(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、このようなセンサーをシートに配置する場合、例えば特許文献1に記載されているように、シートのシートクッションの、クッションパッドと表皮との間に配置される場合があった。
しかしながら、このようにセンサーをクッションパッドと表皮との間、すなわち表皮のすぐ下側に配置すると、シートに着座した乗員の臀部や大腿部にシートの表皮を介して何かが当たっているのが感じ取られてしまい着座フィーリングが悪くなる場合があり得る。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、シートにセンサーを配置する際に、乗員の着座フィーリングの向上を図ることが可能なシートへのセンサーの配置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、クッションパッドと、前記クッションパッドの下側に設けられた板状部材と、を備えるシートへのセンサーの配置構造であって、
前記板状部材の上面に凹部が設けられており、前記凹部内に前記センサーが配置されて
おり、
前記センサーは、取付ブラケットに固定された状態で前記凹部内に配置され、
前記取付ブラケットは、前記凹部に設けられた係合部と係合した状態で前記凹部に取り付けられることを特徴とする。
【0011】
請求項
2に記載の発明は
、クッションパッドと、前記クッションパッドの下側に設けられた板状部材と、を備えるシートへのセンサーの配置構造であって、
前記板状部材の上面に凹部が設けられており、前記凹部内に前記センサーが配置されており、
前記センサーは、取付ブラケットに固定された状態で前記凹部内に配置され、
前記板状部材には開口部が設けられており、
前記取付ブラケットは、前記開口部に折れ曲がる屈曲部を有しており、さらに、前記屈曲部の端部から突出し前記板状部材の下面側に係合するブラケット側係合部を有していることを特徴とする。
【0012】
請求項
3に記載の発明は、
クッションパッドと、前記クッションパッドの下側に設けられた板状部材と、を備えるシートへのセンサーの配置構造であって、
前記板状部材の上面に凹部が設けられており、前記凹部内に前記センサーが配置されており、
前記センサーは、取付ブラケットに固定された状態で前記凹部内に配置され、
前記取付ブラケットは、前記ブラケット側係合部の前記板状部材の下面側への係合と、前記凹部の上面に突設された爪部との係合とにより前記凹部内に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項
4に記載の発明は、
クッションパッドと、前記クッションパッドの下側に設けられた板状部材と、を備えるシートへのセンサーの配置構造であって、
前記板状部材の上面に凹部が設けられており、前記凹部内に前記センサーが配置されており、
前記センサーは、取付ブラケットに固定された状態で前記凹部内に配置され、
前記凹部の上面には、前記取付ブラケットの両端部をそれぞれ支持するリブが設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項
5に記載の発明は、
クッションパッドと、前記クッションパッドの下側に設けられた板状部材と、を備えるシートへのセンサーの配置構造であって、
前記板状部材の上面に凹部が設けられており、前記凹部内に前記センサーが配置されており、
前記センサーは、取付ブラケットに固定された状態で前記凹部内に配置され、
前記取付ブラケットは、前記センサーと外部装置とを電気的に接続するハーネスのガイド部を有しており、前記ガイド部は下方に傾斜していることを特徴とする。
【0015】
請求項
6に記載の発明は、
クッションパッドと、前記クッションパッドの下側に設けられた板状部材と、を備えるシートへのセンサーの配置構造であって、
前記板状部材の上面に凹部が設けられており、前記凹部内に前記センサーが配置されており、
前記センサーは、取付ブラケットに固定された状態で前記凹部内に配置され、
前記取付ブラケットは、外周部分に切り欠きを有していることを特徴とする。
【0016】
請求項
7に記載の発明は、請求項
6に記載のシートへのセンサーの配置構造において、
前記切り欠きは、前記板状部材にインサートされたワイヤーの盛り上がり部分に対応する位置に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項
8に記載の発明は、
クッションパッドと、前記クッションパッドの下側に設けられた板状部材と、を備えるシートへのセンサーの配置構造であって、
前記板状部材の上面に凹部が設けられており、前記凹部内に前記センサーが配置されており、
