特許第6356875号(P6356875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356875
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】月の相のディスプレー機構
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/26 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   G04B19/26 A
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-110700(P2017-110700)
(22)【出願日】2017年6月5日
(65)【公開番号】特開2018-4626(P2018-4626A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2017年6月5日
(31)【優先権主張番号】16177847.7
(32)【優先日】2016年7月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】594082512
【氏名又は名称】ブランパン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】エドモン・カプト
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・フェイエ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ベーラ
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−008678(JP,A)
【文献】 特開2006−284593(JP,A)
【文献】 米国特許第04684260(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第10315757(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/02,19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器用ムーブメント(200)と連係するように構成しており、24時間当たり3回転又は2回転するように構成している入力ピニオン(11)を有する月の相のディスプレー機構(10)であって、
前記入力ピニオン(11)は、少なくとも1つのそれぞれ19歯又は29歯の駆動ピニオン(13、130)を直接又は摩擦手段(20)を介して担持及び/又は駆動し、
前記駆動ピニオン(13、130)は、明るくされた領域(152)と、それぞれ1つ又は2つの背景の空領域(151)を有する2つの色分けされた描写を有する月ディスク(150、1500)を支える59歯の下側車(15)を駆動し、
前記駆動ピニオン(13、130)は、下側車(15)に同軸なそれぞれ57歯又は58歯の上側車(14、140)を駆動し、
この上側車(14、140)は、1日当たり1回転し、ユーザーの側に、空及び偏心している太陽(141)が描かれた空ディスク(1400)を有し、前記太陽(141)の実質的に反対側に偏心している開口(16)が形成されており、
この開口(16)を通して、月の現在の外観が描かれている前記月ディスク(150、1500)の一部を見ることができる
ことを特徴とする月の相のディスプレー機構(10)。
【請求項2】
前記駆動ピニオン(13)は、唯一の駆動ピニオンであり、前記下側車(15)と前記上側車(14)の両方を駆動する
ことを特徴とする請求項1に記載の月の相のディスプレー機構(10)。
【請求項3】
前記入力ピニオン(11)は、24時間当たり3回転するように構成しており、
前記駆動ピニオン(13)は、19歯を有し、前記2つの色分けされた描写は、明るくされた領域(152)及び背景の空領域(151)を有し、
前記上側車(14)は、57歯を有し、月及び背景の空の前記2つの色分けされた描写は、新月と満月の完全な描写をそれぞれ前記開口(16)を通して見ることができるように、前記月ディスク(150)上に、円又はカーディオイド状の境界(153)のコンコイドを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の月の相のディスプレー機構(10)。
【請求項4】
