特許第6356968号(P6356968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6356968アルキレンオキサイド付加物およびその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356968
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】アルキレンオキサイド付加物およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C07C 43/11 20060101AFI20180702BHJP
   C08G 65/08 20060101ALI20180702BHJP
   B01D 19/04 20060101ALI20180702BHJP
   C04B 24/32 20060101ALI20180702BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20180702BHJP
   C04B 103/60 20060101ALN20180702BHJP
   C04B 111/34 20060101ALN20180702BHJP
【FI】
   C07C43/11CSP
   C08G65/08
   B01D19/04 B
   C04B24/32 Z
   C04B28/02
   C04B103:60
   C04B111:34
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-5375(P2014-5375)
(22)【出願日】2014年1月15日
(65)【公開番号】特開2014-240378(P2014-240378A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】特願2013-100796(P2013-100796)
(32)【優先日】2013年5月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000188951
【氏名又は名称】松本油脂製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】青木 貴之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 茂樹
【審査官】 山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−226246(JP,A)
【文献】 特開2013−35832(JP,A)
【文献】 特開2014−196440(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/093615(WO,A1)
【文献】 特開2011−26713(JP,A)
【文献】 特開平5−186985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 43/00−43/32
C08G 65/00−65/48
B01D 19/00−19/04
C04B 24/00−24/42
C04B 28/00−28/36
C04B 103/00−111/94
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
RO−(PO)x−[(PO)y/(EO)z]−H (1)
(但し、Rは炭素数10〜30のアルキル基またはアルケニル基を示し、直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。x、yおよびzは、各々の平均付加モル数を示し、x=〜20、y=1〜10およびz=1〜10である。[(PO)y/(EO)z]はyモルのPOとzモルのEOとがランダム付加してなるポリオキシアルキレン基である。yおよびzは0.8<y/z≦2.0を満足する。
で表されるアルキレンオキサイド付加物であって、
前記アルキレンオキサイド付加物の起泡力(ロスマイルス試験法、濃度0.1重量%および温度25℃の測定条件下)が、流下直後において10mm以下であり、流下直後から5分後において5mm以下であり、
前記アルキレンオキサイド付加物の13C−NMRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを測定したチャートに基づいて、下記で各々定義されるNEO−OH、NPO−OH、N1OHおよびN2OHを読み取り、
EO−OH:末端水酸基に直接結合しているEOの炭素に帰属される13C−NMRスペクトルの積分値の和
PO−OH:末端水酸基に直接結合しているPOの炭素に帰属される13C−NMRスペクトルの積分値の和
1OH:1級水酸基の結合したメチレン基のプロトンに帰属されるH−NMRスペクトルの積分値の和
2OH:2級水酸基の結合したメチン基のプロトンに帰属されるH−NMRスペクトルの積分値の和
そして、得られた読み取り値を各々下記計算式(I)および(II):
EO−OH(%)=100×NEO−OH/(NEO−OH+NPO−OH (I)
OH(%)=100×N2OH/(N1OH+N2OH (II)
に代入して得られる末端水酸基が直結しているオキシエチレン基の百分率EEO−OH、および末端水酸基の2級化率EOHのパラメーターが、下記数式(I−A)および(II−A)を満足する、アルキレンオキサイド付加物。
0≦EEO−OH≦40 (I−A)
60≦EOH≦100 (II−A)
【請求項2】
前記アルキレンオキサイド付加物の1重量%水溶液の曇点が0〜95℃である、請求項1記載のアルキレンオキサイド付加物。
【請求項3】
前記アルキレンオキサイド付加物の0.1重量%水溶液の表面張力が25℃において30〜60mN/mである、請求項1または2に記載のアルキレンオキサイド付加物。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載のアルキレンオキサイド付加物を必須成分とする、消泡剤。
【請求項5】
請求項1〜のいずれかに記載のアルキレンオキサイド付加物を必須成分とする、セメント用収縮低減剤。
【請求項6】
請求項に記載のセメント用収縮低減剤、セメント、水および骨材を含有する、セメント組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキレンオキサイド付加物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
高級アルコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物等のアルキレンオキサイド付加物は、低温での流動性や安定性に優れるため、洗浄剤、消泡剤、乳化剤、分散剤、油相成分調整剤、浸透剤、ポリマー原料等の様々な産業用途で利用されてきた。これらの用途では、低起泡性等のハンドリング性能に優れることが望ましい。しかし、低起泡性や消泡性を高めると、本来的に重要な性能である洗浄力が低下するといったデメリットが生じることがある。
アルキレンオキサイド付加物の性能最適化のために、様々な構造設計が検討されてきた。たとえば、特許文献1には、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのランダム付加物;特許文献2には、アルコールに対して最初にエチレンオキサイド、次いでプロピレンオキサイドの順に付加させて得られるブロック付加物;特許文献3には、アルコールに対して最初にプロピレンオキサイド、次いでエチレンオキサイドの順に付加させて得られるブロック付加物;特許文献4には、アルコールに対して最初にエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのランダム付加を行い、次にエチレンオキサイドを付加させて得られるブロック付加物;特許文献5には、アルコールに対して最初にエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのランダム付加を行い、次にエチレンオキサイドの付加を行い、さらにプロピレンオキサイドを付加させて得られるブロック付加物;特許文献6には、アルコールに対して最初にエチレンオキサイド、次いでプロピレンオキサイドを付加させ、さらにエチレンオキサイドを付加させて得られるブロック付加物等が開示されている。
【0003】
しかしながら、これらのアルキレンオキサイド付加物は、洗浄性、低泡性および消泡性等の要求特性を十分に満足するものではない。また、特許文献5および6に記載されるアルキレンオキサイド付加物では、その製造プロセスが煩雑で多段階であるため製造時間が長いといった製造上の問題もあった。
このように、特許文献1〜6のアルキレンオキサイド付加物にはそれぞれ問題があるが、それらの問題を抱えつつも従来のアルキレンオキサイド付加物を使用せざるを得ないというのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−303825号公報
【特許文献2】特公昭63−12192号公報
【特許文献3】特開昭53−58508号公報
【特許文献4】特開平10−46189号公報
【特許文献5】特開平10−130690号公報
【特許文献6】特開平10−195499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、低泡性、消泡性および収縮低減効果に優れるアルキレンオキサイド付加物およびその用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、特定構造のアルキレンオキサイド付加物であれば、上記課題を解決するという知見が得られ、本発明を完成した。
本発明のアルキレンオキサイド付加物は、下記一般式(1)で表されるアルキレンオキサイド付加物であって、以下の(A)、(D)及び(F)を満足する。
RO−(PO)x−[(PO)y/(EO)z]−H (1)
(但し、Rは炭素数10〜30のアルキル基またはアルケニル基を示し、直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。x、yおよびzは、各々の平均付加モル数を示し、x=〜20、y=1〜10およびz=1〜10である。[(PO)y/(EO)z]はyモルのPOとzモルのEOとがランダム付加してなるポリオキシアルキレン基である。)
【0007】
