特許第6356980号(P6356980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6356980-吸収体の製造方法及び製造装置 図000002
  • 特許6356980-吸収体の製造方法及び製造装置 図000003
  • 特許6356980-吸収体の製造方法及び製造装置 図000004
  • 特許6356980-吸収体の製造方法及び製造装置 図000005
  • 特許6356980-吸収体の製造方法及び製造装置 図000006
  • 特許6356980-吸収体の製造方法及び製造装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356980
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】吸収体の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20180702BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   A61F13/15 351A
   A61F13/15 320
   A61F13/53 200
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-41896(P2014-41896)
(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公開番号】特開2015-167569(P2015-167569A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100107205
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100112818
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 昭久
(74)【代理人】
【識別番号】100155206
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 源一
(72)【発明者】
【氏名】中野 康宏
(72)【発明者】
【氏名】松永 竜二
(72)【発明者】
【氏名】奥 将吾
【審査官】 ▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−141620(JP,A)
【文献】 特開平08−260329(JP,A)
【文献】 特開2001−038675(JP,A)
【文献】 特開2014−036976(JP,A)
【文献】 特開2006−014878(JP,A)
【文献】 特開2002−332073(JP,A)
【文献】 特開昭61−014898(JP,A)
【文献】 特表2003−523838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体前駆体を一方向に向けて搬送させながら、該吸収体前駆体の厚み方向に向けて切り込みを入れて、実質的な幅を有していないスリットを有する吸収体を製造する方法であって、
周面に切断刃を有する鉛直方向の上方側に配置されたカッターロールと、該カッターロールの該切断刃を受ける鉛直方向の下方側に配置されたアンビルロールとで吸収体前駆体を挟圧し、該切断刃を該吸収体前駆体の厚み方向に沿って該吸収体前駆体内に進行させて、搬送方向に沿う前記スリットを形成する工程を有し、
前記カッターロールは、その回転方向に延在する切断刃を有し、該切断刃は、その先端角が2段階に変化しており、その最も先端の位置において、2つの斜辺によって第1先端角をなしており、また、その最も先端の位置から基部寄りの位置で、各斜辺に連なる別の斜辺によって第2先端角をなしており、第1先端角が、第2先端角よりも大きくなっており、
前記工程においては、前記スリットの形成に起因してアンビルロールの周面に付着した異物を除去しながら、該スリットを形成する、吸収体の製造方法。
【請求項2】
第1先端角が40度以上90度以下の切断刃を有するカッターロールを用いて前記スリットを形成する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
板状体からなる異物除去具を用い、該異物除去具の端縁を、アンビルロールの中心軸よりも鉛直方向の下方に位置において、該アンビルロールの周面に当接させて異物を除去する請求項1又は2に記載の吸収体の製造方法。
【請求項4】
異物除去具の端縁がアンビルロールの周面と当接する位置に引いた接線に対する、該異物除去具の当接角度を0度以上60度以下に設定して異物を除去する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吸収体の製造方法。
【請求項5】
カッターロールの中心軸及びアンビルロールの中心軸を含む仮想面でアンビルロールの周面を仮想的に二分して、吸収体前駆体の搬送方向上流側に位置する半周面を一次側面とし、搬送方向下流側に位置する半周面を二次側面としたとき、異物除去具の端縁を、二次側面に当接させて異物を除去する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の吸収体の製造方法。
【請求項6】
