特許第6356961号(P6356961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356961
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】重荷重用タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20180702BHJP
   B60C 11/12 20060101ALI20180702BHJP
   B60C 11/13 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   B60C11/03 C
   B60C11/03 300E
   B60C11/12 C
   B60C11/13 A
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-259426(P2013-259426)
(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公開番号】特開2015-116845(P2015-116845A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2014年12月18日
【審判番号】不服2017-2754(P2017-2754/J1)
【審判請求日】2017年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 佳恵
【合議体】
【審判長】 和田 雄二
【審判官】 氏原 康宏
【審判官】 出口 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−111091(JP,A)
【文献】 特開2012−116245(JP,A)
【文献】 特開2011−195045(JP,A)
【文献】 特開2001−277814(JP,A)
【文献】 特開2011−84254(JP,A)
【文献】 米国特許第5964267(US,A)
【文献】 特開2012−250610(JP,A)
【文献】 特開2008−222075号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/03,11/12,11/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる1本のセンター主溝と、前記センター主溝の両側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のミドル主溝と、前記ミドル主溝と接地端との間をタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、前記センター主溝と前記ミドル主溝との間をつなぐ複数本のセンター横溝と、前記ミドル主溝と前記ショルダー主溝との間をつなぐ複数本のミドル横溝と、前記ショルダー主溝と前記接地端との間をつなぐ複数本のショルダー横溝とが設けられることにより、
前記センター主溝と前記ミドル主溝と前記センター横溝とで区分されたセンターブロックがタイヤ周方向に隔設された一対のセンターブロック列、前記ミドル主溝と前記ショルダー主溝と前記ミドル横溝とで区分されたミドルブロックがタイヤ周方向に隔設された一対のミドルブロック列、及び、前記ショルダー主溝と前記接地端と前記ショルダー横溝とで区分されたショルダーブロックがタイヤ周方向に隔設された一対のショルダーブロック列を備えた重荷重用タイヤであって、
前記トレッド部は、回転方向が指定された方向性パターンを有し、
前記センター横溝は、タイヤ軸方向の内端から外端に向かって回転方向の後着側に傾斜し、
前記ミドル主溝は、前記センター横溝と同じ向きに傾斜する短辺部と、前記短辺部とは逆向きに傾斜し、かつタイヤ周方向の長さが前記短辺部よりも長い長辺部とが交互に並ぶジグザグ状であり、
前記センター横溝は、前記短辺部で前記ミドル主溝と連通し、タイヤ軸方向に傾斜してのびる第1部分と、前記第1部分とタイヤ周方向に位置ずれしかつ該第1部分と平行にのびる第2部分と、タイヤ周方向に平行にのびて、前記第1部分及び前記第2部分と鋭角に交差しながら、前記第1部分と前記第2部分とを繋ぎ、前記第1部分及び前記第2部分よりもタイヤ周方向長さの大きい第3部分とを有するジグザク状であり、溝底面が隆起して隣り合うセンターブロック同士を連結するタイバーを有し、
前記タイバーは、前記第3部分を含み、前記第1部分から第2部分にわたって連続的に形成され
前記センター横溝の溝幅WAと前記センターブロックのタイヤ周方向長さLAとの比WA/LAは、0.08〜0.10であり、前記ミドル横溝の溝幅WBと前記ミドルブロックのタイヤ周方向長さLBとの比WB/LBは、0.10〜0.20であり、前記ショルダー横溝の溝幅WCと前記ショルダーブロックのタイヤ周方向長さLCとの比WC/LCは、0.20〜0.30であることを特徴とする重荷重用タイヤ。
