(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パチスロ遊技機の下面がその上に載置される水平な下板と、前記下板の上に載置されたパチスロ遊技機の上面がその僅かに下に位置するようにされた水平な上板と、を有する、パチスロ遊技機が固定される設置台ユニットに、パチスロ遊技機を着脱自在に固定するためのパチスロ遊技機の取付装置であって、
前記上板の後方に位置するようにして、前記上板に固定される本体部と、
前記本体部に対して取付けられた、前記本体部に対して上下動可能とされ、上方の第1位置と、それより下方の第2位置に位置することのできるようにされた可動部材と、
前記可動部材の下方に取付けられた、前記可動部材が前記第2位置に位置するときにその下面が、前記上板の後方に位置するパチスロ遊技機の上面を押圧する押圧部材と、
を備えており、
前記本体部は、前記上板の後面と下面にそれぞれ沿う背面部及び底面部を有する断面略L字型の固定部材を備えており、前記背面部に設けられた孔を貫通させたネジを前記上板に前向きに打込むこと、及び前記底面部に設けられた孔を貫通させたネジを前記上板に上向きに打込むことの少なくとも一方を行うことにより、前記上板に固定できるようになっている、
取付装置。
前記設置台ユニットの前記パチスロ遊技機の上方の所定の位置には板で隠された開口が設けられているとともに、その板を移動させることによって開放できるようになっており、
前記操作手段は、前記開口の後側に、その操作が行われる部分である操作部が位置するようになっている、
請求項7記載の取付装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パチンコ遊技機の島への取付けにはそのような着脱自在の固定を行うという大きな技術に関するトレンドがあるものの、パチスロ遊技機の島への固定には、そのような、釘を用いずにその着脱自在な固定を行うようなトレンドはない。それは主に以下のような理由による。
【0006】
まず、パチンコ遊技機の取付装置について説明する。
パチンコ遊技機が取付けられる島は、パチスロ遊技機が取付けられる島と略同様の構造を持っている。島には、遊技機がその上に載置される下板と、遊技機の上側に位置する上板が設けられている。特開2009−165759に開示のパチンコ遊技機の取付装置は上板の上側に取付けて用いられる。
パチンコ遊技機の取付装置は、また、上下方向に移動可能であり且つ上下2つの位置で固定できる押圧部材を備えている。この押圧部材は、上板に穿たれた孔を貫通した棒状体の下端に固定されており、孔を介して上下する棒状体によって上下できるようになっている。押圧部材が下の位置に位置したとき、パチンコ遊技機は、押圧部材と、下板の間で強く挟持されることにより島に固定される。他方、押圧部材が上の位置に位置したとき、押圧部材はパチンコ遊技機から離れることにより、パチンコ遊技機の島への固定は解除される。このようにして、上述のパチンコ遊技機の取付装置は、釘を使わずに、島にパチンコ遊技機を着脱自在に固定できるようになっている。
パチンコ遊技機は、釘を用いて島に固定される場合も含めて、木製或いは金属製の板材を矩形に組んだ枠と呼ばれる部材の内側に固定された状態で島に固定される。枠には十分な剛性が与えられているので、その押圧部材が、それと下板との間でパチンコ遊技機(より詳細には、パチンコ遊技機が固定された枠)を上下方向から挟持する力が大きくとも、枠が破損するおそれはまずない。それは、上述の棒の先に取付けられた押圧部材が比較的小さくても同様である。
【0007】
しかしながら、このようなパチンコ遊技機の取付装置をパチスロ遊技機の取付装置にそのまま流用できない理由がある。
上述のように、パチンコ遊技機の取付装置は、上板の上に取付けられ、また、上板に穿った孔を介して押圧部材を上下させるようになっている。
しかしながら、パチスロ遊技機が取付けられる島においては、パチスロ遊技機の上板の上方には、ドル箱置き場となる空間が存在する場合がある。そのような場合には、上板の上にパチスロ遊技機の取付装置を配置することがそもそも不可能である。
もっとも、上板の上に上述の如きドル箱置き場が存在しない島も中には存在する。そのような場合には、上板の上にパチスロ遊技機の取付装置を配置することはとりあえず可能となる。しかしながら、パチスロ遊技機の天井に当たる部材は、その一部に例えば排熱を目的とした開口が設けられている場合があり、或いは、リブ構造が採用されている場合があるため、枠を用いずに島に取付けられるパチスロ遊技機を、その上面を押圧部材で下向きに押圧して、下板との間でパチスロ遊技機を挟持することにより島にパチスロ遊技機を着脱自在に固定するようにしても、パチスロ遊技機の固定はできないか、場合によっては、パチスロ遊技機の破損を招くことも考えられる。そして、これらの可能性は、押圧部材が比較的小さい場合には益々高まる。
【0008】
本願は、釘を用いずに、パチスロ遊技機を、島のような設置台ユニットに着脱自在に固定するための技術を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は、上述の課題を解決するために、以下の発明を提案する。
本願発明は、パチスロ遊技機の下面がその上に載置される水平な下板と、前記下板の上に載置されたパチスロ遊技機の上面がその僅かに下に位置するようにされた水平な上板と、を有する、パチスロ遊技機が固定される設置台ユニットに、パチスロ遊技機を着脱自在に固定するためのパチスロ遊技機の取付装置である。
そして、このパチスロ遊技機の取付装置は、前記上板の後方に位置するようにして、前記上板に固定される本体部と、前記本体部に対して取付けられた、前記本体部に対して上下動可能とされ、上方の第1位置と、それより下方の第2位置に位置することのできるようにされた可動部材と、前記可動部材の下方に取付けられた、前記可動部材が前記第2位置に位置するときにその下面が、前記上板の後方に位置するパチスロ遊技機の上面を押圧する押圧部材と、を備えている。
この取付装置は、上板に固定される本体部を備えているが、本体部は上板の後方に位置するように設けられる。