前記板状部材には、前記凹部に連続して開口部が設けられており、前記センサーと外部装置とを電気的に接続するハーネスが当該開口部に挿通されていることを特徴とする。
【0018】
請求項
9に記載の発明は、請求項
8に記載のシートへのセンサーの配置構造において、
前記開口部は、前記クッションパッドに形成された通気路に空気を供給するためのダクトを通すことが可能な開口部であることを特徴とする。
【0019】
請求項
10に記載の発明は、請求項
9に記載のシートへのセンサーの配置構造において、
前記開口部は、前記板状部材に複数設けられており、前記ダクトが挿通されていない前記開口部に前記ハーネスが挿通されていることを特徴とする。
【0020】
請求項
11に記載の発明は、請求項1から請求項
10のいずれか一項に記載のシートへのセンサーの配置構造において、
前記センサーが配置される前記凹部は、前記クッションパッドに形成された中空部の直下の位置以外の位置に設けられていることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のシートへのセンサーの配置構造において、前記凹部の上面には、前記係合部として爪状に形成された爪部が突設されていることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のシートへのセンサーの配置構造において、前記凹部の上面には、前記爪部に隣接して第2の係合部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、クッションパッドと、クッションパッドの下側に設けられた板状部材と、を備えるシートへのセンサーの配置構造において、板状部材の上面に凹部が設けられており、凹部内にセンサーが配置されているので、前述した、センサーがクッションパッドと表皮との間に配置されている従来の場合とは異なり、乗員の臀部や大腿部とセンサーとの間にクッションパッドが介在する状態になるため、シートに着座した乗員の臀部や大腿部にセンサーが当たっていることは感じ取られにくくなり、従来の場合に比べて乗員の着座フィーリングが向上する。
また、単に板状部材の上面にセンサーを配置すると、センサーの分だけクッションパッドが盛り上がり、乗員に違和感を与えてしまい、着座フィーリングが悪くなる可能性があるが、請求項1に記載の発明では、センサーが板状部材の上面に設けられた凹部内に配置されているため、上記のような違和感を与えることなく着座フィーリングを向上させることが可能となる。
【0022】
また、センサーは、取付ブラケットに固定された状態で凹部内に配置されるので、センサーを取付ブラケットに固定してから取付ブラケットを凹部に取り付ければよいため、センサーの凹部への配置を行いやすくなる。また、乗員がシートに着座してクッションパッドを介して乗員の荷重がセンサーにかかる際、荷重の一部を取付ブラケットが吸収するため、センサーを凹部に直接取り付ける場合に比べて、センサーに及ぶ乗員の荷重の影響が少なくなる。
【0023】
さらに、取付ブラケットは、凹部に設けられた係合部と係合した状態で凹部に取り付けられるので、取付ブラケットを凹部に取り付けやすくなるとともに、係合部により取付ブラケットの位置決めがしやすくなり、取付ブラケットが前後方向や左右方向等に位置ずれしにくくなる。
【0026】
請求項
2に記載の発明によれば、板状部材には開口部が設けられており、取付ブラケットは、開口部に折れ曲がる屈曲部を有しており、さらに、屈曲部の端部から突出し板状部材の下面側に係合するブラケット側係合部を有しているので、屈曲部により主に取付ブラケットの左右方向の位置決めが的確に行われやすくなり、取付ブラケットが左右方向に位置ずれしにくくなるとともに、取付ブラケット自体の剛性を向上させることができる。また、取付ブラケットにブラケット側係合部が設けられているので、ブラケット側係合部により主に取付ブラケットの上下方向の位置決めが的確に行われやすくなり、取付ブラケットが上下方向に位置ずれしにくくなる。
【0027】
請求項
3に記載の発明によれば、取付ブラケットは、ブラケット側係合部の板状部材の下面側への係合と、凹部の上面に突設された爪部との係合とにより凹部内に取り付けられているので、取付ブラケットの位置決めがより的確に行われやすくなるとともに、取付ブラケットが前後方向や上下方向等に位置ずれしにくくなる。
【0028】
請求項
4に記載の発明によれば、凹部の上面には、取付ブラケットの両端部をそれぞれ支持するリブが設けられているので、リブ以外の部分では取付ブラケットの本体部が凹部から僅かに浮いた状態になるため、乗員の荷重がセンサーにかかった際に取付ブラケットがその荷重の一部を吸収しやすくなる。また、リブを設けることで凹部自体の剛性を向上させることができるため、凹部が破壊されにくくなる。