本発明のアルキレンオキサイド付加物が、以下の(B)及び(C)のうちの少なくとも1つの構成要件を満足すると好ましい。
(A)前記アルキレンオキサイド付加物の起泡力(ロスマイルス試験法、濃度0.1重量%および温度25℃の測定条件下)が、流下直後において10mm以下であり、流下直後から5分後において5mm以下である。
(B)前記アルキレンオキサイド付加物の1重量%水溶液の曇点が0〜95℃である。
(C)前記アルキレンオキサイド付加物の0.1重量%水溶液の表面張力が25℃において30〜60mN/mである。
(D)前記yおよびzが0.8<y/z2.0を満足する
【0008】
(F)前記アルキレンオキサイド付加物の13C−NMRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを測定したチャートに基づいて、下記で各々定義されるNEO−OH、NPO−OH、N1OHおよびN2OHを読み取り、
EO−OH:末端水酸基に直接結合しているEOの炭素に帰属される13C−NMRスペクトルの積分値の和
PO−OH:末端水酸基に直接結合しているPOの炭素に帰属される13C−NMRスペクトルの積分値の和
1OH:1級水酸基の結合したメチレン基のプロトンに帰属されるH−NMRスペクトルの積分値の和
2OH:2級水酸基の結合したメチン基のプロトンに帰属されるH−NMRスペクトルの積分値の和
そして、得られた読み取り値を各々下記計算式(I)および(II):
EO−OH(%)=100×NEO−OH/(NEO−OH+NPO−OH) (I)
OH(%)=100×N2OH/(N1OH+N2OH) (II)
に代入して得られる末端水酸基が直結しているオキシエチレン基の百分率EEO−OH、および末端水酸基の2級化率EOHのパラメーターが、下記数式(I−A)および(II−A)を満足する。
0≦EEO−OH≦40 (I−A)
60≦EOH≦100 (II−A)
【0009】
本発明の消泡剤は、上記アルキレンオキサイド付加物を必須成分とする。
本発明のセメント用収縮低減剤は、上記アルキレンオキサイド付加物を必須成分とする。
本発明のセメント組成物は、上記セメント用収縮低減剤、セメント、水および骨材を含有する組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアルキレンオキサイド付加物は、低泡性、消泡性および収縮低減効果に優れる。
本発明の消泡剤は、本発明のアルキレンオキサイド付加物を必須成分とするため、消泡性に優れる。
本発明のセメント用収縮低減剤やセメント組成物は、本発明のアルキレンオキサイド付加物を必須成分とするため、収縮低減効果に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1で得られたアルキレンオキサイド付加物1の13C−NMRスペクトルを測定した結果を示すチャート図である。
図2】実施例1で得られたアルキレンオキサイド付加物1のH−NMRスペクトルを測定した結果を示すチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、まず、アルキレンオキサイド付加物の製造方法を説明し、次いで、アルキレンオキサイド付加物およびその用途を説明する。
【0013】
〔アルキレンオキサイド付加物の製造方法〕
本発明のアルキレンオキサイド付加物の製造方法は、下記一般式(A):
ROH (A)
(Rは炭素数1〜30のアルキル基またはアルケニル基を示し、直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。)
で表されるアルコールに対して、プロピレンオキサイドを供給して付加反応させる工程(以下では、この工程を「工程1」ということがある。)と、上記工程1の後に、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを同時に供給して付加反応させる工程(以下では、この工程を「工程2」ということがある。また、簡単のために、工程2における「エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド」を「アルキレンオキサイドA」ということがある。)を含む製造方法である。以下では、工程1で得られる付加物を付加中間体ということがある。
【0014】
一般式(A)で表されるアルコールにおけるRは、アルキル基またはアルケニル基である。また、Rは直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。
Rの炭素数は、通常1〜30、好ましくは1〜25、さらに好ましくは1〜22、特に好ましくは6〜20、最も好ましくは8〜20である。Rの炭素数が30超であると、得られるアルキレンオキサイド付加物の疎水性が増大する。
【0015】
上記アルコールとしては、特に限定はないが、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナオール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、へキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ヘネイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、ノナコサノールおよびトリアコサノール等の直鎖アルカノール;2−エチルへキサノール、2−プロピルヘプタノール、2−ブチルオクタノール、1−メチルヘプタデカノール、2−ヘキシルオクタノール、1−ヘキシルヘプタノール、イソデカノール、イソトリデカノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール等の分岐アルカノール;ヘキセノール、ヘプテノール、オクテノール、ノネノール、デセノール、ウンデセノール、ドデセノール、トリデセノール、テトラデセノール、ペンタデセノール、へキサデセノール、ペンタデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール、ノナデセノール、エイセノール、ドコセノール、テトラコセノール、ペンタコセノール、ヘキサコセノール、ヘプタコセノール、ヘプタコセノール、オクタコセノール、ノナコセノールおよびトリアコンセノール等の直鎖アルケノール;イソヘキセノール、2−エチルへキセノール、イソトリデセノール、1−メチルヘプタデセノール、1−ヘキシルヘプテノール、イソトリデセノールおよびイソオクタデセノール等の分岐アルケノール等が挙げられる。これらのアルコールは、1種または2種以上を併用してもよい。高級アルコールの製品の具体例としては、特に限定はないが、たとえば、ヤシアルコール、パームアルコール等の天然油脂由来の高級アルコールや、カルコールシリーズ(花王製)、コノールシリーズ(新日本理化製)、オキソコールシリーズ(協和発酵ケミカル製)、ネオドールシリーズ(シェル化学製)、ALFOLシリーズ(Sasol製)、EXXALシリーズ(エクソン・モービル製)等が挙げられる。これらの高級アルコールの製品は、1種または2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法は、触媒の存在下で行われてもよい。触媒としては、特に限定はないが、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム等のアルカリ(土類)金属の水酸化物;酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム等のアルカリ(土類)金属の酸化物;金属カリウム、金属ナトリウム等のアルカリ金属;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属の水素化物;炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ(土類)金属の炭酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等のアルカリ(土類)金属の硫酸塩;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機スルホン酸;パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム等の芳香族スルホン酸塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、トリエチルアミン等のアミン化合物;鉄粉、アルミニウム粉、アンチモン粉、塩化アルミニウム(III)、臭化アルミニウム(III)、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、塩化コバルト(III)、塩化アンチモン(III)、塩化アンチモン(V)、臭化アンチモン(III)、四塩化スズ、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル等のルイス酸;硫酸、過塩素酸等のプロトン酸;過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸マグネシウム等のアルカリ(土類)金属の過塩素酸塩;カルシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド等のアルカリ(土類)金属のアルコキシド;カリウムフェノキシド、カルシウムフェノキシド等のアルカリ(土類)金属のフェノキシド;珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸ナトリウム、ゼオライト等の珪酸塩;水酸化アルミニウム・マグネシウム焼成物、金属イオン添加酸化マグネシウム、焼成ハイドロタルサイト等のAl−Mg系複合酸化物またはそれらの表面改質物、ランタノイド系錯体等が挙げられる。これらの触媒は、1種または2種以上を併用してもよい。
【0016】
触媒の使用量については、特に限定はないが、工程1ではアルコール100重量部に対して、好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは0.001〜8重量部、さらに好ましくは0.01〜6重量部、特に好ましくは0.05〜5重量部、最も好ましくは0.05〜3重量部である。触媒の使用量が0.001重量部未満であると付加反応が十分に進行しないことがある。一方、触媒の使用量が10重量部超であるとアルキレンオキサイド付加物が着色し易くなるおそれがある。
