特許第6356951号(P6356951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6356951-易開封性容器蓋 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356951
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】易開封性容器蓋
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/32 20060101AFI20180702BHJP
   B65D 53/06 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   B65D41/32
   B65D53/06
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-172342(P2013-172342)
(22)【出願日】2013年8月22日
(65)【公開番号】特開2015-40060(P2015-40060A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年7月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】大久保 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】市村 克仁
【審査官】 田口 傑
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−174266(JP,A)
【文献】 特開2003−034345(JP,A)
【文献】 実開昭61−080256(JP,U)
【文献】 実開昭62−038856(JP,U)
【文献】 実開昭61−080259(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/32
B65D 53/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面上端部には環状係止突条が形成されている円筒形口頸部を有し且つ気体含有液体が収容された後に口頸部が密封され内部が正圧になる容器のための易開封性容器蓋であって、
平坦な円形天面壁、該天面壁の周縁から縦断面図において半径方向外方及び下方に円弧状に延び、次いで下方に鉛直に延びるスカート壁、及び該スカート壁の下端から延出する把持片を含み、該天面壁及び該スカート壁と共に該把持片の少なくとも基部は金属薄板から一体に形成されており、該把持片の両側から該スカート壁を上方に延びる第一の部分及び該第一の部分に続いて該スカート壁の上端乃至天面壁の周縁を円弧状に延びる第二の部分を有する一対のスコアが形成されているシェルと、該シェルの該天面壁の内面上で合成樹脂素材を型押成形することによって形成された円板形合成樹脂製ライナーとから構成されている、易開封性容器蓋において、
該ライナーはその全面に渡って該天面壁の内面に接着されており、
該一対のスコアの該第二の部分は該シェルの内面側に溝を形成することによって形成されており且つ該ライナーよりも半径方向外側を該ライナーの周縁に沿って延在せしめられており、
該ライナーは薄肉中央部と厚肉周縁部を有し
ライナーの該薄肉中央部は0.15乃至0.30mmの厚さを有し、該厚肉周縁部は0.45乃至0.75mmの厚さを有
該厚肉周縁部の半径方向外側領域には下方に垂下する外側突条が形成され、該厚肉周縁部の半径方向内側領域には下方に垂下する内側突条が形成され、
該外側突条は円錐台形状内周面を有し、該内側突条は逆円錐台形状外周面を有し、
該外側突条の該円錐台形状内周面と該内側突条の該逆円錐台形状外周面との間において該厚肉周縁部の厚さは一定であり、
該薄肉中央部の直径D3は該容器の該口頸部の内径D1よりも大きく、該厚肉周縁部の外径D4は該容器の該口頸部の該外周面上端部に形成されている該環状係止突条の外径D2よりも小さく、
易開封性容器蓋が該容器の該口頸部に装着されると該外側突条は該口頸部の頂面に沿って半径方向外方に延在せしめられ、該内側突条は該口頸部の頂面に沿って半径方向内側に延在せしめられる、
ことを特徴とする易開封性容器蓋。
【請求項2】
該外側突条は、該厚肉周縁部の下面から1.00乃至1.40mm突出する、請求項1記載の易開封性容器蓋。
【請求項3】
該内側突条は該厚肉周縁部の下面から0.50乃至0.70mm突出する、請求項1又は2記載の易開封性容器蓋。
【請求項4】