前記入力ピニオン(11)は、24時間当たり2回転するように構成しており、
前記駆動ピニオン(130)は、29歯を有し、前記2つの色分けされた描写は、明るくされた領域(152)及び2つの背景の空領域(151)を有し、
前記上側車(140)は、58歯を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の月の相のディスプレー機構(10)。
【請求項5】
プレート(30)又は棒体(31)によって構成している固定部を有し、
この固定部に、前記空ディスク(1400)に重なるように小さな棒体(19)が取り付けられており、この固定部は、地平線を象徴するものであり、この固定部の一方の側で、前記上側車(14、140)が回転しているときに前記太陽(141)の描写が動くことができる
ことを特徴とする請求項1に記載の月の相のディスプレー機構(10)。
【請求項6】
前記下側車(15)は、前記空ディスク(1400)に設けられた目盛(18)に対して月齢をディスプレーするディスプレーメンバー又は針(17)と一体化されている
ことを特徴とする請求項1に記載の月の相のディスプレー機構(10)。
【請求項7】
前記駆動ピニオン(13、130)は、摩擦手段(20)を介して前記入力ピニオン(11)によって駆動されて、これによって、中間列を介して制御ステムから、又は前記駆動ピニオン(13、130)に作用するコレクターのレバーから、修正をすることが可能になる
ことを特徴とする請求項2に記載の月の相のディスプレー機構(10)。
【請求項8】
請求項1に記載の月の相のディスプレー機構(10)を有する
ことを特徴とする計時器用ディスプレー機構(100)。
【請求項9】
請求項1に記載の月の相のディスプレー機構(10)と、及び時間車とを有する計時器用ムーブメント(200)であって、
前記時間車は、前記入力ピニオン(11)を駆動して前記少なくとも1つの駆動ピニオン(13、130)を駆動するか、又は前記入力ピニオン(11)を形成して前記少なくとも1つの駆動ピニオン(13、130)を担持かつ駆動するように構成しており、
この場合において、前記駆動ピニオン(13、130)の1つは、逆転器を介して間接的に前記上側車(14、140)を駆動し、
前記駆動ピニオン(13、130)は、分離手段を通して間接的に前記下側車(15)を駆動する
ことを特徴とする計時器用ムーブメント(200)。
【請求項10】
請求項7に記載の月の相のディスプレー機構(10)と、及び巻き及び修正用のステム(301)とを有し、
前記ステム(301)は、中間列(302)を介して月の相の修正を制御するように構成している
ことを特徴とする請求項9に記載の計時器用ムーブメント(200)。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の計時器用ムーブメント(200)を有する
ことを特徴とする腕時計(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器用ムーブメントと連係するように構成しており、24時間当たり3回転又は2回転するように構成している入力ピニオンを有する月の相のディスプレー機構に関する。
【0002】
本発明は、さらに、このような月の相のディスプレー機構を有する計時器用ディスプレー機構に関する。
【0003】
本発明は、さらに、このような月の相のディスプレー機構を有する計時器用ムーブメントに関する。
【0004】
本発明は、さらに、このようなムーブメントを有する腕時計に関する。
【0005】
本発明は、腕時計のディスプレー機構の分野に関し、特に、複雑機構を備えた機械式腕時計用のディスプレー機構の分野に関する。
【背景技術】
【0006】
月の相のディスプレーは、腕時計製造において価値が高い機能であるが、ムーブメントの製造を複雑にし、ケース内に大きな体積を容易に占めてしまう。また、月の相のディスプレーを修正することは容易ではない。
【0007】
CHRISTOPHE CLARETによる欧州特許出願EP2853957A1は、月の相のディスプレー機構を開示している。これは、異なる速度で回転する2つのディスクを有し、その一方の第1のディスクは、月の表現を支えており、他方のディスクには、いくつかの開口が形成されている。この開口は、第1のディスク上の月の表現を見えるようにするように構成しており、これによって、開口のうちの1つを通して月期の月の相を順次示し、これらの開口は、すべて同時に見えるいくつかの月カバーによって分離している。隣接する開口によって、連続する月期の月の相が示される。
