特許第6356891号(P6356891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6356891光学的表示装置の積層体を製造する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6356891
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】光学的表示装置の積層体を製造する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20180702BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   G02F1/13 101
   G02F1/1335 510
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-187927(P2017-187927)
(22)【出願日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年5月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000316
【氏名又は名称】特許業務法人ピー・エス・ディ
(72)【発明者】
【氏名】西郷 公史
(72)【発明者】
【氏名】竹田 覚
(72)【発明者】
【氏名】由良 友和
(72)【発明者】
【氏名】北田 和生
【審査官】 岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−66909(JP,A)
【文献】 特許第5458212(JP,B2)
【文献】 中国特許出願公開第106200034(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1335
G02B 5/30
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の液晶パネルの一方面の幅または長さに対応した幅または長さを有する、帯状の第1のキャリアフィルム上に長辺が前記第1のキャリアフィルムの幅方向を向くように連続的に支持された前記液晶パネルの一方面に対応する大きさの第1の光学フィルムシートを、前記第1のキャリアフィルムから剥離して前記液晶パネルの一方面に貼り合わせ、かつ、前記液晶パネルの他方面の幅または長さに対応した幅または長さを有する、帯状の第2のキャリアフィルム上に長辺が前記第2のキャリアフィルムの長手方向を向くように連続的に支持された前記液晶パネルの他方面に対応する大きさの第2の光学フィルムシートを、前記第2のキャリアフィルムから剥離して前記液晶パネルの他方面に貼り合わせる光学的表示装置のための積層体を製造する方法であって、
前記第1の光学フィルムシートの先端部または後端部が所定の第1検出位置に到達したときに、前記第1のキャリアフィルムの送りを止め、前記第1の光学フィルムシートの前記長辺に相当する先端部または後端部の幅方向の両端位置の一方端と他方端を検出する工程と、
前記幅方向の前記両端位置の前記一方端と前記他方端からなる位置情報に基づき、前記液晶パネルの一方面と前記第1の光学フィルムシートを位置合わせする工程と、
前記第1の光学フィルムシートを前記第1のキャリアフィルムから剥離して前記液晶パネルの一方面に貼り合わせる工程と、
前記第2の光学フィルムシートの先端部が所定の第2検出位置に到達したときに、前記第2のキャリアフィルムの送りを止め、前記第2の光学フィルムシートの前記長辺に相当する側端部のいずれか一方の両端位置の先端と後端を検出する工程と、
前記側端部の前記両端位置の前記後端と前記先端からなる位置情報に基づき、前記液晶パネルの他方面と前記第2の光学フィルムシートを位置合わせする工程と、
前記第2の光学フィルムシートを前記第2のキャリアフィルムから剥離して前記液晶パネルの他方面に貼り合わせる工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の光学フィルムシートは第1の偏光フィルムからなり、第2の光学フィルムシートは第2の偏光フィルムからなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液晶パネルの一方面はTFT側の面であり、前記液晶パネルの他方面はCF側の面である請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記第1光学フィルムシートの幅方向の両端位置の一方端と他方端を検出する工程は、前記両端位置の一方端と他方端とのズレ角度θ1を算出する工程をさらに含み、前記第2光学フィルムシートの側端部のいずれか一方の両端位置の先端と後端を検出する工程は、前記両端位置の前記後端と前記先端とのズレ角度θ2を算出する工程をさらに含む請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記液晶パネルの一方面と前記第1の光学フィルムシートとを位置合わせする工程は、前記ズレ角度θ1に基づき前記液晶パネルの一方面を前記第1の光学フィルムシートに位置付け、前記液晶パネルの他方面と前記第2の光学フィルムシートとを位置合わせする工程は、前記ズレ角度θ2に基づき前記液晶パネルの他方面を前記第2の光学フィルムシートに位置付けるようにした請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のキャリアフィルムを第1の剥離体の頂部で折り返し送りながら前記第1の光学フィルムシートを前記第1のキャリアフィルムから剥離する工程と
前記第2のキャリアフィルムを第2の剥離体の頂部で折り返し送りながら前記第2の光学フィルムシートを前記第2のキャリアフィルムから剥離する工程と、をさらに含み、
前記第1の光学フィルムシートを前記第1のキャリアフィルムから剥離して前記液晶パネルの一方面に貼り合わせる工程は、送りを止めた前記第1のキャリアフィルムの送りを再開し、前記第1の光学フィルムシートを前記第1のキャリアフィルムから剥離しながら前記液晶パネルの一方面に貼り合わせる工程を含み、
前記第2の光学フィルムシートを前記第2のキャリアフィルムから剥離して前記液晶パネルの他方面に貼り合わせる工程は、送りを止めた前記第2のキャリアフィルムの送りを再開し、前記第2の光学フィルムシートを前記第2のキャリアフィルムから剥離しながら前記液晶パネルの他方面に貼り合わせる工程を含む請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