吸収体前駆体を一方向に向けて搬送させながら、該吸収体前駆体の厚み方向に向けて切り込みを入れて、搬送方向に沿い且つ実質的な幅を有していないスリットを有する吸収体を製造する装置であって、
周面に切断刃を有するカッターロールと、該カッターロールの該切断刃を受けるアンビルロールとを備え、
前記カッターロールは、その回転方向に延在する切断刃を有し、該切断刃は、その先端角が2段階に変化しており、その最も先端の位置において、2つの斜辺によって第1先端角をなしており、また、その最も先端の位置から基部寄りの位置で、各斜辺に連なる別の斜辺によって第2先端角をなしており、第1先端角が、第2先端角よりも大きくなっており、
前記スリットの形成に起因してアンビルロールの周面に付着した異物を除去するための異物除去具を、該アンビルロールの周面に当接するように配置した、吸収体の製造装置。
【請求項7】
カッターロールの切断刃の第1先端角が40度以上90度以下である請求項6に記載の吸収体の製造装置。
【請求項8】
カッターロールを鉛直方向の上方側に配置し、アンビルロールを鉛直方向の下方側に配置した請求項6又は7に記載の吸収体の製造装置。
【請求項9】
異物除去具が板状体からなり、該異物除去具の端縁が、アンビルロールの中心軸よりも鉛直方向の下方に位置において、該アンビルロールの周面に当接するように該異物除去具を配置した請求項8に記載の吸収体の製造装置。
【請求項10】
異物除去具の端縁がアンビルロールの周面の周面と当接する位置に引いた接線に対する、該異物除去具の当接角度を0度以上60度以下に設定した請求項8又は9に記載の吸収体の製造装置。
【請求項11】
カッターロールの中心軸及びアンビルロールの中心軸を含む仮想面でアンビルロールの周面を仮想的に二分して、吸収体前駆体の搬送方向上流側に位置する半周面を一次側面とし、搬送方向下流側に位置する半周面を二次側面としたとき、異物除去具の端縁が、二次側面に当接するように該異物除去具を配置した請求項8ないし10のいずれか一項に記載の吸収体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に用いられる吸収体の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキンやパンティライナ、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる吸収体に、細幅のスリットないし溝を設け、該吸収性物品の各種の性能を向上させる技術が知られている。例えば特許文献1には、吸収体面に、裏面に貫通する多数の貫通穴を形成した吸収体が記載されている。この吸収体は、ロール表面に多数の突起を有する穴加工ロールと、突起に対応する位置に凹部を有するアンビルロールとを対向配置し、両ロールの間に吸収体を通過させることにより、吸収体面に貫通穴を形成することで製造される。
【0003】
特許文献2には、製品の短手方向の中央領域において、吸収体側に固定され、配置方向に関して収縮する力を付与する弾性体と、弾性体の収縮作用が働く領域の近傍において、吸収体に形成されたスリットとを有する吸収性製品が記載されている。このスリットは、ローラの外周に互いに平行に配置された刃が設けられているローラカッターを用いたり、あるいはローラの外周に互いに接近,離間するように非平行に配置された刃が設けられているローラカッターを用いたりすることで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−035036号公報
【特許文献2】特開2004−105723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで吸収体は一般に、吸水性の材料であるパルプ繊維を主たる構成材料として含んでいる。パルプ繊維を含む吸収体を、上述した装置を用いて切断してスリットを形成すると、切断に起因してパルプ繊維の細片が異物として発生する。上述した装置を用いたスリットの形成は一般に押し切りのものなので、切断によって生じたパルプ繊維の細片が硬化物となってアンビルロールの周面に付着しやすい。この硬化物が、吸収体に混入すると製品に欠陥が生じることがある。また、この硬化物がアンビルロールの周面に堆積することで、切断不良が生じることがある。
【0006】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収体の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吸収体前駆体を一方向に向けて搬送させながら、該吸収体前駆体の厚み方向に向けて切り込みを入れて、スリットを有する吸収体を製造する方法であって、
周面に切断刃を有する鉛直方向の上方側に配置されたカッターロールと、該カッターロールの該切断刃を受ける鉛直方向の下方側に配置されたアンビルロールとで吸収体前駆体を挟圧し、該切断刃を該吸収体前駆体の厚み方向に沿って該吸収体前駆体内に進行させて前記スリットを形成する工程を有し、
前記工程においては、前記スリットの形成に起因してアンビルロールの周面に付着した異物を除去しながら、該スリットを形成する、吸収体の製造方法を提供するものである。
【0008】
また本発明は、吸収体前駆体を一方向に向けて搬送させながら、該吸収体前駆体の厚み方向に向けて切り込みを入れて、スリットを有する吸収体を製造する装置であって、
周面に切断刃を有するカッターロールと、該カッターロールの該切断刃を受けるアンビルロールとを備え、