【請求項2】
前記ミドル横溝は、前記センター横溝と同じ向きに傾斜し、
前記ショルダー主溝は、前記ミドル横溝と同じ向きに傾斜する短辺部と、前記短辺部とは逆向きに傾斜し、かつタイヤ周方向の長さが前記短辺部よりも長い長辺部とを有し、
前記ミドル横溝は、前記短辺部で前記ショルダー主溝と連通する請求項1記載の重荷重用タイヤ。
【請求項3】
前記センター主溝の両側の前記センター横溝は、タイヤ周方向にずれて配置され、
前記ミドル主溝の両側の前記センター横溝及び前記ミドル横溝は、タイヤ周方向にずれて配置され、
前記ショルダー主溝の両側の前記ミドル横溝及び前記ショルダー横溝は、タイヤ周方向にずれて配置されている請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項4】
前記センター横溝のタイヤ周方向に対する角度βは、前記ミドル横溝のタイヤ周方向に対する角度γより小さく、前記ミドル横溝のタイヤ周方向に対する角度γは、前記ショルダー横溝のタイヤ周方向に対する角度δより小さい請求項1乃至3のいずれかに記載の重荷重用タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエット性能と耐偏摩耗性能とをバランス良く向上させた重荷重用タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路網の拡大により、高速道路を走行する割合が増加している。雨天の高速道路を安全に走行するために、タイヤに高いウエット性能が要求されている。その一方で、経済性の観点からタイヤに高い耐偏摩耗性能も要求されている。
【0003】
ウエット性能を高めるために、トレッド部に、タイヤ周方向にのびる複数の主溝と、タイヤ軸方向にのびる複数の横溝とにより、複数のブロックが区分された重荷重用タイヤが提案されている。例えば、特許文献1には、センター主溝とミドル主溝とセンター横溝とで区分されたセンターブロック、ミドル主溝とショルダー主溝とミドル横溝とで区分されたミドルブロック、及び、ショルダー主溝と接地端とショルダー横溝とで区分されたショルダーブロックを備えた重荷重用タイヤが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−230643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された重荷重用タイヤは、回転方向が指定されていないトレッドパターンを有し、タイヤ軸方向に並設された一対のセンターブロックのうち、一方のブロックの先着側端縁のタイヤ軸方向長さが、他方のブロックの先着側端縁のタイヤ軸方向長さよりも短い。このため、一方のブロックの先着側端縁の近傍で、ブロック剛性が不足し接地時に局所的な滑りが発生するため、偏摩耗が発生しやすい。
【0006】
さらに、上記一方のブロックの先着側端縁で、ミドル主溝とセンター横溝とのなす角度が鋭角となるため、センター横溝の水がミドル主溝に排出され難く、ウエット性能を十分に高めることができないおそれがある。
【0007】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、耐偏摩耗性能とウエット性能とをバランスよく向上させた重荷重用タイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる1本のセンター主溝と、前記センター主溝の両側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のミドル主溝と、前記ミドル主溝と接地端との間をタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、前記センター主溝と前記ミドル主溝との間をつなぐ複数本のセンター横溝と、前記ミドル主溝と前記ショルダー主溝との間をつなぐ複数本のミドル横溝と、前記ショルダー主溝と前記接地端との間をつなぐ複数本のショルダー横溝とが設けられることにより、前記センター主溝と前記ミドル主溝と前記センター横溝とで区分されたセンターブロックがタイヤ周方向に隔設された一対のセンターブロック列、前記ミドル主溝と前記ショルダー主溝と前記ミドル横溝とで区分されたミドルブロックがタイヤ周方向に隔設された一対のミドルブロック列、及び、前記ショルダー主溝と前記接地端と前記ショルダー横溝とで区分されたショルダーブロックがタイヤ周方向に隔設された一対のショルダーブロック列を備えた重荷重用タイヤであって、前記トレッド部は、回転方向が指定された方向性パターンを有し、前記センター横溝は、タイヤ軸方向の内端から外端に向かって回転方向の後着側に傾斜し、前記ミドル主溝は、前記センター横溝と同じ向きに傾斜する短辺部と、前記短辺部とは逆向きに傾斜し、かつタイヤ周方向の長さが前記短辺部よりも長い長辺部とが交互に並ぶジグザグ状であり、前記センター横溝は、前記短辺部で前記ミドル主溝と連通することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る前記重荷重用タイヤにおいて、前記センター横溝は、溝底面が隆起して隣り合うセンターブロック同士を連結するタイバーを有することが望ましい。