長方形の液晶パネルの一方面の幅または長さに対応した幅または長さを有する、帯状の第1のキャリアフィルム上に長辺が前記第1のキャリアフィルムの幅方向を向くように連続的に支持された前記液晶パネルの一方面に対応する大きさの第1の光学フィルムシートを、前記第1のキャリアフィルムから剥離して前記液晶パネルの一方面に貼り合わせ、かつ、前記液晶パネルの他方面の幅または長さに対応した幅または長さを有する、帯状の第2のキャリアフィルム上に長辺が前記第2のキャリアフィルムの長手方向を向くように連続的に支持された前記液晶パネルの他方面に対応する大きさの第2の光学フィルムシートを、前記第2のキャリアフィルムから剥離して前記液晶パネルの他方面に貼り合わせる光学的表示装置のための積層体を製造する装置であって、
前記第1の光学フィルムシートの先端部または後端部が所定の第1検出位置に到達したときに、前記第1のキャリアフィルムの送りを止め、前記第1の光学フィルムシートの前記長辺に相当する先端部または後端部の幅方向の両端位置の一方端を検出する第1検出手段および他方端を検出する第2検出手段と、
前記幅方向の前記両端位置の前記一方端と前記他方端からなる位置情報に基づき、前記液晶パネルの一方面と前記第1の光学フィルムシートとを位置合わせする第1の位置合わせ手段と、
前記第1の光学フィルムシートを前記第1のキャリアフィルムから剥離して前記液晶パネルの一方面に貼り合わせる第1の貼合
手段と、
前記第2の光学フィルムシートの先端部が所定の第2検出位置に到達したときに、前記第2のキャリアフィルムの送りを止め、前記第2の光学フィルムシートの前記長辺に相当する側端部のいずれか一方の両端位置の先端を検出する第3検出手段および前記両端位置の後端を検出する第4検出手段と、
前記側端部の前記両端位置の前記後端と前記先端からなる位置情報に基づき、前記液晶パネルの他方面と前記第2の光学フィルムシートとを位置合わせする第2の位置合わせ手段と、
前記第2の光学フィルムシートを前記第2のキャリアフィルムから剥離して前記液晶パネルの他方面に貼り合わせる第2の貼合手段と
を含む装置。
【請求項8】
前記第1の光学フィルムシートは第1の偏光フィルムからなり、前記第2の光学フィルムシートは第2の偏光フィルムからなる請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記液晶パネルの一方面はTFT側の面であり、前記液晶パネルの他方面はCF側の面である請求項7または8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記第1の光学フィルムシートの幅方向の両端位置を検出する前記第1検出手段および前記第2検出手段は、前記両端位置の前記一方端と前記他方端とのズレ角度θ1を算出する第1の算出手段をさらに含み、前記第2の光学フィルムシートの側端部のいずれか一方の前記両端位置の前記先端と前記後端を検出する前記第3検出手段および前記第4検出手段は、前記後端と前記先端とのズレ角度θ2を算出する第2の算出手段をさらに含む請求項7から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記第1の位置合わせ手段は、前記ズレ角度θ1に基づき前記液晶パネルの一方面と前記第1光学フィルムシートとを位置合わせし、前記第2の位置合わせ手段は、前記ズレ角度θ2に基づき前記液晶パネルの他方面と前記第2光学フィルムシートとを位置合わせするようにした請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、前記第1のキャリアフィルムを第1頂部で折り返し送りながら、前記第1の光学フィルムシートを前記第1のキャリアフィルムから剥離する前記第1頂部を有する第1剥離体と、前記第2のキャリアフィルムを第2頂部で折り返し送りながら、前記第2の光学フィルムシートを前記第2のキャリアフィルムから剥離する前記第2頂部を有する第2剥離体とをさらに含み、
前記第1の光学フィルムシートを前記第1のキャリアフィルムから剥離して前記液晶パネルの一方面に貼り合わせる前記第1の貼合手段は、送りを止めた前記第1のキャリアフィルムの送りを再開し、前記第1の光学フィルムシートを前記第1のキャリアフィルムから剥離しながら前記液晶パネルの一方面に貼り合わせ、
前記第2の光学フィルムシートを前記第2のキャリアフィルムから剥離して前記液晶パネルの他方面に貼り合わせる前記第2の貼合手段は、送りを止めた前記第2のキャリアフィルムの送りを再開し、前記第2の光学フィルムシートを前記第2のキャリアフィルムから剥離しながら前記液晶パネルの他方面に貼り合わせるようにした請求項7から11のいずれかに記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長方形の液晶パネルの両面のそれぞれに対応する大きさの偏光フィルムを有する光学フィルムシートを、吸収軸がクロスニコルの関係になるように、液晶パネルの両面に積層する光学的表示装置のための積層体を製造する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学的表示装置の製造において、ロール・トゥ・パネル(RTP)方式の製造は、特許文献1に記載されているように、周知である。例えば、液晶の光学的表示装置を製造するRTP方式においては、通常、以下のようにして光学的表示装置が製造される。
【0003】
それは、図2に示されているように、まず、R1から繰り出された帯状の第1の光学フィルム積層体に含まれる第1のキャリアフィルム上に、長方形の液晶パネルの一方面の幅または長さに対応した幅または長さを有する長辺が第1のキャリアフィルムの幅方向を向くように連続的に支持された第1の光学フィルムシートを、前記液晶パネルの前記一方面に貼り合わせ、かつ、R2から繰り出された帯状の第2の光学フィルム積層体に含まれる第2のキャリアフィルム上に、前記液晶パネルの他方面の幅または長さに対応した幅または長さを有する長辺が第2のキャリアフィルムの長手方向を向くように連続的に支持された第2の光学フィルムシートを、前記液晶パネルの前記他方面に貼り合わせる。
【0004】
それにより、第1および第2の光学フィルムシートの夫々を第1および第2のキャリアフィルムの夫々から剥離しながら、互いにクロスニコルの関係になるように、液晶パネルの両面に積層し、それにより積層体の光学的表示装置が連続的に製造される。
【0005】
その際に必要とされる技術的課題は、光学フィルムシートと液晶パネルとの精度の高い位置決めである。それは、帯状のキャリアフィルムから剥離されて貼合位置に送られる光学フィルムシートと、それに同期して貼合位置に搬送される長方形の液晶パネルの一方面または他方面とが正確に位置決めされて積層させるためである。
【0006】
したがって、こうしたRTP方式の製造においては、特許文献2に示されるように、キャリアフィルム上に連続的に支持された光学フィルムシートが該キャリアフィルムから剥離され貼合位置に送られ、剥離された光学フィルムシートを、それに同期して貼合位置に搬送される液晶パネルの一方面または他方面に、貼り合わせる際に、液晶パネルの一方面または他方面を該光学フィルムシートに対して正確に位置決めする工程が含まれる。