該シェルの該天面壁及び該スカート壁と共に該把持片の少なくとも基部は厚さが0.17乃至0.19mmのアルミニウム基合金薄板から形成されており、該一対のスコアの該第一の部分の破断開始端部の残留厚さは150乃至170μmであり、該第一の部分の残部の残留厚さは135乃至155μmであり、該第二の部分の残留厚さは105乃至125μmである、請求項1からまでのいずれかに記載の易開封性容器蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周面上端部には環状係止突条が形成されている円筒形口頸部を有し且つ気体含有液体が収容された後に口頸部が密封されて内部が正圧になる容器のための易開封性容器蓋であり、平坦な円形天面壁、天面壁の周縁から縦断面図において半径方向外方及び下方に円弧状に延び、次いで下方に鉛直に延びるスカート壁及びスカート壁の下端から延出する把持片を含むシェルとこのシェルの天面壁の内面上で合成樹脂製素材を型押成形することによって形成されている合成樹脂製ライナーとから構成されている形態の易開封性容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び2には、殊に気体含有液体が収容される容器、従って容器の口頸部に容器蓋を装着して口頸部を密封した後に容器内は正圧になる容器、のための易開封性容器蓋として、円形天面壁、天面壁の周縁から縦断面図において半径方向外方に向かって下方に円弧状に延び、次いで下方に鉛直に延びるスカート壁及びスカート壁の下端から延出する把持片を含むシェルと、このシェルの天面壁の内面に配設された円板形合成樹脂製ライナーとから構成された易開封性容器が開示されている。シェルの天面壁及びスカート壁と共に把持片の少なくとも基部はアルミニウム基合金薄板の如き金属製薄板から形成されている。シェルには、更に、把持片の両側からスカート壁を上方に延びる第一の部分及び第一の部分に続いて天面壁の周縁を延びる第二の部分を有する一対のスコアが形成されている。ライナーは、シェルの天面壁の内面上で合成樹脂素材を型押成形することによって形成される。一対のスコアの上記第二の部分はライナーの外周縁よりも半径方向内側に位置せしめられている。そして、一対のスコアの上記第二の部分を破断する際にライナーの存在によって破断が阻害されることを回避するために、少なくともスコアの上記第二の部分が延在する領域において、ライナーはシェルの天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着状態にせしめられている。
【0003】
また、下記特許文献3には、加熱した状態の液体が収容される容器、従って容器の口頸部に容器蓋を装着して口頸部を密した後に容器内は負圧になる容器、のための易開封性容器蓋として、ライナーの厚肉周縁部に環状溝を形成し、かかる溝によって区画された両側部分を互いに干渉することなく変形可能にせしめて、かくして容器の口頸部に装着された容器蓋に衝撃が加えられた場合でも口頸部の密封毀損が可及的に回避されるようにせしめた易開封性容器蓋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−174266号公報
【特許文献2】特開2011−173594号公報
【特許文献3】特開2003−34345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1及び2に開示されている形態の易開封性容器蓋においては、特定領域においてライナーを天面壁の内面に対して局部的に非接着乃至弱接着状態にせしめることが必要であり、そのためには例えば特定領域において天面壁の内面にライナーに対して非接着乃至弱接着特性を有する被膜を局部的に配設することが必要であり、易開封性容器蓋の製造工程が幾分煩雑になり、これに起因して製造コストが上昇してしまう。また、特定領域においてライナーが天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着状態であることに起因して、ライナーを型押成形した型押工具をライナーから離隔する際に、ライナーの周縁部が型押工具から円滑に離隔されず、ライナーが変形乃至損傷されてしまう傾向があり、かかる傾向を回避するためにはライナーの中央部及び周縁部の肉厚を比較的厚くしてライナーの剛性を増大せしめることが必要であり、それ故にライナーを成形するための合成樹脂素材の必要量が増大し、かかる事実からも製造コストが増大してしまう。
【0006】