【0010】
本発明に係る前記重荷重用タイヤにおいて、前記ミドル横溝は、前記センター横溝と同じ向きに傾斜し、前記ショルダー主溝は、前記ミドル横溝と同じ向きに傾斜する短辺部と、前記短辺部とは逆向きに傾斜し、かつタイヤ周方向の長さが前記短辺部よりも長い長辺部とを有し、前記ミドル横溝は、前記短辺部で前記ショルダー主溝と連通することが望ましい。
【0011】
本発明に係る前記重荷重用タイヤにおいて、前記センター主溝の両側の前記センター横溝は、タイヤ周方向にずれて配置され、前記ミドル主溝の両側の前記センター横溝及び前記ミドル横溝は、タイヤ周方向にずれて配置され、 前記ショルダー主溝の両側の前記ミドル横溝及び前記ショルダー横溝は、タイヤ周方向にずれて配置されていることが望ましい。
【0012】
本発明に係る前記重荷重用タイヤにおいて、前記センター横溝のタイヤ周方向に対する角度βは、前記ミドル横溝のタイヤ周方向に対する角度γより小さく、前記ミドル横溝のタイヤ周方向に対する角度γは、前記ショルダー横溝のタイヤ周方向に対する角度δより小さいことが望ましい。
【0013】
本発明に係る前記重荷重用タイヤにおいて、前記センター横溝のタイヤ周方向に対する角度βは60゜〜80゜であり、前記ショルダー横溝のタイヤ周方向に対する角度δは80゜〜90゜であることが望ましい。
【0014】
本発明に係る前記重荷重用タイヤにおいて、前記センター横溝の溝幅WAは、前記ミドル横溝の溝幅WB以下であり、前記ミドル横溝の溝幅WBは、前記ショルダー横溝の溝幅WCより小さいことが望ましい。
【0015】
本発明に係る前記重荷重用タイヤにおいて、前記ショルダー横溝の溝幅WCと前記センター横溝の溝幅WAとの比WC/WAは、1.50〜2.50であり、前記ショルダー横溝の溝幅WCと前記ミドル横溝の溝幅WBとの比WC/WBは、1.50〜2.50であることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の重荷重用タイヤは、トレッド部に回転方向が指定された方向性パターンを有し、センター横溝が、タイヤ軸方向の内端から外端に向かって回転方向の後着側に傾斜し、センター横溝と同じ向きに傾斜する短辺部にてミドル主溝と連通する。これにより、センター横溝の両端縁のタイヤ軸方向長さに差が生じ、センターブロックの先着側端縁のタイヤ軸方向長さが、後着側端縁のタイヤ軸方向長さより大きくなる。従って、センターブロックの先着側端縁の近傍の剛性が高められ、ヒール&トゥ摩耗等の偏摩耗が抑制される。
【0017】
さらに、上述のごとく、センターブロックの先着側端縁の近傍の剛性が高められるので、センターブロックの接地時に、センター横溝の溝容積が十分に確保される。しかも、センター横溝とミドル主溝とが同じ方向に傾斜しているので、センター横溝内の水がミドル主溝に円滑に排出される。これらの相乗効果により、トレッド部の排水性が高められ、重荷重用タイヤのウエット性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の重荷重用タイヤの一実施形態を示すトレッド部の展開図である。
図2図1のセンター陸部の拡大展開図である。
図3図2のA−A線断面図である。
図4図2のミドル陸部の拡大展開図である。
図5図2のショルダー陸部の拡大展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1には、本実施形態の重荷重用タイヤ(全体不図示)のトレッド部2の展開図が示されている。図1に示されるように、本実施形態の重荷重用タイヤは、そのトレッド部2に、タイヤの回転方向Rが指定された方向性パターンを備えている。回転方向Rは、例えばサイドウォール部に矢印及び文字等で表示される。
【0020】
重荷重用タイヤは、トレッド部2に、タイヤ周方向に連続してのびる1本のセンター主溝3と、センター主溝3の両側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のミドル主溝4と、ミドル主溝4とトレッド接地端Teとの間をタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝5とが設けられている。
【0021】