【0007】
RTP方式の製造において、貼合位置の近くにキャリアフィルム上に連続的に支持された光学フィルムシートをキャリアフィルムから粘着剤層と共に剥離する剥離手段が配置される。剥離手段は、好ましくは、貼合位置に対向する頂部を有する略楔型の剥離体からなる剥離手段が用いられる。
【0008】
光学フィルムシートは、キャリアフィルムを略楔型の剥離体の頂部で光学フィルムシートの搬送方向とは概ね反対方向に折り返しながら搬送することによって、キャリアフィルムから粘着剤層と共に剥離されて貼合位置に向う。貼合位置に到達した光学フィルムシートは、それに同期して貼合位置に位置調整されて搬送される液晶パネルの対応する貼合面に貼り合わされる。
【0009】
一方、近年、光学的表示装置の製造は、小型化、薄型化及び軽量化が一層進む一方、液晶表示領域を囲む枠部分の狭小化すなわち狭額縁化も進み、それに伴い、タクト時間をより短くかつトラブルの少ない製造工程において、さらに液晶パネルに対する光学フィルムシートの正確な位置決め要請がより高まっている。
【0010】
特許文献2には、貼合位置に搬送される矩形パネルの送り方向の中心線が、同じく貼合位置に送られる光学フィルムシートの中心線に平行になるように矩形パネルを角度調整するエッジ検出装置、および、貼合ステーションにおいて光学フィルムシートの先端位置を検出する直進位置検出装置を備え、角度調整後に平行な位置関係の乖離量だけ平行移動して位置調整する方法が開示されている。
【0011】
特許文献3には、貼付所定位置でパネル部材に貼り合わされる光学フィルムシートがパネル部材と共に貼付所定位置に至る前に、帯状のキャリアフィルムに粘着層を介して支持されたその光学フィルムシートの先端を先端検出手段で事前に読み取り、パネル部材との貼付開始位置に一致させて、キャリアフィルムから剥離しながらパネル部材に貼り合わせるようにする方法が開示されている。
【0012】
特許文献4には、貼合位置に搬送されてきた基板に進行方向側の端面と離形フィルムから剥離されたフィルム片の切断面が平行になるように基板の対応する位置に貼合わせる貼合手段が開示されている。
【0013】
特許文献5には、パネル吸着搬送機構が位相差フィルム貼付機構と連動し、画像認識カメラを備え、位相差フィルムコーナ検出機構の動作停止に合せ位相差フィルムのコーナを読取る装置が開示されている。
【0014】
また特許文献6には、長方形基板の長辺に対応する幅と短辺に対応する長さを有する第1の光学フィルムシートを含む第1の光学フィルム積層体と、長方形基板の短辺に対応する幅と長辺に対応する長さを有する第2光学フィルムシートを含む第2の光学フィルム積層体を順次繰り出し、長方形基板の一方面と他方面の両面に貼り合わせる方法が開示されている。
【0015】
いずれにしても、本発明者らは、鋭意検討を進め、RTP方式の製造において、タクト時間をより短く、かつ、トラブルをより少なくすることによって、光学的表示装置の製造スピードを維持し、従来技術からは想定し得ない液晶パネルと光学フィルムシートとの貼り合せに求められる正確な位置決め工程を含む本発明を実現した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第4377964号公報
【特許文献2】特許第4644755号公報
【特許文献3】特許第5458212号公報
【特許文献4】特開2005−037416号公報
【特許文献5】特開2003−107246号公報
【特許文献6】特許第5616494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
課題は、長方形の液晶パネルに、その幅または長さに対応した幅または長さを有する光学フィルムシートを支持する帯状のキャリアフィルムから、光学フィルムシート剥離し、貼り合せ、それにより、光学的表示装置の積層体を製造する方法において、タクト時間を維持しながら、液晶パネルの貼合面を光学フィルムシートにより高い精度の位置合せを実現することである。
【0018】
そのためには、特許文献3に示されるように、カメラ等の撮像装置を用いて光学フィルムシートの先端位置を読み取り、その位置情報に基づき、貼り合わされる液晶パネルの正確な位置を特定する必要がある。その場合、長方形の光学フィルムシートの4隅の位置を全て読み取り、それらに基づく液晶パネルの位置合わせは、複雑になることは避けがたい。
【0019】
複雑化する液晶パネルの光学フィルムシートへの貼り合わせを単純化する
ために、光学フィルムシートの4隅の位置を2隅または3隅で間に合わせることができないかなど、鋭意検討を重ね、本発明に至った。

【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題は、長方形の液晶パネルの両面に、夫々の幅または長さに対応した幅または長さを有する第1および第2の光学フィルムシートを、それらを連続的に支持する帯状の第1および第2のキャリアフィルムから剥離し貼り合せる光学的表示装置の積層体を製造する方法において、長方形の第1および第2の光学フィルムシートの長辺の両端位置のみを検出し、これらの両端の位置情報に基づき、光学フィルムシートに各々に対応する液晶パネルの貼合面を位置合せし、第1および第2のキャリアフィルムの各々から第1および第2のキャリアフィルムを剥離し、液晶パネルの両面に順次または同時に貼り合わせることによって、解決される。
【0021】
本発明の一実施態様は、光学的表示装置の積層体6の製造方法を提供する。それは、図2の模式的平面図およびそれを側面から見た図3の模式図に示されるように、長方形の液晶パネル5の一方面50の幅または長さに対応した幅または長さを有する、帯状の第1のキャリアフィルム30上に長辺y10が第1のキャリアフィルム30の幅方向を向くように連続的に支持された液晶パネル5の一方面50に対応する大きさの第1の光学フィルムシート10を、第1のキャリアフィルム30から剥離して液晶パネル5の一方面50に貼り合わせ、かつ、液晶パネル5の他方面51の幅または長さに対応した幅または長さを有する、帯状の第2のキャリアフィルム31上に長辺y11が第2のキャリアフィルム31の長手方向を向くように連続的に支持された液晶パネル5の他方面51に対応する大きさの第2の光学フィルムシート11を、第2のキャリアフィルム31から剥離して液晶パネル5の他方面51に貼り合わせるようにした光学的表示装置の積層体6を製造する方法である。
【0022】