また、この取付装置は、従来技術として説明したパチンコ遊技機の取付装置と同様に、上方の第1位置と、下方の第2位置との間で移動する可動部材を備えている。そして、可動部材の下方には押圧部材があり、押圧部材は、第2位置に位置するときに、従来技術のパチンコ遊技機の取付装置における押圧部材がパチンコ遊技機(正確には、それがその内側に取付けられた枠)を下板との間で挟持したのと同様に、パチスロ遊技機を下板との間で挟持することで、パチスロ遊技機を着脱自在に設置台ユニットに固定できるようになっている。
可動部材は、本体部が上板の後方に位置するのと同様に上板の後方に位置し、上板の後方で押圧部材とともに上下に移動する。つまり、本願発明の取付装置では、本体部、可動部材、押圧部材のすべてが上板の後方に位置する。それにより、この取付装置によれば、上板の上に仮にドル箱を置くための空間が設けられていても、その空間と取付装置が干渉し合うことがないから、取付装置を上板に取付けられないという事態が生じない。
そもそも本願発明を本願発明者が想到するに至ったのは、パチンコ遊技機が取付けられる枠の前後方向の長さは上板の前後方向の長さと殆ど同じで、枠は上板の殆ど真下にしか存在しないが、パチスロ遊技機の前後方向の長さは上板よりも通常大きく、上板の後方にパチスロ遊技機の上面の後方の部分が大きく食み出でるということに気付いたからである。つまり、パチスロ遊技機の上面の、上板の後に食み出ている部分は比較的大きいため、押圧部材として比較的その面積の大きなものを採用することができる。押圧部材として、パチスロ遊技機の上面に設けられることのある上述の開口に入り込まない、或いはパチスロ遊技機の上面に採用されうる上述のリブから逸れないような押圧部材を採用すれば、パチスロ遊技機の上面の構造によらず、パチスロ遊技機の固定を確実に行えるようになる。
しかも、本願の取付装置を用いて、設置台ユニットにパチスロ遊技機を取付ける場合には、上述のようなパチスロ遊技機からのホッパーの取外しと、ホッパーの再組付が必要なくなる。これは手間の削減としての効果が大きく、また、ホッパーの入替りに基づく諸問題も生じさせないという意味で有利である。
【0010】
本願発明における押圧部材は、可動部材が第2位置にあるときにその下面がパチスロ遊技機の上面に当接し、可動部材が第1位置にあるときにその下面がパチスロ遊技機の上面から離れるようになっている。
本願発明における押圧部材の下面の形状、大きさには原則として制限はない。可動部材が第2位置にあるときに、押圧部材と下板の間で、パチスロ遊技機が、例えば遊技者がパチスロ遊技機に通常考えられる程度の力を加えたときにでも、パチスロ遊技機が転倒したり、移動したりしない程度の力で、パチスロ遊技機を設置台ユニットに固定できるようなものとされていればそれで足りる。
ただし、可動部材が第2位置にあるときにパチスロ遊技機の上面に加える力を分散させることを考慮するのであれば、押圧部材の下面の面積はある程度大きい方が好ましい。
また、可動部材が第2位置にあるときにパチスロ遊技機の上面をよりよく固定できるようにするためには、押圧部材の下面のパチスロ遊技機の幅方向の長さは、ある程度長い方が好ましい。その長さが長ければ、押圧部材の下面の面積を大きくするのが容易になる。
例えば、前記押圧部材の下面は、パチスロ遊技機の幅方向が長手方向となる横長形状をしており、前記押圧部材の下面の前記パチスロ遊技機の幅方向の長さは、前記パチスロ遊技機の幅方向の長さの1/3以上とすることができる。そうすれば、可動部材が第2位置にあるときに押圧部材の下面がパチスロ遊技機の上面に加える力をより分散させることが可能となるし、仮にパチスロ遊技機の上面に開口等があったとしても、押圧部材がその開口に落ち込む等してパチスロ遊技機の固定を行えないということが殆どなくなる。この効果をより得やすくするのであれば、押圧部材の下面のパチスロ遊技機の幅方向の長さは、パチスロ遊技機の幅方向の長さの2/3以上とするのがより好ましい。押圧部材の下面のパチスロ遊技機の幅方向の長さは、パチスロ遊技機の幅方向の長さの8割以上とすると、押圧部材がパチスロ遊技機を固定できない可能性は考えられない。
前記押圧部材の下面の前後方向の長さは、例えば1cm以上とすることができる。これが大きくなればなる程、押圧部材の下面の面積を稼ぎやすくなる。他方、この長さが大きくなりすぎると、設置台ユニット内に存在する他の部材との干渉の可能性が出てくるので、その前後方向の長さは10cmが上限とすべきである。その長さは、2cmから8cmが好ましい。
【0011】
前記押圧部材の下面には、弾性を有する素材でできた弾性部材が取付けられていても良い。押圧部材の下面は上述のように、可動部材が第2位置にあるときにパチスロ遊技機の上面を押圧する。弾性を有する弾性部材が押圧部材の下面に取付けられていれば、押圧部材とパチスロ遊技機の間の摩擦係数が大きくなるから、パチスロ遊技機の設置台ユニットに対する固定がより強固なものとなる。
弾性部材は押圧部材の下面の一部のみに取付けられていても良い。この場合、弾性部材は、押圧部材の両端、例えば、押圧部材が上述のような横長形状なのであれば、その長手方向の両端のみに取付けられていても良い。
前記弾性部材は、また、前記押圧部材の下面の全面に取付けられていても良い。これによれば、パチスロ遊技機の設置台ユニットに対する固定をより強固なものとすることができる。また、弾性部材の厚さにもよるが、弾性部材が押圧部材の下面の一部にしかない場合には、弾性部材がある部分とない部分で、僅かではあるが段差ができてしまい、厳密に言うと、押圧部材の下面(これは、基本的には面一に構成される。)の全面によりパチスロ遊技機の上面を押圧することができなくなるおそれがある。弾性部材が押圧部材の下面の全面に取付けられていれば、そのような不具合が生じない。
【0012】
本願発明の本体部は、上板の後方に位置するようにして上板に固定される。
そのような固定が可能な限り本体部は基本的に、どのようにして上板に固定されても構わない。
例えば、前記本体部は、前記上板の後面と下面にそれぞれ沿う背面部及び底面部を有する断面略L字型の固定部材を備えており、前記背面部に設けられた孔を貫通させたネジを前記上板に前向きに打込むこと、及び前記底面部に設けられた孔を貫通させたネジを前記上板に上向きに打込むことの少なくとも一方を行うことにより、前記上板に固定できるようになっていても良い。
このようにすることで、本体部を上板の後方に位置させた状態で、上板にしっかりと固定できるようになる。
【0013】