トレッド接地端Teとは、正規状態のタイヤに、正規荷重を負荷しかつキャンバー角0゜で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地端を意味している。ここで、「正規状態」とは、タイヤを正規リム(図示省略)にリム組みし、かつ、正規内圧を充填した無負荷の状態とする。以下、特に言及しない場合、タイヤの各部の寸法等はこの正規状態で測定された値とする。
【0022】
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
【0023】
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0024】
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば"最大負荷能力"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。
【0025】
センター主溝3は、例えば、タイヤ赤道C上でタイヤ周方向に直線状にのびている。このようなセンター主溝3によって、トレッド部2の排水性が高められ、ウエット性能が向上する。
【0026】
センター主溝3の溝幅W1は、トレッド接地幅TWの好ましくは0.8%以上、より好ましくは1.2%以上であり、好ましくは2.4%以下、より好ましくは2.0%以下である。
【0027】
センター主溝3の溝幅W1が、トレッド接地幅TWの0.8%未満である場合、接地圧の高いタイヤ赤道C近傍の溝容積が不足し、排水性を十分に高められないおそれがある。一方、センター主溝3の溝幅W1が、トレッド接地幅TWの2.4%を超える場合、接地圧の高いセンター陸部13の実接地面積が小さくなるので、単位面積あたりにかかる荷重が大きくなり、耐摩耗性が低下するおそれがある。
【0028】
ミドル主溝4は、タイヤ周方向に対して傾斜する長辺部4aと、長辺部4aとは逆向きに傾斜しかつタイヤ周方向の長さが長辺部4aよりも小さい短辺部4bとを有する。短辺部4bは、回転方向の先着側から後着側に向かってタイヤ軸方向の外方に傾斜している。長辺部4a及び短辺部4bは、タイヤ周方向に交互に設けられ、ジグザグ状のミドル主溝4を構成する。
【0029】
ミドル主溝4の長辺部4aのタイヤ周方向に対する角度α1は、例えば、2〜10゜であるのが望ましい。角度α1が2゜未満である場合、トレッド部2のタイヤ軸方向の剛性が低下するおそれがある。角度α1が10゜を超える場合、タイヤの排水性能が十分に高められないおそれがある。
【0030】
ショルダー主溝5は、タイヤ周方向に対して傾斜する長辺部5aと、長辺部5aとは逆向きに傾斜しかつタイヤ周方向の長さが長辺部5aよりも小さい短辺部5bとを有する。短辺部5bは、ミドル主溝4の短辺部4bと同じ方向に傾斜している。長辺部5a及び短辺部5bは、タイヤ周方向に交互に設けられ、ジグザグ状のショルダー主溝5を構成する。ショルダー主溝5の長辺部5aのタイヤ周方向に対する角度α2は、例えば、上記角度α1と同様である。ショルダー主溝5のジグザグピッチは、例えば、ミドル主溝4のジグザグピッチと同等である。
【0031】
ミドル主溝4のジグザクとショルダー主溝5のジグザグとは、位相がタイヤ周方向にずれて配置されている。このようなミドル主溝4及びショルダー主溝5により、ミドル主溝4及びショルダー主溝5で発生するノイズが分散され、ノイズ性能が向上する。
【0032】
トレッド部2の排水性能を高めつつ、トレッド部2の適切な剛性分布を実現するために、例えば、ショルダー主溝5の溝幅W3は、センター主溝3の溝幅W1よりも大きく、ミドル主溝4の溝幅W2は、ショルダー主溝5の溝幅W3よりも大きいのが望ましい。
【0033】
トレッド部2の排水性能を高めつつ、トレッド部2の剛性を確保するために、センター主溝3、ミドル主溝4及びショルダー主溝5の溝深さは、例えば、15〜25mmであるのが望ましい。
【0034】
センター主溝3、ミドル主溝4及びショルダー主溝5によってトレッド部2が複数の領域に区分される。トレッド部2は、センター主溝3とミドル主溝4との間の一対のセンター陸部13、ミドル主溝4とショルダー主溝5との間の一対のミドル陸部14、及び、ショルダー主溝5のタイヤ軸方向外側に位置する一対のショルダー陸部15を有している。すなわち、ミドル主溝4の両側には、センター陸部13及びミドル陸部14が設けられ、ショルダー主溝5の両側には、ミドル陸部14及びショルダー陸部15が設けられている。
【0035】
図2には、センター陸部13の拡大図が示される。センター陸部13には、複数本のセンター横溝21が設けられている。センター横溝21は、タイヤ軸方向にのびており、センター陸部13の両側のセンター主溝3とミドル主溝4とを連通している。これにより、センター陸部13は、複数個のセンターブロック22が並ぶブロック列である。センター横溝21は、タイヤ軸方向に対して傾斜しているので、本実施形態のセンターブロック22の踏面部22sは、略平行四辺形状である。
