(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356906
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】噴霧可能な炭素繊維エポキシ材料および方法
(51)【国際特許分類】
B05D 7/24 20060101AFI20180702BHJP
C09D 163/00 20060101ALI20180702BHJP
C09D 163/02 20060101ALI20180702BHJP
C09D 163/04 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
B05D7/24 302U
B05D7/24 303G
C09D163/00
C09D163/02
C09D163/04
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-512653(P2017-512653)
(86)(22)【出願日】2015年5月12日
(65)【公表番号】特表2017-523042(P2017-523042A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】US2015030295
(87)【国際公開番号】WO2015175482
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2017年1月10日
(31)【優先権主張番号】61/991,768
(32)【優先日】2014年5月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516340054
【氏名又は名称】ディバーシファイド ケミカル テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】イーダラ,ラジャン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ,ビジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ,ロイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ,ジョリベス
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ,アーノルド
【審査官】
伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】
特表平09−505109(JP,A)
【文献】
特開昭57−021450(JP,A)
【文献】
特開2005−028802(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/146833(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00− 7/26
C09D 7/00− 7/80,
163/00−163/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を補強する方法であって、
10重量%〜60重量%のビスフェノールAのジグリシジルエーテルと5重量%〜25重量%のエポキシフェノールノボラック樹脂との硬化性樹脂混合物、および
5重量%〜25重量%の炭素繊維を含む補強材料
を含む組成物を物品へ塗布するステップ、ならびに
前記組成物を硬化させるステップ
を含む方法であって、
前記ビスフェノールAのジグリシジルエーテルの少なくとも一部が、エラストマーが付加された、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含み、
前記エポキシフェノールノボラック樹脂の少なくとも一部が、エラストマーが付加されたエポキシフェノールノボラック樹脂を含む、方法。
【請求項2】
前記硬化性樹脂混合物の粘度が、未硬化状態において、50,000〜600,000cPsの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物を前記物品へ塗布するステップが、前記物品の少なくとも1つの表面に前記組成物がないように、前記組成物を前記物品の一部にだけ塗布することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が前記物品へ、0.1〜3.0mmの範囲の厚さで塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記物品へ塗布される前記組成物の厚さが均一である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記物品へ塗布される前記組成物の厚さが変化する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記物品が、0.9mm以下の厚さを有する鋼板を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記物品が、円筒状部材、タンク、フラットパネル、湾曲パネル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記補強材料が、50〜150ミクロンの範囲の長さを有する炭素繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、硬化剤、ゴム、カーボンブラック、ウレタン、カップリング剤および鉱物充填剤のうち、1種または複数を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに付加された前記エラストマーが、カルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリルエラストマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記エポキシフェノールノボラック樹脂に付加された前記エラストマーが、カルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリルエラストマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記物品が、前記材料を塗布する前に、下塗り剤組成物で少なくとも部分的にコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法により作製される、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は2014年5月12日に出願された米国仮特許出願第61/991,768号明細書の優先権の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に物品を補強する材料および方法に関する。特定の態様では、金属物品を補強する方法および材料に関するが、本発明の方法および材料は、ポリマーベースの物品を補強するのにも使用され得る。具体的には、本発明は物品を補強するための、噴霧可能な硬化性コーティングを利用する方法および材料に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車、家電、燃料タンク、流体輸送システム、および他のこのような物品は、しばしば、シート素材から製造される。製造業者は、一般的に製造される物品の重量および/またはコストを低減するように比較的薄いシート素材を使用することを好む。しかし、シート素材を薄くすると、その強度は低下するので、これが最終の製造物品の耐久性および外観の問題を引き起こし得る。例えば、自動車産業は、その製造に、より薄い鋼素材またはアルミニウム素材を利用することにより自動車の重量を減少させ、従って、燃料効率を増大させることを求めている。しかし、より薄い素材の使用は、車両の外観を損ねるだけでなく構造欠陥を引き起こし得る。
【0004】
以下に詳細に説明するように、本発明は、物品、例えば板金物品などに、比較的軽量で高強度の補強材の層を塗布することにより、物品を補強する材料および方法を提供する。これは、物品の強度および外観を維持しながら、その総重量を減少させる。
【発明の概要】
【0005】
本発明は以下を提供する。
[1]物品を補強する方法であって、
10重量%〜60重量%のビスフェノールAのジグリシジルエーテルと5重量%〜25重量%のエポキシノボラックとの硬化性樹脂混合物、および
5重量%〜25重量%の炭素繊維を含む補強材料
を含む組成物を物品へ塗布するステップ、ならびに
上記組成物を硬化させるステップ
を含む方法。
[2]上記硬化性樹脂混合物の粘度が、未硬化状態において、50,000〜600,000cPsの範囲である、上記[1]に記載の方法。
[3]上記組成物を上記物品へ塗布するステップが、上記物品の少なくとも1つの表面に上記組成物がないように、上記組成物を上記物品の一部にだけ塗布することを含む、上記[1]に記載の方法。
[4]上記組成物が上記物品へ、0.1〜3.0mmの範囲の厚さで塗布される、上記[1]に記載の方法。
[5]上記物品へ塗布される上記組成物の厚さが均一である、上記[1]に記載の方法。
[6]上記物品へ塗布される上記組成物の厚さが変化する、上記[1]に記載の方法。
[7]上記物品が、0.9mm以下の厚さを有する鋼板を含む、上記[1]に記載の方法。
[8]上記物品が、円筒状部材、タンク、フラットパネル、湾曲パネル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、上記[1]に記載の方法。
[9]上記補強材料が、50〜150ミクロンの範囲の長さを有する炭素繊維を含む、上記[1]に記載の方法。
[10]上記組成物が、硬化剤、ゴム、カーボンブラック、ウレタン、カップリング剤および鉱物充填剤のうち、1種または複数を更に含む、上記[1]に記載の方法。
[11]上記ビスフェノールAのジグリシジルエーテルの少なくとも一部が、エラストマーが付加されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む、上記[1]に記載の方法。
[12]上記エラストマーが、カルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリルエラストマーを含む、上記[11]に記載の方法。
[13]上記エポキシフェノールノボラック樹脂の少なくとも一部が、エラストマーが付加されたエポキシフェノールノボラック樹脂を含む、上記[1]に記載の方法。
[14]上記エラストマーが、カルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリルエラストマーを含む、上記[13]に記載の方法。
[15]上記物品が、上記材料を塗布する前に、下塗り剤組成物で少なくとも部分的にコーティングされる、上記[1]に記載の方法。
[16]上記[1]に記載の方法により作製される、物品。
[17]物品を補強する方法であって、
ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびエポキシノボラックの硬化性樹脂混合物と、その中に分散された補強材料とを含む組成物を上記物品へ塗布するステップと、
上記組成物を硬化させるステップと
を含む方法。