【0008】
ZIMMERMANNによる米国特許出願US2006/2217771は、月ディスプレーディスクに同心的に固定された月ディスクを有する月の相機構を開示している。これにおいて、月ディスクは、この機構の通常の動作時にこの月ディスクが月ディスプレーディスクに対して回転するように固定される。月ディスプレーディスクは、デバイスの通常の動作時に固定位置にあり、手動のディスプレー変更のためにのみ動くように構成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、単純であり、経済的であり、部品の数が少なく、製造が複雑ではないような、腕時計用の月の相のディスプレー機構を作ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明は、請求項1に記載の月の相のディスプレー機構に関する。
【0011】
本発明は、さらに、このような月の相のディスプレー機構を有する計時器用ディスプレー機構に関する。
【0012】
本発明は、さらに、このような月の相のディスプレー機構を有する計時器用ムーブメントに関する。
【0013】
本発明は、さらに、このようなムーブメントを有する腕時計に関する。
【0014】
添付図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点を理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】空ディスクに形成された開口を通して見ることができる月ディスクを備える本発明に係る月の相のディスプレー機構の概略正面図を示しており、これらの2つのディスクは、異なる回転速度を有する同軸の車によって担持されており、空ディスクは、水平線を象徴する小さな棒体の後ろに見ることができる日中/夜間ディスプレーを形成している。
図2図1と同様な形態で、部分的に示した目盛り付きスケールに対向している可動な針を有する月齢ディスプレーによって完成される同じ機構を示している。
図3図1と同様な形態で、同じ機構の月ディスクを示している。
図4】本発明に係る機構の第1の変種の制御車セットの軸及び同軸の車の軸を通り抜ける断面図を示している。
図5】本発明の第1の変種に係る月の相のディスプレー機構の部分的な概略正面図を示している。
図6図4と同様な形態で、図5の機構を示している。
図7図3と同様な形態で、図5の機構の月ディスクを示している。
図8】本発明の第2の変種に係る月の相のディスプレー機構の部分的な概略正面図を示している。
図9図6と同様な形態で、図8の機構を示している。
図10図7と同様な形態で、図8の機構の月ディスクを示している。
図11】本発明の第1の変種又は第2の変種に適用可能である、月の相ディスプレーを修正する摩擦機構の制御車セットの軸及び同軸の車の軸を通り抜ける断面図を示している。
図12】このような月の相のディスプレー機構を有する計時器用ディスプレー機構を有する計時器用ムーブメントを有する腕時計を示しているブロック図である。
図13図8の変種と同様であるが歯数がすべて2倍になっている、本発明の第2の変種に係る月の相のディスプレー機構の概略正面図を示している。
図14図13において見えない歯車列の詳細を示している。
図15図13及び14に示した機構についての駆動デバイスから月の相ディスプレーまでの断面図を示している。
図16図13及び14に示した機構についての修正用ステムから月の相ディスプレーまでの断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、単純で経済的な腕時計用の月の相のディスプレー機構に関する。
【0017】
下において、この機構を2つの変種に基づいて説明する。これらは、同じ一般原則を利用するが、歯車列の構成において差がある。
【0018】
本発明は、計時器用ムーブメント200と連係するように構成しており入力ピニオンを有する月の相のディスプレー機構10に関する。
【0019】
この入力ピニオンは、
− 第1の変種において、24時間当たり3回転し、図4において符号11で示した。
− 又は第2の変種において、24時間当たり2回転する。
【0020】
本発明によると、入力ピニオンは、直接、又は図11の場合におけるように摩擦手段20を介して、又は別の車セット又は歯車列を介して、少なくとも1つの駆動ピニオンを駆動する。
− 第1の変種において、入力ピニオンは、少なくとも1つの19歯の駆動ピニオン(図4における符号13)を駆動する。