それはまた、図4に示されるように、第1の光学フィルムシート10の先端部または後端部101が所定の第1検出位置70に到達したときに、第1のキャリアフィルム30の送りを止め、第1の光学フィルムシート10の長辺y10に相当する先端部または後端部101の幅方向の両端位置である一方端102またと他方端103を検出する工程と、幅方向の両端位置の一方端102と他方端103からなる位置情報200に基づき、液晶パネル5の一方面50を第1の光学フィルムシート10に位置合わせする工程と、第1の光学フィルムシート10を第1のキャリアフィルム30から剥離して液晶パネル5の一方面50に貼り合わせる工程を含むことができる。図4は、第1の光学フィルムシート10の長辺y10に相当する後端部101の幅方向の両端位置の一方端102と他方端103をカメラ等の撮像装置で読取る装置104を含む第1の貼合ステーション120の拡大模式図である。
【0023】
それはさらに、図5に示されるように、第2の光学フィルムシート11の先端部111が所定の第2検出位置71に到達したときに、第2のキャリアフィルム31の送りを止め、第2の光学フィルムシート11の長辺y11に相当する側端部111のいずれか一方の先端112と後端113の両端位置を検出する工程と、側端部111の両端位置の先端112と後端113からなる位置情報210に基づき、液晶パネル5の他方面51を第2の光学フィルムシート11に位置合わせする工程と、第2の光学フィルムシート11を第2のキャリアフィルム31から剥離して液晶パネル5の他方面51に貼り合わせる工程をも含むことができる。図5は、第2の光学フィルムシート11の長辺y11に相当する側端部111のいずれか一方の先端112と後端113の両端位置をカメラ等の撮像装置で読取る装置114を含む第1の貼合ステーション220の拡大模式図である。
【0024】
本発明の方法において、第1の光学フィルムシート10は第1の偏光フィルムからなり、第2の光学フィルムシート11は第2の偏光フィルムからなる一方、液晶パネル5の一方面50をTFT側の面とし、液晶パネル5の他方面51をCF側の面とすることができる。
【0025】
同じく本発明の方法において、第1の光学フィルムシート10の幅方向の両端位置の一方端102と他方端103を検出する工程は、一方端102と他方端103とのズレ角度θ1を算出する工程をさらに含み、第2の光学フィルムシート11の側端部111のいずれか一方の両端位置の先端112と後端113を検出する工程は、後端113と先端112とのズレ角度θ2を算出する工程をさらに含むことができる。
【0026】
同じく本発明の方法において、さらに第1の光学フィルムシート10の幅方向の両端位置のズレ角度θ1の算出により、液晶パネル5の一方面50と第1の光学フィルムシート10とを位置合わせする工程は、ズレ角度θ1に基づき液晶パネル5の一方面50を第1の光学フィルムシート10に位置付けする一方、第2の光学フィルムシート11の側端部111のいずれか一方の両端位置のズレ角度θ2の算出により、記液晶パネル5の他方面51と第2の光学フィルムシート11とを位置合わせする工程は、ズレ角度θ2に基づき液晶パネル5の他方面51を第2の光学フィルムシート11に位置付けすることができる。
【0027】
同じく本発明の方法において、図4および図5に示されるように、第1のキャリアフィルム30を第1の剥離体60の頂部601で折り返し送りながら、第1の光学フィルムシート10を第1のキャリアフィルム30から剥離する工程と、第2のキャリアフィルム31を第2の剥離体61の頂部611で折り返し送りながら、第2の光学フィルムシート11を第2のキャリアフィルム31から剥離する工程とをさらに含み、第1の光学フィルムシート10を第1のキャリアフィルム30から剥離して液晶パネル5の一方面50に貼り合わせる工程は、送りを止めた第1のキャリアフィルム30の送りを再開し、それにより第1の光学フィルムシート10を第1のキャリアフィルム30から剥離しながら液晶パネル5の一方面50に貼り合わせる工程を含み、さらに、第2の光学フィルムシート11を第2のキャリアフィルム31から剥離して液晶パネル5の他方面51に貼り合わせる工程は、送りを止めた第2のキャリアフィルム31の送りを再開し、それにより第2の光学フィルムシート11を第2のキャリアフィルム31から剥離しながら液晶パネル5の他方面51に貼り合わせる工程を含むことができる。
【0028】
本発明の他の実施態様は、光学的表示装置の積層体6の製造装置を提供する。それは、図2の模式的平面図およびそれを側面から見た図3の模式図に示されるように、長方形の液晶パネル5の一方面50の幅または長さに対応した幅または長さを有する、帯状の第1のキャリアフィルム30の上に長辺y10が第1のキャリアフィルム30の幅方向を向くように連続的に支持された液晶パネル5の一方面50に対応する大きさの第1の光学フィルムシート10を、第1のキャリアフィルム30から剥離して液晶パネル5の一方面50に貼り合わせ、かつ、液晶パネル5の他方面51の幅または長さに対応した幅または長さを有する、帯状の第2のキャリアフィルム31の上に長辺y11が第2のキャリアフィルム31の長手方向を向くように連続的に支持された液晶パネル5の他方面51に対応する大きさの第2の光学フィルムシート11を、第2のキャリアフィルム31から剥離して液晶パネル5の他方面51に貼り合わせる光学的表示装置の積層体6を製造する装置である。
【0029】
それはまた、図4に示されるように、第1の光学フィルムシート10の先端部または後端部101が所定の第1検出位置70に到達したときに、第1のキャリアフィルム30の送りを止め、第1の光学フィルムシート10の長辺y10に相当する先端部または後端部101の幅方向の両端位置の一方端102を検出する第1検出手段701および両端位置の他方端103を検出する第2検出手段702と、幅方向の両端位置の一方端102と他方端103からなる位置情報200に基づき、液晶パネル5の一方面50と第1の光学フィルムシート10とを位置合わせする第1の位置合わせ手段80と、第1の光学フィルムシート10を第1のキャリアフィルム30から剥離して液晶パネル5の一方面50に貼り合わせる第1の貼合手段90を含む装置1である。図4は、第1の光学フィルムシート10の長辺y10に相当する後端部101の幅方向の両端位置の一方端102と他方端103をカメラ等の撮像装置で読取る装置104を含む第1の貼合ステーション120の拡大模式図である。
【0030】
それはさらに、図5に示されるように、第2の光学フィルムシート11の先端部111が所定の第2検出位置71に到達したときに、第2のキャリアフィルム31の送りを止め、第2の光学フィルムシート11の長辺y11に相当する側端部111のいずれか一方の両端位置の先端112を検出する第3検出手段711および両端位置の後端113を検出する第4検出手段712と、側端部111の両端位置の先端112と後端113からなる位置情報210に基づき、液晶パネル5の他方面51と第2の光学フィルムシート11とを位置合わせする第2の位置合わせ手段81と、第2の光学フィルムシート11を第2のキャリアフィルム31から剥離して液晶パネル5の他方面51に貼り合わせる第2の貼合手段91とを含む装置である。図5は、第2の光学フィルムシート11の長辺y11に相当する側端部111のいずれか一方の先端112と後端113の両端位置をカメラ等の撮像装置で読取る装置114を含む第2の貼合ステーション220の拡大模式図である。