本発明の製造方法では、アルコール、触媒等の原料を反応容器に仕込み、そしてその反応容器に対して脱ガス処理や脱水処理が行われると好ましい。脱ガス処理は、たとえば、減圧脱気方式、真空脱気方式等で行われる。また、脱水処理は、たとえば、加熱脱水方式、減圧脱水方式、真空脱水方式等で行われる。
【0017】
本発明の製造方法では、その製造形式については特に限定はなく、連続式でもバッチ式でもよい。反応容器については、特に限定はないが、たとえば、攪拌翼を備えた槽型反応容器やマイクロリアクター等を挙げることができる。攪拌翼としては、特に限定はないが、マックスブレンド翼、トルネード翼、フルゾーン翼等を挙げることができる。
本発明の製造方法では、付加反応を減圧状態から開始してもよいし、大気圧の状態から開始してもよいし、さらには加圧状態から開始してもよい。大気圧状態や加圧状態から開始する場合には不活性ガスの雰囲気下で行われることが好ましい。付加反応が不活性ガスの雰囲気下で行われるとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドと酸素との副反応等に起因して生成する不純物を十分に除去することが可能となり、また、安全性の観点からも有用であるので好ましい。不活性ガスとしては特に限定はないが、たとえば、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等が挙げられる。これらの不活性ガスは1種または2種以上を併用してもよい。不活性ガスの雰囲気下における反応容器内の酸素濃度については、特に限定はないが、好ましくは10体積%以下、より好ましくは5体積%以下、さらに好ましくは3体積%以下、特に好ましくは1体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下である。反応容器内の酸素濃度が10体積%超であると不純物を十分に除去できないことがあり、また安全性の観点からも好ましくないことがある。
【0018】
反応容器内の初期圧力については、特に限定はないが、たとえば、ゲージ圧で好ましくは0〜0.50MPa、より好ましくは0〜0.45MPa、さらに好ましくは0〜0.4MPa、特に好ましくは0〜0.35MPa、最も好ましくは0〜0.3MPaである。反応容器内の初期圧力が0MPa未満であると、不純物の発生量が多くなることがある。一方、反応容器内の初期圧力が0.50MPa超であると、反応速度が遅くなることがある。
アルコールに対してプロピレンオキサイドを供給すると、付加反応が生起する。
【0019】
付加反応時の反応容器内の圧力は、プロピレンオキサイドの供給速度、反応温度、触媒量等に影響される。付加反応時の反応容器内の圧力は特に限定はないが、ゲージ圧で好ましくは0〜5.0MPa、より好ましくは0〜4.0MPa、さらに好ましくは0〜3.0MPa、特に好ましくは0〜2.0MPa、最も好ましくは0.1〜1.0MPaである。付加反応時の反応容器内の圧力が0MPa未満であると、反応速度が遅くなることがある。一方、付加反応時の反応容器内の圧力が5.0MPa超であると、製造が困難であることがある。
プロピレンオキサイドの付加反応の反応温度としては特に限定はないが、好ましくは70〜240℃、より好ましくは80〜220℃、さらに好ましくは90〜200℃、特に好ましくは100〜190℃、最も好ましくは110〜180℃である。反応温度が70℃未満であると、付加反応が十分に進行しないことがある。一方、反応温度が240℃超であると、得られるアルキレンオキサイド付加物の着色およびアルキレンオキサイド付加物中のポリオキシアルキレン基の分解が促進されることがある。
【0020】
上記付加反応に要する時間(反応時間)については特に限定はないが、好ましくは0.1〜100時間、より好ましくは0.1〜80時間、さらに好ましくは0.1〜60時間、特に好ましくは0.1〜40時間、最も好ましくは0.5〜30時間である。反応時間が0.1時間未満であると、付加反応が十分に進行しないことがある。一方、反応時間が100時間超であると、生産効率が悪くなることがある。
プロピレンオキサイドの供給が完了すると反応容器内の内圧はプロピレンオキサイドが消費されることにより徐々に低下していく。プロピレンオキサイドの付加反応は内圧の変化が認められなくなるまで継続することが好ましい。プロピレンオキサイドの付加反応は一定時間における内圧の変化が認められなくなった時点で反応を終了する。必要に応じて加熱減圧操作等を実施し、未反応のプロピレンオキサイドを回収してもよい。
【0021】
プロピレンオキサイドの付加反応においては、必要に応じて不活性溶媒を用いることができる。たとえば、アルコールとしてトリアコンセノール等の常温で固体のものを用いる場合には反応前に予め不活性溶媒に溶解して用いることが好ましく、これにより反応性をより十分に向上できるとともに、ハンドリング性が高い。また、不活性溶媒を用いると除熱効果も期待できる。
不活性溶媒としては特に限定はないが、たとえば、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類;スルホラン、ジメチルスルホンホキシド等のスルホン類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでも、芳香族炭化水素類が好ましく、より好ましくはトルエンである。
【0022】
不活性溶媒の使用量としては、特に限定はないが、アルコールを溶解するのに使用する場合には、アルコール100重量部に対して、好ましくは10〜1000重量部、より好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは10〜400重量部、特に好ましくは10〜300重量部、最も好ましくは10〜200重量部である。不活性溶媒の量がアルコール100重量部に対して1000重量部超であると、付加反応を十分に進行させることができないことがある。一方、不活性溶媒の量が10重量部未満であると、アルコールを十分に溶解することができないことがある。なお、不活性溶媒を使用した場合には、付加反応後に除去することが好ましい。不活性溶媒の除去によって、不活性溶媒の残存に起因する不純物の発生を十分に防ぐことができ、各種物性により優れたアルキレンオキサイド付加物を得ることができる。溶媒の除去工程については、後述するとおりである。
プロピレンオキサイドの付加反応の終了後は、必要に応じて、触媒を中和および/または除去したり、不活性溶媒を除去したりすると好ましい。
【0023】
触媒の中和は、通常の方法により行えばよいが、たとえば、触媒がアルカリ触媒である場合は、塩酸、リン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、アクリル酸、メタクリル酸等の酸を添加して行うことが好ましい。
触媒の中和は不活性ガスの雰囲気下で行われると好ましい。不活性ガスとしては、特に限定はないが、たとえば、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0024】
触媒の中和時の温度としては、特に限定はないが、好ましくは50〜200℃、より好ましくは50〜190℃、さらに好ましくは60〜180℃、特に好ましくは60〜170℃、最も好ましくは60〜160℃である。触媒の中和時の温度が50℃未満であると、中和に要する時間が長くなることがある。一方、触媒の中和時の温度が200℃超であると、得られるアルキレンオキサイド付加物の着色およびアルキレンオキサイド付加物中のポリオキシアルキレン基の分解が促進されることがある。
触媒の中和により、上記付加反応により得られる反応生成物のpHが好ましくは4〜10に調整され、さらに好ましくは5〜8、特に好ましくは6〜8である。また、触媒中和の際に、必要に応じて、キノン類やフェノール類等の酸化防止剤を併用することもできる。
【0025】
中和により生成した中和塩は、さらに固液分離してもよい。中和により生成した中和塩の固液分離の方法としては、濾過や遠心分離等が挙げられる。濾過は、たとえば、濾紙、濾布、カートリッジフィルター、セルロースとポリエステルとの2層フィルター、金属メッシュ型フィルター、金属焼結型フィルター等を用いて、減圧または加圧下で温度20〜140℃の条件下で行うとよい。遠心分離は、たとえば、デカンターや遠心清澄機等の遠心分離器を用いて行うとよい。また、必要に応じて、固液分離前の液100重量部に対して水を1〜30重量部程度添加することもできる。上記固液分離として、特に濾過を行う際には、濾過助剤を使用すると濾過速度が向上するので好適である。
濾過助剤としては、特に限定はないが、たとえば、セライト、ハイフロースーパーセル、セルピュアの各シリーズ(Advanced Minerals Corporation製)、シリカ#645、シリカ#600H、シリカ#600S、シリカ#300S、シリカ#100F(中央シリカ社製)、ダイカライト(グレフコ社製)等の珪藻土;ロカヘルプ(三井金属鉱業社製)、トプコ(昭和化学社製)等のパーライト;KCフロック(日本製紙社製)、ファイブラセル(Advanced Minerals Corporation製)等のセルロース系濾過助剤;サイロピュート(富士シリシア化学社製)等のシリカゲル等が挙げられる。これらの濾過助剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
【0026】
濾過助剤は、予め濾紙等のフィルター面に濾過助剤層を形成するプレコート法を用いてもよいし、濾液に直接添加するボディーフィード法を用いてもよいし、これら両方を併用してもよい。濾過助剤の使用量としては、固液分離前の液100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜1.5重量部である。また、濾過処理速度は、濾面の大きさ、減圧度または加圧度、処理湿度等にも依存するが、好ましくは100kg/m・hr以上、より好ましくは300kg/m・hr以上であり、さらに好ましくは、500kg/m・hr以上である。
触媒の除去については、特に限定はないが、たとえば、触媒を吸着剤に吸着させた後、固液分離する方法が好ましい。
【0027】