本願発明の取付装置は、前記可動部材を前記第1位置と前記第2位置の間で移動させるための操作を行うための操作手段を備えていても良い。この場合の操作手段は、前側から操作できるようになっていても良い。そうすることで、例えばパチンコホールの従業者が設置台ユニットにパチスロ遊技機を着脱する際に、可動部材を第1位置から第2位置に移動させるための操作(設置台ユニットにパチスロ遊技機の固定を行うときに必要である。)、或いは第2位置から第1位置に移動させるための操作(設置台ユニットに固定されたパチスロ遊技機の固定を解除するときに必要である。)を楽に行えるようになる。
前記設置台ユニットの前記パチスロ遊技機の上方の所定の位置には板で隠された開口が設けられているとともに、その板を移動させることによって開放できるようになっている場合がある。例えば、パチスロ遊技機の上方には遊技者が店員を呼ぶときに用いられる呼び出しランプが取付けられているのが通例であるが、呼び出しランプが固定されている板は一般に、取外しができるか、或いはその上端のヒンジにより上方に回動させることにより、その板により隠された開口を露出させられるようになっている。
その場合、前記操作手段は、前記開口の後側に、その操作が行われる部分である操作部が位置するようになっていても良い。そうすることにより、操作手段の操作がより楽になる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願発明を実施するための最良の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
まず、本願発明のパチスロ遊技機が取付けられる設置台ユニットについて説明する。設置台ユニットは、パチスロ遊技機が一台だけ取付けられるものであっても良いが、この実施形態の設置台ユニットは、複数台のパチスロ遊技機が横並びにして取付けられるものであり、一般店舗に普通に配置されている、島と呼ばれる構造物である。
【0017】
島である設置台ユニット500の構造の一例を
図1の側面図に示す。なお、この設置台ユニット500は
図1における左右両面にパチスロ遊技機600を配置することができるようなものとなっているが、設置台ユニット500は、その片面にパチスロ遊技機600を配置することができるようになっていれば足りる。
なお、既に述べたように、この実施形態においても、前後の概念はパチスロ遊技機600の前後の概念に従う。
図1において左側に描かれたパチスロ遊技機600及びそれを固定するための取付装置100について説明するときは、「前」が図中の左方向となり、
図1において右側に描かれたパチスロ遊技機600及びそれを固定するための取付装置100について説明するときは、「前」が図中の右方向になるので注意されたい。
【0018】
設置台ユニット500は、これには限られないが、骨材で組まれた土台部510、土台部510の上に、隣接するもの同士の間に概ねパチスロ遊技機の横幅に対応する間隔を空けて立てられた複数本の柱530、柱530の上に設けられた頭部540を備えている。
柱530の下端付近には、下板550が固定されている。下板550はその上にパチスロ遊技機600が載置される事実上水平な板である。
パチスロ遊技機600は下板550の上に載置され設置台ユニット500に固定されたとき、その前端と下板550の前縁が略揃うか、下板550の前縁からその前端が僅かに食み出でるようにされる。また、パチスロ遊技機600は、下板550の上に載置され設置台ユニット500に固定されたとき、その後端が下板550の後縁から食み出でるようにされる。下板550の大きさと、設置台ユニット500に対する取付け位置は、下板550にパチスロ遊技機600を載置したときに、下板550とパチスロ遊技機600の関係を上述の如くに調整できるように設計されている。
【0019】
下板550の上方、頭部540の下方には、上板560が固定されている。上板560はパチスロ遊技機600が下板550に載置されたときに、パチスロ遊技機600の直上に位置する、事実上水平な板である。
パチスロ遊技機600は下板550の上に載置され設置台ユニット500に固定されたとき、その前端が上板560の前縁550から食み出、その後端が上板560の後縁から食み出でるようにされている。上板550の大きさと、設置台ユニット500に対する取付け位置は、下板550にパチスロ遊技機600を載置し設置台ユニット500に固定したときに、上板560とパチスロ遊技機600の関係を上述の如くに調整できるように設計されている。
【0020】
この実施形態の設置台ユニット500は、ドル箱を置くためのドル箱置き場570を備えている。ドル箱置き場570は、上板560の上方に設けられている。
上板560の後縁には、そこから垂直に立ち上がる背面板561の下縁が接続されている。背面板561の上縁には、また、そこから前方へ水平に伸びる天板562の後縁が接続されている。天板562は、また、設置台ユニット500の頭部540にも固定されている。
これら、上板560の上面、背面板561の前面、及び天板562の下面で形成された断面略コの字型の面に囲まれた空間がドル箱置き場570である。ドル箱置き場570は、パチスロ遊技機600単位で区切られており、また必要に応じてその内周面が適当な方法で化粧されている。
また、頭部540の前方には飾り板541がある。飾り板541は頭部540の内部を目隠しするためのものである。頭部540の内部には、飾り板541に、或いは飾り板541の直下に取付けられる図示を省略の呼び出しランプや、或いはパチスロ遊技機600を必要に応じて制御するのに用いられる、回路や配線が存在している。例えば、それらにメンテナンスの要が生じたときに、店舗の従業員がそれを行えるようにするために、頭部540は開口542を有している。飾り板541は頭部540の開口542を塞ぐことで、頭部540の内部を目隠しできるようになっている。
他方、飾り板541は、
図1に示した位置から移動させることで、開口542を、或いは頭部540の内部を露出させることができるようになっている。これには限られないが、この実施形態の飾り板541は、その上縁が、頭部540に対して図示を省略のヒンジによりヒンジ接続されており、当該ヒンジを介して回動させることにより上方に跳ね上げられるようになっている。飾り板541が上方に跳ね上げられると、開口542が、即ち、頭部540の内部が露出するようになっている。
【0021】
次に、パチスロ遊技機600を設置台ユニット500に着脱自在に固定するためのパチスロ遊技機600の取付装置100の構成について説明する。
【0022】
取付装置100は、