前記スリットの形成に起因してアンビルロールの周面に付着した異物を除去するための異物除去具を、該アンビルロールの周面に当接するように配置した、吸収体の製造装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スリットを有する吸収体を製造するときに異物が混入することが効果的に防止することができる。また、スリット形成時の切断不良の発生を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)は、本発明に従い製造される吸収体を備えた吸収性物品の一例としての生理用ナプキンの肌対向面側(表面シート側)を示す平面図であり、図1(b)は、その生理用ナプキンの吸収体のみを示す抽出平面図である。
図2図2は、図1のII−II線模式的断面図である。
図3図3は、図1に示す吸収体を製造するために用いられる装置を模式的に示す斜視図である。
図4図4は、図3に示す装置におけるカッターロールの要部を拡大して示す断面図である。
図5図5は、図3に示す装置を側面から見た模式図である。
図6図6は、図3に示す装置の別の実施形態を側面から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。まず、本発明によって製造される吸収体を有する吸収性物品の一例である生理用ナプキンについて説明する。図1及び図2に示すように、生理用ナプキン1は、液保持性の吸収体4並びに該吸収体4の肌対向面側に配置された表面シート2及び該吸収体4の非肌対向面側に配置された裏面シート3を具備する吸収性本体5を備え、着用者の前後方向に相当する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有する。
【0012】
なお、本明細書において、肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収性本体5)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。また、縦方向Xは、吸収性物品(吸収性本体、吸収体)の長手方向に一致し、横方向Yは、吸収性物品(吸収性本体、吸収体)の幅方向(長手方向に直交する方向)に一致する。
【0013】
吸収性本体5は、着用時に着用者の液排泄部(膣口等)に対向配置される排泄部対向部Bと、着用時に排泄部対向部Bよりも着用者の腹側(前側)に配される前方部Aと、着用時に排泄部対向部Bよりも着用者の背側(後側)に配される後方部Cとを縦方向Xに有している。
【0014】
ナプキン1は、吸収性本体5に加えて更に、吸収性本体5における排泄部対向部Bの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対のウイング部7,7を有している。
【0015】
図2に示すように、表面シート2は、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。一方、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出して、後述するサイドシート10とともにサイドフラップ部6を形成している。裏面シート3とサイドシート10とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。表面シート2及び裏面シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていてもよい。
【0016】
吸収体4は、図2に示すように、本体吸収性シート401及び中央吸収性シート402が複数層積層されてなる積層構造を有し、図1及び図2に示すように、排泄部対向部Bに多層部42を有している。多層部42は、図2に示すように、吸収体4を構成する吸収性シート401,402の積層枚数が、その周囲に位置する部分より多い部分である。本実施形態における多層部42は、その周囲に位置する部分よりも厚みも厚く、排泄部対向部Bに、表面シート2側(ナプキン1の肌対向面側)に突出した隆起部を形成している。また、吸収体4は、吸収体4の外形を形成する主吸収体40と、主吸収体40の一部に重ねて配された主吸収体40より小型の補助吸収体41とを有している。補助吸収体41は、少なくとも排泄部対向部Bに位置している。
【0017】
吸収体4は、吸収性シート401,402の積層構造のみから構成されていることが好ましく、該吸収体4はパルプ等の吸液性繊維の積繊構造を有していないことが好ましい。吸収性シートとは、パルプをバインダーなどの接着手段を用いて薄く形成したシート状の吸収構造体を言う。
【0018】
主吸収体40は、パルプを含む本体吸収性シート401の折り畳み構造からなる。詳細には、主吸収体40は、本体吸収性シート401を、縦方向Xに沿って延びる折り線401a,401bの位置で内折りして形成されている。つまり本体吸収性シート401は、両端折りの折り畳み状態になっている。このとき、本体吸収性シート401のうち、内折りされた部位が互いに一部重なるように、折り線401a,401bの位置を調整する。したがって主吸収体40は、本体吸収性シート401からなる2層及び3層の積層構造になっている。
【0019】