吸着剤としては、たとえば、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の珪酸塩、活性白土、酸性白土、シリカゲル、イオン交換樹脂等が挙げられる。市販の吸着剤としては、たとえば、キョーワード600、700(協和化学社製)、ミズカライフP−1、P−1S、P−1G、F−1G(水澤化学社製)、トミタ−AD600、700(富田製薬社製)等の珪酸塩;アンバーリスト(ローム・アンド・ハース社製)やアンバーライト(ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオン(三菱化学社製)、ダウエックス(ダウケミカル社製)等のイオン交換樹脂等が挙げられる。これらの吸着剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
吸着剤の使用量は、たとえば、触媒100重量部に対して、好ましくは100〜5000重量部、より好ましくは300〜3000重量部である。
【0028】
触媒の除去条件としては、特に限定はないが、たとえば、減圧、常圧または加圧のいずれかの圧力条件下において、吸着剤を温度20〜140℃で5〜120分間攪拌混合した後、触媒が吸着された吸着剤を上記固液分離方法により分離する方法や、予めカラム等に吸着剤を充填しておいて、温度20℃〜140℃で反応混合物を通過させて触媒を吸着させて、触媒を除去する方法等が挙げられる。この際、さらに必要により、反応混合物100重量部に対して、水やエタノールに代表される低級アルコール等の水溶性溶剤を1〜20重量部添加してもよい。
触媒の除去後の残存量については、特に限定はないが、好ましくは300ppm以下、より好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、特に好ましくは50ppm以下、最も好ましくは20ppm以下である。
【0029】
不活性溶媒の除去は、たとえば、蒸留により行うことが好ましい。
なお、触媒の中和および/または除去と不活性溶媒の除去とを行う場合、各工程の順序は特に限定はなく、たとえば、触媒の中和および/または除去を行った後に、不活性溶媒の除去を行うと、得られるアルキレンオキサイド付加物の精製効率に優れるために好ましい。
【0030】
次に、工程2では、工程1の後にエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを同時に供給して付加反応させる。工程2では、工程1で得られるアルキレンオキサイド付加物(付加中間体)の末端水酸基に対して、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加反応させる。
なお、工程2においては、以下で特に説明する場合を除いて上記工程1と同様にして付加反応することができる。たとえば、製造形式、反応時間、反応容器内の圧力、不活性溶媒の使用、触媒の使用、触媒の中和、触媒の除去等については、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを同時に供給して付加反応させることを除けば、上記工程1の説明と同様である。
【0031】
工程2では、1)エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを工程1で得られる反応混合物そのままに対して供給して付加反応を行ってもよく、また、2)工程1で得られる反応混合物に対して、上述するように、触媒の中和および/または除去を行ったり、不活性溶媒を除去したりした後処理を済ませてから、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを供給して、付加反応を行ってもよい。
工程2では、触媒をさらに追加してもよい。追加する触媒の使用量については、特に限定はないが、工程1で得られる反応混合物100重量部に対して、好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは0.001〜8重量部、さらに好ましくは0.01〜6重量部、特に好ましくは0.05〜5重量部、最も好ましくは0.05〜3重量部である。触媒の使用量が0.001重量部未満であると付加反応が十分に進行しないことがある。一方、触媒の使用量が10重量部超であるとアルキレンオキサイド付加物が着色し易くなるおそれがある。
【0032】
工程2では、供給されるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの重量比を変化させながら供給することが好ましい。また、工程2では、供給されるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの重量比を供給開始時にはエチレンオキサイドの重量比が大きく、供給終了時にはプロピレンオキサイドの重量比が大きくなるように制御されることがより好ましい。
ここで、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド(アルキレンオキサイドA)の供給開始時をT0、アルキレンオキサイドAの供給終了時をT100とし、T0とT100との間の時間T1およびT2が、T0<T1<T2<T100および(T2−T1)/T100=0.01の関係にあると設定するとき、T0、T100、T1、T2の各々の時点で供給されるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの重量比を、[PO/EO]T0、[PO/EO]T100、[PO/EO]T1および[PO/EO]T2として、下記数式(B)〜(D)を同時に満足するとよい。
【0033】
0<[PO/EO]T0<1 (B)
1<[PO/EO]T100<100 (C)
0.8<[PO/EO]T2/[PO/EO]T1<10 (D)
数式(B)は、好ましくは0.02<[PO/EO]T0<0.9、さらに好ましくは0.05<[PO/EO]T0<0.8、特に好ましくは0.08<[PO/EO]T0<0.7、最も好ましくは0.1<[PO/EO]T0<0.5である。[PO/EO]T0が0であると、得られるアルキレンオキサイド付加物の乳化力、低粘性能が優れないことがある。一方、[PO/EO]T0が1以上であると、得られるアルキレンオキサイド付加物の消泡性が低いことがある。
【0034】
数式(C)は、好ましくは1.2<[PO/EO]T100<80、さらに好ましくは1.5<[PO/EO]T100<60、特に好ましくは1.8<[PO/EO]T100<40、最も好ましくは2<[PO/EO]T100<20である。[PO/EO]T100が1以下であると、得られるアルキレンオキサイド付加物の消泡性が低いことがある。一方、[PO/EO]T100が100以上であると、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの供給の制御が困難となることがある。
数式(D)は、好ましくは0.8<[PO/EO]T2/[PO/EO]T1<5.0、さらに好ましくは0.8<[PO/EO]T2/[PO/EO]T1<2.0、特に好ましくは0.9<[PO/EO]T2/[PO/EO]T1<1.2、最も好ましくは1.0≦[PO/EO]T2/[PO/EO]T1<1.2である。[PO/EO]T2/[PO/EO]T1が0.8以下であると、得られるアルキレンオキサイド付加物の消泡性が低いことがある。[PO/EO]T2/[PO/EO]T1が10以上であると、得られるアルキレンオキサイド付加物のハンドリング性が優れないことがある。
【0035】
数式(B)〜(D)の意味するところを大まかに言えば、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの供給開始時から供給終了時にかけて、プロピレンオキサイドの重量比を徐々に増加させていくように制御することである。但し、(T2−T1)/T100=0.01の関係を満足するような微小な時間範囲(たとえば、T2−T1)においては、プロピレンオキサイドの重量比が一時的に減少する場合も許容される。
アルキレンオキサイドAの供給速度に関しては、数式(B)〜(D)を同時に満足するように調整されればよく、特に限定はないが、たとえば、1)供給開始時のアルキレンオキサイドAの供給速度が速く、徐々に供給速度を遅くする(アルキレンオキサイドAを供給開始時に多量に供給し、供給終了時には量を減らす)方法や、2)供給開始時のアルキレンオキサイドAの供給速度が遅く、徐々に供給速度を速くする(アルキレンオキサイドAを供給開始時は少量を供給し、供給終了時には量を増やす)方法や、3)プロピレンオキサイドの供給速度を供給開始時には遅く、時間の経過と共に徐々に供給速度を速くする一方、エチレンオキサイドの供給速度を供給開始時には速く、時間の経過と共に徐々に供給速度を遅くする(プロピレンオキサイドを供給開始時は少量を供給し、供給終了時には量を増やす一方、エチレンオキサイドを供給開始時に多量に供給し、供給終了時には量を減らす)方法や、4)エチレンオキサイドの供給速度を一定に保ち、供給開始時のプロピレンオキサイドの供給速度を遅く、時間の経過と共に徐々に供給速度を速くする方法や、5)プロピレンオキサイドの供給速度を一定に保ち、供給開始時のエチレンオキサイドの供給速度を速く、時間の経過と共に徐々に供給速度を遅くする方法等が挙げられる。
【0036】
本発明の製造方法において、未反応で残存するアルコールの含有量としては、特に限定はないが、得られるアルキレンオキサイド付加物100重量部に対して、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.01重量部以下、さらに好ましくは0.001重量部以下、特に好ましくは0.0001重量部以下、最も好ましくは0.00001重量部以下である。未反応で残存するアルコールの含有量が、アルキレンオキサイド付加物100重量部に対して1重量部超であると、臭気が発生することがある。
【0037】
〔アルキレンオキサイド付加物〕
本発明のアルキレンオキサイド付加物は、下記一般式(1)で表される。
RO−(PO)x−[(PO)y/(EO)z]−H (1)
(但し、Rは炭素数1〜30のアルキル基またはアルケニル基を示し、直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。x、yおよびzは、各々の平均付加モル数を示し、x=1〜20、y=1〜10およびz=1〜10である。[(PO)y/(EO)z]はyモルのPOとzモルのEOとがランダム付加してなるポリオキシアルキレン基である。)
【0038】
一般式(1)中のRに対しては、上記製造方法で説明したアルコールに由来する基であり、その説明も上述のとおりである。