一方、上記特許文献3に開示されている易開封性容器蓋においては、溝を形成して溝の両側部を互いに干渉することなく変形可能にせしめるために、一般にライナーの周縁部の厚さを相当大きくする必要があり、従ってライナーを成形するための合成樹脂素材の必要量が増大し、製造コストが増大してしまう。また、上記特許文献3に開示されている易開封性容器蓋のライナーの特性、即ち溝の両側部が互いに干渉することなく変形可能であるという特性、は容器の口頸部に容器蓋を装着して口頸部を密着した後に容器内は負圧になる容器に適用された場合にのみ有効であり、上記特許文献3に開示されている易開封性容器蓋は、容器の口頸部に容器蓋を装着して口頸部を密封した後に容器内は正圧になる容器には適さない。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、ライナーを型押成形する際にライナーが変形乃至損傷されてしまうことがなく、且つ容器蓋に衝撃が加えられても口頸部の密封が毀損されることが可及的に回避されるにも拘らず、製造コストを充分に低減せしめることができる、新規且つ改良された易開封性容器蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、鋭意研究及び実験の結果、(1)ライナーをその全面に渡って天面壁の内面に接着せしめ、(2)一対のスコアの少なくとも第二の部分はシェルの内面側に溝を形成することによって形成し且つライナーより半径方向外側をライナーの周縁に沿って延在せしめ、そして更に(3)ライナーを、薄肉中央部と厚肉周縁部を有し、厚肉周縁部の半径方向外側領域には下方に垂下する外側突条が形成され、厚肉周縁部の半径方向内側領域には下方に垂下する内側突条が形成されている形態にせしめ、(4)薄肉中央部の直径及び厚さと厚肉周縁部の外径及び厚さを所要範囲に設定することによって、上記主たる技術的課題を達成できることを見出した。
【0009】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する易開封容器蓋として、外周面上端部には環状係止突条が形成されている円筒形口頸部を有し且つ気体含有液体が収容された後に口頸部が密封され内部が正圧になる容器のための易開封性容器蓋であって、
平坦な円形天面壁、該天面壁の周縁から縦断面図において半径方向外方及び下方に円弧状に延び、次いで下方に鉛直に延びるスカート壁、及び該スカート壁の下端から延出する把持片を含み、該天面壁及び該スカート壁と共に該把持片の少なくとも基部は金属薄板から一体に形成されており、該把持片の両側から該スカート壁を上方に延びる第一の部分及び該第一の部分に続いて該スカート壁の上端乃至天面壁の周縁を円弧状に延びる第二の部分を有する一対のスコアが形成されているシェルと、該シェルの該天面壁の内面上で合成樹脂素材を型押成形することによって形成された円板形合成樹脂製ライナーとから構成されている、易開封性容器蓋において、
該ライナーはその全面に渡って該天面壁の内面に接着されており、
該一対のスコアの該第二の部分は該シェルの内面側に溝を形成することによって形成されており且つ該ライナーよりも半径方向外側を該ライナーの周縁に沿って延在せしめられており、
該ライナーは薄肉中央部と厚肉周縁部を有し
ライナーの該薄肉中央部は0.15乃至0.30mmの厚さを有し、該厚肉周縁部は0.45乃至0.75mmの厚さを有
該厚肉周縁部の半径方向外側領域には下方に垂下する外側突条が形成され、該厚肉周縁部の半径方向内側領域には下方に垂下する内側突条が形成され、
該外側突条は円錐台形状内周面を有し、該内側突条は逆円錐台形状外周面を有し、
該外側突条の該円錐台形状内周面と該内側突条の該逆円錐台形状外周面との間において該厚肉周縁部の厚さは一定であり、
該薄肉中央部の直径D3は該容器の該口頸部の内径D1よりも大きく、該厚肉周縁部の外径D4は該容器の該口頸部の該外周面上端部に形成されている該環状係止突条の外径D2よりも小さく、
易開封性容器蓋が該容器の該口頸部に装着されると該外側突条は該口頸部の頂面に沿って半径方向外方に延在せしめられ、該内側突条は該口頸部の頂面に沿って半径方向内側に延在せしめられる、
ことを特徴とする易開封性容器蓋が提供される。
【0010】
好適には、該外側突条は、該厚肉周縁部の下面から1.00乃至1.40mm突出し、該内側突条は該厚肉周縁部の下面から0.50乃至0.70mm突出する。該シェルの該天面壁及び該スカート壁と共に該把持片の少なくとも基部は厚さが0.17乃至0.19mmのアルミニウム基合金薄板から形成されており、該一対のスコアの該第一の部分の破断開始端部の残留厚さは150乃至170μmであり、該第一の部分の残部の残留厚さは135乃至155μmであり、該第二の部分の残留厚さは105乃至125μmであるのが好都合である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の易開封性容器蓋においては、ライナーはその全面に渡ってシェルの天面壁の内面に接着されており、従って特定領域において天面壁の内面にライナーに対して非接着乃至弱接着特性を有する被膜を局部的に配設する必要がなく、製造コストの増大を回避することができる。