【0029】
請求項
5に記載の発明によれば、取付ブラケットは、センサーと外部装置とを電気的に接続するハーネスのガイド部を有しており、ガイド部は下方に傾斜しているので、ハーネスがガイド部に案内されて緩やかに下方に傾斜する状態でガイド部に下方から支持される状態になるため、シートが振動してもガイド部に支持されたハーネスはセンサーに対して相対的に振動しにくくなり、ハーネスが損傷したり断線したりしにくくなる。
【0030】
請求項
6に記載の発明によれば、取付ブラケットは、外周部分に切り欠きを有しているため、センサーや取付ブラケットに荷重がかかる状態になり、取付ブラケットに変形を生じさせるような力が加わった場合でも、切り欠きが取付ブラケットの変形を吸収するため、取付ブラケットに力が加わらなくなった際には取付ブラケットに生じた変形が元に戻りやすくなり、取付ブラケットに変形が残りにくくなる。
【0031】
請求項
7に記載の発明によれば、切り欠きは、板状部材にインサートされたワイヤーの盛り上がり部分に対応する位置に形成されているので、取付ブラケットとワイヤーの盛り上がり部分とが干渉することを抑制することが可能となり、取付ブラケットや板状部材等に損傷等が生じることを抑制することができる。
【0032】
請求項
8に記載の発明によれば、板状部材には、凹部に連続して開口部が設けられており、センサーと外部装置とを電気的に接続するハーネスが当該開口部に挿通されているので、凹部と開口部との間に距離がある場合に比べてハーネスの取り回しが容易になる。また、凹部と開口部との間に距離があると、ハーネスが板状部材とクッションパッドとの間に挟まれる状態になり、ハーネスと板状部材やクッションパッドとが擦れ合ってハーネスが損傷したり断線したりする可能性があるが、凹部と開口部とが連続していればこのような擦れ合いが生じにくくなり、ハーネスの損傷や断線等が生じにくくなる。
【0033】
請求項
9に記載の発明によれば、開口部は、クッションパッドに形成された通気路に空気を供給するためのダクトを通すことが可能な開口部であるので、板状部材に新たに開口部を設けなくても、既に形成されているダクト用の開口部を利用することができ、その開口部にハーネスを挿通することができる。
【0034】
請求項
10に記載の発明によれば、開口部は、板状部材に複数設けられており、ダクトが挿通されていない開口部にハーネスが挿通されているので、ハーネスとダクトとが干渉しあわず、ハーネスとダクトとが擦れ合うことがないため、ハーネスの損傷や断線等が生じにくくなる。
【0035】
請求項
11に記載の発明によれば、センサーが配置される凹部は、クッションパッドに形成された中空部の直下の位置以外の位置に設けられているので、シートに乗員が着座した際にクッションパッドにかかる荷重が、クッションパッドに形成された中空部で吸収されずにストレートにセンサーにかかるようになるため、センサーに加わる圧力が的確に増大して、センサーで乗員がシートに着座したことを検知しやすくなる。
請求項12に記載の発明によれば、凹部の上面には、係合部として爪状に形成された爪部が突設されているので、主に取付ブラケットの前後方向の位置決めが的確に行われやすくなるとともに、凹部への取付ブラケットの取り付けの際に爪部が取付ブラケットの係合孔から上方に突き出していることを確認することで、取付ブラケットと爪部とが適切に係合していることや、取付ブラケットが凹部の適切な位置に配置されていることを確認しやすくなる。
請求項13に記載の発明によれば、凹部の上面には、爪部に隣接して第2の係合部が設けられているので、凹部への取付ブラケットの取り付けの際、爪部と第2の係合部とで取付ブラケットの係合孔の周縁部分を挟む状態になり、取付ブラケットの前後方向の位置決めがより的確に行われやすくなるとともに、取付ブラケットが前後方向に位置ずれしにくくなる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0038】
図1に示すシート10は、自動車等の車両に設けられるものであり、運転者等の乗員が着座するものである。
図1に示すように、シート10は、乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション11と、下端部がシートクッション11に支持されて背もたれとなるシートバック14と、シートバック14に設けられて乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、を備える。なお、この他、ネックレストやアームレスト、フットレスト、オットマン等の補助支持部を備えていてもよい。
【0039】
図2に示すように、シートクッション11は、骨格となるシートクッションフレーム17(後述する