図2の正面やや上方向から見た状態を示す斜視図、
図3の背面やや上方向から見た状態を示す斜視図、
図4の分解図、
図5の正面図、
図6の背面図、
図7の平面図、
図8の側面図に示されたように構成されている。
【0023】
取付装置100は、本体110を備えている。本体110は、側面視で、下方が開放された断面略コの字型をしている。
本体110は、前側の板である、横長の細長い略矩形の前側板111と、後側の板である、前側板111よりは短いものの横長の細長い略矩形の後側板112と、前側板111と後側板112とをその上縁同士で繋ぐ、一部に矩形の開口113Aが設けられた横長の細長い板である上側板113とを備えている。前側板111と後側板112は、平行である。
前側板111と、後側板112の上方寄りで且つ正面から見て右側寄りの互いにの対応した位置には、必ずしもこの限りではないがともに同じ径で円形の、前側孔(図示を省略)と、後側孔112Aがそれぞれ穿たれている。前側孔と、後側孔112Aには、円筒形状の固定棒114がそれらを貫通させられた状態で固定される。固定棒114の機能、役割については後述するが、固定棒114の一端側には、前側孔を通過できない大きさの抜け止部114Aが設けられており、また固定棒114の他端側には、後側板111の後側で固定棒114に噛ませられる、後側孔112Aよりも大径のイーリング115を噛ませるための溝114Bが切られている。固定棒114は、その他端側を前側孔と後側孔112Aを順に貫通させ、且つその他端側の溝114Bにイーリング115を噛ませることにより、その両端が前側孔と、後側孔112Aから抜けないような状態で、前側孔と、後側孔112Aに固定されるようになっている。
前側板111と、後側板112の上側縁の正面から見て左寄りの互いに対応した位置には、切り欠き状に形成された凹部111B、112Bが設けられている。
【0024】
上側板113の開口113Aの正面から見て右側寄りの部分は、側面視コの字型の第1蓋部材113Bで閉じられるようになっている。第1蓋部材113Bは、本体110を跨いだ状態で、ネジ113B1により、本体110に螺合により固定されるようになっている。上側板113の開口113Aの正面から見て左側寄りの部分は、その上面がその長手方向に沿って中央で分割されはいるものの、2つ併せて側面視コの字型となるようになっている第2蓋部材113Cで閉じられるようになっている。第2蓋部材113Cは、本体110の内側にその垂直方向の板を挿しこんだ状態で、ネジ113C1により、本体110に螺合により固定されるようになっている。
上側板113に開口113Aが設けられており、且つそれを第1蓋部材113Bと第2蓋部材113Cで閉じることにしているのは、主に、取付装置100の組立の際に必要である、という理由からである。そのような理由がないのであれば、開口113Aや、第1蓋部材113B、及び第2蓋部材113Cは特に必要ない。なお、第2蓋部材113Cの垂直方向の板には、レンチ凹部材(後述)と干渉しないように、上向きに凸の図示せぬ切欠きが設けられている。第2蓋部材113Cに設けられた切欠きと、凹部111B、112Bに嵌り込んでレンチ凹部材は、上下左右には移動できなくなる。
上側板113の長さ方向の両端付近には、上第1孔113Dが設けられている。上第1孔113Dは、後述する貫通ボルトを上下に貫通させるためのものである。
上側板113の2つの上第1孔113Dの内側にはそれぞれ、上第2孔113E、及び上第3孔113Fが設けられている。上第2孔113E、及び上第3孔113Fは、後述するバネの上端を係止させるのに用いられる。
【0025】
本体110は、固定部材116を備えている。固定部材116は、取付装置100を上板560に固定するために用いられるものである。固定部材116は、断面略L字型をしており、水平に伸びる水平部116Aと垂直に伸びる垂直部116Bとを有している。固定部材116の水平部116Aと、垂直部116Bの少なくとも一方には、固定部材116を上板560にネジ止めするときにネジを貫通させるネジ孔が設けられている。ネジ孔は、その内部にネジ切りがなされている必要はない。この実施形態では、水平部116Aにはネジ孔116A1が、垂直部116Bにはネジ孔116B1がそれぞれ穿たれている。
【0026】
本体110には、また、駆動リンク120が取付けられている。これは、本願における操作手段に相当するものである。
駆動リンク120は、本体部の背面に固定された取付部材121と、取付部材121の上側に固定された支持部材122と、それらを互いに繋ぐ、いずれも板状の、第1リンク部材123、第2リンク部材124、及び第3リンク部材125とを含んでいる。第1リンク部材123と第2リンク部材124はネジ127Aで、第2リンク部材124と第3リンク部材125はネジ127Bでそれぞれ接続されているが、第1リンク部材123と第2リンク部材124はネジ127Aを介して、互いの角度を変化させることができるようになっており、また、第2リンク部材124と第3リンク部材125は、ネジ127Bを介して、互いの角度を変化させることができるようになっている。
支持部材122には、それを前後に貫くようにして、駆動軸126が取付けられている。駆動軸126の前側端部には、六角レンチをその内部に嵌め込むことができるレンチ穴126Aが設けられた頭部126Bが設けられている。駆動軸126の後側端部は、第1リンク部材123を貫いており、駆動軸126の後端側端部は、第1リンク部材123に取付けられている。
第3リンク部材125にはまた、六角レンチの先端に相当する六角形の断面を有するレンチ凸部材128が固定的に取付けられている。レンチ凸部材128は、水平であり、本体110の内部に入り込むような長さとされているが、この実施形態では、第3リンク部材125を貫いている。レンチ凸部材128の本体110の内部に入り込んでいる側の端部は、後述するような方法で第2駆動軸に接続されている。
以上のような駆動リンク120は、取付装置100を背面から見た場合、駆動軸126の中心、ネジ127Aの中心、ネジ127Bの中心、及びレンチ凸部材128の中心を繋いだ形状が略平行四辺形を保つようになっている。そして、その平行四辺形は、変形可能である。駆動リンク120の役割は、駆動軸126の回転を、レンチ凸部材128に伝達することである。駆動軸126を、そのレンチ穴126Aに所定の六角レンチの先端を挿入して回転させると、その回転が、第1リンク部材123、第2リンク部材124、第3リンク部材125を介して、レンチ凸部材128に伝え、レンチ凸部材128が回転するようになっている。