− 第2の変種において、入力ピニオンは、少なくとも1つの29歯の駆動ピニオン(図8における符号130)を駆動する。
【0021】
駆動ピニオン(変種に依存して符号13又は130)は、上側車を駆動する。
− 第1の変種において、駆動ピニオン13は、57歯の上側車(図4における符号14)を駆動する。
− 第2の変種において、駆動ピニオン130は、58歯の上側車(図9における符号140)を駆動する。
【0022】
この上側車は、両方の変種において、1日当たり1回転する。
【0023】
上側車は、ユーザの側に、空及び偏心している太陽141が描かれた空ディスク1400を有し、この空ディスク1400には、実質的に太陽141の反対側に、偏心している開口16が形成されている。この空ディスク1400を介して、下側車15のうちの月の現在の外観を示している部分を見ることができる。
【0024】
19歯の駆動ピニオン13又は29歯の駆動ピニオン130は、必ずしも唯一の駆動ピニオンではない。これは特定の場合についてのものである。
【0025】
特定の実施形態において、図1、2及び8に示すように、空ディスク1400上の空の描写には、太陽141の描写がある日中に対応する第1の明るい又は明るくされた部分142と、月の相を見ることができる開口16が形成された夜間に対応する第2の暗い又はシェーディング付き部分とがある。
【0026】
図5において、空ディスク1400上の空の描写には、開口16において、太陽141の描写における日中に対応する明るい部分から夜間に対応する暗い部分まで、徐々にシェーディング付けされている絵柄144がある(図においてシェーディングを示していない)。
【0027】
月の相のディスプレーを可能にするために、駆動ピニオン(変種に応じて13又は130)は、59歯の下側車15を駆動する。
【0028】
この59歯の下側車15は、両方の変種に共通であり、月ディスク(図3又は7に示す第1の変種においては150、図10に示す第2の変種においては1500)を担持している。当然、月ディスクを下側車上に配置することができ、また、月ディスクと下側車とを単一の部品によって形成することができ、月ディスクは、エナメル処理、塗装、シルク印刷、転写印刷又は他の手段によって構成することができる。
【0029】
月ディスク15又は1500は、少なくとも1つの明るくされた領域152及び少なくとも1つの暗い背景の空領域151を有する2つの色分けされた描写を有する。
− 第1の変種において、月ディスク150には、明るくされた領域152及び背景の空領域151があり、明るくされた領域152には、満月ディスプレーに対応する領域155があり、背景の空領域151には、ブラックムーンとも呼ばれる新月のディスプレーに対応する領域がある。
− 第2の変種において、月ディスク1500には、明るくされた領域152及び直径的に反対側の2つの背景の空領域151がある。
【0030】
第1の変種では、背景の空領域151は、新月と満月の継続期間が近似的に扱われるように構成している。特定の実施形態において、この背景の空領域151の境界は、新月と満月の全体の描写がそれぞれ開口16を通して見えるように、円又はカーディオイド状の境界のコンコイドによって定められる。
【0031】
月を完全に見せるために、空ディスク1400が外側で回転する。そうでないときには、その軸が地平線によって隠されていることがある。
【0032】
寸法が小さい好ましい実施形態に対応する図示した実施形態において、上側車(変種に応じて14又は140)は、下側車15と同軸である。
【0033】
第1の変種は、特定のギヤ比57−19−59を利用する。このことによって、極めて単純でありエネルギーをほとんど用いないような月の相を達成することができる。なぜなら、機構にはジャンパーばねがなく、連続運動をするように時間車と直接噛み合っているからである。
【0034】
入力ピニオン11は、計時器用ムーブメントの時間車12と噛み合い、24時間当たり3回転する。
Z=Zh/3
【0035】
入力ピニオン11は、19歯の駆動ピニオン13を担持している。これは、2つの同軸の57歯の車と59歯の車、すなわち、57歯の上側車14と59歯の下側車15、を駆動する。
【0036】
特定の変種(これに限定されない)において、入力ピニオン11と駆動ピニオン13は一体化されている。
【0037】
別の変種においては、入力ピニオン11は駆動ピニオン13のみを担持している。入力ピニオン11は、この駆動ピニオン13を、例えば、別個の車セットによって、間接的に駆動する。
【0038】