図3参照)と、シートクッションフレーム17上に設けられたクッションパッド12と、シートクッションフレーム17及びクッションパッド12を被覆してシートの表面を構成する表皮13(
図2では図示省略。
図1参照)と、から主に構成されている。
【0040】
本実施形態では、シートクッション11には、クッションパッド12と表皮13との間に空気(温風や冷風)の通気路30が設けられているが、通気路30等は必ずしも設けられていなくてもよい。
具体的には、
図2に示すように、クッションパッド12に通気路30の一部をなす通気路用凹部30Aが設けられている。また、カバー部材12Aの、当該通気路用凹部30Aに対応する位置に、通気路30の残りの部分をなす凹部(図示省略)が設けられており、カバー部材12Aのクッションパッド12の所定の部分に嵌め込むことで通気路30が形成されるようになっている。
【0041】
また、カバー部材12Aには複数のパンチング孔が形成されており、これらのパンチング孔が通気路30の送風口30Cとされている。そして、カバー部材12Aを含むクッションパッド12が、少なくとも送風口30Cに対応する部分は通気性とされている表皮13で被覆されるようになっている。
そして、ブロワー(図示省略)から送り込まれた空気が貫通孔30Bを通って通気路30内に送られ、通気路30内を流通した空気が通気路30の送風口30Cから乗員に向けて吹き出されるようになっている。
【0042】
本実施形態のシートクッション11は、クッションパッド12の下側にシートクッションフレーム17が設けられている。
図3に示すように、シートクッションフレーム17は、左右一対のサイドフレーム17Aと、各サイドフレーム17Aの前端部や後端部をそれぞれ連結する連結部材17B(前端部側の連結部材17Bはパンフレーム18の下側に配置されている。)と、各サイドフレーム17A及び各連結部材17Bの間に架設されているパンフレーム18と、から主に構成されている。
なお、本実施形態では、パンフレーム18がクッションパッド12の下側に設けられた板状部材として機能する場合について説明するが、板状部材がパンフレーム18以外の形態として構成される場合については、後述する変形例で説明する。
【0043】
パンフレーム18(板状部材)の上面には凹部20が設けられており、その凹部20内にセンサー1が配置されている。センサー1は、例えば、乗員がシート10に着座しているか否かを検知可能なポジションセンサーとすることができる。
センサー1を凹部20に直接取り付けることも可能であるが、本実施形態では、センサー1は取付ブラケット2に固定され、センサー1が固定された取付ブラケット2が凹部20内に配置されるようになっている。
【0044】
センサー1をパンフレーム18の凹部20に直接取り付ける場合、凹部20に配置したセンサー1をネジ止めする等の作業が必要になるが必ずしも取り付けが容易でない。しかし、上記のように、センサー1を取付ブラケット2に固定し、それを凹部20に取り付けるように構成すれば、センサー1の取付ブラケット2への固定は容易に行うことができ、取付ブラケット2の凹部20への取り付けも容易であるため、センサー1の凹部20への配置を行いやすくなる。
【0045】
また、シート10を組み立てた状態では、センサー1の上側にクッションパッド12が配置される。そして、乗員がシート10に着座するとクッションパッド12を介して乗員の荷重がセンサー1にかかる。その際、センサー1がパンフレーム18の凹部20に直接取り付けられていると、その全荷重がセンサー1にかかる状態になりセンサー1に悪影響が生じる可能性があるが、上記のようにセンサー1が取付ブラケット2を介して凹部20に取り付けられていれば、乗員の荷重がセンサー1にかかった際にその一部を取付ブラケット2が吸収するため、センサー1を凹部20に直接取り付ける場合に比べて、センサー1に及ぶ乗員の荷重の影響が少なくなる。
【0046】
以下、凹部20や取付ブラケット2の構成等について詳しく説明する。
図4は、センサー1と取付ブラケット2とを示す斜視図であり、
図5は、パンフレーム18(板状部材)に形成された凹部20等を示す拡大図である。
取付ブラケット2の平板状の本体部2aには、センサー1の係止部1aが係止される係止孔2bが設けられており、センサー1のネジ部1b(
図4では図示省略。後述する
図7参照)がそれぞれ挿入される孔2cが設けられている。そして、センサー1の係止部1aを取付ブラケット2の係止孔2bに差し込んで係止するとともに、その状態で取付ブラケット2の孔2cに挿入されているネジ部1bを取付ブラケット2の裏側(すなわち下側)からネジ止めすることで、センサー1を取付ブラケット2に容易に取り付けることができる。
【0047】