また、ライナーはその全面に渡ってシェルの天面壁の内面に接着されている故に、ライナーの中央部及び周縁部の肉厚を比較的厚くしてライナーの剛性を増大せしめる必要なくしてライナーの周縁部から型押工具を円滑に離隔することができ、かかる事実からも製造コストの増大を回避することができる。加えて、ライナーの中央部及び周縁部の肉厚が適正範囲に設定されている故に、ライナーの型押成形の際に合成樹脂素材の流動に支障を生成せしめることがな(ライナーの薄肉中央部の厚さを過剰に小さくせしめると、ライナーを型押成形する際に合成樹脂素材が周縁部まで良好に流動せず、ライナーの型押成形が困難になる)。そしてまた、所定厚さを有するライナーの厚肉周縁部には所要形状の外側突条及び内側突条が形成されており、容器蓋に衝撃が加えられても口頸部の密封が毀損されることが可及的に回避される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を示す斜面図。
図2図1に示す容器蓋の断面図。
図3図1に示す容器蓋のシェルに形成されたスコアを示す部分断面図。
図4図1に示す容器蓋を容器の口頸部に装着して口頸部を密封した状態を、一部を断面で示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に従って構成された易開封性容器蓋の好適実施形態を示す添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0014】
図1及び図2を参照して説明すると、全体を番号2で示す容器蓋は、シェル4とライナー6とから構成されている。
【0015】
シェル2は円形天面壁8、この天面壁8の周縁から垂下するスカート壁10及びスカート壁10の下端から延出する把持片12を有する。天面壁8はその全体に渡って平坦である。スカート壁10は、天面壁8の周縁から半径方向外方及び下方に図2(縦断面図)において円弧状に延び、次いで実質上鉛直に下方に延びている。図2を参照することによって明確に理解される如く、図示の実施形態においては、天面壁8及びスカート壁10と共に把持片12の基部14は、金属薄板、好ましくは厚さが0.17乃至0.19mm程度であるアルミニウム基合金、に打ち抜き加工及び絞り加工の如き適宜の加工を加えることによって一体に形成されている。シェル4を形成するための金属薄板の片面、即ちシェル4の内面に対応する面、にはシェル4の天面壁8上で合成樹脂素材を型押成形することによって形成されるライナー6をシェル4の内面に接着せしめるための接着性塗料が塗布されている(しかしながら、シェル4の内面とライナー6とを局部的非接着にせしめるための非接着性塗料を上記接着性塗料上に局部的に塗布する必要はない)。金属薄板の他面、即ちシェル4の外面に対応する面、には適宜の保護塗料を塗布し、そしてまた所要印刷を施すことができる。
【0016】
把持片12の基部14の両側において、スカート壁10の下端部には切欠16a及び16bが形成されている。把持片12は上記基部14とこれに連結されたリング形状部18とから構成されている。把持片12のリング形状部18は、把持片12の基部14を所謂中子として、ポリプロピレン又はポリエチレンの如き適宜の合成樹脂材料から射出成型乃至圧縮成形することによって、成形と同時に基部14に連結することができる。所望ならば、把持片12の全体を、天面壁8及びスカート壁10と共に金属薄板から一体に形成することもできる。
【0017】
図1及び図2と共に図3を参照して説明を続けると、シェル4には、更に、一対のスコア20a及び20bが形成されている。一対のスコア20a及び20bの各々は、スカート壁10における把持片12の両側、更に詳しくは上記切欠16a及び16b、からスカート壁10を上方に延びる第一の部分20a−1及び20b−1並びにスカート壁10の上端を円弧状に延びる第二の部分20a−2及び20b−2を有することが重要である。所望ならば、第二の部分20a−2及び20b−2を天面壁8の周縁を円弧状に延びる形態にせしめることもできる。図示の実施形態においては、一対のスコア20a及び20bは、上記第二の部分20a−2及び20b−2から更にスカート壁10を下方に延びる延出端部20a−3及び20b−3(スコア20bの第三の部分20b−3は図示していない)も含んでいる。一対のスコア20a及び20bの少なくとも第二の部分20a−2及び20b−2は、シェル4の成形の際、更に詳しくは絞り加工を加える際に、一対のスコア20a及び20bが破断されてしまうことを回避するために、シェル4の外面ではなく内面に溝を形成することによって形成されていることが重要である。