上側車14は、57歯を有し、したがって、24時間当たり3×19/57=1回転する。
【0039】
下側車15は、59歯を有し、24時間当たり3×19/59=0.966101695回転する。
Δ=1/(1−0.966101695)=29.5
であり、このことは、下側車15が上側車14に対して、29.5日、すなわち、太陰月の平均継続期間、当たり反対方向に1回転することを意味している。
【0040】
機構10は、プレート30又は棒体31によって形成される固定部分を有し、これには、空ディスク1400上に重なっており地平線を象徴する小さな棒体19が固定され、図1及び2に示すように、この棒体19の両側にて、上側車14又は140が回転しているときに太陽141の描写が動くことができる。月と太陽が描かれた空ディスク1400は、日中と夜間のレートで回転する。
【0041】
図2の特定の実施形態において、下側車15は、例えば、針のパイプを介して、空ディスク1400に設けられた目盛18に月齢をディスプレーするディスプレーメンバー又は針17に取り付けられている。
【0042】
この第1の変種を達成するために、歯車列の様々な選択肢がある。
【0043】
第1の選択肢では、19歯の駆動ピニオン13は、唯一の駆動ピニオンであり、57歯の上側車14と59歯の下側車15と同時に噛み合う。
【0044】
図面に示した好ましい実施形態において、上側車14と下側車15は同軸である。これらの上側車14と下側車15の間には直接的な駆動手段がなく、互いに対して自由に回転することができる。したがって、与えられる駆動手段に応じて、同じ向きに回転したり、反対方向に回転したりする。
【0045】
したがって、単一の19歯の駆動ピニオン13のために最良の可能な妥協点を判断することが重要となる。この駆動ピニオン13は、各場合において接触を最適化して摩耗を抑えるためにピッチ円の可能な限り近くにて、57歯の上側車14及び59歯の下側車15と同時に噛み合う。当然、このとき、このアセンブリーにおいて、部品の数を少なくして厚みを非常に薄くすることを可能にする妥協点において、一方の車との噛み合いがピッチ円の少し上で発生し、他方の車との噛み合いがピッチ円の少し下で発生する。このことは、両方の車が常に同じ向きに回転するために可能となっている。
【0046】
直径9.0mmの月に適しているモジュールm=0.17(Blancpain 67 calibre)では、この第1の選択肢において、中心間の理論的な距離を計算することによって、以下の値を得る。
C59=0.17×(59+19)/2=6.63
C57=0.17×(57+19)/2=6.46
平均値Cmが6.545であれば、非常に小さい距離で、駆動ピニオン13のピッチ円の両側にて噛み合いが均等に分布する。
Δ57=−0.085
Δ59=+0.085
Dpm=0.17×58=9.86(57歯の上側車14と59歯の下側車15のカットに対応)
【0047】
第2の選択肢において、駆動ピニオンは、二重にされ、
m57=0.1722、かつ、m59=0.1678
であり、このとき、上側車14と下側車15の噛み合いが、駆動ピニオンに関連づけられたピッチ円にて発生する。この駆動ピニオンは、一体化されていれば、低いコストで作ることができるが、切断工具それぞれを確実に引っ込めることができるように、わずかに大きな厚み寸法を必要とすることがある。この課題は、それぞれが適切なモジュールを有し、ウェッジ式キーイング、接合などによって一体化して回転させられるような、2つの重なり合うピニオンを使用することで解消する。
【0048】
別の選択肢において、上側車14と下側車15は、厳密には同軸ではなく、一方が他方に対して半径方向の遊びを有する。この遊びの修正には、ジャンパーばねなどによる駆動ピニオンの方への弾性の戻しを必要とする。これには、第1の選択肢又は第2の選択肢にて回避することができている分のエネルギー消費を発生させる。
【0049】
短く書くと、月の相のディスプレー機構10のこの第1の変種では、入力ピニオン11は、24時間当たり3回転するように構成しており、駆動ピニオン13には19歯があり、上側車14には57歯があり、そして、月ディスク150上で、この2つの色分けされた描写には、明るくされた領域152及び背景の空領域151があり、これらの境界は、円又はカーディオイドの境界153のコンコイドによって定められている。これによって、新月と満月の完全な表現を開口16を通して見ることができる。
【0050】
第2の変種は、異なるギア比58−29−59を用いる。
【0051】