【0027】
取付装置100は、また、本体110に対して上下に移動する可動長部材130を備えている。
可動長部材130は、本体110の長手方向の長さに略一致する長さを有する、横長に構成されている。可動長部材130は、
図4に示したように、上が開いた断面略コの字型形状をしている。
可動長部材130は、底面に相当する略矩形の底板131と、底板131の両縁から立ち上った、その上縁の中ほどが一段下がった略矩形の側板132とを備えている。両側板132は平行であり、前側板111と後側板112の間隔よりもその間隔が幾らか狭い。
可動長部材130は、本体110の前側板111と後側板112との間に、その両側板132を嵌め込むようにして、本体110に組み付けられるようになっている。
底板131の上側の面には、図示を省略するが、バネ133を係止するための係止部材が設けられている。係止部材は、可動長部材130が本体110に組み付けられたときに、本体110の上第2孔113Eと上第3孔113Fの間の直下に位置する位置に設けられている。バネ133の両端には、係止部133Aが設けられている。バネ133は、可動長部材130を本体110に組み付ける際に、一方の係止部133Aを、上第2孔113Eから上第3孔113Fに順に潜らせ、また他方の係止部133Aを、係止部材に係止させた状態とし、両者を垂直方向で繋いだ状態とされる。そのときバネ133は、外力を加えていないときよりも引き伸ばされた状態となるようになっている。したがって、本体110に組み付けられた可動長部材130は、本体110に対してバネ133から常に上向きの付勢力を受けることになる。
底板131の、本体110の上第1孔113Dの直下に位置する部分には、両側板132の距離よりも僅かに小さいだけの対辺距離を持つため、回転しようとしても側板132と干渉してしまうため回転できない状態とされたナット134Cが配置されている。
両側板132の、その上縁が一段下がる左右の各部分の下方には、可動長部材130の長手方向に沿う方向に穿たれた、長い孔である長孔132Aが設けられている。両側板132に設けられた長孔132Aは、互いに対応する位置に設けられている。両側板132の対応した位置にある長孔132Aには、断面円形の棒状体である軸棒132Bが貫通させられるようになっている。軸棒132Bの長さは、両側板132の間隔よりも長く、前側板111と後側板112との間隔よりも僅かに短くなっている。したがって、軸棒132Bは、可動長部材130が本体110に組み付けられたときに、長孔132Aの長さ方向に移動可能ではあるものの、長孔132Aから脱落しなくなる。
【0028】
可動長部材130の下方には、押圧部材140が取付けられる。
押圧部材140は、可動長部材130の上下動に伴い上下動を行うものである。押圧部材140は、可動長部材130とその長さ方向の長さを略共通とする横長に構成されている。押圧部材140は可動長部材130と同様に、
図4に示したように、上が開いた断面略コの字型形状をしている。
押圧部材140は、底面に相当する矩形の押圧板141と、押圧板141の両縁から立ち上がった、板である側方板142とを備えている。両側方板142は平行であり、それらの間隔は、前板111と後板112の間隔よりは狭く、可動長部材130の両側板132の間隔よりは広くなっている。押圧部材140は、その押圧板141の上面と、可動長部材130の底板131の下面の間に僅かな隙間を設けつつ、且つその両側方板142の内側面(互いに対向する面)と、可動長部材130の側板132の外側面とを接触させた状態となっている。
押圧部材140の押圧板141の下面は、後述するように、可動長部材130が第2位置にあるときに、パチスロ遊技機600の上面に当接してパチスロ遊技機600の上面を下方に押す面である。押圧板141の下面は、可動長部材130が第2位置にあるときに、押圧面141と下板550の間で、パチスロ遊技機600が、転倒したり、移動したりしない程度の力で、パチスロ遊技機600を設置台ユニット500に固定できるようなものとされていればそれで足りる。
ただし、可動長部材130が第2位置にあるときにパチスロ遊技機600の上面に加える力を分散させることを考慮するのであれば、押圧板141の下面の面積はある程度大きい方が好ましい。可動長部材130が第2位置にあるときにパチスロ遊技機600の上面をよりよく固定できるようにするためには、押圧板141の下面のパチスロ遊技機600の幅方向の長さは、ある程度長い方が好ましい。これには限られないが、この実施形態のパチスロ遊技機600の押圧部材140は、パチスロ遊技機600の上面に通常存在する開口やリブを想定し、そのような開口やリブがあったとしても、押圧部材140と下板550とで、パチスロ遊技機600を挟持することができるような、形状、大きさとする。この実施形態では、押圧部材140及び押圧板141は、その幅方向が長手方向となる横長形状をしている。そして、この実施形態における、押圧板141の下面のパチスロ遊技機600の幅方向の長さは、パチスロ遊技機600の幅方向の長さの1/3以上となっている。もっとも、押圧板141のパチスロ遊技機600の幅方向の長さは、パチスロ遊技機600の幅方向の長さの2/3以上とするのがより好ましいし、パチスロ遊技機600の幅方向の長さの8割以上とするのが更に好ましい。押圧板141の下面の長さが長くなればそれだけ、押圧部材140によるパチスロ遊技機600の押圧によってもパチスロ遊技機600を下板550との間で挟持できないという事態が生じにくくなる。押圧板141の下面の前後方向の長さは、例えば1cm〜10cmの間とされ、2cm〜8cmが好ましいが、この実施形態では2.5cm程度とされている。
押圧部材140の側方板142における、可動長部材130の前板111と後板112の長孔132Aが存在する部分に対応する部分は、切欠き142Aが設けられており、その高さが切欠き142Aのない部分よりも低くなっている。これは、長孔132Aを貫通した軸棒132Bと側方板142との干渉を避けるためである。