【0036】
センター横溝21のピッチは、ミドル主溝4のジグザグピッチの2倍である。換言すると、ミドル主溝4のジグザグピッチは、センター横溝21のピッチの1/2倍である。従って、センターブロック22は、その踏面部22sのタイヤ周方向の中央部に、ミドル主溝4に面してタイヤ軸方向の外側に突出するジグザクブロック頂点22aを有する。
【0037】
図1によく示されるように、センター主溝3の両側のセンター横溝21、21は、例えば、タイヤ周方向に1/2ピッチずれて配置されている。このようなセンター横溝21、21により、センター横溝21、21で発生するピッチ音の重畳が防止され、ノイズ性能が向上する。さらに、タイヤ軸方向で隣り合うセンター陸部13内での接地圧の分布が分散され、センター陸部13の偏摩耗が抑制される。
【0038】
図2に示されるように、センター横溝21は、タイヤ軸方向の内端から外端に向かって回転方向Rの後着側に傾斜している。センター横溝21は、ミドル主溝4の短辺部4bと同じ向きに傾斜している。
【0039】
センター横溝21は、短辺部4bでミドル主溝4と連通している。これにより、センター横溝21の両端縁のタイヤ軸方向長さに差が生ずる。より具体的には、センターブロック22の先着側端縁22Sのタイヤ軸方向長さWSが、後着側端縁22Eのタイヤ軸方向長さWEより大きくなる。従って、センターブロック22の先着側端縁22Sの近傍の剛性が高められ、いわゆるヒール&トゥ摩耗等の偏摩耗が抑制される。このような作用・効果は、接地圧の高いセンター陸部13において、特に有効である。
【0040】
さらに、上述のごとく、センターブロック22の先着側端縁22Sの近傍の剛性が高められるので、センターブロック22の接地時に、センター横溝21の溝容積が十分に確保される。しかも、センター横溝21とミドル主溝4とが同じ方向に傾斜しているので、センター横溝21内の水がミドル主溝4に円滑に排出される。これらの相乗効果により、トレッド部2の排水性が高められ、重荷重用タイヤのウエット性能が向上する。
【0041】
図2に示されるように、センター横溝21は、タイヤ軸方向に傾斜してのびる第1部分21aと、第1部分21aとタイヤ周方向に位置ずれしかつ第1部分21aと平行にのびる第2部分21bと、第1部分21aと第2部分21bとを繋ぐ第3部分21cとを有するジグザク状の溝である。センター横溝21の深さは、例えば、ミドル主溝4の深さ以下が望ましい。
【0042】
本実施形態のセンター横溝21には、タイヤ周方向に隣り合うセンターブロック22、22同士を連結するタイバー23が設けられている。
【0043】
図3には、図2のセンター陸部13のA−A線断面図、すなわちタイバー23を含むセンター陸部13の断面図が示されている。タイバー23は、センター横溝21の溝底面が隆起して形成されている。タイバー23は、接地時、特に踏込み時又は蹴り出し時でのセンターブロック22のタイヤ周方向への動きを規制して、ヒール&トゥ摩耗等の偏摩耗を抑制する。
【0044】
タイバー23の高さHTは、例えば、センター横溝21の溝深さDAの1/3倍〜1/2倍が望ましい。タイバー23の高さHTが上記溝深さDAの1/3倍未満の場合、接地時のセンターブロック22のタイヤ周方向への動きが大きくなり、センターブロック22に偏摩耗が発生するおそれがある。一方、タイバー23の高さHTが上記溝深さDAの1/2倍を超える場合、センター横溝23の排水性が低下するおそれがある。
【0045】
タイバー23のタイヤ軸方向の幅WTは、例えば、センターブロック22の後着側端縁22Eのタイヤ軸方向の幅WEの1/3倍〜1/2倍が望ましい。タイバー23の幅WTが後着側端縁22Eの幅WEの1/3倍未満の場合、接地時のセンターブロック22のタイヤ周方向への動きが大きくなり、センターブロック22に偏摩耗が発生するおそれがある。一方、タイバー23の幅WTが後着側端縁22Eの幅WEの1/2倍を超える場合、センター横溝23の排水性が低下するおそれがある。
【0046】
センターブロック22において、センター主溝3とセンター横溝21とが交差するブロック頂点には、面取り部24a及び24bが形成されている。ミドル主溝4とセンター横溝21とが交差するブロック頂点には、面取り部25a及び25bが形成されている。このような面取り部24a、24b、25a及び25bは、ブロック頂点における応力集中を緩和し、チッピング等の損傷を抑制する。面取り部24a、24b、25a及び25bに替えて、角丸め部が形成されていてもよい。
【0047】