図示の実施形態においては、一対のスコア20a及び20bの全体がシェル4の内面に溝を形成することによって形成されている。シェル4の天面壁8及びスカート壁10と共に把持片12の基部14は厚さが0.17乃至0.19mm程度であるアルミニウム基合金から形成されている場合、一対のスコア20a及び20bの偶発的破断の回避及び開封の際の破断特性等の点から、一対のスコア20a及び20bの第一の部分20a−1及び20b−1の破断開始端部、即ち切欠16a及び16bから略1mm程度の範囲、の残留厚さは150乃至170μm程度で、第一の部分20a−1及び20b−1の残部の残留厚さは135乃至155μm程度で、第二の部分20a−2及び20b−2並びに延出端部20a−3及び20b−3の残留厚さは105乃至125μm程度であるのが好ましい。
【0018】
図2及び図3を参照して説明を続けると、ライナー6は低密度ポリエチレンの如き適宜の合成樹脂素材を軟化乃至溶融状態でシェル4の天面壁8の内面に供給し所要型押工具を作用せしめて型押成形することによって形成され、上記接着性塗料の存在に起因してその全体に渡ってシェル4の内面に接着せしめられる。ライナー6は全体として円板形であり、薄肉中央部22と厚肉周縁部24とを有する。容器の口頸部の内径D1よりも1.0乃至2.5mm程度大きい直径D3を有するのが好都合である薄肉中央部22は、0.15乃至0.30mmの厚さT1を有することが重要である。必要合成樹脂量を低減せしめて製造コストを低下せしめるためには薄肉中央部22の厚さを可及的に小さくせしめることも意図され得るが、薄肉中央部22の厚さを過小に設定すると、ライナー6を型押成形する際に合成樹脂素材が所要とおりに流動することが困難になり、そしてまたライナー6を成形する際のシェル2の内面に対する型押工具の下降長許容誤が過小になり、ライナー6を所要とおりに型押成形することが著しく困難になる。
【0019】
容器の口頸部における環状係止突条の外径D2よりも0.25乃至0.45mm程度小さい外径D4を有するのが好都合である厚肉周縁部24は、0.45乃至0.75mmの厚さT2を有することが重要である。厚肉周縁部24の厚さが過小になると、後述する実施例及び比較例から理解される如く、容器蓋2の耐衝撃性(衝撃を受けた場合の密封性の毀損性)が不充分になり、一方厚肉周縁部24の厚さが過大になると、ライナー6を成形するための必要合成樹脂量が過大になり製造コストが増大する。ライナー6の厚肉周縁部24の半径方向外側領域には下方に垂下する外側突条26が形成されていることが重要である。この外側突条26は実質上鉛直に延在する円筒形外周面及び下方に向かって半径方向外方に傾斜して延びる円錐台形内周面を有する。外側突条26は厚肉周縁部24の下面から下方に1.00乃至1.40mmである長さL1だけ突出しているのが好都合である。外側突条26の突出長さが過剰になると、容器の口頸部に容器蓋2を被嵌して口頸部を密封する際に、外側突条26の挙動が不安定になって半径方向外側ではなくて半径方向内側に撓んでしまう傾向があり、外側突条26の突出長さが過小になると、密封特性の耐衝撃性が不充分になり、そしてまた容器の口頸部から容器蓋2を離脱せしめて口頸部を開封する際の必要力が過小になって容器に過剰の振動を与え、これによって内容物を溢してしまう傾向がある。厚肉周縁部24の半径方向内側領域にも下方に垂下する内側突条28が形成されている。この内側突条28は実質上鉛直に延在する円筒形内周面及び下方に向かって半径方向内方に傾斜して延びる逆円錐台形外周面を有する。内側突条28は厚肉周縁部24の下面から下方に0.50乃至0.70mmである長さL2だけ突出しているのが好都合である。
【0020】
図2及び図3を参照することによって明確に理解される如く、シェル4に形成されている一対のスコア20a及び20bはライナー6よりも半径方向外側に配置されており、その第二の部分20a−2及び20b−2は、ライナー6の周縁に沿ってその外側を延在していることが重要であり、ライナー6の周縁とスコア20a及び20bの第二の部分20a−2及び20b−2との間隙Gは0.0乃至1.0mmであるのが好適である。
【0021】
図4には、容器蓋2と共にかかる容器蓋2によって密封される容器の口頸部30も図示されている。ガラス或いはポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂から形成することができる容器の口頸部30は全体として略円筒形状であり、その外周面上端部には環状係止突条32が形成されている。