センサー1には、当該センサー1と外部装置(図示省略。電源装置やセンサー1からの信号の処理装置等)とを電気的に接続するハーネス1Aが接続されており、取付ブラケット2は、ハーネス1Aのガイド部2dを有している。ガイド部2dは取付ブラケット2の本体部2aに対して下方に緩やかに傾斜しているため、ハーネス1Aは、ガイド部2dに案内されて緩やかに下方に傾斜する状態になる。
取付ブラケット2にガイド部2dが形成されていないと、ハーネス1Aがセンサー1と接続されている部分で自重により下方に垂れ下がる状態になるが、その状態では車両が振動してシート10が振動するとハーネス1Aがセンサー1に対して相対的に大きく振動する状態になるため、ハーネス1Aが損傷したり断線したりしやすくなる。それに対し、上記のように取付ブラケット2のガイド部2dでハーネス1Aを下方に緩やかに傾斜した状態で支持することで、シート10が振動してもガイド部2dに支持されたハーネス1Aはセンサー1に対して相対的に振動しにくくなるため、ハーネス1Aが損傷したり断線したりしにくくなる。
【0048】
また、取付ブラケット2の本体部2aには、外周部分に切り欠き2eが形成されている。
このように取付ブラケット2の外周部分に切り欠き2eを設けることで、上記のようにセンサー1や取付ブラケット2に荷重がかかる状態になり、取付ブラケット2の本体部2aに変形を生じさせるような力が加わった場合でも、切り欠き2eが取付ブラケット2の本体部2aの変形を吸収する。そのため、取付ブラケット2に力が加わらなくなった際には取付ブラケット2の本体部2aに生じた変形が元に戻りやすくなり、取付ブラケット2に変形が残りにくくなる。
【0049】
一方、パンフレーム18の凹部20には、取付ブラケット2と係合して取付ブラケット2を当該凹部20に取り付けるための係合部が設けられている。
具体的には、
図5に示すように、凹部20の上面には、係合部として、爪状に形成された爪部20aが突設されている。また、取付ブラケット2の本体部2aには、この爪部20aと係合する係合孔2fが設けられており、センサー1が取り付けられた取付ブラケット2を凹部20に取り付けられる際、
図6に示すように、凹部20の爪部20aと取付ブラケット2の係合孔2fとが係合するようになっている。なお、
図6では、爪部20aと係合孔2fとの係合が分かるようにするためにセンサー1やハーネス1Aの図示が省略されている。
【0050】
このように、本実施形態では、後述する第2の係合部20b等においても同様であるが、取付ブラケット2(係合孔2f)を凹部20に設けられた係合部(爪部20a)と係合させれば取付ブラケット2を凹部20に取り付けることができるため、取付ブラケット2を凹部20に取り付けやすくなる。
また、凹部20の爪部20aと取付ブラケット2の係合孔2fとが係合した状態で取付ブラケット2が凹部20に取り付けられることで、爪部20aにより主に取付ブラケット2の前後方向の位置決めが的確に行われやすくなる。また、爪部20aは取付ブラケット2の左右方向の位置決めにも寄与し得る。また、凹部20への取付ブラケット2の取り付けの際に、爪部20aが取付ブラケット2の係合孔2fから上方に突き出していることを確認することで、取付ブラケット2の係合孔2fと爪部20aとが適切に係合していることや、取付ブラケット2が凹部20の適切な位置に配置されていることを確認しやすくなる。
【0051】
なお、
図3から
図5では、ハーネス1Aがセンサー1の左側に延出する状態でセンサー1を凹部20に配置する場合が示されているが、ハーネス1Aがセンサー1の右側に延出する状態でセンサー1を凹部20に配置する場合もあり得る。そして、本実施形態では、
図5に示したように爪部20aは凹部20の後方側にしか設けられていないが、このようにハーネス1Aの向きすなわちガイド部2dの向きが左向きにも右向きにもなる場合があり得るため、取付ブラケット2の係合孔2fは、
図4に示す状態で後方側だけでなく前側にも設けられている。
【0052】
また、
図5に示すように、凹部20の上面には、爪部20aに隣接して第2の係合部20bが設けられている。そして、取付ブラケット2を凹部20に取り付けると、
図6に示すように、爪部20aと第2の係合部20bによって取付ブラケット2の係合孔2fの周縁部分αが挟まれる状態になる。
このように、センサー1が取り付けられた取付ブラケット2をパンフレーム18の凹部20に取り付けた際に、凹部20の爪部20aと第2係合部20bとで取付ブラケット2の係合孔2fの周縁部分αを挟むようにすることで、取付ブラケット2の前後方向の位置決めがより的確に行われやすくなる。そして、取付ブラケット2が前後方向に位置ずれしにくくなる。
【0053】
また、本実施形態では、
図5に示すように、凹部20の左右の端部が凹部20の上面より僅かに高くなるように形成されており、それらの部分が、取付ブラケット2(