xはRおよび[(PO)y/(EO)z]に結合する(ポリ)オキシプロピレン基((PO)x)中のオキシプロピレン基の平均付加モル数を表す。yはポリオキシプロピレン基に結合するポリオキシアルキレン基([(PO)y/(EO)z])中のオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、zはポリオキシプロピレン基に結合するポリオキシアルキレン基([(PO)y/(EO)z])中のオキシエチレン基(EO)の平均付加モル数を表す。
【0039】
オキシプロピレン基の平均付加モル数xとしては、特に限定はないが、通常1〜20、好ましくは2〜20、より好ましくは3〜18、さらに好ましくは3〜16、特に好ましくは4〜16、最も好ましくは5〜15である。オキシプロピレン基の平均付加モル数xが1未満であると、低泡性や消泡性が十分ではないことがある。一方、オキシプロピレン基の平均付加モル数xが20超であると、疎水性が強くなりすぎて水溶性が低下することがある。
オキシプロピレン基の平均付加モル数yとしては、特に限定はないが、通常1〜10、好ましくは1〜9、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは2〜8、特に好ましくは2〜7、最も好ましくは2〜6である。オキシプロピレン基の平均付加モル数yが1未満であると、低泡性や消泡性が十分ではないことがある。一方、オキシプロピレン基yの平均付加モル数が10超であると、疎水性が強くなりすぎて水溶性が低下することがある。
【0040】
オキシエチレン基の平均付加モル数zとしては、特に限定はないが、通常1〜10、好ましくは1〜9、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは2〜8、特に好ましくは2〜7、最も好ましくは2〜6である。オキシエチレン基の平均付加モル数zが1未満であると、水溶性が十分ではない場合がある。一方、オキシエチレン基の平均付加モル数zが10モル超であると、親水性が強くなりすぎて低泡性や消泡性が低下することがある。
[(PO)y/(EO)z]は、yモルのオキシプロピレン基とzモルのオキシエチレン基とがランダム付加してなるポリオキシアルキレン基である。このポリオキシアルキレン基の一方の末端は、エーテル結合を介してポリオキシプロピレン基と結合しており、他方の末端は水酸基となっている(以下では、この水酸基を末端水酸基ということがある。)。本発明でランダム付加とは、オキシプロピレン基およびオキシエチレン基が無秩序に共重合して配列された付加状態になっていることを言う。
【0041】
アルキレンオキサイド付加物は、ポリオキシアルキレン基のyとzの商(y/z)が特定の範囲にあると、収縮低減効果に優れる場合があるので好ましい。y/zとしては、たとえば、収縮低減効果を考慮すると、好ましくは0.8<y/z<2.0、より好ましくは0.8<y/z<1.9、さらに好ましくは0.8<y/z<1.8、特に好ましくは0.9<y/z<1.8、最も好ましくは0.9<y/z<1.5である。y/zが0.8以下であると、消泡性に優れないことがある。y/zが2.0以上であると、水溶性が十分ではないことがある。
アルキレンオキサイド付加物の13C−NMRスペクトルおよびH−NMRスペクトルを測定したチャートに基づいて、下記で各々定義されるNEO−OH、NPO−OH、N1OHおよびN2OHを読み取り、
EO−OH:末端水酸基に直接結合しているEOの炭素に帰属される13C−NMRスペクトルの積分値の和
PO−OH:末端水酸基に直接結合しているPOの炭素に帰属される13C−NMRスペクトルの積分値の和
1OH:1級水酸基の結合したメチレン基のプロトンに帰属されるH−NMRスペクトルの積分値の和
2OH:2級水酸基の結合したメチン基のプロトンに帰属されるH−NMRスペクトルの積分値の和
そして、得られた読み取り値を各々下記計算式(I)、(II):
EO−OH(%)=100×NEO−OH/(NEO−OH+NPO−OH) (I)
OH(%)=100×N2OH/(N1OH+N2OH) (II)
末端水酸基が直結しているオキシエチレン基の百分率EEO−OH、および末端水酸基の2級化率EOHのパラメーターが、下記数式(I−A)、(II−A)を各々満足すると、収縮低減効果に優れるので好ましい。
0≦EEO−OH≦40 (I−A)
60≦EOH≦100 (II−A)
【0042】
末端水酸基に直接結合しているEOの百分率EEO−OH(%)は、好ましくは0≦EEO−OH≦40、より好ましくは5≦EEO−OH≦40、さらに好ましくは5≦EEO−OH≦35、特に好ましくは5≦EEO−OH≦30、最も好ましくは5≦EEO−OH≦25である。EEO−OHが30%超であると、低泡性、消泡性に優れない場合がある。
EO−OHは、13C−NMRスペクトルにおいて末端水酸基に直接結合しているEOの炭素に帰属される全ての積分値の和であり、61.0〜63.0ppmの範囲に確認される全ての積分値の和である。
【0043】
PO−OHは、13C−NMRスペクトルにおいて末端水酸基に直接結合しているPOの炭素に帰属される全ての積分値の和であり、64.5〜67.5ppmの範囲に確認される全ての積分値の和である。
末端水酸基の2級化率EOH(%)は、好ましくは60≦EOH≦100、より好ましくは60≦EOH≦95、さらに好ましくは65≦EOH≦95、特に好ましくは70≦EOH≦95、最も好ましくは75≦EOH≦95ある。EOHが60%未満であると、低泡性、消泡性に優れない場合がある。なお、EOHを求めるためのH−NMRスペクトル測定では、アルキレンオキサイド付加物を無水トリフルオロ酢酸でトリフルオロアセチル化した試料を用いる。
【0044】
2OHは、H−NMRスペクトルにおいて2級水酸基の結合したメチン基のプロトンに帰属される全ての積分値の和であり、通常4.9〜5.5ppmの範囲に確認される全ての積分値の和である。
1OHは、H−NMRスペクトルにおいて1級水酸基の結合したメチレン基のプロトンに帰属される全ての積分値の和であり、通常4.1〜4.7ppmの範囲に確認される全ての積分値の和である。
【0045】
本発明のアルキレンオキサイド付加物の重量平均分子量としては、特に限定はないが、好ましくは200〜5000、より好ましくは200〜4000、さらに好ましくは200〜3000、特に好ましくは200〜2000、最も好ましくは200〜1500である。重量平均分子量が200未満であると、アルキレンオキサイド付加物の洗浄性が低いことがある。
重量平均分子量が5000超であると、ハンドリング性が低いことがある。重量平均分子量の測定方法は、実施例で詳しく説明する。
アルキレンオキサイド付加物の曇点は、以下の実施例で詳しく説明するように、アルキレンオキサイド付加物の1重量%水溶液を調製し、その曇点を測定した値とする。アルキレンオキサイド付加物の曇点は、好ましくは0〜95℃、より好ましくは0〜80℃、さらに好ましくは5〜70℃、特に好ましくは5〜60℃、最も好ましくは10〜60℃である。アルキレンオキサイド付加物の曇点が0℃未満であると、収縮低減効果が十分ではないことがある。アルキレンオキサイド付加物の曇点が95℃超であると、アルキレンオキサイド付加物のハンドリング性が低いことがある。
【0046】
アルキレンオキサイド付加物の起泡力は、以下の実施例で詳しく説明するように、濃度0.1重量%、温度25℃の測定条件下でロスマイルス試験法により測定した値とする。アルキレンオキサイド付加物の流下直後の起泡力は、好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下、さらに好ましくは7mm以下、特に好ましくは6mm以下、最も好ましくは5mm以下である。また、流下直後から5分後の起泡力は、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、さらに好ましくは3mm以下、特に好ましくは2mm以下、最も好ましくは1mm以下である。流下直後の起泡力が10mm超であると、低泡性、消泡性および収縮低減効果に優れない。また、流下直後から5分後の起泡力が5mm超であると、低泡性、消泡性および収縮低減効果に優れない。
アルキレンオキサイド付加物の表面張力は、以下の実施例で詳しく説明するように、アルキレンオキサイド付加物の0.1重量%水溶液を調製し、温度25℃の測定条件下でその表面張力を測定した値とする。アルキレンオキサイド付加物の表面張力は、好ましくは30〜60mN/m、より好ましくは35〜60mN/m、さらに好ましくは40〜60mN/m、特に好ましくは40〜55mN/m、最も好ましくは45〜55mN/mである。アルキレンオキサイド付加物の表面張力が30mN/m未満であると、低泡性が良くないことがある。一方、アルキレンオキサイド付加物の表面張力が60mN/m超であると、消泡性が十分ではないことがある。
【0047】
〔アルキレンオキサイド付加物の用途〕
本発明のアルキレンオキサイド付加物および/または本発明の製造方法で得られるアルキレンオキサイド付加物は、たとえば、衣料用の液体洗剤や粉体洗剤、家庭用洗剤、台所用洗剤、固体洗浄剤、シャンプー、機械・金属用洗剤等の洗浄剤や、消泡剤、抑泡剤、潤滑剤、繊維油剤、紙薬剤、脱樹脂剤、脱墨剤、脱脂剤、減水剤、凝集剤、分散剤、乳化重合剤、乳化剤、可溶化剤、懸濁剤、増粘剤、ゲル化剤、帯電防止剤、表面処理剤、セメント用収縮低減剤等のセメント用混和剤等の各種用途において、必須成分として利用することができる。
以下、用途が消泡剤およびセメント用収縮低減剤である場合について、詳しく説明する。
【0048】
(消泡剤)
本発明の消泡剤は、上記アルキレンオキサイド付加物および/または上記製造方法で得られるアルキレンオキサイド付加物を、必須成分とする。
本発明の消泡剤は、水系で使用する際の水分散性が良好という理由から、水をさらに含んでいてもよい。水の配合割合については、特に限定はないが、アルキレンオキサイド付加物100重量部に対して、好ましくは1〜10000重量部、より好ましくは10〜5000重量部、さらに好ましくは20〜2500重量部、特に好ましくは30〜1000重量部、最も好ましくは60〜500重量部である。水の配合割合が1重量部未満であると、洗浄力または消泡力が低下することがある。一方、水の配合割合が、10000重量部超であると、ハンドリング性に劣ることがある。
【0049】
本発明の消泡剤は、有機溶剤、鉱物油、シリコーン、動植物油等その他の公知の消泡剤等のその他成分をさらに含んでもよい。