一方、補助吸収体41は、パルプを含む中央吸収性シート402の折り畳み構造からなる。詳細には、補助吸収体41は、中央吸収性シート402を、縦方向Xに沿って延びる折り線402aに沿って、該折り線402aよりも外方に位置する部位を内折りする。次に、折り線402bに沿って、該折り線402bよりも外方に位置する部位を、先に折られている部位の側に向けて内折りする。折り線402a及び402bは、中央吸収性シート402の横方向Yの長さを略三等分する位置に形成される。これによって中央吸収性シート402は、巻き三つ折りの折り畳み状態となる。したがって補助吸収体41は、中央吸収性シート402からなる3層の積層構造になっている。
【0020】
図2に示すとおり、巻き三つ折りの折り畳み状態となっている中央吸収性シート402は、両端折りの折り畳み状態になっている本体吸収性シート401の内部に配置されている。つまり、本体吸収性シート401と中央吸収性シート402とは、入れ子の折り畳み構造になっている。その結果、本体吸収性シート401と中央吸収性シート402との積層構造においては、中央吸収性シート402の周縁の少なくとも一部、具体的には該周縁の全域から外方に延出するように本体吸収性シート401が積層されている。なお、補助吸収体41は、上述のとおり排泄部対向部Bに位置しているので、該補助吸収体41を構成する中央吸収性シート402も排泄部対向部Bに位置していることになる。
【0021】
本体吸収性シート401の折り畳み構造からなる主吸収体40は、平面視において角が丸みを帯びた略矩形形状でかつ前方部Aから排泄部対向部Bを経て後方部Cにわたって延びている。一方、中央吸収性シート402の折り畳み構造からなる補助吸収体41は、平面視において略矩形形状であり、排泄部対向部Bからその近傍の後方部Cにわたって配されている。主吸収体40の一部に補助吸収体41を配することで、吸収体4の一部の吸収容量を容易かつ効率的に増大させることができる。補助吸収体41は、折り畳まれた本体吸収性シート401からなる主吸収体40の内部に配置するのに代えて、主吸収体40を構成する本体吸収性シート401の肌対向面側に積層してもよいし、非肌対向面側に積層してもよい。
【0022】
吸収性本体5の肌対向面(表面シート2の肌対向面)における縦方向Xに沿う両側部には、図2に示すように、平面視において吸収体4の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、一対のサイドシート10,10が吸収性本体5の縦方向Xの略全長にわたって配されている。一対のサイドシート10,10は、それぞれ、排泄部対向部Bに位置する線状の第1接合線11と、該第1接合線11の縦方向Xの前後(前方部A及び後方部C)に位置する線状の第2接合線12とで吸収性本体5(表面シート2)に接合されている。第1接合線11は、平面視において横方向Yの外方に向けて凸の曲線状であり、第2接合線12は、平面視において縦方向に交差するように延びる線状(ジグザグ線状)である。サイドシート10は、撥水性の不織布からなる。このように、サイドシート10が接合線11,12にて吸収性本体5の肌対向面(表面シート2)に接合されていると、図2に示すように、接合線11,12よりも横方向Yの内方に、サイドシート10と表面シート2とで画成される空間部Pが形成される。この空間部Pは、吸収性本体5の横方向Yの中央に向けて開口しているので、横方向Yの中央から外方へ流れる経血等の排泄液は空間部Pに収容されるようになり、結果として排泄液の漏れが効果的に防止される。
【0023】
サイドフラップ部6は、図1に示すように、排泄部対向部Bにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これにより吸収性本体5の縦方向Xに沿う左右両側に、一対のウイング部7,7が延設されている。また、表面シート2及び裏面シート3は、図1に示すように、吸収体4の縦方向Xの前端及び後端それぞれから縦方向Xの外方に延出し、それらの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって、互いに接合されてエンドシール部を形成している。
【0024】
ウイング部7は、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面側に折り返されて用いられるものである。ウイング部7は、図1に示すように、平面視において、下底(上底よりも長い辺)が吸収性本体5の側部側に位置する略台形形状を有している。ウイング部7の非肌対向面には、該ウイング部7(ナプキン1)をショーツ等の着衣(図示せず)に固定するウイング部粘着部(図示せず)が形成されており、このウイング部粘着部によって、使用時に、着衣のクロッチ部の非肌対向面(外面)側に折り返されたウイング部7を、該クロッチ部に粘着固定できるようになされている。また、吸収性本体5の非肌対向面にも、吸収性本体5を、ショーツ等の着衣に固定するための本体粘着部(図示せず)が形成されている。なお、ナプキン1においては、吸収性本体5とウイング部7との境界線は、ウイング部7の縦方向Xの両付け根を結ぶ直線(図示せず)である。
【0025】
図1及び図2に示すように、吸収性本体5の肌対向面(表面シート2の肌対向面)には、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥してなる線状溝が形成されており、該線状溝は、排泄部対向部Bにおいて縦方向Xに延びる縦溝51と、前方部A及び後方部Cにおいて、それぞれ横方向Yに延びるように形成された第1及び第2の横溝52,53とを含む。線状溝は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工(いわゆるエンボス加工)、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。線状溝においては、表面シート2及び吸収体4との間が、図示しないが、接着剤を介して圧着されるか、あるいは熱融着等により一体化している。