材料の比較的薄い物体から製作される物品、例えば、自動車の車体パネル、タンク、またはチューブ等を補強する方法を開示する。該方法は、物品の表面の少なくとも一部に組成物を塗布することを含み、その組成物は分散された補強材料を中に有する硬化性樹脂の混合物を含む。具体的には、樹脂材料は、中に炭素繊維補強材を分散させた、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとエポキシノボラック樹脂との混合物を含んでもよい。組成物は硬化されて、物品を補強する高強度のコーティングを生成する。硬化は加熱式でもよく、熱硬化プロセスを、塗装ステップまたは他の製造ステップと統合してもよい。
【0006】
いくつかの特定の例において、組成物は、10重量%〜60重量%のビスフェノールAのジグリシジルエーテル、5重量%〜25重量%のエポキシノボラック、および5重量%〜25重量%の炭素繊維補強材を含む。本発明の硬化性組成物は、その未硬化状態において、50,000〜600,000cPsの範囲の粘度を有しうる。塗布層の厚さは0.1〜3.0mmの範囲であってもよく、この厚さは、均一であってもよく、またはそれは、物品の部分により変化してもよい。コーティングの塗布は、噴霧、押出コーティング、ディップコーティング、またはショベリングなどによって達成され得る。
【0007】
本発明のコーティングは洗い落ちし難く、そうでなければ処理槽、例えば、自動車または他の物品を製作するプロセスにおいて通常使用されるタイプのリン酸塩処理槽または電着塗装槽を汚染することに注目すべきである。また、本発明のコーティングは溶接可能であることも重要である。
【0008】
また、本発明の特定の組成物が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、多くの実施形態において、ならびに、金属および/またはポリマー原料から製作される自動車車体部品、電化製品、家具、タンク、パイプならびに他の平面状および管状物品を含む多くの様々な物品の補強に関して実行され得るが、これらに限定されない。本発明の基本的な実施では、物品は、その表面の一方の少なくとも一部を、分散された補強材を中に有する硬化性ポリマー組成物でコーティングすることにより補強される。特定の実施形態では、コーティングは、物品上に組成物を噴霧することで実施され得る。他の例では、コーティングは、物品塊に材料体を押し出すこと、物品上に材料の層を塗装すること、または当業者に公知で明白な任意の他の方法により、実施され得る。
【0010】
本発明の組成物は、熱硬化性樹脂、例えば熱硬化性エポキシ樹脂等、またはこのような樹脂の混合物を含んでもよく、補強材は、繊維材料、例えばガラス繊維または炭素繊維などを含んでもよい。他の例では、補強材は、天然繊維、鉱物繊維、セラミック繊維、およびポリマー繊維、例えばポリイミド繊維またはポリアミド繊維などを含んでもよい。
【0011】
いくつかの例では、補強コーティングは、物品の内側および/または外側の表面全体に塗布される。例えば、コーティングを、自動車パネルの内側表面の全体に塗布してもよい。コーティングすることで、パネルの一部の内部表面上の樹脂塊の輪郭がパネルの外側表面上に対応する輪郭を生じる、パネルの表側の可視可能な表面上での「リードスルー」を防止することが分かった。他の例では、物品の一部のみをコーティングする場合があるが、懸念されない。いくつかの例では、コーティングは物品に均一な厚さで塗布されるのに対して、他の例では、特に物品の表面が湾曲している場合に、コーティングの厚さは、物品の表面曲率および/または強度要件の関数として変化し得る。このような例においては、異なる厚さの変化する剛性は、成形品の寸法安定性に寄与し得ることが分かった。
【0012】
硬化ステップは、その後、次の加熱ステップ、例えば塗料被膜を硬化させるために利用されるステップと調整することができるので、熱硬化性組成物の使用は、いくつかの製造方法において特に有利であることが分かった。このような例では、物品に該組成物を塗布し、次いで予備硬化または部分硬化させることにより、組成物の粘度を高めて、コーティング物品の移動または粘着を防止することが、有利となり得る。予備硬化の後、物品を、組立ステップおよび塗料硬化ステップなどのさらなる処理ステップに搬送することができる。
【0013】
特定の一実施形態において、本発明は、板金物品、例えば、自動車の車体パネル、構造パネル、家具、家電、パイプまたは他の管状部材、燃料タンクおよび他の容器等を補強する組成物を含有する熱硬化性エポキシ樹脂系炭素繊維を利用する。組成物のある一般的な群において、樹脂成分は、組成物の約50重量%を構成し、炭素繊維補強材は、組成物の約15〜20重量%を構成する。
【0014】
組成物は更に、硬化剤およびカーボンブラック、珪灰石、ヒュームドシリカ、粉砕ゴムなどの充填剤を含んでもよい。一般的に、このタイプの組成物は、カップリング剤または結合剤、例えば、炭素繊維および充填剤などの組成物中で樹脂成分を他の固体へ接合するのを助けるシラン系材料など、も含む。カップリング剤または結合剤は、補強される物品に材料を接合するのにも有用であり得る。他の樹脂、例えばウレタン等を組成物中に含むこともでき、それらは硬化組成物の硬度、弾性、粘性、または他の物理的特性を変性するように機能する。
【0015】
本発明の例示的組成物のある群は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびエポキシフェノールノボラック樹脂を含むエポキシ樹脂の混合物を利用する。このタイプの組成物は、更に非エポキシ樹脂、例えばウレタンなどを含み得る。組成物は、補強繊維、例えば炭素繊維などだけでなく、更に硬化剤、充填剤、およびカップリング剤を含む。下記の表1は、本発明の例示的な組成物の群の成分を、一般的な化学名だけでなく、商品名によっても示す。但し、表1は、この一般的なタイプの他の組成物中に存在し得るような様々な成分の重量範囲だけでなく、特定の組成物の実際の重量パーセントも提供する。
【0017】