センターブロック22には、複数本のセンター横浅溝27が設けられている。センター横浅溝27は、一端がセンター主溝3に、他端がミドル主溝4の短辺部4bにそれぞれ連通している。センター横浅溝27は、センター横溝21と同様に、タイヤ軸方向に傾斜してのびる第1部分27aと、第1部分27aとタイヤ周方向に位置ずれしかつ第1部分27aと平行にのびる第2部分27bと、第1部分27aと第2部分27bとを繋ぐ第3部分27cとを有するジグザク状の溝である。センター横浅溝27の深さは、センター横溝21の深さよりも小さい。センター横浅溝27の幅は、センター横溝21の幅よりも小さい。センター横浅溝27によって、センター陸部13の排水性が高められると共に、センターブロック22の剛性分布が適正化される。
【0048】
図4には、ミドル陸部14の拡大図が示される。ミドル陸部14には、複数本のミドル横溝31が設けられている。ミドル横溝31は、タイヤ軸方向にのびており、一端がミドル主溝4に、他端がショルダー主溝5にそれぞれ連通している。これにより、ミドル陸部14は、複数個のミドルブロック32が並ぶブロック列である。ミドル横溝31は、タイヤ軸方向に対して傾斜しているので、本実施形態のミドルブロック32の踏面部32sは、略平行四辺形状である。
【0049】
ミドル横溝31のピッチは、センター横溝21と同等であり、ミドル主溝4及びショルダー主溝5のジグザグピッチの2倍である。換言すると、ミドル主溝4及びショルダー主溝5のジグザグピッチは、ミドル横溝31のピッチの1/2倍である。従って、ミドルブロック32は、その踏面部32sのタイヤ周方向の中央部に、ミドル主溝4に面してタイヤ軸方向の内側に突出するジグザクブロック頂点32aと、ショルダー主溝5に面してタイヤ軸方向の外側に突出するジグザクブロック頂点32bとを有する。
【0050】
図1によく示されるように、ミドル主溝4の両側のセンター横溝21及びミドル横溝31は、例えば、タイヤ周方向に1/2ピッチずれて配置されている。これにより、ミドル主溝4の両側に位置するセンターブロック22とミドルブロック32とは、タイヤ周方向に1/2ピッチずれて配置されている。このようなセンター横溝21及びミドル横溝31により、センター横溝21及びミドル横溝31で発生するピッチ音の重畳が防止され、ノイズ性能が向上する。さらに、隣り合うセンター陸部13及びミドル陸部14内での接地圧の分布が分散され、センター陸部13及びミドル陸部14の偏摩耗が抑制される。
【0051】
図4に示されるように、ミドル横溝31は、タイヤ軸方向の内端から外端に向かって回転方向Rの後着側に傾斜している。ミドル横溝31は、ミドル主溝4の短辺部4bと同じ向きに傾斜している。さらに、ミドル横溝31は、短辺部4bでミドル主溝4と連通している。これにより、ミドル主溝4内の水がミドル横溝31に円滑に排出される。
【0052】
同様に、ミドル横溝31は、ショルダー主溝5の短辺部5bと同じ向きに傾斜している。さらに、ミドル横溝31は、短辺部5bでショルダー主溝5と連通している。これにより、ミドル横溝31内の水がショルダー主溝5に円滑に排出される。従って、トレッド部2のセンター陸部13からミドル陸部14にわたって排水性が高められ、重荷重用タイヤのウエット性能が向上する。
【0053】
図4に示されるように、ミドル横溝31は、タイヤ軸方向に傾斜してのびる第1部分31aと、第1部分31aとタイヤ周方向に位置ずれしかつ第1部分31aと平行にのびる第2部分31bと、第1部分31aと第2部分31bとをつなぐ第3部分31cとを有するジグザク状の溝である。ミドル横溝31の深さは、例えば、ミドル主溝4及びショルダー主溝5の深さ以下が望ましい。
【0054】
ミドル主溝4とミドル横溝31とが交差するブロック頂点には、面取り部34a及び34bが形成されている。ショルダー主溝5とミドル横溝31とが交差するブロック頂点には、面取り部35a及び35bが形成されている。このような面取り部34a、34b、35a及び35bは、ブロック頂点における応力集中を緩和し、チッピング等の損傷を抑制する。面取り部34a、34b、35a及び35bに替えて、角丸め部が形成されていてもよい。
【0055】
ミドルブロック32には、複数本のミドル横浅溝37が設けられている。ミドル横浅溝37は、一端がミドル主溝4の短辺部4bに、他端がショルダー主溝5の短辺部5bにそれぞれ連通している。ミドル横浅溝37は、ミドル横溝31と同様に、タイヤ軸方向に傾斜してのびる第1部分37aと、第1部分37aとタイヤ周方向に位置ずれしかつ第1部分37aと平行にのびる第2部分37bと、第1部分37aと第2部分37bとを繋ぐ第3部分37cとを有するジグザク状の溝である。ミドル横浅溝37の深さは、ミドル横溝31の深さよりも小さい。ミドル横浅溝37の幅は、ミドル横溝31の幅よりも小さい。ミドル横浅溝37によって、ミドル陸部14の排水性が高められると共に、ミドルブロック32の剛性分布が適正化される。
【0056】
図5には、ショルダー陸部15の拡大図が示される。ショルダー陸部15には、複数本のショルダー横溝41が設けられている。ショルダー横溝41は、タイヤ軸方向にのびており、一端がショルダー主溝5に、他端がトレッド接地端Teにそれぞれ連通している。これにより、ショルダー陸部15は、複数個のショルダーブロック42が並ぶブロック列である。