【0026】
図1に示すように、吸収体4には、その排泄部対向部Bに、該吸収体4の縦方向Xへ向けて長手方向を有するように延びるスリットである縦スリット43が複数、分散した状態に形成されている。縦スリット43は、縦方向X及び横方向Yの両方向に分散した状態に形成されている。縦スリット43は、図2に示すように、吸収体4をその厚み方向に向けて切り込むことで形成されており、吸収体4を構成する吸収性シート401,402の積層構造を貫通していることが好ましい。縦スリット43は、吸収体4の上下に配される表面シート2及び裏面シート3には、形成されていないことが好ましい。
【0027】
各縦スリット43は個々に独立しており、隣り合う縦スリット43どうしの間には非スリット部43’が位置している。そして、各縦スリット43は、その周囲の全域が非スリット部43’によって囲まれている。
【0028】
縦スリット43は、上述のとおり、吸収体4をその厚み方向にわたって切り込みを入れて形成されたものであり、実質的に幅を有していない切り込みから形成されているか、又は好ましくは1.5mm以下の細幅の空間となっている。縦スリット43が幅を有している場合、当該幅とは、縦スリット43の延びる方向と直交する方向における該縦スリット43の長さのことを言う。
【0029】
吸収体4は、排泄部対向部Bより後方に位置する後方部Cに、ナプキン1の縦方向Xと交差する方向へ長手方向を有するように延びる複数本の後方スリット45を有する。この後方スリット45は、図1(b)に示すように、スリット45の長手方向の中央部45aの位置が、該長手方向の両端部45b,45bの位置よりも前方部A側に位置する平面視形状を有しており、より好ましくは、前方部A側に向かって凸に湾曲した平面視形状を有している。また、後方スリット45は、吸収性物品の縦方向Xに間隔を開けて複数本形成されている。
【0030】
図3には、上述した生理用ナプキン1における吸収体4の製造装置が模式的に示されている。吸収体4の製造工程においては、ロールの周方向及び軸長方向に分散させて多数形成された切断刃63を周面に有するカッターロール61と、該カッターロール61の切断刃63を受けるアンビルロール62とを備えた切断装置60を用いる。
【0031】
切断装置60においては、カッターロール61及びアンビルロール62は、それらの軸心61’,62’が平行になるように配置されている。カッターロール61とアンビルロール62との間にはクリアランスが設けられているか、又は両ロールは当接状態になっている。カッターロール61の周面に位置する切断刃63は、目的とする吸収体4に形成する各スリット43,45の形状と一致するように形成・配置されている。なお、図3においては、縦スリット43を形成するための切断刃63のみが表されている。
【0032】
本体吸収性シートと中央吸収性シートとの積層構造からなる吸収体4の吸収体前駆体4a(以下、簡便のため「原反4a」とも言う。)は、図3中、矢印Rで示される一方向に向けて搬送されて、切断装置60におけるカッターロール61とアンビルロール62との間に供給される。両ロール61,62の間に原反4aが供給されると、両ロール61,62による挟圧によってカッターロール61の周面に設けられた切断刃63が原反4aの厚み方向に沿って該原反4a内に進行する。これによって、原反4aに縦スリット43及び後方スリット(図示せず)が形成される。
【0033】
図4には、カッターロール61に備えられた切断刃63の先端部を拡大して示す断面図が示されている。同図における紙面の左右方向は、カッターロール61の軸心方向と一致する。また同図における紙面と直交する方向は、原反4aの搬送方向と平行な方向である。同図に示すとおり、切断刃63は、その先端角が2段階に変化している。具体的には切断刃63は、その最も先端の位置において、2つの斜辺L1,L1によって第1先端角θ1をなしている。また切断刃63は、その最も先端の位置から若干基部寄り(図4では切断刃63の上方側)の位置で、各斜辺L1に連なる別の斜辺L2,L2によって第2先端角θ2をなしている。第1先端角θ1は、第2先端角θ2よりも大きくなっている。切断刃63の先端角を2段に変化させ、かつ第1先端角θ1を第2先端角θ2よりも大きくすることで、幅の狭いスリットを形成しつつ、切断刃63の摩耗を抑制することができるという有利な効果が奏される。
【0034】
以上の有利な効果を一層顕著なものとする観点から、第1先端角θ1は40度以上、特に60度以上であることが好ましく、また100度以下、特に90度以下であることが好ましい。例えば第1先端角θ1は、40度以上100度以下、特に60度以上90度以下であることが好ましい。一方、第2先端角θ2は、第1先端角θ1よりも小さいことを条件として、30度以上、特に50度以上であることが好ましく、また90度以下、特に70度以下であることが好ましい。例えば第2先端角θ2は、30度以上90度以下、特に50度以上70度以下であることが好ましい。
【0035】