【0031】
本発明の装置において、第1の光学フィルムシート10は第1の偏光フィルムからなり、第2の光学フィルムシート11は第2の偏光フィルムからなる一方、液晶パネル5の一方面50をTFT側の面とし、液晶パネル5の他方面50をCF側の面とすることができる。
【0032】
同じく本発明の装置において、第1の光学フィルムシート10の幅方向の両端位置を検出する第1検出手段701および第2検出手段702は、両端位置の一方端102と他方端103とのズレ角度θ1を算出する第1算出手段703をさらに含み、第2の光学フィルムシート11の側端部111のいずれかの両端位置の先端112と後端113を検出する第3検出手段711および第4検出手段712は、後端113と先端112とのズレ角度θ2を算出する第2算出手段713をさらに含むことができる。
【0033】
同じく本発明の装置において、第1の位置合わせ手段80は、第1の光学フィルムシート10の幅方向の両端位置のズレ角度θ1の算出により、ズレ角度θ1に基づき液晶パネル5の一方面50を第1の光学フィルムシート10に位置付ける一方、第2の位置合わせ手段81は、第2の光学フィルムシート11の側端部111のいずれか一方の両端位置のズレ角度θ2の算出により、ズレ角度θ2に基づき液晶パネル5の他方面51を第2の光学フィルムシート11との位置付けることができる。
【0034】
本発明の装置はさらに、第1のキャリアフィルム30を第1頂部601で折り返し送りながら、第1の光学フィルムシート10を第1のキャリアフィルム30から剥離する第1頂部601を有する第1の略楔型剥離体60と、第2のキャリアフィルム31を第2頂部611で折り返し送りながら、第2の光学フィルムシート11を第2のキャリアフィルム31から剥離する第2頂部611を有する第2の略楔型剥離体61とをさらに含み、第1の光学フィルムシート10を第1のキャリアフィルム30から剥離して液晶パネル5の一方面50に貼り合わせる第1の貼合手段90は、送りを止めた第1のキャリアフィルム30の送りを再開し、第1の光学フィルムシート10を第1のキャリアフィルム30から剥離しながら液晶パネル5の一方面50に貼り合わせる一方、第2の光学フィルムシート11を第2のキャリアフィルム31から剥離して液晶パネル5の他方面51に貼り合わせる第2の貼合手段91は、送りを止めた第2のキャリアフィルム31の送りを再開し、第2の光学フィルムシート11を第2のキャリアフィルム31から剥離しながら液晶パネル5の他方面51に貼り合わせることができる。

【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】(a)および(b)は、液晶パネルの長辺または短辺のアライメントマークに対応した幅を有する帯状の第1および第2のキャリアフィルムに粘着剤層と共に複数の第1および第2の光学フィルムシートを含む第1および第2の光学フィルム積層体の一例を表す平面図および側面図であり、(c)は、液晶パネルの両面に対応した第1および第2の光学フィルムシートが貼り合わされた液晶パネルを表す平面図および側面図である。
図2】一方から繰り出される第1の光学フィルム積層体の第1のキャリアフィルムから第1の光学フィルムシートを剥離し、他方から搬送される液晶パネルの一方面に貼り合わせ、次に、第1の光学フィルムシートが一方面に貼り合わされた液晶パネルを90°旋回、かつ、反転させた液晶パネルの他方面に、他方から繰り出される第2の光学フィルム積層体の第2のキャリアフィルムから第2の光学フィルムシートを剥離し貼り合わせて光学的表示装置の積層体を製造する、RTP方式による第1製造ラインと第2製造ラインを並置した装置の一例を模式的に表す平面図である。
図3図2に示される、液晶パネルの一方面または他方面の夫々に第1または第2の光学フィルムシートを貼り合わせるRTP方式による光学的表示装置の積層体を製造する第1製造ラインと第2製造ラインを並置した装置の一例を側面から見た模式図である。
図4図3に示される、第1の光学フィルムシートの長辺を幅方向に向くように送られる第1の光学フィルムシートの後端部の幅方向の両端位置の位置情報に基づき第1の光学フィルムシートを液晶パネルの一方面に貼り合わせるRTP方式による光学的表示装置の積層体を製造する第1製造ラインを構成する、第1の剥離手段と第1の位置合わせ手段と第1の貼合手段を含む第1の貼合ステーションの拡大模式図である。
図5図3に示される、第2の光学フィルムシートの短辺を幅方向に向くように送られる第2の光学フィルムシートのいずれか一方の側端部を構成する長辺の両端位置の位置情報に基づき第2の光学フィルムシートを液晶パネルの他方面に貼り合わせるRTP方式による光学的表示装置の積層体を製造する第2製造ラインを構成する、第2の剥離手段と第2の位置合わせ手段と第2の貼合手段を含む第2の貼合ステーションの拡大模式図である。
図6】10回の測定によって得られた製造工程における工程能力指数として定義されるC値で評価した、実施例と比較例との比較データである。 それは、図4および図5に示される、液晶パネルの一方面または他方面に貼り合わせる第1の光学フィルムシートの幅方向を構成する長辺の両端位置の一方端と他方端からなる位置情報、および、第2の光学フィルムシートの側端部のいずれか一方を構成する長辺の両端位置の先端と後端からなる位置情報に基づき液晶パネルの両面に貼り合わされた実施例の第1および第2の光学フィルムシートの貼付精度と、同じく液晶パネルの一方面または他方面に貼り合わせる第1の光学フィルムシートの幅方向を構成する長辺の両端位置の一方端と他方端からなる位置情報、および、第2の光学フィルムシートの幅方向を構成する短辺の両端位置の一方端と他方端からなる位置情報に基づき液晶パネルの両面に貼り合わされた比較例の第1および第2の光学フィルムシートの貼付精度を比較したデータである。
図7図6に示される実施例(a)および比較例(b)の測定方法を表す模式図である。
図8】第1の光学フィルムシートの幅方向を構成する長辺が幅方向の水平基準位置に対してθ1だけズレた状態で送られた第1の光学フィルムシートと、第2の光学フィルムシートの側端部のいずれか一方を構成する長辺が長手方向の垂直基準位置に対してθ2だけズレた状態で送られた第2の光学フィルムシートを表す模式図である。
図9図4に示される、第1の光学フィルムシートの長辺を幅方向に向くように送られる第1の光学フィルムシートの後端部を第1の光学フィルムシートの先端部に代えて、幅方向の両端位置の位置情報に基づくようにしたRTP方式による光学的表示装置の積層体を製造する第1製造ラインを構成する第1の貼合ステーションの拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