図6参照)の本体部2aの両端部(本実施形態では左右の部分)をそれぞれ下側から支持するリブ20cとされている。
このようにリブ20cを設けると、リブ20c以外の部分では取付ブラケット2の本体部2aが凹部20から僅かに浮いた状態になるため、前述したように、乗員の荷重がセンサー1にかかった際に取付ブラケット2がその荷重の一部を吸収しやすくなる。また、リブ20cを設けない場合に比べてリブ20cを設けることで凹部20自体の剛性を向上させることができるため、シート1に乗員が着座した際に乗員の荷重がかかってパンフレーム18がしなるように変形する際などに凹部20が破壊されにくくなる。
【0054】
なお、例えば、凹部20の下面側にもリブを形成する等して凹部20の剛性を向上させるように構成することも可能である。
また、凹部20には、逃げ部20dが開口として形成されており、取付ブラケット2を凹部20に取り付けた際に、
図7に示すように、取付ブラケット2の下面から下向きに突出するセンサー1の係止部1aやネジ部1b等が逃げ部20d内に位置するように各逃げ部20dが形成されている。本実施形態では、このように構成することで、取付ブラケット2を凹部20に取り付けた際に、取付ブラケット2の下面から下向きに突出するセンサー1の係止部1aやネジ部1b等が凹部20と干渉することを避けるようになっている。
【0055】
本実施形態では、取付ブラケット2側にも、パンフレーム18の凹部20と係合するための構造が設けられている。具体的には、
図4に示すように、取付ブラケット2は、本体部2aの左右の端部にそれぞれ下方に折れ曲がった屈曲部2gを有している。なお、
図4に示した状態では、取付ブラケット2の左側の屈曲部2gは、それらの間にガイド部2dが設けられているため前後に2つに分かれているが、右側の屈曲部2gは1枚の平板状に形成されている(
図7や後述する
図9参照)。
そして、取付ブラケット2が凹部20に取り付けられる際、これらの屈曲部2gが凹部20のリブ20c(
図5参照)を左右から挟む状態になる。このように、屈曲部2gにより主に取付ブラケット2の左右方向の位置決めが的確に行われやすくなり、取付ブラケット2が左右方向に位置ずれしにくくなる。また、取付ブラケット2に屈曲部2gを設けて屈曲させることで、取付ブラケット2自体の剛性を向上させることができる。
【0056】
さらに、取付ブラケット2の屈曲部2gには、屈曲部2gの前端部から前方に、及び後端部から後方にそれぞれ突出するようにブラケット側係合部2hが設けられている。
そして、
図9に示すように、取付ブラケット2をパンフレーム18の凹部20に取り付けると、取付ブラケット2のブラケット側係合部2hがパンフレーム18の下面側(
図9中のβ参照。図中のRはパンフレーム18の下面に設けられたリブを示す。)に係合するようになっている。そして、このように構成することで、ブラケット側係合部2hにより主に取付ブラケット2の上下方向の位置決めが的確に行われやすくなり、取付ブラケット2が上下方向に位置ずれしにくくなる。
【0057】
本実施形態では、以上のようにして、センサー1を取り付けた取付ブラケット2をパンフレーム18の凹部20に取り付けることで、
図8に示すように、センサー1が取付ブラケット2を介してパンフレーム18の凹部20に的確かつ確実に取り付けることができる。
【0058】
ところで、
図3や
図5に示したように、パンフレーム18に開口部18Aが設けられている場合には、その開口部18Aにハーネス1Aを挿通することでハーネス1Aをシート10の下側に導くことができる。
なお、ハーネス1Aを挿通するための開口部18Aをパンフレーム18に新たに形成することも可能である。また、以下では、
図3や
図5等に基づいて説明するが、
図3等に示すように本発明は開口部18Aが2つ設けられている場合に限定されず、開口部18Aは1つでもよく、3個以上設けられていてもよい。
また、開口部18Aは、
図3等に示すように凹部20の左右に設けられている必要はなく、凹部20の前後等に設けられていてもよい。さらに、開口部18Aは、切り欠き(すなわちパンフレーム18の端部から内側に切り欠いた形状)等であってもよく、
図3等に示すような孔である場合に限定されない。また、開口部18Aは、以下で説明するダクト19用の開口部である必要はない。
【0059】
本実施形態のシート10では、
図2に示したように、シートクッション11のクッションパッド12と表皮13との間に通気路30が設けられており、パンフレーム18の下側に設けられたブロワー(図示省略)から送り込まれた空気が貫通孔30Bを通って通気路30内に送られ、通気路30内を流通した空気が通気路30の送風口30Cから乗員に向けて吹き出すようになっている。そして、ブロワーから貫通孔30Bに供給するためのダクト19(