表1の組成物において、成分2および4は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む。但し、成分4の樹脂は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルにカルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリルエラストマーを付加することにより変性される。成分3および6は、エポキシフェノールノボラック樹脂を含む。同様に、成分6のエポキシフェニルノボラックは、カルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリルエラストマーを付加されている。成分7は、別のジグリシジルエーテルエポキシ樹脂であり、これらの成分は、組成物のベースの硬化性樹脂部を形成する。
【0018】
表1の特定の組成物は、成分1および5として識別される他の硬化性樹脂成分を含む。成分1は、硬化性ビスフェノールAエポキシ樹脂内に配置されるゴム粒子を含む製品である。成分5は、仕上げコーティングに靭性を提供するために使用される硬化性ウレタン樹脂である。
【0019】
本発明の組成物は、その中に補強材を含み、補強材は、表1の材料において、主に成分9として識別される炭素繊維である。他の補強材、例えば、ガラス繊維、および有機繊維等も、類似の組成物中で用いることができる。一般的に、カップリング剤は、樹脂成分が、使用される基材にだけでなく、補強材にも接着できるように、組成物中に含まれる。表1の組成物では、カップリング剤は、成分8として識別されるオルガノシラン−エポキシ材料を含む。
【0020】
組成物はまた、樹脂成分の硬化を促進する硬化剤も含む。表1の組成物において、硬化剤は、物品12、すなわち微粉化ジシアンジアミドを含む。他の硬化剤は公知であり、当業者に入手可能であり、同様に使用され得る。用いられる硬化剤の特定の種類および量は、特定の組成物中で利用される特定の樹脂の性質にある程度依存し、当業者によって容易に選択され得る。表1の組成物はまた、充填剤も含み得る。そして、具体的に本明細書に示されるように、これらの充填剤は、前述の成分1のゴム材料だけでなく、成分10として識別されるカーボンブラックと、鉱物充填剤、例えば成分11に示されるような珪灰石と、成分13として識別されるヒュームドシリカとを含み得る。
【0021】
本発明の組成物の成分配合は、使用される特定の材料に依存する。表1の組成物を調製する1つの方法に従って、温度制御冷却機を有する混合システムに成分1〜8を順に追加する。成分を、様々な低および高剪断条件下で約20分間混合する。それに続いて、成分9〜11を混合物に添加し、90°F未満に材料温度を維持しながら、低剪断力と高剪断力を交互に行う条件下で再びブレンドする。第2ステップに続いて、物品12〜13を順にミキサーに添加し、すべての粉末成分が湿潤されるまで、混合を10分間実施する。その後、ミキサー内を真空にし、低剪断条件下で15分間混合し続け、最終生成物を生成する。上述のタイプの組成物は、一般的にガロン当たり10〜12ポンドの範囲の密度を有する。これらの組成物の粘度は、一般的に50,000〜600,000cPsの範囲であり、組成物はグレーブラックの色を有する。
【0022】
表1の特定の組成物に対応する材料を、一連の厚さ0.60mmの同一の鋼パネルに厚みを変えて塗布し、コーティングされたサンプルの曲げ強度を、3点法により圧縮および引張の両方で測定した。ここで、コーティングされたパネルは離間した2点で第1の表面に支持され、力は、2つの支持点間の1点に反対側の面から印加される。圧縮モードでは、力は、基材上にコーティング材料を有する側から印加され、引張モードでは、力は鋼基材のコーティングされていない側から印加される。同様に、厚さ0.65mm、0.7mm、0.8mm、および0.9mmの鋼の曲げ強度を引張で測定した。試験の結果を以下の表2に要約する。
【0024】
分かるように、本発明の材料は、それを塗布した鋼基材の曲げ強度を著しく増加させる。同様の結果が、表3に示すアルミニウム基板を用いても見出された。
【0026】
本発明のコーティングの破壊靭性は、一般的には0.5〜0.6KJ/m
2の範囲である。本発明の組成物の剥離強度は、コーティング材料により結合された2つの基材要素を引き離すために必要な力により測定され、鋼およびアルミニウムの両方の基材では約16MPaである。
【0027】
本発明の組成物は、それらを塗布した基材の構造的完全性を非常に高める。更に、未硬化のコーティング材料は、比較的長期間安定に保管でき、大幅な表面処理を必要とすることなく基材に容易に塗布できる。硬化したコーティングは、広い温度範囲にわたって寸法に関して安定している。それらは、耐食性であり、塩水や大気汚染物質による劣化に耐性である。
【0028】
本発明の実施において、補強組成物を、ロボットまたは手作業のいずれかで物品に塗布することができる。塗布は噴霧、押出コーティング、ディップコーティング、またはショベリング等を含むプロセスにより達成され得るが、これらに限定されない。組成物を、物品の全体に、または表面の一部のみに塗布してもよい。前述の説明は、主に金属物品に組成物を塗布することに関係するが、本発明はまた、複合材料物品、例えば、航空宇宙産業で利用されるタイプの繊維補強複合材料等を含むポリマーベースの物品の補強に関して、重要な有用性を有するであろうことを理解すべきである。前述の説明は、主に熱硬化組成物を論じたが、本発明は、化学的硬化材料または光化学硬化材料に関しても実施され得ることを理解すべきである。
【0029】
前出の考察、説明、および付録は、本発明の特定の態様および実施形態を説明するが、その実施を制限するものではない。本発明の他の実施形態は、本明細書に提示される教示に鑑みて当業者には明らかであろう。なお、以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義するすべての均等物を含む。