【0022】
ール或いは炭酸飲料の如き気体含有液体を充填した容器の口頸部30に容器蓋2を装着して口頸部30を密封する際には、口頸部30に容器蓋2を被嵌して容器蓋2を下方に押圧し、かかる押圧状態を維持して容器蓋2のシェル4のスカート壁10を半径方向内側に変形せしめ、かくして口頸部30の環状係止突条32にスカート壁10の下部を係止せしめる。図2図4とを比較参照することによって明確に理解されるとおり、ライナー6の厚肉周縁部24は口頸部30の頂面に押圧せしめられる。外側突条26は口頸部30の頂面に沿って半径方向外方に延在せしめられて、シェル2のスカート壁10の上端に形成されている一対のスコア20a及び20bの第二の部分20a−2及び20b−2を超えて半径方向外方に延出する。内側突条28は口頸部30の頂面に沿って半径方向内方に延在せしめられる。
【0023】
容器の内容物を消費するために口頸部30から容器蓋2を離脱せしめて口頸部30を開封する際には、シェル4の把持片12におけるリング形状部18に指を掛けて、把持片12を半径方向外方に、次いで上方乃至直径方向反対側に強制し、シェル2に形成されている一対のスコア20a及び20bを破断せしめ、かくして口頸部30の環状係止突条32に対するシェル2のスカート壁10の下部の係止を解除し、容器蓋2を口頸部30から離脱せしめる。この際には、一対のスコア20a及び20bの第二の部分20a−2及び20b−2を超えて半径方向外方に延出していたライナー4の外周縁部はシェル2における一対のスコア20a及び20bに対して半径方向内側及び上方に変位し、シェル2における一対のスコア20a及び20bの第二の部分20a−2及び20b−2よりも外側部分を半径方向外方に強制し、口頸部30の環状係止突条32に対するシェル4のスカート壁10の下部の係止解除を助長する。
【0024】
実施例1
片面(シェルの内面に対応する面)には酸変性ポリエチレンを含有するポリエステル系塗料を塗布した厚さ0.18mmのアルミニウム基合金薄板から、図1及び図2に図示するとおりの形態のシェルを10個成形した。次いで、軟化乃至溶融状態である低密度ポリエチレン(密度0.91)をシェルの各々の天面壁に供給して、図2及び図3に図示するとおりのライナーを型押成形した。ライナーの薄肉中央部の厚さT1は0.20mmで厚肉周縁部の厚さT2は0.60mmで、薄肉中央部の直径D3は19.0mmで、厚肉周縁部の外径D4は23.5mmで、外側突条の厚肉周縁部下面からの突出長さL1は1.20mmで、内側突条の厚肉周縁部の下面からの突出長さL2は0.7mmであった。ライナーの外周縁とスコアの第二の部分との間隙Gは0.2乃至0.3mmであった。
【0025】
図4に図示するとおりの口頸部を有する10個のガラス製容器(呼び容積520ml)の各々にビールを480ml充填し、次いで口頸部に上記容器蓋を装着して口頸部を密封した。ビールを充填し容器蓋を装着した10個の容器を23℃環境下で24時間放置した後に、耐衝撃試験を遂行した。かかる耐衝撃試験においては、容器を倒立状態にせしめて20cmの高さから、厚さ50mmで傾斜角度20度の傾斜鋼鈑上に落下せしめ、しかる後に容器蓋を覆う水分反応紙の染色の有無を確認することによってビールの漏洩が発生したか否かを検査した。その結果は下記表1に記載のとおりであった。
【0026】
実施例2
ライナーの厚肉周縁部の厚さが0.45mmであった点を除いて実施例1と同様にして耐衝撃試験を遂行した。その結果は下記表1に図示するとおりであった。
【0027】
実施例3
ライナーの薄肉中央部の厚さが0.15mmであった点を除いて実施例1と同様にして耐衝撃試験を遂行した。その結果は下記表1に図示するとおりであった。
【0028】
比較例1
ライナーの厚肉周縁部の厚さが0.40mmであった点を除いて実施例1と同様にして耐衝撃試験を遂行した。その結果は下記表1に図示するとおりであった。
【0029】
比較例2
ライナーの薄肉中央部の厚さが0.10mmであった点を除いて実施例1を同様にして容器蓋を10個製造した。そして、ライナーの成形状態を検査したところ、全ての容器蓋において合成樹脂素材の流動性不良に起因したライナー成形不良が見られた。
【0030】
【表1】
【符号の説明】
【0031】
2:容器蓋
4:シェル
6:ライナー
8:天面壁
10:スカート壁
12:把持片
14:把持片の基部
20a:スコア
20b:スコア
20a−1:スコアの第一の部分
20b−1:スコアの第一の部分
20a−2:スコアの第二の部分
20b−2:スコアの第二の部分
22:ライナーの薄肉中央部
24:ライナーの厚肉周縁部
26:外側突条
28:内側突条
30:容器の口頸部
32:環状係止突条
図1
図2
図3
図4