最初に本発明を特徴づける図6の実施例と比較例データを表す工程能力指数C値について説明する。工程能力指数C値は、工業製品の品質管理分野において、ある工程の工程能力を定量的に評価する指標の一つとして周知の値である。通常は以下の式で定義される。
=(USL−LSL)/(6×δ)
但し、USLは上側規格値、LSLは下側規格値、δは母標準偏差の推定値であり、これらの値は母集団で特性値が正規分布を為すことを仮定したものである。
【0037】
工程能力指数C値は、通常、大きい数字ほど望ましい能力を持っていることを表すように定義されたものであり、0付近の値は、ばらつきが大きすぎて製品として品質管理対象にならないことを表す。好ましくは、C>1.33である。C>1.67の場合には承認標準に達しており、より好ましい。C<1.33の場合には製造された製品群は標準基準に達していると評価されず、当初目標の品質に達していないため、製品出荷基準を満たさないものとなる。
【0038】
本発明は、製造工程のタクト時間をより短くした上で、こうした品質管理の定量的評価を達成する貼付精度も併せて実現する製造方法および装置である。
【0039】
本発明による光学的表示装置の積層体6を製造する方法および装置は、以下の通りである。図1の(a)(b)は、長方形の液晶パネル5の一方面50および他方面51に貼り合わされる偏光フィルムを含む第1の光学フィルムシート10と第2の光学フィルムシート11の各々が第1のキャリアフィルム30と第2のキャリアフィルム31の上に粘着剤層3を介して積層された第1の光学フィルム積層体R1と第2の光学フィルム積層体R2の一例を表す平面図および側面図である。また図1の(c)は、長方形の液晶パネル5の両面にクロスニコルの関係になるように第1の光学フィルムシート10および第2の光学フィルムシート11が貼り合わされた液晶パネル5を表す平面図および側面図である。
【0040】
図2および図3に示されるように、第1製造ライン110においては、一方からは第1の光学フィルム積層体R1が繰り出され、他方からは長方形の液晶パネル5が長辺Aを先端面に搬送される。図1(a)に示されるように、繰り出される第1の光学フィルム積層体R1を構成する帯状の第1のキャリアフィルム30の上に液晶パネル5の一方面50の幅または長さに対応した幅または長さを有する第1の光学フィルムシート10が、長辺y10を第1のキャリアフィルム30の幅方向に向くように、または、短辺x10を第1のキャリアフィルム30の長手方向に向くように、連続的に支持されている。
【0041】
第1の光学フィルムシート10は、第1の貼合ステーション120において、第1のキャリアフィルム30を第1の略楔型剥離体60の第1頂部601で折り返し巻き取ることによって、第1のキャリアフィルム30から剥離され、第1の貼合位置100に送られる。第1製造ライン110の他方からは液晶パネル5が長辺Aを先端面に第1の貼合位置100に向けて搬送される。
【0042】
液晶パネル5は、例えば吸着搬送装置からなる第1の位置合わせ手段80によって第1の貼合位置100に長辺Aを先端面に搬送される一方、第1検出位置の70で、第1の光学フィルムシート10の幅方向を構成する長短y10の後端部101の両端位置である一方端102と他方端103を検出し、後述される撮像装置に設定されている水平基準位置に対してθ1のズレがあることを確認したときは、ズレ量θ1を加味し、液晶パネル5の姿勢制御を行い、それにより液晶パネル5の一方面50と第1の光学フィルムシート10は、精度の高い位置合わせがなされながら、第1の貼合手段90によって、貼り合わされる。
【0043】
また、図2および図3に示される第2製造ライン210においては、一方からは第2の光学フィルム積層体R2が繰り出され、他方からは長方形の液晶パネル5が短辺Bを先端面に搬送される。図1(b)に示されるように、繰り出される第2の光学フィルム積層体R2を構成する帯状の第2のキャリアフィルム31の上に液晶パネル5の他方面51の幅または長さに対応した幅または長さを有する第2の光学フィルムシート11が、長辺y11が第2のキャリアフィルム31の長手方向を向くように、または、短辺x11を第1のキャリアフィルム30の幅方向に向くように、連続的に支持されている。
【0044】
第2の光学フィルムシート11は、第2の貼合ステーション220において、第2のキャリアフィルム31を第2の略楔型剥離体61の第2頂部611で折り返し巻き取ることによって、第2のキャリアフィルム31から剥離され、第2の貼合位置200に送られる。第2製造ライン210の他方からは、液晶パネル5の一方面50に第1の光学フィルムシート10を貼り合わせた液晶パネル5が90°旋回され、かつ、反転され、液晶パネル5が短辺Bを先端面に第2の貼合位置200に向けて搬送される。
【0045】
液晶パネル5は、例えば吸着搬送装置からなる第2の位置合わせ手段81によって第2の貼合位置200に短辺Bを先端面に搬送される一方、第2検出位置71で、第2の光学フィルムシート11の側端部のいずれかを構成する長辺y11の両端位置である先端112と後端113を検出し、後述される撮像装置に設定されている垂直基準位置に対してθ2のズレがあることを確認したときは、ズレ量θ2を加味し、液晶パネル5の姿勢制御を行い、それにより液晶パネル5の他方面51と第2の光学フィルムシート11は、精度の高い位置合わせがなされながら、第2の貼合手段91によって、貼り合わされる。
【0046】
本発明の技術的課題は、光学的表示装置の積層体6を製造する方法および製造において、いかに故障による製造ラインの停止を少なくし、製造スピードを落とすことなく、いかに精度の高い貼合わせを実現するかという課題にある。光学フィルム積層体を構成するキャリアフィルム上に支持された光学フィルムシートをキャリアフィルムから剥離しながら液晶パネルなどの長方形部材に正確に位置付けて貼り合わせる様々な提案が、例えば、特許文献1から3に記載されている。以下、これまでに提案されてきたこうした技術と対比しながら、本発明の技術的特徴を明らかにする。
【0047】
図2および図3で見たように、本発明の方法は、第1製造ライン110において、第1の光学フィルムシート10の先端部1010が所定の第1検出位置70に到達したときに、第1のキャリアフィルム30の送りを止め、第1の光学フィルムシート10の先端部1010の幅方向を構成する長辺y10の両端位置である一方端102と他方端103を検出する工程と、検出された幅方向の位置情報104に基づき、第1の位置合わせ手段80によって液晶パネル5の一方面50を第1の光学フィルムシート10に位置合わせする工程と、第1の剥離手段60によって第1の光学フィルムシート10を第1のキャリアフィルム30から剥離し、第1の貼合手段90によって液晶パネル5の一方面50に貼り合わせる工程を含むものである。
【0048】