本発明の消泡剤の使用用途としては、特に限定はないが、たとえば、アミノ酸発酵、カルボン酸発酵、酵素発酵、抗生物質発酵等の発酵工業用途;紙パルプ製造工業;建築工業;染料工業;染色工業;ゴム工業;合成樹脂工業;インキ工業;塗料工業;繊維工業等に使用することができる。
【0050】
本発明の消泡剤を使用する際、消泡することが必要な水性媒体に対する配合割合については特に限定はないが、たとえば、水性媒体100重量部に対して通常0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは0.003〜5重量部、さらに好ましくは0.005〜1重量部、特に好ましくは0.007〜0.5重量部、最も好ましくは0.01〜0.1重量部である。
【0051】
(セメント用収縮低減剤)
本発明のセメント用収縮低減剤は、上記アルキレンオキサイド付加物および/または上記製造方法で得られるアルキレンオキサイド付加物を、必須成分とする。
本発明のセメント用収縮低減剤は、上記アルキレンオキサイド付加物以外のその他の界面活性剤をさらに含んでいてもよい。本発明のセメント用収縮低減剤がその他の界面活性剤をさらに含むと、製造時におけるセメント組成物の分散性が増し硬化後のセメント組成物の美観が向上する場合がある。
【0052】
その他の界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれかで構成されるものであればよく、1種または2種以上を含んでいてもよい。
その他の界面活性剤である非イオン性界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル;等のポリオキシアルキレン硬化ひまし油;ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;アルキルグリセリンエーテル;ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル;アルキルポリグルコシド;ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンアルキルアミン;オキシエチレンーオキシプロピレンブロックポリマー;高級アルコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド・ランダム型付加物;高級アルコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド・ランダム型付加物にプロピレンオキサイドをさらにブロック状に付加させた付加物;5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド付加物(付加モル数37〜43)、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド(付加モル数7〜13)/プロピレンオキサイド(付加モル数37〜43)ブロック型付加物、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド(付加モル数17〜23)/プロピレンオキサイド(付加モル数17〜23)ランダム型付加物等のポリオキシアルキレンアセチレンジオールエーテル等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。但し、本発明のアルキレンオキサイド付加物は、その他の界面活性剤である非イオン性界面活性剤から除かれる。
【0053】
その他の界面活性剤である陽イオン性界面活性剤としては、たとえば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;ジアルキルジメチルアンモニウム塩;トリアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
その他の界面活性剤である両性界面活性剤としては、たとえば、2−ウンデシル−N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤;N−ラウリルグリシン、N−ラウリルβ−アラニン、N−ステアリルβ−アラニン等のアミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0054】
セメント用収縮低減剤がアルキレンオキサイド付加物のみで構成される場合の、セメント用収縮低減剤に占めるアルキレンオキサイド付加物の重量割合については、特に限定はないが、好ましくはセメント用収縮低減剤の10〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、さらに好ましくは70〜100重量%、特に好ましくは90〜100重量%、最も好ましくは100重量%である。アルキレンオキサイド付加物の重量割合がセメント用収縮低減剤の10重量%未満であると、収縮低減効果が低下し、硬化後のセメント組成物の比重変化が大きくなることがある。
セメント用収縮低減剤がアルキレンオキサイド付加物とさらにアルキレンオキサイド付加物以外のその他の界面活性剤を含む場合の、セメント用収縮低減剤に占めるアルキレンオキサイド付加物の重量割合については、特に限定はないが、好ましくはセメント用収縮低減剤の10〜99.9重量%、より好ましくは40〜99.9重量%、さらに好ましくは50〜99重量%、特に好ましくは70〜95重量%、最も好ましくは80〜95重量%である。アルキレンオキサイド付加物の重量割合がセメント用収縮低減剤の10重量%未満であると、収縮低減効果が低下し、硬化後のセメント組成物の比重変化が大きくなることがある。アルキレンオキサイド付加物の重量割合がセメント用収縮低減剤の99.9重量%超であると、製造時におけるセメント組成物の分散性が不十分なことがある。
【0055】
本発明のセメント用収縮低減剤は、その他の成分としてpH調整剤、水溶性高分子物質、高分子エマルジョン、遅延剤、早強剤・促進剤、防水剤、防錆剤、ひび割れ低減剤、膨張材、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、着色剤、防カビ剤、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石膏、炭酸塩粉末等を含んでいてもよい。
pH調整剤は主にセメント用収縮低減剤のpHを中性付近に調整するための成分であり、セメント用収縮低減剤の変色および変性を抑制する効果が得られ保存安定性が向上する場合がある。
【0056】
pH調整剤としては、特に限定はないが、たとえば、塩酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、硝酸、亜硝酸、炭酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、2−エチルヘキシル酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、アクリル酸、メタクリル酸およびマレイン酸等の有機酸;塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、グルタル酸、クエン酸、リンゴ酸およびグルコン酸からなる群より選ばれる酸のナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
pH調整剤の配合量としては、特に限定はないが、アルキレンオキサイド付加物100重量部に対して、好ましくは0.0001〜5重量部、より好ましくは0.001〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.01〜2重量部、最も好ましくは0.01〜1重量部である。pH調整剤の量が5重量部超であると、セメント用収縮低減剤に特異臭が発生する場合がある。一方、pH調整剤の量が0.0001重量部未満であると、セメント用収縮低減剤の変色および変性を抑制する効果が少ない。
【0057】
本発明のセメント組成物は、本発明のセメント用収縮低減剤、セメント、水および骨材を含有する。本発明のセメント組成物は、具体的には、これらの構成成分を含有するモルタル組成物およびコンクリート組成物等が挙げられる。
本発明のセメント組成物に占めるセメント用収縮低減剤の重量割合としては、特に限定はないが、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%、最も好ましくは1〜5重量%である。セメント用収縮低減剤の重量割合が0.01重量%未満であると、収縮低減効果が十分でない場合がある。一方、セメント用収縮低減剤の重量割合が20重量%超であると、硬化後のセメント組成物の比重変化が大きいことがある。
【0058】
セメントとしては、特に限定はないが、ポルトランドセメント(普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメントおよび耐硫酸塩ポルトラントセメント)および混合セメント(高炉セメント、フライアッシュセメント、フライアッシュセメント等)等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
骨材としては、細骨材と粗骨材とがある。細骨材としては、「JIS A5308:2003の付属書1(規定)レディ−ミクストコンクリート用骨材」に準拠する骨材等が使用でき、川砂、陸砂、山砂、海砂および砕砂等が挙げられる。粗骨材としては、「JIS A5308:2003の付属書1(規定)レディーミクストコンクリート用骨材」に準拠する骨材等が使用でき、川砂利、陸砂利、山砂利および砕石等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0059】
水は、海水、河川水、湖沼水、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水等のいずれでもよい。
本発明のセメント組成物は、フライアッシュ、高炉スラグ混和材、シリカフューム混和材、減水剤、高性能減水剤、AE剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤、膨張材、起泡剤、発泡剤、消泡剤、硬化促進剤(急結剤)、硬化遅延剤、防錆剤、増粘剤、ポリマーセメントコンクリート、ポリマーモルタル用のポリマーディスパージヨン等の各種混和剤を含んでもよい。
【0060】
フライアッシュとしては「JIS A6201:2008コンクリート用フライアッシ
ュ」に準拠するもの等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