入力ピニオン110は、計時器用ムーブメントの時間車12と噛み合い、24時間当たり2回転する。この入力ピニオン110は、29歯の駆動ピニオン130を担持しており、この駆動ピニオン130は、図9に示すように58歯の上側車140を駆動し、そして、59歯の下側車15を駆動する。
【0052】
したがって、上側車140は、58歯を有し、したがって、24時間当たり
(2×29)/58=1
回転する。
【0053】
下側車15は、59歯を有し、その月ディスク1500は、2つの背景の空領域151を有する。下側車15は、2つの背景の空領域を有するので、24時間当たり
2×(1/2)×(29/59)=0.491525424
回転する。反対方向では、
Δ=1/(1−0.491525424)=59
である。
【0054】
29歯の駆動ピニオン130によって12時間当たり1回転するので、この駆動ピニオン130をムーブメントの時間車上に直接配置することを想到することができる。しかし、逆転器を取り付けて、日中/夜間のディスプレーのために回転方向が適切であることを確実にする必要があり、また、時間車と月駆動デバイスの間に分離手段が必要である。
【0055】
短く書くと、月の相のディスプレー機構10のこの第2の変種では、入力ピニオン11は、24時間当たり2回転するように構成しており、駆動ピニオン130は、29歯を有し、この月ディスク1500の2つの色分けされた描写には、明るくされた領域152と2つの背景の空領域151を有し、上側車14は、58歯を有する。
【0056】
図13〜16は、第2の変種の別の実施形態を示しており、歯数はすべて2倍になっている。このことによって、ギヤ比は変わらず、遊びを小さくすることができる。
【0057】
図11は、月の相のコレクターを作る単純な手段を示している。この修正は、入力ピニオン11と月期を制御する駆動ピニオン13との間に摩擦手段20を接続車セットに挿入することによって行うことができる。この入力ピニオン11は、時間車12に接続されており、この時間車12に保持リング21が押し付けられる。時計300の巻きステム301の位置T2から、中間列302によって又はコレクターのレバーによって、月を修正することを想到することができる。このコレクターのレバーは、具体的には、第1のモードにおいて、駆動ピニオン13上で、駆動ピニオン13が摩擦手段20を介して入力ピニオン11によって駆動され、このことによって、中間列を介して制御ステムから、又は駆動ピニオン13に作用するコレクターのレバーから、修正することが可能になる。この第1のモードにおいて、空ディスク及び月ディスクがともに修正されることは明らかである。図14は、空ディスクに対する月ディスクの修正に関連している別の修正モードを示している。中間列302の最後の車303は、車304を駆動し、この車304は、リング305と弾性ワッシャー306を有する摩擦手段を介して、月ディスク1500と連係する。
【0058】
本発明は、さらに、このような月の相のディスプレー機構10を有する計時器用ディスプレー機構に関する。
【0059】
本発明は、さらに、このような月の相のディスプレー機構10を有し、時間車12を有する計時器用ムーブメント200に関する。この時間車12は、入力ピニオン11を駆動し駆動ピニオン13又は130を駆動し、あるいは入力ピニオン11を形成して両方が駆動ピニオンを担持し駆動するように構成している。この場合において、駆動ピニオン13は、当業者に知られた方法で逆転器を通して間接的に上側車14を駆動し、駆動ピニオン13は、分離手段を通して間接的に下側車15を駆動する。
【0060】
特に、このムーブメント200は、巻き及び修正用ステム301を有しており、ステム301は、中間列302を介して月の相の修正を制御するように構成している。
【0061】
本発明は、さらに、この種のムーブメント200を有する腕時計300に関する。
【符号の説明】
【0062】
1、500、501 月ディスク
10 月の相のディスプレー機構
11 入力ピニオン
13、130 駆動ピニオン
14、140 上側車
15 下側車
16 開口
17 針
18 目盛
19 棒体
20 摩擦手段
30 プレート
31 棒体
100 計時器用ディスプレー機構
141 太陽
150 月ディスク
151 背景の空領域
152 明るくされた領域
153 境界
200 計時器用ムーブメント
300 腕時計
301 ステム
302 中間列
1400 空ディスク
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