第1製造ライン110において、第1の光学フィルムシート10の先端部1010が所定の第1検出位置70に到達したときに、図8(a)に示されるように、先端部1010の幅方向が第1検出手段701と第2検出手段702とで設定された水平基準位置に対してθ1のズレがあることを確認したときは、液晶パネル5は、ズレ量θ1を加味して姿勢制御することができるものである。
【0049】
本発明の方法はまた、第2製造ライン210において、第1製造ライン110で形成された一方面50に第1の光学フィルムシート10を貼り合わせた液晶パネル5が90°旋回され、かつ、反転され、短辺Bを先端面に第2の貼合位置200に向けて搬送される液晶パネル5の他方面51に対して、第2の光学フィルムシート11の先端部1110が所定の第2検出位置71に到達したときに、第2のキャリアフィルム31の送りを止め、第2の光学フィルムシート11の長手方向の側端部111のいずれかを構成する長辺y11の両端位置である先端112と後端113を検出する工程と、検出された長手方向の位置情報114に基づき、第2の位置合わせ手段81によって液晶パネル5の他方面51を第2の光学フィルムシート11に位置合わせする工程と、第1の剥離手段61によって第2の光学フィルムシート11を第2のキャリアフィルム31から剥離し、第2の貼合手段91によって液晶パネル5の他方面51に貼り合わせる工程を含むものである。
【0050】
第2製造ライン210においても、第2の光学フィルムシート11の先端部1110が所定の第2検出位置71に到達したときに、図8(b)に示されるように、先端部1110の長手方向が第3検出手段711と第4検出手段712とで設定された垂直基準位置に対してθ2のズレがあることを確認したときは、液晶パネル5は、ズレ量θ2を加味して姿勢制御することができるものである。
【0051】
本発明の装置は、第1の光学フィルムシート10の先端部101が所定の第1検出位置70に到達したときに、第1のキャリアフィルム30の送りを止め、第1の光学フィルムシート10の先端部101の幅方向を構成する長辺y10の両端位置の一方端102を検出する第1検出手段701および他方端103を検出する第2検出手段702と、幅方向の両端位置情報104に基づき、液晶パネル5の一方面50と第1の光学フィルムシート10とを位置合わせする第1の位置合わせ手段80と、第1の光学フィルムシート10を第1のキャリアフィルム30から剥離する第1の剥離手段60と、剥離された第1の光学フィルムシート10を液晶パネル5の一方面50に貼り合わせる第1の貼合手段90を含む。
【0052】
さらに本発明の装置は、第2の光学フィルムシート11の先端部1110が所定の第2検出位置71に到達したときに、第2のキャリアフィルム31の送りを止め、第2の光学フィルムシート11の長手方向の側端部111を構成する長辺y11の一方の両端位置の先端112を検出する第3検出手段711および後端113を検出する第4検出手段712と、側端部111の両端位置情報114に基づき、液晶パネル5の他方面51と第2の光学フィルムシート11とを位置合わせする第2の位置合わせ手段81と、第2の光学フィルムシート11を第2のキャリアフィルム31から剥離する第2の剥離手段61と、剥離された第2の光学フィルムシート11を液晶パネル5の他方面51に貼り合わせる第2の貼合手段91とを含むものである。
【0053】
本発明の方法および装置に装着される一対の帯状の光学フィルム積層体R1およびR2は、図1の(a)および(b)に示されるように、長方形の液晶パネル5の長辺Aまたは短辺Bに対応した幅を有する。第1の搬送ライン110には、第1の貼合位置100に向けて液晶パネル5は長辺Aを先端面に搬送される。したがって、液晶パネル5の一方面50に貼り合わされる第1の光学フィルムシート10は、その長辺y10が液晶パネル5の長辺Aの例えばアライメントマークに対応しているので、第1のキャリアフィルム30の上に幅方向を向くように連続的に支持されており、第1のキャリアフィルム30から剥離されながら、第1の貼合位置100に送られる。その際に、剥離される第1の光学フィルムシート10の先端面を構成する幅方向の一方端102および他方端103を、例えばCCDカメラからなる2つの検出手段、具体的には、第1撮像装置701および第2撮像装置702に設定された水平基準位置に対するズレ角度θ1を幅方向の位置データとして算出し、搬送される液晶パネル5は、ズレ角度θ1を修正するように姿勢が制御される。
【0054】
他方、第2の搬送ライン210には、第2の貼合位置200に向けて液晶パネル5は短辺Bを先端面に搬送される。したがって、液晶パネル5の他方面51に貼り合わされる第2の光学フィルムシート11は、その長辺y11が液晶パネル5の長辺Aの例えばアライメントマークに対応しているので、第2のキャリアフィルム31の上に長手向を向くように連続的に支持されており、第2のキャリアフィルム31から剥離されながら、第2の貼合位置200に送られる。その際に、第1の搬送ライン110と同様の貼付精度を出すために、剥離された第2の光学フィルムシート11の先端部1110のいずれかの側端部111を構成する長辺y11の先端112と後端113を、例えばCCDカメラからなる2つの検出手段、具体的には、第3撮像装置711および第4撮像装置712に設定された垂直基準位置に対するズレ角度θ2を長手方向の位置データとして算出し、搬送される液晶パネル5は、ズレ角度θ2を修正するように姿勢が制御される。
【0055】
このように、本発明は、液晶パネル5の両面に対する第1および第2の光学フィルムシートの貼合は、液晶パネル5の両面のそれぞれに貼合わせる直前に液晶パネルの長辺Aまたは短辺Bに対応する幅の異なる第1の光学フィルムシート10および第2の光学フィルムシート11の先端部を構成する幅方向および長手方向を構成するそれぞれの長辺y10および長辺y11を2個所のみで読取り、一方で水平基準位置に対するズレ角度θ1、他方で垂直基準位置に対するズレ角度θ2を算出し、それらに基づき液晶パネル5の姿勢を制御することによって、液晶パネル5の両面に高い貼付精度の貼り合わせを実現したものである。
【0056】
本発明の特徴は、図7に示されるように、第1の光学フィルムシート10の先端部1010を構成する長辺y10、および、第2の光学フィルムシート11の先端部1110を構成する長辺y11を検出するようにした実施例(a)と、同じく、第1の光学フィルムシート10の先端部1010を構成する長辺y10、および、第2の光学フィルムシート11の先端部1110を構成する短辺x11のみを検出するようにした比較例(b)とを比較した工程能力指数C値のデータから明らかになる。
【0057】
図6の表に示されるように、先端位置を2個所のみで検出して位置合わせするRTP方式による従来型の光学的表示装置の積層体を製造する方法および装