ところで、第1先端角θ1が、第2先端角θ2よりも大きいことは、切断の対象物である原反4aを押し切ることを意味する。原反4aを押し切ることは、その際に、原反4aの構成材料であるパルプ繊維の細片が異物として発生しやすくなることを意味する。この細片は硬化物となってアンビルロール62の周面に付着しやすい。付着した硬化物は種々のトラブルの原因となり得る。そこで本実施形態においては、以下に述べるとおり、この硬化物を除去する手段を講じている。
【0036】
具体的には、図5に示すとおり、スリットの形成工程においては、スリットの形成に起因してアンビルロール62の周面に付着した異物である硬化物を除去しながら、該スリットを形成している。硬化物の除去は、同図に示すとおり、異物除去具65を用いて行う。この異物除去具65を、アンビルロールの周面に当接するように配置して、アンビルロール62の周面に付着した硬化物を掻き取り除去する。なお図5中、符号63は、上述のとおり縦スリット43の形成のための切断刃を表し、符号64は、後方スリット45の形成のための切断刃を表す。
【0037】
図5に示すとおり、切断装置60を構成するカッターロール61及びアンビルロール62は、同図中、矢印で示す方向に回転している。そして、回転しているアンビルロール62に対してその周面に異物除去具65を当接させることで、該周面に付着している異物を連続的に除去することができる。この除去を効率的に行うために、異物除去具65を板状体から構成し、該板状体の端縁を直線状となし、該端縁がアンビルロール62の軸心と平行になるように異物除去具65をアンビルロール62の周面に当接させることが好ましい。異物除去具65の幅、すなわちアンビルロール62の軸方向に沿った長さは、原反4aの幅と同等であるか、又はそれよりも狭いことが好ましい。また、異物除去具65の幅は、吸収体4に形成されるスリットのうち、幅方向の最も外方に位置する一対のスリット間の距離よりも大きいことが好ましい。
【0038】
アンビルロール62の周面に付着している異物を効率的に掻き取る観点から、板状体からなる異物除去具65は、その材質が熱可塑性樹脂、炭素鋼、炭素工具鋼、アルミニウム合金などであることが好ましい。
【0039】
図5に示すとおり、板状体からなる異物除去具65は、アンビルロール62の周面に当接している端縁及びその近傍の部位の厚みが、該端縁に向かうに連れて漸次薄くなるテーパー形状になっている。こうすることで、アンビルロール62の周面に付着している異物を一層効率よく掻き取り除去することができる。この観点から異物除去具65における端縁及びその近傍の部位のテーパー角は5度以上、特に10度以上であることが好ましく、また45度以下、特に30度以下であることが好ましい。例えばテーパー角は、5度以上45度以下であることが好ましく、10度以上30度以下であることが更に好ましい。
【0040】
異物除去具65がアンビルロール62の周面に当接するときの角度も、異物の掻き取り効率に影響を及ぼす一因となる。本発明者が検討したところ、図5に示すとおり、異物除去具65の端縁がアンビルロール62の周面と当接する位置に引いた接線Sに対する、該異物除去具の当接角度θ3を調整することで、異物の掻き取り効率を向上させ得ることが判明した。この当接角度θ30は度以上、特に10度以上であることが好ましく、また60度以下、特に45度以下であることが好ましい。なお、当接角度θ3は、異物除去具65の端縁がアンビルロール62の周面と当接する位置に引いた接線Sのうち、アンビルロール62の回転方向の下流側に延びる線と異物除去具65の端縁及びその近傍のテーパー面の延長線とがなす角度と定義する。
【0041】
図6には、異物除去具65の別の配置状態が示されている。本実施形態においては、カッターロール61の中心軸61’及びアンビルロール62の中心軸62’を含む仮想面Pでアンビルロール62の周面を仮想的に二分して、原反4aの搬送方向Rの上流側に位置する半周面を一次側面T1とし、搬送方向Rの下流側に位置する半周面を二次側面T2としたとき、異物除去具65の端縁が、二次側面T2に当接するように該異物除去具65を配置して異物を除去する。このように異物除去具65を配置することで、異物の掻き取り効率が一層高くなる。
【0042】
なお図6に示す実施形態では、異物除去具65はその端縁を、アンビルロール62の中心軸62’よりも鉛直方向の上方の位置において、該アンビルロール62の周面に当接させたが、これに代えて、異物除去具65の端縁が、二次側面T2に当接するように、かつ該端縁が、アンビルロール62の中心軸62’よりも鉛直方向の下方の位置において、該アンビルロール62の周面に当接するように、該異物除去具65を配置してもよい。こうすることで、異物の掻き取り効率を高めつつ、掻き取った異物が吸収体4に混入することを一層効果的に防止することができる。
【0043】
以上の実施形態のナプキン1における各部の形成材料について説明すると、表面シート2及び裏面シート3としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。表面シート2としては、例えば、親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。また、裏面シート3としては、液不透過性の材料や撥水性の材料を用いることができる。液不透過性の材料としては、樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート材等を用いることができ、撥水性の材料としては、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド等からなる多層構造の複合不織布、スパンボンド不織布、ヒートボンド不織布、エアスルー不織布等を用いることができる。