図1参照)を通すことが可能な貫通孔として開口部18Aが設けられている。
そのため、この開口部18Aをセンサー1のハーネス1Aを挿通する開口部として利用することで、パンフレーム18に新たに開口部18Aを設けなくても、既に形成されているダクト用の開口部18Aを利用することができ、その開口部18Aにハーネス1Aを挿通することができる。
【0060】
また、ブロワーはパンフレーム18の下側に設けられるが、通常、シート10の左右のいずれか一方に設けられるため、ダクト19がパンフレーム18を貫通する位置も、ブロワーの位置にあわせて中央より左寄りになったり右寄りになったりする。そこで、本実施形態のシート10では、そのいずれの場合にも対応できるように、
図3や
図5に示すように、ダクト19を通すことが可能な開口部18Aがパンフレーム18の中央の左と右に1つずつ、計2か所に設けられている。
そして、本実施形態では、2つの開口部18Aの間の部分が凹部とされており、この部分に前述したパンフレーム18の凹部20が形成されている。
【0061】
本実施形態では、このようにパンフレーム18の凹部20に連続して開口部18Aが設けられている。すなわち、互いに近接して設けられた複数の開口部18Aの間の部分(複数の開口部18Aの間の、パンフレーム18の前後の各部分を架橋する部分)に、センサー1や取付ブラケット2を配置する上記の凹部20が設けられている。
一般に、複数の開口部18Aが近接して設けられていると、それらの間の部分は剛性が弱くなり変形しやすくなるが、前述したように、本実施形態では、その部分に形成された凹部20にリブ20cを設ける等して凹部20自体の剛性が向上されているため、そのような変形が生じにくくなっている。
【0062】
また、パンフレーム18の凹部20に取付ブラケット2を介して取り付けられたセンサー1のハーネス1Aが、凹部20に連続して設けられている開口部18Aに挿通されているため、凹部20と開口部18Aとの間に距離がある場合に比べてハーネス1Aの取り回しが容易になる。また、凹部20と開口部18Aとの間に距離があると、ハーネス1Aがパンフレーム18とクッションパッド12(
図2や後述する
図10参照)との間に挟まれる状態になり、ハーネス1Aとパンフレーム18やクッションパッド12とが擦れ合ってハーネス1Aが損傷したり断線したりする可能性があるが、本実施形態のように凹部20と開口部18Aとが連続していると、上記のような擦れ合いが生じにくくなり、ハーネス1Aの損傷や断線等が生じにくくなる。
【0063】
また、
図3に示すように、ダクト19は複数の開口部18Aのうちのいずれか1つの開口部18Aに挿通された状態になる。そこで、ダクト19が挿通されていない開口部18Aにハーネス1Aを挿通するように構成すれば、ハーネス1Aとダクト19とが干渉しあわず、ハーネス1Aとダクト19とが擦れ合うことがないため、ハーネス1Aの損傷や断線等が生じにくくなる。
なお、ハーネス1Aを、ダクト19が挿通されている開口部18Aに挿通するように構成してもよい。
【0064】
本実施形態では、
図10に示すように、ダクト19は、パンフレーム18の開口部18Aに通されて、クッションパッド12に形成された貫通孔30Bに下側から挿入されているが、ダクト19を貫通孔30Bに挿入してもそれによってクッションパッド12が持ち上げられることはないため、センサー1の上面がクッションパッド12の下面に当接した状態が保たれる。
また、シート10に乗員が着座すると、クッションパッド12に上方から荷重がかかり、クッションパッド12が圧縮されて、クッションパッド12からセンサー1に加わる圧力が増大する。そのため、センサー1は、乗員がシート10に着座した場合にはそれを確実に検知することができる。
【0065】
なお、
図10では、パンフレーム18の上面とセンサー1の上面とを面一とし、その上に底部が平らなクッションパッド12を載せるように構成した場合を示したが、例えば、センサー1の上面がパンフレーム18の上面より上方に位置するように配置し、クッションパッド12のセンサー1に対応する位置に凹みを設けるように構成することも可能である。
【0066】
また、
図11に示すように、パンフレーム18の凹部20が、クッションパッド12に形成された通気路30等の中空部の直下の位置に設けられていると、シート10に乗員が着座した際、中空部の上側のクッションパッド12の部分が下方に撓んで荷重を吸収してしまい、中空部の下側の部分には荷重が伝わりにくくなるため、センサー1に加わる圧力が増大しにくくなってセンサー1で乗員がシート10に着座したことを検知しにくくなる可能性がある。