置は、全て比較例(b)の方法に基づいて行われてきた。図6の日かう例のデータからは、液晶パネル5の一方面50を第1の光学フィルムシート10の幅方向を構成する長辺y10に位置合わせして貼る合せたときのCは、貼り始めの時も貼り終わり時もC>1.67であり、駆動側も操作側のC>1.33である。これに対して液晶パネル5の他方面51を第2の光学フィルムシート11の幅方向を構成する短辺x10に位置合わせして貼る合せたときのCは、平均値で1.00を下回り、貼り始めの時も貼り終わりの時も、C<1.33であり、駆動側も操作側に至っては、C<1.00であって、従来型の光学的表示装置の積層体を製造する方法および装置において、幅方向を構成する短辺x10の2個所のみを含む検出データに基づいて液晶パネル5と光学フィルムシートとの位置合わせはできないことを示している。
【0058】
ところで、特許文献1および特許文献2には、光学フィルムシート先端を検出するエッジ検出装置と液晶パネルのアライメントマークの検出装置が開示されているが、本発明が実現した液晶パネルの両面に同等の高い貼付精度を実現するという発想は全く開示されていない。
【0059】
また特許文献3によると、貼合位置の直前でキャリアフィルムから剥離される光学フィルムシートの幅方向の両端位置を、例えばCCDカメラからなる2つの撮像装置で検出し、その検出データに基づき光学フィルムシートの先端位置を調整する一方、他方で対応するパネル部材の先端位置を読取り、パネル部材を位置調整しながら剥離された光学フィルムシートに貼り合わせることが開示されている。しかしながら、特許文献3には、特許文献1および特許文献2と同様に、幅の異なる第1および第2の光学フィルムシートの先端を構成するそれぞれの長辺のみを読取り、水平基準位置および垂直基準位置に対するそれぞれのズレ角度を算出し、それらに基づき液晶パネルの姿勢を制御するという発想は全く開示されていない。特許文献3によると、光学フィルムシートの先端面を構成する短辺の両端位置を検出するときは、本発明のような高い貼付精度を実現することは不可能であることは、図6のデータから明らかである。
【0060】
図6および図7から明らかなように、特許文献1〜3に開示された短辺による位置データを含む幅方向のみの2点位置情報のみで液晶パネル5の姿勢を制御して液晶パネル5の両面に第1および第2の光学フィルムシートを貼り合わせたとしても、同様の貼付精度を実現することはできない。
【0061】
特許文献4は、RTP方式による光学表示装置の積層体を製造する方法および装置おいて、基板に貼り合わされる前に光学フィルムシートの相当するフィルム片の先端を検出する検出手段が開示されているが、液晶パネルの両面に幅の異なる第1の光学フィルムシートおよび第2の光学フィルムシートを貼り合わせる発想は全く開示されていない。また特許文献5には、光学フィルムシートの先端部の両端位置を読み取る工程が記載されているのみで、液晶パネルの両面に幅の異なる第1の光学フィルムシートおよび第2の光学フィルムシートを貼り合わせる記載は全くなく、それは、特許文献3に記載された光学フィルムシートの先端部を構成する幅方向の両端位置の検出手段にすぎないものである。
【0062】
以上、RTP方式において製造される光学的表示装置の積層体6は、液晶パネル5の一方面50および他方面51に第1の光学フィルムシート10および第2の光学フィルムシート11を貼りわせる際に、幅の異なる第1の光学フィルムシート10および第2の光学フィルムシート11の先端を構成するそれぞれの長辺y10、y11の両端のみを読取り、それらの2個所の両端位置情報に基づいて液晶パネル5の姿勢を制御することによって、液晶パネル5の両面に対する第1の光学フィルムシート10および第2の光学フィルムシート11の貼付精度を実現したものである。したがって、本発明は、高い貼付精度を実現するために、3点以上の位置情報によらずに僅か2個所の位置情報のみで、それらと同等の貼付精度を実現しており、製造工程上の故障の確立を高めるような多数の検出手段を配備することなく、最小限度の検出手段によって高い貼付精度を可能にしたものである。
【0063】
本発明について実施例と図面により説明してきたが、本発明はこれにより限定されることはなく、本発明に属する技術分野における通常の知識を有する者により本発明の技術思想と以下の記載される特許請求の範囲の均等の範囲内で様々な修正および変形が可能であることは言うまでのないことである。

【符号の説明】
【0064】
R1:第1の光学フィルム積層体
R2:第2の光学フィルム積層体
10:第1の光学フィルムシート
y10:第1の光学フィルムシート先端を構成する幅方向の長辺
1010:第1の光学フィルムシートの先端部
102:第1の光学フィルムシートの幅方向の一方端
103:第1の光学フィルムシートの幅方向の他方端
104:第1の光学フィルムシートの幅方向の両端位置情報
11:第2の光学フィルムフィルム
y11:第2の光学フィルムシート先端を構成する長手方向の長辺
1110:第2の光学フィルムシートの先端部
111:第2の光学フィルムシートの先端部を構成する側端部
112:第2の光学フィルムシートの長手方向の側端部を構成する先端
113:第2の光学フィルムシートの長手方向の側端部を構成する後端
114:第2の光学フィルムシートの長手方向の両端位置情報
30:第1のキャリアフィルム
31:第2のキャリアフィルム
5:液晶パネル
6:積層体
50:液晶パネルの一方面(TFT側面)
51:液晶パネルの他方面(CF側面)
60:第1の剥離手段
601:第1頂部
61:第2の剥離手段
611:第2頂部
70:第1検出位置
701:第1検出手段または第1撮像装置
702:第2検出手段または第2撮像装置
71:第2検出位置
711:第3検出手段または第3撮像装置
712:第4検出手段または第4撮像装置
80:第1の位置合わせ手段
81:第2の位置合わせ手段
90:第1の貼合手段
91:第2の貼合手段
100:第1の貼合位置
110:第1製造ライン
120:第1の貼合ステーション
200:第2の貼合位置
210:第2製造ライン
220:第1の貼合ステーション

【要約】      (修正有)
【課題】長方形の液晶パネルの両面に対応する大きさの光学フィルムシートを、液晶パネルの両面に精度の高い位置決めにより積層した積層体の製造方法および装置を提供する。
【解決手段】長方形の液晶パネルの両面に、対応した幅または長さを有する第1の光学フィルムシートおよび第2の光学フィルムシートを、それらを連続的に支持する帯状の第1のキャリアフィルムおよび第2のキャリアフィルムから剥離し、貼り合せる光学的表示装置のための積層体の製造において、長方形の第1の光学フィルムシートおよび第2の光学フィルムシートの長辺の両端位置の2個所のみを検出し、これらの両端位置情報に基づき、光学フィルムシートに各々に対応する液晶パネルの両面の各々を位置合せし、第1のキャリアフィルムおよび第2のキャリアフィルムの各々から第1の光学フィルムシートおよび第2の光学フィルムシートを剥離し、液晶パネルの両面に貼り合わせる。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9