押圧部材140の下側の面には、弾性部材150が取付けられる。弾性部材150は、必ずしもこの限りではないが、押圧部材140の下面の全面に取付けられている。弾性部材150は、例えばゴムでできている。弾性部材150の下面には、複数本の細い溝151が弾性部材150の長さ方向に平行に切られている。これは弾性部材150のパチスロ遊技機600の上面への食付きを向上させるためのものである。溝151は、弾性部材150の下面に、弾性部材150の長さ方向に沿うようにして平行に存在している必要はなく、例えば、格子状に存在していても良い。
弾性部材150の上面には、これには限られないが複数の突出部152が設けられている。押圧部材140の押圧板141にはそれら突出部152に対応した位置に、それら突出部152に対応した形状の図示せぬ孔が穿たれており、その孔に突出部152を挿入した状態で、押圧部材140の押圧板141に、弾性部材150が固定される。かかる固定は、これには限らないが、この実施形態では、弾性部材150を貫いて、押圧板141に螺合により固定されるネジ153を用いて行われる。
【0029】
可動長部材130の長さ方向の両側には、弾性機構134が設けられている。
弾性機構134は、可動長部材130に上下方向の多少の弾性を与えるためのものである。また、弾性機構134は可動長部材130と本体110との上下方向での距離の微調整を行う機能をも有している。
弾性機構134の構成は、
図8の側面図に現れている。
弾性機構134は、下が開放した断面コの字型の格納部材134Aを備えている。格納部材134Aは、ネジ134A1を用いて可動長部材130に固定されている。格納部材134Aの上面には、本体110の上第1孔113Dの直下に位置するようにして、図示を省略の孔が穿たれている。
弾性機構134には、その外周にネジ切りのされた貫通ボルト134Bが含まれている。この貫通ボルト134Bは、可動長部材130と一体となって、本願発明における可動部材をなすものである。貫通ボルト134Bには、その孔の内周面にネジ切りのされたナット134Cが螺合されている。上述したように、ナット134Cは、回転不可能(完全に回転できない場合も含むが、遊びがあり制限された幾らかの範囲で回転できる場合も含み、この実施形態では、後者のようにされている。)にして嵌め込まれている。ナット134Cは底板131に固定されているわけではないので、底板131に対しての上下動を行えるようになっている。
貫通ボルト134Bは、本体110の上第1孔113Dと、格納部材134Aの、本体110の上第1孔113Dの直下に位置する図示を省略の孔を上から貫通し、更にナット134Cを貫通して、押圧部材140の押圧板141にその先端が接続されている。貫通ボルト134Bは、その先端が押圧板141から離れないものの、押圧板141に対して回転することができるようになっている。言い換えれば、貫通ボルト134Bは押圧板141に接続されているが、押圧板141に対して空回りできるようになっている。必ずしもこの限りではないが、この実施形態では、貫通ボルト134Bと押圧板141の固定は、接続部材134Dを介して行われている。接続部材134Dは、互いに回転可能となっている2つの部材を備えており、それら部材の一方が貫通ボルト134Bに他方が押圧板141に固定されている。
また、ナット134Cの上面と、格納部材134Aの上側の板の下面の間には、貫通ボルト134Bに貫かれた状態でバネ134Eが収納されている。このバネ134Eは、圧縮状態にあり、ナット134Cの上面と、格納部材134Aの上側の板の下面には固定されてはいないが、両者を互いに押している。つまり、ナット134Cの上面は常に、下向きに付勢された状態にある。
弾性機構134において、貫通ボルト134Bを回転させると、ナット134Cは上述のように回転しないようになっているから、ナット134Cに螺合された貫通ボルト134Bは、上下に移動する。上述したように、貫通ボルト134Bの先端は、押圧部材140の押圧板141に接続されるから、貫通ボルト134Bが上下すると、押圧板141を含む押圧部材140が上下する。このようにして、貫通ボルト134Bを回転させることにより、本体110に対する押圧部材140乃至押圧板141の上下方向の位置を適当に微調整することができる。
また、弾性機構134において、押圧板141に上方向の力がかかると、押圧板141に接続された貫通ボルト134Bが上方向に上がろうとする。そうすると、貫通ボルト134Bに螺合されたナット134Cも上がろうとするが、ナット134Cはバネ134Eから下向きに付勢力を受けている。押圧板141にかかる上向きの力がある一定の範囲を超えると、押圧板141は、ナット134Cがバネ134Eから受ける下向きの付勢力に抗して、上向きに幾らか移動する。これは、押圧板141にかかる力が過剰になることを防ぐための仕組みとして機能する。
【0030】
取付装置100は、また、上下位置決め機構160を備えている。上下位置決め機構160は、可動長部材130の本体110に対する高さを決定する、或いは変化させるためのものである。かかる上下位置決め機構160によって、可動長部材130は、上方の第1位置と、それより下方の第2位置の2つの位置に位置決めできる。
上下位置決め機構160は、本体110に組み付けられた可動長部材130の中に、つまり、可動長部材130の両側板132の間に位置するようになっている。
上下位置決め機構160は、両端が面取りされた横長の互いに所定の間隔で平行に配置されたリンク板161と、リンク板161の一端側(
図4の右側)に設けられた、リンク板161を挟むようにしてリンク板161に取付けられている一対の駆動板162と、リンク板161の他端側に設けられた、リンク板161を挟むようにしてリンク板161に取付けられている一対の小判型の連動板163とを備えている。両駆動板162には孔162Aが、両連動板163には孔163Aが、それぞれ対応する位置に穿たれている。
リンク板161の一端側の駆動板162に挟まれた部分の間には、円形で且つその中心に図示せぬ孔が穿たれた第1ホイール164が、また、リンク板161の他端側の連動板163に挟まれた部分の間には、円形で且つその中心に図示せぬ孔が穿たれた第2ホイール165が、それぞれ配置されている。第1ホイール164と第2ホイール165の直径は、リンク板161の上下の高さよりも若干長い。
両リンク板161の一端側と他端側には、孔(図示を省略)が穿たれている。これら孔のうち
図4の右側に示されたものと、駆動板162の孔162Aと、第1ホイール164の孔は
図4の右側の軸棒132Bにまとめて貫かれ、また、これら孔のうち