高炉スラグとしては「JIS A6206:2008コンクリート用高炉スラグ微粉末」に準拠するもの等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0061】
シリカフュームとしては「JIS A6207:2006コンクリート用シリカフューム」に準拠するもの等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
減水剤および高性能減水剤としては、セメント組成物を得るのに必要な水量を減少させるものであればよく、特に限定はないが、たとえば、リグニンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物塩(縮合度:5〜20)、メラミンホルマリン酸ホルマリン縮合物塩(縮合度:5〜20)、ポリカルボン酸塩(数平均分子量:5000〜6万)、アミノスルホン酸ホルマリン縮合物塩(縮合度:2〜20)、ポリオキシアルキレン基含有ポリカルボン酸塩(数平均分子量:1万〜60万)等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0062】
AE剤としては、コンクリートの中に多数の微細な独立した空気泡を一様に分布させワーカビリティーおよび耐凍害性を向上させるものであればよく、特に限定はないが、たとえば、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、オレイン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン塩;モノステアリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の長鎖スルホコハク酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムモノナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム等の長鎖N−アシルグルタミン酸塩;ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリ無水マレイン酸、マレイン酸とイソブチレンとの共重合物、無水マレイン酸とイソブチレンとの共重合物、マレイン酸とジイソブチレンとの共重合物、無水マレイン酸とジイソブチレンとの共重合物、アクリル酸とイタコン酸との共重合物、メタアクリル酸とイタコン酸との共重合物、マレイン酸とスチレンとの共重合物、無水マレイン酸とスチレンとの共重合物、アクリル酸とメタアクリル酸との共重合物、アクリル酸とアクリル酸メチルエステルとの共重合物、アクリル酸と酢酸ビニルとの共重合物、アクリル酸とマレイン酸との共重合物、アクリル酸と無水マレイン酸との共重合物のアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等のポリカルボン酸塩;ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、および、これらのアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等のナフタレンスルホン酸塩;メラミンスルホン酸、アルキルメラミンスルホン酸、メラミンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルメラミンスルホン酸のホルマリン縮合物、および、これらのアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等のメラミンスルホン酸塩等;リグニンスルホン酸、および、これらのアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等のリグニンスルホン酸塩等の陰イオン性界面活性剤等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
消泡剤としては、特に限定はないが、たとえば、エステル系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、鉱物油系消泡剤、シリコーン系消泡剤、粉末消泡剤等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0063】
AE減水剤および高性能AE減水剤としては、空気連行性能とセメント組成物を得るのに必要な水量を減少させる性能との両方を有するものであればよく、特に限定はないが、リグニンスルホン酸系化合物、ポリカルボン酸系化合物、ナフタリン系化合物、アミノスルホン酸系化合物等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
流動化剤としては、あらかじめ練り混ぜられたコンクリートに添加し攪拌することによって流動性を増大させられるものであればよく、特に限定はないが、ナフタリンスルホン酸ホルムアルデヒド高縮合物塩、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド高縮合物塩、スチレンスルホン酸共重合物塩等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0064】
硬化促進剤としては、特に限定はないが、たとえば、多価アルコール(ペンタエリスリトール等)の分子内縮合物、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよび塩化カルシウム等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
硬化遅延剤としては、特に限定はないが、たとえば、糖類およびオキシカルボン酸塩等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0065】
防錆剤としては、特に限定はないが、たとえば、亜硝酸塩等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、特に限定はないが、たとえば、ポリアクリルアミド、セルロースエーテル等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0066】
ポリマーセメントコンクリートおよびポリマーモルタル用ポリマーディスパージョンとしては、特に限定はないが、たとえば、スチレンブタジエンゴムラテックス、エチレン酢酸ビニルエマルション、ポリアクリル酸エステルエマルション等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
セメント組成物の製造方法については、特に限定はない。上記で説明したセメント組成物を構成する各成分を同時に混合してもよく、成分ごとに順番に混合してもよく、予めいくつかの成分を混合しておいて残りの成分を後で添加混合等してもよい。
【0067】
上記混合については、特に限定はなく、容器と攪拌羽根といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。また、一般的な揺動または攪拌を行える粉体混合機を用いてもよい。粉体混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動攪拌または攪拌を行える粉体混合機を挙げることができる。また、近年、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な粉体混合機であるスーパーミキサー(株式会社カワタ製)およびハイスピードミキサー(株式会社深江製)、ニューグラムマシン(株式会社セイシン企業製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション社製)等を用いてもよい。他には、たとえば、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、円盤型ミル、ジェットミル、サイクロンミル等の乾式粉砕機を用いてもよい。
本発明のセメント用収縮低減剤を添加混練したモルタル又はコンクリートの施工方法としては、特に限定はないが、たとえば、湿空養生、水中養生、散水養生および加熱促進養生(蒸気養生およびオートクレーブ養生)等水分が十分供給される養生方法が好ましい。
【実施例】
【0068】
以下に、本発明の実施例をその比較例とともに具体的に説明する本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例5は参考例とする。
【0069】
13C−NMR法〕
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、重水素化溶媒として約0.5mlの重水素化クロロホルムを加え溶解させて、13C−NMR測定装置(BRUKER社製AVANCE400,100MHz)で測定した。
【0070】
H−NMR法および2級化率算出方法〕
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、重水素化溶媒として約0.5mlの重水素化クロロホルムを加え溶解させる。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し、分析用試料とし、H−NMR測定装置(BRUKER社製AVANCE400,400MHz)で測定した。
【0071】
〔重量平均分子量〕
アルキレンオキサイド付加物を不揮発分濃度が約0.2質量%濃度となるようにテトラヒドロフランに溶かした後、以下の測定条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を測定した。次いで、分子量既知のポリエチレングリコールのGPC測定結果から、検量線を作成し、重量平均分子量を算出した。
(測定条件)
機器名:HLC−8220(東ソー社製)
カラム:KF−G、KF−402HQ、KF−403HQ各1本ずつを直列に連結(いずれもShodex社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
注入量:10μl
溶離液の流量:0.3ml/分
温度:40℃
【0072】
〔曇点の測定〕
アルキレンオキサイド付加物の1重量%水溶液を調製した。次いで、加温して一旦曇点試験液を濁らせ、徐々に冷却して濁りが無くなる温度を曇点とした。
【0073】
〔起泡力〕