【0057】
ショルダー横溝41のピッチは、ミドル横溝31と同等であり、ショルダー主溝5のジグザグピッチの2倍である。換言すると、ショルダー主溝5のジグザグピッチは、ショルダー横溝41のピッチの1/2倍である。従って、ショルダーブロック42は、その踏面部42sのタイヤ周方向の中央部に、ショルダー主溝5に面してタイヤ軸方向の外側に突出するジグザクブロック頂点42aを有する。
【0058】
図1によく示されるように、ショルダー主溝5の両側のミドル横溝31及びショルダー横溝41は、タイヤ周方向に1/2ピッチずれて配置されている。これにより、ショルダー主溝5の両側に位置するミドルブロック32とショルダーブロック42とは、タイヤ周方向に1/2ピッチずれて配置されている。このようなミドル横溝31及びショルダー横溝41により、ミドル横溝31及びショルダー横溝41で発生するピッチ音の重畳が防止され、ノイズ性能が向上する。さらに、隣り合うミドル陸部14及びショルダー陸部15内での接地圧の分布が分散され、ミドル陸部14及びショルダー陸部15の偏摩耗が抑制される。
【0059】
図5に示されるように、ショルダー横溝41は、タイヤ軸方向に傾斜してのびる第1部分41aと、第1部分41aとタイヤ周方向に位置ずれしかつ第1部分41aと平行にのびる第2部分41bと、第1部分41aと第2部分41bとをつなぐ第3部分41cとを有するジグザク状の溝である。ショルダー横溝41の深さは、例えば、ミドル主溝4及びショルダー主溝5の深さ以下が望ましい。
【0060】
ショルダー主溝5とショルダー横溝41とが交差するブロック頂点には、面取り部44a及び44bが形成されている。このような面取り部44a及び44bは、ブロック頂点における応力集中を緩和し、チッピング等の損傷を抑制する。面取り部44a及び44bに替えて、角丸め部が形成されていてもよい。
【0061】
ショルダーブロック42には、複数本のショルダー横浅溝47が設けられている。ショルダー横浅溝47は、一端がショルダー主溝5の短辺部5bに、他端がトレッド接地端Teにそれぞれ連通している。ショルダー横浅溝47は、ショルダー横溝41と同様に、タイヤ軸方向に傾斜してのびる第1部分47aと、第1部分47aとタイヤ周方向に位置ずれしかつ第1部分47aと平行にのびる第2部分47bと、第1部分47aと第2部分47bとを繋ぐ第3部分47cとを有するジグザク状の溝である。ショルダー横浅溝47の深さは、ショルダー横溝41の深さよりも小さい。ショルダー横浅溝47の幅は、ショルダー横溝41の幅よりも小さい。ショルダー横浅溝47によって、ショルダー陸部15の排水性が高められると共に、ショルダーブロック42の剛性分布が適正化される。
【0062】
図2、4及び5に示されるように、センター横溝21のタイヤ周方向に対する角度βは、例えば、ミドル横溝31のタイヤ周方向に対する角度γより小さく、上記角度γは、例えば、ショルダー横溝41のタイヤ周方向に対する角度δより小さいのが望ましい。センター横溝21、ミドル横溝31及びショルダー横溝41の上記角度β、γ及びδを順次大きく設定されることにより、接地圧が高くかつ最初に接地するセンター陸部13のタイヤ赤道C近傍から接地圧が低くかつ最後に接地するショルダー陸部15のトレッド接地端Teに円滑に水が排出され、優れた排水性が得られる。
【0063】
上記角度βは、例えば、好ましくは60゜以上であり、好ましくは80゜以下、より好ましくは75゜以下である。角度βが60゜未満の場合、センターブロック22のブロック頂点26が、過度に鋭角となり、偏摩耗の起点となるおそれがある。一方、角度βが80゜を超える場合、センター陸部13における排水性能が悪化するおそれがある。
【0064】
上記角度δは、例えば、好ましくは80゜以上、より好ましくは85゜以上であり、好ましくは90゜以下である。上記角度δが80゜未満の場合、ショルダーブロック42のブロック頂点46が、過度に鋭角となり、偏摩耗の起点となるおそれがある。一方、上記角度δが90゜を超える場合、タイヤ軸方向に対するショルダー横溝41の傾きが逆になり、ショルダー陸部15における排水性能が悪化するおそれがある。
【0065】
図1、2、4及び5に示されるように、センター横溝21の溝幅WAは、例えば、ミドル横溝31の溝幅WB以下であり、ミドル横溝31の溝幅WBは、例えば、ショルダー横溝41の溝幅WCより小さいのが望ましい。このような、センター横溝21、ミドル横溝31及びショルダー横溝41によって、接地圧が高くかつ最初に接地するセンター陸部13のタイヤ赤道C近傍から接地圧が低くかつ最後に接地するショルダー陸部15のトレッド接地端Teに円滑に水が排出され、優れた排水性が得られる。
【0066】