そのため、センサー1が配置される凹部20は、クッションパッド12に形成された通気路30等の中空部の直下の位置以外の位置に設けられていることが望ましい。このように構成すれば、シート10に乗員が着座した際にクッションパッド12にかかる荷重がストレートにセンサー1にかかるようになる。そのため、センサー1に加わる圧力が的確に増大して、センサー1で乗員がシート10に着座したことを検知しやすくなる。
【0067】
以上のように、本実施形態に係るシート10へのセンサー1の配置構造によれば、センサー1は、クッションパッド12の下側に設けられた板状部材(パンフレーム18)の上面に設けられた凹部20内に配置される(
図10参照)。
従来のシートへのセンサーの配置構造では、前述したように、センサー1をクッションパッド12と表皮13との間(すなわち表皮のすぐ下側)に配置したため、シート10に着座した乗員の臀部や大腿部にシート10の表皮13を介して何かが当たっているのが感じ取られてしまい着座フィーリングが悪くなる場合があった。
【0068】
しかし、本実施形態に係るシート10へのセンサー1の配置構造では、上記のように乗員の臀部や大腿部とセンサー1との間にクッションパッド12が介在するため、シート10に着座した乗員の臀部や大腿部にセンサー1が当たっていることは感じ取られにくくなり、従来の場合に比べて乗員の着座フィーリングが向上する。
【0069】
また、単に板状部材(パンフレーム18)の上面にセンサー1を配置すると、センサー1の分だけクッションパッド12が盛り上がり、乗員に違和感を与えてしまい、着座フィーリングが悪くなる可能性があるが、本実施形態に係るシート10へのセンサー1の配置構造では、上記のように、板状部材(パンフレーム18)の上面に凹部20を設け、そこにセンサー1を配置しているため、上記のような違和感を与えることなく着座フィーリングを向上させることが可能となる。
【0070】
[変形例]
なお、上記の実施形態では、板状部材として、クッションパッド12の下側に設けられたパンフレーム18を用いる場合について説明した。しかし、クッションパッド12(
図12では図示省略)の下側のシートクッションフレーム17の構造が、例えば
図12に示すようにパンフレーム18とワイヤー17C(Sバネ等ともいう。)とで構成されていたり、あるいはパンフレーム18がなくワイヤー17Cのみで構成されているような場合もある。
そして、このような場合には、ワイヤー17Cの部分に板状部材を設けるように構成することが可能である。
【0071】
その際、例えば
図13に示すように、ワイヤー17Cの部分に、ワイヤー17Cをインサートするように板状部材25を設けることができる。そして、上記の実施形態と同様にして、板状部材25の上面に凹部26が設けられ、センサー1が取付ブラケット2に固定された状態で凹部26内に配置されるように構成することが可能である。
なお、
図13では、取付ブラケット2を凹部26に取り付けるための係合部(
図4や
図5参照)等の記載が省略されているが、取付ブラケット2が凹部26に適切に取り付けられるように係合部等が凹部26側や取付ブラケット2側に適宜形成される。センサー1のハーネス1A等の記載も省略されているが、この場合も取付ブラケット2にガイド部2d(
図4等参照)等を設けることが可能である。また、その他、上記の実施形態に係る凹部20や取付ブラケット2等の構成を、この変形例における凹部26や取付ブラケット2等に適宜適用することができる。
【0072】
図13に示した変形例の場合、板状部材25にワイヤー17Cがインサートされているため、板状部材25の凹部26では、ワイヤー17Cがインサートされている部分が他の部分よりも盛り上がっている(図中の破線参照)。そのため、上記の実施形態における取付ブラケット2の切り欠き2e(
図4参照)を、
図13に示すように板状部材25にインサートされたワイヤー17Cの盛り上がり部分に対応する位置に形成することが可能である。
このように構成すれば、上記の実施形態で説明した作用効果のほかに、取付ブラケット2がワイヤー17Cの盛り上がり部分に切り欠き2eを有することで取付ブラケット2とワイヤー17Cの盛り上がり部分とが干渉することを抑制することが可能となり、取付ブラケット2や板状部材25等に損傷等が生じることを抑制することができる。
【0073】
なお、本発明は上記の実施形態や変形例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【課題】シートにポジションセンサー等のセンサーを配置する際に、乗員の着座フィーリングの向上を図ることが可能なシートへのセンサーの配置構造を提供することを目的とする。
【解決手段】クッションパッド12と、クッションパッド12の下側に設けられた板状部材18,25と、を備えるシート10へのセンサー1の配置構造であって、板状部材18,25の上面に凹部20,26が設けられており、凹部20,26内にセンサー1が配置されている。