図4の左側に示されたものと、連動板163の孔163Aと、第2ホイール165の孔は
図4の左側の軸棒132Bにまとめて貫かれている。その状態で、第1ホイール164と第2ホイール165は可動長部材130の底板131にそれらの下端で接触している。第1ホイール164と第2ホイール165は、軸棒132Bを軸として回転できるようになっている。また、両リンク板161に対して、駆動板162は軸棒132Bを軸として回転できるようになっている。
2枚の連動板163の孔163Aが穿たれたのとは反対側の端部は、中空の円筒形のパイプ163Bで連結されている。パイプ163Bの孔は、連動板163の外側に向けて露出している。パイプ163Bは、固定棒114によって貫通されている。パイプ163B乃至連動板163は、固定棒114を軸として回転できるが、固定棒114は本体110に固定されていて動かない。他方、上述のように連動板163は、軸棒132Bを軸としてリンク板161に対して回転できるようになっている。軸棒132Bが長孔132Aの長さ方向に沿って移動できることもあり、連動板163はその角度を水平に近い角度から垂直に近い角度に移動できるようになっている。
また、2枚の駆動板162の孔162Aが穿たれたのと反対側には、上述のレンチ凸部材128を挿入することのできる断面六角形の穴である駆動穴162B1を備えたレンチ凹部材162Bが取付けられている。レンチ凸部材128は、駆動穴162B1に挿入されており、これによりレンチ凸部材128とレンチ凹部材162Bが連結されている。
上下位置決め機構160は、以下のように機能するようになっている。
上述したように、駆動リンク120は、駆動軸126の回転を、回転の角度をレンチ凸部材128に伝える。そうすると、その回転は、レンチ凸部材128が挿入されたレンチ凹部材162Bに伝えられる。
レンチ凸部材128が例えば、時計回りに回転すると、駆動板162の下端が
図4の左方向に移動する。そうすると、第1ホイール164、第2ホイール165とともに2本の軸棒132Bにそれぞれ貫通されているリンク板161が、
図4の左方向に移動する。そうすると、連動板163は、固定棒114を軸として回転するが、そのとき、連動板163の固定棒114に軸支されている部分は上下左右に動けないので、その下端が水平に
図4の左方向に移動し、結果として寝た状態となる。このとき、連動板163は、本体110の上側板113に接触しない状態となる。そうすると、上述したように、可動長部材130にはバネ133により常に上向きの付勢力が働いているから、可動長部材130は、上方に持ち上がり、その位置を保つ。このときの可動長部材130の位置が本願における第1位置である。
また、レンチ凸部材128が例えば、反時計回りに回転すると、駆動板162の下端が
図4の右方向に移動する。そうすると、第1ホイール164、第2ホイール165とともに2本の軸棒132にそれぞれ貫通されているリンク板161が、
図4の右方向に移動する。そうすると、連動板163は、固定棒114を軸として回転するが、そのとき、連動板163の固定棒114に軸支されている部分は上下左右に動けないので、その下端が水平に
図4の右方向に移動し、結果として立ち上がる。このとき、連動板163は、本体110の上側板113に押す力を加える。そうすると、上述したように、可動長部材130にはバネ133により常に上向きの付勢力が働いているが、連動板163は、より詳細に言えば、第1ホイール164と第2ホイール165は、その下端で可動長部材130の底板131を、上述の付勢力に抗して押し下げる。このときの可動長部材130の位置が本願における第2位置である。
【0031】
以上説明した取付装置100の使用方法と動作について説明する。
【0032】
この取付装置100は、遊技場の島である設置台ユニット500の上板560に取付けて用いられる。より具体的には、本体110の前側に取付けられた固定部材116の水平部116Aの上面を上板560の下面に当接させ、垂直部116Bの前面を上板560の背面に当接させた状態で、上板560に取付けられる。上板560への固定部材116の固定は、水平部116Aに設けられたネジ孔116A1を貫通させたネジを上板560に上方向に打込むか、垂直部116Bに設けられたネジ孔116B1を貫通させたネジを上板560に前向きに打込むか、或いはその両方を行うかによる。
こうして、取付装置100は、上板560の後方に位置するようにして、上板560に取付けられる(
図9)。したがって、上板560の上方にドル箱置き場570が存在しても取付装置100を上板560に固定するに問題は生じない。
このように取付けた取付装置100により、設置台ユニット500にパチスロ遊技機600を着脱自在に固定できるようになる。
【0033】
設置台ユニット500にパチスロ遊技機600を固定するには、まず設置台ユニット500の下板560にパチスロ遊技機600を載置する。パチスロ遊技機600は、下板550の前側に載置されてから、後側に押され適当な位置に位置決めされる。なお、
図9では、下板550にパチスロ遊技機600の下端の後面に当接して、パチスロ遊技機600の前後方向の位置決めを行うための器具300も図示されているが、本願発明とは関係がないものなので、それについての詳細な説明は省略する。
パチスロ遊技機600が適切に位置決めされると、パチスロ遊技機600の前端が上板560の前縁から食み出、その後端が上板560の後縁から食み出でた状態となり、パチスロ遊技機600の前端と下板550の前縁が略揃うか、下板550の前縁からその前端が僅かに食み出で、その後端が下板550の後縁550から食み出でた状態となる。
【0034】
この状態では、可動長部材130は第1位置にある。
その状態で駆動リンク120の操作を行う。この駆動リンク120の操作の前後においては、パチスロ遊技機600のホッパーの取外しは不要である。
この実施形態における設置台ユニット500では、飾り板541を上方に跳ね上げることにより露出された開口542から作業者が手を入れることにより駆動リンク120の操作を行うことができる。駆動リンク120の操作は、駆動軸126に設けられたレンチ穴126Aに六角レンチを挿入し、六角レンチを回転させることにより行う。