ショルダー横溝41の溝幅WCとセンター横溝21の溝幅WAとの比WC/WAは、例えば、好ましくは1.50以上、より好ましくは1.60以上であり、好ましくは2.50以下、より好ましくは2.00以下である。上記比WC/WAが1.50未満の場合、ショルダー主溝5からトレッド接地端Teへの排水が不十分となるおそれがある。一方、上記比WC/WAが2.50を超える場合、ショルダー陸部15のランド比が低下し、耐摩耗性能が低下するおそれがある。
【0067】
ショルダー横溝41の溝幅WCとミドル横溝31の溝幅WBとの比WC/WBは、例えば、好ましくは1.50以上、より好ましくは1.60以上であり、好ましくは2.50以下、より好ましくは2.00以下である。上記比WC/WBが1.50未満の場合、上記と同様に、ショルダー主溝5からトレッド接地端Teへの排水が不十分となるおそれがある。一方、上記比WC/WBが2.50を超える場合もまた、上記と同様に、ショルダー陸部15のランド比が低下し、耐摩耗性能や耐偏摩耗性能が低下するおそれがある。
【0068】
図1に示されるセンター横溝21の溝幅WAとセンターブロック22のタイヤ周方向長さLAとの比WA/LAは、0.08〜0.10が望ましい。上記比WA/LAが0.08未満の場合、センター横溝21の溝幅WAが不足し、タイヤ赤道C近傍からミドル主溝4への排水が不十分となるおそれがある。一方、上記比WA/LAが0.10を超える場合、センター陸部13のランド比が低下し、耐摩耗性能や耐偏摩耗性能が低下するおそれがある。
【0069】
同様に、図1に示されるミドル横溝31の溝幅WBとミドルブロック32のタイヤ周方向長さLBとの比WB/LBは、0.10〜0.20が望ましい。上記比WB/LBが0.10未満の場合、ミドル横溝31の溝幅WBが不足し、ミドル主溝4近傍からショルダー主溝5への排水が不十分となるおそれがある。一方、上記比WB/LBが0.20を超える場合、ミドル陸部14のランド比が低下し、耐摩耗性能や耐偏摩耗性能が低下するおそれがある。
【0070】
同様に、図1に示されるショルダー横溝41の溝幅WCとショルダーブロック42のタイヤ周方向長さLCとの比WC/LCは、0.20〜0.30が望ましい。上記比WC/LCが0.20未満の場合、ショルダー横溝41の溝幅WCが不足し、ショルダー主溝5近傍からトレッド接地端Teへの排水が不十分となるおそれがある。一方、上記比WC/LCが0.30を超える場合、ショルダー陸部15のランド比が低下し、耐摩耗性能や耐偏摩耗性能が低下するおそれがある。
【0071】
センター横溝21の溝幅WA、ミドル横溝31の溝幅WB及びショルダー横溝41の溝幅WCは、それざれ4mm以上であるのが望ましい。溝幅WA、溝幅WB及び溝幅WCが4mm未満である場合、トレッド部2の排水性が低下し、ウエット性能を高めることができないおそれがある。
【0072】
以上、本発明の重荷重用タイヤが詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
【実施例】
【0073】
図1の基本構造をなすサイズ11.00R20の重荷重用タイヤが、表1の仕様に基づき試作され、ウエット性能及び耐偏摩耗性能がテストされた。テスト方法は、以下の通りである。
【0074】
<ウエット性能>
各試供タイヤが、リム20×8.00、内圧780kPaの条件にて、最大積載量10トン積みのトラック(2−D車)の全輪に装着された。上記車両は、厚さ5mmの水膜を有するウェットアスファルト路面に持ち込まれ、変速ギアを2速、エンジン回転数を1500rpmにそれぞれ固定してクラッチを繋いだ瞬間からの10mの通過時間が測定され、指数化された。結果は、各々の通過時間の逆数であり、実施例1の値を100とする指数で表示されている。評価は、数値が大きいほど排水性能が良好である。
【0075】
<耐偏摩耗性能>
各試供タイヤが、リム20×8.00、内圧780kPaの条件にて、最大積載量10トン積みのトラック(2−D車)の後輪の一方に実施例1のタイヤが他方に各仕様のタイヤが装着され、いずれかのタイヤが50%摩耗するまで走行された。走行後の各タイヤのセンター陸部、ミドル陸部及びショルダー陸部の各ブロック列について、偏摩耗の有無が肉眼により観察された。結果は、実施例1を100とする指数で表示し、数値が大きいほど耐偏摩耗性能が良好である。
【0076】
【表1】
【0077】
表1から明らかなように、実施例の重荷重用タイヤは、比較例に比べて、ウエット性能、耐摩耗性能が有意に向上していることが確認できた。
【符号の説明】
【0078】
2 トレッド部
3 センター主溝
4 ミドル主溝
4a 長辺部
4b 短辺部
5 ショルダー主溝
13 センター陸部
14 ミドル陸部
15 ショルダー陸部
21 センター横溝
22 センターブロック
23 タイバー
31 ミドル横溝
32 ミドルブロック
41 ショルダー横溝
42 ショルダーブロック
図1
図2
図3
図4
図5