【0044】
吸収体4を構成する吸収性シート401,402としては、湿潤状態の吸水性ポリマーに生じる粘着力や別に添加した接着剤や接着性繊維等のバインダーを介して、パルプ等の構成繊維間や構成繊維と吸水性ポリマーとの間を結合させてシート状としたもの等を好ましく用いることができる。また、吸収性シートとしては、特開平8−246395号公報記載の方法にて製造されたパルプを含む吸収性シート、気流に乗せて供給した粉砕パルプ及び吸水性ポリマーを堆積させた後、接着剤(例えば酢酸ビニル系の接着剤、PVA等)で固めた乾式シート、パルプを含む紙や不織布の間にホットメルト接着剤等を塗布した後高吸水性ポリマーを散布して得られた吸収性シート、スパンボンド又はメルトブロー不織布製造工程中に高吸水性ポリマーを配合して得られた吸収性シート等を用いることができる。これらの吸収性シートは、一枚を所定形状に裁断してシート状吸収体として用いることができる。
【0045】
本実施形態においては、吸収体4を構成する本体吸収性シート401及び中央吸収性シート402は、それぞれ折り畳まれて複数層からなる積層構造となっていたが、これに代えて、枚葉の吸収性シートを複数枚積層したものでもよい。
【0046】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態における吸収体4は、複数枚の吸収性シートを折り畳んで積層した構造のものであったが、本発明の製造の対象となる吸収体はこのような形態のものに限られず、他の形態、例えばパルプ繊維と吸水性ポリマーとの積繊堆積体であってもよい。
【0047】
また前記実施形態は、本発明を生理用ナプキンの吸収体の製造に適用した例であるが、本発明は、他の吸収性物品の吸収体、例えば使い捨ておむつ、失禁パッド、パンティライナ等の吸収体の製造にも同様に適用できる。
【0048】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の吸収体の製造方法及び製造装置を開示する。
<1>
吸収体前駆体を一方向に向けて搬送させながら、該吸収体前駆体の厚み方向に向けて切り込みを入れて、スリットを有する吸収体を製造する方法であって、
周面に切断刃を有する鉛直方向の上方側に配置されたカッターロールと、該カッターロールの該切断刃を受ける鉛直方向の下方側に配置されたアンビルロールとで吸収体前駆体を挟圧し、該切断刃を該吸収体前駆体の厚み方向に沿って該吸収体前駆体内に進行させて前記スリットを形成する工程を有し、
前記工程においては、前記スリットの形成に起因してアンビルロールの周面に付着した異物を除去しながら、該スリットを形成する、吸収体の製造方法。
【0049】
<2>
先端角が40度以上90度以下の切断刃を有するカッターロールを用いて前記スリットを形成する前記<1>に記載の製造方法。
<3>
板状体からなる異物除去具を用い、該異物除去具の端縁を、アンビルロールの中心軸よりも鉛直方向の下方に位置において、該アンビルロールの周面に当接させて異物を除去する前記<1>又は<2>に記載の吸収体の製造方法。
<4>
異物除去具の端縁がアンビルロールの周面と当接する位置に引いた接線に対する、該異物除去具の当接角度を0度以上60度以下に設定して異物を除去する前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
<5>
カッターロールの中心軸及びアンビルロールの中心軸を含む仮想面でアンビルロールの周面を仮想的に二分して、吸収体前駆体の搬送方向上流側に位置する半周面を一次側面とし、搬送方向下流側に位置する半周面を二次側面としたとき、異物除去具の端縁を、二次側面に当接させて異物を除去する<1>ないし<4>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
【0050】
<6>
前記吸収体は、本体吸収性シート及び中央吸収性シートが複数層積層されてなる積層構造を有する前記<1>ないし<5>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
<7>
前記吸収体は、本体吸収性シート及び中央吸収性シートが複数層積層されてなる積層構造を有し、
前記吸収体は、排泄部対向部に前記積層構造からなる多層部を有している前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
<8>
前記多層部は、前記吸収体を構成する前記本体吸収性シート及び前記中央吸収性シートの積層枚数が、その周囲に位置する部分より多い部分である前記<7>に記載の吸収体の製造方法。
<9>
前記多層部は、その周囲に位置する部分よりも厚みも厚く、排泄部対向部Bに、前記吸収性物品の肌対向面側である前記表面シート側に突出した隆起部を形成している前記<7>又は<8>に記載の吸収体の製造方法。
<10>
前記吸収体は、前記本体吸収性シート及び前記中央吸収性シートの積層構造のみから構成されている前記<6>ないし<9>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
【0051】
<11>
前記吸収体が主吸収体を有し、該主吸収体が、パルプを含む前記本体吸収性シートの折り畳み構造からなる前記<6>ないし<10>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
<12>