ロスマイルス試験法により温度25℃の測定条件下で測定した。アルキレンオキサイド付加物の0.1重量%水溶液を試験液とし、試験液の50mlをロスマイルス測定装置の管壁に沿って流し込み、上部の流下ピペットにも試験液の200mlを入れて準備した。ロスマイルス測定装置の円筒中央に試験液の液滴が落ちるようにピペットをセットし、90cmの高さから試験液を流下させ、流下が終わった直後(流下直後)の泡沫の高さと、流下直後から5分後の泡沫の高さを測定した。
【0074】
〔表面張力〕
アルキレンオキサイド付加物の0.1重量%水溶液を試験液とし、以下の測定条件で表面張力を測定した。
(測定条件)
機器名:自動表面張力計K100(KRUSS社製)
測定法:ウィルヘルミー法
温度:25℃
【0075】
〔アルキレンオキサイド付加物〕
実施例および比較例で用いたアルキレンオキサイド付加物1〜10の一般式を以下に示す。アルキレンオキサイド付加物1〜5は本発明のアルキレンオキサイド付加物に該当し、アルキレンオキサイド付加物6〜10は本発明のアルキレンオキサイド付加物には該当しない。代表例として、ポリアルキレンオキサイド付加物1の具体的な製造方法を以下の実施例1に示す。各アルキレンオキサイド付加物の物性を表1および2に示す。
アルキレンオキサイド付加物1:C1225O−(PO)−[(PO)/(EO)]−H
アルキレンオキサイド付加物2:C1021O−(PO)−[(PO)/(EO)]−H
アルキレンオキサイド付加物3:C1225O−(PO)−[(PO)/(EO)]−H
アルキレンオキサイド付加物4:C1837O−(PO)10−[(PO)/(EO)]−H
アルキレンオキサイド付加物5:CO−(PO)−[(PO)/(EO)]−H
アルキレンオキサイド付加物6:C1225O−(PO)−(EO)−H
アルキレンオキサイド付加物7:C1021O−[(PO)/(EO)]−(PO)−H
アルキレンオキサイド付加物8:C1225O−[(PO)/(EO)]−(PO)10−H
アルキレンオキサイド付加物9:C1837O−(PO)13−(EO)−H
アルキレンオキサイド付加物10:CO−(PO)−(EO)−H
【0076】
〔実施例1〕
(アルキレンオキサイド付加物1の製造)
1Lのオートクレーブに、ラウリルアルコール(分子量186)100gと、水酸化カリウム0.3gとを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素置換してから、攪拌しつつ80℃で減圧脱水を行った。
次いで、130℃まで昇温した後、反応温度145±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつ約170分間でプロピレンオキサイド125gを供給した。
【0077】
プロピレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させた。
熟成後、130℃まで昇温し、反応温度145±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを同時に供給開始した。エチレンオキサイドでは、26g/hの供給速度から供給を開始して、徐々に供給量を減少させて、最終10g/hの供給速度で供給を完了し、約80分間で総量24gを供給した。また、プロピレンオキサイドでは、20g/hの供給速度で供給を開始し、徐々に供給量を増加させて、最終27g/hの供給速度で供給を完了し、約80分間で総量31gを供給した。
【0078】
ここで、供給開始時における供給されるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの重量比[PO/EO]T0は0.77であった。供給終了時における供給されるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの重量比[PO/EO]T100は2.7であった。エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの供給は、0.9<[PO/EO]T2/[PO/EO]T1<1.2の条件を満たしていた。
エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させ、80℃まで冷却した。後処理として、得られた反応混合物に合成吸着剤(キョーワード700、協和化学工業(株))9gを加えて、90℃で窒素気流下1時間攪拌して処理した後、ろ過により触媒を除去して、アルキレンオキサイド付加物1を得た。
【0079】
得られたアルキレンオキサイド付加物1のプロピレンオキサイド付加モル数(x)は4であり、プロピレンオキサイド付加モル数(y)は1であり、エチレンオキサイド付加モル数(z)は1であった。
得られたアルキレンオキサイド付加物1の13C−NMRスペクトル(図1)およびH−NMRスペクトル(図2)の積分値を読み取り、NEO−OH、NPO−OH、N1OH、N2OHは、各々1.0、2.6、1.0、2.3であった。これらの積分値より計算されるEEO−OH、EOHは、各々28.2、69.3であった。得られたアルキレンオキサイド付加物1の重量平均分子量は519であった。曇点は15℃であった。表面張力は32.3であった。起泡力は、直後が5mm、5分後が0mmであった。
【0080】
〔実施例2〜5〕
実施例2〜5では、実施例1において、表1に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、実施例1と同様にアルキレンオキサイド付加物2〜5をそれぞれ得て、物性等も実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
〔比較例1〜5〕
比較例1〜5では、上記に示すアルキレンオキサイド付加物6〜10をそれぞれ準備し、物性等も実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
実施例1〜5で得られたアルキレンオキサイド付加物1〜5、および、比較例1〜5で得られたアルキレンオキサイド付加物6〜10をそれぞれ用いて、下記の方法で、低泡性および消泡性を評価し、消泡剤としての性能を調べた。結果を表3に示す。
【0085】
〔低泡性(起泡力)の評価〕
アルキレンオキサイド付加物0.1g、水99.9gを混合して試験液を調製した。25℃の条件で試験液を循環させ、10分後の泡沫の高さを測定した。
◎:起泡力が5mm未満であり、低泡性に優れる。
〇:起泡力が5mm以上10mm未満であり、低泡性に優れる。
△:起泡力が10mm以上20mm未満であり、低泡性に劣る。
×:起泡力が20mm以上であり、低泡性に劣る。
【0086】
〔消泡性(消泡力)の評価〕
アルキレンオキサイド付加物0.05g、ポリビニルアルコール3g、水97gを混合した水溶液を50℃に保温しながら10分間エアーバブリングした。エアーバブリング後の水溶液の体積増加率を算出して消泡力を評価した。消泡力は下記の式により計算され、消泡力の値が小さいほど消泡性に優れる。
消泡力(%)=(エアーバブリング後の水溶液の体積−エアーバブリング前の水溶液の体積)(ml)/エアーバブリング前の水溶液の体積(ml)×100
◎:消泡力が100%未満であり、消泡性に優れる。
〇:消泡力が100%以上200%未満であり、消泡性に優れる。
△:消泡力が200%以上300%未満であり、消泡性に劣る。
×:消泡力が300%以上であり、消泡性に劣る。
【0087】
【表3】
【0088】
実施例1〜5とそれぞれ番号が対応する比較例1〜5とを比較すると、アルキレンオキサイド付加物を構成するオキシエチレン基およびオキシプロピレン基の数が同数となっており、分子式は同一であるのにもかかわらず、表3からは、実施例1〜5では、対応する比較例1〜5よりも低泡性および消泡性が常に優れることが分かる。
次に、実施例1〜5で得られたアルキレンオキサイド付加物1〜5、および、比較例1〜5で得られたアルキレンオキサイド付加物6〜10をそれぞれ用いて、セメント組成物を調製した。
【0089】
〔実施例6〕
セメントの400g、標準砂の800g、収縮低減剤としてポリアルキレンオキサイド付加物1の2g、AE剤としてアルキルベンゼンスルフォン酸ソーダ塩の1g、減水剤としてポリカルボン酸ソーダ塩の1g、水道水200gを混合してセメント組成物を得た。
このセメント組成物について、下記の方法で収縮低減性(長さ変化率および比重変化率)を評価した。結果を表4に示す。
【0090】
〔長さ変化率の測定〕
セメント組成物を、4cm×4cm×16cmの型枠内に充填し、1日間密封養生した後、モルタルを型枠から取り出し、モルタル試験体を温度20℃の雰囲気下に静置した。28日目に、モルタル試験体の長さを「JIS
A1129−3:2001モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法−第3部ダイヤルゲージ法」に準拠した方法で測定し、長さ変化率を計算した。長さ変化率の評価基準は以下のとおり。
◎:長さ変化率が0.0001未満である。
○:長さ変化率が0.0001〜0.00015の範囲である。
×:長さ変化率が0.00015超である。
【0091】
〔比重変化率の測定〕
上記した長さ変化率の測定と同様の方法でモルタル試験体を作製し、温度20℃の雰囲気下でモルタル試験体を静置し28日目の比重を測定した。収縮低減剤を含まないモルタル試験体の比重についても同様の方法で測定してそれをブランクとした。比重変化率は下記の式により計算され、比重変化率の値が小さいほど硬化後のセメント組成物の比重変化が小さい。
比重変化率(%)=(静置後28日目のブランクの比重−静置後28日目のモルタル試験体の比重)/静置後28日目のブランクの比重×100
◎:比重変化率が5%未満である。
○:比重変化率が5〜10%の範囲である。
×:比重変化率が10%超である。
【0092】
〔実施例7〜13および比較例6〜12〕
実施例7〜13および比較例6〜12では、実施例1において、表4および5に示すようにそれぞれ変更する以外は、実施例6と同様にセメント組成物をそれぞれ得て、物性等も実施例6と同様に評価した。その結果を表4および5に示す。
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
実施例6〜13および比較例6〜12を比較すると、セメント用収縮低減剤として用いるアルキレンオキサイド付加物を構成するオキシエチレン基およびオキシプロピレン基の数が同数で分子式が同一である場合でも、実施例6〜13では、収縮低減性(長さ変化率および比重変化率)に優れることが分かる。
図1
図2