なお、この実施形態では、開口542がドル箱置き場570の上にあるから、比較的低い位置にあるレンチ穴126Aに六角レンチを挿入し、六角レンチを回転させるのは難しい。その意味では、これまでに説明した取付装置100は、開口542が比較的低い位置にある設置台ユニット500、例えばドル箱置き場570のない設置台ユニット500との相性が良い。そして、レンチ穴126Aに六角レンチを挿入しやすくすることを考慮するのであれば、レンチ穴126が開口542の背後に来るように、レンチ穴126Aの位置を上方に持ってくるのが好ましい。それは例えば、
図10に示したような取付装置100を用いることにより可能となる。
図10に示した取付装置100は、これまでに説明した取付装置100とその構成は殆ど同じであるが、唯一その駆動リンク120のうちの、取付部材121と第2リンク部材124の長さのみが異なっている。
図10に示した取付装置100では、それらの長さが、これまでに説明した取付装置100におけるそれらよりも長い。そうすることによって、レンチ穴126の位置を上方に上げることができる。もっとも、レンチ穴126の位置は、例えば、回転を伝達する目的で公知の他の技術を利用することにより、例えば、タイミングベルトを用いたり、或いは、回転運動を伝達することのできる柔軟なフレキシブルシャフトを用いたりすることによっても、変更することは可能である。
いずれにせよ、駆動軸126を、そのレンチ穴126Aに六角レンチの先端を挿入して回転させると、その回転が、第1リンク部材123、第2リンク部材124、第3リンク部材125を介してそのままの角度で、レンチ凸部材128に伝わり、レンチ凸部材128が、六角レンチを回転させた角度だけ回転する。また、六角レンチを回転させる角度を選択することにより、駆動軸126の回転する方向を選択することができる。
【0035】
六角レンチは、可動長部材130を第1位置から第2位置へ移動させる向きに、それが可能な角度、回転させられる。
可動長部材130を第1位置から第2位置へ移動させるには、レンチ凸部材128が、
図4の向きから見たときに、反時計回りに回転する向きに、六角レンチを回転させれば良い。
レンチ凸部材128を、反時計回りに回転させると、駆動板162の下端が
図4の右方向に移動する。そうすると、第1ホイール164、第2ホイール165とともに2本の軸棒132Bにそれぞれ貫通されているリンク板161が、
図4の右方向に移動する。そうすると、連動板163は、立ち上がる。このとき、連動板163は、本体110の上側板113に押す力を加える。そうすると、上述したように、可動長部材130にはバネ133により常に上向きの付勢力が働いているものの、連動板163に取付けられた第1ホイール164と第2ホイール165が、その下端で可動長部材130の底板131を、上述の付勢力に抗して押し下げる。
可動長部材130が第2位置に位置すると、可動長部材130に取付けられた押圧部材140の押圧板141の下面が、より詳細には押圧板141の下面に取付けられた弾性部材150の下面が、上板560の後ろに食み出したパチスロ遊技機600の上面を下向きに押圧する。これにより、パチスロ遊技機600は、下板550と押圧部材140の間で挟持された状態となる。
なお、このとき、弾性機構134は、パチスロ遊技機600に過度の力がかかるのを防止する。それは、以下のようにして実現される。押圧板141に上方向の力がかかると、押圧板141に接続された貫通ボルト134Bが上方向に上がろうとする。そうすると、貫通ボルト134Bに螺合されたナット134Cも上がろうとするが、ナット134Cはバネ134Eから下向きに付勢力を受けている。押圧板141にかかる上向きの力がある一定の範囲を超えると、押圧板141は、ナット134Cがバネ134Eから受ける下向きの付勢力に抗して、上向きに幾らか移動する。これにより、押圧板141にかかる力は過剰にならない。
なお、可動長部材130を第2位置に位置させたときにおける押圧板141の上下方向の位置が適切ではないために押圧板141がパチスロ遊技機600に与える下向きの力が適切ではない場合がある。その場合には、貫通ボルト134Bを適当な向きに回転させることにより、貫通ボルト134Bを上下させることにより、本体110に対する押圧板141の上下方向の位置を調整することが可能である。かかる調整は、可動長部材130が第2位置にあるときに行っても良いし、第1位置にあるときに行っても良い。
【0036】
また、パチスロ遊技機600の入れ替えの必要が生じた場合などには、以下のように、可動長部材130を第1位置にすることにより、取付装置100によるパチスロ遊技機600の設置台ユニット500への固定を解けば良い。
その場合には、レンチ穴126Aに挿入した六角レンチを、可動長部材130を第2位置から第1位置へ移動させる向きに、それが可能となるだけ回転させれば良い。
可動長部材130を第2位置から第1位置へ移動させるには、レンチ凸部材128が、
図4の向きから見て時計回りに回転する向きに、六角レンチを回転させれば良い。
レンチ凸部材128を、時計回りに回転させると、駆動板162の下端が
図4の左方向に移動する。そうすると、第1ホイール164、第2ホイール165とともに2本の軸棒132Bにそれぞれ貫通されているリンク板161が、
図4の左方向に移動する。そうすると、連動板163は、寝た状態となる。このとき、連動板163は、本体110の上側板113に接触しない状態となる。そうすると、上述したように、可動長部材130にはバネ133により常に上向きの付勢力が働いているから、可動長部材130は、上方に持ち上がる。
可動長部材130が第1位置に位置すると、可動長部材130に取付けられた押圧部材140の押圧板141の下面が、より詳細には押圧板141の下面に取付けられた弾性部材150の下面が、上板560の後ろに食み出したパチスロ遊技機600の上面から離れる。これにより、パチスロ遊技機600は、下板550と押圧部材140の間で挟持されていない状態となるから、パチスロ遊技機600の設置台ユニット500への固定は解除される。
以上のようにこの取付装置100を用いれば、設置台ユニット500へのパチスロ遊技機600の固定も、固定の解除も、殆どワンアクションで行える。
【0037】
なお、以上で説明した取付装置100では、その押圧部材140の押圧板141の下面の全面に弾性部材150が取付けられていたが、例えば
図11に示したように、弾性部材150は押圧板141の一部にのみ取付けられていても構わない。
図11の例では、弾性部材150は押圧板141の下面の両端付近にのみ取付けられている。