前記吸収体は、その排泄部対向部に、該吸収体の縦方向Xへ長手方向を有するように延びるスリットである縦スリットが複数、分散した状態に形成されている前記<1>ないし<11>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
<13>
各縦スリットは個々に独立している前記<12>に記載の吸収体の製造方法。
<14>
前記縦スリットは、前記吸収体をその厚み方向に向けて切り込むことで形成されている前記<12>又は<13>に記載の吸収体の製造方法。
<15>
前記吸収体は、本体吸収性シート及び中央吸収性シートが複数層積層されてなる積層構造を有し、
前記縦スリットは、前記吸収体を構成する前記本体吸収性シート及び前記中央吸収性シートの積層構造を貫通している前記<12>ないし<14>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
【0052】
<16>
前記縦スリットが、前記吸収体4の上下に配される前記表面シート及び前記裏面シートに形成されていない前記<12>ないし<15>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
<17>
前記縦スリットは、実質的に幅を有していない切り込みから形成されている前記<12>ないし<16>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
<18>
前記吸収体は、排泄部対向部Bより後方に位置する後方部Cに、前記吸収性物品の縦方向Xと交差する方向へ長手方向を有するように延びる複数本の後方スリットを有する前記<1>ないし<17>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
<19>
前記後方スリットは、前方部A側に向かって凸に湾曲した平面視形状を有している前記<18>に記載の吸収体の製造方法。
<20>
前記後方スリットは、前記吸収性物品の縦方向Xに間隔を開けて複数本形成されている前記<17>又は<18>に記載の吸収体の製造方法。
【0053】
<21>
生理用ナプキン、使い捨ておむつ、失禁パッド又はパンティライナ等の吸収体の製造に適用される前記<1>ないし<20>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
<22>
吸収体前駆体を一方向に向けて搬送させながら、該吸収体前駆体の厚み方向に向けて切り込みを入れて、スリットを有する吸収体を製造する装置であって、
周面に切断刃を有するカッターロールと、該カッターロールの該切断刃を受けるアンビルロールとを備え、
前記スリットの形成に起因してアンビルロールの周面に付着した異物を除去するための異物除去具を、該アンビルロールの周面に当接するように配置した、吸収体の製造装置。
<23>
カッターロールの切断刃の先端角が40度以上90度以下である前記<22>に記載の吸収体の製造装置。
<24>
カッターロールを鉛直方向の上方側に配置し、アンビルロールを鉛直方向の下方側に配置した前記<22>又は<23>に記載の吸収体の製造装置。
<25>
異物除去具が板状体からなり、該異物除去具の端縁が、アンビルロールの中心軸よりも鉛直方向の下方に位置において、該アンビルロールの周面に当接するように該異物除去具を配置した前記<24>に記載の吸収体の製造装置。
【0054】
<26>
異物除去具の端縁がアンビルロールの周面の周面と当接する位置に引いた接線に対する、該異物除去具の当接角度を0度以上60度以下に設定した前記<24>又は<25>に記載の吸収体の製造装置。
<27>
カッターロールの中心軸及びアンビルロールの中心軸を含む仮想面でアンビルロールの周面を仮想的に二分して、吸収体前駆体の搬送方向上流側に位置する半周面を一次側面とし、搬送方向下流側に位置する半周面を二次側面としたとき、異物除去具の端縁が、二次側面に当接するように該異物除去具を配置した前記<24ないし<26>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<28>
カッターロールの切断刃は、その先端角が2段階に変化している前記<22>ないし<27>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<29>
カッターロールの切断刃は、その最も先端の位置において、2つの斜辺L1,L1によって第1先端角θをなしており、また、その最も先端の位置から若干基部寄りの位置で、各斜辺L1に連なる別の斜辺L2,L2によって第2先端角θをなしている前記<28>に記載の吸収体の製造装置。
<30>
カッターロールの切断刃は、第1先端角θ1が、第2先端角θ2よりも大きくなっている前記<29>に記載の吸収体の製造装置。
【符号の説明】
【0055】
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
401 本体吸収性シート
402 中央吸収性シート
42 多層部
43 縦スリット
45 後方スリット
4a 吸収体前駆体(原反)
5 吸収性本体
60 切断装置
61 カッターロール
62 アンビルロール
63,64 切断刃
65 異物除去具
7 ウイング部
10 サイドシート
A 前方部
B 排泄部対向部
C 後方部
X 縦方向
Y 横方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6