体部41の背面側にあるリブ部44の有無により形成されているので、表面側から見ると連結本体部41、連結上部フランジ42及び連結下部フランジ43には隙間がなく連続した状態となっている。つまり、連結部4における外周部を避けた部分に脆弱部5が形成されていることになる。そして、脆弱部5は、作動伝達部材で許容できる荷重の最大値を超える力で変形する強度に予め形成されている。
【0023】
把握部3は、連結部4の先端部から略水平方向に沿って延在している。把握部3には、連結本体部41に連続するように、作動伝達部材の回転軸に対して直交する平面に沿う把握本体部31と、連結上部フランジ42に連続するように、把握本体部31の上縁部から背面側に向かって立設する把握上部フランジ32と、連結下部フランジ43に連続するように、把握本体部31の下縁部から背面側に向かって立設する把握下部フランジ33と、把握下部フランジ33の下端部から把握本体部31と略平行に延在する補助フランジ34とが備えられている。
また、把握上部フランジ32と把握下部フランジ33との間には、所定の間隔を空けて複数のリブ35が形成されている。
【0024】
次に、本実施形態の作用について説明する。
通常操作時においては、ユーザによって把握部3が上下されることにより、その動力が連結部4及び取付部2を介して作動伝達部材に伝達されて、作動伝達部材が回転することになる。
一方、想定以上の力で操作レバー1が操作された場合には、他の部分よりも脆弱な脆弱部5に応力が集中することになる。脆弱部5は予め作動伝達部材で許容できる荷重の最大値程度で変形する強度形成されているため、前記最大値以上の応力が付与されると動力を作動伝達部材に完全に伝達する前に変形してしまう。
ここで、リブ部44における連結上部フランジ42側の端部44aが、リブ部44における連結下部フランジ43側の端部44bよりも垂直線L1から離れているので、連結上部フランジ42側の方が連結下部フランジ43側よりも高強度となる。このため、脆弱部5が変形する際においては、図2に示す矢印Y1のように回転軸に直交する平面に対して捻る力が取付部2を介して作動伝達部材に作用することになる。このため、脆弱部5の変形時に作動伝達部材に作用する力が抑制される。
【0025】
以上のように、本実施形態によれば、取付部2と把握部3を連結する連結部4における外周部を避けた部分に、他の部分よりも脆弱な脆弱部5が設けられていて、その脆弱部5が作動伝達部材で許容できる荷重の最大値程度で変形する強度に予め形成されているので、操作レバー1に最大値を超える力がかかったとしても作動伝達部材に大きな力が伝わる前に脆弱部5が変形することになる。
この脆弱部5は、連結部4における外周部を避けた部分に形成されているので、脆弱部5を起因とした隙間が連結部4の外周部分に形成されることがなく、通常操作時にユーザに違和感を与えることも抑制できる。
そして、このような取付部2、把握部3及び連結部4が樹脂により一体成型されているので、従来よりも簡素な構成の操作レバー1を提供することができる。
【0026】
また、連結部4には、連結上部フランジ42及び連結下部フランジ43の間であって、取付部2側の端部から中央部までリブ部44が形成されているので、連結部4と取付部2との接合部分の強度を高めることができる。通常操作時においては、この連結部4と取付部2との接合部分にどうしても応力が集中してしまうが、この部分の強度が高められているために通常操作時での剛性を向上させることができる。
【0027】
また、リブ部44に多数の円筒状穴45が稠密に形成されているので、リブ部44の強度を確保しつつ、樹脂の使用量を抑制することができる。
また、把握部3には、把握下部フランジ33の下端部から把握本体部31と略平行に延在する補助フランジ34が設けられているので、この補助フランジ34によって把握部3全体の剛性を高めることができ、把握部3の強度を高めることができる。
【0028】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下の説明において、上記実施形態と同一箇所においては同一符号を付してその説明を省略する。
例えば、上記実施形態では、取付部2に壁部21が一重でしか設けられていない場合を例示して説明したが、壁部を二重で設けることも可能である。図4は壁部が二重で設けられた取付部を模式的に示す背面図である。図4に示すように、取付部2Aは、作動伝達部材の全周を囲む第一壁部21aと、第一壁部21aの全周を囲む第二壁部21bとを備えている。そして、第一壁部21aと第二壁部21bとの間には、当該第一壁部21aと第二壁部21bとに連続するリブ21cが所定の間隔を空けて複数設けられている。
このように、作動伝達部材の全周を囲む第一壁部21aと、第一壁部21aの全周を囲む第二壁部21bとの間に、当該第一壁部21aと第二壁部21bとに連続するリブ21cが所定の間隔を空けて複数設けられていると、取付部2自体の剛性を高めることができ、通常操作時に作動伝達部材に対する力の伝達をスムーズに行うことができる。
【符号の説明】
【0029】
1 操作レバー
2 取付部
3 把握部
4 連結部
5 脆弱部
21 壁部
22 係合凸部
23 貫通孔
24 外装部
31 把握本体部
32 把握上部フランジ
33 把握下部フランジ
34 補助フランジ
35 リブ
41 連結本体部
42 連結上部フランジ
43 連結下部フランジ
44 リブ部
44a 端部
44b 端部
45 円筒状穴
図1
図2
図3
図4